川遊びをしませんか?



<オープニング>


「お前さんたち、ちょいと川遊びに付き合う気はないか?」
 伽羅の霊査士・メイズがそう言いながら、酒場へ顔を出した。
 何事かときょとんとした顔をする冒険者たちへ向って、メイズはにっと笑う。
「服職人からの依頼でな。水遊びに充分耐える水着を作りたいが色や柄、形なんかの好みについて、いろんなところから意見をもらいたいんだと。で、まぁ、好みの水着についてと形やサイズは彼がメモして、川遊び当日までに仕上げてくれるそうなんだ。せっかくなんで、アタシもちょいと遊ばせてもらおうと思ってな。お前さんたちで水着を作ってもらおうと思うやつはちょいと頼んでみちゃどうだい?」
「水着のデザイン、色や柄などの好みを教えてください。サイズはしっかり測らないと丁度いい物が出来ませんから、変に力を入れずに図らせてくれる方にお願いします。後……僕の能力ではそうたくさんの水着は縫えません。縫えても30枚ちょっとだと思います。あんまりたくさん来られても、お断りする事になるかもしれませんが……ご協力をお願いします」
 メイズが言った後で、メイズの後にいた青年はぺこりと頭を下げた。

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参加者
NPC:伽羅の霊査士・メイズ(a90074)



<リプレイ>

●水着を作ろう?
「水着を作ってもらえて、水遊びもできると言うのは嬉しい事だよな。…………ふと思ったんだが俺が着る水着ってやっぱり女物になるんだろうか……なんとなく複雑だな」
 苦笑しつつ、男性と一緒に計ってもらおうとしたオウキはいろんな意味で、部屋へ入るのを止められた。
「試作水着のテストですか……」
 サイズを測ったりメモを取っている服職人の様子を見ながら、ラジスラヴァが興味深そうに言う。水着よりも、形はそれほど変えず、踊りに映える服に出来ないだろうかと思っているようだ。
「これに、白い上着みたいなのを着たら可愛いと思いませんかぁ?」
 淡いピンクと濃いピンクに彩られたホルターネックタイプのワンピース水着に、同色のパレオが書かれたデザイン画を手にしたエリスが言う。ロングパレオがついた物なら、上着はショート丈じゃないと野暮ったくなりそうですねぇ、と服職人は考え込む。
「可愛い水着を作ってもらいたいですね〜」
 そんな風に言っていたクーヤ。しかし相手はどちらかと言うと、服の中身よりも服に興味の方向が行ってしまったタイプの人物。ちょっとでもいやらしい行動をしよう物なら蹴り飛ばすつもりでいたが、その気合は力いっぱい無駄になり、その上その気合のせいで正確にサイズが計れないので肩の力を抜いて下さいと言われる。
「水着は金ラメの生地のビキニかな〜と思ってるんだけど、どんなデザインが似合うと思う?」
 一緒に考えとくれよとメイズへ声をかけたのはケイ。
「そうだねぇ……。金ラメビキニにするなら紐部分や縁を黒にしちゃどうだい?」
 聞かれたメイズは少々考えながら提案する。
「露出は多めの方がいいと聞きましたので、そうしてくださいですの♪」
 にこにことどうやら自分の好みのデザインと言うよりも、人(主に男性諸氏)の好みに合わせたデザインの希望を伝えるフィルティ。
「で、当然水着が完成したらファッションショーするんやろ?」
 当たり前の事のようにパルフェは言ったが、今回は試作ですからと青年は首を振る。フォーチュンフィールドを展開して演出しようと思っていたパルフェは少し残念そうだ。
 残念そうと言えば、フィーもである。
「出来ればプレゼント用に虎縞びきにも欲しかったですけど、諦めます……残念です〜」
 男性用のビキニはちゃんと計らないと作れないと断られてしまったのだ。女性用の物であれば例えば紐で調節するとか工夫の仕方もあるのですがと青年は謝る。
 そんな言葉を物陰から聞き留めたギルはキラリと目を輝かせ、こっそりと服職人の青年にお願いをする為、家を尋ねる事にしたようだ。因みに自分の水着ではなく、とある冒険者用に紺色の野暮ったいゼッケンつきの水着を作ってもらうよう、こっそり手配をしに行ったアオイもいたとか……。
 さて、布の裁断等を行い、もくもくと水着を作る服職人の家ではラジスラヴァが興味津々助手を務めていたようだ。

●川遊び
「いい天気になったね、昨日曇りだったから心配だったけどよかったよ」
 数日後。よく晴れた空を見上げて、シュウ(a00014)が言う。
「皆と仲良くできるといいなぁ♪」
 シュウ(a00014)の言葉に頷きながら、ラルスが多くの冒険者を見まわす。
「水着、ありがとうございます〜」
 出来あがった水着を受け取ったフィーが、にこにこと服職人の頭を撫でる。無理をしたらしく少々青い顔をした服職人であったが、フィーの態度には笑顔で気にいってもらえ、改良して欲しい点を教えてもらえればそれでいいと答えた。
「川遊びです〜♪ 楽しみですね♪♪」
 頬を染めて元気よくサスケが言う。今日は付きっ切りになるんだろうなと予想するアスカがそうだなと同意するように頷く。アスカに睨まれつつ、アーニーも力強く頷いた。
 さて、昼にはカレーを振舞おうと考えているのはイツキにメディス、アルベルトにケイオス。荷車に必要な材料をたっぷりと載せて。
「……後はアルさんよろしく」
「じゃ、アルベルト。後よろしく」
 メディスとケイオス、それぞれに肩を叩かれ、荷車を任されたアルベルトである。テンオーは彼らとは別にバーベキューの道具を準備し運ぶ。シュシュはサラダにと、果物や野菜を用意し、川で見つけられたらクレソンも添えようと考えている様子。
 他にも幾人かの冒険者がスイカやメロンと言ったような果物を取り混ぜ用意し、川で冷やして食事の後で楽しめるようにする予定のようだ。その他、レオが果物を入れた寒天ゼリーを竹筒で用意し、これもやはり川で冷やして食後のお楽しみに勧める予定らしい。シフォンケーキを用意しているスージー、それに、危険物認定されている飲み物も持ち込まれた様子。
「川遊び……泳ぐだけが遊びじゃないのですよー」
 ちょっぴり企み笑顔でキリが言う。
「……夏が俺を呼んでいるぜ」
 フリルのついたエプロンのような水着に同色のパンツを着用、水辺用のイスやら傘やらサンダルやらを装備したヒカリ。そんな風に言ってみた後、キリに向って水着を披露している。
「……ふりふりですよ」
 言われたキリはなぜか、薄布で出来た大判の薄蒼パレオなんか身につけていたりして、本人にはその気がなくとも非常に微妙に女装風味である。
「この川では何が起こるか判らないから皆、慎重に行動しよう!」
 と、唐突に和やかな雰囲気の冒険者たちへ向って大きな声でシュウ(a00252)が念を押す。あまりに突然の彼の台詞に、危険な兆候はあっただろうかと首を傾げる冒険者たち。
「うぉぉー!」
 首を傾げる冒険者を尻目にシュウ(a00252)はそのまま川へドボンと飛びこみクロールで上流へ向うつもりだったようだが、なんだかそのまま下流へ向って流れて行ったようだ。

 ☆お知らせ・河原のある川での飛込みは危険です。充分注意しましょう☆

「……まぁ、その内自力で戻ってくるだろ……多分」
 そんな様子を見て、頭をバリバリ掻いたメイズはボソッと言った。
「川遊びもいいけど、準備運動もちゃんとしなよー」
 だんだんに、冒険者たちが川へ入り始める。その様子を見てシュウ(a00014)が足をつったりしないようにと、運動をするよう声をかけた。
 周囲を一切気にせずに、ケイが着ていた服を脱ぎ水着になる。多分、服の下に水着を着ていたんだと……うん多分。そのまま服は纏めて、ケイはひやりとした川の水に肌を晒した。
 バーベキューの下準備を手早く済ませて、後はひたすらに泳ぐのはテンオー。昼前まではとにかく泳ごうと決めていたようだ。同じようにレオもひたすらに泳いだり深い所へ行って潜ったりしている。
 ワンショルダーの動き易そうな深紅のビキニを着たオウキをワカハはこっそりと眺める。どんな水着を作ってもらうのか気になって仕方がなかったのだ。因みにワカハが着ているのは白地の紐ビキニ。どこかに引っ掛けたら直ぐに解けそうであった。
 メイズが着ている水着は、はっきり言って普段の恰好とそう変わらない。珍しいのは邪魔だからと取られた霊査の鎖ぐらいな物である。
「それにしても……スタイルいいわね〜。羨ましいわ」
「……だいなまいとばでーですね〜……」
 ルティスが言うと、つられたようにフィーが言いながら、赤くなって顔を被ったりもする。メイズはそんなもんかねぇ? と理解してない様子で頭を掻いた。
 メイズの水着姿に興味津々だったエリス、その姿を見て満足したようである。エリスはくるりと周囲を見渡し、胸の大きな女性を見ては胸が重そうとか思っていた様子。浅瀬でちゃぷちゃぷと水を触りながら、遊んでいる。水が苦手なラルスもやはり、エリスの傍で遊んでいる。ラルスは何を話したらいいのか悩んでしまい、水着を話題にしてみたようだ。

「皆さん似合ってますね。素敵ですよ」
 イルが笑顔で言う。
「イルってスタイルいいわよね……ちょっと羨ましいかも」
「いいって。そう言うミィミーさんは可愛いくて素敵ですよ」
 ミィミーの言葉に軽く苦笑した後、笑顔でミィミーを褒めるイル。そんな2人の様子にルティスとリューシャが笑顔になる。
「リューシャの水着可愛いわねー♪ よく似合ってるわよ。彼も見とれちゃうんじゃない?」
 にこにこと矛先を変えたらしいミィミーがリューシャへ言う。途端に真っ赤になってわたわたと慌てふためくリューシャ。
「もぉ、ミィミーさんってばー」
 恥ずかしがるから余計にからかわれるのはわかっていても、リューシャは赤くなってしまう。そんな様子を見て、ふと自分の水着姿を気に入ってくれるといいなと夫の姿を思い浮かべるミィミーである。最も少し気を逸らせば水がかかってくる環境。彼女たちはキャァキャァと声をあげながら、水をかけあって遊んだようだ。
 紺の水着を着て、水に浸かるように回りの様子を観察しているのはセイル。蜂が飛んでこないかとかなり、緊張もしているようである。
「水が冷たくて気持ちいいです。足がつく深さだから、流されないですし」
 嬉しそうににこにことはしゃぐスージーを河原から見守るのはユエルダ。ユエルダはスージーがつれて来た、ペットの面倒を見ていたりもする。
「川なら波もないし、急な流れの所に行かなきゃ流されたりとかもないと思うし、ゆっくり泳げそうだよねっ」
 やはりにこにことスージーに言うバーミリオンに、一緒に来てくださったので安心ですと元気よく答えるスージー。そんなスージーの様子にバーミリオンは嬉しそうに笑顔を見せた。
「川で水遊びですよ〜♪」
 ユキは大喜びで水に入って遊ぶ。ワカハもやはり水着の性能を確かめながら川で遊んでいる。
 泳ぐのが得意なフルティは1人、すいすいと泳ぐ。
「水遊びに耐えなきゃいけねーんだから、この辺か」
 アルミッドはざぶざぶと水に入って浸かったりしながら平たい石を探す。途中から水切りに挑戦していたようだ。もちろん、人がいない方向を狙ってではあるが。

 サスケに泳ぎを教えているのはアスカとアーニー。水に慣らす為にと浮き具も用意していたが、どうやらそれでも難しい様子。アスカは度々アーニーを睨みつけて牽制する。
 足を滑らせたサスケが溺れたのを見て、慌てて手を差し伸べるアスカとアーニー。
「サ……サスケ……大丈夫……?」
「だ、大丈夫か!? サスケ……!!」
 サスケはアスカに救われ、アーニーはと言うと慌てて助けようと向い、足を滑らせて川に流れていった。その後、来年は泳げるようにがんばると言うサスケの姿があったとか。
 ビーチボールを持ち出し、何人かを誘うのはカーリエ。
 黒いレザー素材のトライアングルビキニを身につけたルゥ。その姿を見て即座にアオイが却下を入れたようだ。
「似合ってないぞ」
 かっこいい女性に憧れるルゥとしてはこんな水着が似合う女性になりたいと言ったところである。
「アオイちゃん、これお土産。食べて」
 ご主人様ルゥへのアオイの仕打ちを確認し、にっこりとクーナンがまんじゅうを勧める。食べたアオイがビリビリと身体を震わせながらぶくぶくと泡を吐く。以前話した物がこれだと説明するクーナンの横で伸びたままのアオイ。クーナンはぎゃ〜っ! と慌ててアオイの治療を試みた。
 回復したとたんに仕返しとばかりに野暮ったいくーなんと書かれたゼッケンつきの紺水着を手に迫るアオイ。加えてルゥからのご主人様命令とあって、クーナン一応その水着を身につけたようである。
 そんな風に、冒険者たちがたくさん遊ぶ川をだんぼ〜るに乗ったパペピプがまったりと流れて行くのであった。

●食事や語らい、のんびりと
「まあ、言い寄る物好きは居ないだろし……って、ルートが周りの女の子に目移りしてどうするの!」
 アビスフィールド奥義を展開した褌姿のアルベルト、うっかり(?)どこかが盛り上がったのを発見したイツキに、ハリセンでお仕置きされた様子。因みにその際、赤い褌が川に流されて行ったが、なんとか直ぐに取り戻せたようである。その後はさっさとカレー作りに入りましょうと、アルベルトが川遊びをする女性陣から引き離されたのは言うまでもない。
「川の水ってすごい冷たいのですね。ケイ、足元滑るから……みぎゃっ」
「メディ、滑る所があるから気を……って、言ってる傍から!!」
 川について直ぐに食事の仕度も味気ない。少々水遊びをと川に入ったメディスとケイオスのカップル。彼らは速攻流されたメディスを全力追いかけて、ケイオスが苦労する羽目に陥ったようだ。
「膝すりむいてる。抱っこ〜」
 一緒にいたイツキが心配しているでしょうねと考えつつもメディスはケイオスに甘える。
「しょうがないな……ほら、おいで」
 苦笑しながらお姫様抱っこでメディスと一緒にイツキの元へ戻るケイオスである。お互いに、こんな日も悪くないと思っているようだ。

「やっぱりいた♪ 川が綺麗だから居るかと思ったんだけど……メイズさん、こんなのいたよー」
 キリが持ってきたのはサンショウウオ。渡されたメイズはおや、と言った後食うのかい? と聞き返した。因みに彼が後でティキの頭の上に大量の沢蟹を揚げると美味しいにょろ等と言いながら落としたりもしたようだ。

「さぁ、焼けたでぇ! 皆食べや!」
 散々泳いだ後で、バーベキューを始めるテンオー。同じような事を考えていたフィーも手伝っていたりする。
 メディスやケイオス、イツキにアルベルトが作ったカレーも冒険者たちに配られる。らぶらぶなカップルはお互いに食べさせあったりしたようだ。
「もったいない」
 アルベルトを見て、やっぱりイツキは彼にはもったいないと呟くメディス。
「……男女の仲は深いのですよ」
 聞き留めたヒカリがふふりと笑ってメディスへ答えた。

「冷たくて美味しいぜ!」
 レオが用意していた果物入りの寒天が配られる。シュシュの作ったサラダや持ち寄られた果物も分けられ、中々豪華な昼ご飯の様子。セイルが持参したお菓子も幾人かには配られたようだ。
 アルミッドは出された物を頬張り、一心不乱に食べたりしている。
「なあ、いつか酒場で聞いたメイズの子供の話もっと聞かせてくれよ」
 食事時、メイズへそう話し掛けるセイガへは、メイズはにっと笑いうちの娘はかわいいぞ。やっと10になった所だがな、と答えたりしていた様子。
「ん〜気持ちいい♪ 極楽〜♪」
 セイガとメイズの傍では疲れたケイがマントを敷き、そこで横になって寝ている。

「スイカ食べてると夏だなって思うのー」
 ジョゼやシュゼットと散々遊んだ後でミディがスイカを口にしながら笑顔で言う。古いタイプの半袖膝丈の横ストライプの水着を着たジョゼはそんなミディの笑顔を嬉しそうに見る。ミディとジョゼは夫婦だが……。実はこれが初めてのデートなのだから、嬉しくないわけがないのである。

「楽しい1日になったかい?」
 同じ方向への帰路、シュウ(a00014)に聞かれたラルスの返答は皆様のご想像にお任せします♪


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参加者:46人
作成日:2004/08/22
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