リザードマン暗殺部隊襲来



<オープニング>


 同盟領内に侵攻したリザードマンたちは、近隣の村々の破壊を続けながら、侵攻を続ける。
 その中で、少々変わった編成をしている部隊が、かなりの村や町を攻撃し続けているという連絡が入った。
 その部隊は忍びや翔剣士たちで構成され、素早い機動力が売りだという。
 逃げ惑う人々を素早い動きで翻弄し、レイピアで突き刺したり、背後に回って首にダガーを突き立てたりするのだ。
 中にはミストフィールドを展開して動きを鈍らせたところを、離れた場所にいる牙狩人が狙い打ちにするなどという作戦まで行なわれることもあり、静かに近づき、狙った獲物は一人も残さずに狩るこの部隊に人々は怯えきっている。
 そして、この部隊がまた新たな町に目をつけて、そこに向かっているため、それを阻止してもらいたいという依頼が酒場に持ち込まれた。

「……この部隊は、8人ほどのリザードマンで構成されているようです……。……正確な数は分かりませんが、どうも忍びが一番多いようですね……。……素早い動きとトリッキーな攻撃が得意のようですから、十分に注意して依頼にあたってください……」
 狂剣士など体力が自慢のクラスにつくことが多いリザードマンの冒険者にしては、珍しい連中だといえる。
 黒衣の霊査士イスラフェルは、既にリザードマンは町に到着し、破壊活動を行っているように視えたと冒険者たちに告げた。
「……町はそこそこ大きな場所ですので、連中もすぐには皆殺しにはできないことでしょう……。……街の人々を保護しながら、リザードマンを撃退してください……。……くれぐれも敵のペースに乗せられないように気をつけてくださいね……」

マスターからのコメントを見る

参加者
真白なる月夜・コウショウ(a00071)
流血女神・レミナーテ(a00212)
月狂佼童・ジオ(a00267)
力を求める者・ニック(a00270)
白銀纏いし紅の剣姫・フユカ(a00297)
業剣士・ジーグハルト(a00526)
黒衣の閃迅・レオニード(a00585)
関風の・エブリース(a00778)
赫キ瑩ニ想イヲ懷キテ・マロン(a00825)
邪竜導士・ツカサ(a00973)
星刻の牙狩人・セイナ(a01373)
不破の剣士・アマネ(a01528)


<リプレイ>

●恐怖に慄く町
 リザードマンの中でも、スピードやテクニックに秀でた者たちで構成された部隊に襲撃されている町がある。
 早速、この町の救援に向かった冒険者たちであるが、業剣士・ジーグハルト(a00526)は以前の依頼の雪辱を果たすべく決意を固めていた。
「前回は戦うことさえ出来ずに不覚を取ったが今度こそは……!」
 だが、今回の敵は動きが素早く、トリッキーな攻撃を仕掛けてくるのが多いため、正面から切り込んだだけでは勝算は薄いだろう。
 故に、冒険者たちは大きく分けて二つの班に分かれて行動を開始し、正面より敵を引付ける方の班に所属したストライダーの翔剣士・ジオ(a00267)は、その敏捷性を活かして家屋の屋根に上がり、辺りを見回した。
「うわぁ……。もう大分やられているみたいだね。皆、パニックに陥っているみたいだよ」
 彼の言葉どおり、既に町中の通りは逃げ惑う人々でいっぱいだった。
 何かに追われているのか、混乱してあちこちに逃げ惑い、前にいるものを押し合っている。
 こちらに逃げてくる住民を見つけたストライダーの忍び・ニック(a00270)は、この町に冒険者が来ていることを告げて、少し安心させると家屋に引きこもるように説得した。
「もうじき冒険者たちがリザードマンを撃退してくれるはずだ。だからそれまで、邪魔にならないように適当な家屋に逃げ込んでしっかり鍵を閉めて篭ってろ!」
 あえて彼は、自分たちがその冒険者であることを告げないで自分たちの周りに保護を求める人々が集まらないようにしておいた。
 こうして、町中に入り人々を逃がしている間に、前方に注意を払っていたヒトの武人・レミナーテ(a00212)は、人々を素早い動作で追い詰めてダガーで斬りつけるトカゲのような人間を見つけて声を上げる。
「いました! リザードマンの忍びかしら……。油断は禁物ですよ!」
 持っている武器から、相手のクラスは大体判別がつく。
 今しも、恐怖に慄く町娘の体にダガーをつきたてようとしているリザードマンに対して、ヒトの翔剣士・コウショウ(a00071)はそれを阻止すべく駆け出し、攻撃を放った。
「スピードでの勝負は……、負ける訳にはいかない」
 スピードラッシュにより素早い斬撃を浴びせ、リザードマンに幾つも裂傷を負わせる。
 いきなり冒険者に攻撃を受けたリザードマンは、慌てて距離をとると、武装した冒険者たちを確認して憎憎しげに舌打ちした。
「ちっ……。もうきやがったか、同盟の冒険者たちめ。それじゃあ、しかたねぇな、こっちも仲間を呼ばせてもらうぜ」
 言うが早いか、そのリザードマンは指を口にくわえて、口笛を吹く。
 辺りに甲高い音が響き渡り、仲間たちの後方に控えていた邪竜導士・ツカサ(a00973)は、相手の意図を掴んで急いで辺りを見渡す。
「いけませんね……。仲間を呼んだようです。気をつけてください」
「むぅ、いかん、このままでは狙い撃ちにされるかもしれん。ひとまず後は頼んだぞ」
 敵の仲間が現れるときに、こちらの面子が全て割れている状態では、敵にいいようにつけこまれてしまう。
 それを避けるため、ヒトの武人・アマネ(a01528)はひとまず物陰に身を隠し、エルフの紋章術士・マロン(a00825)は土塊の下僕を使用して下僕の作成を開始した。
「少しでも盾になる奴を増やしておかないとね。敵がどんな手段を使ってくるのか分からないから」
 そして、街のあちこちからリザードマンたちが口笛を吹いた者の近くに集まってきた。
 これを見て、黒衣の閃迅・レオニード(a00585)も攻撃を仕掛ける機会を窺うことにする。
「……来たな。さて、正面の連中がどれくらい上手く引き付けてくれるかが問題だが……」
 側面から襲撃をかけるこちらとしては、できるだけ敵を引き付けてもらえると有難いところだ。
 こちらの戦場に一般人が残っていて、戦いに巻き込まれるのは非常に危険なことなので、白銀纏う紅の剣姫・フユカ(a00297)は辺りを見回してみたが、どうやら既に通りからは人々は逃げ出しているようで、自分たち以外誰もいなかった。
「どうやら、もう一般人はいないようですね。これで、心置きなく戦うことができるでしょう」
 今回の敵に武人のようなタイプの敵はいないようなので、エルフの牙狩人・セイナ(a01373)としては安心して矢を放つことができるが、忍びのように身軽な敵に懐に潜り込まれては厄介だ。
 彼女は護衛を努める臥龍の武人・トゥバン(a01283)に対して、自分の防御を頼む事にした。
「私が狙いをつけている時は、トゥバン、護衛を頼むわ」
「任せとけ、お前には指一つ触れさせないさ。武人の強さを見せてやるぜ」
 そして、彼らが準備を整えている間に、遂に町を襲撃していたリザードマンたちも集結し、臨戦態勢をとるのだった。

●チームバトル
 冒険者たちとリザードマンが対峙したのは、そこそこの広さのある街の通り。
 十人ほどの人間が入り乱れて戦っても、それほど問題はなさそうだ。
 更に冒険者たちは二組に分かれているので、動きをとるのに支障はでないだろう。
 そして、先に攻撃を仕掛けてきたのはリザードマンの方だった。
「先はよくもやってくれたな! 喰らいやがれ!!」
 そういって、リザードマンの忍びが繰り出してきたのは飛燕刃だった。
 気を練って作り出された刃がコウショウを襲う。
「くっ……、牙狩人以外でも遠距離攻撃は行えたか」
「……いけない、このままでは狙い撃ちにされてしまう。うっ……!」
 近接戦闘を得意とする武人や翔剣士は、遠距離からの攻撃を受けた場合反撃の仕様がない。
 レミナーテの方にも、弓を構えたリザードマンが矢を放ち、彼女は腕に構えたバックラーで防御するという防戦に追い込まれる。
 この状況では、衝撃波の威力だけで敵を押し返すのは難しいと判断して、攻撃を受ける仲間の後方よりツカサがブラックフレイムを用いて反撃を繰り出した。
「……遠距離からの戦闘ではこちらが不利……。……何とか他の人が近づけるチャンスを作らなければなりませんね……」
 漆黒の業火を受けて、リザードマンの牙狩人は大きく仰け反り後退した。
 その機を逃さず、近くの家屋の屋根の上に上がっていたジオは、牙狩人に狙いを定めレイピアを構えながら跳躍した。
「こいつ! これ以上、やらせはしないぞ!!」
 その一撃は何とか体をよじって回避するリザードマンであったが、そのために大きく体勢が崩れ無防備となっている。
 その敵に対して、マッスルチャージを用いて筋力を上げた上で、敵の隙を窺っていたジーグハルトが渾身の一撃を叩き込む。
「これで終わりだ‥‥。消えろ!」
 そして、その一撃がリザードマンに命中すると思われた刹那、彼らの周りが突然霧で覆われた。
 ハイドインシャドウを使って背後に回ってくる敵を警戒していたニックは、敵が何を使用したのかに気づいて舌打ちする。
「ちっ! ミストフィールドを展開したな。これだと思い切って攻撃に出られないか……」

 その頃、敵の側面をつくように攻撃を仕掛けていた一行の方は、翔剣士のリザードマンと戦っていた。
 術士である仲間たちの身を守るために立ちふさがったフユカは、敵に対して斬りかかってみるものの、ライクアフェザーは使用しているのか、中々命中させられずに回避されてしまう。
「……身軽ですね。無理にあてようとしない方が無難でしょうか」
「ああ、無理に攻撃を当てようとしないほうがいいな。隙ができる」
 翔剣士たちは、こちらの動きを身軽な動作で回避しながらレイピアで突き刺してくる。
 上手く下半身を攻撃しようと試みたレオニードであったが、逆にカウンターのレイピアの一撃を肩に傷を負った。
 そんな彼に追撃の一撃を放とうとしたリザードマンに対し、黒き白狼・ウォスカ(a00736)が衝撃波を放って妨害する。
「そうそう、思い通りにやらせはしないよ。こちらだけやられてというのでは、釣り合いがとれないからな」
 翔剣士は身軽な動作と素早い攻撃がウリだが、それだけにそれほどの力と防御力が無い。
 何とかその動きさえ封じてしまえば、こちらに正気があるとみてマロンは先ほど作り出しておいた下僕を操り、仲間たちの援護を行わせた。
「いけ! 皆の身代わりになって奴らの攻撃を妨害するんだ!」
 攻撃を仕掛けようとしたリザードマンたちは、自分たちの前に立ちはだかった土塊が邪魔をしてきて、まずはそれを破壊しなくてはならなくなった。
 そして、身動きを止めたリザードマンに対して、物陰に隠れ機会を窺っていたアマネが投網を投げつける。
「今じゃ! これで動きが取り辛くなるはず!!」
 勿論、投網の拘束など冒険者の力をもってすればすぐに破る事ができるが、流石に戦闘中にかけられると一瞬の戸惑いが生じる。
 そこを見逃さずに、ヒトの翔剣士・エブリース(a00778)が拘束されたリザードマンに対して切り込んでいった。
「命を奪うという事は、自身の命を賭けると言うことだ。貴様らの命、この戦場に掛けて貰う。六風師団、関風のエブリース参る!」
「牙狩人ではないけど、動きは止めておくべきでしょうね」
 そして、もう一体の投網にかかったリザードマンに対しては、セイナが影縫いの矢を放ち、確実にその動きを封じようとした。

●虐殺の跡で
 これらの冒険者たちの思わぬ攻撃を受けて、リザードマンたちの部隊に乱れが生じてきた。
 翔剣士の一体に深手を負わせたエブリースが、今度の狙いとして牙狩人の方を探してみると、他の班の者たちが戦っていた場所が霧に包まれている。
「あれは、ミストフィールドの霧か? 行かんな」
 そうこうしている間に、今度はこちらの部隊に潜んでいたリザードマンの忍びもミストフィールドを展開してきたようで、彼らの周りまで霧で包み込まれた。
 この状況では霧の外からの攻撃に対して防御しづらくなってしまうため、マロンは急いでフユカの元に近づき、背中合わせになって辺りに気を配る。
「まずいね……。狙いが定めら無いほどの濃さじゃないけど、これだと危険が高すぎるね。どうしようかな」
「矢に注意しましょう。どこから飛んでくるか分かりませんから」
 もし、敵が接近戦によって攻撃をしかけようとしてくれば、居合い切りによって反撃を繰り出そうと考えているフユカであったが、不思議なことに仕掛けてこなかった。
 ミストフィールドの霧の中に入れば、敵も味方も関係なく視界が遮れて戦いにくくなるが、それを避けての行為だろうか。
 武具の魂をかけて強化した武器を構えながら、アマネも辺りを見回して油断無く武器を構えたが、敵は仕掛けてくる様子がない。
「……変じゃな。戦いの音も聞こえてこぬ。これはもしや……?」
 
 先にミストフィールドを敵にかけられていた冒険者たちの中で、ツカサは慎重に近くの壁に背中を預けながら移動して、霧の中から脱出した。
 しかし、そこには霧が漂っているだけで、敵であるリザードマンの姿は全て消えていたのである。
「……これは逃げられましたかね? 皆さん、リザードマンは皆いなくなってますよ……」
 彼の言葉を受けて慎重に霧の中から外にでる冒険者たち。
 その言葉どおり、既に通りにはリザードマンの姿はいなくなっていたが、戦いの後や血の跡は残っている。
 先ほど、自分の繰り出した一撃を受けたリザードマンのところにも多くの血痕が残されていたため、ジーグハルトは一応かなりの打撃を相手に与えたことを確認した。
「……ふん、できれば確実に葬ったかどうか見たいところだが、それは我侭が過ぎるか。まぁ、あの傷ならば恐らく助かるまい」
 霧に包まれる前に放った一撃は、確実にあのリザードマンの体を捕らえていた。
 霧のせいでどれだけのダメージを与えたのかは分からなかったが、かなりの重症を負ったことは事実のはずだ。
 傷といえば、こちらの冒険者たちもリザードマンほどではないが、かなりの傷を負っている。
 レオニードが肩に負った傷には、白き水の慈愛・エイル(a00272)が癒しの水滴をもって癒しにかかっていた。
「大丈夫ですか? これを飲めばすぐに癒えるはずですか……」
「ああ、すまないな……」
 防御力や体力が強くない術士の者が攻撃を受けるよりはマシと、レオニードは心の中で安堵して胸を撫で下ろす。
 コウショウのいる班の方でも、エルフの医術士・レナス(a00150)が癒しの水滴によって、仲間の怪我を癒している。
「皆さん、大丈夫ですか? 怪我をされた方は遠慮なくおっしゃってくださいね」
「やれやれ、怪我は負わずに済んだけど、結構危なかったね。ミストフィールドで逃げを打ってくるとは思わなかったけど……」
 ライアフェザーによって身軽に動いて敵の攻撃を回避していたジオは、ほとんど傷を負わずにすんだものの、リザードマンが素直に撤退してくれて良かったと感じていた。
 あのまま霧につつんで範囲外から攻撃されていれば、こちらもかなりの損害を被ったからだ。
 こちらが与えた打撃で、大人しく引いてくれたリザードマンたちに感謝するべきかもしれない。
 だが、まだこの町から完全にリザードマンがいなくなった確証はないため、ニックは辺りを少し探ってみる事にした。
「……う〜ん、もしかしたらハイドインシャドウで身を潜めているかなとも思ったけど、どうやら大丈夫なようだね」
 それからしばらく町を探し回ってみたが、リザードマンの痕跡らしきものは残っていなかったようだ。
 これで依頼は無事に果たされたわけだが、自分たちが到着する前にリザードマンの凶刃の犠牲となった人々を見て、コウショウは溜息をつく。
「……何とか終わったみたいだな……。……それでも失った命は……」
 もはや戻ってくる事は無い。
 死者は町の共同墓地に葬られるという事で、セイナは彼らが埋葬されるまで付き添い、なぜこのようなことが起きるのかとトゥバンの胸で泣いた。
「えへへへへ、上手く行きましたよ。……でも、やっぱり嫌なんだ、どうして……どうして……」
 グリモアを巡る列強種族の抗争が終らない限り、このような悲劇は永遠に続く事になる。
 それに終止符を打つ術は、果たしてあるのだろうか。


マスター:Chaos 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
冒険活劇 戦闘 ミステリー 恋愛
ダーク ほのぼの コメディ えっち
わからない
参加者:12人
作成日:2003/09/22
得票数:戦闘18  ダーク2 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。