【お姉さま天獄】パパイヤ、マンゴー、グァバのトロピカルトリプルお姉さま



   


<オープニング>


 冒険者の酒場、その午後。
「プルミーさんがいないと……なんだか、静かですよね」
 さくさく、パパイヤの実を切り分けながら、セイレーンの重騎士・ユウキ(a90384)が言う。
「彼女も今頃は神の国だろうか。頑張っていることだろう」
 ぱくぱく、ユウキが剥いたマンゴーを頬張りながら葵桂の霊査士・アイ(a90289)はこたえた。
「神様の世界ってどうなっているんでしょうね?」
「それは私にもわからんなあ……還ったら詳しく聞きたいものだ」
「いずれにせよ、がんばってほしいですね」
「ああ、今は、彼女たちを信じたい」
 さくさく。
 ぱくぱく。
「あ、パパイヤ終わりました」
「次はグァバを頼もう」
 しょりしょり。
 ぱくぱく。
「……あの、それで」
「何かな?」
「僕、さっきから剥くばっかりで一つも食べてないんですけど……」
 アイは心底驚いた表情で告げる。
「なんだ、黙々とやっているから、てっきり皮剥きが好きでたまらないのかとばかり思っていた。でもマンゴーはあらかた食べてしまったぞ」
「アイさん……最近、プルミエールさんに似てきてませんか?」
「え? 何が?」

●だいたんセクシーさんしまい
 集まったメンバーを前にアイは述べる。
「なんだか久々な気がするが、いわゆる『お姉さま』怪物の脅威は去ってはいない」
 それは女性型モンスター、色々な服装であらわれては、冒険者を悩ます(?)存在である。
「今度は一足早く、夏真っ盛りの南国に行ってもらいたい」
 南国、それも、自然溢れる土地らしい。湿った空気と密林、温かい川、これをかきわけ乗り越え、指示された方向へと向かうと、そこに忽然と楽園が出現するという。
「そこはまさにフルーツ天国だ。たくさんのトロピカルフルーツが、手つかずの状態でたわわに実っている。風光明媚、暑すぎず寒すぎず晴れやかで気持ちの良い土地だろう。ところが……」
 そこに潜む三人の怪物があるのだ。
「まるで三姉妹、年格好は異なるが、よく似た顔立ちの三人の少女が、楽園のどこかに待ち構えているようだな」
 楽園の中に大きな石造りの遺跡がある。その中は何故か、ベッドルームになっているようなのだ。三姉妹はそこにいる。トロピカル楽園に突如出現した寝室……奇妙すぎる。しかし、三少女の服装はもっと奇妙なのだ。
「いずれも……」
 とまで言って、ややアイは恥ずかしそうに続けた。
「ネグリジェを着用しているようだ。その……なんというか、レースとフリルで飾られていて、生地が……すごく透けているやつだ。え? 持っているか、って? わ、私は持っていない!」
 恥ずかしくて着れない、と早口でアイは言う。確かに少々、勇気の要る格好ではあるだろう。なにせ、ネグリジェは下にブラジャーをつけないものだからだ。
「以下、外見で『長女』『次女』『三女』と便宜上呼ぶが、本当に姉妹かどうかはわからないぞ」
 長女は大変スタイルの良い長身の女性だ。歳は二十歳前後だろうか、顔の泣きぼくろが色っぽい。パパイヤの鮮やかな緑色した髪を長く伸ばし、なかば透けている黒いネグリジェを着用。このネグリジェ、シースルーなので大変に危ない。どう危ないかは、想像にお任せする。
「彼女の得物は長い鞭、三つ叉に分かれており、長く伸ばすことができる。打たれれば電撃が走り、麻痺してしまう危険性があるぞ。複数対象を一気になぎ倒すことも可能だ。黒いネグリジェに鞭か……何なんだこの組み合わせ」
 次女は、顔は長女と似ているが、ショートカットに切りそろえた活発そうな少女である。髪はマンゴーのような鮮やかな橙色だ。外見年齢は十五歳、やはり薄い白のネグリジェを着用している。『姉』と同じ位置に泣きぼくろがあるが、彼女の場合、それもアクセントといった感じがあるとかないとか。
「次女の武器は縄、投げ縄の名手らしいな。輪を作ってこれを首にかけ、引っ張って締め上げるというえげつない攻撃を最も得意とするが、足にかけて転ばしたり、腕をとってバランスを崩させ、長女の攻撃につなげたりと変幻自在だ。この縄、エネルギー体で出来ているようなので切っても切ってもすぐにつながるぞ」
 そして三女、彼女は十歳ほどに見える。やはり泣きぼくろはあるが、可愛らしいものである。髪は濃いピンク色、ネグリジェも桃色だ。
「幼い子にネグリジェ……倒錯的な感じがするなあ。さてこの少女は、なんと蝋燭を握っているのだ。この蝋燭の灯心に息を吹きかけると、物凄い勢いで火炎がほとばしる。直接攻撃してきた場合、火の熱さもさることながら、溶け落ちたロウがまた信じられないくらい熱く、しかもなかなか取れないので継続的な追加ダメージを負わされることになるな。蝋燭の火は、本人が死なない限り消えることはないらしい」
 次女が縄でとらえ、長女が電撃で体の自由を奪って、三女が火炎ないしロウでとどめを刺す、という嫌な連携をとってくる可能性も高い。気をつけてほしい。

「と、いうわけで対三姉妹戦、なかなかに厳しい戦いになるやもしれんが、諸君ならやりとげてくれると信じている。撃破してほしい」
 ここでプルミーがいたら、「ネグリジェは分捕れますか?」と聞いただろう。
 ふとそれを想い、アイは告げた。
「恐らく敵は倒れると、衣服だけ残して消滅する……まあ、それをどうするかは、うん、自由だ」
 概要はこんなところだ、と話を終えて、
「ユウキも行ってくれるな……?」
 と振り返ったアイは、ついさっきまでそこにいたはずの彼が、いつの間にか姿をくらませているのを知った。
「……逃げたな」


マスター:桂木京介 紹介ページ
 桂木京介です。よろしくお願いします。

 フルーツ&美女の謎シリーズ、今回はシュールさ絶好調、南国の楽園に出現した寝室でネグリジェ三姉妹と激突します。寝室、といってもベッドがならべてあるだけの簡素なもので、柱が数本ある以外は吹き抜けなので、実質屋外で戦っているのと変わらないかもしれませんね。

 無論、三姉妹をすべて撃破することが成功条件です。
 敵は次女を軸にした攻撃パターンを使うと思われますが、たとえ次女を先に倒したところで、敵は単体でも十分に戦えます。したがって、一人倒したらあとは雪崩式に……とはいかないでしょう。

 それでは、次はリプレイでお会いしましょう。

参加者
碧風の翼・レン(a25007)
嵐を呼ぶ蒼き雨・レイニー(a35909)
月の姫を抱く者・ミレイラル(a43722)
黒百合の魔女・リリム(a50830)
星喰らう蒼き闇・ラス(a52420)
手のひらの鼓動・アールコート(a57343)
槍を持って進む者・ベディヴィア(a63439)
銀之刀匠・クオン(a65674)
悪滅大聖エビルベイン・ショウ(a66635)
全力狂想曲・ティム(a71002)


<リプレイ>

●しんでしまうとはなさけない
 碧風の翼・レン(a25007)は眼鏡装備、感慨深く仲間たちを見る。
「色んな人間模様が展開されているね……かたやほのぼの」
 と眺むるは、和気あいあいと歩む、手のひらの鼓動・アールコート(a57343)らだ。
「今回も刺激的な衣装のお姉さまらしいですね☆ だから、セクシー担当の女の子たちにはがんばってほしいです♪」
 アールコートは、銀之刀匠・クオン(a65674)にほほえみかけた。
「セクシー担当……いえ私は……できれば清純担当で……」
 というクオンはブレザー姿、かつて葡萄のお姉様が装備していた品だ。
「せっかくですので、勝利後はクオンさんが着てみるというのはどうですか?」
「……いえ、あの……」
 クオンは頬を紅くするのみである。アールコートは別の「セクシー担当」に呼びかける。
「ベディヴィアさんも☆」
「はわわ〜」
 槍を持って進む者・ベディヴィア(a63439)は、ふるふると首を振る。
「俺は今日がこのチーム初参加なので間違っているのかもしれないが……」
 悪滅大聖エビルベイン・ショウ(a66635)が片手を挙げた。
「ベディヴィアは男の子? だよな?」
「ショウさんの言う通りなのですー。そんなに疑問符をつけないでいいのですー」
 ベディヴィアは弱々しく主張する。そもそも、今日はチェリーの『お兄さま』服なのである。
「でも世論的にベディヴィアさんは女の子ワクなのですよ★」
「ワクって何ですかー」
「そうか、世論なら仕方ないな」
「仕方なくないです〜」

 レンは遠い目をする。
「そして、かたや……いや、あれもほのぼの?」
 と、レンが目を移す先には鮮やかな青のスティードがいた。またがるは、嵐を呼ぶ蒼き雨・レイニー(a35909)、彼女が鈴を鳴らすやたちまち、
「ご用はー?」
 全力狂想曲・ティム(a71002)が飛び出し、その前にかしずいたのである。
「妾の駒のくつわを取るがよい。手綱を握るのも疲れたからのぅ」
「へへー」
 どうやら何かあったらしい。すっかりレイニーの下僕風なティムなのであった。ちなみに彼の衣装は、蜜柑のお兄さま服である。
「レイニー、今月のお給金まだ〜!?」
「妾に質問するでなーい!」
「うへー」
 そんな二人を見て、
「な、仲良しでいいですね」
 黒百合の魔女・リリム(a50830)は微笑するのだ。
「と、ところで、ミ、ミレイラルさんは、何を?」
 リリムが疑問に思うのも無理はない。月の姫を抱く者・ミレイラル(a43722)は肩より綱を下げ、重い荷をひきずっていた。
「これですか? いわば様式美でしょうか」
 謎めいた笑みを浮かべる。その荷は、棺桶だ。
「……おぉ、ラスよ。しんでしまうとはなさけない」
 どこかで聞いたようなミレイラルのメッセージである。そう、棺桶の中身は、星喰らう蒼き闇・ラス(a52420)なのである。ぴったりと閉じた棺桶、しかもこの熱帯をゆくのだから、相当蒸し暑いはずだ。
「よ、様式美も楽じゃない……」
 うっすらとそんな声が聞こえた気がした。

●俺はどちらかと言うとSだ!
 再び、クオンの白い肌が薄紅色に染まった。
(「あれは……もしあの様なものを着たら……」)
 熱帯地方の一角に、謎の神殿風建造物があった。内部には、艶を競う三女性型モンスター、全員薄いネグリジェ着用、つまりパパイヤ、マンゴー、グァバのお姉さまなのである!
 しなを作る長女(パパイヤ)、こぼれ落ちそうなその肢体。
 飛び跳ねる次女(マンゴー)、健康的な魅力だが衣装が衣装ゆえ目の遣り場に困る。
 そして恥じらうような三女(グァバ)、胸を隠すような仕草……考え方によっては一番危険だ!
「暑いですねぇ……ちょっと脱ごうかなぁ?」
 ミレイラルも負けない、羽衣をあらわにし、胸元を軽くはだけてみせる。
「さあ、アールコートさん」
「はいっ☆」 
 さすが長い付き合い、アールコートは得たりと、
「今回は私の役目なのです☆」
 土塊の下僕を召喚する、ちなみに名前は、
「がんばってください、『ラス・ダブルオー』さん」
 ということである。
「それでは『オリジナル・ラス』の出番ですよ!」
 ミレイラルの呼び声に応え、棺桶から立ち上がる姿、それはラス、汗だくだ。鞭にロープ、そしてローソクの三姉妹「お姉さま」に、
「悪いな。俺はどちらかと言うとSだ!」
 きっちりと宣誓する。
 チリンと鈴を鳴らしたレイニーは、
「ティム!」
「へへー」
 ティムに両手を捧げさせ、その上に足を置きスティードから降りる。
「あやつら、露出で気を惹こうとも、妾のもの(男)はやらぬわっ!」
(「妾の男……!?」)
 ティムはどぎまぎとした。意味深発言だ!
「がんばろうね、色々とね」
 とレンはティムの肩に手を置いて告げ、軽く跳躍して最前線に立つ。
「さすがに寝室に忍び寄るのはできなかったか……まあ、今は夜じゃないし……こっちの話」
 三女のロウソクがごうと燃え上がり、長女の鞭が空気を切り裂く。力を蓄え攻撃力を高めているようだ。それは冒険者たちとて同じこと、手早く準備する。
「人間だったら良かったのにー。惜しいけどね……」
「シ、ショウさんの反応、新鮮です。わ、わたしたち慣れてしまったので。わ、悪い意味で」
 ショウは前衛、リリムは後衛、別れて陣形を整える。前衛は全体で鶴翼に散開した。
「はわ〜、あれを着ろと? えっちぃーのはダメなのにダメなのにー」
 戦闘後を考えてベディヴィアはもう涙目である。
 バトルフィールドは南国、そこに出現した謎寝室、三つのベッドに三体の妖艶怪物、これを攻める冒険者の策やいかに!?

●僕と一緒にお出かけしよ〜よ♪
「早い!?」
 レンは目を見張った。次女が出し抜けに突進してきたのだ。疾風の如く、しかも、先行させた下僕を完全無視して迫ってくる。
「……ッ」
 自身の動体視力でも捉えるのがやっとだ。レンは右手でガードするが、その腕ごとロープの輪にはめられてしまう。ぐいと引かれ輪が締まる、倒され地面を引きずられる。摩擦で肘から火が出そうだ! しかも、
「ぁ、あぶな……!」
 リリムが声を上げるも間に合わない、次女の背後から飛びだすは、黒いネグリジェ白い肌、ゴージャスな緑の豊かな髪、乱して襲う鞭の使い手!
 長女も下僕(ラス・ダブルオー)に目もくれず、電光の鞭でレンを打擲した。聞くだに痛い破裂音、どぎつい雷光が迸る。
 さらに三女から、熱した蝋の洗礼だ。レンは身を捩り縄から逃れたが、それでも熱いものを垂らされていた。
「デコイを敵の目の前で作ったのはさすがに拙かったか!?」
 ラスは地を蹴る。風をまとって速攻連撃、されど長女を掠るもままならなかった。
 レイニーが大剣を振りかざす
「ええい! 寝間着姿のくせに、妾より目立つことはまかりならぬ!」 
 どん、と押し出すサイクロン、突風が巻き上がり『寝室』の壁を崩し、三女を巻き込んだ。
 力の反作用で麻痺したレイニーの、うずくまる頭上を越えて飛ぶは暗黒色の鎖、
「か、回復、よろしくお願いします」
 リリムの放ったものだ。三女のみ拘束する。
 レイニーをかばう位置に立つ、それはショウの武者姿、
「さすがにやるな! それでこそ戦い甲斐があるってもんだぜ!」
 破壊の一撃、長女に横凪ぎ、鉄板すら断ち切る一撃であるが、攻撃は空をきる。
 立て続けなりミレイラル、まだ敵二体がフリーなのを見て、蜘蛛糸投じて拘束を図った。
「毎度のことですが、動いちゃダメですよ〜?」
 白い糸、放射状に広がって長女の肢体に絡みつくのだ。遅れじとティムも、
「ちっちゃな可愛いおねーさま♪ 僕とお出かけしよ〜よ♪(ノソリンで〜)」
 誘う歌は、拘束中の三女を目がけたものだ。しかし効果は発揮できなかった。
「つれないんだね……僕が誠心誠意で誘ってるのに……」
 と言いながらしゃがみ込み、倒れた長女の衣服を観察中。あれならめくれるかな?
「ってティムさんなにやってるですかー! そもそもレイニーさん以外に誠心誠意だなんて〜!」
 ベディヴィアは後衛の守りの位置だ。敵を見ないようにしつつ、力の反作用で動けなくなったリリムに鎧聖の力を与えている。
 アールコートは下僕召喚を中断し、レンの回復を行った。
「大丈夫ですか? 押し負けないよう支えます」
「ありがとう……助かるよ」
 レンは自身も祈りを捧げ、力の反作用で動けない味方を癒しにかかる。しかし、まさかティムの発言がショックだったわけでも無かろうが、レイニーは動けないままだ。
 クオンはどうしても、お姉さまたちを直視できない。
(「あの淫らな服装……ああ、集中が……」)
 拘束中の長女に一太刀浴びせるが、心の乱れを反映してか、どうしても浅いままだ。

●えっちぃー子になりたくないけど
 それから一攻防を経た。戦況は、冒険者に厳しい。
 油断があったわけではないだろう、ただ、敵は彼らの想像を上回る速攻と連携を得意としていた。
 レンは烈地蹴を長女に当てたものの、次女の縄を首に受ける。
「く……まさか眼鏡男子が好み、とか……!?」
 柿のお兄さまから入手した眼鏡の向こう、風景が、歪む。
 間もなく拘束を破った長女が、鞭を一閃、レンに致命的な一打を与え、広範囲攻撃でレイニーも打ち据えた。ダメージは少なくないものの被害者がこれで済んだのは、クオン指示による陣取りが成功していたからだろう。鞭は長く、前衛全員でも優に巻き込めるほどのものだったが、多くがこの餌食とならぬようクオンは留意していた。
 しかしこれで終わりではない。さらに三女が火焔攻撃、ミレイラルの目の前で、ラス・ダブルオーは溶けてしまった。
「ラス……私のためにここまで……ほろり」
「待てミレイラル、『ダブルオー』を盾にしてたじゃないか!」
 すかさず「本人」はツッコミ入れつつ、
「クッ、いくら下僕とはいえ自分の名を冠したやつが破壊されると心が痛む。だがそれより!」
 敵の連携終了直後は隙が生じる、ラスはそれを確信して飛び込んだ。
「レンの分、きっちり返させてもらうぜ。倍返しでな!」
 サーベル払うと散るは薔薇、剣撃連撃、三つまで。長女に立て続けに浴びせた。
「ちっ……盾にしたのバレてましたか」
 ミレイラルは舌を出しながらきっちり連携、不幸のカードを同じ相手に突き立てる。さらに、
「拘束が解けたわ! 妾の本気を知れ!」
 怒りに燃えるレイニーが、再び繰り出すレイジング、敵陣にて竜巻は暴れまくり、見事三姉妹を宙に舞わせ地に叩きつけたのだ。
「レ、レンさん、しっかり……」
 リリムも勇気を見せる。前衛ギリギリまで出てレンを救って後退、デモニックフレイムも長女に当てた。
「こ、これでクローンが作れたら……ダ、ダメですか」
 パパイヤお姉さまは艶笑浮かべ、それでも立っているのだった。
 ならば、とベディヴィア、
「えっちぃー子になりたくないけど、がんばります……!」
 透けるネグリジェ、黒い色、それだけに肌の白さと艶めかしさが目を奪うが、雑念を追い払って飛び込んだ。兜割り! 垂直の一撃は長女の頭部を粉砕したのである。同時に、その体は液体となって消えた。
 ここで攻撃に間を空けない。初参加のショウであるが、チームの呼吸を早くも体得している。
「おおっと! そう簡単に体勢の立て直しはさせないぜ!」
 と言ってショウは、後退をはかる次女に破壊の一撃を叩きつける。次女はよろめいて背後の柱に激突した。
 もはやクオンにも惑い無し、範囲攻撃なかりせば、突出も辞さぬと判断し、剣士の本領発揮する。
「心頭滅却、惑うは終わってからに致します――!」
 首を伸ばせば唇で、触れられそうな至近距離、そこから魅せる、決闘宣告の一撃! 次女は怒りに我を忘れクオンを睨みつけた。
 ティムの凱歌が戦意を高める。アールコートは癒しの波動だ。
「私たちは必ず勝ちます☆ 勝ってベディヴィアさんの晴れ姿を見るんです★」
 はぅう〜、という声が聞こえた気がした。
 単体でも強い次女と三女だが、これで完全に連携が乱れてしまい攻撃力は目に見えて低下した。
 熱い蝋を浴びながらも、ラスは次女を追い、
「だから俺はSだって言ってるだろ!」
 断罪、ついに刃を沈めこれを仕留めたのである。
 残る三女に集中攻撃だ。
 悪魔の炎はリリムの得意技、ベディヴィアが岩すら貫く突きをくれて、戦を締めくくったのはショウの剣、
「とりあえず、悪滅……完了ッ!」
 振り当てた一撃が致命傷となった。
 三女は火焔を吹きながら崩れ落ち、消滅した。

●――!
「怪我はしたけど歩いて帰れそうだよ。大丈夫、体力はこれでつけるから」
 一緒に食べようよ、とレンがひろげてくれたのは、パパイヤ・マンゴ・グァバのジャムと、ジャムをつけて食べるスコーンやパウンドケーキ、グァバ茶も用意してくれる。
 かくてティータイム、南国の静かな遺跡から眺める風光は明媚だ。
 目の保養、といえば……アールコートは茶をいただきながら喝采した。
「やはりよくお似合いですね☆」
「これどー見ても下着です……はうぅ、ユウキさんが逃げた理由が骨身にしみるです」
 えっちすぎます、とペディヴィアは涙目だ。三女のネグリジェ姿である。恥ずかしいのかずっと背を見せている。ちなみにパンツは少年用なので、ひどく倒錯した光景だったりする。
 ティムが柱の影から何か覗いているようなので、ショウは、
「何を見て……」
 まで言いかけたところで、仰天してティムを抱きかかえ走り去る!
 柱の裏では、
「リリムさん、素敵よ」
「ミ、ミレイラルさんこそ、ぃ、色っぽいです。わ、わたしは丈が足りなくて……」
 ミレイラルとリリム、一緒に着替えて、お互いの姿を見せあっているのだった。リリムの豊かな膨らみは黒いネグリジェに映え、ミレイラルの白は彼女の体のラインを浮き立たせる。
「クオンさん、どう思います?」
 恍惚の表情をミレイラルはクオンに向けた。
「――!」
 クオンは真っ赤になった。見るつもりはなかった(はず)なのに、彼女も柱の裏にいたのだ。
「え、ええと……」
 言葉を失う。お姉さまも色っぽかったが、普段見慣れている二人の共艶はあまりに目の毒、変な属性が付かなければよいのだが(?)。

「君はここが定位置!」
 ショウはティムをレイニーの真横に下ろす。
「ぶ〜、『浮気は男の甲斐性だよ』ってラスが言っていたから従っただけなのに〜」
「なんじゃと」
 水を打ったように場が静まりかえった。レイニーが鋭い視線を走らせたからだ。
「って言ってないよ! 俺、言ってないよ……ね!?」
 ラスはスコーンを咥えたまま逃げ去った。ショウも一緒に逃げ、気がつけば二人きり。
「ティムよ。そういえば、給金がどうのと言っておったな」
「は、はい」
「これでどうかえ?」
 レイニーはティムの首の後ろに両手を回し、正面から彼を、抱いた。
 殴られるかと思っていたティムは、あまりのことに目を白黒させるばかりだ。
 レイニーの髪は、佳い匂いがした。

 今回は、これまで。


マスター:桂木京介 紹介ページ
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参加者:10人
作成日:2009/06/16
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冒険結果:成功!
重傷者:碧風の翼・レン(a25007) 
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