ドリアッドの子供を助けて!



<オープニング>


●ドリアッド領救援
 リザードマンの同盟西部への侵攻。
 その嵐は、同盟諸国だけでは無く、ドリアッドの小国にも及んでいた。
 深い森を天然の防壁として好戦的なリザードマンの侵攻を防いでいたドリアッドの国が、大挙して押し寄せたリザードマンの冒険者達によって陥落寸前であるというのだ。
 それを告げたのは、一人のドリアッドの少女。

 列強種族であるドリアッドからの申し出に対して、早速円卓の間での協議が行われた。
 ドリアッド領への救援を行うか否か。
 100人の旅団の長による会議は、夜を徹して行われた。

 そして、その結果、ドリアッド領へ救援を行う事が決定したのだ。

●救援の意味と意義
「リザードマンによって苦しめられている、ドリアッドの国の人々を救う……。これは、とても重要な事です」
 霊査士のリゼルは、酒場に集った冒険者にそう告げる。
 なにを当たり前な事を……、困った人を助けるのは当然じゃないか? そのように思った冒険者達は、リゼルの次の言葉に少しだけ驚いた。
「進軍の安全と兵站の安定供給は、この作戦に掛かっているのですから」と。
 今回の作戦には、ドリアッドの森に住む人々に『同盟諸国の冒険者は味方である』という事を知ってもらうという目的もあるのだそうだ。

「よく考えてみれば判ると思うけど……ドリアッドの森の人々にとって同盟諸国は、交流の無い隣人でしかないのよね。そこの冒険者が大挙して押し寄せれば、どうなると思う? 警戒させてしまうわよね」
 確かに、その通りかもしれない。
 もし、現地の人々にリザードマンと同じ侵略者だと思われたならば、今後の戦略に大きな影を落とす事になるだろう。
「ドリアッドとの同盟が成立しても、リザードマンに占領されている地域の人々にその事実はすぐには伝わらないでしょうし、結局、自分達でやるしかないのよねぇ」
 リゼルは、そう言うと、依頼の内容について説明を始めた。

「貴方達への依頼は簡単だけど、ドリアッド達への対応次第では一気に難しくなるかもしれないわ。えっと、森で道に迷ったドリアッドの子供達を助けて欲しいの。森にはリザードマンもたくさん居るみたいだから、リザードマン達よりも早く、ドリアッドの子供達を見つけないと危険なのよ」
 リゼルが言う事には、ドリアッドの子供は五人。ドリアッド達がリザードマンから逃げてくる時に、その子供達は親とはぐれたという話だ。
「子供だから、たぶん同盟諸国の人達に対しての恐怖心はそんなにないと思う。だけど親たちとはぐれてしまったドリアッドの子供達は、空腹と恐怖でどんな対応に出てくるか解らないわ。だから、その警戒心を解いて、その後にドリアッドの集落まで子供たちを送り届けてあげて欲しいの。宜しくお願いするね」
 そして最後に、リゼルは人差し指をびしっと立てて。
「そうそう、最後に……リザードマンを退治したら、自分たちは同盟諸国の冒険者で、子供達を救援に来た事を、集落の人達に伝えてあげて欲しいの。多少の嘘や誇張は全然大丈夫だから、私達が敵じゃないって言う事を宣伝してきてくれれば良いから、ね」
 ドリアッドの子供たちの救援はともかく、一番の目的は宣伝活動だったりする。

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参加者
大樹で遊ぶ曲芸師・タロット(a00134)
厄災の萌・カール(a00521)
蒼浄の牙・ソルディン(a00668)
妖精弓の射手・シズク(a00786)
ブランネージュ・エルシエーラ(a00853)
鋼鉄の護り手・バルト(a01466)
闇に潜む隠士・シュルツ(a01563)
狂刻の牙・ウォーレン(a01908)
重装呪装駆逐猟兵・メイプル(a02370)



<リプレイ>

●救出
「……よし、誰も居ないね」
 ストライダーの忍び・タロット(a00134)は、一人仲間より先行してリザードマンの姿とドリアッドの子供達の姿を探す。
 しかし森の中は薄暗く、見通しもかなり悪い状況。
 タロットは、ヒトの狂戦士・ウォーレン(a01908)が聞き出した森の簡単な地図を手にし、リザードマン達の居場所を予測しながら進む。
 自分の足跡を消し、リザードマンに察知されないよう注意しながら進む。いつリザードマンと遭遇するかも分からないという、僅かな不安を心に抱く。
「子供達……必ず助けてやるからね」
 どこかでお腹を空かせているであろうドリアッドの子供達の事を心配しながら、タロットは森の中を進んだ。

 一方、タロットから離れて後ろを付いてくる本隊。
 妖精弓の射手・シズク(a00786)が子供達の足跡を探し、ヒトの翔剣士・ソルディン(a00668)がその足跡を隠しつつ進む。
「これ……かな?」
 シズクの見つけた足跡は、5人の幼い物。間違いなく子供達の物だ。
 その足跡は、左右へふらふら。子供達の疲弊の様子が足跡からも見て取れる。
「これは……早く子供達を見つけないといけませんね」
 ソルディンの言葉に頷き、地図を見ながら進むシズク達に、タロットが戻ってくる。
「子供達がいたよ。腐った木の根元、空洞になった幹の中に隠れてる」
「そうですか……では、向かいましょう。タロットさん、リザードマンの警戒、宜しくお願いします」
「うん、分かったよ。子供達、絶対に助けてやってね」
 ブランネージュ・エルシエーラ(a00853)の言葉に頷くと、タロットはリザードマンの警戒に、そして他の冒険者達は子供達を怖がらせないよう足音を消して、木の根元へと向かった。

「ぼ、ぼ、ぼくらは負けないもんっ! ぜったいに、ボクが守って見せるもんっ!」
 声を震わせて両者の間に立つのは、ドリアッドの男の子。他の子供に比べて体も大きい彼はこの子供の中のリーダー格だろう。
 どうやら冒険者達を敵だと勘違いしているようだ。
 ヒトの武人・カール(a00521)が一歩前に出てしゃがみこみ、子供たちと同じ目線になって、微笑みながら話しかける。
「俺達はキミ達の敵じゃないよ。キミ達のお父さん、お母さんに頼まれて、キミ達を探しに着たんだよ?」
「う、う、うそだっ! そうやってボク達を騙して連れ去ろうとしているんだっ!!」
「嘘じゃないよ。俺が嘘言っているように見えるかい?」
「見えるもんっ!」
 ぐさっ。
 少し傷つくカール、少しこめかみの辺りがぴくぴく震える。
 そんなカールの肩を叩くのは、鋼鉄の護り手・バルト(a01466)。
(「……お互い苦労するな。子供に好かれないって……」)
(「ああ……全くだよ……俺まだ29歳なのに、な」)
 二人の前に出てくるのはルシール。バルトに言われた子供達の名前を思い出しながら、一人一人の顔を見つめてヒヅキと一緒に優しく微笑む。
「えっと……貴方はディールちゃんかしら?」
「……な、何でボクの名前知ってるの?」
「貴方はリルルちゃん、ミーファちゃん、ドリーちゃん、アルルちゃん。普通、襲い掛かってくるような人は、貴方達の名前なんて知らないでしょ?」
「……う、うん」
「私達は同盟諸国の冒険者達なの。貴方達のお父さんやお母さんに頼まれて、貴方達を助けて欲しい、ってね」
 エルシエーラがそう話しながら、ちょっとずつ近付いていく。
 子供達は名前を告げられた事で、警戒心が少し薄らいでいた。
「どうめいしょこく? ……パパやママが言っていた、ちょっと離れた国の人?」
「ええ。ほら……貴方達のお母さんからの手紙があるわ。必ず私達が貴方達を集落まで送り届けてあげるから」
 ヒヅキが見せた手紙には、子供達の母親の筆跡で心配している旨が書かれている。
 そして、最後にストライダーの重騎士・メイプル(a02370)が、子供達の目を一人ずつ見て。
「ボクたちのことを信じて欲しいんだ! きっと、両親に会わせて見せるから!」
「……」
 子供達は言葉を失う。そして……シズク達の所にやって来て。
「……お腹空いたよぉ〜、怖かったよぉ〜〜」
 今までの不安が一度に噴出し、わんわんと子供達は泣き始めた。

 髪の長いドリアッドの子供の髪を梳きながら、怠惰なる虚無・シュルツ(a01563)は幸せに浸る。
 そんなシュルツを見上げて。
「ねぇ……シュルツお兄ちゃん」
「ん、どうしたのかな?」
「絶対に、リザードマンをやっつけてね。私達、怖かったの……いつ襲われるかもしれなかったから、すっごく怖かったの」
 涙目になる子供の頭を更に撫でてシュルツは。
「大丈夫。絶対に送り届けてあげるから、ね」
 と微笑んだ。

●近付く足音
 冒険者達が子供に接している間、タロットはリザードマンの姿に注意しながら集落への道を進む。
 そして、その間にリザードマンの集団を見つける。そして彼らは次第にこちらへと近付いてきていた。
「……来るね。そしてこっちに近付いてる……戦うしかない、か」
 とタロットは判断すると、子供達の所へと戻る。
 冒険者達が着てくれたお陰で安心しきっている子供達。彼らを怯えさせないよう、タロットは耳打ちで仲間達に伝える。
 そして、子供達を怯えさせないようメイプルとカール、そしてラジスラヴァの三人に子供の護衛を任せ、ここから離れてもらう事にした。
「それじゃタロットさん。リザードマンを倒したら連絡してね♪」
「子供達は私に任せて。もし敵が来ても眠りの歌でリザードマンを眠らせてあげるから♪」
「又後でね……リルルちゃん」
 シュルツは又、髪の長い子供の髪を撫でながら別れる。
 そして冒険者達は、リザードマンの足音が近付くと共に、木々の陰に隠れた。

 数分後、リザードマン達は先程まで子供達が居たこの場所へとやって来る。
 周囲をきょろきょろ見渡す一匹のリザードマン。
「おかしい。誰もいない」
「聞き間違いだろう。行くぞ、集落を襲撃すればたくさんの奉仕種族が手に入るんだからな」
 下品に笑うリザードマン達。その姿を見て。
「……来ましたね」
「ああ……エルシエーラ。俺の合図と共に頼むぜ」
「ええ」
 一言二言呟くと、バルトはリザードマンの前に一人現れる。
「集落は落とさせないぜ」
「あん? 同盟諸国の奴らか。ドリアッドに救援要請を受けてやって来た、と」
 リザードマンはそう言うと、武器を手にした。
 1対6。自分達の方に絶対的な分があると、油断するザードマン。
「エルシエーラっ!」
 バルトの掛け声と共に、木からエルシエーラとシズクの二つのホーミングアローが放たれる。それと共にルシールの衝撃波がリザードマンに放たれた。
 狙いはリザードマンの後ろに待機する術士系のリザードマン。術士のリザードマンを倒せば、小賢しい魔法は来なくなると予測したからだ。
 しかし、前衛のリザードマンの背後に隠れた術士は、アビリティを使用しようとする。
「これ以上は、どこにも踏み込ませませんよ……っ!」
 エルシエーラがそれを見計らって、矢の連射を放つ。アビリティは集中を削がれて明後日の方向へと飛んでいく。
「オラオラオラっ! 行くぜマッスルチャージっ!」
 ウォーレンのマッスルチャージが発動し、その筋肉が盛り上がる。
 リザードマンに走り寄り、体当たりでリザードマンをなぎ倒し、下敷きになったリザードマンは起き上がろうと必死にもがき、そこにソルディンが刀を振り落とす。
 ウォーレンとソルディンの連携によって、確実に一匹ずつ仕留めていく。そして他のリザードマンの攻撃はバルトが一手に引き受けていた。
 一方術士のリザードマンは、集中攻撃を受けながらもその狙いを一人へと集中させる。
 対象はシュルツ。シュルツ自身も、その攻撃を一手に引き受けるよう動いていた為だ。
 そして……リザードマンは仲間を盾にしてアビリティを使う。
 光の球が湧き、シュルツの体を射抜く。シュルツはその衝撃に吹っ飛ばされる。
「ぐぁっ……」
「シュルツ!」
 シズクが叫び、ヒヅキが駆け寄る。
「私は大丈夫……あいつらを早く倒すんだ!」
 仲間が倒れたという衝撃に、残りの冒険者達は術士への間合いを詰める。
 防御の弱い術士は間合いを詰められ、動けなくなってしまう。
「シュルツを傷付けた痛み、許さないんだからっ!」
 シズクのホーミングアローが、最後に残ったリザードマンの頭を射抜いた。

 戦闘後、タロットがメイプル達の所へと現れて。
「終わり。リザードマンは全員倒したよ」
「そうか。良かった……それじゃ戻るか集落へ」
 カールは少々疲れていた。子供達の要望を全て聞き、彼らの元気に振り回されていたから。
「もう、子供のお守りはこりごりだぜ……」

●ドリアッドの集落
「うぇーんっ! ママ、怖かったよぉー」
 母親を見つけるなり、冒険者の手を抜けて走り出す子供達。
 母親の胸に抱きつき、泣き始める子供達の姿を見て、冒険者達はほっとする。
 そして、母親の一人が抱いたまま冒険者に近付き。
「本当にありがとうございました。皆様のお陰で……子供達全員、無事に戻ってこれて」
 そう言いながら子供の髪を撫でる。
「俺達は同盟諸国の者として、貴方達ドリアッドの救援に来たのです。俺達同盟諸国はドリアッドの救援を約束しています。村の方々、そして近隣の村の方々に伝えて頂きたい。『我々は絶対に貴方達を見捨てない』と」
 バルトの言葉に続けて、ソルディンも。
「この集落を襲おうとしていたリザードマン達は、私達が倒しました。でも、まだ危険は去った訳ではありません。もう暫く、皆様には不安な生活が続くでしょうが……必ず助け出して見せます。今後も我々と貴方方が有効な関係で居られる事を」
 と話した。
 母親は、周りの村の者に伝える事を約束する。
 そしてソルディンは、別れる直線に、女の子の髪を撫でながら。
「美人に成長したら……数年後にお茶でもご一緒しましょう」
 と囁いたらしい。


マスター:幾夜緋琉 紹介ページ
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