≪幸運の欠片≫ゆったり温泉、のんびり清掃!?



<オープニング>


「温泉行くんだってな〜。呼ばれたからには俺も行く。ていうか連れて行け!」
「(ニヤリ)」
 十拍戯剣・グラツィエル(a90144)が笑顔でのこのこやって来た時、蒼穹の疾風・ワスプ(a08884)はほくそ笑んだとか何とか。

●オイシイ話には……
 旅団『幸運の欠片』団長のワスプが企画したのは、団員の慰労を兼ねた温泉旅行。
 その湯宿には、野趣に富む景観を展望できる広い露天風呂がある。
 部屋には藺草の薫りが溢れて、居心地も最高。
 食事は新鮮な沢魚と豊富な山の幸をふんだんに使った温かい割烹。
 費用は全て団長持ちとあって、一同は喜び勇んで参加した。

 ――のだが。
「おこしやす、『幸運の欠片』ご一行様。本日はお世話になりますえ」
 ――おや?
 丁寧なお辞儀と違和感の残るそんな言葉に出迎えられて、冒険者達が到着早々渡されたのは紺色の半被。それから箒。モップ。
 ――あれ?
 首を捻る団員+αを後目に、女将とがっちり握手など交わしつつワスプは既に半被を着用していたりする。
 ――つまり……?

●ゆったり温泉、のんびり清掃!?
「客……じゃねェのかよ」
 宿の従業員よろしく半被を肩に引っかけて、箒の柄に腕を、その上に顎を乗せてグラツィエルがぼやいている。その解りやすいふくれっ面を見ながら肩を竦めるワスプ。
「いや、しっかり客だぜ? ただ、ゆっくりさせてもらう前にちょっとばかりお手伝い、な」
「『ちょっと』だとゥ!?」
 やっと建物の掃除が終わったところで、これから温泉掃除に直行だ。
 格安で泊めてもらう代わりに我らが団長は、宿の清掃を引き受けていたのである。
「細かい事は気にするな! いいじゃないか、これくらい。貸切なんだぜ!」
 貸切、と聞くと正直嬉しい。いやいや、素直に喜べない。
 葛藤はそのままグラツィエルの表情に表れていたりする。
 まーまーまー。
 百面相するグラツィエルの背を押してワスプは温泉場へと向かう。
 ゴヅッ。――ごぁっ。
 何処かに何かが衝突した一瞬後。温泉に向かう通路として半屋外に設えられた渡り廊下の外、木の枝から雪の塊がどさり、と落ちた。

 天然の湯殿は三種類。
 一の湯は混浴の露天風呂。二の湯は男湯。三の湯は「仇討の湯」と呼ばれる女湯だ。
「『仇討の湯』?」
「ん。男湯より一段高い所にある天然の岩風呂だな」
 あんちょこに目を落としたワスプは、赤く腫れ上がったグラツィエルの額を見ないようにしているようにも見える。……「仇討の湯」――
 男湯から女湯は見えないが、女湯からは男湯がばっちり見えてしまうという、アレである。
 アレっていうか、アレなのである。
「 覗 か れ る の か 」
 酔狂な風呂だな。真顔で言うグラツィエルに、ワスプは「ごもっとも」と苦笑した。
 とにもかくにも、今から全員で手分けして清掃を終える頃には、夕食の頃合だろうか。

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参加者
星屑の髪飾り・ナハティガル(a05959)
業の刻印・ヴァイス(a06493)
魔戒の疾風・ワスプ(a08884)
咎狗・ガル(a11201)
月無き夜の白光・スルク(a11408)
春謡・ティトレット(a11702)
赤の従四・トゥース(a11954)
幸せの蒼い鳥・ユン(a12043)
天藍閃耀・リオネル(a12301)
ひだまりのバーサーク・シュリシキ(a12509)
朱焔凛朗・オウリ(a15360)
虎牙の閃灼術士・レビナス(a17801)
NPC:十拍戯剣・グラツィエル(a90144)



<リプレイ>

 かこんっ。
 一の湯――天然浴場の片隅から、木桶を伏せる音が聞こえる。音があまり響かないのはそこが野外だからだ。
「うら皆、気合い入れてかかるぜっ!」
 喚起する団長、昊天の疾風・ワスプ(a08884)の声を背中で聞きながら、小春日・ティトレット(a11702)は指先を吐息で温めた。吐く息は白く、鼻の頭は赤かったが、その表情はどこか楽しげだ。
 各湯場の桶の数を確かめながら、磨いて並べて水で流す。洗い終えたら陽の当たる岩の上で干す。水は冷たかったが、気合いで乗り切った後は繰り返すその動作にも淀みがない。袖を捲り直し、各湯共通の脱衣所から運び出したカゴも同じ要領で洗ってしまおう。
「もう少しですねっ」
 ――と。ここで水の代わりに湯を使った宵を熄せし赫竜・トゥース(a11954)は、きょとんとしたティトレットに慌てて釈明。
「あ、いや。女の子にあまり無理させちゃいけないかな、って……いっぱいあるんだし、冷たいの我慢するよりは、その」
 ひた隠していたはずの本音を、勢い余って微妙にぶっちゃけたりもするが。
 盲点に気付いたティトレット。見つめ合う二人。やがていそいそと二人は湯を汲み始める。
 とりあえず、作業は捗りそうだ。
「何ぃ! 春風をけしかけるとはッ……まぁ予想の内だが! つ痛ぅ!」
「団長はまずその岩陰から出て来なされー」
 何故か遠いワスプの声に覆いかぶさって行く羽音(大鷲の春風さん)と、呆れた様な月無き夜の白光・スルク(a11408)の声が聞こえる以外は平和に、床を磨く音。

「あれ? シュリは一の湯の清掃員じゃなかったっけ」
 二の湯――やって来た銀朱の猫戦士・シュリシキ(a12509)を見て黄塵の導師・レビナス(a17801)は首を傾げた。その遠慮ない声量に慌てた様子で辺り(特に上空)を気にしながらシュリシキは何故か小声で返してくる。
「て、偵察に来たんだよ……」
「それを言うなら陣中見ま――」
「そこォ!」
 幸せを告げる蒼い鳥・ユン(a12043)が物凄い気迫で迫り来る。硬直した二人の間をブラシで擦りつつ駆け抜け、落ち葉を拾ってまったり。また一つ幸せを見つけた、という顔で温泉場のゴミを拾うユンは辺りの壮観には目もくれずに床を磨き、苔生した通路の岩を磨く。マイペースと言えばマイペース至極。滅多にない機会に気合いが入りまくっているらしい。
「人は何故掃除をするのか……それは、そこに汚れがあるからだ!」
「「………」」
 目立つ汚れを落とす度にユンの口元に浮かぶ感極まった笑み。時に陶然、時に勝誇った様に浮かぶそれを見て言葉も忘れる二人。
 無言でレビナスの肩に置かれたシュリシキの掌が、「頑張れ」と言った。
「!?」
「俺も、そろそろ戻らないとだし……頑張ってね、ホント!」
 遠くから聞こえる大鷲の鳴声が妙に近付いている気がするのは、多分気のせいではない。
 二人の脇を、デッキブラシに片足を掛けた星屑の髪飾り・ナハティガル(a05959)が滑りながら通り過ぎて行く。紺の半被を風になびかせ、悩みのなさそうな笑顔で実に楽しげにはしゃいでいた。
 しゃここここー。あははははー♪
 遊んでいるようにしか見えないが、彼女が通った後の床石は確かに綺麗になっていた。

 三の湯――女湯である。
 貸切とはいえ掃除という名目がなければ、本来男が立ち入る事など許されない場所だ。
 身を乗り出せば湯船から溢れた湯が段下の二の湯に注いでいるのが見えた。下に居るユン達の様子も丸見えである。視線に気付いて身を起こした天藍顔色閃耀・リオネル(a12301)は、箒を抱えて怪訝な顔でそこに佇む朱焔の武を目指すもの・オウリ(a15360)に訊ねてみた。
「……覗かないよね?」
「はい!」
 すがすがしい笑顔の即答だった。洗い場の除雪中、苛烈の機神生体戦略兵器・ガル(a11201)が二人に一瞬向けた視線は、何やってんだか、と言いたげだ。

 清掃作業は賑やかに続き、つつがなく終了する。
 太陽が月と入れ替わると共に、温泉場から人が消え――座敷へと場を変えて盛り上がる声はお待ち兼ねの食事を前にした歓声だ。

●食後のサバイバル雪合戦
(「真冬の夜に雪積もってる外に出るなんて、皆何考えてんだぁあ…!」)
 トゥースの心の叫びとはまるで別天地。「わーい♪」とか言ってシュリシキが顔面から新雪に倒れ込んで全身型取れば、「私も〜」とティトレットが続いて、照れ笑い。さらにどこかの赤くてデカイ対抗バ(自主規制)が背中から倒れ込んで大の字を並べる。
(「こんな辛いのは俺だけか…俺だけなのか…」)
「あ〜。寒〜……いかんなぁ、南国ぼけかね〜」
 身を切る寒さとショックで打ちひしがれるトゥースの後ろをワスプが首を縮めて手を擦り合わせながら通り過ぎたが、それを振り返るだけの余裕も無い。
 兎にも角にも。女将に借りた灯りを軒先や庭木に数箇所吊るして照らす白銀のフィールドに、一同は何だかんだで集合している。
 ――Are you ready?
 淡い光に照らされた庭に、緊張の糸が張り詰める瞬間。
 ワスプが上空に放り投げた雪玉が接地して砕ける。
 ――Go!
 そして始まる雪合戦は、食後の運動と云うには少々ハードだった。

「投げるが良い! 投げて来るが良い!」
 丘の上に現れたワスプが挑発しているのを見てスルクは脱力感を拭えない。
 誰もが視線を釘付けられていたが、それは驚きよりも観察の延長。日頃お世話になっている団長に、この機を利用して一発……と思っている者は確かにいて、且つこれから死闘を繰り広げようかという矢先に、彼が『いつの間にか』そこに現れた様に見えたのは合図の雪玉に気を取られた者だけだ。更に言えば、雪の上には彼の足跡がしっかり残っていたりする。
「どうした、さぁ狙え!」
 妙に自信たっぷりの様子が気にはなったが「えい」と思い切り一雪を投じるティトレット。木陰からワスプの背中めがけてリオネルが投げつけた雪玉も――逆巻く風が弾き返す。矢返しの剣風だ。
(「ダメ元だし、ダメ元なんだからっ」)
 あっさり後退決め込みダッシュのリオネルの背に、迫るワスプの声と雪玉。自分が投げた数以上の雪玉に追われてリオネルは思わず、併走している相棒――忍犬のルウシェの顔を見た。
「ここまで俺に近づけた事だけは褒めてやる!」
 
 ――逃げ切らねば。逃げ切れるかな。逃げ切れると良いな。

「あ痛ゥ。てェか、痛タタタ! マジで! あり得ねェ!」
 やはり大きな的は当て易く狙われ易い。避けた先に別方向から雪玉が直撃する様はもう、無残というか滑稽というか。面白がって十拍戯剣・グラツィエル(a90144)を的にしているとシュリシキの肩にも雪玉が飛んで来た。砕ける雪粒を見ながら雪の上を転がり、後の雪玉を何とか回避。思った以上に痛い。――と思ったら投げているのはユンである。彼が庭木の柵の中から雪玉を取り上げたのを、痛痒い肩をさすりつつ目撃。作り置きの雪玉は、表面が若干凍って硬度が増しているらしい。
 改めて痛みを自覚すると、急に横っ腹も痛くなってきた。食べてすぐ激しい運動をしたせいか。
(「……ピンチ!」)

 夕食がやたらと豪勢だったのはつまり、そういうことだったのだ。
 まんまと、そしてまたしても誰かさんの思う壺である。

「いいやもう、いっちゃえー! お腹も軽くならないし!」
 ナハティガルはそれまで大人しく隠れていたが、寒さに耐え兼ね、意を決して飛び出した。
 手当たり次第に雪玉を投げながら、疾走する途中で足を取られて転倒。
「いたた……何」
 ――に躓いたのかと振り返り、雪に半ば埋もれて転がっているトゥースの幸せそうな寝顔に戦慄する。寒さと雪玉、それとも犬? 何にヤられたのか定かではないが、これはもう危険領域。
「と、とトゥ…――」
 揺り起こそうと手を伸ばし、耳元で風を切る雪玉に首を竦めたナハティガルはぶちまけてしまった雪玉を無事なものだけ拾い集め、雪を蹴って駆け出した。
 これはサバイバルなのだ、仕方がないのだ、誰もが一度は通る道なのだ。
「そう皆、結構容赦がないのだ。遊びにも命かけるぐらい覚悟して…――ぅわ!」
 豪気にもこの修羅場を実況していたレビナス、だが注意力散漫か。うっかり踏み込んだ新雪に腰まで埋まってしまった彼の運命もまた――
「うわぁああ!?」
 降り注ぐ白が目に焼きつくのとは裏腹に、羊皮紙からは手が離れ、紋章筆記による記録は彼自身の悲鳴で締め括られる。

 一方。ガルは、庭木の陰でこちらに背を向けてせっせと雪玉を補填しているオウリを発見した。
 ぺしっ。
「きゃ。……」
 気付いた彼女が振り返るより早く、ぽいっ、と下手からガルが放った雪玉は見事に彼女の頭の上に着弾。さするように頭頂部から雪を落としたオウリは少々不満げだが……
 彼女が雪玉を作り始めた時点でハイドインシャドウの効果は途絶えていたのであって……
 笑顔に青筋浮かべたオウリが仕返しとばかりに投げまくる雪玉がガルを襲う。

 立ち込める霧が、全ての視界を遮断した。
 点在する灯りも、業の刻印・ヴァイス(a06493)が展開したミストフィールドの中では無意味。
 そこでは雪の白さだけがやけに浮かんで見えていた。雪を踏む音と、悲鳴、喚声を頼りに生き残りを探し、狙いをつける。霧に包まれて視界もろくに利かない中で、まだ戦いは終わらない。
 カンテラの灯りは時の経過と共に小さく揺らぐ。
 灯りが消えるタイミリミット、霧が晴れ、月明かりの下に立っている者は――?

●まったり温泉で良いじゃないか
 冷え切った身体に温泉は熱いほど染み渡る。湯船に湯の滝が注ぐそこは、二の湯である。
「ふー。勝利の後の風呂は格別だな」
 ワスプがさりげなく堂々と勝利宣言しているが、シュリシキにはピンと来なかった。
 団長も含めて、雪玉を全く食らわなかった者などいない。手玉が尽きた時点でさっさと一の湯に泳ぎに(?)行ったナハティガルの様な者もいて、最終的に誰が勝ったのかイマイチはっきりしないのだ。
 きっぱり「負け」と断言できる一部の者を除けば――
「あ〜、生き返る……――何だ? 何見てんだっ」
 実感の篭る溜息と共に吐かれたトゥースの台詞とその瞳が、何やら他者を寄せ付けない雰囲気である。シュリシキはそれとなく『その2』へと視線を逸らした。顔だけを湯の上に出して微動だにしないグラツィエルは、掛けたままのゴーグルが湯気で曇って何処を見てるのか解らない。
「楽しかったし、別にどうでも良いんじゃないか?」
 ガルの一言でひとまず納得したシュリシキは、顔をゴシゴシ擦ったタオルを頭に載せて落ち着いた。
 確かに、一理あるかもしれない。

 ふと。ふて腐れたように口元まで身を沈めたヴァイスが、湯船にもたれて毒づいた。
「ノリが悪いぞ皆……」
「疲れてるんだよ。多分」
 と、まったり顔だけグラツィエル。寝ていた訳ではないらしい。
「『何もしないで普通に温泉に入る』は、隠されし四つ目の選択肢だぞ」
「……ヴァイスはそんなに見物料とか覗き返しとか、一の湯のカップルが気になるのか?」
「俺が? 何を言う。俺はジェントルだからな」
 そもそも今夜は貸切で、一行の他に客は居ない。いるとすれば野生の動物くらいであるが。
 ユンに問われ、そっぽを向いてさらりと流したヴァイスはそこで、自分を見下ろす瞳と目が合った。
 不意打ちである。それこそ周りをノせておいて自分は慌てず騒がずジェントルに徹するつもりでいたヴァイスにとって、不測の事態は混乱の種。思わず「きゃ……」まで言いかけた。
「わわ、ごめんなさいっ」
 ティトレットの顔はすぐ三の湯に引っ込んだが、男性陣は暫し呆然と彼女の頭が突き出ていた虚空を見上げていた。当初は「見られても減るものじゃねーし」と男前なことを言っていたレビナスでさえ、いざ覗かれると湯の中に座したまま、ほんのり頬を赤らめている。
「……やはり、落ち着かぬのぉ」
 腰に巻いたタオルを何となく確かめつつ、スルクはしみじみと実感していた。女湯が頭上にあるという特殊性を。そしてその延長で、マフラーを外した口元に無意識の内に手を当てるのだった。
(「知った者ばかりと割り切っても、慣れぬものじゃな」)

 ややあって少女達のはしゃぎ声が聞こえてくると……その内容までは聞き取れない分、妙な空気が流れ始める。複雑な人間(の男)達を余所に、犬のルウシェと子狼のリオが湯船の外で、湯と戯れながらじゃれ合っていた。
 いやに静かだと思ったらトゥースは気持ち良くうたた寝をしている。リオネルもうつらうつら。
 ……トゥースはきっと今が一番、幸せなとき。

 声は聞こえる距離ですけど、暗くてよく見えませんでした……よ?
 言い訳をするならそんな言葉になるのかな、と朧な思考をめぐらせながらティトレットはオウリやナハティガルと一緒に三の湯を満喫している。
 山間の夜景というのは、実はさほど美しい物ではない。が――
「本当に……ここが三人だけの貸切だなんて。何だか得した気分ですね」
 オウリの呟きにナハティガルも大きく頷きながら、湯を跳ねてはしゃいだ。
 見上げる空には月と星。
 大自然の澄んだ空気の中で鮮明に輝く細やかな煌めきの粒に、感嘆しながら目を細める少女達。二の湯にいる男達も、同じ空を見ていることだろう。この三の湯がある分、空は少々狭くなっているのかもしれないが。

 風呂上り。ラウンジにずらり並んで腰に手を当てミルクコーヒー(約一名ミルク)を一気飲みした集団は、団長への感謝を噛み締めながら思い思いの夜を過ごす。

 物語はもう少し続く――
 まだ夜も明けきらぬ刻限に部屋を抜け出し、雪の丘にやって来たスルクは先客の影に気付いた。
 板の上に両足を乗せ、体重移動でバランスを取りながら速度をつけて滑り降りてきたのはガルである。転倒して止まったのはわざとではなさそうだ。
「痛てて……こんな朝早くにどうしたんだ?」
「そっくり同じ言葉を返そう。おぬしは、そういえば昨晩にも滑っていたかのぉ」
 スルクの言わんとすることを察してガルは目を丸くし、ふ、と笑み交わす。
 昇る朝日をバックに背負い、二人は存分に雪滑りを満喫した。昨晩よりも僅かに嵩が減った雪の表面は固く、上手く滑るより、転倒する方が多かった様だが。
 転んだ回数が両手に丁度納まらなくなった頃――滑るのを止めて温泉に向かった二人は脱衣所で、同じく朝風呂を浴びに来たレビナスと鉢合わせた。
 彼が寝惚けたまま『三の湯』の戸をくぐるのをあえて止めずに見送る二人。前夜に似たような事をやらかしたガルは笑えない。
 途中で覚醒したらしい少年がものすごい勢いで戻って来たのは、ここだけの話にしておこう。
 ついでに、彼の瞼に目、頬に渦巻きが描かれているのも……
「あああ、なんじゃこりゃ!?」
「やっと気付いたのかよ。レビは真っ先に寝たからな」
「!!!」
 ――男性陣だけの秘密だったりする。


マスター:宇世真 紹介ページ
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参加者:12人
作成日:2005/01/14
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