【小麦と卵】冬のあったかココット



<オープニング>


「銀の卵と呼ばれる上質の卵を産む鶏を育てている、養鶏家の方から今日も依頼です」
 そう言って、霊査士は冒険者たちに声をかける。
「村で育てているほうれん草の畑に、巨大で真っ白な蝶がここ数日、毎日飛んでくるそうです。その蝶のリン粉は氷の粒で出来ていて、ほうれん草がその内全てリン粉で、だめにされてしまいそうだと言う事で、依頼がきました。霊査したところ、巨大な蝶は1匹だけのようですが、このままではどんどん大きく育ち、吹雪を起こすような被害が出かねない事が分かりました。急いで村へ行き、この蝶を倒してきてください」
 霊査士はそう言ってから、ぺこりと頭を下げる。
「巨大な蝶を退治した後はほうれん草も使った、あったかい卵料理のココットを教えてくれるそうですよ?」
 すぐ傍にいた微笑誘う無垢な陽射・ラングにも声をかけ、がんばってくださいねと霊査士は笑顔で冒険者たちに再び頭を下げるのだった。

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参加者
蒼き魔弾の射手・セレスティ(a00137)
医学生・カウェル(a01014)
陽光の後胤・ナル(a01122)
天翔ける蒼翼の獅子・テンオー(a01270)
月の雫・コトル(a01732)
星屑の旋律・カナメ(a02282)
春摘み苺・スージー(a04978)
六合影・スズカ(a05224)
真紅の龍神の使徒・レオ(a07193)
哭きの・カイエ(a14201)
NPC:微笑誘う無垢な陽射・ラング(a90045)



<リプレイ>

●その名は……ホスラ?
「何か……今回のラングさんは気がついたら依頼に参加してたと言う感じですが……大丈夫ですか? がんばって行きましょうね?」
 苦笑してラングの肩をぽむりとたたき、医学生・カウェル(a01014)が言う。
「敵は……巨大な蝶ですか……ホスラ? だったらカナメさん、ラングさん、2人で歌ってください。太古の昔から成虫の蛾は双子のこすもすが歌い操ったものです。まぁ、蛾ではなくて蝶ですが大丈夫でしょう」
 月天蒼牙・セレスティ(a00137)が、星屑の旋律・カナメ(a02282)やラングに向かって笑顔で言い切る。言った後で自分の言った事に首を傾げて、いよいよ電波な人になったかと、セレスティは少しの間怯えていた。
「巨大な蝶のホスラ……歌で大人しくさせて誘導するのか♪ よしよし、歌なら任せてよ♪」
 そんなセレスティに気がついていないのか、笑顔であっさりカナメが引き受ける。
「ラング、2人の絶妙なコーラスを皆にお聴きいただこう。なっ♪」
 いやいやと首を振るラングの肩をぽんとたたいて、カナメはにっこりと言い切った。
「ホスラを誘導する『ジ・アーモンド』の2人の為に、素敵なステージ衣装着せてあげるねv」
 にこにこと陽光の後胤・ナル(a01122)が、言う。
「衣装はやっぱりおそろいだよね♪ 目を引く為にちょこっと派手目がいいかな? アクセサリーも貸してあげるよ。リボンとかあった方がいい?」
 色々と悩みながらも口早に、次々と衣装やリボンやアクセサリーも取り出すナル。彼女の横ではにやりと笑ったリドリィが、ぐっ! と親指を立てていた。
「ラング兄貴、デビュー公演応援してるぜ!!」
 真紅の龍神の使徒・レオ(a07193)はラングに笑顔を向ける。ちょっぴり泣きそうな笑顔で、ラングはがんばるのじゃーと答えた。
「ホスラさんに攻撃されるかもしれないのに、素晴らしいです……!」
 感動の眼差しを送る春摘み苺・スージー(a04978)のその視線に、もちろん否と言う事など2人には出来ない。
「がんばってなぁーん。カイエも誘導手伝うのなぁーん」
 笑顔で手をふり、哭きの・カイエ(a14201)が巨大な虫取り網を手に言った。

「氷を撒く蝶とは、変わった生き物ですね。作物に被害が出ないように畑から離しておきたいものですが……」
 ざっと周辺を見回した後、六合影・スズカ(a05224)はそう言って村の人々によさそうな場所を尋ねて回る事にした。
「はふー、寒くなってきたのです……。こういう時はあったかいのが一番ですv なのに氷のリン粉……。村人さんたちの為にもがんばるです!」
 ぐぐっと拳を作るのは、スージー。彼女もスズカと一緒に、戦うのによさそうな場所を聞いて回る。
「比較的被害の少ない、視界の開けた場所があれば、そこを戦場にしたいと思います」
 そう説明して村人に質問するスズカへ、村人はほうれん草の畑よりもう少し、村から外れた場所にある野原を示した。その辺りは子供が遊び場にしているが、作物を植えているわけではないので、被害は少ないだろうと言う話であった。
 天翔ける蒼翼の獅子・テンオー(a01270)と月の雫・コトル(a01732)は村人たちに蝶こと、冒険者たちに名付けられた、ホスラの行動ルートを尋ねて回る。いつ頃、畑の方へ飛んで来るのか、どちらの方向から来てどの方向へ飛んで行くのか、などを尋ねていた。
「……ある方がいいでしょう?」
 そう言って、マフラーや手袋を取り出すヒカリ。氷のリン粉を飛ばすホスラが相手なわけなので、当然、ある方がいい。実際、数名の冒険者はゴーグルをつけたり、防寒服を着込んだりして、多少動きにくそうではあったがしっかりと寒さ対策をしていた。

●ホスラと戦え!?
「カナメおにーちゃんとラングおにーちゃんの『ジ・アーモンド』、楽しみなんだ♪」
 にぱっと笑顔で言い切るコトル。
「す、凄いですよ! カナメさんにラングさん!! まさに、こすもすですっ!!」
 カウェルと同時に、噴出したセレスティは爆笑しながら2人の肩をばしばしとたたく。赤系のスカートっぽい衣装にアクセサリーなどもつけて、要するにやっぱり女装風味らしい。
「セレスさん、笑うのは失礼ですよ!」
 そう言いつつも、肩を震るわすカウェル。
「2人ともとっても似合うのv 準備は完璧! ファイトなの!」
 にっこりきっぱり。笑顔のナル。スージーのフォーチュンフィールドにより、淡くぼんやりとした明かりが地から放たる場所が2人の立つステージだ。
 首にリボンをつけたリドリィはどこからか取り出だしましたる謎アイテム、まいくを構えた。
「レディースあーんジェントルメン! お待たせしました。ただいまから『ジ・アーモンド』による夢のショータイム! ホスラは果たして二人の願いを聞き入れ沈静化するのか?!」
 夢は悪夢かもしれないが、ともかく話は進むわけで。リドリィ、さくっと解説を開始した。
 コトルとテンオーが聞き出したホスラの飛来方向から、多少それた位置にある野原へとホスラを誘導すべく構えるカナメとラング。ホスラの普段の進路方向にはカイエがいて、巨大な虫取り網をいくつか用意し、こちらは土塊の下僕に持たせるつもりでいるらしい。
 こうしてしっかり待ち構える冒険者たちの前に、ホスラと呼ばれるようになった蝶は姿を現した。
「ホスラやホスラ〜♪
 人も住まない山奥に 誰も知らない蜜の花♪
 人の知らない海の果て 誰も知らない虹の花〜♪」
 辺境やら無人島やらへ、出来たら行ってくれと願いを込めてカナメが歌う。しかし、残念ながら相手は巨大化したとは言え蝶なわけで、どうも話を聞いてくれる気配はない。2人から少し離れた場所ではコトルが一生懸命、伴奏をする。
「俺は言ってないけども〜♪
 ここのワンコが君の悪口〜言っていたとかいないとか〜♪」
 方針を変えて、挑発する事にしたらしいカナメの歌を信じられたら大変と、慌ててラングも歌い出す。
「わし知らぬのじゃ〜嘘じゃないのじゃ〜♪」
 とりあえず必死に涙を流して言いわけをするラングだが、そんなものはホスラの預かり知る事ではない。因みに、歌いながらカナメは歌で大人しくなるのは巨大な蝶じゃなくて蛾だった気も、と考えていたりもした。
 畑の側からカイエが土塊の下僕たちと網を使って追い立る。もちろん、カイエは畑を踏み荒らさないよう足元にも気を配っていた。網を交わして飛ぶホスラは冒険者たちの当初の目的通り、野原へと追い込まれる。更にリン粉が飛びそうな、野原近くの畑にはしっかり、テントの布がかぶせてあった。
「レオ、行くでぇ!」
 早速、テンオーがレオとエンブレムシャワー奥義を使い、ホスラへ攻撃を仕掛ける。続いてセレスティがホーミングアロー奥義を放つが、残念ながら上手く当たらなかった模様。セレスティはいまだ爆笑を続けていたので、失敗はそのせいだと思われる。
 続いてスズカが飛燕連撃奥義で攻撃を仕掛けた。説得が効かないとあって、寒さに震えるカナメとラングの為に、コトルが眠りの歌奥義を使ってホスラを眠らせる。更にスージーが紅蓮の咆哮改を使い、動きを止め、そのホスラへはナルがスピードラッシュ奥義で斬りかかった。
「じゅーじゅー焼くなぁーん」
 スキュラフレイムを放つのはカイエ。更に破鎧掌奥義を使ったテンオーの攻撃により、ホスラは無事に倒された。倒されたホスラは、カウェルがしっかりと火をかけ、灰にする。
「ってわけで今回は解説だけのリドリィでしたー」
 終った途端すちゃっと手を上げ、片手のまいくでそう言い切ったリドリィの心は、すでにココットへと飛んでいた。
「素敵な歌声と演奏だったのv」
「アーモンドのお2人とコトルさんはお疲れ様です」
「カナメさん、コトルさん、ラングさんもステージお疲れさまでした!」
 にこにことお手伝いを含めてステージを実演した3人の頭を撫でるナル。スズカやスージーも労いの言葉をかける。
「……何かしら『ジ・アーモンド』のお2人の記録を残したいですね……」
 セレスティはそんな事を呟きながら、なにかのメモを作成していたとか何とか。
 テンオーはしっかりほうれん草を必要と思える分量だけ、収穫する。そうして冒険者たちは依頼主の元へと戻った。

●ココットと誕生日
「ココット、ココット♪ いろんな物を入れられるんだよね♪」
 わくわくと、楽しそうにするコトル。
「わーい、あったかいココットーv」
 スージーは嬉しそうに言う。
「えっと、あのね。あのね……実はあたし『ココット』ってどんな料理かわかってないの……」
 ナルは反対に、あたしでもちゃんと、おいしく作れるかな? と不安そうだ。
「んで……ココットって何?」
 やっぱり知らなかったカナメも、首を傾げて質問する。カレー味にしたらイケるかな? などと聞いてみたりもした。ココットというのは要するに、ココットと言う名の型を使った料理。何を入れてみてもいいわけで、実はアレンジもとても簡単なのである。
「美味しく出来るかなぁーん」
 首をかしげながら、カイエはバターを塗った耐熱容器を手にする。
 依頼主はごく簡単な物をと、茹でたほうれん草をひと口大に切り、ベーコンやチーズを少し入れ、その後は直接卵を割り入れてオーブンで焼くココットを教えてくれた。他にもある材料で好きにアレンジして構わないと、養鶏家は言う。
「卵に火を通しすぎないのがこつなぁ」
 教えてもらったレシピ通りにオーブンでココットを焼くテンオー。レオは真剣にレシピのメモを取る。
 セレスティとカウェルも、しっかりココットの作り方を習う。因みにカウェルはこそこそと養鶏家へ相談し、卵や小麦粉を分けてもらい、隅で何か作っていた。
「……ココットにはパセリを刻んで入れると、また美味しいですよね」
 そう言って、出来上がったココットにパセリを散らすヒカリ。
「ボクは卵とクリームたっぷりのココットが好きだよぅ。ちょっとずつ中に入れるのを変えて、みんなでわけっこしながら食べれたらいいな。いろんな味を食べてみたいんだ」
 笑顔で、そう言うコトル。
「南の国でのお料理交流の為にも、腕を磨いて行きたいです」
 ココットをオーブンから取り出すスズカはそう言って、微笑む。リドリィやラングもしっかり、作り方を教わっている。
「あったかくて美味いな」
 出来上がったココットをテンオーは笑顔で食べていた。
「寒い時にあったかい物は体があったまるぜ! ラング兄貴、美味くできたか?」
 出来上がったココットを笑顔で口にするレオ。
「美味しいな! 俺のも美味しいぜ!」
 そう言いながら、ラングの作ったココットをひと口食べ、自分の分も笑顔で勧めた。レオの作ったココットを口にしたラングは、やっぱり嬉しそうに美味いのう♪ と笑顔になる。
「体がぽかぽかしてくるです……。幸せーって思うですねv ほうれん草も体にいいですし、がんばろうって気が湧いてくるです!」
 嬉しそうに、食べながらスージーも言う。
「ナルちゃん、ついでにちょっと早いけどラングも誕生日おめでとうな〜♪」
 そう言って、カナメが自作のカレー味のクッキーをプレゼントし、皆も一緒にと言いながらも、なぜか自作らしき聞いた事もないような誕生日の歌を歌い出した。
 コッソリと準備したケーキを取り出し、カウェルがナルへ誕生日おめでとうと声をかける。
「ちょっと遅れちゃったけど、ナルさんの誕生日のお祝いをしましょう。後はラングさんの誕生日前夜祭(?)ですかね〜。楽しくお祝いしちゃいましょう♪」
 そう言うセレスティも、多分少しはカウェルのケーキ作りを手伝ったはずだ。例え味見の方が多かったとしても。
 もちろん切り分けられたケーキを最初に受け取ったのはナルだったが、冒険者たち全員と養鶏家まで、しっかりとケーキが渡される。幸せ〜! を連発しながらココットやらケーキやらを頬張るリドリィ。おめでとうだよぅ〜と笑顔でお祝いを言いつつ、やはり嬉しそうにケーキを頬張るコトル。
「お腹いっぱい。ごちそうさまでしたなの☆」
 しっぽはぱたぱた。出されたケーキも、皆で作ったココットも、寒かっただろうからと養鶏家の用意してくれたココアも。全部きれいに食べ終わり、ナルを初めとした冒険者たちはすっかり満足そうだ。
 こうして冒険者たちは無事に依頼を終えて、のんびりと帰路についたのであった。


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作成日:2004/11/18
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