【お姉さま天獄】茘枝のお姉さま



<オープニング>


 ここは冒険者の酒場、そしてここは葵桂の霊査士・アイ(a90289)のついているテーブル、さらにここはアイの座る椅子、さらにさらにここは、その膝の上。
「わらわに茘枝(ライチ)を剥いて食わせるのじゃ!」
「それは誰の真似だ?」
 はじまりは・プルミエール(a90091)が、アイの膝の上に座ってそのような無茶を言っているのであった。なんだか今日はリボンをつけたりして雰囲気も幼いような。
「ときには幼子のように甘えたい、そんな日もあるものです……のじゃー」
「どこの世に甘えたい盛りの二十三歳がいるのだ」
 という冷たいツッコミをプルミーはさらりと聞き流して、
「私、お口『あーん』てしてますからその指で白い果実を押し込んで下さい、ですのじゃ♪」
 あーん、としている。
「……まったく……こらっ、手を噛むな!」
 ちょうど通りかかったセイレーンの重騎士・ユウキ(a90384)は、これを目にしてどうコメントしたらいいのかわからず、回れ右して来た道を戻っていった。

●ふかいスリットながいあし、ぶじゅつのたつじんおねえさま
「久々に集まってもらったな」
 メンバーを見回してアイは告げた。
「いわゆる『お姉さま』怪物が例によって出現しているのだ。毎度のことでご苦労だが、頼れる諸君に出撃を依頼したい」
 ところでさっきまでプルミーがいたはずだが姿が見えない。一人がそれを問うと、
「ああ、プルミーか。さっきユウキを見つけて、『食べさせてあげるから私の膝に乗りなさーい』とか変なことを言いながら追いかけていったぞ」
 しかしプルミエール、フル装備の重騎士を膝に乗せるとどうなるかまでは考えが至らないようだ。
「さて話は戻るが……」
 戦いの場は今回も建造物となる。茘枝のたわわに実る木に囲まれた場所に、いつ建てられたのか誰も知らない五重塔があるという。塔のすべてのフロアには茘枝をイメージしたレリーフが彫られている。いわばライチの塔か。
「その塔に怪物が籠もり、挑戦者を待ち構えているのだ」
 その二階から四階に武術の達人――モンスターが待ち構えているらしい。
「エントランスとなる一階には誰もいないが、二階にはヌンチャクで武装した『お姉さま』、三階には三節棍を使う『お姉さま』、四階には青竜刀を閃かす『お姉さま』がいるだろう。強さは上のフロアに行くほど高まるようだ。なお、三体が三体とも、猿叫というのか、アチャー、みたいな甲高い声で叫びながら襲ってくる」
 アイは抑揚を付けず「アチャー」と言ったが、実際はエキサイティングなシャウトだろう。
「え? ああ、モンスターの服装が気になるか。一枚もののドレスで、高い襟と、腰まで達するような深いスリットが特徴だな」
 シルクのような手触り、花や鳥をあしらった丁寧な刺繍が施されており、色はフロア順に赤、白、黒となっている。
 このドレス、ある程度細身でないと似合わないがそのあたりは今回も心配はいらない。三体とも当然のように八頭身、肌の色は抜けるように白く、細い目をしたエキゾチックな美貌だという。いずれも、墨のように黒い髪をシニヨンにまとめている。ヌンチャク使いは両サイドで編み、三節棍の者は後頭部でまとめているらしい。そして青竜刀使いは両サイドでシニヨンにしたうえ、残った髪をツインテールのように垂らすというある意味最強のヘアスタイルである。
「あの髪型、私も一度やってみたことがあるが、きつく引っ張るからしばらく頭が痛いんだよなあ……いや、関係ない話だったな。失礼」
 三体は、塔の最上階にある宝物を守護しているようだ。
「OTAKARA……もとい、この宝物を入手できるかどうかは依頼の成否に関係しない。首尾良く勝利できたときのボーナスとでも思ってくれ」
 二階のモンスターはスピードに秀で、三階のモンスターは抜群の破壊力を持つ、四階のモンスターはその両者をバランス良く兼ね備えているようだ。なお、いずれも自動的に体力を回復するらしい。
「一体一体全員で撃破するというのがオーソドックスな攻略となろう。しかし階段は壁の端にあるから、チーム分けしてそれぞれのフロアに分かれて戦うのも一つの手といえようか。合流されると厄介だしな……」
 その方針はメンバーで話し合って決めてほしい。

 いよいよ佳境の迫る「お姉さま天獄」である。敵はトリプル、しかも宝物を守護しているという。
 見事撃破し、甘いライチを食しながら宝の検分といこう!


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参加者
碧風の翼・レン(a25007)
嵐を呼ぶ蒼き雨・レイニー(a35909)
天に抗う誓約者・トワイライト(a43304)
月の姫を抱く者・ミレイラル(a43722)
黒百合の魔女・リリム(a50830)
星喰らう蒼き闇・ラス(a52420)
手のひらの鼓動・アールコート(a57343)
槍を持って進む者・ベディヴィア(a63439)
銀之刀匠・クオン(a65674)
全力狂想曲・ティム(a71002)


<リプレイ>

●最近女難の相が出てます☆
 弾け飛ぶ木の板。扉が蹴破られる。
 ここは辺境、茘枝の塔に、飛び込む勇士は総勢十名! その名も高き、
「お姉さまキラーズ?」
 と碧風の翼・レン(a25007)が問うたが、
「コ、コスプレ団、ですか?」
 おどおどしつつも、黒百合の魔女・リリム(a50830)も提言し、
「機動戦士ラスVSラス、っていうのはどうでしょう」
 月の姫を抱く者・ミレイラル(a43722)も言ってみる。
「それだとチーム全員ラスみてーだな、いっそ、ラス萌え組とかにするか?」
 天に抗う誓約者・トワイライト(a43304)が苦笑いし、
「俺の名はよせ、俺の名はっ。ベディヴィアをいじる会、でいいだろ!?」
 星喰らう蒼き闇・ラス(a52420)は慌てて抗議する。
「はわわーっ、なぜここで僕が〜! クオンさん、助けてくださいです〜」
 槍を持って進む者・ベディヴィア(a63439)が涙目で請うも、
「……大丈夫です。こういう話になると、そろそろあの人が出てきますから……」
 銀之刀匠・クオン(a65674)は至って冷静である。
「うわーん、妾を崇める会がいいのじゃー!」
 あの人――嵐を呼ぶ蒼き雨・レイニー(a35909)がじたばたしていた。
「レイニーさんを愛でる会、ですね♪ 微妙に違います?」
 手のひらの鼓動・アールコート(a57343)はそう言いつつ、そっと全力狂想曲・ティム(a71002)に近づいた。
「それはそうとティムさん、最近女難の相が出てます☆ 突然のモテ期突入ということですか?」
「うわ、急にリアルな質問は禁止だよーっ!」
「え? なにその話、俺も知りたい」
「私も聞きました……人生に二度来るというモテ期、六歳にして早くもその一度目が訪れたと……」
「ティ、ティムさん、ふ、二股はいけないと思います」
「誤解だよ〜っ!」
「二股って、うち一人は女の子の服を着せられたベディヴィアとかいうオチじゃないよな?」
「はわわー、だから僕関係ないです〜」
「妾を崇める話はどうなったのじゃー!」
 ……といったメンバーで本日もお送りする。

●体の線がわかりやすい装束ですね
 二階、さっそく茘枝のお姉さま第一弾と対峙したクオンは、葡萄のお姉さまから奪ったマスカット色の清楚なブレザー姿である。そこはかとなく照れているのか、頬はうっすらと朱い。
「今日の怪物は……体の線がわかりやすい装束ですね」
 対峙するモンスターはスレンダーな体を、オリエンタルなドレスに包んでいるのだ。剣士たるクオンの動きに無駄はない。音もなく、鞘払って間合いを取っていた。
 アチャー、と奇怪な声あげてモンスターはヌンチャクを構える。
 戦闘開始、レンの行動は迅速、もう敵の懐に飛び込んでいる!
「今回のOTAKARAは一番撃墜率の高かった人にってのはどう?」
 まるで旋風、到達するや否や斬鉄脚を見舞った!
「で、男性陣には被撃墜率で罰ゲームありにしてみるとか」
 ぴかっ、レンの瞳に光が宿る。
「罰ゲームか……ラスも気の毒に……」
 何か展開を読んでいるトワイライトなのだ。
「待てそりゃどういう意味だトワっ!」
 ラスはつっこみながらも、レンの動きに合わせ敵の側面をとって、
「期待なのか中傷なのか、そんな思惑にはやられないっ。今日の俺は一味違うぜ?」
 見事連携、薔薇の剣戟で敵を驚かせている。同時にトワも、
「まあ久しぶりに好きにやらせてもらうとすっかね。ほら行ってこい、量産型ラスっ!」
 と、おなじみ土塊の下僕を呼び出すや、その背にぺたりと名入りの紙を貼り付けたのだ。
「ト、トワイライトさんとラ、ラスさん、ぁ、あんなやりとりをしながら、さ、さすがの、コンビネーションです」
 彼らの仲の良さに眼を細めながら、リリムも自身の務めを果たす。
「ぉ、お願い! 銀狼さん!」
 と獣を放って足止めを狙うのだ。
 リリムが「コスプレ団?」と述べたのもゆえなきことではない。リリム自身、パパイヤのお姉さまから奪取したネグリジェ(下は水着、マント装備)という刺激的な格好であり、そしてミレイラルも、枇杷のお姉さまの可愛らしい扮装なのだ。
「この階は短期突破させてもらいます」
 ミレイラルは妖艶な笑み見せて、銀狼に組み伏せられた敵に強烈な一撃を喰らわせた。
 さてここに、目に金銀財宝が輝いている少女が参加する。
「宝! たから! TAKARAじゃー!」
 無論その名はレイニーたん、つづけて高笑い!
「ふははははっ!」
 おお、レイニーは欲に目がくらみまくっている! スティードに乗り一時的に突出、力の一刀を見舞うのであった。
 狼を振りほどくと、ヌンチャクガールはまた怪鳥音を発した。妙齢にして美貌だが、シニヨン(お団子)に結った髪が可愛らしくもある。ヌンチャクで扇形の軌跡を描き、ベディヴィア、ミレイラルにダメージを与えた。クオンは咄嗟に鞘でこれを防いだが、返す一刀は相手を掠めるにとどまった。
 ひらりと跳躍したお姉さま、その薄布の切れ目より、白い美脚が晒されている。
「うー、スリットから覗くふとももがえっちぃんだよ〜!」
 身もだえしながらティムは往く。風のいたずら心を抑え、ここはチームプレイ優先の凱歌だ。
 ここで前衛の要、重騎士ベディヴィアが動いた。重騎士なのにチアリーダーの衣装……うん、その辺りはあまりつっこまないでほしい。
「この衣装でも恥ずかしいのに……前回のねぐりじぇだったら僕、戦えなかったと思うのですー」
 ノースリーブでヘソ上迄の丈という上着、そして超ミニスカのこの扮装くらいなら戦えるということだ。慣れてゆく自分にちょっと戦慄してしまうベディヴィアだった。タイミング良く大岩斬の威力で敵に激突している。
 一方、恥ずかしさに悶えながら戦うペディヴィアの姿を、アールコートは今日も堪能していた。そういえばいつも、アールコートは彼の姿を目で追っている。もしかしてこれは恋……?
「あはっ、ペディヴィアさんはいつも通りで何よりです☆」
 ――そうでもないっぽい。
 速攻方針なのでアールコートも積極的に戦闘に参加、慈悲の聖槍を放ち助力する。
 量産型ラスは、お姉さまではなく階段を目指した。量産型というのは嘘ではなさそうだ。その背後にも続々と、『ラス』下僕達が連なっている。
「デザインはかなりのやっつけ仕事だが、質より量とはよく言ったもの。階段を埋めてこい!」
 トワイライトはイイ笑顔だ。こうやって、お姉さまの援軍が降りてこないようにしている。

●……ラス一族の面汚しよ
 方針は成功、集中攻撃で彼らはヌンチャクお姉さまを撃破した。
「ふははは、そちの物は妾の物、妾の物も妾の物じゃ! 宝に一歩近づいたわえ!」
 瀑凌剣『蒼雨』の切っ先には、お姉さまの衣服だけがひっかかっている。レイニーの剣は怪物を討ち取り、その衣服のみを残したのだ。
 三階に到達すると、すでにお姉さまは階段際でトワイライトが仕掛けた「ラス」軍団と押し合いを演じていた。トワは、その端正な口元をふっと歪めて宣言する。
「好評なようだな、じゃんじゃん追加といこうか。オリジナルも含めてな。いけ! 本ラス!」
「本ラス言うな!」
 と起こったラスの頭上を、三節棍に破壊された下僕の残骸が飛び越えていった。ちなみにこれは、ミレイラルがこの下僕を盾にした結果である。自分でやっておきながら彼女は、
「あぁ、ラス(量産型)やっぱり私のことを……」
 などと泣きマネをしていたりする。このときラスは顔に陰影を付けつつ、
「あの程度のお姉さまにやられるとは……ラス一族の面汚しよ」
「厭よ厭よと言いながら、本当はノリノリだったりするのね、ラスさん」
 ミレイラルはくすくすと笑った。これだから、彼らとの冒険は楽しい!
「皆さん。手はず通りに」
 今度は速攻方針をとらず、四階から援軍が来ることを想定した布陣だ。これまで長く『お姉さま』と戦ってきた一行である。行動は素早い。
 本ラスが先行、幻惑の足取りで敵に肉薄すれば、
「三節棍か、物騒な武器だけど負けないよ」
 レンも迫り、連携攻撃で弧を描く。さらに連携、それはリリムだ。
「こ、このお姉さまもスレンダー……」
 羨ましく思いつつ、飛ばすは虚無の腕である。
 三節棍が星のように煌めくや、ぐっと伸びた。仕掛け棒だったのだ。その切っ先は前衛の間をつき後衛、それも回復役のアールコートを狙う。
 クチバシきらん……いや、宝にくらんだ目の色きらん☆ しかしその一撃を、レイニーが代わりに受ける。くわわっ、まなじり開いて彼女は叫んだ。
「うつけ者がーっ、光るものはすべて妾のものじゃー!」
 物凄いことを言っている。しかし結果的にアールコートを守ったのも事実だ。
(「あれ無意識でやってるんですよね? それとも照れ隠し?」)
 アールコートにレイニーの真意はわからない。だがこれだけは言える。
「どちらにせよ頼もしいです☆」
 すかさずアールコートは、ヒーリングウェーブを発動しレイニーに報いた。 
 この階、昇りの階段は下僕数体が埋めていたが、これがまとめて吹き飛ばされていた。
 そこから降りてきたのは、青竜刀を持つお姉さまである。黒髪を両サイドでシニヨンにし、残った髪はツインテール、ぞっとするほど美しい。
 現在のチームは『前衛』が前後二つある布陣を組んでいる。この敵に対するは、ベディヴィア、ミレイラル、クオンの側となった。
「はわわ……あのお姉さま、二階とこの階の二人よりずっと、衣装がギリギリなのですよう」
「落ち着いて、ベディヴィアさんのネグリジェ姿のほうが可愛いですから……じゅるり」
 このとき、
「先手、よろしいでしょうか」
 とクオンが申し出た。
「無駄のない戦装束、刀剣のあの扱い方、かなりの手練れと見ました。同じ剣士として、暫し一体一で刃を交えてみたく」
 クオンの決意に、誰も意を唱えない。
「はい。でも、危なくなったら助けるですよ」
 むしろそう励ましてくれた。いいメンバーに恵まれたものだと、クオンは思う。
「感謝します。それでは」
 クオンの黒髪がなびく。疾駆する。
 青竜刀の怪物も怪鳥音発し疾走を開始した。
「――ッ!」
 二つの白刃が、交差する。

●このへんで男性陣にすぺしゃるプレゼント
 戦いは続く。
「ほらよっ! 燃えるがいいぜ!」
 トワイライトの声に応え、巨大火球が落下した。三節棍の使い手を撃つ。これにバランスを崩したお姉さま、なんとか立ち上がるもまだ不安定だ。そこにティムが、
「お待たせしました! このへんで男性陣にすぺしゃるプレゼント〜!」
 吹かせたのだ――春プーカ名物、風のいたずらを!!
「あーっ!」
 だがめくれなかった。ティムより先に、レイニーが大剣でお姉さまを攻撃していたから。怪物は跳躍して、青竜刀のお姉さまと合流しようとする。
 しかもこのときレイニーの衣装がめくれた! 一瞬、薄いブルーの下着が丸見えとなった!
(「こ、殺されるぅ〜!」)
 ティムは彼の冒険史上、これまでになかったほど恐怖した。しかし幸いにしてレイニーは気づいていなかったようである。
 しかも『すぺしゃるプレゼント』タイムも、まだ終わっていないというのか!?
「合流はさせない!」
 レンが追いついた。彼は大きく息を吸うと、
「行くよっ!」
 叫び闘気を爆発的に放出、強烈な空気の渦を発生させたのである。本気でデンジャラス! 三節棍持つ『お姉さま』は巻き込まれ飛ばされ、裾が全開でめくれる! さらに竜巻の如き風は味方といわず敵と言わず、あらゆる女性の召し物の裾を危険に晒すことになった。大丈夫かレン? 奥さん、本稿を見てないか?
 身に刀傷を浴びること二度、クオンは意識が遠のきかけていたが、この風が味方した。スカートが大変なことになっているが構わず、彼女は青眼の状態から太刀を振り下ろしたのである。
「参ります――!」
 一方、怪物のほうは風に心を乱されたようだ。
 斬!
 会心の一撃が決まった。
「お見事、文句なし一本です! では私たちも参加しますよ!」
 ミレイラルが蜘蛛糸で相手の動きを封じ、ベディヴィアも続けて突撃を開始する。
 そのときリリムが祈るように、悪魔の炎を三節棍お姉さまに投じていた。
(「……ぁぁ、アレ位スラッとしてたらなぁ」)
 想いは力となり、力は正義をなす。お姉さまは、リリムの炎により消滅した。
「よーし、まだ動ける『ラス』は、残った女モンスターにしがみつけ!」
 トワイライトが命を下し、わらわらと『ラス』軍団がお姉さまに向かっていく。
「くくく、我が一族はいくらでもいる……って、微妙に死にフラグだよな、コレ」
 ノリのいい本ラスは、言いつつ考え込んでいた。
 チーム全員による集中攻撃に、さしものお姉さまも耐えられなかった。みるみる弱り、最後は、ファンファーレを伴う一撃によって斃れたのだった。放ったのはティムである。しかし、彼の心は晴れない。
「やっぱり……僕の宿敵はひらひら装備のおねーさまなんだよう!」
 見ることは、できた。だが自分の力で見たのでなければ……。
 ティムは誓った、次こそは、と。
 でも次はあるだろうか?

 最上階には大きな宝箱があった。
「さて何が入ってんのか……胸は高まるが、なんかいい予感はしないのはなんでだろな」
 トワイライトは微妙な顔をしている。なぜか誰も、宝箱を開けようとしない。
「どうしたんだみんな? 罠が心配とか? なら俺が開けるぜ。翔剣士の速度に敵うと思うな!?」
 さっと手をかけパカッと開けて、ラスはがくりと膝を付いた。
「あっちゃー!」
 怪鳥音風に声を上げてレンは額を押さえる。彼は賭を提案したが、これなら山分けにしてもまだ余るだろう。
「一杯ありますね〜☆ 全員に配って、お土産にしてもなお余るくらい♪」
 中身の一つをとり、アールコートはベディヴィアの両肩にこれを合わせてみる。
「よくお似合いですよ♪」
「はわわ、ぼ、僕も着ないとダメなんですか〜」
「はい★」
 アールコートは頷いた。
 多くのメンバーにご名答と言おう。中には、お姉さまたちが着ていたのと同系統のドレスが大量に入っていたのだ。どれも高級品だろう。お宝には違いない。
 ティムは一つを手にし、どう風を送ればめくれやすいか調べている。
 その一方で、
「さすがの妾でも何着も着れんっ! でも一番高そうなのをよこすのじゃー!」
 と大きく開けたレイニーの口に、ぽんとライチの実が入る。
「……む、甘いのじゃ」
 嬉しそうなレイニーである。
「なんだかこの作業が楽しくて」
 食べさせたミレイラルも嬉しそう。
 紅茶もレンが淹れてくれている。結果はさておき、休憩してから帰ろう。
 リリムはそっと問う。
「ァ、アンジェちゃんの分ももらっていいですか?」
「……では私は、夫の分を……」
「ぇえっ!?」
「冗談です……」
 珍しくそんなことを言ったクオンの、横顔はとても美しいのだった。

 今回は、これまで。


マスター:桂木京介 紹介ページ
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