フォーチュン・チェリーのおみくじ!



<オープニング>


「ね、おみくじって知ってる?」
 ある日酒場に顔を出したチェリーは、得意げにみんなにそう聞いて回った。
「?」
 こくびをかしげる冒険者達に、チェリーはまたもやどこで貰ってきたのかと聞きたくなるような怪しげなビラを見せる。
 
『東方より伝わる3000年の秘法!
 新年の運を占います。
 来年の運勢が気になりませんか?
 気にならないアナタも、知らずにはいられないはず!
 ぜひ当店へ起こしくださいませ』

 実に怪しげだ。
「聞いた話によるとね、聖大吉、大吉、中吉、小吉、吉、凶、小凶、中凶、大凶、絶大凶ってあるらしいの」
「知ってるのよりなんだか増えてるな、それ……」
「聖大吉だとなんでもね金のトロフィがもらえて、絶大凶だと厄払いに海に落とされるらしいの」
「……そんな話は聞いたことないな」
「ねえ、面白そうだからボクと一緒におみくじ引きにいこーよ♪」
 酒場にいる冒険者達の腕を引き引き、チェリーはにこにこしながら言うのだった。

「あ、運を決める運命数を5ケタ決めておくのを忘れないようにね。好きな数字でいいから【12345】って感じで書いておいてね!」

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参加者
NPC:ミニモニハンター・チェリー(a90020)



<リプレイ>

●占いの館
 町外れにひっそりと佇む占いの館。木造の小さな小屋なのだけれど、そこから続く行列はどこまでも長い。
 東方3000年の秘儀には皆興味あるのか。それにしても思うのは、この館、一体いつから出来ていたのだろう……。
(「実は数日してから行くと廃墟でした、なんて……」)
 ユーリリィはふとそんな怪しい想像をしてみたり。実は当たってたりして。
「ボク、いっちばーん♪」
 やっと自分の番が来て、チェリーは目の前の黒ヴェールの女性を見つめた。彼女は「さあ!」とおみくじのたくさん入った箱を差し出す。
 ごくり、とチェリーが喉を鳴らしたその瞬間。
 ぱああああっ、と突然淡い光が辺りを照らしあげた。
 群集がざわめきたつ。フォーチュンフィールド?とチェリーが振り返ると、ルビナがピースサインを送っている。
 息を吸い込み、ゆっくりと一枚引き抜いた。おみくじは小さな紙を折りたたんで封をしたものらしい。
「ワニャも♪」
 その後ろから小さな手が伸びた。チェリーがおみくじ箱を借りて彼女のとりやすい位置に運ぶ。
「小……なんて読むのかにゃ?」
 首を傾げるワニャ。「小凶」と書いてあるのをチェリーはどう説明しようか悩んだ。

●占い師にのびる怪しい視線たち
「え! なんなの!? この怪しげーな雰囲気は!!」
 占い師がなむなむと水晶玉に祈りながら差し出すおみくじ箱を、一つずつ拾うお客達。
 それは実に怪しげな光景で、リーリエがそう叫ぶのも無理はない。
 その占い師の座るテーブルの端っこで、彼女(に見えた)に一生懸命話しかけているヒトノソリンの少年がいる。
「東方ってどこなぁ〜ん? 3000年ってどれぐらいいっぱいなぁ〜ん?」
「……次の方どうぞ」
「運命って何なぁ〜ん?」
 ジャジャはきらきらと好奇心に瞳を輝かせ話しかけ続けている。
「なんだかあの店主さん、場末の占い師にしか見えないわね……」
「あのおみくじはあの店主さんが作ってらっしゃるのかしら……」
 ぼそぼそとヨムとシュリの話す声。
「戦闘は……どこ?」
 と辺りを見回すロスト。
「……」
 なんとなく占い師さんは機嫌が悪くなったように見えた。
 そのうえ、
「あのベールひっぺがせないかな」
「怒られちゃうにゅ♪」
 ユフキとハツネの姉妹がなにやらこっそり悪巧み。そっとそっと、机の後ろ側にまわる。
「どうして海に落ちると大丈夫なぁ〜ん?」
「坊や……飴あげるから、向こういかない?」
 占い師が大きなため息をつき、ジャジャに飴を渡したその時。
「もらった!!」
 背後からとびかかるユフキ。さっと避ける占い師。しかし、飴を受け取ろうと手をのばしたジャジャの指がベールをひっぱった。
「この黒いのなんなーん?」
「きゃああ!」
 一瞬見えた銀色の髪と天使の羽根。
 占い師はエンジェル種族のようだったがまた再びヴェールをかぶりなおし、勢いよく立ち上がると、ユフキとジャジャに向かって思いっきり叫んだ。
「出てって!!お願いだから!!」
 ちょっと涙声だったかもしんない。

●聖大吉らっしゅ!?
「順番が来たみたい」
「一緒にひこう、ミユさん」
 ミユとルキは一緒に箱に手を伸ばす。
「はう……」
 中と凶。
 ルキはそのおみくじをじっと眺め、占い師さんに真面目な表情でたずねた。
「はずれですか?」
「元より当たり外れなどない……」
 機嫌の少し悪い占い師は苦笑する。それでは何枚あればトロフィーが貰えるのだろう……と彼女は俯いて悩んでしまったり。
「ルキ、聖大吉じゃないとトロフィーは……」
 次の順番のエンジェルのリコリスとイリヤに場所を譲りながらミユは笑顔を作って彼女に優しく諭す。彼女の結果は小吉。微妙な運だけどよかったことにしよう、と彼女は心に言い聞かせる。
「恋愛運をお願いします……」とおみくじをひくリコリス。
(……へぇ、東方3000年の秘宝ってこれか)
 イリヤは興味深そうにあちこちを眺めながら、最後に占い師を見つめた。
 にこ。
 笑ったような気がする。
「心配せずとも貴方が恐れなければ大丈夫じゃ」
「……そ、そうか」
 なんとなく頷いてしまった。とりあえずおみくじを引く。結果は……中吉。リコリスを見ると何か固まっている。
「どうかした?」
 そっと覗き込むと彼女のおみくじには聖大吉の文字が。
「おお!!」
「出たか!!」
 立ち上がる占い師。彼女は手元に隠してあった大きな鐘をからんからんと鳴り響かせる。辺りからどこから現れたか児童合唱団が現れ、
「おめでと〜おめでと〜おめでと〜!!」
 と歌いだす。やはり固まっているリコリスは金のトロフィーを強引に抱かされ、イリヤに引っ張られながら出て行った。
「な……なんなの!? この怪しげーな雰囲気は」
「これがおみくじか。風流……とは言いがたいね」
 その後ろに並んでいたリーリエとフィーがその様子を見て、目を丸くする。彼らと一緒に並んでいたソロルもまた同じく。
「さあおぬしらも……」
 右左に児童合唱団は散り、占い師は何事もなかったかのように席に戻った。
「……今年こそは素敵な人に会えますように!」
 叫んでリーリエはおみくじを一つとる。続けてフィーもとる。
 そーっと覗いたおみくじは「中吉」。リーリエは少しほっとした表情で、自分のおみくじを見ているフィーを振り返った。
「で、あんたはどうだったのよ!?」
 なんだか固まっている。この反応ってもしや。
「おお!!また出たか!!おめでとうおめでとう!!」
 からんからんからんーーー!!
 連続で出た聖大吉に、幸先のいいスタートじゃと、占い師も児童合唱団も大喜び。
 二人が恥ずかしそうに出ていった後で、一人残ったソロルはそっと占い師に小さな声で告げた。
「俺は……恋愛運を見て欲しい」
「まずまずじゃ。恐れなければきっと」
 占い師は頷いた。ひいたおみくじは小凶。海には落ちずにすんだな、とほっとしつつ外にいる二人には見せたくないなぁと思うソロルであった。
 さらにセレネス、ティキと聖大吉は続いた。運のよい人はたくさんいるものである。

●そして。
「初めての依頼なんだよね♪縁起がいいといいな♪」
 マシロはにこにこしながら、ようやく順番がまわってきて占い師の前に立った。
「もし……悪いのが出たら、交換してあげてもいいですよ。……まあ、私のがよければですが」
 隣に並んでいたヤトに言われて、「うん♪」と微笑む彼女。
「でもよいのが出ると信じて……」
 ごそごそと一枚引き抜く。ヤトも隣で抜いた。
「えっ………大凶!?」
 マシロの目が点になる。なかなかひけない悪い卦である。
「……」
 しかも隣をちらりと見ると、ヤトはさらに硬直していた。
「ヤ、ヤトさん?」
「これは……」
「何が出たぞな?」
 占い師がヤトのおみくじを覗き込む。刹那、左手を高くあげた。どんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどん。どこからともなく太鼓が鳴り響く。
「絶大凶さまのおなりじゃああああああああ」
「ええええええっ!!」
 一斉に周りの視線が集まる。
 ヤトは真っ青になり、じりじりと後退した。

「とうとう出たか!」
「やっぱりあるのか!!」
「捕まえろ捕まえろ!」
「むいちゃえむいちゃえ!!」
「待て!女性をむくのは駄目だろう?」

「ひぃぃ!」
 隙をついて逃げ出すヤト。追いかける野次馬共。
 全てを見送った後、何故かジョーラムが服を脱ぎつつ、「ちっきしょう!当たり外れ関係ねぇ!俺は飛び込むぅぅ」と真っ赤な漢褌姿でづかづか歩き出し。
 そしてざわめきつつも静観する周りの視線に振り返ると、にやりと笑った。
「道連れ募集だぜ? 一緒に逝かないか?」
 きゃあああああ。
 走り出したジョーラムに逃げ出す大衆。
「いい気合だね!ジョーラム!!」
 思わず応援の声を投げたシュウがターゲットに最後まで追い回されていたという話である。

●さて結果を一覧でお送りしよう。
吉みくじ
【総合運】万事が努力次第 
【健康運】怪しいものは食べるべからず
【愛情運】相手の気持ちを思いやれば順調
【金銭運】頑張った分だけ得られます

 蒼の閃剣・シュウ「……ちょっと無念かな?」
 蒼天の守護拳匠・シェード「まぁ……こんなもんだよね」
 天蓋顔色閃羅・リオネル「運試しかどうかはともかく新年早々楽しめたし良かった……かな?」
 ヒトの翔剣士・リーリエ「恋愛運……これじゃいい人に巡り合えるのかどうかわからないじゃない」
 仔猫と共にに眠る・タダシ「え……紙?おいしいものじゃなかったのかにゃ?」
 
小吉みくじ
【総合運】待てば海路の日和あり
【健康運】大事には至らず
【愛情運】出会いはすぐそこに
【金銭運】塵も積もれば山となる

 ストライダーの邪竜導士・アティフ「健康運が気になっておりましたので、これならいつでも人様のお役にたてそうですわね」
 お魚狩人・ライライ「出会いはすぐそこにですかぁ……」
 水雪夢姫・ミユ「恋愛運……よいということですよね」 
 棘・ヨム「絶大凶じゃなくて……よかったですわ。わたくし日頃の行いがよいですから、おそらく出ないとは思っておりましたけど」
 歩く者・ユーリリィ「出会いはすぐそこ……ううん!恋愛運なんて気にしてないよ!」
 エンジェルの武人・イーリス「待てば海路の日和ありとは、また宜しいではないかのぅ。ふむ、幸先が良さそうじゃ」
 ミニモニハンター・チェリー「ここでも小さいとか出るし……(複雑)」
 
中吉みくじ
【総合運】そのうちなんとかなるだろう
【健康運】薄着でも平気
【愛情運】思うままに
【金銭運】金は天下の回りもの

笑顔の舞娘・ハツネ「にゅ♪ 今年もれっつ☆だんしん☆にゅ♪」
澪標・ハンゾー「まあ……こんな処でござろうな(安堵)」
蜂蜜たっぷりのホットミルク・セレスティア「思うままですか……(赤面)いっ、いえ、別に意中の誰かがいるわけじゃないのですよっ……今年も良い年でありますように」
ストライダーの武人・イリヤ「良い結果なんだよな……いい仲間に恵まれるといいが。この世界で楽しくやっていきたいもんな」

●大吉みくじ
【総合運】思うままに行け
【健康運】順風満帆
【愛情運】すべてうまくいく
【金銭運】困ることはない

紅の女子大生・ルビナ「素晴らしいわ。今年こそ、美少年、美少女のハーレムを設立できそう……いえ、それ以前に素敵な出会いに巡り合えますように!」
不還月・ミューレル「……良かった」
慧眼の静風・キルレイン「良い結果のようですね」
時を彷徨いし深窓ノ妹姫・イヴ「恋愛運……うにゅ……(照れて真っ赤になりながらおみくじに見入っている)」

●凶みくじ
【総合運】石の上にも三年
【健康運】怪我に注意
【愛情運】疑惑の種があれば用心
【金銭運】求めれば返りあり

ヒトうーずの医術士・エイル「……! 今年は平穏無事に……過ごしていけると良いのですけど……凶ですか」
神速のつまみ食い女帝・ウィンディア「凶くらいでしたら大丈夫ですわよ〜。皆様はどうでしたか〜(にこにこ)」
軽やかに跳ねる靴音・リューシャ「……ぜ、絶大凶では無いのでよかったですよね」
涙の魔嵐・ヴィナ「…………(なんとなく複雑)」
幻影と踊る愚者・ニール「……凶ですか」
真昼の月・シュリ「当たるも八卦、当たらないも八卦とは言うし……はぁ……」
灼熱の美人女教師・ツィッギー「……微妙ね……」

●小凶みくじ
【総合運】七転び八起き
【健康運】些細が大事に
【愛情運】辛くても耐えよう
【金銭運】今は我慢の時

めろんなパティシェ・ミルテフィーナ「……!(絶句)」
わにゃにゃわにゃんこ〜・ワニャ「なんて書いてあるのかにゃ〜? ランドアースの文字はまだよく読めないにゃ」
華燭篭・ライトリード「小凶なのなぁ〜ん。……あんまりよくないのかなぁ〜ん?」
ヒトの武人・ソロル「……おそらくあまりよくないだろうとは思っていたからな……」

●中凶みくじ
【総合運】覆水盆に還らず
【健康運】小さな病も用心用心
【愛情運】不安の兆し
【金銭運】使いすぎると後が怖い

うみねこサルベージのオーナー・ユフキ「商売人にこれはないよ〜。まあこんな結果にかかわらず、みんなと仲良く暮らしていけますようにっ」
炎熱の賭博師・ジョーラム「くっ、もう少しで絶大凶だったのに!」
宿無し導士・カイン「……喫煙はやはり体にはよくないのかな」
虚無ノ六花・ルキ「聖大吉で金のトロフィー? このおみくじが何枚あったら、銀のトロフィーが貰えるのかな?(きょとん)」
ストライダーの紋章術士・クール「こんな結果じゃめげないわよ。聖大吉なみの年に変えてやるわってね!」
ヒトノソリンの武人・ジャジャ「覆水盆に還らずってどんな意味な〜ん? 難しいことが書いてあるんだなぁ〜ん」
ヒトの武人・ロスト「いかにも……悪い感じですが。……それより私は誰か占ってもらえませんか?」
宵闇ノ鶯・シオン「なんとか回避したようですわね!!(背後の邪念から)」

●大凶みくじ
【総合運】二度あることは三度ある
【健康運】危険意識を忘れずに。
【愛情運】不幸の兆し
【金銭運】手放すと戻らない

エンジェルの医術士・マシロ「まあ、今の時点だものね♪これから良くなるのよ♪」

●聖大吉みくじ
【総合運】えびでたいをつる
【健康運】踊りだす程快調
【愛情運】全ての人の愛が貴方に
【金銭運】心配無用。

邪竜導士・セレネス「……嬉しいですが〜、恥ずかしいものですね〜……」
朽澄楔・ティキ「お、俺か。本当に俺か?」
白き流浪の紋章術士・フィー「新年会の双六では、私だけ上位に入れなかったんだが……これはこれは」
エンジェルの牙狩人・リコリス「……(びっくり)」

●絶大凶みくじ
【総合運】まな板の上の鯉
【健康運】阿鼻叫喚。
【愛情運】絶体絶命。
【金銭運】存在の耐えられない軽さ。

闇煌纏いし氷鏡・ヤト「…………え?」

●新年祓い会
 金のトロフィーを抱えたセレネスとティキの提案で、最後の福招きの酒宴を開くことになった。
 やはり多すぎる福は一人で抱えちゃいけない。みんなに少しずつ分け与えるのがよいだろう。
 というわけで聖大吉の4人は、凶をひいた仲間達の頭を撫でたり握手をしたり。
 また凶をひいたひとは厄払いのためにと、皆清めのお酒を(場合によってはジュースを)思う存分頂いた。
「そういえばヤトさんは?」
 チェリーが気づいてあたりを見回す。そういえば追っかけていった軍団とともにまだ帰ってきていない。海に投げ込まれちゃったのだろうか?
「ジョーラムさんもいないねぇ?」
 彼は多分、自分から飛び込んでると思うけど。
「迎えにいきますか……見ないでくださいね」
 服を脱ぎつつ、ロストが歩き出した。お酒で足がおぼつかない人もいたけれど、なんとなく皆、小屋の近くにある海に面した崖の下が気になってきて立ち上がる。
 波の音しか聞こえない岸壁。しかしいつの間にか、そこにはオレンジ色の大きな夕日がとても美しく輝いていた。
 今年が素敵な一年になりますように。掌に小さな紙片を握りながら冒険者達はそれぞれ思うのだった。


マスター:鈴隼人 紹介ページ
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作成日:2005/01/25
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