【ワイルドで行こう!】巨大スズメ怪獣にさらわれた子供を救え!



<オープニング>


「たいへんなぁ〜ん! 子供がゴッパ鳥にさらわれたなぁ〜ん!」
 ペルシャナが慌てた様子で駆け込んできた。
 一体何事かと思っていると、そこにヴルルガーンもぬっと現れる。
 あたふたするペルシャナをまあまあとなだめると、代わりに彼が事の次第を話しはじめた。
「ゴッパ鳥というのは、このあたりで呼ばれている俗称らしい。要するにでっかいスズメの怪獣だ。こいつがヒトノソリンの子供をさらい、自分の巣に運んでしまったのだ」
 ……でっかいスズメの怪獣……。
 なんか、なんでもアリである。さすがはワイルドファイア。
 と、感心する冒険者達もいたが、無闇に感心している場合でもなさそうだ。
「うんとうんと、おっかけて行った人達の話だと、巣は向こうのでっぱり山にあるらしいなぁ〜ん。すぐに行って助けて欲しいなぁ〜んよ。でないと……たたた食べられちゃうなぁ〜ん!」
 と、どこかの方角を指差し、またペルシャナがわたわたと言う。
 だから少し落ち着けと、霊査士が水の入ったコップを差し出すと……それを一気に飲み干そうとして、水が変な所に入ったらしく、けほけほなぁ〜んとむせ出した。
 なので、やっぱりヴルルガーンが説明を再び始める。
「でっぱり山というのは、何もない荒野に、いきなりどかんどかんと円柱の岩山が生えたみたいに林立している場所でな。その中のひとつの中腹に、問題のゴッパ鳥の巣があるらしい。どうやらヒナのエサにするためにさらったらしいが、幸い、そのヒナはまだ卵から孵っておらず、子供は無事だ。ただし、ヒナが誕生すれば間違いなくエサにされてしまうだろうから、それまでに救出せねばならんぞ」
 ヴルルガーンの状況説明が、さらに続く。
「いくら巨大といっても、やつらも鳥であるからして、もちろん夜は目が利かない。いわゆる鳥目だ。夜は親鳥達も巣に帰って休んでいる。だが、この時に救出に行くのは上手くはないだろう。夜の岩山を登るのは危険だし、それにいくらなんでも巣に入れば親鳥も目覚めるだろうからな。そこで大暴れでもされたら、子供を押しつぶしかねん。よって、救出は昼間に行うがよかろう。人員を岩山の下で囮となってゴッパ鳥を巣の外におびき出す者達と、その間に岩山に登り、子供を救出する者達との2班に分け、なんとか事に当たるのだ。頼むぞ」
 そこまでを霊査士が話した所で、ようやくむせたのが収まったペルシャナが顔を上げた。
「えとえと、どこまで話したなぁ〜ん?」
「……いや、もう大体説明は終わったぞ」
「……あららん……なぁ〜ん」
 目をぱちくりさせるペルシャナであった。


<補足>
 ゴッパ鳥は、翼を広げた差し渡しの大きさが7〜8メートルという、巨大なスズメです。雑食性で目つきが悪く、結構凶暴らしいです。
 囮班と岩山登山救出班の2つに分け、作戦を立てて下さい。
 岩山は、高さ7〜80メートル程、直径も数十メートルはある巨大な円筒形です。アメリカの荒野にあるようなアレを想像して下さい。
 その約30メートル付近に大きな横穴があり、そこがゴッパ鳥の巣となっています。
 中ではヒトノソリンの子供(3歳児くらい)が、なぁ〜んなぁ〜ん泣いてますので、早く行って救出してあげましょう。
 ゴッパ鳥は、オスメス1羽づつ。巣には卵がいくつかあります。
 巣から親鳥を誘い出す方法や、岩山を早く登り、子供を連れて降りる方法など、工夫してみて下さい。
 降りる時は最悪飛び降りるのも可です。子供は危ないからダメですが、冒険者なら死にません、たぶん。
 また、巨大スズメのゴッパ鳥ですが、倒さなくても無論構いません。子供の救出のみが成否の条件です。空を自由に飛ぶ相手というのは、それだけで十分強力ですので、まともに戦うより、逃げまくって少しでも岩山から遠ざけた方が良いでしょう。

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参加者
空色の風・トウキ(a00029)
雪白の術士・ニクス(a00506)
招きし堕翼・イル(a01415)
ちいさなひらがなてんし・エリー(a02292)
桜雪灯の花女・オウカ(a05357)
白銀のヘタレ射手・ケルフィン(a07772)
叡智の勇者・コウ(a15072)
緋鳳戦姫・ミーナ(a15330)
NPC:赤い実の・ペルシャナ(a90148)



<リプレイ>

 広大な大地に朝日が昇り始めた頃、岩陰に潜んだ者達が動き始めた。
「……よーし、そろそろ行くか」
 頭を掻きつつ、空色の風・トウキ(a00029)が、前方にそそり立つ岩山を見上げる。
「ええ、いつでもいいわよ」
 と、雪白の術士・ニクス(a00506)が声をかける。
 彼女の足元には、召喚された土塊の下僕達が整列しており。えいえいおーと拳を振り上げていた。やる気満々だ。
「はい。こちらも準備は万端です」
 にっこり笑って、蒼月桜の歌斎女・オウカ(a05357)も頷いた。大きな袋を手にしていたが……何が入っているのかは、まだ分からない。どんな準備をしたのかも。
「……いつでも始めてくれ」
 小柄な影が、トウキと同じく岩山を見上げていた。鋼の紋章騎士・コウ(a15072)だ。
「子供はもちろん、みんなも怪我のないようにがんばるなぁ〜ん」
 最後に、赤い実の・ペルシャナ(a90148)が言うと、それが合図だったみたいに、全員がやや距離を取って身構える。
「ん。じゃあ、いっちょ派手におはようの挨拶をしてやるか」
 軽く言うと、無造作に弓を引き絞るトウキ。
 集中の後、とある言葉を胸に描き──放った。
 矢は狙った通りの軌道で飛び、岩山の中腹あたりに開いた大きな空洞の入口あたりに突き刺さる。
 ややあって──。
「さあ、出て来いっ! でっかいエサがここにいるぜっ!」
 その矢から、大きな声が放たれる。声の矢文のアビリティだ。
「エサって……」
「ペ、ペルシャナは美味しくないなぁ〜んよ」
 苦笑するニクス、思わず後ずさりするペルシャナ。
 相手の反応は、思ったよりも早かった。
 空洞の中より、何か巨大なものが飛び立つと、旋回しながらじわじわと高度を下げてくる。数は2つだ。
「あれが……」
「ゴッパ鳥なぁ〜ん!」
「まあ、大きいですね〜」
 動きを目で追うコウ。ペルシャナが緊張した声を出す隣で、オウカが怪鳥に手を振っていた。
 翼を広げた大きさが約7〜8mの巨大スズメ、その名も通称ゴッパ鳥。雑食性で、性格は割と獰猛との事である。
 上空を何度か回った後、やがて光る目がギラリとその場にいる冒険者達の方に向けられた。
「よし、みつかったな」
 満足そうに頷くトウキ。
「では、逃げますか」
 土塊の下僕達と一緒に屈伸運動をしていたニクスが、くるりと背を向ける。
「それいけー」
「走るなぁ〜ん!」
「ふむ……意外に速いな、あの鳥」
 後は、脱兎と化して走り出す面々であった。

「……よし、行ったな」
 砂煙を上げて走っていく仲間と、それを追う巨大怪鳥。両者を見送りつつ、やや離れた岩陰から、白銀のスチャラカ射手・ケルフィン(a07772)が顔を覗かせる。
「では、早速こちらはお宅拝見、ですね」
 微笑を浮かべつつ、黒翼・イル(a01415)も姿を現した。
「おとりのひとたち、だいじょうぶかな」
 遠くへと走っていく5人の後姿を、背伸びして見つめるちいさなひらがなてんし・エリー(a02292)。
「まあ、平気でしょう。あれだけの人材が揃ってますし、それにもし向こうに万が一の事があっても、我々できっちり子供を助ければいいんですから」
「だな。その時は尊い犠牲と思って……ってオイ」
 笑顔で言うイルの台詞に、ケルフィンがノリツッコミを入れた。
「……う〜〜〜ん」
 エリーの方は真に受けてしまい、真面目にそうなったらどうしよう、とか悩み始める。
「……登ろう、早く。今はそれが、大事……」
 それまで黙っていた紅き聖風を纏いし死神・ミーナ(a15330)が、さっさと皆に背を向け、岩山へと歩き出した。
 彼女の言う通りだったろう。

「この辺で少しやるか?」
「……そうだな」
 時折岩に身を潜めてやり過ごしながらとにかく走り、大体岩山から7〜800m程離れた頃だろうか、トウキとコウが顔を見合わせ、迫ってくる怪鳥の前へと進み出た。
「おおっと!」
「っ!」
 低空で突っ込んでくるのを横に飛んでかわすと、トウキは地面を疾る影へと向けて矢を撃つ。
 コウはそれに続いて飛来したもう一匹へと、気高き銀狼を解き放った。
 が……影縫いの矢は地面の影から僅かに離れた地面へと吸い込まれ、銀狼もそれを見た怪鳥が軌道を逸らす事で難なく回避してしまう。
 やはり、大空という広大な空間を自由に、しかも高速で動き回る相手に対し、発動までに集中する時間が必要となるアビリティで対抗するのは少々キツイ。集中している間に、相手がどう動くか、そしてその間合いも正確に測らねば当たるものではないからだ。知恵の回る敵ならば、アビリティ発動までの僅かな時間を逃がさずに連携して狙ったかもしれないが……幸いこの怪鳥は、そこまで頭が良いわけではなかったようである。
「ちっ……ペルシャナ、いざってときは紅蓮の咆哮、よろしく頼む!」
「わかったなぁ〜ん!」
 と、身構えるペルシャナであったが……。
「なぁぁぁぁぁぁ〜〜〜ん!?」
 ……やっぱりアビリティ発動のタイミングが上手く合わせられず、頭上を通り過ぎていったゴッパ鳥の風圧で飛ばされて、地面をごろごろ転がっていった。
「あらあら、大丈夫?」
「……なぁ〜ん。おめめぐるぐるなぁ〜ん……」
 ニクスに抱き止められたが、半分目を回している。
 すぐに彼女が土塊の下僕達を周囲に散らして騒がせ、囮とした。
「うーん……罠の方には来てくれませんねぇ……」
 一方、オウカは腕組みをしながら、難しい顔をしている。
 持参した肉を撒き、トリモチをたっぷりと塗りたくったロープの方へと誘導しようと考えていたのだが、さすがに鳥達も冒険者達に攻撃しながら、悠長にエサをついばむような真似はしない。
「やるんだったら、誘導の策を練るか、もっと他の人との連携を取らないといけませんでしたね、うん」
 真面目な顔で反省しつつ、頷く彼女である。前向きなのは良い事だ。
「なんにせよ、俺達が気を引いているうちは子供は安全だ。後は向こうの仲間が上手くやってくれるのを信じようぜ!」
 トウキはアビリティに頼らず、通常の弓攻撃でもって、続けざまに矢を放つ。精神集中が必要で連射ができないアビリティより、その方が牽制には適していると言えるだろう。
「……あの速度、エンブレムブロウや紅蓮の咆哮は近接距離だから論外として、銀狼も余程上手くタイミングを計らないと当たるもんじゃないか……」
 面白くもなさそうな顔だったが、コウもそのように判断していた。

「……静かですね」
「おやどりさんは、どっちもでていったよね? こどもは?」
「奥、か? 暗くてよく見えないな……」
「……入って確かめるのが、早い……」
 囮班がゴッパ鳥を引き付けている間、イル、エリー、ケルフィン、ミーナの4人は岩山を登り、巣となっている横穴へと辿り付いていた。
 中は暗く、入口から奥までは見渡せなかったが、とりあえず物騒な気配がない事だけ確認すると、4人は迷わず内部へと侵入していく。
 敷き詰められた枯草の上に巨大なタマゴが4つあり、その陰に……。
「いたぞ、子供だ!」
 ケルフィンがみつけ、イルが駆け寄った。
 すぐに胸に耳を押し当て、口の前に手をかざして……数秒。
「大丈夫、生きてますね。目立った怪我もなし……泣き疲れて寝ちゃっただけみたいですよ」
 子供を抱き起こし、胸に抱えて微笑むイル。
「よかったね」
 と、エリーも笑顔を浮かべた。
 そんな中、ミーナだけは静かな表情でじっと外に目を向けている。
「……すぐに出た方がいい」
 低く、言った。
「げ、一匹戻ってくるぞ」
 ケルフィンもその事に気がつき、顔をしかめる。
「この子は誰が?」
「じゃあぼくがおぶるよ」
 イルからエリーが子供を受け取り、用意してきた背負い紐で背中におぶって固定した。
「……」
 ミーナもその役を考えていたが、武道家のエリーの方が体力があると判断し、フォローに回る事にする。忍びである自分は、その方が適役だろうと思った。
「急げ! 来るぞ!」
「なら……目くらまし」
 ケルフィンが声を上げると、ミーナがミストフィールドを放つ。
 アビリティで生み出された霧が、たちまちのうちに穴の中を満たしていった。

「1羽向こうに戻っていくぞ!」
「思ったよりも目が利くようだ」
 空を見上げ、トウキとコウが言う。
 上空の巨大な影がひとつ、元来た巣へと引き返し始めたのだ。
「残った奴は意地でも引きつける! おまえらは向こうに回ってくれ!」
「了解ですわ」
「わかったなぁ〜ん!」
 トウキの言葉に、オウカとペルシャナが走る。巣のある岩山へと。
「私はこっちに残るわね」
 ニクスと土塊の下僕達は、トウキとコウに並んだ。
「というわけで、お前の相手は俺達だ! 降りて来い!!」
 矢も届かない上空を旋回しているゴッパ鳥に向かい、トウキが声を張り上げる。
 怪鳥の目が……再び彼らへと向けられた。

 ミストフィールドが張られてはいたが、この岩山の下まで霧で隠れているわけではない。なので、先に下りて援護をするため、まずはケルフィン、次に子供を背負ったエリーが巣穴から外に出た。そうこうしている間にも、羽音がどんどん近づいてくる。
「一応、ギリギリまで上にも誰か残っていた方がいいでしょうね」
「……わかってる」
 イルとミーナは出口に留まり、霧の中に目を凝らす。
 と──ゴォっと霧をかき分け、巨大なゴッパ鳥が両足を振りかざして迫ってきた。
 それぞれに武器を構えるイルとミーナだったが、
「させるか!!」
 いち早く下へと降り立ったケルフィンの放ったホーミングアローが、怪鳥の羽を貫き、抜けた。
 カン高い声を上げてバランスをやや崩しかけたゴッパ鳥が、慌てて上昇へと移り、一旦離れていく。
「大丈夫か!?」
 ケルフィンの問いかけに無事だとこたえると、続いて、
「ぼくとこどももおりたから、はやくおりてきてー!」
 エリーの声も、響いてくる。
 と同時に、再び近づいてくる大きな羽音。
「先に降りて。私もすぐに行きますから」
「……」
 イルの言葉に、じっと彼女の顔を見上げるミーナ。
 目が合って、お互いに頷くと……後の会話は不要だった。迷っている暇が惜しい。
 霧の中、岩場を降りていく背中を見送ると、また姿を現した巨大鳥に向き直る。
「来なさい……」
 と呟いて身構えたが、すぐにクスっと笑い、
「……と言いたい所ですけど、こんな狭い所で戦うのはちょっとね。それに、まともに相手をする気もないですし……そんなわけで、これにて失礼」
 軽く投げキッスを送ると、爪が身体に触れる直前、迷った気配もなく、ひらりと空中に身を躍らせる。
 普通ならそのまま落ちるだけだが……イルは跳ぶ前に、岩に鋼線を巻き付けていた。
 それを繰り出しつつ、垂直の岩肌を駆ける。
 が……さすがに途中で体重を支えきれず、あっさりと切れた。
「失礼な話ね……そんなに重いかしら」
 苦笑しつつ、身を捻る。ただの自由落下になり、霧の中を抜けた。地面はすぐそこだ。
 とはいえ、もう次の手の準備は整っている。
「は……ぁっ!!」
 ──ドン!!
 迫り来る大地へと向けて、エンブレムシャワーを叩き込んだ。
 直下の岩が砕け、砂煙が上がる。反動で僅かだが落下のスピードが落ちた瞬間、一回転して足から着地。
 どぉん、と、なかなかな音がした。さすがに勢いを全て相殺するのは不可能だ。
「あいたたた……しまらないわね、もう」
 エンブレムシャワーで空いたクレーターの中で、尻餅をついたイルが腰をさすりながら立ち上がる。
「……無茶」
 ほぼ同時に岩山から降りたったミーナが、その姿を見てポツリと呟いた。
「よし、ずらかるぞ! 走れー!」
 休む間もなく、ケルフィンが声をかける。
「皆さん無事ですかー?」
「こっちなぁ〜ん!」
 囮班の方から、オウカとペルシャナも駆けつけてきた。
 ただちに撤退に移る一同。子供の無事が何よりも勝る。先頭にはケルフィンが走り出た。
 が……。
「あ、そっちは行かない方が──」
「わー! なんだこりゃー!?」
 オウカが注意するのが僅かに遅れ、彼女が仕掛けたトリモチたっぷりのロープ罠に正面から飛び込むケルフィン。
「うわー、べとべとだね」
 エリーが目を丸くする。
 そこに、巣から飛び立ったさっきのゴッパ鳥が急降下してきた。動けないケルフィンを狙っているようだ。
 が、もちろん頼もしい仲間達も黙っていない。
「危ないです! ケルフィンさーん!」
 オウカがスキュラフレイム発射。獣の首が生えた禍々しい魔炎が飛んだ先にいるのは……ケルフィンだった。
「わーーー!?」
 どっこーんと景気良く地面に着弾、爆発して軽く吹き飛ばされるひとつの人影。ゴッパ鳥も驚いて上空へと逃れていく。
「良かったです。一時はどうなるかと」
「こここ殺す気かーーー!!」
 ニッコリ微笑むオウカに、薄く煙を上げながら抗議するケルフィンであった。

 ……後は逃げるだけなので、さしたる混乱もなかった。ゴッパ鳥の方も巣への侵入を許して警戒したのか、それほど深追いしてはこず、冒険者達は救出した子供を連れて、無事に安全圏まで離れる事に成功したのである。

「よし、と。ここまで来たら大丈夫だな」
 念のために遠く離れた岩山をみつめ、軽く息を吐くトウキ。
「空を飛ぶ相手というのは、思った以上に厄介だな」
 隣で、コウがそんな感想を呟いていた。
 周囲では、ニクスの土塊の下僕達が、用意してきたまんもー肉をばらまいている。
「またこんな事が続けて起きないように、エサを置いていくね。まあ、気休めかもしれないけど、何もしないよりはいいでしょ」
 と、微笑む彼女。
「ねえ、ペルシャナさん。スズメじゃなくて、大きな鶏とかはいるの?」
「うにうに。いるなぁ〜んよ。こ〜〜〜んなおっきなニワトリ怪獣とかヒヨコの怪獣とか。よく、タマゴを取りに行って、突付かれたり追いかけ回されたりしてるなぁ〜ん」
「へぇ、そうなんだ。楽しそう」
 イルはペルシャナとそんな事を話していた。
「何事もなく済んでよかったですね。さて、ではお手入れお手入れ♪」
「……それよりこのベタベタロープ、なんとかしてくれないかな?」
 まだトリモチロープが絡まって身動きがロクにできないケルフィンの尻尾にブラシを入れつつ、オウカが鼻歌交じりで手入れを始めた。ケルフィンの方はそれ所ではないようだが、オウカは気にしてないようだ。
 そうこうしているうちに、やがて、エリーの背負っている子供がもぞもぞと動き出す。
「あ、おきたみたいだよ。ねえ、だいじょうぶ?」
 エリーが尋ねると、子供は目を擦り、左右をゆっくり見回した後……。
「……ここどこなぁ〜ん? あと、おなかすいたなぁ〜ん」
 そう、言った。
「おいおい……おまえ、間違いなく大物になるぜ」
 振り返ったトウキが、笑いながら子供の頭をくしゃくしゃに撫でる。
「……よかった」
 ミーナも、薄く笑みを浮かべていた。

■ END ■


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