アリスの誕生日〜里親探し〜



<オープニング>


 エルドールの霊査士・アリス(a90066)が酒場に顔を出すのは久しぶりのこと。誕生日も近いし、少し気がかりもあるし……ということで、暇を作って来たのだ。

「実は……里親を探したいと思って……」
 エルドールの再度の移動を前にお願いしておきたい。――彼女がそう言うと、冒険者達の間で様々な憶測が流れた。
「(いつの間に子供が?!)」
「(普段、あの前線のエルドールに居るんだろ?)」
「(いや、アイギスで既に……かも!)」
 ごそごそと噂し合った後、冒険者の1人が核心の質問を投げかけた。
「で、誰のお子さんなの?」
「……え? 誰のって……?」
 アリス自身に浮いた噂はあまりないのだ。冒険者達からは、当てずっぽうに名前が挙がる。
「トールとか?」
「キィルスって線は……」
「いやいや、同じ護衛士団にいるライナスとかっ?!」
「大穴で、ルーカスっていうのはっ?!」
 ……何か誤解されているらしい。やっと気付いたアリスは、
「えーと。そうじゃなくて……ね」
 と首を振った。
「インコ3羽とね、兎の里親を探しているの。犬のハウザーだけは、何とか一緒に……って思うのだけど。インコや兎たちまで、いざという時、護衛士の皆さんに護ってもらうんじゃ……負担になると思うから」
 今度の砦は、きちんと修復されるまで時間がかかると見込まれる上、周りは街も無く、モンスターの多く居る場所なのだ。
「ああ、ペットの里親……」
 早とちりした者達には、苦笑いが漏れる。
「でも、今月20歳でしょう。そういうお相手、いないの?」
 不意に、ヒトの霊査士・リゼルに割り入られ、アリスは目を瞬いた。
「……秘密です」
 にこ、と微笑んで誤魔化した頬には、少し紅が差している。
「ああっ 怪しいですよっ」
「だから、秘密っ」
 問い詰めようとして、結局、アリスに逃げられてしまったリゼルは、「まったくもう!」などとブツブツ言いながら戻って来た。
「あ、皆さん。彼女、お誕生日も近いから、御祝いもしてあげたらどう? 戻ったらまた大変なはずだもの。息抜きさせてあげてね」
 リゼルは作り笑いでニコニコする。
 きっと、まだしばらくアリスを追いかけてみるつもりに違いない。

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参加者
NPC:藍玉の霊査士・アリス(a90066)



<リプレイ>

「誕生日なのに、護衛士団の移動とかで、アリスさんも大変ですね」
「この間、移動したばかりなのに……」
 ぼんやりと言うシャーナ(a14654)に応じたシェード(a10012)の感想は、北の地への道程を一緒に過ごしたからでもある。
「さて、お祝い準備、頑張りましょうか」
「そうですね」
 何か手伝うことはないかと、2人は、テーブルセッティングをしているシュエ(a03114)やヴァイス(a06493)、そして、調理を引き受けているニオス(a04450)達などの間を歩いて回る。
 会場は、近くの集会場を借りている。狭い炊事場に1つだけある窯と、青空厨房でお料理。
 部屋にニューラ(a00126)が用意した机は、折り畳み出来る小ぶりなもの。パーティー向きではないけれど、運び易ければエルドールへ寄付できる。そして、飾付けはティキ(a02763)が用意したアイギスの草花。
 そこへワスプ(a08884)が運び入れたのは、ワイルドファイアから持って来た巨大りんご。スイカほどの大きさのものを5つ、ドンドンと机に並べた。
「差し入れするぜ。あとは料理でも手伝うかな」
 真っ先にクンクンと匂いを嗅ぎだすあたり、作るより味見が楽しみなのかもしれない。
「誕生日って言ったら、やっぱりケーキだよな♪」
 と、彼はウキウキしながら厨房へ。
 ペットのハル達の世話をしているのは、エーテル(a18106)やシャラ(a01317)、グリューネ(a04166)達。アイギスの頃から、護衛士としてアリス(a90066)の傍にいた彼らに、アオイ(a00544)は彼女の好みを聞いていた。野郎どもに聞かないあたり、女心への配慮なのだけれど。彼の趣味を知らぬ者には、少し異様だった。
「どんなケーキが好きだろうか……?」
「アオイさんが作るんですか?」
 問い返すアニタ(a02614)の笑みはぎこちない。シャラ達の空気も微妙だ。
 きっちり頷いたアオイに、微妙な間を置きながら、
「……前線を渡り歩いたから、ケーキといったらホットケーキばっかりでしたね。フルーツで可愛いデコレートしてあげるとか、アオイさんのお勧めケーキで良いのでは?」
 『可愛いデコレート』を彼がすると考えると、また吹き出しそうだが。その場の女性陣は何とか堪え、「ふむ」と考えながら厨房へ行く彼の姿を見送った。
 その後をエレアノーラ(a01907)が付いて行く。彼女もクッキーを作ってみるつもりなのだ。もちろん、味見はティキをとっ捕まえて、の予定。
「ふぇっくしっ!」
 飾付けをしていた不運なエルフ男は、派手なクシャミをしていた。

 ティーナ(a11145)が火を入れた窯が、まだ少し肌寒い朝の空気を、ほんのりと暖めていく。
「喜んでもらえるかしら」
 ボウルで生地を作りながら、彼女はにっこり笑む。
「甘いお菓子って、食べると幸せな気分になれますよね」
 隣りで、木の実と生野菜のペット用サラダを作りながら頷こうとしたニオスは、卵の殻のカケラを見なかったことにして、構わずヘラを使い始めたエレアノーラを目撃。硬直した。なぜか、彼女のクッキー生地には、みかんとぶつ切り苺とナッツが投入される。どうやら、フルーツジュースの材料まで間違って入れたらしい。
「……?」
 目の前で進む斬新レシピの作業。大量の砂糖と、なぜか重曹までぶち込まれ、練り練りねりねり……。
 こういう時、どう教えれば良いのだろう? 目を泳がせたニオスは、ムーンリーズ(a02581)を見つけ『タスケテ』光線を発し……。
 ……気付いてもらえなかった。女じゃなかったせいで、視界の端にも留まらなかったか。
 彼は暫く、出来上がる物体をアリスに食べさせない為にはどうするべきか、心の中で悩み続けるのだった。

 さて。当のアリスは……。
 愛犬・ハウザー連れで酒場へ戻ろうとしていたところを、グレイ(a04597)に呼び止められていた。
「アリス団長」
「あら。グレイさん」
「お久しぶりです。アンサラー護衛士を代表して、皆さんへ、あの時のお礼を申し上げようと思いまして」
 そう言ってグレイが丁寧に差し出した箱を、アリスは首を傾げながら受け取った。中身は『うさまん』。……饅頭?
「それから、お誕生日、おめでとうございます。大したものではありませんが……」
 彼女は目を瞬く。
「そうだったわね。忙しくてすっかり忘れてたわ」
「皆さん、お待ちのようですよ」
 去り際のグレイが視線で示したのは、近くの子供達も招待しようと、外に出て来ていたヴァイスだ。
「お? アリス、こんな所にいたのか」
 言うと、彼は、傍らのハウザーに気付いて顔を綻ばせた。
「おいで。健康チェックしてやるよ」
 バウッとひと声鳴いて戯れるハイザーは、後ろ足で立ち上がると、ヴァイスの胸元まで前足が届きそうな大きさだ。しゃがんで迎えてやったヴァイスは、思いがけない勢いで押し倒され尻餅をついた。
「うわっ?!」
「ああっ ごめんなさい」
 しかし、彼自身はとっても楽しそう。もちろん、ハウザーもだ。
「普段も、そういう風に遊んでほしいのかしら……?」
 そう言うアリスに、ヴァイスはベロリベロリと舐められている顔に苦笑を浮かべた。
「アリスがこんなことをするのは想像できないがな」
「そう? いらっしゃい、ハウザー」
 呼ばれると、ハウザーは大人しく頭を撫でられに来る。明らかにヴァイス相手とは態度が違った。
「ほら。『彼』もそう言ってる」
「アリスおねえちゃまっ」
「アリスお姉ちゃん、お迎えに来たよ」
 笑い合っていると、グリューネとシャラが駆けて来た。
「ハルちゃん、ルイちゃんたちが待ってるよ〜。はなれちゃうかもしれないから、今のうちに遊んでおくのー」
「はいはい」
 にっこり笑んで、アリスは2人に手を引かれて行く。

 準備があらかた終わったのを見て、アイシャ(a05965)は「さて」と辺りを見回した。
「肝心の主賓はどこに行ったのでしょう?」
「ここだよっ」
 アリスはシャラ達に手を引かれて入ってきた。
「こんぐらっちゅれいしょん〜♪」
 すかさず現れたセナ(a07132)は、頭上にピッカーッとホーリーライトを灯す。……御祝い?
「20歳の誕生日、おめっとみゃ〜♪」
 光を七色に変化させてみたりして。部屋の中は、笑いと拍手が起こる。
「久しぶりじゃな。誕生日おめでとうなのじゃ。色々と立て続けにあったが、何がともあれ、無事に誕生日を迎えることができて良かったの」
「我も御誕生の慶賀を申し上げる」
 シュエやラト(a14693)達から祝いの言葉をかけられ、そのラトからは楽譜も手渡された。
「竪琴を弾くと聞いたのでな」
「ありがとう」
 続いて、レスター(a00080)からはアイギスの人々からの祝いの言葉も伝えられ、アリスは中央へ招き入れられる。
「ハウザーはこっちに預かるよ。ハル達と揃った絵を描いてあげる。いい?」
 お伺いをたてて許可をもらうと、エーテルはハウザーを連れて行く。ペット達を集めた一角では、里親希望のバーミリオン(a00184)やジュラン(a01956)達が代わる代わる訪れては、シュエやシャラ達の獣達の歌での『里親面接』が行われていた。
(「……ホントに、いいんだろうか?」)
 皆と一緒に「おめでとう」を言いながら、ヴィナ(a09787)だけはペット達の行方を気にしていた。

「はーい、おめでとうだね〜♪ 20歳のお祝いと言ったら、まずは酒!」
「は、はい」
 アリスを出迎え、嬉々としてボトルを開けたシュウ(a00014)はグラスを差し出す。
「まずは香りをかいでー。気に入ったのを試し飲みしてみようか」
 色々な酒を集めてきたらしい。その中には、ニオスが持って来たケイザンの葡萄酒も足されている。それに気付いたアリスは、受け取ったグラスに手で蓋をした。
「最初はそれがいいわ。ケイザンのでしょう?」
「ん? これか」
 リクエストに応えて、シュウは葡萄酒を注ぐ。シュエやフェネス(a12825)達は、他の皆に――20歳以上の者には酒、未満の者には果物ジュースを注いで回った。
 香りをかぐと、アリスは恐る恐るグラスを口元に運んだ。
「朝起きたら知らない所に居たり、周りに見覚えの無い人がいるような飲み方はしないようにな」
 笑って助言するレイク(a00873)。
「余裕があったらペットも引き取るんだが……」
 犬にアライグマにペンギン。アリスに負けず劣らず数々のペットを飼っている彼は苦笑いする。
「俺はアリスさんの里親になろうか?」
「ぐ……」
「ゲフゲフ……ッ」
 すぐ傍で、グラスを傾けていたバルモルト(a00290)とミスティア(a04143)が咳き込む。ダグラス(a02103)は「ふぅ〜」と溜息をついて肩を竦め、レイクは「おや?」と言うように眉を上げた。
「あら、抜け駆けはいけません。アリスさんなら私のペットにしたいですよ♪」
 なぜかアイシャまでが加わり、周囲からは「おおーっ」と驚愕の声が上がる。
「ペット? 里親なら嬉しいけれど?」
 その返しに、ダグラスは慌ててアリスを引き寄せ、こそこそと耳打ちした。
「(いや、あのな? そういうのは『語弊』があるだろ。もう20歳なんだぜ? 他とくっつくくっつかないは良いとして、そろそろあいつのことハッキリしてやってくれ。それから誤解を招くように。な?)」
 誤解は自発的に招くものか、という議論は置いといて。
 バルモルトを指して言われたアリスは、しばらく固まり、俯いてしまった。
「あ、ま、待て。待ってくれ。落ち込まれると俺が……」
 針のむしろ。いや、針ぐらいで済めば良い。背後の大男からは、恐ろしいオーラが立ち上っている気がする。
「(うわぁっ)」
 脱兎の準備を始めたダグラスに、アリスは「ちゃんと考えておくわ」と小声で返した。

「さあ、皆、今日はいっぱい飲むぎゃ。乾杯みゃーっ」
 仕切り直しの声は、相変わらず光っているセナから。
「お手製ケーキも召し上がれ。シェードさんからは、ヴアサーリで獲れたドライフルーツのケーキも差し入れてもらったわよ」
 ティーナが運び込んだ誕生日ケーキには、20本のロウソク。アリスが吹き消した後は、皆に切り分けられた。
 ちなみに、エレアノーラ作のクッキーを食べさせられ、厨房で食中りを起こして倒れているティキのことは内緒だ。
「里親候補も決まりましたよ。最後はアリスさんが決めて下さい」
 ニューラに言われ、アリスは里子に出すペット達の元へやってきた。よくよく考えると、今日は全くハル達に触っていない。
「アリスさん、いいんですか? このままこの子達を手放して……後悔しないんですか?」
 見かねて問いかけたヴィナに、アリスは寂しそうに笑う。
「手放すのは仕方ないわ。ただ……今日は、あんまり遊んじゃうと、離れ辛くなりそうだから」
 触れないと言うと、ジュランが苦笑する。
「今生の別れではあるまいに。これからも会いたければそう言えば良いのじゃ。里親を申し出ている者達が、そんなことを嫌がるはずもなかろう。わしもアイギスで世話しようと思って、名乗り出てみたのじゃ」
「……あのぅ」
 そこへ、遠慮がちに現れた温・ファオ(a05259)は、「出来たら」と前置きして、バーミリオンに兎・ルイを預けてやって欲しいと言った。
「本当は私がお預かりしたかったんですけど。……あっ これはプレゼントのジャスミン茶です。ゆっくりお茶を飲める時間が持てるように」
「ありがとう。そうねぇ……ルイの里親はバーミリオンさんにお願いしようかしら?」
「ホント?!」
「ええ」
 ルイを差し出され、バーミリオンは嬉しそうに抱きしめた。
「ムーンリーズさんは梟を飼っていらっしゃるから」
 危ないわよね、とアリスは苦笑する。他のペットがインコや兎には危険だから……と、断念している者も数人いるのだ。
 里親希望のリストと獣達の歌での『調査』結果を見比べながら、
「アオイさんにココをお願いして。ハルとミミはジュランさんにお願いしようかと思ったけれど……シャラさん、ずっとお世話してくれてたものね。あなたに預けるわ」
 少し悩みながらそう決め、鳥籠を2人に差し出した。里親の彼らには、リネン(a01958)が纏めた『世話をする時の注意』メモと、ニューラの『里子用お土産』が配られる。
「皆さん、この子達をよろしくお願いね」

 里親も無事に決まり、パーティーは夜まで続く。
 飲み過ぎて騒ぎ出した輩を、フェネスが外へ引っ張り出しては酔い醒ましさせている頃。
 初めての酒にほろ酔いになったアリスに、レスターとリネンが気付いて付き添った。
「少し休むかい?」
「……おや? 連れ出して内緒話ですか?」
 目敏いムーンリーズが、そう言って付いてくる。それから、バルモルトとミスティアの視線に気付いて、悪戯を思いついたように小さく笑った。
「……ちょうど去年の今頃、私もアイギスで臣下の礼をしたのですよね」
 夜風に当たりながら、何気ない思い出話が出るのは、彼らが皆アイギスの護衛士だったから。
「戦い続くこの地でも、何か……寂しさを埋められるモノを見つけられたのだろうか……?」
 リネンの問いに、アリスは微笑する。
「それは、護衛士の皆さんだわ」
「……そういう意味ではないと思うのですが?」
 言い挿したムーンリーズに、アリスは苦笑する。
「私ね、好きになるのは『お父さん』みたいな人だったの。年上の人。あとは、レイクさんとか、こうやって気遣ってくれるあなた方みたいな人とか」
 3人は一様に「え?」とビックリした顔になる。
「恋愛をよく解ってなかったのね」
「……ああ、そういうオチですか」
 嘆息するムーンリーズに、レスターが茶々を入れる。
「残念がるなよ、ムーン」
 クスクスと漏れる笑い声。
「誰か1人だけ好きになるのも怖かったし」
「今は、怖くなくなったということだろうか?」
「少しだけね」
 前線の護衛士団ばかり受け持った経験で、だろうか。そう思った彼らに、アリスはまた笑う。
「失う不安に慣れたんじゃないわ。信じて待てるようになったの。それだけ」
「アリス」
 呼び声に顔を上げると、バルモルトが来ていた。
「……では。私達は失礼しましょうか。御武運をお祈りしていますね」
 微笑してアリスの額にキスをしたムーンリーズに、レスターとリネンは柄にも無くあんぐりと口を開けて呆けた。これはもう、逃げるが勝ち。

 その後の顛末を知るのは、ごく小数。
 ペット達の絵を描き終え、届けに行ったエーテルは、バルモルトに抱き締められているアリスを見たと皆に触れ回った。
 ……が、そのもう暫く後、今度はぼ〜っと漂っていた時に、ミスティアと話す彼女を見た。ぼんやり光る翼に、2人が照らされるぐらいの至近距離。
「あれ……?」
 さすがに気付いたエーテルが、そのまま地面に落下した悲劇は、フェネスも目撃した。
「大丈夫ですか?」
「エーテルさん?!」
「ううっ ぼんやりしてましたぁ」 
 心配するミスティア達に、エーテルは大慌てで言い訳する。なぜなら、見てしまったから。

 その後、落下の寸前に見た決定的瞬間を、エーテルはこっそり絵にしたらしい。
「お幸せにです♪」
 小さな額縁の中に描かれているのは……。


マスター:北原みなみ 紹介ページ
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