【ぷるぷる先生】裸で雪の中を激走するだけの祭り



<オープニング>


「ご紹介します、こちらが依頼人とビーフ氏、そして、マリークレアさんです」
 いつもの通り、席から立ち上がって、冒険者の酒場へとやって来た依頼者を紹介すると、薄明の霊査士・ベベウはふたりの紹介を続けた。
「おふたりはご夫妻です」
 ぎえ、という二文字に似た呻き声が室内に轟いた。
 そんな反応などは慣れっこなのだろう、ぷるぷる先生ことビーフ氏は、「ほっほっほ」と笑っているし、奥さんのマリークレアは長い手足を弄ぶように照れている。
 過剰か適切か、とにかく反応が鎮まったところで、ベベウが依頼の内容について、説明をはじめた。
「今回は、マリークレアさんのご兄弟が暮らす、ある村の祭事の成功を、皆さんに助けていただきたいのです」
 さらさらと透かし上げられた白銀の髪を、大きく露出した尖った肩へと撫で付けて背へと流すと、マリークレアが口を開いた。
「そのお祭りは、雪の中で行われるんです。最初は、えっと思うかもしれないですけど、一度、参加をしてみると、すごく楽しいですよ」
 続いて、ぷるぷる先生が、短く刈り揃えられた白いヒゲを上下させる。
「わたしも、ご招待を受けましてね。開催の挨拶と、栄えある最初のランナーを仰せつかることになりまして」
 
 ランナー?
 
 テーブルの冒険者たちがことごく首を傾げたところで、ベベウが詳細を語りだした。
「この祭事の舞台は、雪原に設けられたサウナと、氷の面を刳り貫いて作られた水の穴です。参加者は、サウナでじっくりと暖まった後、雪原を駆け抜けて穴へと向かいます。そして、水を浴びて、再びサウナへと駆け戻ります」
 真面目な顔をして、マリークレアが言う。
「嘘みたいに聞こえるでしょうけど、本当に気持ちがいいんです。すごく熱いサウナから、冷たい空気の外へ出て、水を浴びると、裸でもそんなに冷たくないんですよ。空気のほうが、ずっと冷たいから」
 首肯くベベウと、小刻みな笑い声をあげるぷるぷる先生。
 訝しげな冒険者をよそに、ベベウが説明を再開する。
「そこで、皆さんにお願いしたいことは、サウナから穴へと伸びる雪原の通路に存在し、障害となってしまっている動物の移動です。変異して巨大となってしまったこの生き物は、通路の真ん中に穴を掘り、雪にまみれたままの姿で、いっこうに目を覚まそうとしないのです」
 何なんだそれ?
 という声に答え、ベベウが告げる。
「正体は、ヤマネであると思われます。この生き物は、雪の中で仮死状態となり、深い眠りについてしまいます。別名が、まどろみネズミですからね、触れてもなかなか目を覚ましてくれないのです」
 その時、ぷるぷる先生が高らかに笑った。
 そして、分厚い眼鏡の奥底、つぶらな瞳に慈愛の光りをたっぷりと含んで言った。
「ヤマネを目覚めさせて、別の寝床を用意してやってはくれませんかな」
 笑ったわりには、普通の言葉に面食らいながらも、それを隠して、ベベウは続ける。
「このヤマネの大きなは、直径で2メートルほどです。直径とお話しするのは、ヤマネがすっかり丸まっているから。そして、注意していただきたいのは、この生物の動きがとても素早く、爪が鋭いことです。なかなか目覚めないところを、起こしてしまうわけですからね、まさか素早く動くとは思えませんが、爪には気をつけるようにしてください。それでは、皆さんの健闘と……完走をお祈りしています」

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参加者
明告の風・ヒース(a00692)
ニュー・ダグラス(a02103)
血紅の淵で詠う・ミノン(a05841)
超巨大肉玉・アゲモン(a07525)
小緑星・リュイシン(a10818)
天秤の秤・イリス(a13096)
白鴉・シルヴァ(a13552)
ぱんつはいてない・スノウ(a14449)
舞闘漢女・コノオ(a15001)
金輝の暁・ディリアス(a16748)
閑寂の蒼眼・リヴィド(a17304)
紅玉の紋章・シャンティ(a17489)


<リプレイ>

 粉のように細かな雪を吹き上げながら、うかれ馬鹿が……ではなく、長身の男が駆けてくる。
 なんて勢いだ、と思わず足を止めた村人Aさんに詰め寄ると、ニュー・ダグラス(a02103)は、手を添えて囁いた。
「遠眼鏡は必需品だよな」
 村人Aさんは、白い息を漏らしながら、はあと首肯くのがやっと。
 そこへ、颯爽とした足取りで、もう一人の冒険者が現われる。
「ダグラスさん、うかれ馬鹿は程々にしてください。ぷるぷる先生のところへ行くんですからね」
 のわーんとしながらも冷たい言葉を吐くと、明告の風・ヒース(a00692)は、相棒にマントを投げつけ、白皙の額を掌で覆った。
 ダグラスは――まだそんな人なんて村中のどこを捜してもいなかったのだが――裸だった。
 
「裸で雪の中を激走……想像すると何か笑えるな、っておい、あんな感じか?」
 なんて勢いだと、闇夜に羽ばたく白き鴉・シルヴァ(a13552)が息を飲んだ相手は、かなり浮かれた様子で、村の中心目掛けて駆けていった。
 今度、シルヴァの瞳に映り込んだのは、今度は裸の男ではなく、妙にもこもことした物体と、それを支える数人の影であった。
 何重ものフードに隠された顔を、シルヴァがのぞきこむと、奥で緑の瞳が微笑んでいた。小緑星・リュイシン(a10818)の身動きがとれないほどに膨れ上がった身体は、まるで雪だるまである。
 疑問に小首を傾げながら、リュイシンが起き上がるのを助けていた、こぼれ落ちる黄金の雫・スノウ(a14449)は言う。
「雪の中を、裸で走るんですかぁ〜。ワイルドファイアの故郷の森では、暖かい日に裸で過ごすのは普通でしたけどぉ……」
 スノウの言葉に、一堂が首肯く。たしかに、こんな雪山を肌で駆け巡るなど、とんだ酔狂に思えてしまう。
 羽織ったマントの襟をたてながら、舞闘漢女・コノオ(a15001)がスノウに言った。
「普通はやらない……このように冷える……雪山ではな」
 仰向けに卒倒しそうになったリュイシンを支えながら、朱空に輝く金剛星・ディリアス(a16748)も、疑問を呈する。
「祭り……吹雪く中に裸って……マゾみたいなことが祭り?? 信じられないな。しかも、それが気持ち良いって……ヤバくないか?」
「もごもご」
 ん? と首を傾げるディリアス。
 リュイシンがフードから顔を露にして言い直した。
「参加されるのですね」
「出るはずないだろーそんなのに!」
 さわやかに打ち消したディリアスであったが、最後の一言は言わないでおいた。
(「美人のお姉さんが裸で走ってるならご一緒したいけどな〜!」)
 
 
 焚火を囲み、冒険者たちは検討していた。
 議題は、祭りのコース上にて冬眠に入ってしまった、巨大なヤマネの対処である。
 赤い炎がちらちくその場は、終始和やかであった。皆が、可愛い生物との邂逅を心待ちにしていた。
 だが、そんな場の空気を一瞬で凍らせる発言が繰り出される。
「ヤマネって美味しい?」血紅の夢・ミノン(a05841)は、しんと静まり返った周囲へ、言葉を続ける。「……え、食べちゃだめですの?」
 小動物の行動パターン、その愛らしい習性について語っていたヒースが、場を取り繕う。
「あまり美味しくはないでしょうね〜」
 それまで伏し目がちに、小さな炎を見つめるばかりだった少女が口を開いた。ヒトノソリンの紋章術士・シャンティ(a17489)は、元気よく言う。
「ヤマネさんのお家探しをするのなぁ〜ん。雪の中なんかで寝たりしたら、ヤマネさんが凍えちゃうかもしれないし、お祭りが出来なくてぷるぷる先生たちも困るのなぁ〜ん?」
 移動先の確認、ヤマネを冬眠から目覚めさせる方法を決定して、冒険者たちは向かうことにした。巨大な小動物が眠る、白い径へ。
 
 巨大肉玉・アゲモン(a07525)のつぶらな瞳が、好奇の光で満ちている。
 彼は穴をのぞきこみながら言った。
「大きいヤマネなのニャねー? アゲがまるで子供に見えるのニャー」
「そのようだね……」
 ヒトの邪竜導士・リヴィド(a17304)は、傍らの同胞と、雪に埋まった茶色の物体を交互に見定めていたが、やがて突然にニャーと鳴いたアゲモンに驚きつつ、ヤマネの毛に触れてみた。
「雪の礫の中に眠る巨大な丸い塊、見るからに簡単に目覚めてくれなさそうなご様子だね」
 さわやかな笑みを浮べて、天秤の秤・イリス(a13096)が、ファルファナスと名付けられた大きな鎌をヤマネに向けた。その先端で、ちくちくと刺激をしてみる。
 その時、イリスの小さく整った唇の端から『じゅるり』と、銀色の線が足下に向かって伸びる。
(「さわやかな笑顔だけど、明らかに食料として見ている」)
 一堂が慌てたところで、シルヴァが明るい調子で言った。
「とりあえず、暖めてやれば起きるかな」
 慌ててディリアスも続く。
「サウナで使っている炭を貰っておきました。仮死状態っていうのは、寒さから身を護るための手段なのかな。だから、炭で周りを暖めて、起きても大丈夫な環境にしてあげよう」
 説明的なくだりを理解したとは言い難いが、アゲモンもヤマネが黒焦げになることだけは避けたかった。
「吹雪いてるけどー薪を焚いて暖めるニャ!」
 火に照らされて、ヤマネの毛並みにじわじわと艶が戻り、広がっていく。
 リヴィドが火から鍋を取り上げ、ヤマネの身体の周囲から中心に向かって、ゆっくりと細く湯をかけていった。
 後ろ足の付け根の部分が、ぴくりと動いた。
 そこへ、突然に「ヒーーーーーー」という悲鳴に似た音が響き渡る。
 怪音波の主は、ヒースとその横笛だ。
 ヤマネの耳が立ち上がる。そして……とうとう観念したのだろう、ヤマネの瞳がうっすらと開かれた。この生き物は、あきらかに微睡んでいた。
 
「沢山の人間の往復で踏まれ、のしヤマネになり8mぐらいに広がって、春になって奥さんが絨毯と間違えて持って帰ってもいけないから……」
 と必死でヒースが説得したものの、ヤマネは顔を洗うばかりでなんの返答も返してくれなかった。
「仕方ねえな。ここよりいい場所紹介するからなっ」
 カカッと漢笑いをかますと、ダグラスはヒースが雪面に広げたテントへ、ヤマネを転がしていった。微睡む巨大なねずみは、なんの抵抗を見せずに、おとなく布地の上に腰を落ち着ける。
「では、参りましょう」
 リヴィドの先導で、シルヴァたちはヤマネの乗った即席のソリを引いていった。
 しばらく進むと、シャンティが手を振り、彼らを出迎えてくれた。
「ヤマネさんの新しいお家はここなぁ〜ん!」
 大きな木の根元が掘り返されて、隆起する根の下にぽっかりと穴が開いている。
 コノオが掘り、シャンティが底に藁を敷き詰め、アゲモンが試した穴は、快適そうである。
 ヤマネはソリからころりと転がって、穴にすっぽりと収まった。すると、伸ばされていた手足を身体の前に集め、まるまると丸くなってしまった。
 開かれていたつぶらな瞳が、彷徨うように冒険者たちの顔を見つめ、やがてうっすらと閉じてゆき、前足の中へと消えていった。
 再び冬眠に入ったヤマネに、ラグのような布地が被せられる。
「わあ!」
 ディリアスが驚いている。彼の隣で、雪でヤマネの身体を覆っていたはずのミノンが、いつの間にか裸だ。
「これって服でしょ?」
「……え? えへへへ〜♪ だってお祭り参加するからいいかな〜って。ミノンは走るし〜♪」
 突拍子もない行動ではあるが、彼女も照れてはいる。頬を真っ赤に染めると、ミノンは元気よく裸で雪の径を駆けていった。
 彼女が消えた白一色の世界に、鮮やかな赤が撒き散らされる。
 ぶふぅと鼻血を拭きだしたのは、イリスであった。さわやかな笑顔のまま、どうして彼女が同性の裸に、極度の興奮状態に陥ってしまったのかはわからない。
 仲間たちがイリスの介抱とミノンの追跡に忙殺される中、元々ヤマネが眠っていたコース上の穴を埋める必要性に気付き、コノオはただひとり径を溯っていった。
 
 
 ほっほっほと笑い、白い湯気を身体から噴き出しながら、先生が雪原を進んでいる。第一走者のお役目中だ。
 吹雪のため、視界はよくはないが、アゲモンがぴったりと並走していることが目視で確認できる。
 等間隔で息を吐きながら、先生は必死に駆けた。駆けたといっても、速度は微々たるもの。差しかかった丘では、シルヴァとミノンが横で支え、アゲモンが後ろから押してやらねば登れなかった。
 ようやく頂上に辿り着いた頃には、皆の身体が冷え始めていた。本当ならば、もうとっくに冷水に浸かり、サウナへと戻っている時間なのだろう。
 常にピンクのお肌である先生が、小刻みに震え始め、彼は解説を行った。
「わ、わたしの肌が、熱を逃がすまいと痙攣をはじめているようです」
 その瞬間であった。
 先生の足下の雪がずぼりと崩れ落ち、丸い身体が坂道を滑落していく。
「ほーーー!!」
 頭から雪に落ちた先生は、真っ白な雪でヒゲや髪を染めると、そのまま回転運動を続けた。手足がじたばとしていたが、やがてそれも叶わなくなる。
 白の弾丸と化した先生は、丘を越え、そこから落ち、さらに丘を越えてしまう。
「雪玉になったぷるぷる先生……笑ってる場合じゃないんだけど、なんか可愛くて笑えるな……それに、速度も上がってやがる」
 先生の目の前に回り込むと、シルヴァは両腕を広げた。勢いを殺そうというのである。
 
 ぺち。
 
 シルヴァを押し潰し、巨大雪玉と化した先生に、ミノンが食い下がる。
 彼女は身体を張って通せんぼをした。しかし、先生の身体はミノンを巻き込んでしまう。さらに巨大となった雪玉の一部となりつつ、ミノンは申し訳なさそうでありながら、どことなく嬉しそうに謝った。
「ごめんゅ〜」
 肥大化した雪玉の進路に、ディリアスが飛び出した。
「うわぁ」
 その迫力に圧倒されながらも、全身に力を漲らせ、ディリアスは両手を突きだした。
(「えぇ! どうにか止まってくれ!」)
 雪玉の一部が割れて、暖かな何かがディリアスの頬に触れる。顔の雪を拭い、ディリアスが瞳を開くと、すぐ側にミノンの顔があった。
 径で、コノオは途方に暮れていた。彼女は主を失ったヤマネの巣穴を埋めていたところ。けれど、すべてを終える前に、物凄い勢いで雪玉と化した先生が転がってくるのが見える。もう、間に合わない。
「……これはまた……見事……いや、大変だな……」
 コノオは埋めかけた雪穴に身を投じ、頭を引っ込めた。
 
 ゴォォ〜ウゥゥゥ……。
 
 頭上を、凄まじい勢いと質量で先生が通過していく。
 素早く穴から飛び出ると、コノオは先生がやってきたコースを戻った。そこでは、絡み合ったディリアスとミノンの身体を解きほぐすべく、あふれる鼻血を抑えながらイリスが救助活動にあたっていた。
 折り返し地点の間近に敷かれた最終防衛ライン上に、リュイシンとダグラスの姿が見える。
 リュイシンの召喚したアフロの下僕たちがずらりと並ぶ中央に、ダグラスが両手を広げて立つ。
「ほーーー!」
 ぷるぷる先生が近づいてきた。
 敢え無くダグラスが弾き飛ばされ、複数のアフロが宙を舞う。
 その美しさに、遠目で眺めていたヒースがハンカチを濡らす。
「雪が目に入っただけです……」
 そう説明された村人Aは、なんだべさ? と首を傾げていた。
 防衛ラインを越えてしまった雪玉は、いつの間にかアフロ姿となったぷるぷる先生を回転軸としながらなおも驀進していた。
 雪玉の側面に、黒いもじゃもじゃとした物体が付属している。
 そんな偉容が、集まった人々に過大な恐怖を与えた。
 逃げ惑う人々。
 だが、足場が悪く、逃走もままならない。
 その時だった。
「受けとめるのニャー!!」
 ピンクの物体が、コース上に躍り出た。
 前掛けが形状を変えている――風船巨大肉玉アゲモンは、雪玉へ突貫した。
「ニャー!!」
 
 ボヨン、ヨンヨンヨンヨン……。
 
 アゲモンの身体が宙を舞う。だが、雪玉も砕け散っていた。
 回転運動から介抱された先生は、なんとか雪面を這い、無事に冷水へと――頭から――突っ込んだ。
「ほっほっほッッッゥ〜!」
 氷の浮かぶ冷水溜まりから、ぷるぷる先生が飛びだした。
 彼は元来た道を転がっていった、物凄い勢いで。
 
 
 吹雪いているために真っ白な視界で、シルヴァはただ懸命に雪原を走っていた。
「こんな機会滅多にねぇしな」
 本当は、可愛い女の子と一緒に走ったほうが嬉しいのだが、残念ながら男ばかりだ。
 と、彼は思っていた。
 だが、もしも吹雪いてさえいなければ、多くの女の子たちがすぐ傍を走っていたことを知っただろう。
 まず、コノオが歯を食いしばりながらの全力疾走で、シルヴァを追い抜いていた。
「心頭を滅却すれば、火もまた涼し……って寒っ!」
 ぷるぷる先生の完走を見届けたスノウも、肌から蒸気を立ち上らせながら駆けている。
(「癖になりそう、かも……」)
 暑いサウナから、一面が真っ白の冷たい世界へ。
 肌の隅々にまで行き届く、凍った刺激が心地いい。
「はうぅ〜、やっぱり恥ずかしいなぁ〜ん」
 シャンティは、シルヴァの後ろに着いていた。彼の裸体が時折瞳に映るたび、気恥ずかしさが首をもたげてくる。
 さらに、これからスタートしようという者たちもいるようだ。
「来い!」
 ただの一言で、ぬくぬくと暖まっていたヒースを銀世界へと連れ出すと、ダグラスはサウナ室へ飛び込んでいった。
 口元に運びかけていたスープをテーブルに置くと、ヒースも立ち上がる。そして、しぱーんと鮮やかに服を脱ぎ去り、白い蒸気の中へと消えていった。
 
 アゲモンはぷるぷる先生と並び、小山のような身体を震わせながら、おにぎりをぱくついていた。
 彼らの目前を、シルヴァたちが次々と駆け抜けていく。
「最後までー怪我が無いのが1番ニャー!」
 青い顔をして臥せっていたイリスが、ゆらゆらと起き上がってきた。全裸の目撃よる連続多発的出血過多によって、彼女は体力を奪われていた。
 先生の顎に手を伸ばしながら、リュイシンが暖かな飲み物を進めると、微笑みを常に絶やさない少女は、青い顔ながらも頬を緩めて会釈をした。
 そこへ、である。
 遅れてスタートをした、ヒースとダグラスが駆け抜けきた。
 そして、一陣の風の悪戯か、すべてが、生まれたままの姿で晒され、火に当たっていた観客たちから驚きと喝采の完成が沸き上がった。
「ほっほっほ」
「がんばるのにゃー!」
「あら」
「ぶふぅ」
 またしても卒倒したイリスが皆によって介抱される中、トップでサウナにまで戻り、祭りを見事に完走したコノオが帰ってきた。着替えを済ませ、彼女は肩からバスタオルをかけている。
 笑顔で出迎えたリュイシンの尋ねに、ん……としばし考えて、コノオはこう答えてみせた。
「ふぅ……これはこれで……気持ちのいいものだな……」
 吹雪はまだ、やみそうになかった。


マスター:水原曜 紹介ページ
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参加者:12人
作成日:2004/12/26
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