鐘の音を取り戻せ!



<オープニング>


「これが…塔の鍵になります」
 霊査士が、テーブルの上に鍵をおいた。小さな鍵には、くすんだ色のリボンがついている。血の色だ。
「依頼は塔に住み着いてしまった盗賊から、村の時を告げる塔を取り返すことです」
 詳しい話でしたら、と霊査士は奥のテーブルにいる男を呼んだ。
「こちらは、依頼主のハインツさんです」
 詳しい話しということで、霊査士は一人の男を紹介する。良く焼けた顔をした男ーハインツは、こっちを見てよう、と軽く手を挙げた。
「いやあな、俺の村…ここから東のほうにある、ちいと小さい村なんだがな、そこにある時告げの鐘が鳴らなくなっちまったんだ」
 依頼主の男、ハインツはそう言ってテーブルの前に引っ張ってきた椅子に腰掛けた。
 村から少し離れた所にある塔は、日の出から一時間毎に鐘を鳴らしているのだという。
「鐘の調子が悪いって言うんなら、まあなんとかなるがな、塔に盗人どもが住みついちまったんだよ」
 一つ息をついて、ハインツはそこで、と顔を上げた。
「塔に住み着いちまった盗賊たちをとっつかまえて、村まで連れてきてほしい。そうしたら、鐘突きの仕事をしていたじいさんも、安心してできるってわけだ」
 とん、と一つ手をついたハインツの横で、霊査士が静かに口を開く。
「この依頼で感じたのは、真っ暗になった細い階段です。そして、地鳴りのような音。塔は古くからあるもので、耐久性はよくないそうです。塔の中は、上にあがる一本道で、塔の中で戦闘となった場合は彼らの方が地の利がありますから、警戒した方がよいでしょう」
 依頼の詳細を話して、霊査士はこちらの方を見た。
 依頼は、村の時告げの塔に住み着いた盗賊を捕まえ村まで引っ張っていくこと。
「鐘は村の生活の一部なんだ。あれがないと困る。よろしく頼む」
 そう言って、ハインツが頭を下げていた。

マスター:秋月諒 紹介ページ
新人マスターですので、何が良いのやら分かりませんが…どうぞ宜しくお願い致します。
キャラクターさんの台詞で、行動など使いたい決めぜりふなんかありましたらどうぞ、恵んでやってください…っ
時計塔まで行き、そこで盗賊さんたちと戦って村まで連れて行く。ので倒しちゃ駄目、ということになってます。
時計塔は大きな高い建物ですが、如何せん古いです。
それでわ。誠心誠意がんばらせて頂きます。

参加者
白鎧の騎士・ライノゥシルバ(a00037)
蒼氷の忍匠・パーク(a04979)
深緑の眠り・エフ(a05027)
刺シ穿ツ死翔ノ槍・コクト(a07365)
刹那の堕天使・トウカ(a09781)
春謡・ティトレット(a11702)
虎縞尻尾な見習い剣士・マイア(a14586)



<リプレイ>

●縄と用意と手加減と
「時を告げる塔に居座る盗賊、ねえ……」
 ため息でもつくように、蒼氷の忍匠・パーク(a04979)がそう言った。傍迷惑な、と零すパークの横で、深緑の眠り・エフ(a05027)が静かに頷いた。
「村人さんたちの大事な塔に立てこもるなんて……いけない盗賊さんたちですね」
「そうで御座るな」
 塔への潜入、ということで防具を軽くした鎧人・ライノゥシルバ(a00037)が頷く。いつもより大分軽い装備が気になるように肩を回すライノゥシルバの横で、でもさ、とストライダーの武人・マイア(a14586)が声を上げた。
「そのいけない盗賊さんたちを大けがさせちゃいけないんだよね」
「そうそう。全員捕縛ってのがシチ面倒くさいなぁ……」
「ロープでの捕獲が、主になるだろうな」
 パークの言葉に、朧・コクト(a07365)がそう言った。
 今回の依頼は、塔に立てこもった盗賊を捕まえること。捕縛用ロープはいっぱい持ってきた。準備万端は良いことだが、ちょっとばかしやりにくい。息をつくパークの横で、今回は、と一つ零して刹那の堕天使・トウカ(a09781)が話しに入ってくる。
「退治、というよりは手加減をして、というところでしょうか」
そうなるね、と頷くパーク、ライノゥシルバ、コクトを視線の先に、小春な日和・ティトレット(a11702)がそう言えば、と声を上げた。
「どうして……盗賊さんは塔に住み着いたんだろう? 」
「そういえばそうで御座るな。裕福な村ではないのでござろう」
 ティトレットの言葉にライノゥシルバが応えて、首を傾げる。
「ハインツさんなら、何か知っていらっしゃるでしょうか」
 エフと言葉に、じゃあさ、とパークが声を上げた。
「ついでに盗賊の構成員を聞いておいてよ。取り逃がしても困るしね」
「パーク殿とコクト殿が偵察に言っている間に、で御座るな」
「それでわ僕たちはハインツさんに話を聞いて、待っているということでいいでしょうか?」
 ライノゥシルバの確認の後に、トウカが聞く。頷く忍びの二人はもう準備を始めていてた。

●塔と偵察と忍びの仕事
「見える限りだと……表門に2人、周辺には……見えないね」
「こちらもだ。裏門はないようだな」
 塔から離れた林の中、遠眼鏡で塔を見る。裏門の確認に行っていたコクトも戻り、情報を照らし合わせる。とはいっても、周辺から見えたものはそんなになくて、一つだけの入り口と、門番の2人ぐらいかな、とパークは息をついた。
「なんか……そんなに強そうに見えないよね」
あの盗賊。
 ハイドインシャドウを使って、けっこうな位置まで近づいて見た相手はそんなに強そうには見えない。こうなると、手加減するのも大変そうだと零すパークの横で、遠眼鏡を覗くコクトが小さく頷いた。
「どうかしたの? 」
「いや……本当に老朽化の進む塔だと思ってな」
 遠眼鏡で見る限り、くすんだ灰色の塔は頼りなく立っているだけだ。頂上には鐘が見える。
「この分だと……中は一本道だな」
 遠眼鏡で、塔に入る前に隠れられそうな場所を探す。パークの見つけた獣道と、塔の入り口よりは左に離れた木の茂る場所の安全を確認しにその場を後にした。
「さて、と…なんだか久々に忍びのような仕事だ……」
 苦笑しながら、コクトは蛇腹刀を納めた鞘に触れた。
 隠れる場の確認をコクト、ここから塔までの道の確認をパーク、と二手に別れ、行った罠の確認はすぐに終わってしまった。盗賊たちがいた時用にと手をかけていた刀は意味をなさないままだ。
「距離はそこそこ。ここから左に行けば正面で、まっすぐ行くと塔の横にでるよ。塔の入り口にはさすがにたいまつがあったから仕掛けるなら横からだね」
 戻ってきたパークがそう言ってパークがくぅ、と背を伸ばした。
「それじゃあ、みんなと合流しようか」

●新入り上等 情報交換
「とりあえず、隠れられる場所は塔の横。門番は2人。そんなに強そうには見えない。塔は細くて、あの分だと中は一本道だね」
 取った宿の部屋で情報を交換する。偵察組の2人、パークとコクトが持ち帰った情報にマイア、ティトレット、トウカ、ライノゥシルバが頷いて、最後エフが口を開いた。
「私たち方は盗賊さんたちのことなのですが……、村の方々が見かけた限りでは12から14人だそうです」
「少い、と思うんだけどね」
 ボクは。とマイアはそう言って肩をすくめた。説明を求めるように見てくるパークにライノゥシルバが口を開いた。
「盗賊たちは最近住み着いたらしいで御座るよ。あの塔からは旅人の通る道が見れると、ハインツ殿が」
「そうなると盗賊は旅人を狙ってあの塔を占拠したと? 」
「いえ、そうでは……」
 あ、と声をあげるエフの横でティトレットが助け船をだす。
「今のところ、あの盗賊さんたちのやったことは塔に住み着いたことだけなんです」
 つまりは、盗賊は旅人たちは襲ってはいないということだ。これだけのナイスポジションだというのに。
 おかしいですよね。と言うティトレットに、トウカが考えるように口を開いた。
「盗賊の皆さんもまだ、不慣れということでしょうか」
「不慣れ……ってことは、」
「盗賊成り立て……」
「新人、で御座るな」
 マイアの言葉を拾って、そう言ったパークが肩を落とす。頭痛いなあ、と零すパークの横でライノゥシルバが唸った。
「盗賊は新人。だからこそハインツ殿も捕らえるように言ったのかもしれないで御座るな」
「1人でも、おじいさんの後継者として育てることができたらいいですよね」
「あ、それいいですね」
 エフの言葉にティトレットが賛成する。
 ゆったりと落ちる日の光が差し込むのはそう遠い時間ではなかった。

●突入 確保だ! 新人盗賊
 静かに夜の闇を行く。先に門番2人を倒し、門を開ける為にパークとコクトが塔の側面から門を目指す。まず奥の一人を、コクトがみね打ちで倒す。とさ、と静かにした音に手前の門番が声を上げる前にパークが後ろから手を回す。
「構成員は何人? 」
 口を塞がれた盗賊の驚きの声の代わりにひゅう、と喉だけ鳴った。サーベルを首筋に当ててそう言えば盗賊が体を硬くした。パークの言葉に、ばたばたともがく盗賊に、あ、しゃべれない?と肩をすくめる。
「手でやってよ。そう、両手で」
 促すパークの声に、震えながら盗賊が手を上げた。
「15、か」
 震える手が作った数字に一つ頷いて、ありがとね。と込めて一発いれる。
「村人が言っていた数とさして変わらないな」
「それもどうかと思うけど。やっぱ盗賊成り立てなのかなぁ」
 かくん、と膝を折る盗賊を抱えて込んでゆっくりと地面に下ろす。コクトが縛り上げた門番と2人並べて、とりあえず、たいまつの明かりより遠くに置いておく。
「うーん」
「パーク? 」
「いや、芋虫みたいだなあってさ」
 ぐるぐる巻きとは言えないが、縛り上げた盗賊たちを横にパークがそう言って、ミストフィールドを展開させた。

 塔の扉をパークが調べる。仕掛けがあるということはないだろうが、念のために、と調べるパークが小さく頷いて見張りをしていたライノゥシルバ、コクトに視線を送る。門番からとった鍵を差し込んで、ゆっくりと扉を開ける。
 まず、パーク、続いてティトレットとマイア、エフとトウカが入り、ライノゥシルバ、そしてコクトが最後に入り、扉にシャドウロックをかけておく。
「窓とか、脱出口になりそうなところもかけておかないとね」
 先頭を行くパークが目に入った窓にシャドウロックをかけておく。カンテラの灯りを調節しながら、足下、それから奥まで視線を巡らす。
「細い道……あれが霊査士さんの言っていた道でしょうね」
 上へと続く細い道は時告げの鐘までの階段だろう。トウカの小さな言葉に、一同が静かに頷いた。
 ふと、パークが足を止める。人影が見えた。細い道の少し前、たいまつの明かりを調節しにやってきた盗賊に、カンテラをティトレットに渡したパークが床を蹴った。
「ー」
 ぐ、と鳩尾一発。膝を折る盗賊を気絶させる。革のロープを腰からとって、巻き付けている時に後ろで声がした。
「誰だ貴様らっ」
「見つかったようで御座るな」
「あーもうっ」
 ライノゥシルバの一言に、パークが声を上げる。勢いよく、きゅ、と縛り上げてしまった盗賊から呻き声がしたがそんなのもう関係はない。
 最後尾にいたコクトが声を上げた盗賊へ向かう。たん、と床を蹴って軽々と動く姿が闇に混じる。
「……っ」
 盗賊が剣を抜く間もなく背後に回りこんだコクトが、回し蹴りをいれる。うめき声と共に顔面から床に向かって崩れた盗賊に、コクトは小さく息をつく。
「……手加減して戦うのも楽ではない」
 首の辺りを痙攣させる盗賊を持ってきたローブで縛り、やってくる気配に立ち上がる。
 ライノゥシルバがマイア、エフ、トウカに誓いの言葉と共に君を守ると誓う、と守護の力を与える。
「相手を眠らせます」
 階段の上からやってきた盗賊たち7人の姿を見てエフがすう、と息を吸い、口を開く。その横トウカが護りの天使奥義を発動させる。ふわりと浮いた羽毛の塊にやってくる敵を見据えながらトウカはふわりと微笑んだ。
「お眠りなさ〜い」
 響く眠りの歌に、ばたばたと階段から下りてきた盗賊たちが倒れていく。前で倒れた仲間のお陰が逃れた盗賊たちが2人、駆け下りてくる。エフに向かってきた相手の前にライノゥシルバがざ、と立つ。
「! 」
 威圧感もたっぷりに、薄明かりの元影のかかったライノゥシルバに怯えた盗賊に背後からやってきたコクトが気絶させる。
「こっちだよ」
 マイアが刀に手を添えて、みね打ちで最後の一人倒す。
「まだ来るようで御座るな」
 わらわらと集まってきた残りは4人。その中の一人に、メイスをたかだかと掲げている盗賊がいた。あ、と声を上げるパークがその第一撃を避ける。
「そんなもの振り回さないでよっ」
 避けた先、がつん、と階段にぶつかったメイスに塔が揺れた気がしてパークが冷や汗をかく。後ろにいたティトレットが一歩下がり、マリオネットコンフューズをかけた。暴れる盗賊にティトレットメイスを避けて、飛びかかって押さえ込む。エフの喚んだ土塊の下僕 がメイスを抑え、その隙にティトレットがいれた一撃で盗賊は膝を折った。
「おとなしくしてなさいっ! 」
 そう言って極めつけの一発と共に腰のロープで縛った。
「お眠りなさ〜い」
 再び響いたエフの眠りの歌に、残った盗賊たちの動きが鈍くなる。それでも突撃して来た盗賊を避けて、パークが足蹴りをいれる。
「うわっと」
 転げながらも足を掴んでくる盗賊に一発いれる。床に押しつけるようにいれた一発にう、と呻く声と同時に白目をむいた盗賊にやっちゃったなあ、とため息をつく。
「エフ殿っ」
 眠りの歌を歌うエフの前、やってきた盗賊にライノゥシルバが声を上げた。
「ーいけませんね、」
 あ、と声を上げるエフの前に、すらりとトウカが入ってくる。振り上げられた刀を避けて、その手を取り、回す。
「うわあっ」
 ごきゃ、と不吉な音がする。見事に決まっている関節技に、上がる盗賊の叫び声を効果音にトウカは涼しげに微笑んだ。
「入っているなぁ、関節技」
「いえいえ、教育的指導ですよ♪」
 痛そう、と零すマイアの横で正面の相手をパークとコクトがそれぞれ盗賊を縛り上げ、ライノゥシルバがひょい、と担いでひとかたまりに置いた。
「15人目、ですね」
 最後の一人を縛り上げて、トウカがそう言う。教育的指導を受けた盗賊は、にこりと微笑むトウカに頬を引きつらせながら静かにお縄についていた。
「これで全員で御座るな」
 辺りを見渡し、気配を探るコクトが静かに頷いた。階段の上まで行って降りてきたパークが誰もいないよ、と手を振った。
「物音で全員降りて来ちゃったみたいだね」
 肩をすくめたパークに、コクトが静かに息をつく。ティトレット、マイアが人数を数える。芋虫のように縛り上げられた盗賊ご一行は見事お縄となった。

●盗賊とお片づけと村の鐘
「ありがとう、本当にあんたたちのお陰だ」
 縛り上げた盗賊たちを連れて村へと戻った一行を待っていたのはハインツだった。礼言うハインツに、広場の中央に集められた盗賊たちに伺うようにエフが口を開いた。
「それで……この人たちはどうするんですか? 」
「そうだなあ……根っからの悪ってわけでもなさそうだが……」
 また、こんなことがあってもな。と言葉を濁すハインツに、ティトレットがそれじゃあ、と声を上げた。
「更正させるってのは駄目ですか? このまま突き出すのも……」
「まず、塔の掃除をしていただいたらどうでしょうか? 塔は壊れやすいそうですし」
 トウカがそう言う。悩むハインツに、大丈夫ですよ。とふわりと一つ笑みを浮かべる。
「使った所は片づける。ということで、塔の補修もかねて」
「塔の補修は必要で御座るな。塔は老朽化がひどく、補強した方が良いで御座る」
 あ、もちろん力なら貸すで御座るよ。
 続いて言うライノゥシルバに、そうだなあ、とハインツが零した。
「元気な人手はしっかりそこにあるしね」
 極めつけに、ぴし、と盗賊たちを指さすパークにハインツがよし、と一つ手を打った。
「人手は必要だし、な。何にするにしたたって。よし、じゃあいっちょ根性たたき直すか」
 お縄になった盗賊たちを見て、ハインツはそう言った。冒険者たちの視線に、盗賊たちも不平の口も開かないままだ。
 からん、からん、と鐘の音が響く。一人、また一人集まってきた村人たちが鐘の音だと、声を上げた。
「しっかし……じいさん、鳴らしすぎじゃねえのか? 」
「ティトレットさんも行っていましたよね……」
 響く鐘の音に顔をしかめるハインツの横で、一度打ってみたかも、と言っていたティトレットを思い出してエフがそう言う。じゃあ、ティトレットもいるのかな、と声を上げるマイアの横でトウカがふ、と塔を眺める。
「……響く鐘の音、至近距離で聞くと頭が痛くなるが、遠くで聞く分には三歩ほど譲歩して良い音だ」
「そうでござるな」
 感慨深く頷くライノゥシルバの目に、夜も遅くなるというのに鐘の音を聞いて集まってきた村人たちがうれしそうに、声を上げる。
「これにて、依頼完了だね」
 うれしそうに塔を眺める村人たちに笑みを浮かべ、パークがそう言った。


マスター:秋月諒 紹介ページ
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作成日:2004/10/02
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