毎年恒例ティアナ祭



<オープニング>


●チキンレッグ領
 インフィニティマインドが宇宙に旅立ってから5年後の12月26日。
 今年も無事にティアナ祭を開催される事になった。
 相変わらず、規制が緩くなる事はないが、ルールの隙間をついて出される如何わしい本の数々。
 その本を規制するため、動く者達……。
 ちなみに今年は、子供からお年寄りまで楽しむ事の出来る一般向けがカーネル会場。
 大人だけが楽しめる本は、バーレル会場。
 そのため、バーレル会場は未成年は立ち入り禁止。
 とっても怖いお兄さんと、お姉さんが入り口を塞いでいるとか、いないとか。
 もちろん、コスプレスペースも充実。
 平和になったせいもあるのか、コスチュームにお金を掛ける人も多いらしい。
 そんなわけで今年も参加者募集中のようである。


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参加者
NPC:温泉エルフ・ティアナ(a90006)



<リプレイ>

●カーネル会場
「初めてのティアナ祭り……。何だか緊張しますね」
 胸をドキドキとさせながら、黄昏の守護竜・ラーズ(a64111)がカーネル会場を歩いていく。
 カーネル会場では、子供からお年寄りまで楽しむ事の出来る一般向けの本が売られており、マッタリとした雰囲気が漂っている。
 今年も人気があるのは、ドラゴンとの戦いを描いた冒険譚。
 以前までは、多くの実話が盛り込まれていたが、平和になってしまったせいか、売られている冒険譚の大半は創作されたものだ。
 それでも、平和になって刺激を求めている読者達にとっては楽しいらしく、『早く続編が読みたい』と毎月のようにファンレターが届いている。
 そのため、ティアナ祭を毎月、開催するという案も出たようだが、同人作家の大半が『殺す気か!』と抗議してきたせいで、夏と冬だけ開催される事になったらしい。
 だが、締め切りに間に合わない同人作家も多いため、年2回必ず同人誌が出ているというわけではないようだ。
「さて、目当ての本は……」
 一冊一冊手に取りながら、ラーズが目的の本を探し始める。
 ラーズが探している本は、園芸や料理に関係したモノ。
 最初に取った本は冒険者を引退した老人の描いた園芸本。
 心の底から園芸を愛しているのか、本に描かれている絵は、すべて老人の手書き。
 筆を使った独特のタッチが、ラーズの興味を引いた。
 続いて手に取ったのは、料理に目覚めた少女が描いた料理本。
 可愛いお嫁さんになるため、料理を作り続けた乙女の奮闘記にもなっているのだが、絵入りで分かりやすく描かれているので、料理の初心者でも簡単に料理を作る事が出来そうだ。
「……おや。随分と変わった表紙ですね」
 目の前に置かれた本を手に取り、ラーズがペラペラとめくっていく。
 本のタイトルは『園芸と料理の奇跡のコラボレーション』。
 略して『園芸料理』である。
 元々は作者が園芸からヒントを得て、料理を作り始めたのがキッカケだが、あまりにも奇想天外な内容にラーズも言葉を失った。
 だが、読み物として面白かっただけなので、買うほどのものではない。
「ふむ……、これにしますか」
 ラーズは値段の割に内容がしっかりしている同人誌を選び、恋愛関係の本を求めてバーレル行きの船に乗り込んだ。

●バーレル会場
「ククク、よもやこの俺がこんなオタクルックに身を包むなど、神々でも思うまいよ……!!」
 含みのある笑みを浮かべながら、水芭蕉が見た夢・オゼ(a78111)がバーレル会場に入っていく。
 オゼの格好はリュック・バンダナ・眼鏡に加え、裾を(Gパン風の)ズボンの中にしまったチェック柄のシャツや穴あきグローブなどの完璧なオタクルック。
 普段の自分なら決して着る事がないような服装。
 すなわち……、変装である。
 この格好をしていれば、例え顔見知りがいても、決して気づかれる事はない。
 あまりにも完璧な変装にオゼですら鏡を見て、『誰だ、コイツは……』と思ったほどである。
 それに例え気づかれたとしても、よくオゼを知っている者ならば、逆に本人とは思わず、『よく似た別人』と解釈するだろう。
 そんな事を考えながらオゼが迷わず成人向けコーナーに向かっていると、入口の方で何やら騒がしい声が……。
「……って、おい! 俺はれっきとした大人だっつーの!」
 その声の主は、陣風若旦那・ミヒャエル(a01793)。
 23歳になってさすがに色々な事が分かってきたため、バーレル会場にやってきたのだが、入り口に陣取っていた係員達に取り押さえられ、納得のいかない様子で両脚をジタバタさせている。
「いや、子供だろ」
 と係員Aが呟くと、係員Bもすかさず、
「間違いなく、子供だ」
 と答えを返す。
 ふたりとも早朝から入り口の警備をしており、数え切れないほどの参加者達をチェックしてきたため、死んだ魚のような目になっている。
「ふ、ふざけるな! 俺を子供と間違えるなんて、お前達の目は節穴か!」
 これにはさすがのミヒャエルも怒り狂い、拳をブンブンと振り回したが、係員達はまったく悪びれた様子もなく、
「いや、間違いない。こいつはクロだ」
 と断言した。
 どうやら、係員達は参加者達があの手この手を使ってチェックを潜り抜けようとしていたせいで、とても疑り深くなっているようだ。
 そのため、温泉エルフ・ティアナ(a90006)が慌てた様子でミヒャエルの傍まで駆け寄り、
「ふ、ふたりとも、落ち着いてくださいですよぉ〜。その人は私のパパさんです〜」
 とフォローを入れる。
 これには係員達もビックリ。
 お互いの顔を見合わせ、
「ま、まさか!?」
「う、嘘だろ!!」
 と信じられない様子。
 だが、ティアナが嘘をついているとは思えなかったらしく、『すいませんでした!』と地面に頭を擦りつける勢いでペコペコと頭を下げた。
「ふたりとも、久しぶり」
 爽やかな笑みを浮かべながら、紅い魔女・ババロア(a09938)がティアナ達に話しかける。
 久しぶりに会ったハバロアはオシャレな眼鏡を掛け、ゴス系の着衣をバッチリと決めていた。
 現在は年下のエルフの重騎士と結ばれ、とても幸せそうである。
「おー、ハバロアさん久しぶりですよー」
 満面の笑みを浮かべながら、ティアナがガッチリと握手を交わす。
 ババロアと最後に会ったのは数か月前。
 ティアナが同人誌を描き上げるため、部屋に閉じこもる数日前の事だ。
「それにしても、随分と大胆な恰好ね」
 彼女の格好をジックリと眺めた後、ババロアがクスリと笑う。
 ティアナは胸元を強調する大胆なコスチュームを身につけており、こうしている間も参加者達の注目を浴びている。
「で、でも、一生懸命アピールしないと、せっかく作った本が売れないですよー」
 恥ずかしそうに頬を染め、ティアナが慌てて胸元を隠す。
 そのおかげか同人誌も完売したらしく、彼女のブースにはスケッチブックの山が積まれている。
「お客さんにアピールするのはいいけど、もっとアピールしなきゃいけない人がいるでしょ? 正式に結婚したんだから、そろそろ赤ちゃんを作らないと。はい、これ」
 ティアナの事をからかいながら、ハバロアが一冊の同人誌を渡す。
 その本はババロアの著作で、テーマは赤ちゃんの作り方。
 とは言っても、決して如何わしいモノではなく、これからお母さんになる方向けの本。
 同人誌の内容はエルフの翔剣士とストライダーの忍びの夫婦がコウノトリ様に祈るところから始まり、偽コウノトリの陰謀……通称チキンレッグと戦い、試練の果てにコウノトリから子宝を授かる冒険活劇。
 戦闘の後にはチキンの料理レシピが載っていて、一石二鳥の本である。
「そ、それよりも、こんな過激な同人誌を売っていいのか? 世の中が平和になったからって、やばくねぇ?」
 返答に困って顔を真っ赤にしながら、ミヒャエルが近くにあった同人誌の内容をチラリと見た。
 その同人誌は何箇所か修正されているが、それでもアダルトな雰囲気が漂っている。
 ……それもそのはず。
 何とかして修正を免れようと同人作家達が考え、検閲官との熾烈な攻防を繰り広げてきたのだから……。
「でも、逆にモザイクがある方がエロイ気と思うぞ」
 同人誌を読みながら、逆位置の運命・ブリザック(a60343)が感想を述べる。
 ブリザックが発刊している同人誌『どらぶら!』も、規制に引っ掛からないように修正されているが、想像を掻き立てるような描き方をしているので余計にエロい。
 ちなみに同人誌は、ケモナー(リザードマンやソルレオン、動物系が好きな人)やドララー(ケモナーのドラゴン系バージョン)に絞り込んだ擬竜人化(擬人化のドラゴンバージョン)、ロード勢揃いの碎輝総受け獣八禁(ケモナー・ドララーなどの18禁)本。
 その甲斐あって売れ行きも良いらしく、完売間近となっている。
「確かに凄い内容だからなぁ。その上、修正を加えたせいで余計にエロイ……。モザイクって凄ぇな……」
 しみじみとした表情を浮かべながら、 気まぐれすぎる猫人・キリーズ(a78099)が同人誌をざっと読む。
 朝からずっと気になっていたのだが、ブリザックが来るまで店番していたため、他の同人誌を手に取って読む機会がなかったが、改めて同人誌の内容を読んでみると、どれもエロイ。
 おそらく検閲官もこれ以上に過激な内容の同人誌を読んでいたため、脳がマヒしてしまっているのだろう。
「ちぃ……、今年もこんな本を……悔しい、だが、買っちまう……!」
 悔しそうな表情を浮かべ、オゼが『メロディアハード』を手に取った。
 『メロディアハード』は『同盟冒険者がスイートメロディアを、攻略していく様を可能な限り如何わしく誤解させるように書かれた本』で、みんな『けしからん!』と言いながら買っている。
 表向きは『こんな如何わしい本が置かれていたら、冒険者達が誤解されてしまう』と言う事だが、何故かまわりの目を必要以上に気にしている参加者が多い。
「それなら『どらぶら!』もオススメだぞ」
 とブリザック。
 一瞬、二人の目があった。
 ふたりとも……、気づかないフリ。
 それが紳士のエチケット。
「あっ、ブリザック。そろそろ交代の時間じゃないか。知り合いで結婚した奴がいるから、子供用の絵本を買い行きたいんだ。もちろん、その絵本はカーネルで買うが」
 ブリザックからツッコミを入れられる前に、キリーズが予め釘をさす。
 それにバーレル会場で買った本をプレゼントした日には、無事でいられる保証がない。
 何よりも、そっち方面にまったく耐性がない相手なので、プレゼントすべきではないだろう。
「それじゃあな」
 そう言ってキリーズはカーネル行きの船に乗り込んだ。
 こうしてティアナ祭は今年も無事に開催する事が出来た。
 これから何年続くか分からないが、同人誌を愛する者達がいる限り、ずっと続いていくかも知れない……。


マスター:ゆうきつかさ 紹介ページ
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