AHUROMAN



<オープニング>


「今回は皆さんに『AHUROMAN』になってもらいます」
 ヒトの霊査士リントは唐突にそう切り出した。
「アフロマン? 」
 怪訝そうに聞き返す声。
「いえ、『AHUROMAN』です! 」
「……何それ」
「『AHUROMAN』というのはある集落の古い今は使われていない言語で『闇を切り裂き光をもたらす者』という意味です」
「………………」
 沈黙。……やがてそれに耐えれなかったのかリントが叫ぶ。
「いや、僕も信じられないんですが霊査の結果なんですよ!? 」
「へ、へぇ……。で、なんでそれにならないといけないのさ」
「はい、それはですね……」
 リントの語るところによるとその『AHUROMAN』の伝承のある集落が数人の盗賊に脅かされているそうだ。やっていることは家畜を奪う程度で怪我人は出ていない。そして彼ら盗賊たちは火事で焼け出された隣の集落の出身者なのだ。言わば彼らも被害者。だから手荒なことはしたくない、だが見逃すわけにもいかないという状態らしい。よって救世の使者、正義の戦士『AHUROMAN』に裁かれ許された、として村に迎え入れたい……そんな村長の心遣いなのだ。
「そんなわけで冒険者であることは秘密です。依頼達成後は速やかに撤退してください」
「最期に質問、『AHUROMAN』ってどう発音するの?」
「『AHUROMAN』は『AHUROMAN』ですよ。あ、これ衣装です」
 冒険者たちにリントから渡された衣装は巨大なもっさりしたアフロカツラであった。

マスターからのコメントを見る

参加者
骸喰の屍・ゲイル(a01385)
ねこまっしぐら・ユギ(a04644)
ニンジャだったかもしれない・ツキカゲ(a06643)
アフロ凄杉・ベンジャミン(a07564)
百之武・シェード(a10012)
となりの・トトギ(a10087)
小緑星・リュイシン(a10818)
鮮烈なる銀狼・シャールヴィ(a12294)


<リプレイ>

●アバンタイトル【サービスシーン?】
「この巨大なもっさりとしたアフロカツラ……。これは、まさか『伝説のアフロ』!? またの名を『アフロ・オブ・レジェンド』!! 」
「盛り上がってますね、トトギさん」
「リュイシンさんは落ち着き過ぎ。……あ、わたしこのピンクのにするの。穴あけていいのよね? 」
 問題の村のはずれ、村長から提供された廃屋で破道の夢見師・トトギ(a10087)と深緑の微笑・リュイシン(a10818)、ねこうさ・ユギ(a04644)は着替えの真っ最中であった。とはいえ色っぽいシーンにはならない。……アフロつけてるだけだし。
「……っ!? リュイシン、そち……地毛かえ? 」
「ええ。意外といいですね、これ♪ 」
「えーーーーーーーーーーー!? 」
 驚愕で引きつつオープニングへ。

●オープニングテーマ【AHURO・OVER!】
 これはある村とその村を狙う盗賊までもを救おうとする正義に燃える若き戦士たちの物語である。

「あ・あ・AHURO〜♪ 」
「輝くAHUROは正義の証♪ 」
「AHURO〜光の中から立ち上がれ♪ 」
「頭につけてるカツラはAHURO♪ 」
 思いついた適当な歌を歌いつつ歩くAHUROMANたち。異様な光景が目を引いている。疑問と不審の視線がほとんどではあるが。
「うぅ……これは水着とかとは違う意味でキツいものがあるね……」
 ユギが呟くが他の5人は結構平気そうだ。2個ほどあるモサモサした球体は言うまでもなくノリノリである。ちなみに片方が仮面のニンジャ・ツキカゲ(a06643)でアフロ凄杉・ベンジャミン(a07564)。濃緑色のがツキカゲで軽い踊るようなステップで動いているのがベンジャミンだ……と周りは認識していた。白き一陣の風・ゲイル(a01385)の
「まあこの際どっちでもいいだろ」
 と言う言葉が全員の総意であろう。やがて彼らは一軒の家の前で立ち止まった。
「じゃ、わたしがここに隠れて待ってるね。あの木に登ってアフロだけ出してるからゆさゆさ揺れたら駆け付けてよ」
 見張り役をかって出て素早く木に登るユギ。木に綺麗なアフロの花が咲く。……どんな体勢になっているのかは考えたら負けだ。そして冒険者たちはユギを残し各々少し離れて身を隠した。こうして救世の戦士『AHUROMAN』の新たな伝説の幕が上がるのだった。

●前半パート【AHUROMAN推参】
 草木も眠る深夜。ユギが見張っている家屋に怪しい人影が近づいていた。木の上にいるツインテールの出たアフロ頭の少女というのも十分怪しいと言えば怪しいが、それはこの際棚上げしておこう。月明かりを浴びて2本尻尾の生えたピンクのアフロがゆさゆさ揺れる、幻想的というか現実味のない光景。ピンクの球体が残像を残しつつ落下する。
「ピンクッ!! 」
 叫んで最初に駆け付けたのは電光石火の如き銀狼・シャールヴィ(a12294)。彼は銀色に輝くアフロをかぶっている。
「ピンク……ってなりきってる……」
 続いてゲイル。彼も銀色のアフロである。
「な、なんか来たぞっ!? 」
 怪しい人影こと盗賊の1人が慌てる。自分たちを捕まえに来た者への警戒、というより未知のモノへの恐怖の声のようだ。盗賊たちの見ている前でユギ、シャールヴィ、ゲイルの姿が霧に包まれて消えていく。そして霧が晴れていき、中から現れるのは6人+2個+沢山の勇姿!!  ちなみに沢山いるのはリュイシンの土塊の下僕である。頭にアフロをつけた下僕たちは目立たないように、だが情熱的にダンスを踊っている。……シュールだ。
「鮮烈の銀狼! AHUROシルバー!! 」
 ビシっとポーズなシャールヴィ。
「あ。……白き一陣の風、AHUROシルバー! 」
 つられてポーズするゲイル。
「銀2人……? 」
「白なのにシルバー……」
 ドンッ! 盗賊の呟きに反応し未来の護り手・シェード(a10012)の爆砕拳が大地を砕く。
「これぞ真・AHURO拳……人の意見は最後まで聞こうね?どうぞ続きを……あ、私はAHUROゴールドです」
 態度は控えめだがやることと衣装はやたら派手なシェードである。当然盗賊は威圧されて黙った。そして名乗りは続く。
「悪を裁いて破道行く AHUROライトシーグリーン! 」
 優雅な落ち着いた動きでしっとりと決めるトトギ。
「深緑の微笑! AHUROミディアムシーグリーン! 」
 妙にはしゃいでリュイシンもポーズ。
「色指定細かっ。しかも緑も2人……ぐぇ」
 ついツッコんでシェードに1人黙らされた。
「AHAHAHA! 緑の恐怖は終わりません。AHUROフォレストグリーン! 」
 蠢く毛玉。
「まだいるのかよっ!? っていうかアレも仲間なのかよっ」
「雉も鳴かねば撃たれまいに……」
 いい笑顔でシェードが言い、戦う前から盗賊側に2人目の犠牲者が出た。
「どんなに隠れて悪事しても、頭のアフロはお見通し! もっさりもさもさ、『ピンクAHUROMAN』お腹が空いてただいま参上!! 」
「名乗りが1人だけ長ぇーーーー!? 」
「名前系統がが1人だけ違うーーーー!? 」
 どうやら悲しいことに盗賊たちにはツッコミ気質の者が多いようだ。そして3番目、4番目の犠牲者が倒れた。
「そしてトリを務めるのはこのお方っ! 」
 緑の球体、AHUROフォレストグリーンことツキカゲがかしこまってもう1つの球体を指し示す。
「この方をどなたと心得る? 恐れ多くもAHUROの中のAHURO、真AHUROMANたるベンジャミン・コシガヤ様なるぞ〜! 頭が高い、控えおろう! 」
 騒ぎで村人たちが目を覚ますのもお構いなしに大声を張り上げるツキカゲ。そしてついに……『ソレ』が話しだした。
「天呼ぶ! 地呼ぶ! アフロ呼ぶ! アフロを増やせとミーを呼ぶ」
「増やすのかよーーーー!? 」
「『お金では買えない何か…アフロ』。【踊り狂うパパイヤ】神が下された『アフロのグリモア』の使者、ベンジャミンがHOTでCOOLにYOーチェケラッ! アフロテックルネッサンス、ベンジャミン。神に小突かれ只今参上!」
「あ、あふろのぐりもあ? 」
「ってことは冒険者か!? 」
「馬鹿、あんな冒険者がいるかっ」
 ……残念ながらいます。ベンジャミンは勢い付いて話し続ける。と、いうか反応を気にしてないのかもしれない。
「ハッ! ミーのアフロはHUではなくFUネー。この「F」はファンキー! フライ! ファンタスティック! フレンドリー! フランケンシュタイン! の5つのFの意味が込められてるネー! 」
 もはや全く意味が通じないことを口走っている。いや、それは最初からだが。
「『闇を切り裂き光をもたらす者』HAHAHAー! 切り裂くのは闇だけじゃナイネー! アフロが邪魔でキスもできない! 男女の仲も引き裂くネー! ハーハー」
 やや悲しい笑いとともに言い切る。
「アフロは愛っ! アフロは夢っ! アフロは生きる活力の源ネ!! 」
 ……まだまだ続くが割愛。熱弁を振るうベンジャミンを尻目にツキカゲ以外が一歩前にでて声を揃えて叫んだ。
「「「「「「闇を切り裂き光をもたらす『AHUROMAN』参上!! 」」」」」」
「ひぃっ!? 」
 恐怖に駆られた、もう残り少なくなっている盗賊の1人が逃げ出す。それに反応して跳躍するシャールヴィ。落下の勢いをのせて盗賊の脳天にチョップを叩き込む。みんなの目に真っ二つになる男が見えたような気がするほどの見事な一撃。
「なっ、なんなんだよ……お前ら……」
 仲間をあっという間に倒された盗賊は怯えた声で尋ねた。
「言っただろう……俺は、『AHUROMAN』だ」
 立ちあがりながら顔だけ振り返り答えるシャールヴィ。頭がアフロでなければ決まり過ぎだ。そして後半に続く。

●後半パート【正義を示せ! AHUROMAN】
「ここで戦うわけにはいかないな……こっちだ! 」
 ツキカゲが盗賊の1人をがしっと掴むと駆け出した。
「な、なんでっ……っていうか戦うんですかーーーー!? 」
 そのままAHUROMAN参上と叫びつつ村中を駆け巡り、注目を集めてから広場へ向かう。ぐったりした盗賊とツキカゲが広場に辿り着いた時にはほとんどの村人が広場に集まっていた。……当然、盗賊たちとAHUROMANに扮した冒険者たちも。
「くっ、くそう! なんだかわからないがやってやらあ!! 」
「ちくしょーーーー! 」
「もう破れかぶれだっ! 」
 今は事情を知らないが、すぐに自分たちが家畜泥棒であることがバレるだろう。そうなったらもう無事では済まないと感じた残りの盗賊はAHUROMANたちにかかっていく。
「……甘いですよ」
 シェードが足払いをして転がす。
「まだまだじゃ」
 トトギが杖で受け流すと勢い余って転んだ。
「伊達や狂酔でこんな頭をしてる訳ではない! 」
 ゲイルに向かった一人は彼の頭でL字を描くような動きの頭突きをカウンターで受けて沈む。そうやって何度か盗賊が打ち倒された後、トトギが村人たちの方を見て話し出した。
「村人たちよ、よく聞くのじゃ。今ここでのびている者こそ、最近家畜を盗んでいる盗賊なのじゃ」
 おおっとどよめく村人たち。
「で、アンタたちは誰なんだ? 」
 もっともな質問である。それにはすぐさまとても嬉しそうにリュイシンが答えた。
「私たちは救世主『AHUROMAN』! ですっ♪」
「おおぉぉぉぉぉ! 」
 先ほどより数倍大きなどよめきがあがる。
「今更だけど、本当にAHUROMANの伝承はあったのね……」
「……そうだな」
 ユギの感想に同意するシャールヴィ。まあ信用できなくてもしょうがないことではある。
「……こいつら、どうする? 」
「そうだな……」
 村人たちは相談を始めた。それに再びトトギが声をかける。
「そのことじゃが……この者たちの処罰、我々に任せてはくれぬか? 」
「……AHUROMAN様がそう仰るなら……」
 トトギはうむ、と頷くと仲間に目配せをした。
「あんたたちー! 自分達が生き延びるためだけに他の人の幸せを横取りするようなことをしちゃ駄目なのだよ! わかる? 」
 盗賊たちの方に向かってユギが言い放つ。うな垂れる盗賊たち。
「でもっ、村が焼けちまって……こんなことでもしないと、俺たち……」
「……反省はしているか? 自分たちがしたことがしてはいけないことだったという自覚はあるか? 」
「……………………はい」
 ゲイルの問いにはやや時間を置いて返事をした。
「では……」
 ツキカゲが再びかしこまった口調になり、村人に宣言する。
「盗賊たちの罪は罪なれど、ソノ境遇に情状酌量の余地を認め、ここに罪一等を免じ、村で働く事によって罪滅ぼしとせよ! 村人一同も、ここはAHURO様の顔を立て、彼らを受け入れて貰いたい」
「ははぁーーーー」
「なお、暫くは反省の意味もこめてアフロ着用のこと♪ 」
「……マジっすか」
「見事な裁きです」
 ユギが付け足すが受け入れられ、シェードの言葉を合図にしたかのように拍手が巻き起こった。
「これにて一件落着!! 」

●エンディングテーマ【AHURO音頭】
「AHUROMANと共に、和解のダンスを踊りましょう。今までのわだかまりを消し去り、力を合わせて生きていくとAHUROMANに誓うのです。はい! ちゃっちゃっちゃ♪ 」
 リュイシンが踊り出した。続いて救世主様の言うことだし……と村人が。これから馴染もうっていうときに混ざらないのも……と元盗賊たちも。やがて和やかな雰囲気に包まれる広場。去ろうとする冒険者……AHUROMANたちの元に村長がやってきた。
「ありがとうございました……これで彼らも、我々も一緒に幸せになれます」
「ん。……だが、そもそもそちがそれを願わなければこの状況にはならなかった。その心を大事にな」
 トトギが心から村長を労う。
「これからは辛い時も、苦しい時も彼らも仲間として手に手を取って生きていくのだ! 」
 そう言って照れくさいのか走り去るシャールヴィ。
「AHUROMANはいつでもあなた方と共に」
 シェードも後を追う。

 こうして新たな『AHUROMAN』の物語は一旦幕を閉じる。がんばれAHUROMAN! ありがとうAHUROMAN!

●次回予告【あるいはその後の日常】
 酒場に戻りダベる冒険者たち。
「酒場に着いたから無事AHUROMAN終了! 」
「あー、わたし正義の味方なんかやっちゃったー……」
「やれやれ、説得の為とはいえ、慣れない言葉遣いしたら疲れますね〜」
「アハハ〜恥ずかしかったけど楽しいですねぇ、こういうのも」
「我がアフロに一片の悔いなし……じゃ! 」

 その頃、踊りの熱気冷め遣らぬ村の広場で村長は呟いた。
「…………あの方はいつ帰るのでしょう? 」
 視線の先にはノリノリで踊り続けるアフロがあった。 


マスター:かまぼこ 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
冒険活劇 戦闘 ミステリー 恋愛
ダーク ほのぼの コメディ えっち
わからない
参加者:8人
作成日:2004/08/31
得票数:コメディ28 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。