ドラゴン掃討:復讐の女神、かく語りき



<オープニング>


●ドラゴン掃討
 ゾフィラーガ・ヴァンダルから魔石のグリモアを託され、地獄の全てを統合して強大な力を得た王妃との戦いに、ドラゴンウォリアー達は勝利した。
 そして、全てを飲み込まんと迫り来る『絶望』を、溢れんばかりの『希望』と共に打ち破ったドラゴンウォリアー達は、インフィニティマインドと共に、地上へと帰還した。
 大きな脅威が過ぎ去り、戦いは終わったのだ。

「ですが、冒険者のなすべき事が、すべて片付いた訳ではありません」
 エルフの霊査士・ユリシア(a90011)は、改まってそう冒険者達に告げた。
「円卓の間で話し合われた『解決すべき案件』は、まだ多くが未解決なのですから」と。

「最優先順位であった『魔石のグリモアの剣の探索』は完了しました。次に優先順位の高かった『地獄への対応』も、結果的に完了したと言って良いでしょう。つまり、我々が次にすべき事は、3番目に優先順位の高かった案件……つまり『ドラゴン、ドラグナーの発見と、その討伐』です」
 インフィニティマインドがあれば、擬似ドラゴン界を使うことなくドラゴンウォリアーになれる。
 つまり、大勢で一気にドラゴンやドラグナー達を掃討する事が可能なのだ。
「ドラゴンに関しては、すでにルラルさんの超霊視によって、すべての所在が判明しています」
 ドラグナーに関しては数が多いため、もう少し時間が掛かりそうとの事だが、そちらも全容が明らかになり次第、すぐに掃討作戦が決行されるとの事だ。

「あとは、倒すだけで良いのです。この世界からドラゴンの脅威を完全に払拭しましょう」
 その為の作戦に、どうか皆様の力をお貸しくださいと、ユリシアは深々と頭を下げた。

●復讐の女神、かく語りき
 エルフの霊査士・マデリン(a90181)はかつてコルドフリード大陸があった場所の近く、その深海に潜むドラゴン達を掃討して欲しいと言った。
「わたくし、彼のドラゴンたちには多少の借りがありますの。とてもではありませんけれど、彼らをこのまま安穏と眠らせ、力を蓄えさせるわけにはいきませんわ」
 口元には淡い微笑みが浮かんでいるが、マデリンの目は少しも笑っていない。

 遠く北の海に大きな氷の大陸、コルドフリード大陸があるかもしれない……北方セイレーンからもたらされた不確かな情報により、ごく少数の冒険者様を募って特務部隊が結成されたのはもう1年半前の事だった。巨大な帆船を駆り、漂流するタロスを助け……そしてコルドフリード大陸がドラゴンロードに蹂躙されつつあることを知った。特務部隊は魂の石を奪い飛行遺跡で帰還したが、それはいつも死と隣合わせの危険な日々だった。

「皆様はインフィニティマインドの影響下にありますから、ドラゴンウォリアーとなってドラゴン達と深海で戦っていただきますわ」
 マデリンの霊査によれば、長い間の地殻変動によるものなのか海底部分は巨大なアーチ型の橋の様になっていて、それが幾重にも重なり複雑な地形となっている。その橋桁の根本付近に沢山のドラゴンが潜んでいるのだ。
「このドラゴン達はブックドミネータの配下としてかつてのコルドフリード大陸を蹂躙した者達です。特にこの場所に潜む者達は比較的小柄で、子供の様に残忍残酷な者達が多い様です。牙狩人の長い射程から魔炎や魔氷の効果を持つ攻撃を好む者が多いですわ。比較的単独行動を好み、自分の活躍や手柄というものに執着しますわ」
 当然組織だった行動をとることはなく、戦況を見極め敵の弱い者、部隊から離れた者などを狙って屠ろうとする。反面、戦況が思わしくないと判断すればすぐに逃走してしまう事も十分にあり得る事態だ。

「デュンエンさんは最近とても忙しいんですの。仕方ありませんから、アロンさん、皆様と一緒に海に潜っていただけますわよね」
「……わかった。俺でよければ同行しよう」
「結構ですわ」
 否とは言わさないマデリンの気迫に碧水晶の吟遊詩人・アロン(a90180)はうなずくより他に術がない。

「完全なる平和を臨む世界に禍根となるだろうドラゴンなど1体たりとも要りませんわ。皆様の手で、ドラゴンウォリアーの力で北の海に潜む悪しきヒト族の末裔を倒して下さいませ」
 マデリンは一礼した。


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参加者
NPC:碧水晶の吟遊詩人・アロン(a90180)



<リプレイ>

●凍てつく海
「一面氷の世界って、圧巻だねぇ」
 不移黎明・クロノス(a33979)は感嘆の声をあげた。言葉の通り、ランドアース大陸不付近では見ることの出来ない、非情で美しい氷の世界だ。そして今のクロノスもまた、氷の化身の様に見事な銀髪をなびかせている。
 凍える北の海にドラゴンウォリアー達は次々と消えていく。それをひとしきり眺めていた氷剣探求者・ニール(a66528)は後頭部を掻いた。
「海入っちゃうんですか? 寒そうですね……」
 本能的に危機を察知してしまうのか、入念に準備運動はするがなかなか突入の踏ん切りがつかない。

 暗い海の奥深く進んでいくと大きな岩が幾重に交差している不思議な光景が見えてくる。その岩の根本へと黒影の聖騎士・ジョルディ(a58611)は仲間達と一緒に潜行していた。光の差さない薄暮の中に巨体を横たえるドラゴン達の姿が次第に浮かんでくる。
「……ん?」
 その中の一体が顔をあげた。こちらに気が付いてすぐに身体を揺らして迫って来た。
「来い!」
 鬱金色に輝くジョルディは頑強な面の奥から短い言葉を紡ぐ。召喚獣と融合したジョルディは反転すると凄まじい速度で海面へと駆ける。
「……借りっつか、まぁ女にイイ思いさせんのは男の役目、だろ?」
 火の・ハンソー(a22844)は誰に聞かせるでもなく、やや照れくさそうに低くつぶやいた。遙か下方にはドラゴン達が横たわっている。
「覚悟してください」
 白銀の山嶺・フォーネ(a11250)は無防備に姿をドラゴンの前に現した。ウサギの様な長く愛らしい耳を表ししたフォーネの姿は、力強さよりも可憐さが際だつ。
「こんな場所に虫けらが?」
 ドラゴンは不審そうにつぶやくが、フォーネが身を翻すとこれも追いかけてきた。

「一匹も討ち漏らすこと無く、マデリンさんの復讐とやら、成就させてみせましょう」
 春待歌・サリエット(a51460)はつぶやく。普段よりも心持ちその長い髪は沈んだ色合いに映るけれど、ドリアッドとしての特徴は少しも損なわれていない。
 鮮やかな赤の防具をより強化した真紅の風の自由戦士・ラムナ(a41962)は、同じく背に純白の翼を広げた逆十字の白術師・ライ(a51231)と付かず離れず、深い海底で戦っていた。ライの深い森の奥にひっそりと、そして滾々と水をたたえる泉の様な優しく麗しい瞳に、今は厳しさが宿る。
「ライ!」
「はい、ラムナさん」
 息の合った絶妙な攻撃、離脱、弧を描いて体勢を立て直す様子に言葉は要らない。視線を、そして仕草を見れば次に何をしようとしているのか感じる事が出来る。
「なんだと?!」
 ライが放った光の槍に貫かれ、ドラゴンの動きが精彩を欠く。
「私を医術士と見て侮りましたね……」
「邪に染まりし貴様らに未来を生きる権利はない。消え失せろ!」
 ライの真紅の剣がひるんだドラゴンを斬りつけた。

「ではこの深海をドラゴン終焉の地にするでござるかな」
 金剛を目指す・ヒイラギ(a49737)は黄金の髪から獣の耳を露わにしていた。褐色の肌には黄金の瞳もよく似合い、力強くも美しい。
「すっかり変わりましたね」
 降りそそぐ木漏れ日・スタイン(a04948)はつぶやく。暗い北の海だが、コルドフリード大陸があればもっと暗かったのだろう。今は目立たない程度に死の恐怖・シオン(a16982)の頭上で輝く光がもう1つの太陽の様に水の中で揺れている。
「もう一度、ここでドラゴンと相まみえる事になるとはね」
 青紫の長い髪、黄金の瞳に変化したシオンには一言では言い表せない想いがある。
「ようやく……だな」
 感慨深そうに不羈の剣・ドライザム(a67714)もつぶやいた。かつて仲間を失い、多くのタロス達さえも犠牲にして勝機を得た。感謝と慚愧……この想いをドラゴンのいない世界を創ることで報いたい。
「あの時とは違います。借り……利息とともにたっぷりと返済させていただきますのよ」
 白骨の様に禍々しくも白く美しい髪に彩られた夏休みは昆虫採集・チグユーノ(a27747)は凄絶になる一歩手前の笑みを硬質な頬に浮かべる。
「あぁ……今度はもう、逃げん」
 青という色が人の形を取ったかのような姿に変じた誇鋼の騎士・セレナード(a65333)は厳しい表情のまま言う。懐かしき氷雪の世界……あの旅からどれ程の時が経ったとしても、借りも奴らに返さねばならない。
「未来に進むために必要なら……過去のしがらみに拘るということにもなにがしかの価値があるのだろうが……まぁ手早く片づけておきたいところだな」
 水の中でも燃えさかる黒い炎をまといつつ、探索士・エルヴィン(a36202)は迫り来るドラゴンを凝視しつつそっとつぶやく。
「……そろそろだよ。絶対に倒すからね」
 天藍閃耀・リオネル(a12301)はそっと水の振動をたてないよう移動し始める。同時に気配を殺していたドラゴンウォリアー達も動き出す。
 その途端、囮役の少女が颯爽と反転し、素早い動作でアビリティの矢を放つ。勿論それはドラゴンウォリアー、淡い薔薇色の長い髪を緩やかに広げ、鮮やかな青いリボンを結んだ泡箱・キヤカ(a37593)であった。
「すぐに逃げ出すなんて子供じみたこと、しないよね」
 牽制するようなキヤカの言葉にドラゴンは怒りを見せる。だが、更に凄まじい衝撃波が不自然な体勢のままだったドラゴンを圧倒し強靱な鱗を切り裂いていく。
「残念ですがあなたの逃走経路は全て封じる予定です。時間の無駄ですので、残留いただきたいと思います」
 氷雪神かのような冷たく美しく姿に変じた白氷の細剣・ヘルムウィーゲ(a43608)の周囲を、強くしなやかな剛糸が装飾品の様に舞う。この間隙を縫い、迅速にドラゴン包囲網を完成させたセレナードはすぐに攻撃に出た。
「この場にいない者達と帰らなかった仲間、そして私の怒りをその身に刻め」
 血潮が凝ったかのような華やかで禍々しい剣がドラゴンを飴の様に切りつけていく。ドライザムの血潮が体中を巡っている。苦しい程に鼓動が高鳴り、抑えがたい戦いの衝動をギリギリまで引き絞り……渾身の力で重すぎる剣を無造作に振るった。半壊しつつあったドラゴンの右半身がひしゃげるように破壊される。
「忘れられないさ、仲間達との日々を。仲間達と戦った時を!」
「そのドラゴン、射抜きます! 総攻撃お願いします!」
 艶やかな銀の髪、獣の耳を生やした瑠璃色の魂抱く大地の守護者・ペルレ(a48825)が後方から鋭い声を発する。闇色の矢が水をものともせずに真っ直ぐに飛び、ドラゴンの巨大な翼に大穴をあけた。
「貴様らぁあああ!」
 憤怒のドラゴンが巨体を使って体当たりを慣行する。水圧と爪が周囲を席巻するが、それだけではドラゴンウォリアーを傷つけることは出来ても圧倒出来ない。
「無防備すぎるね」
「なんだとう?」
 闇の闘気を秘めたリオネルの剛糸が海中を乱舞する。死角から放たれた鋭利なる攻撃が巨大で頑強なドラゴンの前腕をあっさりと落とす。絶叫と悲鳴、2つの切り口から縮れる赤い糸の様な血潮が大量に流出する。
「この場所なら……」
 華やかな花は同じながらも、淡い瞳の色は普段のスタインとは違う。その目をそっと閉じると身体から優しく美しい金色の波が冷たい海中に広がっていく。
「カミィィィングッ!! きっちり3倍返しで追いかけまわしてやるから覚悟して頂戴な!」
 黒い炎に包まれた異風の叫奏者・ガマレイ(a46694)から、その炎が生きているかのように伸び、炎の鞭がドラゴンを強打した。
「まだまだぁああ!」
 ガマレイの叫ぶような歌は止まらない。今も脳裏に浮かぶのは帰って来なかった仲間の姿。この海のどこかに、この世界のどこかに魂はあるのだろうか。ツンと鼻の奥に痛みを感じてガマレイは顔を乱暴に振った。
「さぁ! 次々ドラゴンをぶっ倒すわよぉおおおおぉぉ!」
 渾身の叫びは音楽となり、北の冷たい海中で戦う仲間達を奮い立たせ傷を癒す。
 瀕死のドラゴンは敗走を始めた。
「逃がしません!」
「どけぇ!」
 闇雲に振り回される巨大な爪を金髪のリオネルは武器を交差させてがっちり受け止める。ペルレが回り込むのとほぼ同時にリオネルもドラゴンの退路を断つ様に動いていた。『声』が皆の心に響いていたのだろう。シオンとチグユーノの二色の炎にドラゴンは力尽き、巨大なボロ切れの様になって海面へと浮かんでいく。
「次ですね」
「はい」
「行って来ます〜」
「……私も行きます」
 もうキヤカとヘルムウィーゲは別のドラゴンを誘うべく、下へ下へと泳ぎ出す。

 囮の者達の陽動にまんまとひっかかったドラゴンはなんの警戒もせずに上昇しつつ間合いを詰めてくる。
 優しい栗色の髪をなびかせ、穏かに流れ往く・マシェル(a45669)もまた、冷たく暗い海中での戦いに身を置いていた。純白の翼はないが海の中を移動するのに不自由はない。すぐ目の前には黄金の髪が七色の花冠で彩られ、透き通る蒼蔦をその身にからませた七色の花冠・リヴィートゥカ(a71397)がいる。マシェルの足下から伸びる虚無の手、そしてリヴィートカが振るう薔薇色の双斧からは稲光がほとばしる。
「マシェルさんはリヴィがお護ります、背中お願いしますね」
「はい、リヴィさんの背中は大丈夫、任せて下さい……思いっきり行きましょう!」
 移動しつつ背中合わせになって戦う2人にドラゴンの長く強靱な尾が襲う。だが、これは月華蝶・ヘキ(a66086)のツインサーベルに阻まれ、見当違いの方へと押しやられてしまう。
「ヘキさんありがとうございます」
 礼を言うマシェルに長い銀色の髪を後頭部で縛り、華やかに装うヘキは淑やかに目顔でうなずく。
「お嬢様、お召し物が……」
 ヘキは素早くリヴィートカの衣の裾を直して姿勢を正す。
「下を見てヘキ……ドラゴンは幾らでもいるわ。それでも私を助けてくれる?」
「無論にございます、お嬢様。我が身命を賭してお傍に」
「ちょこまかとこざかしい!」
 ドラゴンの怒声が水を伝わって響く。だが、3人は互いに入れ替わり突出しては後退を繰り返してドラゴンを翻弄する。

 野良ドリアッド・カロア(a27766)と銀蟾・カルア(a28603)の義姉弟、そして2人の秘蔵っ子である小さな海・ユユ(a39253)はきびきびとした動作で冷たく暗い深海の戦場を駆けていた。カルアの胸に消えない想い……それはこの地で背負ってしまった借り。けれどカロアとユユはほんの少しだけ嬉しかった。些細な消息さえ知り得ず心配ばかりしていた日々は辛かった。ここは厳しい戦場だけど大切な人がいる。伸ばした手の先はその人に届く。やっと一緒に戦えるのだ。守護の天使を喚んだ後、カロアは彩りを変える銀の髪をなびかせ戦況に応じて白銀の杖を振るう。だが、カロアと敵との間には常に鈍い銀色の襤褸をまとったカルアがいて、少々やりにくい。
「むむ、おねーちゃんの活躍を妬む気ですか?」
「なわけねぇだろ! ドラゴンなんかにやられないよう頼れる俺様が状況見てんだろうが!」
「うん、カルアちゃんもカロアちゃんもすっごく頼れる冒険者なんだよ」
 後方からユユの矢が2人の身体をすり抜けるように降り注ぎ、肉薄していたドラゴン達にガシガシ命中する。小さな蒲公英が身体の周囲を舞うユユはニコッと笑った。
「一緒なら無敵なんだよ。なんだって、どこまでだって頑張れるんだよ」
「……そうですね、ユユちゃん」
「あぁ……じゃあ行くぞ」
「はい」
「うん!」
 襤褸を舞い散らせてカルアが真鍮色の剛糸を振るい、カロアの杖が衝撃波を走らせる。併走するようにユユの矢が水を切り裂きドラゴンを貫いた。

 天地に響く歌声と咆哮・フローラ(a58965)は、予定よりも早くドラゴンウォリアーの力を解放していた。陽光もささない深海よりも尚深い闇が凝ったかのような姿に変化していた。敵を屠る破壊の女神、とでも名付けたくなるような恐ろしいが高貴で威厳のある姿だ。
「来ましたね……」
 更に闇の炎をまとったフローラは柔らかくみずみずしい花弁の様な唇を開く。
「跡形もなくこの世から消し去って差し上げますわ」
 海中でも滞りなく飛ぶ燃えさかる火球が囮を追ってきたドラゴンの出鼻をくじく。
 『星旅』のメンバーはほぼ一丸となって戦場を駆けていた。
「深海、かー ドラゴンウォリアーでもない限り見る機会もあまりないよね」
 感慨深げに朝影の韻律・ツヅ(a47728)はつぶやく。初めて見るこの光景、初めての戦場だが不安はない。それはきっと、仲間と一緒だからだろう。
 淡いホーリーライトの輝きが暗い海中を照らしている。それでもドラゴンの標的にならないよう、黒い炎に守られた空気は読まない・レジィ(a18041)は光量に気を遣っていた。
「いいかげん、決着つけないとねー」
 不倶戴天の敵、そんな存在は悲しい……けれど、今更詮無い事でもある。
「……今、この場所に絶対に護りたい人がいるんだ」
 玄天卿・クリス(a73696)の落ち着いた漆黒の羽根は輝く白に変わり、夏の海の様に鮮やかな蒼は血の色に変わっている。
 武器の強化を終えていた弓使い・ユリア(a41874)は後方から迫るドラゴンへと慎重に狙いを定める。
「ふぁいぇぇぇぇぇーるッ!!!!」
 ユリアの号令に皆が一斉に攻撃を行う。素早い所作で矢が次々と繰り出されていく。
「トワ! しくじるんじゃねぇぞ!?」
 鮮やかな金色の髪に、一房銀の彩りを乗せた星喰らう蒼き闇・ラス(a52420)が相棒に吠える。
「あたりまえだ、ラス! 未来に向けての大掃除だ!」
 頭上の光と黒炎に包まれた姿の天に抗う誓約者・トワイライト(a43304)は身の丈ほどもある長い髪を振り、燃えさかる炎の球をドラゴンに投げつけ、それをかいくぐる様に突進したラスの剣が海中に幻の花を咲かせる。
「平和のため、未来のために!」
 残像を水の中に残しつつ、素早く移動しツヅの銀槍がドラゴンを叩き、水の中でも消えないレジィの火球が迫るドラゴンの前肢を焼く。
 あわてて反転しようとするドラゴンにも攻撃は容赦なく向けられる。
「逃すかよ!てめぇら一匹残らず消えて無くなりやがれ!」
 トワイライトの身体から黒い炎が伸びて撃つ。
「聞きたい事がある。ロードの体内にあった武器。あれは何だ?」
「命のやりとりよりも問答か?」
 ラスの問いにドラゴンは攻撃をもって応える。
「ならばお前の先には沈黙と死こそがふさわしい」
 ラスへ襲いかかろうとしていたドラゴンの背後から白い影があらわれる。クリスの狙い澄ました一撃は巨大で太いドラゴンの首を切断せんばかりに切り裂いた。ドラゴンの絶叫と赤黒い血がどっと辺りに広がっていく。戦意喪失したかのようなドラゴンだが、攻撃はやむことなく続き、また1体ドラゴンが屠られていく。
「まだアーチの奥にドラゴンがいるぜっ!」
 普段とは違う黒い羽毛のツヅは別人格かのような口調で叫ぶ。

 青荊の狂戦士・アイラ(a44254)は無骨な大剣を振るいつつ、その視界の中に大輪の花と咲き誇るディッツィローズ・ヒギンズ(a33003)の姿を映していた。
「アイラ? どっか怪我した?」
 紅の剣を手のしたヒギンズが振り返る。鮮やかで凄絶な表情は見惚れるほどの美しい。
「ううん。ただね、頼れる仲間達がいて、大事な人が側にいてくれる……こんなに心強い事はないわね。さあ、思いっきり暴れるわよ!」
「もちろん! さぁ、害虫どもを残らず駆除するわよっ」
 2人はドラゴンを迎え撃ち、得物を振るう。ヒギンズの残像が浮かぶ程高速な攻撃、その背後からアイラの重く激しい剣が水を断ち、ドラゴンを斬る。
 燬沃紡唄・ウィー(a18981)と黒鴉韻帝・ルワ(a37117)は競い合うように誘き寄せられたドラゴンへと駆ける。
「さってと……」
「……あぁ」
 暗い海の中でも全く視界が効かなくなるような事はない。ウィーとルワは身体にまとう黒炎を伸ばしドラゴンを撃ち据えていく。小柄なドラゴンはどれも思慮に欠けるのか、戦術も戦略もなく、ただ力押しを試みドラゴンウォリアーの力に破れていく。
「精神さえ凍結させた哀れな竜の仔等よ」
 ルワの歌声が戦場に響き、ふとウィーは見上げた。水面を通る仄かな光はゆらゆらと揺れ、別世界へと続くようでもあり、閉ざされている様にも見える。
「……それでも欲しいものは変わらないだろうな」

 強化を済ませた黎燿・ロー(a13882)の姿は普段の漆黒一色とは違い、灰色がかった黒髪に金色の瞳が輝く。身体には朱の鎖が幾重にもからみつき、暗い深海に長くすらりとした剣が閃く。あちこちで誘き寄せられたドラゴンがドラゴンウォリアー達に撃退されていた。今も、ローの通常攻撃が満身創痍のドラゴンにトドメを刺す。
「だが、まだいるようだな」
 この地を真に平和な場所とするために、未来に禍根を残さないために……なんとしてもドラゴンは殲滅したい。ローは剣を握り直す。
 頭上をほんのりとホーリーライトで照らしつつ、蒼森珠花の歌癒師・ディナ(a22024)は海のより深いところへと進んでいた。蒼く長い髪につけた髪飾りも翼もどこまでも白く美しい。戦いはどこもドラゴンウォリアー優位だが、ドラゴンとてただ為す術もなく屠られているだけではない。
「もう……ドラゴン、の脅威なん……て残……さない……様に、これ……で終わりに……す、るよ」
 お仕置きも嫌だから、とディナはそっと付け足し、身体の中から黄金色の淡い光をあふれさせていく。光は水の中を広がり、遠く波紋の様に優しく広がり仲間達の怪我を癒す。
「さ、お掃除の時間といきましょうかね?」
 黒い炎を身体にまといクロノスが動き出す。
 髪の色が金に変わった永久を歩む癒し手・カレン(a37622)の表情はどこかいつもより複雑で掴みにくい。
「……さぁ、行きましょうか」
 続々と囮役に導かれてドラゴン達が浮上してくる。そこを一気に包囲して撃破していくのが今回の大まかな作戦だ。
「人が少ないのはこの辺りなのですわ」
 青碧の百合姫・ユリカ(a47596)は便宜上3つに分けられた班の中から、比較的人の少ない南側を攻略する者達と行動を共にしていた。
「緑の秘術でもくらいなさい」
 得意の攻撃がユリカの手から幻の葉と共にドラゴンへと突きつけられる。
「此処まで来て死ぬ気はないけれども……」
 久遠槐・レイ(a07605)はつぶやく。魂の力を解放し召喚獣と融合したレイは白銀の長い髪をなびかせ、血の色が浮かぶ瞳を浮かんでくるドラゴンへと向けている。おそらく、この冷たく暗い戦場にいる誰の思いもレイと同じだろう。
「たとえ深き海の底といえど、ドラゴンは1体たりとも生かしておけぬ! 我が太刀にてその命運、散らせてくれよう!!
 真横から突進してきた信念を貫きし剣・アーク(a74173)が両刃の得物を振るう。召喚獣と融合しドラゴンウォリアーとなったアークは漆黒の翼で深海を空の様に駆け、その両手に握った武器から稲妻の鮮烈なる光を放ってドラゴンを撃つ。
「我が雷牙にて灰燼と化せ……奥義、雷霆一閃!」
「伏兵だと?」
 ドラゴンの不快な胴間声がいつもよりも速く聞こえる。
 鮮やかな翠色の戦装束をまとい、金色の翼を広げた青雪の狂花・ローザマリア(a60096)は敵影を視認するとすぐに、体中を駆け巡る血潮を熱くたぎらせる。鼓動が耳なりの様に高鳴り指先まで戦意が高揚する。
「……私の剣はいかなる事があっても……逃さない……っ!」
 静かにつぶやくような言葉がローザマリアの唇から漏れる。2対で一つの美麗なる得物から稲妻の闘気がほとばしる。空を駆けるかのように水を進む雷光は違うことなくドラゴンの脇腹を撃った。
「ここにも敵だと?」
 ドラゴンは明らかに動揺している。
「ずっと海に沈んでろ」
 花深月・ユディール(a49229)の燃えさかる炎が手傷を負って進退に躊躇するドラゴンを容赦なく叩く。上空でも星空でも、そしてこの深海でもドラゴンウォリアーの戦いに上や下はあまり意味がない。ユディールも全方向に気を配りつつ、水を駆ける。
「アロンも頑張ろうな」
 春に世界を埋め尽くす桜の花の様なユディールは、一瞬だけ満開の花の様に微笑む。
「……あぁ」
 凍てつく冬の樹木の様な姿に転じていた碧水晶の吟遊詩人・アロン(a90180)は決して饒舌な方ではなく、胸に溢れるその想いを言葉には出来ず、短く答えてうなずいた。
 淡い光が桜灯歌の花女・オウカ(a05357)の頭上で輝き、暗く……底知れぬ未知の恐怖を漂わせる深海でほっとするような安堵が胸に湧き起こる。けれどひとたび戦いとなれば、楓華風の衣装をまとったオウカも銀の杖を振るい、水の中を舞うように動く。
「えっとぉ……大きな怪我も小さな怪我も、全部治します」
 だから仲間達には後ろを振り返らず、退くことを考えず戦って欲しい。オウカの身体から黄金色の光が緩やかにわき起こり広がっていく。
「他ならぬマデリン様のご依頼でございますから、極寒の北海……さらにその深海といえど、死力を尽くしましょう」
 今は白銀の長い髪をなびかせ、血色に輝く瞳をひたと敵に向けた樹霊・シフィル(a64372)の姿には圧倒的な力が充ち満ちている。つい今し方まで遙か深みで仲間を鼓舞する歌を紡いでいたかと思えば、今は頭上に燃えさかる火球を喚び出している。
「何?」
「この包囲網に死角はないと覚悟なさいませ」
 戦意を隠そうともせずシフィルは火球を放つ。炎はいささかも威力を失う事なく海中を進み驚愕するドラゴンのよじった背に命中した。
「傷を癒します。まだまだ戦えますよ」
 頼もしくも安心出来る静かなサリエットの歌声と同時に、その周囲で戦う者達の様々な傷が癒え、消えていく。微妙に立ち位置を変え、より多くの仲間達が歌声の恩恵にあずかる。
「よぉ……コレでフクロの鼠だな」
 たぎる血潮が戦いを求め、求めるままにハンソーは大棍棒を振るう。究極まで高めた気を秘めた攻撃が命中すると、そこで局所的な爆発が生じる。
「いくよ!」
 防具を強化したレイは金属杖を振るい、気を練って創り出した刃を放つ。
「氷の剣無いかなあ……」
 ニールも強化した美しい剣を振るうが、ともすればその視線はあてどなく遠く彼方へと彷徨ってしまう。
「待たせたでござるよ」
 仲間達の防具を強化し終わったヒイラギはドラゴンへと突進する。守護天使の力を緋色の剣にこめたヒイラギの攻撃が無防備だったドラゴンの背、羽根の付け根あたりを痛打する。
「貴様!」
 巨大で鋭い爪がヒイラギを襲うが、それは余裕をもって回避する。

「きゃあっ!」
 運悪く攻撃を食らったユリカが悲鳴を漏らす。
「伏兵です!」
 入り組んだ巨大な岩陰を示しサリエットが叫ぶ。
「重騎士の本分は守りにあり!」
 暴れるドラゴンの爪をジョルディはがっちりと盾で耐えきる。
「まだまだ!」
 黒い炎に包まれて癒しの効果を高めたカレンが両手をかざす。するとカレンの身体から黄金の波紋が広がる。光はこの戦場で戦う仲間達の怪我を癒し、傷口の痛みをやわらげていく。
「まだ戦えるよ! 頑張ろう」
「これで……お仕舞いです!!」
 守護天使の力を銀の突撃槍に乗せたフォーネはドラゴンの死角に回り込んで攻撃を放つ。
「世界蹂躙のツケ、払ってから逝けよ」
 クロノスが喚んだ水の中でも消えない燃える火球がドラゴンの背に命中していく。

 ドラゴンウォリアー達は岩の根本にいたドラゴン12体を全て駆逐し、インフィニティマインドへと帰還した。ドラゴンウォリアーに死傷者はいなかった。


マスター:蒼紅深 紹介ページ
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冒険活劇 戦闘 ミステリー 恋愛
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参加者:47人
作成日:2009/09/18
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玄天卿・クリス(a73696)  2011年11月11日 02時  通報
旅団の皆とのドラゴン討伐。
やっぱり大きな敵への奇襲は燃えるね。