≪空のささやき≫星の降る湖



<オープニング>


「『空』の皆で、どっか出かけたいと思うのー」
 陽示樹の下、草の上に頬杖をつきながら赫色の風・バーミリオン(a00184)が言う。
「いいねー」
「ええ、ぜひ行きたいです……」
「俺も〜♪」
「いいんじゃない?」
 様々に返る団員達の声を満足気に聞いて、バーミリオンは護りの黒狼・ライナス(a90050)に尋ねた。
「皆で出かけられる場所、どっかないかなー?」
「ん……? それならサツ……」
「お星様が見れるとこがいいな」
 にこにこと言うバーミリオンの台詞に、『サツマイモ掘り』の案は飲み込まれた。焼きイモ片手に星空を眺めるのは……ちょっと風流とは言い難い。
「そ、そうだなぁ……」
 ライナスは苦笑いで、なぜか注目してくる皆から視線を逸らし、考えることしばし。
「山に行くか? 麓でぶどう狩りして、夕方までに山に登って。確か……山の上にある湖で、綺麗な星が見られる場所があったはず……」 
 満天の星空が湖に映って、輝くように美しいという話だ。その湖は『星の降る湖』と呼ばれている。

 賛成の声が笑みとともに集まり、行き先は決定。
 秋晴れの日に、お弁当を持って……。さあ、皆で出かけよう♪

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参加者
フェイクスター・レスター(a00080)
破邪の心宿・トオヤ(a00100)
赫風・バーミリオン(a00184)
青星の欠片・リュカ(a00278)
天翔る一矢・ミヤコ(a00675)
蒼空を渡る翼・ジェイ(a00838)
鋼鉄の護り手・バルト(a01466)
黒紋の灰虎・カラベルク(a03076)
温・ファオ(a05259)

NPC:護りの黒狼・ライナス(a90050)



<リプレイ>

「ぶどう、葡萄〜♪ お星様〜です☆」
 いつもとノリが違う気がするくらい、楽しそうに早朝からお弁当作りをしているのは温・ファオ(a05259)、そして水月・ルシール(a00620)の2人。鋼鉄の護り手・バルト(a01466)や蒼空を渡る翼・ジェイ(a00838)などは、食べるのが楽しみの1つになっているのは間違いない! 彼らを含めた10人分なのだから、用意する量も半端ではない。
「ピクニックはお弁当作りからです」
「ええ! そうですね」
 ルシールはふかーく同意する。手作り弁当がないピクニックなんて、バルトがどれだけガッカリするかと思うと……。(ぇ
 釜炊きごはんをサックリ混ぜ、湯気を飛ばてボウルに移し……。朝採り野菜でサラダを作って。積み上げた薄切りパンには、ハムにレタスにタマゴにトマト……色々な具が順番に挟まっていた。サックリ耳を落とせば、サンドイッチの出来上がり。
 テキパキ働く彼女達に遅れて、眠い目を擦りつつ赫色の風・バーミリオン(a00184)や青星の欠片・リュカ(a00278)達が起き出して来る。
「ファオさん達、早起きなのー」
「「はい♪」」
 込めている愛情が違うの♪ と言いたげなハモリ。(特に若干1名)
 拙いながらもバーミリオンとジェイ、リュカもおかず作りを手伝い始め、「あっ!」とか「うわっ」とか、失敗したらしい声をBGMに作られた玉子焼きには、リクエストの『甘めに』プラス、殻の欠片が入っているかもしれない……。
 そんな様子を微笑ましく見ながら、コッソリ(?) 持って行くお茶の準備をしているフェイクスター・レスター(a00080)。
「???」
 なぜコッソリなのか。いぶかしんだ護りの黒狼・ライナス(a90050)が覗き込み……見なかったことにした。

 その奥では、黒紋の灰虎・カラベルク(a03076)達が荷物の準備。
「お弁当はバルトが手持ちだよね。それ以外の荷物はこれだけ?」
 夕食のバーベキュー用の網だの鉄板だの、かさ張る荷物も多かったが、バルトが用意したノソリン2頭の御陰で、カラベルク達はすっかり身軽。返って手持ち無沙汰だったりして。
「ええっとー、膝掛けは皆の分はいってる? トオヤが持ってな?」 
 言って、天翔る一矢・ミヤコ(a00675)は破邪の心宿・トオヤ(a00100)に荷物を押し付ける。すると、それもトオヤはノソリンにパス! ノソリンは気は弱くても力持ち♪
「ふむ。土産用にもノソリンを借りて出るか……?」
 荷物の量を見て、真面目に考え込むバルト。しかし、なぜか口がもぐもぐもぐ。隙をみては弁当の『味見』に行っているらしい。

 さて。皆で軽く朝食をとったら、葡萄狩りへ出発!


 山の裾野は葡萄畑。葉の色と葡萄の色が織り交ざり、景色を彩っている。
 ここかな? と案内地図を見ながらライナスが皆を通した葡萄園は、今はやや季節を外れたデラウェア、たわわに実った巨峰にタノレッド、ピッテロビアンコ。色だけでも沢山の葡萄がなっていた。
「うわぁ! いっぱいなってるわぁ。私、白いのがいいっ 白いの探して、トオヤ」
「その前に籠持て、かごーっ」
 ミヤコの勢いに引きずられるように、一緒に奥へ入って行くトオヤ。
 くすくす笑う皆がハッと気付くと、手近の葡萄を早速食べてしまっているバルトがいた。
「「「…………」」」
「ん? 美味いぜ。ファオ達も食べるか?」
 視線に気付いてバルトは言う。
「え?」
 そんなに物欲しそうに見えてしまったでしょうか……と思いつつ、ファオは、バルトが差し出してくれたひと房を受け取ると、紫の粒を1つ口に入れた。
「甘い?」
「どう?」
「美味しい?」
 ジェイやリュカ達が寄ってたかって感想を聞き、
「美味しいです……」
 ファオが言うと「わぁい♪」と大喜び。
「さーて。バルトは『おあずけっ!!』」
 皆の葡萄確保の為、1番の大食漢に紅蓮の咆哮をかますカラベルク。
「うお……っ?!」
 パックリいきかけたバルトの口元には葡萄。せめてこのひと口だけはーっ! と、抵抗する腕がぷるぷるしている。そこへレスターがやって来て、葡萄をポイッと取り上げた。
「俺はあちらで昼食用のシートを広げて待っているよ」
「じゃあ、俺がレスターさんの分も取ってきてあげるねっ」
 請け負ったバーミリオンは、「どれが甘いかな〜?」と葡萄を見上げる。
 これで安心とばかり、カラベルクもニッコリ笑う。それから、背中に背負った籠へ、ひと房2房……ポイポイッと葡萄を放り込んでいくジェイの横で、
「と、届かない〜っ」
 ちょっと涙目になっているリュカを肩車してやった。
「ほら、これで取れるだろ?」
「ありがとーっ カラベルクさん」
「ねえねえ、こっちに白いのがあるんよ。皆も取らへん? あっちは赤っぽいのやった!」
 葡萄の葉の間からひょっこり顔を出したミヤコも、小さくて届かなかったのか、トオヤに背負われた格好。報告を聞いて、
「じゃ、赤いのへゴーッ!」
 リュカを肩車したまま、カラベルクは走って行く。
「まだ取るのかよ? ミヤコ」
「何言ってるん、トオヤ。今度はお土産分とるんよ」
「はいはい……」
 そんな会話に忍び笑いの漏れる和やかな空気の中、『おあずけ』を食らったバルトは……食い物欲しさの気合で復活。レスターがアイギスから持参した緑汁粉を発見すると、カラベルクのカップにたんまりと入れてやったとか……。

 緑汁の罠にカラベルクが嵌った頃。葡萄を沢山とって満足した一行は、お手製弁当で小休止。
 秋晴れの空の下、シャケにタラコにおかかに昆布……おにぎりと甘い玉子焼き、サンドイッチの昼食は、瞬く間に無くなった。こっそりジェイが入れた大学イモは、目ざとく見つけたライナスのおやつに。
 それを、1番幸せそうに見ていたのはファオで、葡萄よりも皆の「美味しい」の声の方が嬉しかったらしい。レスターに出された紅茶をコクリと飲みつつ、身体以上に心が温まったように頬を染めた。


 そうして、午後は山登り! 今日のメイン、星の降る湖へ。
 お土産の葡萄は葡萄園で預かってもらい、ノソリンから下ろした荷物を、皆で分担して持ち運び。
「皆、足元に気をつけてな」
 言うトオヤの背にはひざ掛けが5人分、左手にはバーベキュー用の野菜。ライナスやレスター達、男手で重いものを引き受けて、女の子とお子様には、木製食器などを割り振って。
 ドキドキしながら上り切った山の上には、小さな湖が待っていた。
 夕空を映して、水はとても綺麗だった。夜になったらもっと綺麗になるんだろうか……?
 「わぁ」とも「はぁ」ともつかない感嘆の溜息をつき、皆はしばし湖の端でぼんやりと佇んだ。
「あっ 俺、魚釣ってくるぜっ」
 ハッとしたように、今度はトオヤがミヤコを引き連れて、釣り道具を手に勢い込んで出て行く。……果たして釣れるのか?
 陽が暮れる前にと、他の皆も星見の準備を始める。
 竈の用意をして焚き木を集め、火を起こして焚き火を取り囲む。セッティングの済んだ網と鉄板の上には、切り分けた野菜やソーセージが並んだ。
「肉、肉、野菜、肉、野菜、時々ワイン……だよな? ファオ?」
「はい?」
 バーベキューの心得(?) をそう主張するバルトに、
「ちがーう! 野菜、野菜、肉、肉、野菜、野菜! たまにワイン! だろっ」
 またしてもカラベルクの横槍。
「俺は美味しかったら何でもいい〜」
 焚き木集めから帰ってきたジェイが、そう言って、1番に焼きとうもろこしを網の上からかっさらうと、夕食の始まり。トウモロコシ好きのファオも、つづいて1本取る。
「トオヤさーん? ミヤコさーん? 魚、釣れたー?」
 そろそろ、と思ってバーミリオンが声をかけると、しょんぼりした2人が帰って来た。手にしているのは、湖で冷やしていた葡萄だけだ。
「釣れへんかったぁ」
「うう〜」
「他の食材がいっぱいあるから大丈夫だよ。ご飯食べてっ そしたら温かくなるよっ」
 バーミリオンに言われ、しょんぼりしながら食べ始めた2人の顔は、いつしか笑顔になっていた。ミヤコは尻尾をゆらゆらさせながら、焼き上がりを待っている。
 皆でいられるのが、温かさのヒミツ。
 やがて、夕闇深くなった空には星の輝きが1つ2つ……そして、数え切れないほどになる。
 食べて、見上げて、食べて、食べて、そして見上げて……。
 そのうち、ぼんやり見上げるばかりになって。
「綺麗だね……。でも、お星さまは持って帰れないね……。ずっと見ていたいなあ……」
 膝を抱えて星空を見上げるリュカに、レスターは毛布をかけてやる。
「風邪をひかないようにな。ほら、バーミリオンも……ああ、ファオも……」
 リュカの隣りでうつらうつらし始めたバーミリオンとファオも、温かな毛布に包んでやった。
「すっごく綺麗……幸せです……」
「流れ星が見られるまで起きてるのー。願い事して……」
「と言いつつ、寝ちゃいそうだね……」
 見ていたカラベルクが苦笑するのに、レスターも笑みを返した。
「ホントに降ってきそう……てか、手ぇ届きそうだよね。湖の星なんかすくえそうだし?」
 湖にも沢山の星の瞬き。
 湖のほとり、少し皆から外れたところにはバルト達がいて。ただ、2人で1枚の毛布に包まって星空を見上げているあたり……きっと、大したことも言えずに寄り添っているだけなのだろう。
 視線を移した水辺では、ジェイとトオヤ、ミヤコの3人が何度も湖水をすくってみている。
「水じゃなくってさ、砂、すくってみな?」
 笑いながら近付いたライナスが、物知り顔で3人に言う。
「「砂?」」
「砂が特別なん?」
 とにかくやってみな、と言うライナスに、ジェイ達はサクッと砂をすくい上げた。
 その中に、キラキラ光る小さな石が混じっている。
「「うわぁ♪」」
「もしかして、これが『星』? 『星の降る湖』ってそういうこと?!」
 ジェイが言うのに、ライナスは頷いた。
「そういうこと」
 4人で全員分を探し当て、ホクホク顔で戻ると、既にバーミリオン達は夢の中。
 彼らの懐にこっそり『星の石』を入れてやり、皆は帰路についた。

 遊びつかれたバーミリオンとリュカ、ファオ達が、1番の『お荷物』になったのは言うまでもない。
 けれど、背負ってやったレスターとカラベルク、それにジェイにとっては、背中の温もりは楽しい思い出の1つ……。


マスター:北原みなみ 紹介ページ
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作成日:2004/10/04
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