ワイルド星祭り〜天映す清流と大地の星



     


<オープニング>


●ワイルド星祭り
「ランドアースよりもっと遠い所ではお星様のお祭りがあるって聞いたなぁ〜ん」
「お星様なぁ〜ん? キラキラなぁ〜ん♪」
「でもって笹の葉っぱで舟を作って流すとお星様にお願いを叶えてくれるらしいなぁ〜ん」
「舟なぁ〜ん? ウレタン舟より面白そうなぁ〜ん」
「どうせだから一緒に流されるなぁ〜ん」
 ワイワイと話をしているのは何人かのヒトノソリン達だった。どこかで風の噂に聞いたのか、星に願いを捧げるお祭りの話になっているようだ。
「お祭りで着る服もあるってことなぁ〜ん」
「何てったっけ……ユタカなぁ〜ん」
 ……それを言うならユカタ、と突っ込む人材は残念ながらまだいない。
「そういえば、実際にお祭りを体験した人達もいるんじゃないかなぁ〜ん?」
「ランドアースの人達なら、何か知っているかもしれないなぁ〜ん」
「是非ご教授して欲しいなぁ〜ん!」
 そうして矛先はワイルドファイアの霊査士・キャロット(a90211)へと向き、ヒトノソリン達は星祭りについての説明を受けるのであった。
「流すと言えば、麺も流れるらしいなぁ〜ん」
「一緒に流されて食べるなぁ〜ん?」
 これまた何処かから仕入れてきた食べ物の話も手伝って、ヒトノソリン達は期待に胸を膨らませるのであった。

●天映す清流と大地の星
「ようこそ、ワイルドファイアへ!」
 キャロットは、腕を天空の星と日と月を模した輪で飾った小柄なチキンレッグの老女を出迎えた。
 灰色ガケスの・スレイ(a90024)と夜明けの風を道連れに・イレミア(a90313)に護衛され、ランドアースからゲート転送してきた、たんぽぽわたぼうしの霊査士・パッフィ(a90402)だ。
 キャロットは笹舟で川流れできる川へと3人を案内する。 
「この辺りは流れも穏やかで危険はないよ。上流からのんびり流されて、笹舟が沈む頃には、ここから下流にある中州に辿りつくんじゃないかな」
 そう説明して、スレイとイレミアへ声をかけた。
「中州には面白いものがあるんだよ。百聞は一見にしかず、見に行ってご覧」

 南国の強烈な日差しを避け、木陰で涼む霊査士たちの元に、下流の様子を見に行ったスレイとイレミアが戻ってきた。
「中州周辺は浅くなっていて、そこまでたどり着けば笹舟が沈みかけても溺れる心配はないな。そのまま歩いて川を渡り、中州や岸辺に上がれた」  
「中州は綺麗でしたよ。これは、そこの砂と川砂利なんですが――」
 イレミアがパッフィに差し出した掌には、星屑のような砂と、星形の小石があった。
 川の流れで削れた小石は星型の先が丸くなった可愛らしい形で、裸足で踏んでも痛くないとイレミアはいう。
 星の『砂』だけでなく小石サイズもあるのが、いかにもワイルドファイアらしい。
 砂や石は、白や、色付き、透明な物もあり、お守りやアクセサリーにもできそうだ。
「地元のヒトノソさん達の間では、
『夜空の流れ星が川の上流に落ちて、水の流れに運ばれて来たのなぁ〜ん。
 だから、この中州の砂や砂利は星の形をしているのなぁ〜ん』
 という言い伝えがあるそうですよ」
 
 ――夜空を映す川に流れ。
 浅瀬に停泊させた笹舟を屋形船に見立てて。
 船が苦手ならば篝火を灯した中州の上で。
 ヒトノソさんや、気心知れた仲間達や、かけがえのない大切な人と、思い思いに星の宴を楽しむ。
 今宵の記念に、清流に洗われた大地の星を拾うのも良いだろう。

「俺は上流からスタートして、笹舟が沈むまで流されてみたい」
 そして夜空の星に願いをかける――そんなスレイの言葉に、パッフィは。
「私は中州で、皆が流れてくるのを待っていようかしらねぇ。
 きっとお腹も空いているでしょうから、お料理をたくさん作って、飲み物も用意して」
「じゃ、僕は中流から流れ始めて、中州に着いたら料理のお手伝いをしますね」
 イレミアの申し出に、老女はふっくりと微笑む。キャロットも嬉しそうに頷いた。
「宴会好きのヒトノソさんたちもきっと喜ぶよ」
 そうと決まれば。人数分の笹舟造りと、料理の準備に向かう3人に、話を聞きつけやって来た冒険者達も加わった。

「お手伝いが終わったら、皆で川に集合だから忘れないでね。星が出たら皆で笹舟に乗って、流されながらお願い事しちゃおう!」
 キャロットはそう言って、勢い良く拳を天に突き出すのであった。
 


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参加者
NPC:たんぽぽわたぼうしの霊査士・パッフィ(a90402)



<リプレイ>

●星宵に遊ぶ
 空が蒼から漆黒へ移りゆく。無数の星が現れ、流れ星が川の遥か上流に落ち。
 祭りを楽しむ人々が乗る笹舟が岸辺から発つ。
「マローはお誕生日おめでとー!」
「ありがとー!」
 嬉しいよーっ、と照れるマローの前には黒蜜寒天。ツクモの竹筒から茶の香り。団欒の舟は和やかで。イクとマローの願いはとツクモは問う。
「皆で楽しく過ごせますよーに」
「被っちゃった。じゃぁ『美味しいもの沢山食べたい』」
「僕は……お二人の願い事が叶いますように」
「駄目だよー、ツクモモモ」
「ちゃんと考えろーっ」
 マローとイクの勢いに舟が傾く!
「はにゃ?」
「沈むんじゃない?」
「涼みついでに泳ぎましょう」
 どぼ――ん!

 笹舟に身体を寝かせ速さ重視の操船姿勢でゼロが言う。
「誰が最初に中州に着くか、勝負だ」
「手加減しませんよ……というか手加減して下さい」
「カウントいくぞ。3、2、1、GO!」
 隣に笹舟を並べたシキヤとスレイが応え。勢い良く漕ぐ互いの波を弾きゼロとシキヤは爽快な流れに乗る。
「あ、スレイだ♪」
 エルが思わず両手を振ると。
「……あれ?」
 手を離した舟は波に煽られお約束の轟沈!
 『旅団・夢幻のつばさ』のリィムは板状の巨大笹を手に水着姿で仁王立ち。流れに生じたイイ波を前に沈没上等の心意気だ。
「俺は何も見えない聞こえない……」
 波乗りだー! どぼーん! 川面に響く雄叫びと激しい水音に背を向け、ぶつぶつ呟くテルル。アキラもリィムを止められる気がしない。うん多分、いやあれは無理だろ。
「俺はゆっくり楽しむからな!」
「1人逃げようったってそうはいくか!」
「オレの前を行く奴は許さん!」
 アキラの魔手や波乗り板からの蹴りにめげずテルルの舟は下っていく。
 アネモネは棒で巧みに川底を突き舟を導く。
「エルサイドくんにも手伝って貰わねば」
 笹の折口からの浸水を掻き出す事すらアネモネは楽しげで。ずっと一緒に居られますよう。それは自分が戦場から生還できる事でもあり……エルサイドは星に祈る。
 とうとう舟が沈み二人は水面に浮かぶ。
「こうして星を眺めるのも良いね」
 泳ぐアネモネをエルサイドは微笑ましく眺めた。
『黒白旅団』の笹舟はひときわ大きい。レアリスが造りティーが強度を確かめた舟の舳先にグーズベリーが腰掛ける。
「左の、流れ、穏やか……進めるよー。岩が、ある、注意……ね」
「ええねぇ、風情があって……」
 水先案内に従い、水浅葱色の浴衣にうちわ姿のサラスヴァティが竹竿一本で舵を取る。
「これ意外と揺れるなぁ。うわわっ」
「落ちないよう頑張るですよっ!」
 ケイムは舟を安定させるのに夢中で余裕無し。方や、いっそ濡れた方が気持ち良いですかね〜っ♪ と思ってるカルディス。
 大地の流れを映した様な天空の川を見つめカルディスは思う。
 ささやかな平和が続くよう、力をつけたい、と。
「これからも、楽しい出会いや出来事がありますように」
 ティーは目を瞑り、心の中で祈る。
「皆で仲良く楽しく一緒にいられれば良いんだけど……これって我儘?」
 レアリスの願いはグーズベリーも同じ。世界が欠けるのは恐く寂しく悲しい事だから。
 皆の願いを受け継ぐ星を探そう。ケイムはそう願う。
「スレちゃんも一緒にやりません?」
 ゼロとシキヤのレースから脱落したスレイをオキが誘う。
「いざ勝負ー」
 フィーリのかけ声で『藍唄』の川下り競争が始まった。
 フィーリとミア、ユウナが和気藹々と遊ぶ中、吟味した笹葉に操船手法で水と風を捕まえるオキ。
「ガチ行動一等禁止作戦なぁ〜んっ♪」
「そんな一番は許しません!」
 ミアとフィーリはオキを追撃! ノソ尻尾ぱっちん、水を飛ばして妨害する横で、イブキは突っ込むトワの笹舟に蹴り!
「ブレードダンス!」
「わぁ!?」
 トワの予想に反し、アビ名叫び攻撃するはユウナ!
 狂気の歌を歌った途端、沈没した恍惚ユウナを水中から引き揚げる超速の男イブキ。
 トワがロレンツァに向かい互いの笹舟を切り崩す。イブキの攻撃分だけ先にトワが沈み、その横をフィーリとスレイを沈めたオキが行く。
 ロレンツァはオキに命の抱擁ダイブ!
「死なば諸共という言葉がある」
 川底へ沈む2人の横を、のろのろ犬掻きで泳ぐミアが漁夫の利一番。トワとフィーリは二人仲良く泳ぎを楽しんでいたとか。

 ルジットが見つめる水面の星は綺麗すぎて。
 夕焼け色の浴衣を着たジュネは、川に映った星が掴みたくなって手を伸ばす。
 ――最愛の奥サン、元気かなぁ……浮かぶ面影に想いを馳せる相棒にルジットは問う。
「星に何願った?」
『大事なみんなの傍で生きていたい』そう願うジュネとずっと相棒でいれますよう。それが不老種族ルジットの望み。
 ――置いてかれんのが怖いんだべ。

●星の川流れ
「わあ〜気持ち良い〜♪」
 静かに流れ征く笹舟にアロは感嘆の声を上げる。
 ギルガメッシュは笹舟から星空を仰ぐ。
「みんなが幸せになりますように」
 私の場合『みんな』に『敵』も含むけど。
 欲張りかも――でも偽らざる願い。
 独り思いを馳せる者や、絆で結ばれた仲間、恋人を乗せた無数の笹舟。篝火が中州を照らし色鮮やかな星の石が淡く浮かび上がる。
 星空が大地に降りたなら、天を流れる星の川はこんな風だろうか。天の星空にいる様な錯覚さえ覚える。
 久々のお出かけにジーンの誘いが嬉しくてレイジュの頬が緩む。伺う彼女の様子に目を細め、そっと頭を撫でてくれるジーンに身を寄せて。二人は流れのままに空を見上げ、降り落ちそうな光の川に息を呑む。
 舟を降りるレイジュの手を引き支えるジーンの手が暖かく、幸せを感じる。
「見て」
 手に掬う星の輝きにレイジュははしゃぐ。硝子瓶の星の海に、ジーンは彼女の姿を映していた。

 笹舟の揺れは怖いけれど。クロイツに寄り添い掴まればマリンローズの肩を抱き庇ってくれる。無事に着いた中州で無数の星が夫婦を迎えた。
「クロイツはどんなお願いを?」
「口にしなくとも分かるだろう?」
 夫の微笑みにマリンローズは安らぐ。
 二人の永久の幸せ。願いを込めた小瓶から微かな星の唄がした。
「トローは皆さーんとずっと一緒にいたいですなぁ〜ん♪」
 願いをかけるトロイメライの横でヴィスティが慌てる。
「舟が沈んできちゃいましたっ」
 でもタロスには水泳のスキルディスクがある! 泳ぎ疲れたトロイメライがすがっても中州に泳ぎ切る!
「陽光で凄く熱かった装甲が冷えて気持ち良いです……」
 星屑の上に腰掛けヴィスティとトロイメライは仲良くリンゴを頬張る。
 アーウィンが『姫』と呼ぶリクリスの瞳に綺麗な星々が写る。
 輝く水面が過ぎ去るのは惜しいけれど――流れに任せた二人の舟は中州に辿り着いた。
 アーウィンは二十歳になった姫の杯に酒を満たす。
「こうして飲み交わせる事を楽しみにしていたから」
 リクリスが初めて飲む酒は不思議な味で。ふわりと躯を巡る酔いに任せアーウィンに身を寄せた。
 楓華の星凛祭に負けぬ星祭りの風情がレィウを包む。
「綺麗、だね……」
 無数の星々が輝く天と地の悠久の流れにラピスラズリが呟く。
 ずっと一緒に居られます様に……と。
 レィウが補強した笹舟は無事に中州に着き、二人は地上の星を探す。
 レィウは彼女の瞳と同じ青の星を。ラピスラズリは二人を写した淡い藤と瑠璃の星を。
「何時も、傍に……」

「水音が気持ちいいね〜」
「川の冷風もね〜」
 船下りに興じるハーゼとラズリオの横でシエルリードは遠い目。
「しかし……このカップル率は……いや、いいんだ」
 笹舟『森の隠れ家―翠陽―』号には男3人。シェルリード持参で酌み交わす清酒と干物、貝柱やチーズに色気が無くてもイイじゃん旨ければ!
 景色に目を奪われたハーゼは身を乗り出し……。
「うわぁ〜」
「ちょっ! わぁぁー」
 どぼ――ん!
「……ごめん」
 巻き込まれ落ちたラズリオは噴き出し笑う。
「溺れることは、ないですよね?」
「落ちたらおらに掴まるなぁ〜ん!」
 どきどきハルカにニフサールは格好良く告げる。
 レドは中州で夕涼みをしながら『仄雲』の仲間達を待つ。
「お待たせしました、ですわ……!」
「いつも有難うね」
 浅瀬に泊まる笹舟を降りるオウリとハルカの言葉に頷き、レドは導く。
「……それじゃ、星集めにいくか」
 ニフサールとオウリの裸足に触れる星砂の感触がくすぐったく心地よい。
「流れ星は空を旅した後、大地を旅するのですわね」
「本当に上流から水流に運ばれたなら素敵ですなぁ〜ん」
 オウリの言葉にカノープスも頷く
 ……ん、楽しそうで何よりかな。遠く見守るレドの手にはオウリへの感謝を込めた石が輝く。
 義兄の為に。ここに居ない仲間の為に。カノープスとニフサールは綺麗な星屑を探す。
「マナミリアさんに……」
 ハルカは白銀の石を握りしめた。

●星粒の上で
 篝火に浮かぶ中州には浅瀬に辿り着いた笹舟や、泳ぎ着いた人々の姿が見える。
「みてみてジャスフィさん! 綺麗な星の石です〜っ!」
 アンネの手には黄色に透き通る星が輝く。星見酒を手にジャスフィは微笑む。
「星も綺麗ですが、そのお姿も素敵ですよ?」
 星の砂がアンネの服の裾を輝き彩って――ジャスフィが丁寧に払う。
「きゃーっ? ありがとうございます〜っ!」
 砂はまるで天の流星雨のようにアンネの服を瞬き落ちる。
 大切な人達とずっと笑顔で一緒にいられますよう――願うクルシェとヴィーネの舟が浅瀬に止まる。
「フルーツポンチを作りますなの」
 果物の巨大さに大変な作業でもヴィーネにクルシェが手を添え、力込めて包丁を下ろす。
 丸玉やノソリン、星形の果物を浮かたデザートは涼しげで楽しく美味しい一品だ。

 ヴィカルの頭上にはきらきらお星様。裸足で踏みしめる砂の感触はさらさらで。
「すっごく素敵なぁ〜ん♪」
 中州に漂う美味しい匂いに引き寄せられ、ヴィカルは料理中のパッフィに、ぺこちとお辞儀。
 出汁で煮染めた夏野菜の冷製。新鮮な肉魚のたたきには薬味を添えて。ライアはパッフィの料理レシピを書き付けながらしみじみと。
「お手伝いをしていると故郷のお婆ちゃんを思い出します」
 ライアが川の清水で締めたそうめんは涼しさを醸す。
「私にも何か料理を教えてもらおーか!」
 言っておくけど、とギルガメッシュは断りを入れる。
「……私は壊滅的に料理の腕は悪いわよ?」
 ふっふっふと笑む彼女にライアが戦慄したとかしないとか。
「私は鶏肉を切って串に刺すなぁんね♪」
 串焼きの下拵えをするチハヤに倣い、レンは玉葱と格闘。
「……涙、止まらない」
 レンの溢れる涙をチハヤは拭き拭き。
 ヴィカルと一緒に肉魚を焼き、何をお願いしたの? とパッフィが問えば、ヴィカルの笑顔がまぶしい。
「あたしは『皆笑顔で冒険を楽しめます様に』なぁ〜ん」
「叶うと良いわねぇ〜」

「エルさん、ここですよ〜!」
 エルはアロの手が飾り包丁を入れる様子を瞳輝かせて見つめる。
「配膳のお手伝いなら出来るー♪」
 エルはライアが笹で押した寿司を並べ川下りの人々の到着を待つ。舟を降りる者も泳ぎ着いた者も思い思いの場所を選び宴が始まる。
「運動後の酒は最高だよな……」
「よく飲めますねー」
 ゼロがスレイの酌を受ける横でシキヤはぐったり。
「おっしゃ酒飲むぞー」
「かんぱーい♪」
(「こうやって遊ぶのも暫くはお預けか……」)
 『旅団・夢幻のつばさ』の宴会姿を背で隠し、カエサルは笹舟を降りる。
「カエサルさんのお祝いに落ちた星もあると思うです」
 浅瀬に輝く無数の星型を掬い取り結ぶソウェル。
「生まれてくれてありがとうですっ」
「俺、誕生日に無感動だったけど、楽しみになって……それはソウェルや皆のお陰なんだぜ」
 星々が瞬く綺麗な空も幻想的な水面もソウェルの姿も、カエサルには最高の贈物。
 生まれて良かった……有難う、ソウェル。
「星凛祭とは随分違うねぇ……星掬えるよ、ほら」
 川面に映る星に戯れ、レグルスに微笑むアンジェリカ。日常とガラリ変わった雰囲気で乙女アピールされた途端どぼんと水しぶき!
 泳ぎ着いた中州でも乙女の必殺技が。
「あ〜ん♪」
 レグルスに料理を食べさせる。
「星に何お願いしたの?」
「こういうのは秘密にしておくのが良い」
 レグルスはニヤっと楽し気に。上目遣いに睨むアンジェリカの頭をくしゃっと撫でた。
「ご馳走食べにきたー!」
 星の中州に立つミルッヒはパッフィにぎゅむっと抱きつく。羽はふんわり感触。その様子にカレルもレグルスも手がうずうず!
「もふもふしていいかな〜?」
 笑顔で頷くパッフィの羽毛にカレルの手が触れると、とってもふわもこな感触で、ほんわか癒やされる。
 冷製トマトパスタにサラダ、海鮮シチュー……アルトの手料理が並ぶ。
 カルフェアが釣った魚と肉を香草でマリネして焼き上げる。カノンには食べ易く仕上げた特別品を用意して。
「こういうのいいですね、カル」
 アルトが見上げれば星が流れゆく。カルフェアとカノンも居る星空の食卓は掛け替えのない想い出。

●星探し
 美味しい料理を堪能したミルッヒは『彼』に似合う色の星を探す。
 一緒にこの光景を見られずともいつかは。地獄や黒い太陽の憂いなく祭りを楽しめる時が来ればいい。
「何をお願いしました?」
 夜空の瞬きに祈るカレルにイレミアが問う。
「平和な日が来ること。仲間を犠牲にする事なく……ね」
 仲間を誰一人、失わずに。
 星の果物を浮かべたシュワシュワ泡の炭酸水は星空のよう。飲みながらエルとアロは星に願う。
 皆がいつまでも楽しく笑えるよう、大切な人達とずっと一緒にいられるよう。
「……あと身長も」
『藍唄』の仲間はイレミアとスレイ、パッフィを屋形船へ招く。
 再び共に歩む感謝、疲れ様の意を込めロレンツァが乾杯。
「只今」
「おかえりなさい」
 オキの言葉にユウナは応える。オキの傍ではミアも嬉しげで。イブキとロレンツァも静かに微笑を零す。
 彼らの呼声に耳を傾けて良かった――オキも微笑む。
「また皆で遊びに行こうね。約束だよ〜」
 フィーリの微笑に頷いてトワは祈る――このひと時が永遠に友の心に残るよう。
 手伝い済めば浅瀬に泊まる笹舟へ。そこはレンとチハヤだけの宴の場。チハヤが綺麗でレンは酒杯を重ねる。
「顔が真っ赤……どうしたのかなぁん?」
 小首を傾げる仕草も愛しくて。レンは彼女を抱きしめ躯を重ねていた。

●伝えたい事
 綺羅星煌めく微かな光の中、アキトキはユキノに告げる。
 動乱が片付くまで俺が生きていたら、と前置く彼にユキノも頷く。最近の世情が芳しくない事は彼女も判っていた。
「……俺の両親に、一度会いに来てくれないか。紹介したいのでな」
 俺の妻、として。
 アキトキは真摯な眼差しで……頼まれてはくれんか? と問う。頷くユキノは両手で彼の手を包む。
「……私で良いのなら……」
 伝わる互いのぬくもりに、空の星に、大地の星に、誓おう。
 ……必ず、傍に。


マスター:星砂明里 紹介ページ
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雷獣・テルル(a24625)  2009年09月12日 17時  通報
義姉の魔手から逃げ切ったぜー、ざまーみろー
(たぶん後でこってり絞られてます)