【天花】星空より来たる:因縁の果て



<オープニング>


●星空より来たる
 その知らせは唐突にやってきた。
「みんな、大変だよ!」
 インフィニティマインドの神命維持機能に接続し、地獄やドラゴンロードについて霊査を行っていた、ストライダーの霊査士・ルラル(a90014)が、インフィニティマインドの放送装置を利用して、冒険者達に呼びかけたのだ。
「ドラゴンロード・プラネットブレイカーの攻撃が、もうすぐランドアース大陸に降ってくるの!」
 と。

 ルラルの説明によると、ドラゴンロード・プラネットブレイカーは『空の彼方の向こう側』から膨大な魔力を使ってドラゴン化させた多数の隕石を、ランドアース大陸に向けて発射し、全てを滅ぼしてしまう計画を発動させたのだという。
 このドラゴン化した隕石の落下によるダメージは『大神ザウスが使用した空中要塞レアの大陸破壊砲』にも匹敵し、数個落下するだけで大陸の半分が消失する程の威力らしい。

「このプラネットブレイカーの攻撃を阻止できるのは、みんなしかいないの! 迎撃ポイントまでは、ドリル戦艦で送り迎えできるから、隕石の破壊、絶対成功させてね!」
 ルラルはそう言うと、冒険者達に祈るように頭を下げたのだった。

 幸い、隕石はドラゴン化している為、周囲に近づけば『擬似ドラゴン界』を形成して、ドラゴンウォリアー化して戦う事が可能になっている。
 だが、隕石は護衛のドラゴンがいたり、特殊な力を持っていたりする為、任務の達成には困難が伴うに違いなかった。

●因縁の果て
「……何てこと……」
 その事実を知った金髪の霊査士は、冒険者が集まった事にも気付かず、呻くような声を漏らしている。
 不穏な言葉を残して去っただけに、何かしらの攻撃を仕掛けてくると警戒はしていたドラゴンロード・プラネットブレイカー……しかしその攻撃は、隕石をランドアースに落とすという途方もないものだったのだ。それを知った衝撃を気遣い、桜花の医術士・フレア(a90098)は霊査士を労わるように声をかけた。
「大変なことですよね……でも大丈夫ですよ。隕石の落下は必ず食い止めて見せますから」
「……それは勿論のことよ――相手が並の隕石であってもなくてもね」
 ようやく冒険者達に気付いた霊査士ミーティアの、その口ぶりに冒険者達は訝しげに首を傾げる。隕石という途方もない攻撃に、並とか並でないとかいう区別があるのか?
 そんな疑問に答えるかのように、ミーティアは口を開いた。
「あなた達に対処して貰いたいのは、迫り来る白き方舟――ピルグリムシップよ」

 それはランドアースに災いを齎し、今は討ち果たされた筈の白き災厄の名。
 しかし、プラネットブレイカーのいる『空の彼方の向こう側』の世界には、漂流するピルグリムシップが残っていたのだ。それがドラゴンロードの力によりドラゴン化し、ランドアースへ向けて飛来する。
「巨大なピルグリムシップが落下すれば、それだけでも被害は甚大になるわ。けれどそれだけじゃない……シップの内部には数多のピルグリムがいる。もし落下したら、そいつらが飛び散って――再び世界はピルグリムの災厄に見舞われるでしょうね」
 しかも、ピルグリムシップはそれ自体が数多のピルグリムの融合によって出来た、外部からの攻撃だけではほぼ滅ぼせない存在。この状況にあっては最悪の敵と言いたくもなる。
 対処法はただ一つ。ピルグリムシップの体内に突入し、ピルグリムシップを形作る融合したピルグリム達の中枢を破壊するのだ。落下を続けるドラゴン化したピルグリムシップを、擬似ドラゴン界に取り込める同盟の冒険者達にしか、この作戦は果たしえない。
 勿論、内部のピルグリム達が世界に解き放たれては拙い以上、全てのピルグリムを確実に潰し切る必要もあるだろう。
「通常のピルグリム達自体は、ドラゴンウォリアーとなったあなた達にとっては脅威にはならないでしょう。でも中枢との戦いは別よ。ドラゴン化したシップの中枢は、紛れもなくドラゴン並みの攻撃能力を持っているからね」
 シップの体内の奥の奥、大きな広間が冒険者達を待ち構える。壁面から伸びる腕や触手、放たれる雷や衝撃波、爆発……その全てが桁違いの殺傷力を持ち、それらの嵐のような攻撃の中、どこかに中枢は隠されているのだ。
 倒し切れずに敗北し、擬似ドラゴン界が解除されるような事があれば……シップに乗り込んだ冒険者達の脱出は勿論間に合わず、落下するピルグリムシップは悲惨な被害を齎すだろう。
「……敗れる訳には行きませんね。絶対に」
 フレアの声に覚悟が滲む。かつて訪れた天上の世界で関わった戦い、終わった筈だった因縁を思えば、この戦いを見て見ぬ振りは出来ないのだろう。
 彼女の言葉に頷きあう冒険者達を見渡し……霊査士は頭を下げた。
「危険で、困難な戦いになるかも知れない。けれどこの戦いには決して負けられない。必ず――絶対に勝って、帰って来て頂戴。……約束よ」


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参加者
幸せを望む歌い手・リフィア(a04222)
蜜色の光を擁く月・アンナ(a07431)
金色夜想・トート(a09725)
彷徨猟兵・ザルフィン(a12274)
蒼輝神翼・ユウリ(a18708)
風の翼・リア(a45123)
黒豹・ジロー(a66109)
太陽と大地の狭間に・ミシャエラ(a66246)
消え逝く緑・フィルメイア(a67175)

NPC:桜花の医術士・フレア(a90098)



<リプレイ>

●時は来たれり
 空の高みを目指して舞い上がるドリル戦艦の数々。
 その内の一隻の艦橋で、彷徨猟兵・ザルフィン(a12274)は肩を竦めて軽口を叩いていた。
「星凛祭が無いのはチト寂しいなとは思っていたが……また随分とご大層な星祭だな」
「全く、洒落にならない事してくれるわね」
 プラネットブレイカーの攻撃の深刻さを思い、そう呟いたのは青玉の娘・フィルメイア(a67175)。隕石を一つ取り逃すだけでも大惨事は確定、しかも今から迎え撃つ相手はあのピルグリムなのだ。失敗は許されない……そう思いつつ、案ずるような視線を桜花の医術士・フレア(a90098)へと向けてしまうのは内心の不安故だろうか?
 意識を引き戻したのは、蒼輝神翼・ユウリ(a18708)達の声だった。
「滅んだ筈だった白い災厄、ピルグリム……空の向こうにはまだ残っていたのね」
「今尚多くの謎が残されたままでございましたが、やはり空の果てからの招かれざる来訪者でしたか」
 蜜色の光を擁く月・アンナ(a07431)が空の彼方を見据えて言う。思えばホワイトガーデンの護衛士として、連中とは長く関わってきたものだ。その果てに脅威は払われた筈だったのに……つくづく出鱈目な相手とでも言おうか。
「ピルグリムの船再びか……だが、何度でも沈めてやるさ」
 紫煙を吐き出し、黒豹・ジロー(a66109)が煙草を揉み消すのを見計らったかのように、操縦士のタロスの声が響いた。
「間もなく迎撃ポイントです!」
 見上げれば、まだ小さく見える白い塊の姿。
 ――行こう。冒険者達は顔を見合わせ、頷き合った。

 擬似ドラゴン界を展開した次の瞬間、先刻まで戦艦の中に居た冒険者達は宙を舞っていた。
 天に見上げる敵の姿は次第に大きくなってくる。無事にこちらの領域に引き込めた事に安堵している時間は無い。下方遠く遥かに見える自分達の世界へ、あの方舟を二度と降ろさせる訳には行かないのだ。少しでも高い位置で敵を迎え撃つべく、冒険者達は更に上昇する。
 先に待つのは命の保障の無い戦い。無事には戻れぬ運命を囁くかのように、高速で遠ざかる母なる大地。……ふと、不安に揺れる瞳を眼下へ向けたフレアの手が、そっと温もりに包まれる。
「大丈夫ですよ」
 幸せを望む歌い手・リフィア(a04222)の優しい微笑がすぐ傍にあった。
「過去の災厄を再び起こしてはいけない……今はただ、目の前の事を考えましょう?」
「――ええ」
 頷き合い、手を繋ぎ合って、二人は空を翔け上がる。……この温もりがあれば、きっと何も怖くない。

 ぐんぐん近付いてくるピルグリムシップの威容は、ドラゴンウォリアーとなった冒険者達に対しても以前と変わらぬ威圧感を与えてくる。一度経験した相手だがドラゴン化し強化されている分、力関係は以前と同様か、それとも以前より分が悪くなっているのか。
 だが、怯む訳には行かない。
「再度地上へ降ろす訳にはいかないわ」
 何処が破りやすいかと吟味する暇は無い。太陽と大地の狭間に・ミシャエラ(a66246)のガトリングアローが、まず方舟の側壁を貫いた。
「手前らの居場所なんざ、もうあの大地の何処にも無ぇよ!」
 金色夜想・トート(a09725)の飛燕連撃が続けて矢の傷跡を穿って広げ、続け様に冒険者達の攻撃が殺到する。開いた傷を少しずつ修復しようとする速さをものともせず、黒炎や矢が、斬撃が壁を崩していく。
「何度来ても同じ事だ。何度でも潰してやる……それを思い知らせてやる!」
 そして、告命天使・リア(a45123)の戦斧から放たれた鎧砕きの一撃が、壁面を大きく切り崩した。
 その向こうに見えるのは薄気味悪いピルグリムの回廊。だが怖気付く者はない。その先に待つ難敵を目指し、10人は大敵の胎内へと飛び込んでいく……。

 通路の壁を形作るピルグリムは薄く光るものの、そのままでは薄暗くて先が見辛く、結局フィルメイアのホーリーライトが通路を照らし出していた。
 ピルグリムが光をどれ程感知しているのかは分からないが……ともすれば敵に対し、侵入者の居所を知らせる事にも繋がろう。以前の戦いではそれは恐ろしい事だったが、今回は違う。
「こっちよ……そう、もっと来なさい」
 通路を埋めるように前から迫り来るピルグリムを見やりながら、彼女は薄らと笑みさえ浮かべていた。
「……今!」
 最前列のピルグリムの触手がもうすぐ届くかという瞬間になって、彼女の鋭い声が飛ぶ。それと同時に、ピルグリムの群れにミシャエラのジャスティスレインが降り注いだ。矢を浴びたピルグリムが次々に弾け飛んでいく。
 それを免れた者はリフィアのエンブレムシャワーに打ち砕かれ、残る者も冒険者達の攻撃の前に容易く倒されていく。
「後ろからも来ているぞ!」
「任せて」
 挟み撃ちの格好で後方からも迫り来るピルグリムに気付いた仲間の声に反応し、ユウリが後方へとジャスティスレインを放つ。牙狩人二人が背中合わせに立てば死角はなく、ピルグリム達は次々に倒れ伏していく。
 油断さえしなければ、ドラゴンウォリアーの圧倒的な攻撃力の前に、今やただのピルグリム達は物の数では無いのだ。これが以前とは違う冒険者側の優位。尤も、討ち漏らしを一匹たりとも出せない事が枷にはなるが。
 それよりも、狭く曲がりくねった通路の構造の方が悩みの種と言えた。先も見通せないため敵を探し難いだけでなく、急がねばならないこの時にドラゴンウォリアーの高速飛行能力が活かし辛いのだ。道の複雑さも相変わらずで、要所要所に目印を刻んではいるものの、今どの辺りに居るのかは皆目分からない。
 そして、敵も全てが全て楽勝という訳ではない。

 ピルグリム達を倒しながら通路を駆け抜けていく冒険者達の前方から、電撃が襲い掛かってきた。
「今度は融合型か……!」
 リアが見据える通路の先から姿を現したのは、触手に稲妻を纏わせた融合型ピルグリムと、それに付き従う大勢のピルグリムだった。融合型から与えられたダメージは然程軽くもなく、やはりドラゴン化したシップの影響で強くなっている事を伺うかがわせる。が、ここで足を止める事は出来ない。
「やるぞ!」
 トートが粘り蜘蛛糸をピルグリムに向けて放つと同時に一対の戦斧が舞い、受け止めようとした融合型の触手を切り払う。
 更にアンナの回復術を待って繰り出されたジローのブラッディエッジが鋭く閃き、融合型の頭部を刎ねた。常に容易く行く訳ではないが、ドラゴンウォリアーの攻撃を数撃重ねれば、強化された融合型といえども耐えられないという事だ。
 しかし、その分進む速度が抑えられてしまうのも事実。あるいは敵は、本能的に足止めを狙っているのか? 中枢への到達を遅らせ、新天地への降下の時間を稼ぐ為に。
「だとしても受け入れられんな。悪いがここは俺達の都合を押し通させて貰おう」
 蜘蛛糸に絡められたピルグリム達に向かい、ザルフィンが流水撃を繰り出した。成す術もなく薙ぎ払われ、弾け飛ぶ白い異形達。かつてのホワイトガーデンの惨劇を思えば、何とあっけない最期を迎えて行くのだろう。
 だが、真の難敵は切り開かれた道の先に。

 ……そして、彼らは舞台に辿り着く。

●未来を賭けて
 リフィアやアンナ、フィルメイアらの黒炎覚醒と、リアのウェポン・オーバードライブの発動を待って、いよいよ踏み込んだ中枢部はやはり――相変わらず不気味な場所だった。
 淡い光が明滅する壁の一面に、複眼や触手、岩肌や羽の皮といったピルグリムの名残が縺れ合い、心臓の鼓動を思わせるように妖しく脈動を繰り返す。
「出来れば、二度も乗り込みたくなかったが……」
 顔を顰めたリアの言葉は、この場に居る冒険者達全員の素直な気持ちであっただろう。嫌だからと言うよりも、もうピルグリムの災厄は御免だという意味で。しかし、それならば降りかかる滅びは打ち破るしかない。
 それが分かっているから、彼らは今ここに居るのだ。
「……やるわよ。覚悟はいい?」
 問いかけた言葉に一同が頷くのを感じ取り、フィルメイアは美しい術手袋に覆われたその手を高く翳し、振り下ろした。
 隠された中枢を炙り出すべく、前方目掛け、溢れるように殺到する針の嵐が壁を撃つ。と……一瞬静まった壁の脈動が、広間全体を揺るがすようなうねりとなる。
「来る!」
 ドバッと音を立てて、うねる壁面から飛び出した幾本もの触手が襲い掛かってきた。
 それに怯まず、今度はミシャエラとユウリが同時にジャスティスレインを放つ。死角を消すように背中合わせになった二人の放った矢は広間の壁を隈なく抉り――その分、返ってくる反撃もすさまじい。
 飛び出した腕が、触手が冒険者達を薙ぎ払い、難を逃れた者を電撃が狙う。広間に立ち込めるのは、以前とは比べ物にならない殺気。一撃のダメージも大きく、一つ間違えばこの時点で敗北さえ見えたかもしれない。
 だがリフィアは以前の戦いの経験から、この局面を予め読み切っていた。
「焦らないで。フレアさんは皆さんへの加護を」
「ええ」
 寄り添って立つ吟遊詩人と医術士の術が戦線を守っていた。高らかな凱歌が仲間の傷を癒すと同時に、呼び出された護りの天使達の加護が全員に与えられる。
 そして、そんな彼女達を狙う攻撃はトートが許さない。壁から飛び出した触手が襲い来れば、射線を遮るように身を割り込ませ砂礫衝で吹き飛ばす。過去の経験が冒険者達の足場をしっかりと固めていたのだ。

 とはいえこのままでは倒し切れない相手。繰り返し放たれる範囲攻撃が壁を打ち据える中、中枢の在処を求め、うねる広間の様子に気を配っていたジローがその目を細める。
「床、か……?」
 守るべき物を庇う時、生命は本能的に反応が過敏になる。だとすれば……反撃の激しさに隠れ、覆い尽くさんばかりに触手を伸ばした場所が本命。
「あれだ、あの触手に覆われた床面を撃て!」
「おう!」
 指差された場所へ向け、ザルフィンがここまで温存してきたサンダークラッシュを放つ。その一撃は触手を突き破り、床の中へと吸い込まれ……。
『……!』
 声にならぬ、悲鳴のような音と共に床が裂け――そしてそこから現れたのは。
「これが、このピルグリムシップの中枢……」
 巨大なピルグリム、と言うべきだろうか。胸から上だけ床から突き出た体が天井まで届き。いまだ床に埋まっていた両腕を引き抜き、背の翼を大きく広げ……圧倒するような巨躯から冒険者達を見下ろす、その複眼が妖しく光る。
「来ます……!」
 襲い来る攻撃の予感に身を硬くし、アンナがすぐさま回復に回れるよう両手杖『蜜月』を構えたその時。

『――!!!』

 轟、と空気を鳴らし、広間の中をかつてない威力の衝撃波が駆け巡った。
 その瞬間、弾き飛ばされた冒険者達の体は宙を滅茶苦茶に舞い、壁面に叩きつけられていた。その威力の前では、おそらく並の冒険者達のままだったなら細切れの肉片に千切れ飛んでいたであろう。
 このまま意識を手放してしまいたくなる誘惑に耐え、リフィアが立ち上がれたのは、共に吹き飛ばされた時無意識に繋いだ、親友の手の温もりのおかげだった。ここで倒れる訳には行かない。潰れそうな声を振り絞って高らかな凱歌を歌い始め――その健気な肢体めがけ、中枢ピルグリムは無慈悲に巨腕を振り上げた。
 回避は間に合わない。ああ、ここで私達は終わるのか――込み上げる絶望的な思いに繋いだ手を握り締め、それでも歌を止めない彼女に死神の手が迫る。
 しかし。
「させない!」
 光の軌跡を描いて巨腕に突き立った雷の矢が、中枢の攻撃の手を一瞬止める。
 それは、ユウリの想いを乗せた一矢。以前の戦いでは命など惜しまなかった。けれど温もりを取り戻した今の彼女には、帰りを待つ人が居て、未来への希望を背負っている。仲間達の未来を信じられる、だからこそ。
「私は死なない。そして……もう誰も死なせない。今度こそ、因縁を断ち切ってやるわ」
「ええ……誰の命も渡しはしません。いい加減、お引取り願いましょう」
 体勢を整え『蜜月』を振るったアンナから広がる癒しの波動が、凱歌と共に冒険者達の酷く傷ついた体を癒し、活力を取り戻させる。
 そして立ち上がった冒険者達は、各々の得物を構え中枢ピルグリムと向かい合う。
「もう十分付き合ったでしょ……あるべき処にお帰り!」
 苦々しく言い放ち、ミシャエラがガトリングアローを放つ。その矢が引き金となって全てが動き出す。
「二度とホワイトガーデンの悲劇を繰り返させはせん」
「どうせ空の向こうの世界でも災厄を振り撒いてきたんだろう? 容赦はせんよ」
 リアとザルフィンのサンダークラッシュが中枢ピルグリムを直撃し。
「腐れ縁にももう飽き飽きだよ。この因縁、今度こそ終わらせよう!」
 トートの放つ飛燕連撃が、稲妻の駆け巡る敵の体を更に抉る。
 グリモアエフェクトの無い戦いとはいえ、絶大な破壊力の攻撃を何度も重ねれば中枢と言えど耐え切れはしない。少しずつ削れて行く巨躯の姿が、近付く終焉を感じさせていく。
 勿論敵も黙ってはやられない。この期で頼るのはやはり必殺の衝撃波……来る事が分かって防御しても凄まじいダメージを免れない。
 だがしかし。護りの天使達がギリギリの所で意識を繋ぎ止め、フィルメイアのヒーリングウェーブが傷を癒し立ち上がらせる。
 誰も諦めない。屈しない。気力を振り絞り攻撃を重ね追い詰める。
 それは来訪者には無い、未来を切望する人間の力だった。

 故に。
 未来を切り開く意思の前に敵が打ち破られるのは、ある意味必然だったのだろう。

●帰還
 ピルグリムシップは崩れ去った。
 内部に居たピルグリム達は流石に多かったものの、中枢戦後もまだまともに動けたリアやザルフィン、アンナ達を中心とした冒険者達によって掃討され……連中もドラゴン化の影響は受けていたのだろう、その全滅を以って擬似ドラゴン界は消滅した。
 災厄は打ち破られた。戦果を纏めればそう言えただろう。
 だが、中枢との戦いで度重なる衝撃波により冒険者達が負った傷も相当に重く、ユウリやミシャエラ、トートやジローといった面々も今や、大陸に帰還する戦艦の艦橋でへたり込んでいる。
 正直辛い戦いだった。何かが掛け違っていれば犠牲者が出ていてもおかしく無かっただろう。
 そして、戦いはまだ終わらない。プラネットブレイカーやゾフィラーガ・ヴァンダルとの決戦という、最大の難題がすぐ先に待っているのだ。
 けれど――。

 勝利の喜びに溢れる艦橋の片隅で、労わり、温もりを求め合うように――リフィアとフレアが、抱き締め合っていた。
 それを見てフィルメイアは薄く笑う。キマイラ達との戦いで負った心の傷の影響を心配していたのだが……あの様子なら、もう案ずる必要はないらしい。

 ――今はただ、この世界を守れた事を素直に喜び合えばいい。
 きっと、戦いの果てには新たなる未来が拓かれると信じて……。


マスター:御司俊 紹介ページ
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