ワイルドファイア〜ストライダーの国へ!



<オープニング>


「南方大陸にもストライダーが居るのね」
 大運動会の後、ヒトノソリンの長老から話を聞いていた白月の霊査士・ミニュイはふうん、と頷いた。
「西の隅っこの方にストライダーの国があるなぁ〜ん」
 自身もストライダーであるミニュイは、長老の話にうんうんと頷きながら、好奇心に瞳を輝かせた。
「どんな人達なのかしら?」
「みんな一生懸命で真面目なんだなぁ〜ん」
 ぱたぱたと揺れていた銀の尻尾が、はたと止まる。

……え〜と、私もお仕事は一生懸命(なつもり)だし、真面目(で大丈夫)よね。同じ同じ。

 左胸に手を当てて、どきどきと考えているようである。
「私、南方のストライダーの皆さんに、ご挨拶に行ってみたいなあ」
 もしかしたら、仲良くなれるかもしれない。ミニュイの提案に、長老はにっこりと頷いた。

「南方の人って何が好きかしら?」
 そわそわと準備をしながら、ミニュイは一緒に行く者がいないか声をかけてみるのであった。

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参加者
蒼の閃剣・シュウ(a00014)
天舞光翼の巫女姫・ミライ(a00135)
ビッグペタン十貧衆〜萌世魔王・ゴウテン(a03491)
宵闇の黒豹・ケイ(a05527)
火山のストライダー・ブレージ(a06069)
爆走する蒼き弾丸狐・レニス(a06071)
流しの歌い手・ウィン(a08243)
悪辣な獣・ジン(a08625)
陽海兎・アルヴァール(a09304)
世界を旅する・ニックス(a09695)
アルカナ騎士・エリル(a13864)
眼鏡っ娘帝国の重騎士・ミズミ(a14044)
NPC:霽月の霊査士・ミニュイ(a90031)



<リプレイ>

 ワイルドファイア大陸。
 その西方にあるというストライダーの国へと向けてリトルーンの騎士・エリル(a13864)達は準備を進めていた。
 「ストライダーの国ってどんな所だろう? 仲良くなれるといいな」
 『真面目なストライダー』を想像しながら、エリルは友好の証に用意した白いリボンを、きゅっと腕に結んだ。
「親善の印ですね♪ 材料はこれでいいかな?」
 天舞聖龍の戦巫女・ミライ(a00135)はヒトノソリンの集落で調達したケーキ材料を確かめた。
「リボンは目印か…成る程」
 ビッグペタン十貧衆の萌世魔王・ゴウテン(a03491)も受け取ったリボンを腕に結び、用意した手土産をごそっと担いだ。
「こんにちはよろしく、で帰って来る訳でもあるまい」
 分かり合うには先ず料理から。火山のストライダー・ブレージ(a06069)は材料の準備に余念がない。その隣では宵闇の黒豹・ケイ(a05527)が子供達にと用意したぬいぐるみを見つめ、これだけあれば大丈夫? 皆に行き渡らないかな、と既にぎゅうぎゅうの手荷物を見下ろした。
「向こうで新しい友達が増えるかな?」
 わくわくそわそわ。ピクニック気分の元気印の爆弾小娘・レニス(a06071)は、皆の準備を待つのも惜しいというように、さっきからずっとうろうろしていた。そんなレニスの腕を取り、皆とお揃いの白いリボンを結んでやったのは虚ろを奏でる戯言師・ウィン(a08243)。
「僕らはランドアースの代表なんだから、きちんとしなきゃねっ……えっと、僕は一応左腕に巻いとこうと思うんだけど」
「髪に結ぼうかな……一緒にどう?」
 言ったレニスに、
「女の子なら頭に巻いても良いかもしれけれど、僕は、恥ずかしいよやっぱり」
 とウィンは笑う。
「ジンさんはどこにつける?」
「うーん、とりあえず尻尾にでもつけておいて」
 天魔の始祖狗神の化身・ジン(a08625)は愛用のフルートを握りしめる。方向音痴のジンが、迷子になったらどうしよう、とか考えているのは内緒だ。
 陽灼兎・アルヴァール(a09304)は胸に白いリボンをつけて、重大(?)任務に少し緊張した口調で話し出す。
「南方大陸にもストライダーがいるなんて!」
「仲良くなれるとよいでしゅね♪」
 そう言った旅する探求者・ニックス(a09695)の言葉に頷いて
「兎もいるかなぁ…」
 とちょっと思案顔。両手一杯の荷物は口下手を補う為の贈り物。日持ちのする物を選んだお重いっぱいのお弁当だ。
「案内は、じゃ、ミズミにお願いするね」
「任せてなぁ〜ん」
 蒼の閃剣・シュウ(a00014)はヒトノソリンの集落から今回の依頼に参加した、ヒトノソリンの重騎士・ミズミ(a14044)と握手。彼女もお下げに白いリボンを結んでいた。
 長老からミライが聞いた話によると5日も歩けばストライダーの集落に辿り着けるのではないか、という事だ。
 やがて、皆の準備が整ったのを確認すると、ミズミは声をあげた。
「じゃあそろそろ出発なぁ〜ん♪」


 昼は道を行きながらニックスの求めで正しい挨拶講座、夜にはミズミが眼鏡を売り込んだりする野営(どうやらあちらでも眼鏡を広める気のようだ)ランドアースでは見られない巨大な木や花が道中を行く皆の目を楽しませた。
「もうそろそろみたいだね」
 話を聞いた小鳥を空に放すと、ウィンはストライダーの国が近い事を皆に知らせた。先頭を歩くレニスはそれを聞いてスキップを踏む。後ろを歩いていたアルヴァールは珍しい風景に視線をキョロキョロと動かしっぱなしだ。
「ん? アレ、何ですか?」
 大きな木の陰に、巨大な物体が横たわっているのが見えた。非常に大きな亀のようだ。
「あれは怪獣なぁ〜ん」
「怪獣?」
 ミズミの説明に皆の声が重なる。どうやら向こうもこちらに気付いたようだ。ゆっくり首をあげると近寄ってくる。危害を加えるつもりがあるのかないのか分からないが、取り敢えず踏まれれば只では済まないだろう。
「ミニュイちゃんは……」
 戦闘が起こる所に居るのはまずい。ミライがミニュイの手を引くと、ゴウテンがそのまま担ぎ上げた。冒険者達は壁を作るように怪獣から距離を置く。
「先にいくぜ! ほいさー!」
 ケイ達が壁になってくれている傍を、ミニュイを抱えてゴウテンは走り行った。
 ウィンの眠りの歌で眠り込んだ大亀を置いて、ジン達は素早くゴウテンの後を追う。

「ゴウテンさんありがとう」
 遠くなる怪獣を見送りながらミニュイが礼を言った。
「なんの、俺はペタン娘には優しいのだ!」
「…ペタン……」
「ん?」
 密かにショックを受けたミニュイ、16歳秋の訪れだった。


 怪獣に出会ってからさらに1日。白い布で出来たテントが見えたのは出発してから4日目の夕方だった。
 訪れた客人に、集落からはやがて人が集まって来た。
 シュウは武器を外したままで、人並みの奥から現れた男に手を伸ばす。
「はじめましてですね。北方のランドアースと言う大陸からお邪魔しています」
 交わされた握手の後、北方の大陸? と周囲がしばしざわめいた。
「するとあなた達は海を越えて旅をして来たと」
「そういう事になります」
「これから沢山の仲間がお邪魔するようになるだろうけど、よろしくね」
 ケイが挨拶を続けた後、代表だから、と押し出されたミニュイが恐る恐る、ここまでの経緯を話し出す。話に耳を傾ける周囲の人達の顔に、次第に驚きと、そして親しみが広がって行くのに、ジンは気付いた。
「私達は偉大な旅人達に、もてなしをしたいと考えているが」
 集落の族長だと挨拶したラウンの申し出に、ミニュイは笑顔で頷いた。

 ラウン達の用意する宴で、ケーキを焼きたいというミライと男の料理を披露したいというブレージは、屋外に設えてもらった調理場を借りる事になった。
 因みにブレージの担ぐ青い水玉柄の大魚は途中の池で捕まえたものだ。ミズミが「食べれるなぁ〜ん」と言っていたから、きっと大丈夫だろう。
 一方、準備が整うまで、エリル達は集落を見て回る事になった。
「こんにちはー! 同盟諸国っていう遠いところから来た冒険者のエリルでーす。今日はみなさんと仲良くなりに来ましたー」
 エリルの大きな声が響く。
「こんにちはなぁ〜ん」
 ミズミも眼鏡を持って、大きく声をあげた。
「ヒトノソリンの集落から来たミズミなぁ〜ん。仲良くしようなぁ〜ん」
 集落の広場に集まったのは好奇心を瞳に宿らせた子供達だった。尻尾を振りながら徐々に輪が広まる。
 ケイが飴玉代わりにと用意した黒砂糖、ぬいぐるみに子供達が群がる。きゃっきゃというはしゃぎ声。
「うろこ尻尾は珍しいでしゅか?」
 ニックスやレニス達と一緒に駆け回る子供達は、ランドアースの子供達と変わらない。レニスに引っ張られてミニュイも何故か一緒に走り回り。ミズミも後を追いかけるように駆け出した。
「おじちゃん、冒険者なの? 遠いとこから来たって本当?」
「おじ……って、ああ、そうだよ?」
 気を取り直しつつも、シュウは話しかけて来た子供に向かい合う。子供達の間からは凄いなー、かっこいいなーという声が聞こえた。
「僕もいつか冒険者になって、世界中を探検するんだ!」
 凄いでしょ、にっかと笑って子供はまたレニスとゴウテンを追いかけた。どうやら『拳で語り』たがっている2人の拳から、きゃーきゃーと喜んで逃げているようだ。
 彼等には未知のアビリティらしい……というか一般人には結構危険ですヨ。

 一方、こちらならではの家庭料理を見学と、アルヴァール達はお母さん達が働く露天の厨房にお邪魔していた。緊張で顔を火照らせながらも、挨拶にと働く皆さんと先ずは握手。
「ざっくり、ざくざくですね」
 用意したお弁当も一緒に並べてもらいながら、巨大な野菜を使ったおおざっぱな料理にアルヴァールは目を見開いた。味見をさせてもらうと、ぴりっと辛い味付けで中々ですね、とメモしたり。その隣ではいつの間にかニックスが同じく味見と称して料理を端からつまみ食い。
「食べ盛りでしゅからね〜」
 食い倒れ完全制覇認定証♪ を賜る程の容量を誇っているらしい。

 一方でエリルはお世話になるのだからと、お手伝い。年長の少年達と一緒に近くの森まで野菜を取りに出かける事になった。
「うん。ボクはドリアッドと言います。木や花を育てるのが大好きで、いつもは森の中で暮らしています」
「へ〜」
 巨大なナスビやトマトはランドアースでは見た事のない物だ。面白そうに眺めるエリルに隣に居た青年が話しかける。
「俺達はこの辺りを拠点に、あちこちを旅して、気に入った所があればそこに住むんだ。遠くまで旅出来るなんて、偉いよな、冒険者って」
「……ふうん」
 青年の話を聞いたエリルは、何故自分たちが歓迎されているのか、少し分かったような気がした。


「にゅ、ワイルドファイア大運動会・渚のアイドル第13番 ニックス・ランバード! 歌いまーしゅ♪」
 ニックスは渚のアイドルを思い出しながら、元気良く歌を歌い始めた。
 火を焚いて、露天での宴は和やかに。次々と並べられた料理はアルヴァールが昼間見学したもの。シンプルな炒め料理や辛みが魅力の汁物等。
 歌いながらもちらりと横目でニックスは料理をチェック。
 アルヴァールは給仕を手伝いながら顔見知りになった人達に、同盟の事を少しずつ話した。
「色んな種族の人が協力し合って暮らしているんですよー。良かったら、こちらにも遊びに来て下さい」
 どことなく母を思い出させる兎尻尾の女性に、アルヴァールはそう言ってにっこり笑った。
 一方、ブレージが仕込んだ男の料理は例えば海鮮入りおろしりんごのサラダや魚をつかった炊き込み飯、鶏のからあげかきあげ等、少し濃い目の味付けでご飯(?)が進む。
「どんどん食べてくれ」
 びしっと板前姿で、南方の人々に給仕する。隣ではエリルもしっかりお手伝い。
「パーティーを開いてもらってなにも手伝わないというのは、ちょっと気が引けるから……」
 レニスも色々な料理を取り分けてみた。
 少し離れた所で、ゴウテンが給仕の女性達を呼び止めて、用意した荷物から服や眼鏡や楽器等、土産として大判振る舞い。
「女性用の土産『だけ』はたっぷりとー」
 マメです。
 配り終えると早速ご馳走にありついて一息。すっかり観光気分であった。
「眼鏡は単なる便利な道具じゃないなぁ〜ん。生涯を共に過ごすパートナーなぁ〜ん」
 昼間、眼鏡の似合いそうな人達に目星を付けていたミズミは早速眼鏡を売り込んでいた。縞尻尾の少年が眼鏡を勧められ、問答しているのを見かねたケイが仲裁に入った。
 助かった、という少年の顔に、ケイはくすりと笑う。
「こんにちは、はじめまして。猫ストライダーのケイだよ」
 漆黒の長い尾。同じく長い尾を持つ少年も猫ストライダーだろう。挨拶に差し出された手を、少し躊躇しながら軽く握り、少年は僅かにはにかんだ。
「……よろしく」
 舞いまで時間があるようだ。ケイは目の前の彼が、同盟のストライダーとどう違うのか、座を勧めると話を聞く事にした。

 一方、杯を持ち、笑顔の族長達の隣でミニュイはウィンやシュウに助けて貰いながら、同盟の説明を始めていた。
 ウィンがドリアッドやリザードマンの話を皮切りに、希望のグリモアの話を終えると、族長達、所謂偉いと見える大人達はそれぞれに何かを話し合い始めたようだった。やがて、少し失礼するといって、中座してしまった。
「おおらかな人らしいから、大丈夫、だと思ったんだけど」
「そうね……」
 何を話しているのだろうか? ミニュイも首を傾げた。
 
 やがて宴も酣。ミライの振る舞うフルーツケーキやミルクレープ、甘い果物がデザートに振る舞われると、ジンのフルート、ウィンの歌を伴奏に、ケイとミライが舞いを披露する。焚かれた中心の炎の前で、光沢の有る美しい衣装に長く腕から垂らした白いリボンが、舞いに合わせて優雅にたなびいた。
「見事ですな」
 いつの間に戻ってきたのだろうか。族長達は再び座につき、そしてミライ達の舞いと演奏に惜しみない拍手を贈った。
「ミニュイさん」
 唐突に名前を呼ばれ、ミニュイは弾かれたように顔を上げる。
「これを見て頂きたい」
 族長ラウンが取り出したのは、一枚の羊皮紙だった。書き込まれているのはこの南方大陸。東からエルフの住む海岸、ヒトノソリンの住む集落、そして、ストライダー達が住む土地――それは地図だった。
「私達は旅が好きで、過ごし易い土地を見つけると時々皆で移動したりしている」
 族長はストライダーの土地を指差した。
「といっても、移動出来るのはこの辺り、限られた土地です……私達はこの世界中を自由に旅したいと思っていますが、勿論、世界には我々の住めない土地もあるでしょう」
 族長はもう一度地図を指す。さらに西の、空白の部分を。
「この地図を作り上げる事は我々の夢なのです。その為に今まで何人もの冒険者が未知の土地に挑みました。勿論、帰ってこない者も大勢います」
 そこまで言うと族長は、飲み物を運んでいた縞尻尾の少年を呼ぶ。
「この子も冒険者だが、この子の父親は偉大な冒険者だった。これまでに幾度も地図にその冒険を記してくれたが……5年前、最後の旅に出たきり、行方がしれない…と、まあそんな事は兎も角…先程伺った話では、貴方達は海を越えてやってきたそうだね」
 シュウがこれに頷く。
「どうか、我々の夢を手助けしては貰えないだろうか? ……そのためならば、我々の聖域に案内しても良い、と結論が出た。勿論、先程の希望のグリモアの話が本当だとしてだがね」
 族長の周りの大人達もミニュイを見て頷いた。先程の中座は、その為の話し合いだったのだろうか。
「それは……」
 願ってもない話だ。ミニュイはウィンと顔を見合わせた。


「そういえば、名前を聞いてなかったわね」
 同じ猫尻尾の少年を思い出し、ケイが呟いたのは旅団に帰ってから。
 友好の証として、シュウがランドアースから準備した苗木と交換に持ち帰った、巨大ナスの苗木は、植樹の後やがて枯れてしまっていた。
「育て方が悪かったとは思えないんだけどね……」
 首を捻ったシュウだったが、巨大ナスビにはまた、ワイルドファイアで出会えるだろう。
――地図かあ。
 ミニュイの呟きを思い出して、ミライは遠く南の方角を見つめた。


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参加者:12人
作成日:2004/09/15
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