地獄列強追撃戦:Triffid



<オープニング>


●地獄列強追撃戦
 死者の祭壇から侵攻した地獄列強の軍勢を、黄金霊廟、エギュレ神殿図書館、カダスフィアフォートの3つのドラゴンズゲートで迎撃した同盟諸国の冒険者は、見事、その攻撃を退け撤退させることに成功した。

 しかし、ノスフェラトゥ以外の地獄列強、ディアブロ、セフトシルフ、シャドウスナッチの中には、そのまま死者の祭壇まで撤退せずに独自の行動を取り始める者が出てきているのだ。

 このまま、地獄列強の好きにさせておけば事態はどう悪化するか判らない。
 そこで、精鋭の冒険者による『追撃部隊』が派遣されることとなった。

 ※※※

「皆様、お集まりいただき、ありがとうございます」
 エルフの霊査士・ユリシア(a90011)は、冒険者達に一礼して、状況の説明を始めた。
「ドラゴンズゲート防衛戦の勝利、おめでとうございます。しかし、一部の地獄列強は死者の祭壇に逃げ帰らず、独自の行動を取り始めています。皆さんには、この地獄列強達を撃破してもらいたいのです」
 ユリシアは、真剣な口調でそう語った。
 これ以上、地獄列強にランドアースを蹂躙させるわけにはいかない。
 ランドアースに住む全ての住民の為にも、地獄の勢力は撃破しなければならないのだ。

「ノスフェラトゥ以外の地獄列強は、個体として同盟諸国の冒険者を凌駕する力を持っています。かなりの危険が予想されますので、用心してかかって下さい」
 ユリシアは願いをこめて、冒険者達に頭を下げるのだった。

●Triffid
「さて、ユリシアから説明あった思うけど……」
 翡翠の霊査士・レィズ(a90099)は集まった冒険者達を見つめると、バナナジュースを一口含んで喉を湿らせてから説明に入る。
「敵はエギュレ神殿図書館を襲った軍団のセフトシルフ。そのうち数体が撤退途中の森ん中で寄り道しおって挙げ句の果てに永住決め込もうとばかりに居座っとる」
「うっわ……」
 誰かが呆れた様な驚愕の様な声を上げたのが聞こえた。
 ミュントスで森の様な格好で待機してたと言われるくらいだ。セフトシルフは森に縁があるのか好むのか、エギュレ神殿図書館と死者の祭壇の道中にあった森がどうやら気に入ったらしく。
 3体のセフトシルフ達は固まり寄り添い、森の中に陣取ってしまったのだ。
「こいつらどうにかせんと、この森の大気をセフトシルフ化してしまう。放っておけばランドアース生まれのセフトシルフなんてヤな奴が生まれかねんわ」
 幸い、まだ連中は居着いたばかりである。どうもセフトシルフ化には落ち着いた時間が必要らしく、今から討伐に向かえば大気のセフトシルフ化をされずに戦える事だろう。
 だからと言って油断出来ない相手なのだが。下手すれば一体一体が同盟の熟練冒険者3人分くらいの力を秘めている筈だから。

 セフトシルフはクラゲの如き姿形をした列強種族である。
 彼等は武器や防具を用いずに己の触手を得物として戦うらしく。薙ぎ払うが如く振り回したり拘束する様に締め付けたり、威力もさる事ながら厄介な特徴が一つ。
「全ての攻撃に毒がのってくるんや。それも超強力な奴、な」
 攻撃そのもののダメージの他、毒でも体力を奪われては勝ち目が低くなる。如何に対処するかか重要となるだろう。
 3体に差異はなく、まるで3体で1つの様に連携して戦闘を進めてくる事だろう。
 今回の戦いは、この3体全てを撃破する事。一体も残さず、に。
 

「この一連の依頼で地上に顔出しおった地獄の連中を殲滅せん事には……死者の祭壇取り返したりとか反撃も出来んしな。気張って行きや」
 地獄の列強が地上にのさばっている以上、このランドアースに平和は無いのだから。
「さて……けったいなクラゲ狩りやけど、行ってくれる猛者はおるやろか?」

 !注意!
 このシナリオは同盟諸国の命運を掛けた重要なシナリオ(全体シナリオ)となっています。全体シナリオは、通常の依頼よりも危険度が高く、その結果は全体の状況に大きな影響を与えます。
 全体シナリオでは『グリモアエフェクト』と言う特別なグリモアの加護を得る事ができます。このグリモアエフェクトを得たキャラクターは、シナリオ中に1回だけ非常に強力な力(攻撃或いは行動)を発揮する事ができます。

 グリモアエフェクトは参加者全員が『グリモアエフェクトに相応しい行為』を行う事で発揮しやすくなります。
 この『グリモアエフェクトに相応しい行為』はシナリオ毎に変化します。
 翡翠の霊査士・レィズ(a90099)の『グリモアエフェクトに相応しい行為』は『殲滅(eliminate)』となります。
 グリモアエフェクトの詳しい内容は『図書館』をご確認ください。


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参加者
浄火の紋章術師・グレイ(a04597)
蒼剣の騎士・ラザナス(a05138)
白骨夢譚・クララ(a08850)
たまひよ・コッコ(a21063)
銀蟾・カルア(a28603)
月のラメント・レム(a35189)
異風の叫奏者・ガマレイ(a46694)
砂塵の騎獅・エルヴィン(a74826)
獣哭の弦音・シバ(a74900)



<リプレイ>

 エギュレ神殿図書館の周囲はかつてグドン地域と呼ばれた地。そこにある森に、醜いグドン達の代わりに居座ろうとする輩が存在する。
「招かれても居ないのに押し掛けた挙句、勝手に居座るとは……流石地獄の連中は、面の皮が厚いと言うか」
 肩すくめて銀蟾・カルア(a28603)がぼやく。彼を含めて9人の冒険者達は鬱蒼とした森を慎重に進む。かといって視界を防ぐ程暗くも無く、夏の木漏れ日が丁度良い明かりとなっている。
「灯りは不要だったでしょうか……」
 腰に下げた無灯のカンテラ示して月のラメント・レム(a35189)が首傾げた。何人か持参していたが日中は不要だろう。必要となるのは帰りが夜に及んだ時くらいか。
 獣哭の弦音・シバ(a74900)によって施された隠密行動用の装備は良く出来ていた。臭いを誤魔化し音を消し迷彩柄の外套で身を覆う。歩みは慎重に。湿った地面は滑らぬ様工夫もした。
 周囲や物音を警戒しながらセフトシルフ達が通過した痕跡を求める。触手が時折地面に触れた跡、そして払いのけたのか、枝葉の折れた木々。
 見当を付けて進むと。
(「……いた」)
 真っ先に見つけた白骨夢譚・クララ(a08850)は手振りで仲間に合図。間もなく仲間全員に伝達され、一層声も音も潜める。
 充分距離を置いた先。一際大きな樹木に絡み付き、まるで1つになって落ち着いてしまったセフトシルフ達の姿。時々色彩を変える雲の様なクラゲの笠の様な部分が本体部分なのだろうか。目も口も見当たらないその姿に表情は存在せず。果たして何を考えているのか。
(「こんな危険なクラゲが増殖したら、間違いなく大陸中が大変な事に……」)
 たまひよ・コッコ(a21063)は目の前の存在から恐ろしいまでの悪寒を感じていた。臆病者の勘はもはや危険以上のモノを彼に知らせていたと言える。
 けど、だからこそ。この戦いは負けられない。
 レムは周囲を見回し、砂塵の騎獅・エルヴィン(a74826)も探索用に持参した遠眼鏡でセフトシルフのいる大木の辺りを確認する。木の回りは戦うのに不都合は無さそうだ。
「(牙狩人の二人が身を隠して射撃するには充分、でしょうか)」
 浄火の紋章術師・グレイ(a04597)が小声で問う。木の陰や茂みから敵のいる大木までざっと見積もって20mはある。
 場合によっては誘導する事も考えていたが、果たして居座る気満々の奴等が此方の思惑通りに動くだろうか。何せ敵は『迎撃側』だ。此方が逃げた所で追ってくる理由も無い以上、付いて来る事はまず無い。
「(まだ気付かれて無いかしらね)」
 小声で異風の叫奏者・ガマレイ(a46694)が首傾げ言う。敵は追撃の心配もせず余裕たっぷりに鎮座して見える。または何も考えてない様にも見えなくも無い。全く読めない。
 気付いてないにせよ、敢えてスルーされてるにせよ。向こうが先制仕掛けてくる事はなさそうだ。ならばある程度の事前準備は可能と判断し、冒険者達は急ぎ己らの強化を施す。
(「地獄の列強種族と剣を交えるのはいつ以来か……。過去の悲劇を繰り返す訳にはいかない」)
 鎧聖降臨を自らに施し蒼剣の騎士・ラザナス(a05138)は思う。ドラゴンズゲートを守れても此処を、この大地を守らねば意味が無い。全力を持って倒す、ただそれだけだ。
「(隊長さん、頼むのですよー)」
 コッコは探検隊隊長・ワイドリィに守護の誓いの言葉を受ける。君を守ると誓うだ。同様にシバもラザナスへ、エルヴィンもカルアに誓いを施した。
 この間もセフトシルフは動かない。植物の様にじっとして、その色を緩やかに変えていくのみ。
 準備にばかり時間も掛けられない。守りの効果も制限がある。ならば早く。


 木陰より飛び出す冒険者達。その姿に気付いた筈なのに、敵は驚いた素振りすら見せず、変わらず大木に集まり寄り添ったまま。
「ヘェイッ! アンタ達にくれてやる森なんざ一つもないわよ! 不法滞在超お断り! ゲラウェェイ・ヒアッ!」
 挑発じみたガマレイの言葉に色を変える事もしない。
「帰り道が解らないなら、案内してやろうか?」
 カルアもおちょくる様に言葉投げかけ、ライクアフェザーを用い、コッコも同じく構えを取る。その隣に並ぶラザナスはカルアに、ワイドリィもコッコに鎧聖降臨を施す。
「……地上の空気は貴方がたに合いませんわよ。私達が居る限り」
 レムが黒炎覚醒を用い、グレイも続く。身に纏われる黒き炎。
「地獄と此処の森では、残念ながら勝手が違うのです。早々にお引取りを」
 クララがそう告げた所でこの不法滞在者達が素直に帰る筈もない。いや、言葉に耳を傾けているかすらも知れぬ。同じ無口な相手なら骨の方が数十倍も可愛気がある。……と思うのはクララだけかも知れないが。
「シバ殿、準備は良いか」
 仮面の下、エルヴィンが問うとシバも弓を構えて頷いた。
「圧倒的な威圧感、流石地獄の列強と言うべきなのかのぅ」
 弦を引く手がビリビリ震えて感じるのはそのせいか、それとも武者震いか。
 だが。彼は思う。不可能を可能にしてきたのが同盟の冒険者。一度敵対列強として矛交えたこの身が牢記している。
「次は貴殿らがそれを味わうと良いの、万彩詩篇が主よ」
 二人同時に放った桃色の矢が弾け、炸裂したのが戦闘開始の合図となった。
 爆発音と同時に巻き起こる桃色の着弾煙は一瞬。二人がかりのハートクエイクナパームで魅了されれば3体も連携どころでは無くなる。
 筈なのだが。
「!!?」
 消えゆく桃色の奥から現れる不気味な色彩が3つ。まるで1つの生き物の様に、そして恐ろしい程の速度で前に立つ3人に迫ってきた。
 最初の一体。力任せの薙ぎ払いが3人を同時に襲う。紙一重でコッコは避けるも、カルアとラザナスはその鈍い薙撃をその身に受ける。
「くっ!」
 体勢を崩しかけたカルアの視界に入ったのは続け様にラザナスに襲い掛かる2体の姿。無数の触手が彼の手足を、胴体を締め上げる。
「ぐ……はっ……!?」
 強力な締め上げ。骨が軋み内蔵が悲鳴を上げる。同時に皮膚の焼ける痛み。強力な毒が彼を蝕みだしたのだ。
「これ……は」
 同じだけの痛みを請け負ったシバが弓を支えにして呻く。ダメージを分かち合い共有してこの攻撃力。この単体攻撃をまともに受けたら、ガマレイやエルヴィンならまず2つ食らえば倒れるだろう。自分ですら3つまともに貰ったら意識を保てる自信はない。
「このっ!」
 カルアがラザナスを掴む一体にミラージュアタックを放つ。残像が消えると同時に敵の身が切り裂かれる。だが敵はさほど気にした風でもなく、一撃加えて下がったカルアの方が苦痛の表情浮かべた。先程の攻撃で受けた毒が身を蝕んでいるのだ。
 グレイがエンブレムノヴァを放つ。カルアが攻撃した個体へ。恐らく体能力に優れている点を考えれば体力・生命力も高い種族だと想像できる。ならば連携には連携を。そして集中攻撃を。
 火球を受けた一体が僅かに怯んだ様な隙に、ラザナスは二体から受けていた触手の束縛を振り切った。急いで敵から距離を置きつつ身を反転し、雷剣よりサンダークラッシュの電撃を飛ばす。
「触手は……ナマモノだけで充分!」
 残念ながら追撃効果は発生しなかったが、鍛え上げた得物と力がそこそこのダメージを敵に与える。と同時に毒が彼自身に追い打ちをかけた。
 クララが静謐の祈りを捧げ始める。一緒にレムがヒーリングウェーブで癒しを皆に与える。高威力の癒しはラザナスとカルアの傷が一気に塞ぎ、祈りは二人の毒を消し去った。
 体勢が立て直されつつあるのを見て、ガマレイは敵に向けて歌を紡ぐ。
「オゥゥライトッッ!」
 ――割とシャウトに近い気もするが魅了の歌が響き渡る。するとセフトシルフの一体が明らかに他の二体と違う挙動をしたかに見えた。色が移り変わり、触手が力無く垂れ下がる。
「魅了が効いてるなら……!」
 コッコはそのセフトシルフにバッドラックシュートを放つ。突き刺さる黒きカード。それと同じ範囲の表面が黒く染まる。ガマレイもコッコもペインヴァイパー持ちだ。超魅了に超不幸が重なればいくら難敵であれ逃れるには時間を要するだろう。
 追い打ちをかける様にシバとエルヴィンも再びハートブレイクナパームを放つ。シバの放った一撃に唯一ダメージを受けていない個体が魅了されたかに見えた。が、ただの魅了では回復するのも時間の問題だ。
「……わし等の技で奴等を魅了するのは適わぬかも知れぬ」
「自分も分の悪い賭けに思えてきた」
 エルヴィンの言葉にシバも苦笑い一つ。幾らソルレオンが技に優れた種と言え、チキンレッグの技やエンジェルの心ほど特化はしていない。それでもガマレイとコッコのアビリティが通ったのは辛うじての印象が拭えない。
 次も撃つべきか、否か。
「カルアさん!」
 魅了した個体が手負いの個体と共に動く。やはりすぐ回復された。クララが声を上げた先、二体は流れる様にカルアに触手を伸ばし続けざまに攻撃する。
 喉の奥から込み上げる鉄の味。カルアと同時にエルヴィンも蹌踉めく。フェザーの構えで直撃を避け、毒や束縛を浴びなかったものの、これが3体がかりでダメージを分けてなければ意識は飛んでいただろう。
 が、救いはあった。超魅了状態の個体が手負いの個体に向けて触手を放ったのだ。味方の攻撃受けた側は色を点滅させる。
 束縛から逃れたカルアは距離置いてソニックウェーブを放つ。今度は明らかに怯んだ。この防御無視攻撃が恐らく一番の大ダメージ。
「我が紋章の名に賭けて――今、全てを『浄火』する!」
「来たれ雷光、我の前に立ち塞がりし全ての敵を焼き尽くせ!」
 グレイの放つ火球が更に追い打ちをかけ、ラザナスの電撃が貫く。同盟最高レベルの3人がかりで与えたダメージに仲間の強力な一撃も相まって、その一体はとうとう地面に崩れ落ちる。
「いける……!」
 集中攻撃が効を奏す。連携は自分達こそ負けていない。クララが祈り、レムが癒しの波を送って回復する中、コッコは粘り蜘蛛糸を非魅了の一体に放つ。危うく避けられそうになるも糸は個体を束縛する!
「今の隙だ!」
 シバが叫び、ガトリングアローを。エルヴィンもホーミングアローを放つ。追撃こそ無いものの、矢は着実にダメージを重ねていく。
 更に動けぬ個体に魅了された個体が攻撃を仕掛けた。あの攻撃をまともに与えていると思えば有利なんてモノではない。そう思いつつカルアは衝撃波の刃を飛ばす。
「カルアさんのソニックウェーブが要となりそうですね」
 グレイは緑の業火を放ちながら言う。魔炎は敵を犯さず仕舞い。やはりノヴァに威力は敵わない。
 ラザナスが電撃を飛ばし、コッコがバッドラックシュートで超束縛を更に逃れられぬ様にする。
「一気に落としましょう!」
 レムもブラックフレイムで攻撃に加わった。シバがガトリングアローで数本の矢を撃ち込んだ時点で束縛された個体は色を力無く明減させていた。
「害有る物は砂塵に撃たれ、獅子の牙にて斃れるべし。この仮面の下、砕けた牙に誓っての」
 エルヴィンの放った矢が弧を描いて有らぬ方向から突き刺さったのが止めとなる。そのまま打ち上げられた海月の如く、地面に崩れる一体。
 そして残る一体は魅了された個体。だが。
「やばっ、何か色とか元に戻ってない!?」
 後ろから見ていたガマレイだから気付いた事か。解りづらい違いだが、倒した二体と違う挙動だった個体が元に戻って見えたのだ。
 案の定、魅了は解けていた。その一体は仲間を倒されても平然とした様に触手を大きく広げながら向かってくる。
「突破させるか!」
 前衛の3人が立ち塞がるのを無視して突っ込んできた敵は、中衛に位置するグレイやシバを巻き込む様に触手を無造作に薙ぎ払った。
 叩き付けられる強力な一撃。シバは自分の受けた攻撃の他にラザナスの半分も痛みを貰う。一瞬膝を付き動けない。グリモアの加護無ければどうなっていたか。
「この……!」
 毒に蝕れつつグレイが緑の突風を放つ。勢い良く木の葉が舞い飛び、攻撃と共にセフトシルフを押し戻す。そこにすかさずラザナスが電撃を叩き込む。
 クララが祈りで解毒を施し、レムが癒しを放つ。コッコとガマレイが足止めにと粘り蜘蛛糸や魅了の歌を用いるも、そう何度も上手く通じてくれる程甘くはない。
 エルヴィンが弧を描く矢を放つ。回復したシバが貫き通す矢で硬い防御を撃ち抜く。もはや敵は一体。下手な小細工を弄するよりも、ダメージを積み重ねるのが賢明。
 集中攻撃を受け続けたセフトシルフが赤く変色する。果たしてそれは怒りでも意味するのだろうか? 少なくとも良く思ってないと見える。
 そして、その個体の攻撃はカルアに向けられた。
「ぐあっっっ……!!?」
「むぅっ……!?」
 クリティカル。フェザーによる回避も間に合わず、繰り出される無数の触手が彼の身を締め付ける。少なくとも体力の半分以上は持っていかれたか。そして同じだけのダメージを受けたエルヴィンはレムによって身を支えられているのが視界の端に見えた。
 目の前の存在。不気味で気持ち悪い。この美しい大地に、美しい森には相応しくない。
 既に手負いの敵を目前に、彼の手にした鋼糸が光を帯びる。
 あと一体。
 世界の敵を滅ぼす為に。全て倒すまで退かぬと言う思い。一片足りとも残さぬと言う誓い。
 その思いが、敵を殲滅させんと思う願いが、希望の二文字の元に大きな力となる。
「森から失せろ……薄汚い害虫が……!」
 触手の束縛から脱したカルアが放った零距離衝撃波!
 間もなく、それを正面から受けた怪異は重い音と共に地面に崩れる。
 グリモアの加護を受けたその一撃は最後に残ったセフトシルフを体内からズタズタに切り裂いた。
 僅かに触手が痙攣した挙げ句、力無く地に落ちるのを確認した時、冒険者達は勝利を確信したのだった。


 倒したセフトシルフが三体。動けない化け物達をこれ以上『動かない』様に止めを刺す。色彩の変化も触手の痙攣もしなくなるのを何度も確認し、確実に息の根を止めたか念を押す。
 クララは彼等がアンデッドやキマイラ、もしくはモンスターと化すのではと警戒していたが杞憂だった。死の国からは遠く離れ、撤退作戦から離れたアウトローの周囲にノスフェラトゥがいる事も無かった。
 けれども。この遺骸を利用されたら。そう思い、遺骸を可能な限り切り刻み処分した。一部は霊査に使えぬモノかと持ち帰る事にした。
「……幾ら地獄の列強と言えど、骨が無いのでは話になりませんね」
「比喩的意味では骨のある相手だと思いましたけど」
 クララは手にしたセフトシルフの触手の一部を見つめ呟くとグレイが冗談か皮肉か返した。

 後日の話。その触手の一部は霊査の役には立たなかった。何故なら彼等が帰還した頃、それはもうすっかり消えて跡形もなく無くなってしまい、霊査士の手元に届く事も無かったのだから。


マスター:天宮朱那 紹介ページ
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作成日:2009/06/25
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