<リプレイ>
●さあ、出かけよう♪ 人形姫に憧れる名も無き花・パティ(a05491)が出かける日。 その日はとても天気が良かった。空には星の瞬き、月明かりが照らす。 パティはお気に入りの黒いエプロンドレス、真紅のワンピースを選び、着ていた。 「……パティは〜〜おでかけしますよ〜♪ ……おかいものです〜〜♪」 歌を歌いながら、上機嫌。 今日はあの、天使の涙を手に入れるのだ。 「今日は、頑張るのです〜♪」 とてとてと、愛らしいパティは出発したのである。
その後ろに怪しい……いや、彼女の事を心配する者達がいるとは、全く知らずに。
●みんなは心配性? パティは目的の市場へとたどり着いた。 彼女にとって、そこは生まれて初めての市場。 見るもの見るもの全てが物珍しいもののように映る。 「……はぇ〜〜色々な〜〜ものがあるんですね〜〜」 きょろきょろと辺りを見渡す。 可愛いアクセサリー、珍しい果実、よく分からない言葉で書かれた謎の本、不思議な薬などなど。 「これが〜〜市場なんですね〜〜」 圧倒されぎみのパティ。 と、パティは何かに気付いた。
「パティちゃんは……今のところ大丈夫のよう……ね」 パティの半径5メートル程離れた場所で、見守っているのは旋風来臨・アリセラ(a15708)。 はっきり言おう。 今のアリセラからには、本物のアリセラが分からない。 メルヘンな童話に出てきそうな愛らしいワンピース(七部袖)。 編み上げたブーツを履き、左手にはペットの子狐ナナリーを、右手には買い物用のバスケット。 いつも一つにまとめている髪は解かれ、体中からは気持ちの良いラベンダーの香りが立ち上る。 普段は動きやすい服装を好んで着ているアリセラは、別人と言っていいほど変わっていた。 だが、しかし。 パティはやってきた。 可愛く変装したつもりでも、パティは気付くのか。 「ああ、もうだめっ」 アリセラは覚悟を決めた。 「あの〜〜道具屋さん、知りませんかぁ〜?」 覚悟を決めたアリセラが聞いた言葉は、そんな他愛のない言葉であった。 「あ、ど、道具屋さん、ですね。た、確か、この道を真っ直ぐ行った先を真っ直ぐ行ったところにあったと思いますよ……」 事前に情報収集していた流麗なる味覚の指揮者・サリナ(a01642)に感謝しながら、そうアリセラが優しく教えてあげる。 アリセアだけではない、ここにきているパティ以外の者達はサリナの情報により、迷わずここまで来れていた。どうやらパティの目的地は道具屋のようだ。 「わかりました〜〜ありがとう、ございました……」 パティは恥ずかしそうに頭を下げると、とことこと目的地へを向かって行ってしまった。 「あ、危なかった〜〜。見つかっちゃうかと思った」 深呼吸しながら、アリセラはほっとため息を零す。 「でも、この調子だと、順調に目的地まで行けそうね」
だが、そう上手くいかないのが、おつかいの恐ろしい所……いや、この市場の恐ろしい所である。 道具屋に向かうはずのパティの様子が変だ。 何かを感じて、辺りを見回しているらしい。 パティを誘うもの。 「あっ………」 ふらふらと吸い寄せられるようにやってきたのは、お菓子屋さん。 たくさんのクッキーの入ったバスケットを持つ……着ぐるみであった。
(「えええええっ!!!?」) 実はこの着ぐるみ、光舞う風・エリス(a05800)の変装していた姿だったりする。 エリスはこうして、変装しながら、パティを見守っていたのだ。 (「ちょっと待ってっ! 一番最初にバレるのはごめんだわっ!!」) これは、かなりの緊急事態である。 今、目の前にはパティがいる。 パティにエリスの事がばれれば、今回のパティのおつかいが終わってしまうかもしれないのだ! エリスは、パティの肩をぽんぽんと叩く。 「ほぇ〜〜あ、あの、何ですかぁ〜?」 着ぐるみエリスは、バスケットから、クッキーの袋を一つ取り出し、そっとパティの手に載せる。 「はわわっ!! あの、でも、えっと……お金、いくらです?」 わたわたと自分の財布を取り出すパティ。 「は、はれぇ〜〜?」 やっと自分の財布を取り出せたパティの目の前には、もうあの着ぐるみはいない。 「お礼、いえなかったですぅ〜〜」 ちょっとしょんぼり。 でも暖かいクッキーが、嬉しかった。 「せっかく貰ったんですし、一つ食べてみましょうです〜♪」 パティのお買い物は始まったばかり。 現在の状態。クッキー一袋、タダでゲット!
一方、エリスはというと。 「あ、あぶなかったぁ〜」 着ぐるみの中で安心したため息を零した。 どうやら、そっと見守るのも、なかなか難しいのかもしれない。
「おや? パティさん、買い物か?」 そう声をかけたのは、キシュディムの紋章術士・アルテア(a02573)。 「わ、アルテアお兄さん!」 パティは慌てて続ける。 「お兄さんも〜おでかけですか〜?」 「あ、あーーまあ、そんなところかな。パティも?」 「はい、パティもおでかけなのです〜おかいものなんです……………あ、あの……」 「気をつけて行って来るんだぞ」 「ほえ?」 「パティも一人前なんだからな。1人でおかいものもいいだろ。でも、ここはちょっと危険だから、注意していくんだぞ、いいな?」 アルテアの言葉に勇気付けられたパティは、笑顔で。 「はい、パティはがんばるのです〜、アルテアお兄さんもいってらっしゃいなのです〜〜」 「ああ、行ってくるよ。またね、パティ」 そう言って、2人は別れる。 「アルテアお兄さんに負けないよう、パティも天使の涙を探すのです〜〜」 パティはさっそく、道具屋に入っていったのであった。
だがしかし。 意気揚々と道具屋に入って行ったパティだったが……どうやら、目的の物がなかったらしい。 肩をがっくりと落として歩いていた。 「ああ、パティさん、がっかりしていますよ。どうしましょう、ツキトさん………」 困ったようにツキトを見上げるのは、月天子・ルチア(a22362)。 ルチアはバンダナを巻いて髪型を変え、男物の服を着て、男装をしていた。 こちらもアリセラ同様、別人のようになっている。もっとも、声まで変えることはできなかったようだが。 「そうは言っても、俺達が今ココで出て、元気付けるわけにはいきませんよ」 そう言って困った顔をするのは、邪風の黒騎士・ツキト(a02530)。 ツキトもなかなかの変装をしている。 マントと防具を外し、前髪を下ろして、さらに片メガネをつけている。丈が長めの上着の下には、もしものための鞭まで仕込んであった。 「でも、何とか元気付けてあげたいです。パティちゃんには、笑っていて欲しいですから……」 そうルチアが呟いたときであった。 「あっ!!」 落ち込むパティの手から財布の入った可愛いポーチが奪われたのだ! そのポーチを奪ったのは、ひょろひょろと背が高く、柄の悪い男。 「か、返してくださいっ!!」 泣き出しそうな顔で男を追いかけるパティ。 「大変です、ツキトさんっ!! こうなったら、私のディバインチャージとソードラッシュでっ!!」 「待ちなさい、ルチアさん!! ここでその技を出したら、冒険者だとばれてしまいますっ!!」 「でも、パティさんの一大事なんですよっ!!」 ツキトがルチアの腕を突かんで、止めている。 「ですが……」 「急がないと、パティさんのお金がっ!!」 ツキトにも、ルチアの気持ちがよく分かっていた。ツキトだって行きたいのだ。 それに、相手は一般人。 ディバインチャージで強化された技を繰り出せば、倒す事もたやすいだろう。 しかし、それは盗みを働いた男の死と、ルチアが冒険者だという事が、パティだけでなく周りにもばれてしまうという、最悪の結果しか招かない。 それを、パティが望んでいるとは限らないのだ。 2人がそうこうしているうちに。 「てーーーーーーーーいっ!!」 見知らぬお姉さん……いや、帽子と伊達メガネで変装した、天紫蝶・リゼン(a01291)の華麗なキックが炸裂したのだ!! 華麗なキックは、パティのポーチを盗んだ男にジャストミート!! 「ぐわっ!!」 男は倒れ、鼻血を出して気絶している。 「はいどうぞ」 男から取り戻したポーチをパティに渡すリゼン。 「……ありがとう〜ございました〜♪ ……パティ……と〜っても助かりました〜♪」 パティはポーチが戻って、にこにこ顔だ。 「こんな危ない所に、一人で来ちゃ駄目だぞっ♪」 「で、でも……」 「どこかに用事があるの?」 「………はい。パティ……道具屋さんを探しているんです……」 うるうると今にも泣き出しそうなパティに、リゼンの気持ちも揺らぎそうになる。 「あ、あのね。向こうにもう1件、道具屋さんがあるの。そこに行ってみたらどうかしら?」 「本当!? お姉さん……ありがとう………」 「お姉さんも行きたいんだけど、用事だから頑張ってね♪」 リゼンの言葉にこくんと頷き、パティはさっそく教えられたもう一つの道具屋へと向かっていった。 「はい、そこの2人。引き続き尾行よろしくね」 くるりと振り向き、リゼンは、隠れていたツキトとルチアに告げた。 「はい」「了解」 元気を取り戻して駆け出していったパティを、ツキトとルチアが追っていった。 「無事におつかいが終わるといいんだけど……」 心配そうに三人を見送るリゼンであった。
「パティちゃん……大丈夫なのかな?」 ちょっぴり落ち着きがないのはサリナ。 黒い眼鏡と黒い帽子、黒いスーツと自前の術手袋で変装している。 ツキト達とは少し離れた場所でパティの尾行を行っていた。 「パティちゃんの探しているお店が見つかるといいんですが……」 リゼンから場所を聞いていたつもりだが、相手は謎に満ちた闇の市場。 なかなか目的地である道具屋が見つからない。 パティは何度も迷いながら、人に聞きながら、時間をかけて目的地へと確実に近づいて行っていた。 そして、やっと発見した。 パティの探していた、あの道具屋だ。 道具屋を見つけたパティが、意気揚々とその店に入ろうとしたそのとき!! 「ようよう、ねーちゃんよ」 「はい?」 そこに現れたのは、先程リゼンに華麗なキックを喰らった、あの男。 しかも1人ではない。 「アニキ、こいつにやられたんすか?」 「いんや。別のヤツだが……いないんなら、こいつに顎の治療費をもらわんとな」 目の前にいるお兄さん達はざっと30人ほど。 ずらりと勢ぞろいしている。その手にナイフや棍棒を持って。 「……えと……その……はう〜……」 やっと目的のお店に入れると思ったのに、入れない事にパティの悲しみは頂点に達しそうになっていた。 パティの瞳に涙が溜まっていく……。 「やぁっと見つけたぞ〜!!」 どばきっ!!! アルテアの体当たりアタックで、またあの男が倒れた。 「あ、アルテアさん?」 そのパティの言葉ににっこり微笑むアルテア。 「俺、この盗賊一味の連中を捕まえるのにこの辺回ってるの。パティさんも気をつけてね」 「さあ、彼らは私達に任せてください」 「俺達がゆっくりじっくり話し合って」 アルテアの他にもルチアやツキト。 「仲良くしておきますから、いってらっしゃい」 「そこの皆さん、ここではなんですし、あそこにある廃屋で、つもる話をしませんか?」 あの着ぐるみエリスや、メルヘンアリセラまでいる。 「「「賛成」」」 にっこりと微笑むアルテア一行。 皆、顔は笑っているが、その体から異様な、恐ろしいまでの殺気のようなオーラがばしばし出ていた。 「お、おぼえてろーーーーーーー」 お兄さんたちは逃げていった。 「こらまてーっ!!」 アルテア一行は、そのお兄さんたちを追っていった。 「ほえ〜〜皆、依頼で来ていたんですね〜〜」 ぽつんと残されたパティ。 こくこくと1人、頷いていた。 「……くんくん……だから〜知ってる人の〜においがしたんですね〜♪」 にっこりと微笑んで。 もう、パティに怖いものはない。 ゆっくりとお店に入る。 「いらっしゃい、お嬢ちゃん」 そこには色っぽいお姉さんが店番をしていた。 「あ、あの〜〜お姉さん………」 「なあに?」 じろじろと珍しいものを見るかのようにお姉さんは意地悪そうにパティを眺めている。 「……あの……天使の涙をください〜♪」
1人残って尾行を続けていたサリナは。 「ひょっとして……天使の涙って……アレでしょうか?」 パティが嬉しそうに天使の涙を手に入れて帰る姿を確認したのであった。
●天使の涙の理由 パティが無事、おかいものをして帰ってきた夜。 パティはエリスのぎゅっをされて、ちょっと驚くという些細なハプニングもあったが。 とにかく、セブンス・ヘヴンでは、小さな宴会が行われた。 「お仕事、お疲れ様でした〜〜」 「いえいえ、パティちゃんこそ、おつかいご苦労様でした」 ぺこりと頭を下げるパティに、ぺこりと頭を下げるルチア。 「そうそう、パティちゃん、何を買いに行ったの?」 そんなアリセアの言葉に、パティは自分のポーチから小さな包みを取り出し、開けて見せた。 「天使の涙です〜〜。えっと、その……あまり作られていないので〜〜幻のって言われている、ピンクの口紅なんです〜〜♪」 「「「口紅っ!?」」」 出てきたのは可愛らしい口紅。 「しかも〜〜つけた人は、必ず幸せになれるそうですよ〜〜」 「な、なるほど……」 口紅だとは思わなかったツキト。思わず唸ってしまう。心の中では、娘や妻に買ってやると喜ばれるかもと考えていたりする。 「いいですね、私も付けてみたいです」 羨ましそうにパティの口紅を見ているルチア。 「ねえねえ、さっそくつけないの?」 エリスに言われて、パティはきょとんとした顔になる。 「えっと……今はいいです〜〜みんながいて、幸せですから〜〜」 そんなパティにエリスは。 「ああん。パティちゃん、可愛いわ〜〜!!」 きゅむむむむーーーっとしてしまうのだった。 宴会は、まだまだ終わりそうにない。 パティのおつかいを祝う、宴会は………。
一方そのころ。 別の部屋では………。 「なるほど……これが幸せを呼ぶ口紅、なんですね……」 宴会に参加せずに、こっそり口紅を塗っているサリナの姿があったのは、言うまでもない。

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参加者:8人
作成日:2005/04/10
得票数:戦闘1
ほのぼの12
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冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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