ドラゴン掃討:氷海の極竜たち



<オープニング>


●ドラゴン掃討
 ゾフィラーガ・ヴァンダルから魔石のグリモアを託され、地獄の全てを統合して強大な力を得た王妃との戦いに、ドラゴンウォリアー達は勝利した。
 そして、全てを飲み込まんと迫り来る『絶望』を、溢れんばかりの『希望』と共に打ち破ったドラゴンウォリアー達は、インフィニティマインドと共に、地上へと帰還した。
 大きな脅威が過ぎ去り、戦いは終わったのだ。

「ですが、冒険者のなすべき事が、すべて片付いた訳ではありません」
 エルフの霊査士・ユリシア(a90011)は、改まってそう冒険者達に告げた。
「円卓の間で話し合われた『解決すべき案件』は、まだ多くが未解決なのですから」と。

「最優先順位であった『魔石のグリモアの剣の探索』は完了しました。次に優先順位の高かった『地獄への対応』も、結果的に完了したと言って良いでしょう。つまり、我々が次にすべき事は、3番目に優先順位の高かった案件……つまり『ドラゴン、ドラグナーの発見と、その討伐』です」
 インフィニティマインドがあれば、擬似ドラゴン界を使うことなくドラゴンウォリアーになれる。
 つまり、大勢で一気にドラゴンやドラグナー達を掃討する事が可能なのだ。
「ドラゴンに関しては、すでにルラルさんの超霊視によって、すべての所在が判明しています」
 ドラグナーに関しては数が多いため、もう少し時間が掛かりそうとの事だが、そちらも全容が明らかになり次第、すぐに掃討作戦が決行されるとの事だ。

「あとは、倒すだけで良いのです。この世界からドラゴンの脅威を完全に払拭しましょう」
 その為の作戦に、どうか皆様の力をお貸しくださいと、ユリシアは深々と頭を下げた。

●氷海の極竜たち
「それじゃ続きは私から説明するわね」
 そうして、ユリシアに代わって説明を継いだのは、運命を信じてる霊査士・フォルトゥナ(a90326)。
「皆に向かって貰うのはコルドフリード、氷の大陸近辺の冷たい海の中……厄介なことに光も届かぬ深海で時が過ぎ去るのを待ち、潜伏しているの」
「ふーん……って、ええええぇぇっ!! し、深海!?」
 思わず声を上げたのはレア物ハンター・ユイノ(a90198)。
「そ。でも大丈夫よ、ドラゴンウォリアーなら宇宙でだって戦えるんだから深海なんて何の問題もないでしょう? それともまさか、泳げない? でもそれだって空を飛ぶのと同じ様な感覚で戦えば、何も変わらないはずよ」
「いや、そうじゃなくて。って言うか、そこまで考えてなかったし……」
「ま、とにかく行動に大きな支障はない筈だから存分に戦ってきて頂戴」
「いや、存分に――は良いんだけど、もう少し何かないの? ドラゴンが何匹くらい居て、どんな能力だとか……」
「知りたい? しょうがないわね。実は、その数は正確には分からなかったの。ただ、彼らの中に上下関係はなく似たような、要は気の合う仲間が集まってるようなものだから50も100も、ってことにはならないと思うわ。そして貴方たちに向かってもらう地点のドラゴンは攻防それぞれの性質ごとに大きく分けられるわね」
 そう言ってフォルトゥナが語った性質をまとめると以下の通りで、このいずれかに該当するらしい。
 ・氷結のブレス(魔氷)と氷の盾(防御力高)
 ・旋風のブレス(追撃+鎧強度無視)と高速機動(回避力高)
 ・氷結旋風のブレス(魔氷+追撃+クリティカル高)

「それぞれ1体か、2体か――全部で何体になるのかは分からないけど、概ねこの能力に大差はないみたい。そして彼らにとっての敵……要は貴方たちの襲来に備えた形で潜んでいるわけだけど、ピンポイントで判明してる訳じゃないから索敵は必要。深海の闇に紛れるように大きな岩陰なんかに隠れてるんだと思う。場合によっては初撃は喰らうくらいの覚悟があっても良いかも、ね」
 霊査士は、目の前の冒険者たちの力を、信じて疑ってはいない様子で軽く告げた。そして……、
「平和な未来のために……1体たりとも逃がさないで確実に倒してきて頂戴。他にも作戦はあちこちで展開することだし、相当な人数が必要になるとは思うけど、それもすべては未来への布石だと思って。よろしくね♪」
 そう言って、ユイノの肩を叩きつつグラスの中の液体をクイッと飲み干したのだった。


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参加者
NPC:レア物ハンター・ユイノ(a90198)



<リプレイ>

●First Attack
「魔石のグリモアも、ドラゴンロードも亡き今、あとは残存するドラゴンのみが世界を滅ぼす力を持っている――後々の世界の為の大切な戦い。臆することなく最後の戦いと参りましょう!」
 慣れ親しんだ大剣を手に告げるは、執行者・エッセン(a52445)。
 霊査士の言に寄れば、氷海の底にはドラゴンたちが群れる箇所が複数あるとか。如何にドラゴンが強大と言えど、ドラゴンウォリアーに個々で太刀打ちできぬ以上、それも致し方あるまい。数=力だとは、これまで幾度となく証明されてきた事なのだから。
「ドラゴン達と乱戦……しかも深海で、か。面白い。目に物見せてやるぜ!」
 そんな中にあっても焔風の・アガート(a01736)の戦意は揺らぐことなく、坐主罵組の面々と頷き合う。
「まずはこそこそ隠れてるヤツらを引っ張り出さねぇとな。俺が行かせてもらうぜ」
 奈落から奇跡的な生還を果たしたばかりの狂風の・ジョジョ(a12711)がニヤッと唇を歪めた。
 とは言え彼らだけでは心許ないのか、天舞光翼の巫女姫・ミライ(a00135)、深き海と森の詠唱者・エウリューシア(a44181)、時空を彷徨う・ルシファ(a59028)、蒼氷を渡る風・フォーゲル(a77438)らも同行を申し出る。
 そして誰かが言ったクリスタルインセクトによる偵察も、効果のほどで意見が分かれたものの、
「まぁ、試してみる価値はあるかも知れません」
 と枝垂髪の植物学者・スイセツ(a51372)が語り、召喚してみることとなった。
 そうしてインセクトについて進む6人。警戒を怠ることなく慎重に進んでは、ドラゴンの巨躯が収まるほどの岩影を探り、確認してゆく。
「いない……」
 敵が巧妙なのか、運が悪いのか……なかなか敵を見つけられない。
 偵察隊の表情にも微かな焦りが浮かぶ。幸いなことにドラゴンウォリアーにとっては気圧や呼吸は勿論のこと、視界を含めて深海での行動も障害たり得ない。
 手にした武具が虚無をも照らすと思えば光に困らぬし、それ以前に見えるという確かなイメージさえ持っていれば良いのだから。
 そこで、水流が唸りをあげて渦を巻くほどの勢いで大剣を振り回すジョジョ。コイツで敵を誘い出す!
 その瞬間、揺れた水で遮られた先に、一瞬だけ明滅した赤い光。それを、逃すことなくルシファが捉えた。
(「……あの岩の後ろ!」)
 皆の脳裡にすぐさま心話が届いた。それは、インセクトを通して見ていたスイセツからも同様に本隊へもたらされていた。
 気付いたことを悟られぬよう視線をバラけさせつつ、慎重に距離を詰める面々。そして本隊がある程度近くまで来たところで一気に攻勢に出る……。
 だが、そこまで順調には行かなかった。途中、本隊の影が見えかけたところで、痺れを切らしたドラゴンが水流を切り裂くように姿を顕したから。
「下等な命が我らを脅かすなど……あってはならぬ!! この氷海で砕け散れぃ!」
 まだ遠い本隊にも届き、海面までも震わすほどの轟音。いや、そう感じただけで音ではなかったのかも。だが、いずれにせよそれが他のドラゴンたちにも届いた可能性は極めて高かった。
 やむなく戦闘に突入する6人。その初撃、ルシファの放った一矢が狙い違わず巨体に吸い込まれるように突き刺さったその直後、ドラゴンの壮絶な息吹が迸った。
 輝く氷の欠片。それが無数の刃となって息吹に含まれ、海を、そして彼らを切り裂く。氷結旋風のブレスだ。だが、そのモーションを一瞬早く察したフォーゲルが叫ぶ。
「下へ!」
 その声があればこその直撃回避。すぐざまエウリューシアの凱歌が確かに響き渡り、幾許かの傷と、凍りつきかけた身体を解き放った。
 すぐさま反撃に出ようとしたところに全力で移動してきた待機班の面々もほぼ到達。ここからがガチの総力戦かと思ったところで、ふと後ろを振り返った閃紅の戦乙女・イリシア(a23257)が後ろ、と叫んだ。そこに見えたのは援軍と思しき竜の孤影。
「1匹……嘗められてるなぁ〜ん?」
 王虎・アデル(a48929)のそんな台詞が終わるか否かの間に、今度は逆方向から咆哮が響きわたった。
「これは……手分けするしか、ないか」
 デタラメフォーチュンテラー・イルハ(a27190)が呟いた。ここで囲まれては優位を保てそうになかったから。
「それじゃここはオレたちに任せてもらいましょうか」
 斬空術士・シズマ(a25239)が仲間たちと共に告げて前に出ると、自然、その他の面子は左右にわかれ、誰が決めるでもなく綺麗にほぼ3等分になっていた。
「こういった形で共に戦うのははじめてだな……」
 玲瓏なる紫昏・カナタ(a26377)は少し嬉しげ。
「年末には、早いけど……大掃除、頑張ろう……」
 戦力比は決して余裕ではないというのに、雪ノ下・イージス(a20790)には、全く負ける気がしていない。それは、かはたれのひかり・オーロラ(a34370)も同じで、むしろ共に肩を並べて戦えることに歓びさえも感じていた。
「皆さまとご一緒できて、嬉しゅうございますわ♪」
 が、さすがに彼らだけでは厳しいと感じてたのか、攻守の要を努めるべくアデルが前に出、それに並ぶように雷撃を放つ、嵐との契約者・ヴィナ(a09787)、そして幼き姿となっても変わらぬ飛燕の刃を飛び交わす久遠槐・レイ(a07605)らも自然とココを選択していた。
「さて……あなた方、ドラゴンにはここで消えて頂かねばなりませんね」
 が、直後に迸った氷結旋風の息吹は避けきれず、結構な人数が喰らいはしたものの、オーロラの祈りによってすぐに魔氷も癒え、エウリューシアの凱歌の後に再び冒険者たちが攻勢に転じる。面白いように決まる攻撃はいずれも防がれている様子もない。
 どうやら氷結旋風のドラゴンが優れているのは攻撃のみ。ゆえに霊査にあった他の竜よりも防御面が弱く、攻守が転じたことで一気に脆さを露呈。坐主罵組を始めとする面々の攻撃の前に、敢え無く最期の時を迎えようとしていた。

●Freeze & Slash
 一方、あとから出現した2体の方へと向かった面々も、ようやくそれぞれの相手と対峙しつつあった。
「さぁ征こうか。僕の天使」
 蒼鴉旋帝・ソロ(a40367)が相棒とした亜麻色の髪の天使・アクラシエル(a53494)に声を掛ける。
「あぁ、行こう。今と、そして未来の平和のために」
 2人が向かったドラゴンの息吹は、旋風。水中で吐き出されたそれは渦となりて周囲を巻き込む。が、あらゆる守りを無に帰すはずのそれも、アクラシエルを打ち破ることは出来なかった。
「俺の護りは鉄壁だよ?」
 その一方でまともに喰らった者も居て……、
「相手はまだピンピンしとるでぇ! しっかりせーよ!」
 と、プリンス・ルル(a17800)の叱咤が飛ぶ。
 そんな檄に応えるように、ソロの支援を受けて攻撃の底上げをしたアクラシエルを始め、重い打撃を誇る面々が一気に旋風の竜へと立ち向かう。
 機動力が高いと言えど、竜の巨躯は狙いを付けやすく、そして重い一撃は易々とその鱗を打ち砕いてゆく。その中には星屑の大剣・真打を振るうエッセンの姿もあった。
 そしてもう一方のドラゴンはと言えば、氷結の息吹。しかしこの個体の能力はそれだけではない。瞬時に展開する氷の盾、それがこれまでにも多くの攻撃を阻んできた。しかし……、
「久しぶりだね、組むの……」
 黒き炎を纏った燬沃紡唄・ウィー(a18981)は、何気ない会話を紡ぎながらも竜の頭上に虚無を生み出す。それは氷の盾など始めから無かったかの如く握りつぶした。
 そしてそれに応えるは、黎燿・ロー(a13882)。
「ふむ。そうかもしれぬな」
 言いながらも敵から目を逸らさず、しかも周辺への警戒も怠り無い。まだ更なる援軍とて可能性が無いわけではなかったから。
 そこへ放たれたのは氷結のブレス。魔氷を伴うそれは当たれば動きが大きく妨げられることになる。
 しかしローは、それを難なく躱す。同じようにイリシアもそれを躱すと、手にした槍で鱗の1つを的確に貫いた。
「こんな戦いをもう後の世の人たちがしなくてもいいように……、必ず私たちの手で終わらせましょう」
「ん。厄介ごとはもう、ここで終わらせておかないと 」
 イルハが氷に囚われた面々を救うべく、祈りを捧げた。

 いずれの竜との戦場もドラゴンウォリアーの数は10に満たない。にも関わらずここまで優勢に運べているのは、かつての頃よりも皆の力が上がったからか!? だが、それだけではない。霊査の情報を的確に活かすことで相性の良い相手と対することが出来たからであろう。
 いずれにしても天秤は、我々の側に大きく傾き始めていた。

●28 vs 7
 そのことはドラゴンたちも当然、理解できているようで。だがそれにも関わらず、いずれも逃亡を図る様子は無いのは観念しての玉砕か!? いや、そこまで潔い相手でもあるまい。
 そんな疑念が湧いたのは、ほんの一瞬。だが、その一瞬の閃きは正しかった。第4の方向から、新たな息吹が飛んできたのだった。しかも4つ!!
「……まだ……居たか……!?」
 思わず言葉を洩らす青雪の狂花・ローザマリア(a60096)。
「ははははっ! 我らの勝ちだ、小さき物どもよ。いかなドラゴンウォリアーとて、我ら7体を相手に戦うことなど出来まい! 我らの叡智にひれ伏して死ぬが良い――」
「こういうときって、小物ほど良く喋るのよね……いい加減、散りなさい!」
 岩場の1つを蹴り、闇夜に咲き狂う華・リリフィス(a57620)の蹴撃が旋風のドラゴンを蹴り破る。そしてその間にもレイが放った飛燕の刃が氷結旋風のドラゴンを貫き、断末魔の咆哮を上げさせていた。
「なるほど、あと5匹か。たしかにキツい。だが、どうせ命をかけて戦うのなら、知り合いと命をかけて戦いたい……ちょっとした我儘だがな。と言うことでユイノ、サポートはよろしくな」
「任せて! でも、その代わり……必ず倒して来てね♪」
 片手挙げて応えた業の刻印・ヴァイス(a06493)が氷結の息吹持つドラゴンの元へと飛び込む。氷結することさえ凌げれば、治癒はレア物ハンター・ユイノ(a90198)癒しの矢がある。
 斯くして、ある意味ギャンブル的な試みには無事に成功、無数に連なる飛燕の刃を叩き込み、その命を奪ったのだった。
「あと4つ……? しかも今の3つと違って体力MAXなのー!?」
 ユイノが思わず本音を洩らした。しかもほぼ固まって来た以上、各個撃破も侭ならない。
「こんなとこで死んだらアホらしいで」
 ルルが追随。だが、そんなことを言いながらも、誰1人として退こうともしていない。
(「無茶が好きなヤローども達ですね。でも必ず……必ず皆で帰ってくるのですよ…!」)
 花魁・ハナ(a46014)は思わず心中で言葉を紡ぐ。それは皆の真剣さを邪魔したくなかったから。
 そして4匹の竜たちが展開して一気にブレスを吐いた。氷結と旋風がそれぞれ2つずつ。その激しい息吹は、冒険者たちのいるエリアすべてを覆う。そこに逃げ場などはない!?
「そんなことはありません。すべて同時って訳じゃない。躱せます!」
 そう言ってミライは、4つのブレスが交錯する、僅かな時間差を利用してその全てを躱してみせたのだった。
 だが、そんな芸当が出来る者はそう多くはない。
 旋風のブレスによって巻き起こった渦が、後衛のユイノの元にまで及ぶ。
「くぅっ……!!」
 それを身を挺して庇ったのは、千夜一夜の眠れる剣姫・シェラザード(a76996)。
「今まで守ってもらった……、今度は私の番……だ」
 ここが地面なら膝を付いているところだが、そうではない。しかし自身をも支えきれずに斃れそうになったところでユイノがその肩を支える。
「守ったなんて……、それどころか、いつも私ばっかり迷惑をかけっ放し。ゴメンね」
 四重のブレス全てを避けられた者はほんの一握り。だが、幸いにもすべてを喰らった者もいなかった。
「大丈夫。誰も死んでなんかいません。1つずつ……連携して確実に倒しましょう」
 イリシアがいつになく大きな声を掲げた。
 そしてイルハ、ハナ、オーロラ、スイセツ、フォーゲルら治癒の業を持つ面々が一斉に治療にあたる。
「ええ。真打・氷雨のの切れ味とくと見せてあげますよ」
「セルティスさん、使わせてもらうよ、お祖父さんの最高傑作を……」
 そんな台詞を皮切りに、皆が一丸となって右端のドラゴンから順に、一気に攻勢を掛ける。雷光が、飛燕の刃が、真空の衝撃波が乱れ飛ぶ。そして剣や槍を携えての接近戦……時には鱗の合間を縫うかの如く、時には鱗をも砕くほどの強力な一撃で、ドラゴンを休ませぬかの如き間断ない攻撃。
 当然ながらその間も竜の息吹は冒険者たちを蝕み、一瞬は死に瀕するほどのこともあったが、再び治癒の力が癒しをもたらした。
「読みが甘いよ!」
 絶対的優位に驕り、確実なツメを謝ったドラゴンたちに、リリフィスの痛烈な台詞が突き刺さる。同時に烈しい蹴撃も。
 やがて冒険者たちの前には、ついに目の前のたった1匹だけの竜を残すのみとなったのだった。

●Last One
「……天意に導かれし降魔の劒……っ! さよならといこう……」
「禍根は断つ……悪いな、怨め」
 最期の、本当に最期の一撃。そこには、遠慮も良心の呵責も必要ない。世に災いをもたらすドラゴン。たとえ今は隠れているだけの存在だったとしても、それはやがて後の世への禍根の種となる。どうしても今、ここで倒す必要があったのだから。
「終わった……」
「うん。でも僕等はこのドラゴンウォリアーの力を得るために、どれだけのものを犠牲にしてきただろうね。光になった命、闇に消えた命……数え尽くせぬほどの叫びや涙がこの世界を彩っている。その全てを、1つたりとも無駄にしたくはないから」
 思わず口をついて想いが零れるソロ。その瞳に映るはこれまで目にしてきた多くの命か。
「そうだ、な……だが、ドラゴンウォリアーでなくとも争いに終わりはない。それでも未来に残る何かがあるなら……私は喜んで戦おう。それはずっと変わらない。これまでも、そしてこれからも」
 カナタが頷きながら言葉を継いだ。
「疲れたけれど、少し心地よい……ゆらりたゆとう深い海。ずっといられたらいいのに、ね」
 ウィーはローと2人、支えあいながら視線を交わした。
「これで、かのドラゴンロードの手下も片付いたのでしょうか。そしていつか……平和になればコルド艦隊もこの海に戻れる日が来るのでしょうか?」
 その答えをすぐに知ることは出来ないけれど……。
「再起動で私の記憶が消える前に氷の大陸が復活して欲しいです……」
 コルドフリード大陸に捧げる、ささやかな願いだった。

 〜 fin 〜


マスター:斉藤七海 紹介ページ
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狂風の・ジョジョ(a12711)  2009年09月21日 06時  通報
皆良く頑張ったぜ!
怪我人も出ず帰ってこれて良かった。

さぁ皆で勝利の美酒を味わおうじゃねぇか♪