≪ハールファウス修道会≫ハ(略)ウス迷作劇場〜1〜不思議の国のクリス。オムツ生まれのクリスは私の物か!?



<オープニング>


「んー?」
 その日、鴉羽舞う銀なる十字架・クリスティナ(a00280)は眠る前のミルクが効いて、まだ夜空けには程遠い夜半に目が覚めてしまった。
 このままでは大変だ。ベッドにランドアース大陸かホワイトガーデンが出来てしまう。
 それだけは、その屈辱だけは甘受してはいけないと夢遊病に愉しんでいる人宜しく修道会のお手洗いまで来たクリスは異様なそれを見てしまった。
「うに?」
 目をこすって、見直してみる。
「……がんばれ。しかし、この様なところで姫事とはいささかのぉ〜いや、この場合は秘め事というか……」
 はっと、そこまで真剣にリアクションを考えていたクリスは自分も阻止限界点に突入しかけている事に気が付いた。
「うっく……ああ、わいるどらっしゅ、もう、眠いんだ……」
 ナニかが違う。
 目の前の存在、ナニか白い女性の脚2本と、それに覆い被さるように転がっているアライグマの……
「アライグマ?」
「呼んだか?」「呼ばれたか?」「呼ばれたジャン」「以下略!」「同じく×3」
 何処かで見た事のある、ずんぐりむっくりな下半身太りのアライクマ達が頭に小さな三角帽を被って『はいYO−はいYO−』と手洗いの中を闊歩して歩き回る。
「……いかん……真面目に目眩が……」
 今までの自分が不真面目だったのかという、修道会の面々からの鋭いツッコミは流しに投げ込んで、クリスティナは混濁の中に墜ちて行くのだった。

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参加者
月は魂鎮めの赫き赫き・クリスティナ(a00280)
星射抜く赫き十字架・プミニヤ(a00584)
墓標の剣・アコナイト(a03039)
気紛れなそよ風・アリステア(a04106)
緑風の探求者・アリア(a05963)
濡烏・ハイル(a12173)
月影の魔術師・バイビレッジ(a13869)
天吹春風・フェルル(a14997)
NPC:鉄拳調理師・アンジー(a90073)



<リプレイ>

●ぱとら……わいるどらっしゅ、ボクはもう疲れたよ……
「ぱとら……わいるどらっしゅ、ボクはもう疲れたよ……」
 ばたり。
 何となく、自分の意志までもが曲げられているような気がしてならない鴉羽舞う銀なる十字架・クリスティナ(a00280)ことクリス。
 彼女の周りでは、『はいYO−はいYO−』と大漁節も高らかに踊り狂っているラヌカル、ラヌカノレ、ラスカノレ、プミニヤ、アリステア。余りに名前に違和感のない連中だが……丁寧に名前が胸の所に板に書かれて下がっているのはご愛敬か。先程までとは若干匹数が違っている奴等が踊っている。
「……11匹いるし! しか〜も! あんな所にいるのはねー様。って、ねー様そんな格好してちゃ駄目にゃよ」
「うふふ。これ、最新流行なのね〜♪」
「えっ? 其れが近頃のなうでとれんでいな流行……? (一体何処の)でも、私は犬だからナァ……んー、其の格好は本当にとれんでいなのか知らん?」
 首を傾げるクリスの視線の先に、はいYOーはいYOー追加1の欠食淑女・プミニヤ(a00584)ことアライグマ着ぐるみ娘がおとぼけ三昧だ。
「クリスちゃんの地図を洗うのは、この私なのね!」
 ズゴゴゴゴゴと、アライグマの着ぐるみの背後が紅蓮の炎に燃えていた。
 今の彼女……もとい。アライグマ・プミニヤの目的は、『クリスのオムツを剥ぐ事で布団に地図を作成し、それを洗濯する事』だった。
 中々遠回しで、かつ得る物が少なそうなささやか〜な目標だが、思われている側にはたまった物ではない。
「はう……ねー様が不必要に燃えてる……」
 決まって、そう言う時には何か良くないことが起きるのだ。
「うふふ。洗濯洗濯。アコにゃとサユユから奪ったオムツも洗濯なのね〜」
「って! あれアコ!? とサユユ?!」
 何だか変な白い脚があったと思ったら、オムツを奪われた無垢なる銀穢す紫藍の十字架・アコナイト(a03039)と銖祷薫粥なるを顕す蓮風の慧剣・サユーユ(a00074)の脚だった物が蜘蛛の様にわしゃわしゃと新たな生贄を求めて動き出す。
「二枚、ゲットなのね〜」
 ひらひらりん。
 プミニヤアライグマの猫(?)尻尾には、はためく布オムツが2枚。
「HEY!! 今夜はキミを寝かせないYO!!」
「んでもって、クリスちゃんはお手洗いにも行けないと」
 クリスを羽交い絞めにして抱き擦りしているアリステアの背後で、爽やかに笑うプミニヤ。
「てーかそこ! 揉み手して見てないで助けるべしっ!」
 人の歩く速度で迫る蜘蛛状アコナイトとサユーユに総毛立ちながら、何故か優雅にお茶を啜っている双貌鬼・リリス(a00917)に無駄と知りながらも救援を請うてみたりするクリス。
「出張壁屋、絶惨営業中……あっち(本店)も宜しくね」
 惨状を目の前にしながらも、営業笑顔のリリスがアライグマたちと一緒にクリスを押さえに掛かる。
「くくぅぅ……」
 段々と、色々な意味で限界に近付いてきたクリスの思考が白い闇に埋没していこうとしていた。
 ――トンネルを抜けると、其処は一面の銀世界だった――
 ……いや、マテ。
 おかしい。
 私は所用を足しに化粧室に行った筈。たぶん。
 ……確か、入ったら何やら少女がアライグマにたかっていて……。

 あぁもう何だか面倒になってきた。
 しっかし、この状態はなんだ? 私がコールドミルク愛好家だからか!?
 だから雪景色なのくわっ!?

 くわわっ!

 と、目を見開いた時に、クリスの目の前には白い二つの膨らみがあった。
 ぽふと、彼女の頭に取り付けられたソレは、直前まで見開かれていたクリスの視界によると……

 真っ白いネコミミ。

 だった。

 背中が冷たいお手洗いの床。しかし頭に当てられたネコミミは夢見心地に暖かい。
「私はあのらすか……アライグマどもを追わなければ成らないのではないか!? 確か何か用があったはずだ!」
 ドリームインに素敵な感覚に包まれていくクリス。
「えっ、本当に!? 用なんてあったか!?」
 自己問答。
 しかし、その合間にもアリステアとプミニヤの魔の手は色々蠢いているのだ。
「抵抗するなんて悪いコね。たっぷりオシオキしちゃうわよ★」
 等と、のたもうていらっしゃるドリアッド様まで居る。
「アライグマなぁ〜ん」
 むぎゅり。
「ふわふわあったかだって〜聞いたなぁ〜ん♪ そのとーりなぁ〜ん♪」
 ぎゅぎゅーっと、アライグマ・アリステアを抱き締める無垢なる風・フェルル(a14997)の腕が微妙に着ぐるみを圧迫して、喉を極めている。
「く、苦しいです。このままだと、私が世界地図を描いてしまいます……」
「なぁ〜ん? てい! なぁ〜ん」
 だって、21歳が…と、何事か呟いているアライグマをポンポン叩き始めるフェルル。
「変態……さん?」
「面白い声出すって聞いたなぁ〜ん。違うのかなぁん?」
 まさか、絞め技を極められるとは思っていなかったアリステアの視界がぼやけ始める。
「ホントに違うのかなぁ〜ん? ……でも、自分の信じた道を行くなぁ〜ん!」
 爽やかに、強引グ・マイウェイ発言のフェルル。
「い〜やっつ!!」
 周囲の騒動は兎も角、一瞬脳内で岩に見える種が発芽した気のするクリス。
 ごく一部の世の中では、はっちゃけるとも言う。
「私にはもっと大切な大事な重要なインポータントな用事があったはずだ! 思い出せ思い出せクリスティナ!」
 必至になってアライグマ達とワシャワシャ脚から逃げ出したクリスが飛び込んだのは、先程のネコミミを託した緑風の探求者・アリア(a05963)が、同じネコミミを装着して誘った不思議なドアだ。
「……うちの旅団に、こんなドアあったかしらん?」
 謎だが、謎を追求している暇はない。
「さ、どうぞ」
 コポコポと、いい音で注がれるフレーバーティ。
「之は悪いな、ちょっと冷えていたもので何か暖かいものが飲みたいと思っていた所だ。ああ砂糖は一杯で構わない」
 どっこいしょと、クリスが何処に隠していたのか自分の頭程もある砂糖壺を取り出して、ザラッとそれ一杯分の砂糖をカップに叩き落とす。
 ネコミミアリアからクリスにそっと手渡されるカップと、バスケットの中から出て来たクッキーとビスケットが嫌が上にもクリスの食欲を突いてくれている。
「ふむ」
 はむほむほむ。
 いつの間にか準備されていた椅子に腰掛けて、さっくり焼き上がったクッキーと、歯ごたえも充分、ふんわりザックリのビスケットを頬張ると、自分が今まで何かに悩んでいたことが嘘のように落ち着いてくる。
「ふむ。馳走になった」
 既に、何を悩んでいたのかを忘れさせる勢いまである美味しいクッキーとハーブティ(砂糖湯)だった。
「ふぅ……」
 美味しかったと、呆けるクリスの膝に猫2匹。
「おんや? 今日って猫の日?」
 違うしと、自分で突っ込んでみたクリスの頭に猫1匹。
 更には左右の肩に一匹ずつ、気が付けば足元に十重二十重。
「……」
 それは、呆然と見守る追憶者・ハイル(a12173)の身体から剥がれていく猫達だった。三毛、黒、白猫、パンダ。雑種から何やら難しそうな血統の書かれた何かがくっついてる奴まで各種とりそろえて居る様子だ。
 体中に猫をひっさげ、少しだけ嬉しそうな顔をしていたハイルだが、徐々に猫の洋服……と言うよりは猫の装甲が薄れていく事に、ジークシットの心得がその心中に芽生え始めていた。
何匹もの猫が猫耳クリス目がけて殺到し、何をしたいのかは意味不明だが、とにかくクリスは猫まみれ。
「おやおや。ステキですわ」
 猫耳を渡したアリア自身はお茶会セットをテーブルに置いて、周囲にいるアライグマやワシャワシャも誘ってつけ耳を添えている最中だった。
 彼女達の居る場には依頼中で見かける蝶々が飛んでいるとか居ないとか。
「楽しそうですわ〜」
 にこにこ笑顔のアリアの横で、しばらく無感動にクリスの猫固まりを見ていたハイルが己の身に付いていた猫が居なくなったのを改めて目で確認して、再度クリスを見つめる時にはその表情が微妙に歪んでいた。
「よせ! やめろ! そこは駄目だ! くすぐったいではないか! ……私いま何か考えていた様な気がするが……くすぐったい! なんだったかな?!」
 猫暖房で暖かく、しかも体中を『にくきう』でまさぐられて至悦の快楽にむさぼられるクリスの脳内から、段々思考力が欠如して行く。
「……此処で思考を中断すると老化の原因なのだが。ふーむ……全くスッパリきっぱり忘れたではないか!」
「そこまでだぜ!」
 快楽に負けたクリスの耳に飛び込んできたのは、激しくドアを叩き破る音だった。
「ハーハッハ、よく来たなオムツ娘! ここを通りたくば俺を倒していくんだな!」
 宣言しつつ横にある危なそうな筒に、何やら妖しげに『NC』とか書いてある丸い物を投げ入れる月影の魔術師・バイビレッジ(a13869)ことバイビー。
「説明しよう! これはっ!『なんか中に水が入ってて当たったら割れてあんな所やこんな所が濡れちゃって・クリスはものすご〜い、困っちまう』の略だぜ! 時々一等賞が入っていてペア・ホワイトなんちゃら行き三泊四日の旅が当たるらしい。当たれーーーーーーー!」
「はうわ!」
 急いで犬耳フェルルの背後に隠れるクリス。
「そろそろ時間なぁ〜ん」
 フッと、跡形もなく〜消えるフェルル。
「ひどっつ!」
 と、叫べる訳もなく『なんか(略)』の洗礼を受けるクリス。
「わしゃわしゃギリギリギリーギリギリーイロイロギリギリー♪」
 暴れたクリスから猫達は既に無く、ワシャワシャ二人組の脚によって羽交い締めにされていたクリスは全身濡れ鼠だった。
「はうわ! クリスちゃんが全身世界地図に!」
「世界地図作製ですわね!」
「問題は、ソレですかねー様! アリステア!」
 泣き叫ぶしかないクリスに、テケテケテケと、『ボンッツ! キューッツ! ドッギャーン』な蜂蜜たっぷりのホットミルク・セレスティア(a16141)ことバニーさんが走り寄って、ペシと平手でチョップする。
「ばいびーさんのかたきです! …えぇ〜〜いぃ!」
 てしてしてし。
 わしゃわしゃの脚に当たって、全然ダメージが行かないのだが、手刀を振るっている方は不要以上に全身全霊で叩いているつもりだろう。
 ドッギャーンンな物が良く揺れて、それがベチベチクリスの頭に当たる方がダメージが行っている気がする。
「……ってよ、俺はやられてね〜って! やれやれ……こ〜んな試練も超えられんとは一年365日世界地図を書いてもらわねばならんな……」
 にこやかに、しかし乙女にとっては微妙に恐ろしいことを宣言するバイビー。
「お〜いセレス、弄ばれてないで、地図持って帰るぞ!」
「は、はいですの〜」
 顎先で使われても、いそいそとクリスににじり寄るセレスティアの背後で【WC】と扉に書かれたドアを潜って去って行くバイビー。
「か、開眼っ!」
 にょきり〜〜んと、クリスの全身に力が戻る。
「そこっ! バイビー、お前の最後の詰めは甘いのだよ!」
 悪役はどっちだと聞きたくなるような捨てぜりふを残して、クリスがバイビー、もとい【WC】に走る。
「ふ」
 にっこり。
 今まで見たこともない極上の笑みを残して、バイビーが扉を閉ざす。
「こなくそ!」
 伸ばされた腕、ワシャワシャはいYOーと迫り来る背後の気配、どちらが先に到達したのかは知れないが、ドアノブを握った瞬間に、クリス達の足元が消え去った。
「うぉにょぉれぇぇぇぇぇ!! アンジー、これを知っていて、来なかったなぁぁぁ〜〜!」
 ドップラーさんを置いて、遙か虚空に消えて行くクリス達だった。

●はたはたはたと
 はたはたはたと、今日も修道会の庭には白い洗濯物がよく似合う。
「お洗濯なのね〜〜」
「わしゃわしゃ〜」
 プミニヤとアコナイトが何故だか嬉しそうに洗濯している風にクリスには見える。
「おーいセレス、塩取ってくれ塩」
「はいです〜」
「出張販売〜〜」
 耳に飛び込むあの3人の声に、何だかむかっ腹が立つ。
「ん? どないしたんクリやん?」
「きしゃまかーーーーー!」
 問答無用で鉄拳調理師・アンジー(a90073)に繰り出されるクリスの拳。
 何が何だか覚えていない、一夜の夢。
 吹き飛ばされて、修道会の壁にエンジェルならぬ身で飛ぶように貼り付けにされたアンジーを清々しく見上げながら、クリスの一日が始まるのだった。

【おしまい?】


マスター:IGO 紹介ページ
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参加者:8人
作成日:2005/02/19
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