【ドリームウォーター】ピンクドリーム



<オープニング>


「……大人になったら飲む事が出来る……夢心地の不思議な水……。今日は……そんな水に関する依頼です……」
 ヒトの霊査士・セイラは、依頼の説明をそう始めた。
「先日……とある村の村長さんがこちらを訪れて……冒険者の皆様に4つの依頼をしたいと言われました……。今回はその1つ目……」
「で、どんな依頼なの?」
 セイラは冒険者の問いに頷くと、酒場のマスターに向かって言った。
「……すみません……。例の物を……」
 マスターはその言葉に頷き、冒険者達の前に水瓶を持ってきた。セイラはそれを見ながら、説明を続ける。
「この水瓶に入っているのは……その村の特産のお酒です……。その村では一年に一度……お酒が出来たお祝いに5種類の物をお酒に漬け込み……奉納してお祭りをするのだそうです……」
「なるほど。4つの依頼って事は、その4種類の物を私達に採ってきてって事ね?」
 セイラは頷くと目を閉じる。
「1つ目は……村の近く……。小さな林の真ん中にある……ピンクに熟した桃……。でも……その桃の木は周りの木に守られている……」
「守られている?」
「ええ……。林にある桃の木以外の木は……根を動かす事は無いものの……枝をもの凄い速さで鞭の様に振り回して敵をなぎ払う……」
 これは厄介である。場所そのものが冒険者達の敵なのだ。そして、更に注文が付いた。
「村長さん曰く……枝を払うのは構わないが……周りの木も余り倒さないで欲しいとの事でした……」
 なんでも、他の木を倒してしまうと、次の年に桃の実りが悪くなるのだとか。
「気をつけて……。皆様でこのかご一杯分の桃を採ってきて下さい……」
 最後にちょこんと頭を下げると、セイラは冒険者達に背負いかごを渡した。

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参加者
胡桃の森の双子・ディアナ(a00022)
六風の・ソルトムーン(a00180)
疾風の焔・ミユキ(a00324)
おきらく女剣士・サトミ(a00434)
終焉を謳う最後の龍皇・ソラ(a00441)
黒き白狼・ウォスカ(a00736)
ブランネージュ・エルシエーラ(a00853)
紋章術士の菓子職人・カレン(a01462)
迦陵雷影・カリョウ(a01597)
蒼然たる使徒・リスト(a01692)


<リプレイ>

●ピンクドリーム
 おきらく女剣士・サトミ(a00434)は、出発前にヒトの霊査士・セイラと話していた。
「セイラさんからお酒の依頼が来るなんて、思いもつかなかったよ☆」
「私も……お酒の依頼が来るとは思ってませんでした……。父が飲んでいたお酒をちょっと飲ませて貰った事があるのですが……お酒は苦手かも……」
 セイラの言葉に、サトミはほっとした。正直な所、サトミもあまりお酒は強い方ではないのだ。
 だが、弱い人がいれば強い人も当然いる。
「最近、疲れ気味で……今回の依頼では、酒でも飲んで骨休めしたいものだ」
 そう言うのは、黒き白狼・ウォスカ(a00736)。彼女は依頼を終えたら、お酒を飲ませて貰おうと考えていた。他にも何人かが、村特産のお酒を飲ませて貰おうと考えている。そこへ、エルフの紋章術士・ディアナ(a00022)が戻ってきた。
「あまり芳しくないですね……」
 彼女は、去年までの桃の収穫をどうしていたか、聞き込みに行っていた。だが、この村はずっと冒険者達に桃の収穫を依頼しており……
「そのやり方も、私達が考えていた方法と余り変わらないものでした」
 ディアナの言葉に、装備を固めていたヒトの邪竜導士・リスト(a01692)が溜息をつきながら言った。
「やはり、林を突っ切るしか方法が無いのですか……。それにしても、我ながら邪竜導士とは思えない格好ですね……」
 彼は木のヘルメットに具足と手甲と言う、完全な重装備だった。それと言うのも、彼の持つアビリティは今回の依頼に少々不向きだったのだ。そこで、彼は装備を固め、桃を入れる籠を背負う役を引き受ける事にしていた。
 最後に籠を背負い、彼の装備は完了する。他の冒険者達も装備を調えた。
「気をつけて……」
 セイラに見送られ、冒険者達は林へと向かう。

 問題の林に近づいた時、ブランネージュ・エルシエーラ(a00853)が他の面々へ待つ様に言った。
「このオペラグラス・アルメリアで見てみます」
 そう言うと、彼女はオペラグラスを取り出し、林の方を見始めた。
「ほな、ウチに良い考えがあるで」
 紋章術士の菓子職人・カレン(a01462)はそう言うと、『土塊の下僕』を2体作り、林に行く様に命じる。2体の下僕はテケテケと林に向かい、エルがその様子を観察していると……
――ひゅん!
 林の一番外側に位置していた木々が一斉に枝を振り下ろし、下僕を破壊する。エルはその様子を克明に、他の冒険者達へ伝えた。
「ふむ……木だから視覚はないだろうが、振動で読みとっているのか……」
 様子を聞いた迦陵雷影・カリョウ(a01597)がそう解析すると、六風の・ソルトムーン(a00180)がこう続ける。
「だが、絡め取るわけではなく鞭の様にしなるだけならば、まだ対処のしようもある」
「どういう事?」
 他の冒険者達の問いに、ソルトムーンはもう少し林へ近づく事を提案した。言われるままに林への距離を縮める冒険者達。すると、ソルトムーンはカレンにもう一体下僕を向かわせる様に頼む。再び下僕がテケテケと林に向かうと……
――ひゅん!
 林の一番外側に位置していた木々が一斉に枝を振り下ろし、下僕を破壊する。
「やはりな……」
 ソルトムーンが確信を強め、先程の問いに答えた。
「今見て貰った様に、枝は四方八方から振り下ろすと絡まるので、方向は一定だ。方向が分かっているなら、板などを並べて防ぐのも容易かろう」
 ソルトムーンの言葉に納得する冒険者達。と、終焉に流れる漆黒の龍・ソラ(a00441)がそこから離れ、林の横へと回る。
「おあつらえ向けに、ここに丁度良い道がある」
 ソラはそう言うと、林の一部分を指した。そこはまるで冒険者達を誘うかの様に、人が通れる程開けている。
「……まぁ、さっさと終わらせるか」
 ソラはそう言うと、持ってきていた板を構え、同時にカレンとソルトムーンも板を構えた。
「では、この一点を突破しよう。前面に我と盾を持った者。カレン殿とソラ殿はリスト殿の隣に並び、一気に突破するぞ!」
 他の冒険者達も、板を持つ3人と籠持ちのリストを護る位置に付く。
「ほな、行こか!」
 カレンの言葉で、一行は林の中に突入した!
――ひゅん!
 早速、枝の鞭が冒険者達に迫る。ソラは頭上から振り下ろされる枝に素早く反応し、左手に構えた板を出した。
――かーん!
 小気味よい音を立て、板が枝の鞭をはじく。左手に伝わる震動をソラが感じている間に、後ろからサトミが飛び出して戻っていく枝を払う。
「この程度では、俺は吹き飛ばせん。俺を吹き飛ばせるか……やってみせろ」
 枝に向かってそう言い放つソラに、ウォスカが注意を促した。
「枝は上の方ばかりにあるとも限らんぞ」
 と、急にウォスカが下の方を指して叫んだ。
「ほら、あそこ! 誰かあの枝を!」
 その言葉に反応したのはエル。盾代わりのシールドボウをすかさず向けて、下から足を払おうと来ていた枝に『ホーミングアロー奥義』を放つ。
「……枝の動きは見切りました」
 その言葉通り、矢は枝を正確に貫いていた。

 一行は枝を払いながら、更に林の中を進む。が、元々それほど大きな林ではないので、程なく目的の桃の木が見えてきた。と、疾風の焔・ミユキ(a00324)とカリョウが体制を整える。
「一気に抜けます」
 ミユキはそう言うと、ソルトムーンの構える板の横で、すり抜けてきた枝に『旋風脚改』を喰らわせた。
「邪魔です……。道を開けて下さいね」
 枝を蹴り飛ばし、開いた一本の道を駆け抜けるミユキとカリョウ。
「木の上の桃を取るのは、木登りの得意な俺の出番だよな?」
 カリョウはそう言うと、瞬く間に桃の木を登っていった。次にミユキが木を登り、その間にリスト達が木の下で準備を整える。
「ここまで届くか?」
 ソルトムーン達は枝の襲撃に備えて身構えた。だが、幸いな事に、枝は桃の木の下までは襲ってこない様だ。桃が枝で落ちないように、配慮しているのだろうか。だが、冒険者達は気を緩めず、そのまま身構え続ける。
「ほれ、投げるからしっかり取れよ……って、みんなして盾構えていたら、誰が受け取るんだよ?」
 桃を投げようと構えたカリョウは、下の様子を見て思わずそう言った。すると、カレンがもう少し下を指さして言う。
「桃を受け取るのは、下僕たちに任せとき」
 見ると、確かに下僕達が下で構えている。それを見たカリョウは、冗談めかしてカレンに言った。
「じゃ、下僕が桃を落としたら、カレンがノソリン引き回しの刑だからな?」
 そして、カリョウとミユキが下僕に向けて桃を次々と落としていく。また、ディアナが抱き上げて木の上に登らせた下僕の働きも相まって、あっという間にかご一杯の桃が収穫された。カリョウとミユキは念のため懐に桃を入れ、木を降りる。
「これで大丈夫かしらね。後は……急いでここを離れましょう」
 ミユキがそう促すが、サトミが「ちょっと待って」と止めた。
「これ、もらって良いかな?」
 サトミがそう言って拾い上げたのは、下に落ちて痛んでしまった桃の実だった。流石にこれではお酒につけ込むわけにはいかない。また、食べるにしても半分以上は食べられなくなっていた。
「それくらいなら大丈夫だと思うけど」
 冒険者達の言葉に、サトミは早速その桃の実をかじる。
「うん。みずみずしくて美味しい♪」
「満足したら、行くぞ。速やかに撤退し、枝の可動範囲まで一気に抜けるぞ!」
 ソルトムーンの言葉に、サトミも隊列に戻った。
 帰りは、行きよりは楽だった。ディアナが来る時に、来た道に意識して足跡を付けてきており、あとはその足跡を逆にたどって駆け抜ければ良かったのだ。もちろん、行きに枝を払っておいたので、帰りに冒険者達を襲った枝はそれほど多くはなかった。
「無事に完了ですね……♪」
 林を抜けたところで、エルがそう言って胸をなで下ろす。もちろん、今回は桃を村まで届ける所までが依頼なので、冒険者達は寄り道せず真っ直ぐに村へと向かった。かご一杯の桃を村長に渡しながら、リストが尋ねる。
「ようやく1つ目が終わりましたが……まだ後3つ。この4つのお酒って、完成した時の達成感で美味しく感じると言うものではないですよね?」
 意地悪い質問だが、村長は意にも介さずこう答えた。
「そんな事はありませんよ。飲めば分かります」
「では、飲ませてもらえるのか? 霊査士に渡していたのと同じ物でも構わないが」
 ウォスカがそう話に乗ってくると、カレンも飲んでみたいと村長に告げた。
「4つのお酒が出来上がったら、お祭りに皆様もお招きします。ですが、今日はつけ込む前の原酒でご容赦頂きたく……」
 村長がそう言う。ウォスカとカレンは、それでも構わないと告げた。
「では、俺は先に帰る。まだ、3つの物が残っているからな……やるべき事はやるさ」
 ソラはそう言ってその場を離れ、残った冒険者達は村長の好意でお酒を一杯だけ振る舞われる事となった。
「特産品というだけあって、なかなかの味だ」
 と言うウォスカの様な者もいれば、
「うう……これはきついよ」
 と臭いをかいだだけでフラフラになるディアナの様な者もいる。そんな中、カリョウは月を見ながら杯を傾けていた。
「感傷に浸るのは嫌いだが……今日くらいはいいだろ?」
 故郷の事を思い出しながら月にそう語りかけると、カリョウは杯の酒を一気に飲み干す。

 こうして、1つ目のお酒は無事仕込みに入る事となった。


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