はじめてのねるとん〜王子様サイド〜



<オープニング>


「最後の刻を前に彼女がほしい人この指止まれ〜なのです〜!」
 嬉しそうに街中を走るユバ。
 何が彼女をそうさせたのか、その理由はもちろんどこにもない。


 ※ 注意!!
 このシナリオはあくまでネタシナリオです。
 リプレイ内で女神様からOKされたとしても、その後のアタックは空気を読んで行ってください。


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参加者
NPC:ヒトの霊査士・ユバ(a90301)



<リプレイ>

●じこっしょーかい
 既に秋とはいえ、割と暖かみを帯びた空気の中、野原へと集まった王子様達。
「それでは端から順に自己紹介をお願いするのです」
 ぺんぺんと指し棒を打ちながら、ユバはくいっと六角眼鏡をあげてみせる。
 これといった理由はないが、今日は女子先生風に攻めようと思っているらしい。
「ランドアースが私に参加しろと囁いていた。セレナードだ、どうぞよろしく。特技はトランプで塔を作ることだ」
「ネフェルです。趣味は蕎麦打ちですかね。店持ってますし」
「匿名の……え? ダメか。ま、面倒くさがりの振りのフォッグだ」
「シズマ・ハイペリオンです。どぞ、よろしく。特技は酒、意気込みはそれなり」
「オレ、ウィルダント・ヴィクトリア! 特技は変身と白塗りなピッチピチの24歳! 一度キめたら一直線! 愛の炎で燃やし尽くすぜ?」
「ハーリーパインストリー! 嫉妬戦士! 特技は嫉妬魂! 愛! オール! ハイル! シットーニア! 嫉妬戦士の誇りにかけて、必ずや彼女をゲットするぞ!」
「『ん……何やら人が集まっているな』と、やって来たら知らないうちにエントリーされていた。将来は弓の名手であり二刀流剣士でありたいと思うタージだ」
「オゥゥゥライトッ!」
「オメガです。少々くたびれていますが、歌って踊って演奏できます! 宜しくお願いします」
「ライナスです。意気込みは自分らしさを出せればいいと思います。特技は歌と楽器演奏ですね」
「真の合コンを知らしめたい! ワイルドファイアからヒトノソ忍者が上陸だ!」
「団員の不祥事により、底辺にまで転落したカルアです。得意技は逆関節決めとブレンバスターです。宜しくお願いします」
 次々と自己紹介をしていく中、君本当に王子様なの? ん? といった方々が混じっている気もするが、この際固いことは言いっこなしである。
「……ん? ひゃんひゃ??」
 そんな中、シャルは鼻眼鏡を装着し肉類の食事を片付けることに夢中だった。

「それではみなさんあちらを御覧くださいなのです!!」
 一通り自己紹介が終わったことを確認すると、ズバッと指し棒を示すユバ。
 その先にはやや大きめの橋があり、その上から手をふる人影が見える。
 そう、何を隠そうあの人影こそが、女神様その方々なのである。
「さあ、あの橋の下まで猛ダッ……なんなのです。今いいところなのです」
 かぶりをふって皆を誘導しようとしたユバの肩をつかむ何者か。
「……というわけで司会のフリッツです。恋人欲しいか野郎ども! よし行くぞ!」
「はあ? 勝手なことをぬかすななのです司会者はこの私……」
「うおおおおお!」
 ユバの言葉には耳も貸さずに、雪崩式に走り出す王子様ども。
 その形相たるや、5歳児なら間違いなくトラウマものである。
「ちきしょう待つのです! ぶちころすぞなのです!!」
 汚い言葉を吐きながらそのあとを追うユバ。
 カオスの片鱗など、皆無といってもよかった。

●ご対面とかアピールとか
「ぜはー、ぜはー、こ、ここがご対面会場なのです」
 すごい勢いでご対面会場へと到着した王子様達。
 既に会場の真ん中には垂れ幕でしきりがされている。
「それでは背を向けて立ってください!」
 フリッツに促され、回れ右をすると。
 ささっ。
 背後で垂れ幕がとりのぞかれる気配がした。
「それでは! ごたーいめーん!!」
 掛け声とともに、光を超え振り返る王子様達。
(「振り向くタイミング逃した……」)
 そんな中、ラスキューは完全に振り向くタイミングを逃していた。

「……」
 じっ、と視線でお互いを確かめ合う王子様と女神様。
(「あの子が良いかな?」)
(「……こういうところで知り合いにあうと、ちょいとドキッとしますね。イージスさんがいるとは思いませんでした」)
(「可愛い赤いお姫様発見!」)
(「何で男が多い……」)
(「あのクソ虫、超殺す……!!」)
 それぞれの思いを胸に、見つめあうことしばし。
「さあ! それでは王子様にアピールをしていただきましょう!」
 フリッツが、ばっ、と手を上げると同時に、女神様へのアピールを始める王子様達。
 そこに譲り合いの精神はなかった。

「ラン・ラン・ルゥーッ!」
 いつの間にか白塗りにチェンジしていたウィルダントはジャンクフードを差し出しながら踊る。
「うわきもいしねっ!」
 という声が聞こえたかどうかは定かでない。
「歌って踊って演奏を見ろ! 聞け! 踊れ!」
 土管に立ち、ボエーと歌いはじめるオメガ。
 ネフェルは、男は背中で語るもの……と、なぜかユバに背を向け、黙々と蕎麦を打つ。
 いつの間に振り向いたのか、これが拙者の本体のハンサム顔だ! と、覆面をとり、じっとこっちを見るラスキュー。
 その素顔に、麗しき清流が一瞬で汚いドブ川になったのだとか。
 まあとりあえずこっち見んな。
 シャルはキラン☆ と鼻眼鏡を輝かせ、かっこをつける。と思っているのは自分だけだ。
 ドギャ! バギィッ!
 カルアさんはその辺の木に吊るした木偶人形にすげぇ勢いでハイキックを決める。
 勢い良過ぎて、首がすぽーんてなっちゃったわけだが何のアピールなのかはさっぱりわからない。
「オゥゥゥライトッ!」
 ガマレイはガマレイで指とピックの動きを極限まで高め、即興のギターソロプレイを披露する。
 フォッグはどこから持ってきたのか、執事服で御茶いれに没頭している最中である。。
 ねえまたこんなんばっかなの? と思いきや、真面目にアピールをしようとする王子様もいるわけで。
 というかそれが本来の目的なわけで父さん。
「カクテル作れます。この場では不似合いですので、作りませんが」
 シズマがゆったりとした口調で答えれば、
「キヤカと申します。人より秀でたものは何もないですが……共に過ごす時間を大切にしたいと思っております」
 そっとお辞儀をするキヤカ。
 その視線の先にいるのは、ある女神様ただ1人である。
「セレナードだ。長所は興味があることなら精一杯頑張るところか。あと何事にも正々堂々臨むっ」
 びしっ、と言い放つセレナード。
 そしてライナスはハープを取り出し、静かで優しい恋の歌を歌い始めた。

●フリータイムは自由な時間
 まるっきり穏やかなアピールタイムを終えると、カフェへと移動する王子様と女神様。
 いよいよ本番、フリータイムの始まりである。
「ウィズ子様、こ、こちらの席にどうぞ」
 誰よりも先にウィズの手を取って席にエスコートするメロディ。
 テーブルには既に自分用の紅茶と人参のケーキを運び済である。
 どちらも大好きだけれど、本当はウィズと一緒にいられること、それだけで胸がいっぱいなのだ。
「ウィズ子様は、何したいなぁん?」
 おずおずと尋ね、時折目があうと、恥ずかしくて思わずそらしてしまう。
「ダンスというものは、1にリズム2にリズム、34もリズムで5もリズムです」
 アンジェリカにハーブティーを差し出し、隣に腰をかけるオメガ。
「恋は戦争ってどっかの誰かも言ってたし、男を全員始末すれば晴れてハーレムENDなぁ〜ん! モテ男は死ねぇいぶべらっ!」
 ラスキューは何が言いたいのかよくわからないのでとりあえずドブ川に沈んでもらっていることにする。
 一方シャルは鼻眼鏡をとり、アキバとユバに黙々とお茶を運んだり食事を運んだりしていた。
「絶対ぶっ殺す……!!」
 トメイトジュースをテーブルにぶちおきながら、イツキに殺意まみれの熱い視線を注ぐカルア。
「あんっ! んんんんっ!」
 当のイツキは何食わぬ顔でタクティカルなムーブを繰り広げていた。無論全裸。ではない。
「どうぞお座り下さいお姫様」
 そっと椅子をひき、ヴェールをまとったアトリに促すキヤカ。
「今日は素敵な御召し物で……可愛い! ……ティアラがよくお似合いです麗しき姫君」
 そしてそっとひざまずくと、手の甲に口づけをする。
 ちなみにキヤカはリアル女性で、アトリがリアル男性である。
 つまりはそういうことである。
「とりあえず、リラックスしない?」
 ある女神様の前に腰かけ、ソイラテを差し出すガマレイ。
「せっかくなんだから楽しまなくちゃ損よね♪」
 先ほどの情熱的な演奏とは打って変わり、穏やかこの上ないガマレイがそこにいた。
 
「はっ! 食べ残しが頬にっ!」
 レシュのほっぺたについていたクリームをとり、ぺろりと舐めるセレナード。
 男性がやったら訴訟だなんだとかいろいろ問題だが、女性と女性なので何の問題もない。の?
「んんんんっ! んはんっ!」
 そしてセレナードはどさくさに紛れイツキの後頭部になんとなく膝をいれた。
「ボーイのフリッツです。現在当方自慢のオリジナルドリンクを無料でサービス中です。仄かに甘酸っぱいこちらの飲み物、題して『ユバさんは男同士の絡ひでぼっ!!』」
 会心のドリンクを配ろうとしていたフリッツのドタマにどこからともなくすっとんできたハリセンが突き刺さる。
「お嬢さん、俺とティーしないか? ふふん」
 そこら辺にいる女神様に手当たりしだい声をかけていくハーリー。
 本人はイケてると思っているようだが、言うまでもなく完全に浮いている。
「本日は期待しておりますよ〜」
 そんなハーリーに、悪い笑顔とともに囁く女神様。

 ライナスは一人の女神様と他愛のない世間話を楽しむ。
 イベントの目的が目的とはいえ、こういったことにあまり慣れていないライナスは、このぐらいがちょうどよいのだ。
「みなさんなかなか楽しんでいるようで何よりなのです」
「うんうん!」
 フリータイムの様子を眺めるユバとアキバ。
「ククク……ククク……」
 そして白塗りのままユバの周りをニヤニヤしながらうろつくウィルダントは確かにきもかった。

●告白ターイム
「それではみなさんお待ちかねの告白タイムなのです!! 王子様はさっさとその思いの丈をぶちまけるがいいのです!!」
 先ほど不慮の事故により遠いところに旅立ったフリッツに再び代わり、声を張り上げるユバ。
 その声を受け、オメガはすっと前に出る。
 行く先は……もちろんあの女神様である。
「俺と新しいダンスを創作しませんか?! 宜しくお願いします!」
 アンジェリカの前に立ち、手を差し出すオメガ。
「男女の交際のことはよくわかりませんが、ダンスパートナーとしてなら是非♪ 一緒に踊り明かすのですよ〜♪」
「うおおおおおお!」
 オメガの見事な成功? に容赦なく盛り上がる王子様たち。

「ユバさんー! 俺だー! 付き合ってくれー!」
 花束片手にヘッドスライディングで特攻をかますネフェル。
「ちょーっとまったあああなぁ〜ん!」
「ちょっとまったあああ!」
「ちょっと待った〜」
 ネフェルに続きラスキュー、ウィルダント、そして何やらかわいい声のちょっと待ったコールが響く。
「はあ? なんなのですおのれらは」
 ユバ、完全に汚いものを見る目である。
「あ、これプレゼントのなまこです。酢の物にでもどうぞ(にこり)」
「オレは何度でも諦めない……ここに刻もうぜ! オレ達の愛のメモリーをッ!」
「おとといきやがれなのです。貴様はそのなまこでも刻んでいればいいのです」
 問答無用の一刀両断が炸裂した。
 ぼわんっ。
 そして次の瞬間ラスキューは泣きながら煙玉を使用し、違う世界へと旅立った。

「とりあえず、茶飲み友達から……ということで。あと、二十歳越えたら酒飲みに行きましょう」
 イージスの前に立つシズマ。
 何やら女神様方でごにょごにょと呟いたあと。
「……昼食会か、何かと……思ってた」
 キョトンとしながら呟くイージス。
 これは成功なのか失敗なのか非常に判断が難しいところであるが、そもそもイージスがこの会の意味を理解していなかったことを加味すると失敗。なのだろうか。よくわからん。
「地獄に落ちろ〜〜〜!!!」
 その横を駆け抜けるカルア。
 そしてそのまま愛しの女神様に駆け寄ると共にジャンピングキックを顔面にぶちこむ。
「おんどれ、俺がどんだけ苦労してここまで来たかー!」
 その後逆関節を決め、顔を下にした状態でジャイアントスイングをかます。
 ずべべべべ。
 当然投げっぱなしである。
「宝石やアクセサリー……と思ったけど心の篭ったものをと。美味しいお弁当はまだ上手に作れなくて……その分愛情込めて作りました。一緒に食べてくれますか?」
 花輪とお握りとともに膝まづきアトリへと差し出すキヤカ。
「しあわせにしてねっっ!」
 がばっとお姫様抱っこをされるキヤカ。
 完全に逆であるが、いろいろな面から考えるとこれが正常だったりもする。
 
 レシュの前に立つセレナード。
「ちょっと待ったあ!」
 と、タージからちょっと待ったコールが響く。
「レシュ大好きだ! なめこの味噌汁を毎日作っておくれ! お願いします!」
「闘技大会で同じチームになった時から……お願いします!」
 しばしの沈黙の後。
「……では、先ほどクリームを取っていただいたということで」
 すっとセレナードの手をとるレシュ。
 後の話によると、その時あたりには百合が咲き乱れていたのだとか。
「ん……やはり自分には縁遠いか……」
 少し自嘲気味に笑みを浮かべながら、タージは立ち去る。

 マイユの前に立つライナス。
「貴女が、好きです」
 ただ一言だけ告げ、朱赤の薔薇の花束を差し出す。
「まずはお友達から始めましょう、ね?」
 すっと花束を受け取ると、マイユはにこりと微笑む。
「ありがとうございます」
 そしてライナスは、すっとマイユの手をとった。
 ウィズの前に立つメロディ。
 モジモジと上目遣いをしながら、なんとか服を掴んで頑張る。
「もっと前からウィズ子様を知っていると感じたなぁん。桃色コスモスとドングリで作った冠と首飾りをウィズ子様に贈るなぁん」
 冠を差し出すメロディに、
「おう! ずっと愛してやんぜっ!」
 力強い声をあげるウィズ。
 
 そして告白タイムは以上をもって終了したのだった。

●その後のひととき
 ウィズを背中に乗せ、弾む足取りで嬉しそうに歩くメロディ。
「……世の中のカップルは皆呪われてしまえばいいのに」
 楽しそうに踊るオメガとアンジェリカを濁った瞳で見つめながら呟くネフェル。
 今日の晩御飯はご飯大盛りである。
「フゥ、良い仕事した」
 シャルは汗が飛んだ鼻眼鏡をキュッキュと磨く。
「とっても美味しいですね」
 アトリとお握りを食べるキヤカ。
 アトリの頭には先ほどの花輪がちょこんとのっている。
「うおお〜我を受け入れぬねるとんなどこの世界に必要ないのだ〜嫉妬魂見せてやるオールハイルうぎゃあああ」
 すべての恋に破れた王子様が街の自警団の方々に連行されていかれちゃった気がするが、みなさんの今がよければそれでいいのである。

「ぶっころおおおおす!!」
 非常に物騒な怒号が響いているような気もするが、みなさんの今がよければそれでいいのである。


マスター:湯豆腐 紹介ページ
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