ヤンの誕生日〜酒と徒花、花と徒酒〜



<オープニング>


●その日、一日の始まり
 街角から飛び出て来た猫に驚いて避けた所で子供とぶつかり、足がもつれてたたらを踏んだ先で水溜りに思いっきり足を突っ込み、「ああもう最低」と水溜りから片足を思い切り跳ね上げた所、靴紐が切れてバランスを崩し転倒するその傍では、子供が泣くわ喚くわ。
「……私が泣きたいわよ」
 慌てて子供をあやし何とか泣き止ませた烈斗酔脚の栗鼠・ヤン(a90106)の1日はそんな風に始まったとか、じゃないとか。

●さけとあだはな、はなとただざけ
「そう腐るな。よくある事だ」
 遭遇した一つ一つは、本当に些細な日常の1コマである。
 何故か実感の篭もる霊査士の言葉を、おそらくは聞き流しているだろうヤンは次から次へと杯を重ねてテーブルの上に伏している。上体を卓に預けたまま頭を右にごろり、左にごろりとやりながら。
「そうねー。……って、そうなのかしら」
 適当に相槌を打ってはみるものの、いまひとつ確証がもてないといった風。
 琥珀の肌の霊査士は軽く肩を竦めて、無言。
 水と泥でグズグズに汚れた彼女の服の裾を一瞥し、ふと吐息した。
 間が悪いというか何と言うか。
 酒場にやって来て早々、痴話喧嘩など見てしまったのも、ヤンがふて腐れる原因の一つだ。
 浮気したのはどっちが先か等と言うくだらない罵り合いをしていたかと思うと、突然仲直りをして去って行った二人。どういったタイミングでか仮称・馬男が取り出した指輪に、仮称・鹿女が甚く感激した様子でこくりと頷き、手に手を取り合い肩を抱き、仲睦まじく去って行ったのだとか。
 浮かれたカップルの一部始終に、呆気に取られた口から零れかけたハニーミルクを呼吸を止めて飲み込んで、その辺りでどうも『ぶちっ』と逝ってしまったらしいのだ、ヤンの中の『何か』が。
「あー〜……私はねぇ。何も見にゃかったわよ。見てにゃいってーのよぅ〜」
 自棄酒を呷って泥酔、まあ、ヤンの身にはよくある話だ。噂では、グラス1杯で都合良く酔えるとも。
 様子を見て苦笑したマスターが、馴染みの霊査士に何か耳打ちした。

 黯き虎魄の霊査士・イャトは、冒険者達に言う。
「睡蓮の森の泉を知っているか? ある村の近くにある小さな森なのだが。水は清く、泉の片隅には花が咲いているそうだ。……気分転換くらいにはならないか」
「はっ?」
 要領を得ない冒険者達にヤンを指し示して、イャトは続けた。
「9日にあれは誕生日を迎える。酒場で飲んだくれて過ごすというのも嘆かわしいと思わないかね」
 時にはゆっくり自然の空気に触れて、酔い覚ましも良いだろう。
 泉は水浴びも出来る広さという話だ。ただし、花を見るなら昼間が良い。
 日の出と共に花開き、陽が落ちて暗くなると花弁を閉じてしまうという睡蓮の花の泉へ。ヤンを連れ出してくれないかと、暗にその黒の瞳が語っている。

(「……ん。言い忘れた。あれは泳ぎがあまり得意ではないと」)
 まあ、大した事ではないかと霊査士は涼しげに無表情のまま、冒険者達に全てを任せるのだった。

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参加者
NPC:烈斗酔脚・ヤン(a90106)



<リプレイ>

 誰よりも先に泉を訪れこの場所を選んだティキ(a02763)と、同じく先行してバーベキューの準備をしてくれたバイケン(a07496)とフィエル(a11167)。そして、参加してくれた全ての仲間達に感謝を。

 彼女と共に関わった依頼の思い出に触れる品を持ち寄ったキョウマ(a06996)にシュシュ(a09463)。酒癖よろしくない彼女に気配り、贈り物への心配りをしてくれたシュウ(a00014)、そして、祝ってくれた全ての仲間達に感謝を。

 それから――

●木漏れ日を抱き留めるように
 開いた花弁が泉の面手に浮いている。
 無数の花弁が外から順に開いて器のように、星型を象る睡蓮。

(「良かった。…お酒だけにならずに済んで」)
 ルティス(a07069)はフィエルから受け取ったソースを焼けた野菜や肉に塗りながら、しみじみ。
 濡れた緑の所々に顔を出すピンクに濃桃、白、黄色……とりどりの花の絨毯が良い角度で一望できるその場所で、満を持してのBBQパーティー。
 背後から背筋を撫で上げられる感触に慌てて振り返るヤン。アコナイト(a03039)は、味噌を塗った葛の葉で包み鉄板に乗せていた焼きおにぎりと、こっそり一杯のお酒を差し出した。
「あ、ありがとう」
「でもあまり飲みすぎちゃダメですよ」
「気をつけるわ〜」
 失笑しながら小声で、感謝と共に一口。しみじみ味わうヤンの背に、ぴたりと張り付いたアコナイトの指先が微妙な孤を描き――
「酔い潰れちゃったら…その辺の草むらに連れ込みますよ……ふふ」
 耳を噛むほど唇を寄せて熱く囁く吐息が首筋を舐める。
 身の危険を感じたヤンは、思わず酒を噴き出し、完全に醒めたとか。効果覿面。
「お帰り料理長!」
 フィエルが盛り上げ、一部で手拍子。鉄板の上の肉や野菜が少なくなった所に、魚篭を担いで帰って来たバイケンは出迎えに照れて頬を掻きながら、釣果を鉄板の上に広げ出す。
 勢いを増す焼音、新たな白い湯気がもうもうと立ち昇った。
 鉄板に乗せきれない魚は串焼きに。アコナイトも手伝い、自分が料理に使った余りの葛の葉で魚を包み蒸し焼きに、酒蒸しにと。その楽しみ方も色々。
「某からのプレゼントは楽しんで貰えてるでござるかな?」
 声をかけられたヤンは口の中の物を嚼下して頷いた。
「ありがとね。バイケン君もしっかり食べてよ〜? 食べきれないって子もいるんだから!」
 照れ隠しにも似た勢いで、どん、と背中を叩かれてバイケンは「げふ」とむせ、それを笑い声に替えながら食事の輪に遅れて参入。
「重畳でござるよ。食べ切れないほど食べ物がある事は、幸せな事でござる」
 確かに、とヤンは仲間達の笑顔を見て思う。
 若干1名、レジス(a09204)はその時、焦がすまいと引き上げた山の幸てんこもりの器をずらりと並べて、半泣きだったそうだ。飲み過ぎ食べ過ぎの人々のためにと彼が用意してきた胃腸薬液を自分で使うことになりそうな雰囲気で。

「ケーキはもう少し後が良いですか?」
 BBQの輪から少し外れた所でルゥ(a08433)が、用意してきたブランデーケーキを出すタイミングに困っている。
「今を逃すと忘れられてしまいそうですし、出してしまいましょうか」
 アコナイトも自作のケーキを。お酒を飲む人に甘い物はどうかとも考えたが、やはりケーキがないと寂しいと、焼いて来た野イチゴのケーキは甘さを控え目にしてある。時候と場所柄を考えクリームこそ使われていないが、女性陣の心遣いで用意されたケーキはなかなかに豪勢だ。木陰に置いていたバスケットの中にはもう一種類、チェリータルトがちょこんと納まっていて……
「そういえば、ルシエラさんは?」
 朝、「誕生ケーキ、無いと残念だもんっ!」とタルトを焼いていたルシエラ(a03407)が、皆の輪の中にいない。彼女もこの時をとても楽しみにしていたはず……ルゥは辺りを見回す。と――
「ヤンさ〜ん♪ 見て見て〜!」
 いつから泳いでいたのか泉の中で元気に手を振るルシエラの姿が――忽然と消えた。
「る、ルシ…っ!?」
 大慌てで泉の縁に駆け寄り、覗き込むヤン。水面には大きな波紋が広がっているだけ。
 やがて泉の底から気泡が上がってくる。水中でほどけた銀糸の長い髪がゆらめき……ざばあ、と水を纏って姿を現したのは誰あろうルシエラである。
「ヤンさんが落としたのは、桃色と紫、どっちのブレスレットでしょう?」
 陽の光を受けて輝く濡れた髪にピンクの睡蓮を一輪飾り、負けず劣らず花と開いた笑顔を浮かべたルシエラの右手には桃色の輪っか。左手には紫色のそれ。
「腕輪より、ルシエラが落ちたように見えたわ」
「えへへ。じゃ、どっち好き〜?」
 動じないルシエラ。結局選ばされるらしい。
「え、っと…じゃあ……」
 散々迷って指差す紫。
「おめでとう♪ 紫水晶はね、悪酔いに効くの。それから桃色水晶の方はね、女の子らしくとか素直になれるんだって。だから両方ピッタリだね♪」
「……えと」
 困惑するヤンの手に二つとも握らせて楽しげに笑う。
「正直者のヤンさんに2個プレゼントなの〜。お誕生日おめでとう♪」
 気が抜けたように、へたり込むヤン。『泉の女神さま』ができて満足したのかルシエラも泉から上がり――さあ、これでようやくケーキのお披露目。

●食事も終わり、泉のほとりで
 厳格に禁酒!だなんて今日は、きっと無理なお話。仕方ないとは思うから、極力のセーブはかける。
 その様子を言葉に表すとすれば――例えば――、『混沌ちゃんぽん』。
 ジェイ(a00838)が陽気にヤンのグラスに酒を注ぐ。注いだ傍からニューラ(a00126)がするりとグラスを奪い、飲み干した。すかさずキョウマがヤンに持たせるお茶のコップ。酒のつもりで茶を飲むヤン。空になるとジェイの手で酒が注がれ、口をつけるや否やでうわばみニューラがコップを入れ替える。
「ヤンさんの場合、お酒はあまり一人で飲まれない方がよろしいかと」
 アドバイスしている間にも満たされる酒のコップをヤンの手から抜き取って飲干し。
「自棄酒なんてさー美味しくないぜ? 自分なんてとか思うなよ。ヤンが自分で思うよりいい女だ!」
 ジェイも頷きながら力説。ヤンは2人にひたすら頷く相槌。
 会話もコップも中身を確かめる暇がない。
「お呼びいただければいつでもお相伴いたしますよ」
「ほんと? ニューラ、ありがとう! 飲み友達が居てくれると私も嬉しいわ」
 楽しい酒が美味しいのはヤンも承知の上だ。表情を輝かせたヤンにジェイも手を挙げる。
「俺も俺も〜!」
「お酒は程々にして下さいね」
 表面上はクール一徹のキョウマは内心ハラハラ。うっかりまだ残っている酒の上から茶を注ぎ、お茶割はヤンが口にする前にまたしてもニューラが手に取った。
「……お茶ですね」
 飲み干した所で彼女はそんな一言。途中で幾度となく入れ替わっていたコップ。茶も酒も構わず飲み続けたニューラはけろりとしている。ヤンは自分が何をどれくらい飲んだかも解らず困惑の表情。ジェイだけが間違いなく、誤魔化しなしのほろ酔い加減。
「運は呼ぶもんだし、ツイてない時は気にするな。いい時期はきっと来るからさー」
 そうね、と相槌を打ちながら神妙に聞くヤンの後頭部をジェイは、ぽふ、と軽く叩いて撫でた。そのまま言葉が途切れ、眠ったのかと周囲も訝る一瞬。
 ――「好きだ」と聞こえた気がする。
 ジェイの満面の笑顔がヤンを見つめている。
(「酔いが醒めた時に忘れられても、まぁいいけど――」)
 やおら立ち上がり、上着を脱ぎ捨てジェイは、泉に逃げるように思い切り飛び込んだ。
「――なーっ」
 言葉の最後は声に出し、盛大に宙に舞う水飛沫と共に水の中へ。
「アブ、危…っ」
 動転するヤンの手から、ニューラがグラスをするりと抜き取り、残りの酒を飲干した。
「あっ」
「…隙だらけですよ?」
 ストライダーの割にヤンの反応が鈍いのは『そういった事柄』だと殊更なのだろうか。ヤンの表情を見、ニューラは面白げに目を細めてヤンに栗色の地にネズミの染め抜き模様の手拭をプレゼント。
「汗を拭くには最適ですが、涙を拭くには不向きですので、お使いの際はどうぞ笑顔で」
「あ、うん…ありがと。でも、ニューラもびしょ濡れよ?」
「私は、丁度これから泉に入ろうと思っていた所ですからどうぞお構いなく」
 髪から水滴を滴らせながらニューラ。彼が沈んでたら救い上げてきますし、とにっこり。
「あら、ヤンは泳がないの?」
 すい、と泳いでやって来たルティスが水をかけて挑発するが、ヤンは困ったように笑むばかり。
「ま、いいわ。彼との約束かしらね」
 さらに煽るルティスの悪戯っぽい瞳から逃れるように、貰ったばかりの手拭で顔を拭こうとしたヤンに息を弾ませたシュシュが駆け寄って来る。
「ヤンさん。せっかくだから着替えるならこれに。私からのお祝いの品です」
 怖い程の笑顔で彼女は白いワンピースを広げた。夜なべして作ったそうだ。
「あら、良いですね♪」
 ニューラも手を打って後押し。シンプルだが奥の深い女性らしい衣服の贈り物に瞬き、ヤンはしかし、あまり深く考えずに頷いて受け取った。
「シュウさん、タオルお借りしますね!」
 遠くで、ライド(a03082)と共に成行きを見守っていたシュウが片手を挙げて応えた。

 ヤンを揚々と木陰に連れ込むシュシュを見送るシュウの視界に一瞬、面白がって2人を追うアコナイトの背が映ったような気がしないでもない。見なかったことにして後頭部に手をやり隣の男を見遣った。こんなこともあろうかとシュウはタオルと一緒に着替えも用意していたのだが――
 まあ、それも良いかと笑みを浮かべてシュウはグラスの酒を飲干し、ライドに返杯。
「美しき花を愛で美味い酒を飲む……人生に潤いってやつだねぇ」
「同感」
 睡蓮の花を楽しみながら。

 しばらくしてヤンは、白いワンピースとサンダル、リボンで飾られた上に、レースの日傘を持たされて皆の前に現れた。シュウが『美味い酒』の代わりに贈った髪留め用の飾り紐も早速有効活用。紐にあしらわれた赤い木の実が白で統一された色味のアクセントになり、それらは確かによく似合っていた。
 ビンゴ。
 ライドは手を打ち、内心シュシュに乾杯。欲を言えば、サイドにざっくりスリットを入れたい。
 不慣れなスカートを着せられたヤンは、歩く事もままならず暫くそのまま固まっていたそうな。

●酒と徒花、花と徒酒
 水浴び花見に森林浴、お昼寝と皆それぞれに時を過ごす楽しげな声は近いようで遠い。気付けば二人きり。そのせいか、ヤンは何処か不安げだ。
「あ、あのね。ありがとう、これ。私には勿体無いわね〜」
 クロエ(a07271)からのプレゼントは早速ヤンの腕に嵌っている。桃色水晶のブレスレットと並んで輝く銀製の腕輪。
「そんなことない。よく似合ってるよ」
 普段と違う姿のヤンを意識しすぎないように努めてクロエは笑顔で頷き、視線を落とす。
「そう? そうかな〜」
 平静を保とうとしてか、腕輪に終始しているヤン。
「以前の告白の答え、いつか聞かせて下さいね。ヤンさんの好きな時でいいですから」
「…う、ん」
 普段よりも丁寧なクロエの言葉。途端に口数が減り、頷くように俯くヤンの返事はとても小さな声で。しおらしい彼女を思わず抱き締めたい衝動に駆られるが、あの時はそれすらも聞けなかった事を思えば今回は確認だけでも進展か。頭を掻いて自制した。
「僕も、泳いで来ようかな」
 ヤンの反応を待たずに、クロエもまた泉に飛び込んで行く。

「あの2人、うまく行ってるといいですね」
「でもー。ヤンさん、大丈夫かな。心配だよ〜」
 水浴びするにはもう大部冷たくなりつつある泉の水に足だけ浸すシュシュとルシエラ。
 漠然とした不安はシュシュも感じているのか、2人して「うーん」と首を捻る。そこへ散策を終えて戻って来るキョウマ達。
「あ、どうでした? レジスさんは」
 キョウマとルゥの後ろから姿を見せたレジスは居心地悪そうに、頭を下げる。
「四葉のクローバー、探してたんですけどなかなか見つからなくて。すみません、ご心配を」
「いえ、彼らを2人きりにする良い口実になりました」
「?」
 食事の後、こっそり四葉のクローバーを探しに行ってていたレジス。最近災難続きのヤンに贈ろうと思ったらしい。結局見つからなかったのだが、結果オーライだったようだ。
「お守りならボクも幾つかプレゼントしました。幸せになってくれると良いですね」
 ルゥが微笑み、レジスも笑顔で頷く。キョウマもお守りを贈った一人である。
 贈りすぎだろうか? とふと苦笑。
 ヤンの幸先を祈りつつ空を仰ぎ、キョウマはそろそろ帰り仕度を始めようかと呼びかける。

 ぐるりと一周泳いで岸に上がったライドは偶然そこにヤンを見つけた。
 見るともなしに見かけたクロエが、やって来た方向。はてさて。
(「なるほど、か…?」)
 泉に浮かぶ昼咲きの睡蓮は貝の様にその花弁を閉じつつある。
 睡蓮の花の寿命は、僅か3日とも聞く。
 今日開き、明日咲けば、明後日には開いた花は水没。
 誰が為、何の為に咲く徒花――
「花が咲いても実が生らない、雄花の事も言うんだよな……無駄な恋なんて無いぜ。恋は沢山して、美人になれよ?」
 独り言のようなライドの言葉は、後半確かにヤンに向けられていた。「おめでとう」と祝いの言葉を添えて。
「…でも何て答えれば良いのか、全然判らない、のよ…」
 ぽつり、呟きと吐息を零す。こんな時は徒々、酒が欲しくなる。

●帰り道
 ――その晩私は、お酒と涙の味がする『おめでとう』と『ありがとう』の海で溺れる夢を見ました。

「やれやれ…今日の記憶が残っているのだろうか?」
 酔い潰れて眠っているヤンを背負い直してオーエン(a00660)は苦笑混じりに夜道を歩く。久しぶりに背に受けるヤンの体重。あれからヤンの周りにも随分と人が増えているようだ。
(「少し大きくなったか?…まだまだ色々ありそうだが」)
 見守る事に徹した一日。最後は一体誰が彼女を酔わせたものか。そ知らぬ顔で隣を歩くアコナイトは、両手にしっかり酒瓶を抱えていたりする。それは、本日オーエンやルティスがヤンへのプレゼントとして持ち寄り、何だかんだで一度没収されていたはずの物である。ルゥが「凄く強いお酒らしいからここで飲んではダメ」と念を押していた迷酒『一発昇天』の栓は開いていたか?
「……」
 気にしてはいけない気がする。
「不死身と三倍速のお守り。渡し損ねてたからさー」
 入れとくな、と言いながら、他の荷物と一緒にしてあるヤンのいつもの服の間に、赤く塗って仕上げた木彫りの小鳥を押し込んだジェイの表情は晴れ晴れ。対してヤンは――酔って眠るといつもこうなのだろうか――気難しげな顔で何やらうなされているのだが。
 彼らを黙々と眺めていたティキが、嘆息と共に呟く。
「ま、足掻いて行くしかないわな、人生なんざ」


マスター:宇世真 紹介ページ
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星影・ルシエラ(a03407)  2009年12月13日 22時  通報
ヤンさん可愛いー♪ ルシ、泉の女神さまもやって、とっても楽しませてもらっちゃったよー。
睡蓮も大好き♪
徒花なんて、うん。ないよねー。
咲いたことを覚えてる。 咲いたときを覚えてる。
また咲くことを期待して。
ヤンさん、今日も太陽いっぱいの中にいればいいなー♪
いっぱい働くとお酒は美味しいしー♪うん。
どうしてるかなー(^-^)