約束の木〜尻尾の音語り〜



<オープニング>


 暫しの逡巡の後、意を決して踏み出した足はついに酒場へと至る。
 もう随分長い間、遠退いていた場所。仄暗く、静かな喧騒が支配しているその場所に、いつもと変わらず――記憶の中の姿と変わらず、彼は居て――。
 姿を見つけた時、彼女の心は加速した。口の中はからからに乾ききっている。
「――た」
「た……?」
 灰色じみた黒の眼差しが、さして驚きの色も挟まず彼女を見遣った。
 此処は彼が――霊査士である彼が、冒険者を送り出す場所にして冒険者の帰りを待つ場所。何年経とうとその本質は変わらない。故に。彼の淡々とした表情も仕草も普段通り、数年来の筋金入り。
 数日前にはインフィニティマインドに乗って駆け巡っていた星空が、今は遠く――代わりに、すぐ傍に在るもの。変わらずにそこに在るものを見て、彼女は安堵した。そして。
「ただいまーっ」
 一度は飲み込んだ言葉を笑顔と共に吐き出す彼女に「おかえり」――と。
 応えた彼は、微かに笑った様に見えた。

●二人の約束
「約束の木を見に行こう?」
 夜の酒場。星影・ルシエラ(a03407)の前には、温かい飲み物。
 肌寒い夜空の下を駆けて来た彼女に、黯き虎魄の霊査士・イャト(a90119)が勧めた物だった。最初の内は空白の時間を気にしてか、ぎこちなく手探りの会話をぽつりぽつりと続けていたルシエラだったが、その内に彼の『間』を思い出す。忘れた頃に返って来る、ごくごく短い言葉。それ以上、話が発展せずに終息してしまう事も含めて「いつもの彼だ」と再認識した時、彼女はもう躊躇わなかった。
 とはいえ、それは、思い切って発した台詞には違いない。
 隣に座る彼の顔をまともに見られないまま、両手でカップを包み、白い湯気を吹き散らしながら、彼女は彼をホワイトガーデンに誘ったのだった。言葉足らずに気付いてすぐに付け足す。
「――今度のイャトさんの誕生日にね」
「………それは、大分先の話だが」
「ダメ?」
「……………。断る理由は、特に無い」
 たっぷりの間はその日一番の長さ。
 だが、どうやら「OK」と捉えて良いのだと判断して満面笑顔になるルシエラ。
「よかった♪」
 いっぱい約束を聞いてる『約束の木』に曲を聞かせに行こうよ、二人で。惑星で習って来た曲も。
「………何?」
「だから、イャトさんも楽器持ってねっ」
「………まぁ、構わんが」
 ふたりで。その部分を小さく復唱しながら呟いて、何かを飲み下す様にゴブレットを口に運ぶイャトを楽しげに見ながら、ルシエラは彼の地に思いを馳せる。
 雲の上の大地、綺麗な花々、空には消えない虹の円環。お弁当は、途中で何処かの村に寄って何か分けて貰おう。例えば甘くて可愛い木の実やふわっふわの砂糖菓子、今まで食べた事がない様な物も其処にはある筈。それから約束の木の丘で、お喋りと楽器演奏を思う存分楽しもう。
 以前一緒に見ていた海の青とは違う、天の青をイャトさんに見せたい。一緒に見たい。
 そんな想いを一言に込めた。
「きっと楽しい日になるから、イャトさん、行こう?」
 返事を待つ。待っている間に、カップの中身を飲み干して手持ち無沙汰。
 空のカップを見つめて、もうちょっと待つ。と、横からぽつりと聞こえて来る。
「――その日は、俺が迎えに行くべきかね?」
 きょとん。
 ルシエラは瞬いてイャトの顔を見た。彼の視線はゴブレットの中に注がれたままだ。
 みるみる頬が緩み、心が弾むのを自覚しながら彼女は再び口を開いた。
「ルシが誘ったんだもん。イャトさんはいつもと同じで良い――!」
「……そう、か。では」
 ――約束。
 忘れてなければ覚えておこう、と、小指を繋いで彼は言った。
 それは、約束。再会の夜に交わされた二人の、少しだけ気が早い約束だった。

 そして、翌年7月。約束の日が――やって来る。


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参加者
星影・ルシエラ(a03407)

NPC:黯き虎魄の霊査士・イャト(a90119)



<リプレイ>

●歩み寄る一歩
 白い。それが実際にその地に立ち、景色を視界に納めた彼が抱いた第一印象だった。
 少しだけ目を細めたのは、自然光に目が慣れないせいばかりではなかったかもしれない。
 白い雲上の世界に七色の虹、色とりどりの花。遠くに豆の木の緑。思った以上に近い空の青。
 すぐ近くに、少し先を歩く青紫色が何より色鮮やかに映える。それは彼女――星影・ルシエラ(a03407)が着ているワンピースの色だ。銀色の鳥の刺繍が施されている。その上にリュックサックを背負ったカジュアルないでたちだが、いつもポニーテールにしていた銀色の長い髪が今日は解かれて、ルシエラが跳ねる様に歩いたり振り返ったりする度にふわふわと踊る。揺れる尻尾と一緒に、全身が彼女の気持ちを表しているかの様だ。
「見た見た? イャトさん、水! 水が流れてたー」
「……そうだな」
 何を見たのかと思えばそんな事かと言いたげな、感情のない黯き虎魄の霊査士・イャト(a90119)の声。一緒に観光しても面白くない人物として名が挙げられても仕方がないくらいの無愛想は、天上の楽園においても衰えを知らない処かますます磨きがかかっている様である。が、返事の中身にあまりこだわらないルシエラは、満面の笑みを崩す事なく軽やかに駆け戻って、足並みを揃えた。
 自分の言葉に反応が返って来るだけでも嬉しいのかもしれない。声は聞けるし、聞き流された訳でもない。それに、以前は追いかける側だった彼女が振り返って彼を待つのは少し新鮮だったから、ちょっぴり舞い上がってもいるかもしれない。
 歩く速度が珍しくゆっくりなのは、初めての場所だから?
 それとも自分がはしゃぎすぎて、早足になってしまっているのかな。
 二人で出かけるのはとても久し振りだし、それが二人きりとなると初めての事である。
 ――途中で立ち寄ったエンジェル達の村でも二人のペースは相変わらずで。
「かーわいー! ふわふわー。えっ、くれるの? ありがとー!」
 エンジェルの子供達が持って来てくれた手作りのお菓子や村で育った果物を見て瞳を輝かせるルシエラに対して、イャトは少し離れて景色を眺める態でそっぽを向いている。
 そして、そんな様子を見るにつけルシエラは、彼がこの類の甘いお菓子を『嫌いではない』事を思い出すのだ。
(「もしかして今凄く我慢してるのかな?」)
 ……なんて心に浮かべる瞬間もまた、彼女にとっては楽しいひと時。
「イャトさん、この果物は皮ごと種ごとだって♪」
 食べ方を教えてもらってほくほく笑顔のルシエラに寄り切られ、他人を装えなくなったイャトは曖昧な返事。そんな彼にも近付いて来るエンジェル。彼らがおずおずと差し出す同じ果物を、躊躇いがちに受け取って、小さく「……ありがとう」と呟く彼の表情は流石に幾分柔らかく見えたから、ルシエラの気分も一層晴れやか。とってもいい気分で見つめているのを気付かれた。
「……行くぞ」
「わ。イャトさん待ってー」
 目が合った瞬間にそんな台詞と共に身を翻すイャトの背中を、ルシエラは慌てて追いかける。急いでエンジェルの子供達にお礼を言って、荷物を抱え直しながら楽しげに。子供達が持たせてくれたバスケットから、貰った沢山の可愛い物が零れない様に気を付けて進んでいたら、少し先でイャトが立ち止まり彼女を待っていた。
 目の前に差し伸べられた手に、何を預けるべきかルシエラは一瞬迷う。
 自分の心に素直に従うなら手を預けたい。
「荷物を」
「………」
 持ってくれるのは嬉しいけれど。ルシエラの少し複雑な顔を見て、僅かに首を傾げるイャト。
「俺は至って身軽なものだし、お前は今にも転びそうで見ていられん。それくらいは持つ」
「ん、と。やっぱり欲しかったんだよね? お菓子☆」
「……違……」
 彼が言葉を飲み込んだのは、実は「違『わない』」からだと何となく察する。「違う」ならそう言えば良いのに、それすら本心と認めたくないのか、妙な所で意地を張るのも多分、彼らしさ。
「ありがとう♪ ――じゃあ、行こっか」
 敢えて触れずににっこり笑ってバスケットをイャトの手に預ける。そして、気を取り直して再び歩き出そうとした背中に少し遅れて届いた言葉に驚いて、彼女は本当に転びそうになった。
「………俺の手は、二本あるが」
「………」
「どうするかね」
「……! うん♪」
 ――繋いだ分だけ少し縮まる二人の距離。

●奏でる音の色
 一本の大樹が根を下ろす丘の上。木陰に二人並んで腰を降ろし、広げる荷物とバスケット。
 そよ吹く風に揺れる大樹の白花を見上げ、視界に共に虹の輪を映しながら、緩くグラデーションのかかった澄み渡る青と陽の光とを透かす様にして、色が遷ろう小さな果実に齧り付いた。
「あ、ま〜い」
「ん。………ん?」
「……今、油断してた?」
「………何故だ?」
「だって。――んーん。良いよね。美味しいんだもん♪」
「………否定はしない」
 開き直るイャトの無表情は、だが、どことなく顔色の様な物が窺える気がする。
 会わずに居た空白の期間があるとはいえ、それ以前の積年の付き合いと最近に至るまでの観察の成果に加え、ルシエラの持ち前の直感が働いているのだろう。
 雲の様にふわふわの砂糖菓子は、風に飛んで行ってしまいそうなほど軽くて、掌の上でさえ溶けてしまいそうで、急いで口の中に入れたら本当にあっと言う間になくなってしまった。
 無くなってしまうのが惜しいくらいに可愛くて美味しい昼食を終えると、暫しの休憩。
 ん、と座ったまま背伸びをして、ルシエラは何とはなしにイャトを見た。
 真直ぐにホワイトガーデンの大地の果てを見つめる彼は、何も語らない。今日は二人で色々な物を見て来た。雲の上もちょっとだけ歩いた。エンジェルの村、流れる水。丘へと至る道。虹色や木や花に囲まれて――この場所の景色を見せたかったのだと、ルシエラは言った。
 いつかの誕生日に遊びに行ったランドアースの海も忘れられない素敵なものの一つだけれど、それとは異なる水の青を。同じく、天の青も。
「今色の、生まれたての流れていく青を、イャトさんと一緒に見たかったんだ」
 お誕生日おめでとう、と。そっと伝える。
 イャトは静かに眼を伏せた。まるで景色を焼き付ける様だったと、ルシエラは後になってから思う。
「自分が今、雲の上にいると思うと不思議な感じだな」
「そうだね……♪」
 淡々と呟く声から彼の感情を汲み取るのは相変わらず至難の技だが、ルシエラは問題としない。彼女にとって大事なのは今此処に彼と共に在る事だ。そこに在るだけで特別と言える景色は、誰かと共有する時間と空間の中に幾つも存在するのだろう。

 数刻の後。丘には音楽が響いていた。
「音楽が足りない? って演奏誘ったけど足りなくなかったね。もっと素敵にしよう」
 と言い出したのはルシエラだった。穏やかな静けさの中にも小鳥や風の唄う声、自然が奏でる音が沢山ある。その中に自らも音を添え、奏でたくて。一人ずつね、と彼女がリュックサックから取り出したのは銀色髭と角で作られた銀海鯨の小琴だ。星の世界を巡る最中に見つけた大事な宝物の一つ。
 初めて目にする楽器が奏でる音と紡がれる世界に興味はあるのか、イャトは、じっとルシエラの手元を見つめている。星で習った祭の曲は軽やかに、陽気なリズムを響かせた。奏でる本人もとても楽しげ。味のある音。
 ――音に呼ばれて人が集い、別の楽器や音が加わって更に賑わう祭の光景が目に浮かぶ様だ。
 聴衆は約束の木や周辺の小鳥や花や風を除けば、イャト一人しかいないが、演奏を終えるとルシエラはぴょこんと頭を下げた。次はイャトの番である。彼がどんな音を奏でるのか、実はとても楽しみにしている。注目されるとやりにくいのか、イャトはルシエラの視線を躱す様に横を向いた。
 ルシエラは、ただ、じっと待った。大人しくしているとやがて、弦を弾く音。
 陽気な曲のすぐ後には不釣合いとも思える静かな旋律がイャトの指先から生まれる。
(「何だろう……? 子守唄かな?」)
 だとすると、それも彼には少々不似合いな選曲。
(「でも、好きだなー」)
 聴いていると不思議と心が落ち着いて来る様で。時折リュートの側面を叩く音も心地好く響いた。
「――。イャトさんの音、ルシには出せないね」
 イャトは視線だけ動かしてルシエラを見た。
「でも響いてきて好き。奏でる楽器も音も違うけど」
「……今のは調弦の為の曲だ」
「えっ?」
 目を丸くするルシエラの前で、空気が揺れた。微かな笑みが零れる気配。
「冗談だが」
 ええっ?!
 二度びっくりのルシエラ。だが――。
 ――本当は自分もよく知らない。何故か昔から知っていた曲で、身体に染み付いている。霊査士になる前、武道家だった時分にはよく仲間に聴かせていた心を鎮める曲だ、と。
 彼が続けたその言葉に嘘は無い様に思えた。
「……ビックリしちゃった」
「俺も、驚いた」
 イャトの視線の先にはルシエラが大事に抱える銀海鯨の琴がある。気に入ってもらえたのだろうか。ふふ、とルシエラは照れた様に笑った。先ほど途切れた言葉の続きを口にする。
「奏でる楽器も音も違うけど――いつか同じ曲を二人で演奏したら、音色が違っても、どこか綺麗に重なったら素敵って思って覚えたの」
 以前は楽しい時には自然に歌っていた。それを演奏に移すのは簡単ではないけれど。
「音が曲になるのは楽しい。言葉じゃなくても伝わるのは凄いね」
 心からの言葉。確かに演奏中の彼女はとても楽しそうだった。イャトが奏でる曲を聴いている時には至極、落ち着いてもいた。鎮まる心の内に響いて来たのはきっと彼の心。それが全てではないのだろうが、感じる何かが確かにそこに在った。
「………」
 無邪気とも思える感想に笑顔を添えるルシエラを、イャトは見つめる。その眼差しにふと過ぎった感情をルシエラは読み取れない。見間違いなのかもしれない。首を傾げるのが精一杯。
 イャトはそんな彼女にはっきりと微笑を浮かべて見せた。
「『いつか』と言わず、今。……やってみるかね?」
 どちらの曲でも。どちらからでも。
 そう言って彼が鳴らした最初の音に、ルシエラの表情が輝く。おたおたと琴の弦を調えながら。
「イャトさんの曲も教えてくれるの?」
「……そう問われると『イヤダ』と言いたくなるが」
 相変わらず素直ではないイャトのそんな言葉を聞いた。

●音語り、心語り
 音を重ねれば重ねるほど。嬉しさと、想いが募った。
 音を重ねれば重ねるほど。楽しいけれど不安になった。
 ――だから、訊ねた。
「ルシがいない時、たまーに寂しかった?」
 イャトは答えない。音は既に鳴り止んで、それぞれ楽器は傍らに。
 星海の旅を終えてからはいつでも会いに行ける喜びもあるが、会いたい時に会えない期間が長すぎたとルシエラは思っている。だから、願いを口にした。
「勿体無かった分、これからを思いっきり大好きなイャトさんとずーっとすごしたいな」
 もっと傍で、いい?
 色々一緒に見つけたいんだ。
 顔見る度に抱きつきたくなるのを我慢するのも、やめていいかな?
 いつか、いつも言って貰ってる「お帰り」を言ってみたいな――。
「………」
 イャトは答えない。
(「多すぎたかな? いつかみたいに……でも――」)
 それが、彼女の願いだ。抑える事はできなかった。そして全てを口に出してしまった以上、後戻りも出来ない。押し寄せる不安に胸が詰まりそうになった時、両目を後ろから塞がれた。
「な、なに……?」
 意味が解らなかった。イャトの両手は決して力を込めてはいないのに、何故だか振りほどけない。自分の手に思った以上に力が入らないのを自覚しながら、何とかイャトの手をずらして視界を確保した時、耳元に降って来る――声。
「お前に、俺の心を少しだけ、預けようと思う」
 ――?
 それってどういう事だろう。質問しても良いのだろうか。
「ルシエラの事、特べつ……むぐ」
 今度は口を両手で塞がれた。意識して口を噤むと両手の力が緩んだから、彼女はすぐに続けた。
「特別に大好……っ?」
 また塞がれた。黙る。緩む。
「かの……」
 また。
 それでも、どうしても意味を確認したくて、見上げる。
 ――彼女にしてくれる?
 彼女の瞳が投げかける訴えが通じた訳では、恐らくない。瞬きもせずルシエラを見下ろすイャトと、瞬き多めのルシエラと。眼差しを合わせたまま。ややあって彼女の口を塞いでいた手が不意に顎へと滑り、やっと喋れる、と開こうとした唇が封じられた。ルシエラの唇に触れているのは――。
(「あれ?」)
 と、思う一瞬の内に手も顔も離れ、そのままルシエラを解放したイャトは何も言わない。
 ルシエラも何も言えなかった。はっきりしているのは触れ合った唇の感触だけ――言葉はなかったが、それが彼の答えなのだと彼女は解釈し、おそらく正解なのだろう。そう結論すると同時に赤くなり、零れそうになる笑顔を零すまいと約束の木を見上げるその表情は、やはり笑顔。
 ――ありがとう、で良いのかな。とても、嬉しい。
「ありが――」
「ありがとう」
 重なる言葉に思わず振り返る、と、振り返りもせずにイャトが言ってくる。
「――と、今の内に言っておく。今までも、これからも世話になる……だろうから。俺は、帰る場所も決まった所がある訳ではない野良だから」
 せめて心の一欠片をお前が拾って帰ってやってくれ。
「……他の誰にも預ける事が出来ない箇所だ。――落とすなよ?」

 今だけは認めよう。俺はいつでも実につまらない見栄や意地を張るが、お前の様な者が居てくれたから、己を保つ事が出来たし、接している間はとても気が楽だった。
 今だけは白状しよう。それを認める事は、自身への最大の裏切りである。ともすれば一生涯、唯の一人にも心を許さずひっそりと朽ちて逝く事を強く望む己に対して、その薄っぺらい覚悟とやらを蔑み、見えるか否かのちっぽけな視野に泥を蹴り付け生きて来たものだ。いつからか。
 ――この丘を背にして地上に帰り着いたら、後はいつも通り。もう何も語らない。
 否。

 約束の木の下で。
 交わす二人の約束は、きっと未来に続いて行く。ならば、少しはその在り方も変わって往くのかもしれない。少なくとも彼女に対しては。
「また今度来てみない?」
 もう一度。いつかまた同じ曲をこの場所に、奏でに来るのはどうだろう。
 ルシエラの無邪気な提案に、イャトはふと笑む様に目を細めて応えた。変化は既に表れているのかどうか、相変わらず読めない声色で。
 ――気が向いたらな、と。


マスター:宇世真 紹介ページ
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星影・ルシエラ(a03407)  2009年12月19日 19時  通報
イャトさんとお散歩するのは、歩き方ちょっと違う・違わなかったりだろうけど、昔も今もきっとこの先も、大好き♪
好きと、好き?をいっぱい詰めまくってきいてみた。
近寄りたくて。
とっても嬉しくてありがとうだったけど、
ルシ、イャトさんの望みを尋ねなかったなぁと思った。
きき上手になろうと思う。尋ね上手にも。
「気がむいたらな」大好き。演奏も上手になりたい。
いろんな心を聞いて奏でたいな。イャトさんとずーっと一緒に