【リベルダの悩み】星の実



<オープニング>


「君達、良かったら一緒に出かけないかい?」
 その日、ストライダーの霊査士・キーゼルは、酒場にいた冒険者達に、そう声をかけた。
 彼の隣には、一人のエルフの女性――キーゼル曰く『古い知り合い』である、リベルダの姿もある。
「東に、カレリフィアの丘って場所があるんだよ。そこは、色とりどりの様々な花が咲く場所でね。今ぐらいの季節だと、ピクニックなんかに丁度いい場所なんだけど……ここには、面白い花があってね」
 正確には、面白いのは花じゃなくてその実なんだけど……と補足しながら、キーゼルは、右手の人差し指でテーブルの上をなぞりながら、5cm程の『☆』の形を描く。
「……こんな形の、淡い色をした実がなる花が咲いているんだよ。僕達はそれぞれ、星の花と星の実って呼んでるんだけど……」
 キーゼルが言うには、星の花は大輪の白い花を咲かせる花で……その下部に星の実が実るらしい。星の実の色は様々だが、どれも淡く綺麗な色をしているという。
 この星の実はかなり硬いらしく、食べるのには向かないそうだが、非常に綺麗な実なので、そのままお守りにして持ち歩いたり、ペンダントなどに加工するのには良いのだという。
「で……この星の実を、取りに行こうと思ってるんだよ」
 どうやら、リベルダが院長をしている孤児院の子供達のために、この星の実を取りに行こうという計画らしい。子供ってこういうのが好きだから、内緒で取って来て驚かしてやろうと思ってさ――と、リベルダも笑う。
「ま、せっかくだからね。君達も良かったら、息抜きがてら一緒にどうかと思ってさ。どうだい?」
 キーゼルはそう冒険者達に誘いかけながら……ついでに星の実を集めたり、運んだりするのを手伝ってくれると助かるんだけど、と付け加えたのだった。

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参加者
NPC:ストライダーの霊査士・キーゼル(a90046)



<リプレイ>

 キーゼルに声を掛けられた冒険者達は、星の実を取りに、カレリフィアの丘へと向かっていた。
「楽しそう〜♪」
 遠足気分で楽しげに歩いているのは、愛振りまく翼・ミャア(a25700)だ。その両腕には、お重にこしらえたお弁当が抱えられている。
「子供達の笑顔が楽しみですね♪」
 幸せを求めし白き鷹使い・シャンナ(a00062)は、先日体調を崩したばかりのリベルダを気遣って、彼女の荷物を代わりに運びながら、そうリベルダやキーゼルに笑い掛ける。
 二人の絆は見て取れる。自分も、その中に入れたら……入れて貰いたいと思いながら、シャンナは二人と並んで歩く。
「そうだな。ああ、そろそろ着くよ」
 シャンナの言葉に頷きながら、リベルダは前方を指差す。なだらかな登り坂……その先に、白い花が広がって見える。
「きゃ〜、お星様が一杯ですよ!」
 その光景を見た、星集めの少年犬・ヒオ(a02990)は、目を輝かせて駆け出す。
「あ、ヒオ! シェカ、ヒオを捕まえろー!」
 そんな様子を見た、紅裙パレス・カエサル(a22041)は、いきなりはぐれては大変と、隣にいた黒き血に穢されし猟犬・シェカ(a18107)を振り返る。
「ん……。ヒオ、1人で走ると、はぐれちゃう……よ?」
 シェカは頷くと、その背中を追いかけて捕まえる。
「へぇ……」
 一方で、丘に咲く花を眺めるのは朽澄楔・ティキ(a02763)。植物研究が日課だという彼にとって、星の花と実は大いに興味が湧くもので……実際に目にしたそれは、とても目を楽しませてくれるものだった。
 辺りに広がる花を眺め、更にその下に実った星の実を眺め……ティキはしばらくその光景を楽しむ。
「じゃ、始めようか」
 キーゼルは荷物を置くと、星の実を取り始め……冒険者達はそれぞれ、思い思いに丘の各所へ散った。

「へぇ〜……」
 ヒトの紋章術士・オウル(a24827)は、キーゼル達を手伝って星の実を取ると、実際に目にした星の実をしげしげと眺めて。周囲の景色を見回して、ピクニック気分で歩きながら、また新しい実を摘んでいく。
「わぁ、素敵な実♪」
 綺麗な桜色の実を見たミャアは、にこやかに笑みを浮かべている。
「星の実、か……」
 エルフの邪竜導士・ジェレイド(a24550)は、星の実に触れながらふと思う。
(「アイツにあげたら、喜ぶだろうか……。……いや……」)
 思ううちに、小さく左右に首を振って。自分の物にしよう、と、白色に近い、淡い水色の実を摘む。
「よ、っと……」
 実を摘みながら歩いていた、軽業拳法使い・ヤイチ(a12330)は、摘んだばかりの実を手にしながら……ふと、視線の端に淡い緑色の実を見つけると、今度はそちらに足を向ける。
 自分用に摘んで……ペンダントにでもしようかと考えながら。
「これなんて良さそうですね」
 錫色の紋章術士・リルミア(a01194)は、子供達が喜んでくれるよう、出来るだけ綺麗な実を捜して取る。
「それにしても、星の実って可愛らしいですね」
 星の実を眺めながら、リルミアは自分が持ち帰るとしたら、真珠のような色の実なんていいなと思いつつ、また新しい実を探して歩く。
「♪ 地面に降りたお星様、ふと見上げました……♪」
 紅水晶な気持ち・チュナ(a22407)は、星の実の事を考えて作った歌を口ずさみながら、淡い桜色の実に手を伸ばす。
 辛い事は沢山ある。でも、楽しい事はきっといっぱいある。ソレにひとつでも気が付いたものの勝ちだと、そう思いながら……チュナはそっと両手で星の実を包む。
「いい風だな……」
 狼牙の守護神・アールグレイド(a15955)は、風に吹かれながら雲の流れる空を見上げ、のんびりと自然を楽しみながら、星の実に手を伸ばす。
 こんな日にはあとで、草の上で昼寝なんてのも良いかもしれないと、そんな事を思いながら……綺麗なすみれ色の実を摘む。
「丘でも眺めながら、のんびりさせてもらうつもりだったけど……やっぱり、じっとしてるっていうのは、どうもね」
 最初は丘の片隅で景色を眺めていた、エルフの武道家・セフィール(a25260)は、苦笑しながら歩いて来ると、皆の中に混ざって、一緒に星の実を集め始める。
「この色綺麗! 空の色に似てるわ♪」
 色陽光射す春霞・ティーナ(a11145)は、空色の実を見ると目を輝かせ、それを自分用にとしまいつつ、ふと近くにいたキーゼルの髪を見る
「あ、これキーゼルさんの髪に似てる」
 ティーナは藤色の実を背伸びしながら近付けて。更に、これはあの色に、あれはあの色に……と次々続ける。
「フォーチュンフィールドでぇ〜、みんなしあわせぇ〜なのですぅ〜」
 その側では、エンジェルの医術士・フウア(a23205)がフォーチュンフィールドを使い、ほんのりと周囲の地面を照らすと、にこにこと笑顔を振りまいて、楽しそうにハミングを口ずさみながら、星の実を取っている。
「………ちょっと、入れすぎたで御座いましょうか〜」
 一方で、着ていた巫女服の袂を見ながら苦笑するのは、翡翠の桜巫女・ヨシノ(a17983)。彼女は、取った実を袂に入れていたのだか……ずっしりするまで入れ過ぎてしまったようだ。
「へぇ〜、そんな事もあったんだぁ」
 若葉の射手・フィンフ(a19327)は、星の実を摘みながら、リベルダの話に相槌を打つ。フィンフはリベルダから、これまでキーゼルに持ちかけた話について聞いている所だった。
「波瀾万丈な人生だねぇ。退屈とは無縁だ」
「あっはは、確かに」
 思わず笑うフィンフに、リベルダもケラケラと笑いながら頷く。
(「綺麗な物を見るのは疲れを癒し、心に潤いを与えてくれると聞く。リベルダさんも、きっと元気になるであろう」)
 大凶導師・メイム(a09124)は、そんなリベルダを見ながら思うと……ふと少し離れた一角の様子に目を止め、キーゼルを振り返る。
「……キーゼルさん、あちらを手伝って来てはどうだ?」
「ん?」
 そこには、硬い実でもそのまま積み重ねては傷付くかも……と、実を一つ一つガーゼで包んでいる、微笑みの風を歌う者・メルヴィル(a02418)がいた。
「……じゃあ、そうするかな」
 キーゼルはその意図に気付いたのか、何か含むような笑いを浮かべつつも、そちらへと向かった。

「本当にきてよかったなぁ……」
 医術士的エルフ・ローズウッド(a13735)は、思わずそう呟いた。色んな花が咲いていて、綺麗で。空気も澄んで気持ちが良くて……とてもとても心地が良い。
「あ……これが星の実か」
 ふと視線を横に向けると、そこには空色の実があって……ローズウッドは体を起こし、それを取る。
「色々取ったのですー♪」
 そんなローズウッドの近くで星の実を取っていた、しあわせ羽桜・チェリート(a16606)は、笑顔で実を見ながら、ふと思う。
「……なんとなく、美味しそうな色ですよねー」
 じーっと見つめて。実の一つを手に取って。
 ――かぷ。
「………」
 チェリートは、ただただ無言で俯いた。……目に涙を溜めながら。
「ちょっとメゲてたけど……なんか、癒されるなぁ」
 花を踏まないように転がっていた、夜風を纏う流星・ヨゥミ(a15145)は、楽しそうに転がりながら花を眺める。
「ん?」
 そんな中見つけたのは、ひっそりと咲く星の花。ヨゥミの好きな薄紫色の実をつけた……ヨゥミはその実を自分へのお土産にと摘む。
「ん〜……♪」
 気持ち良さそうに、だれ寝していた北の黒紫竜・リオル(a17014)は、やがてゆっくりと起き上がると、星の実を集める手伝いを始めて。自分用にと、淡いミルク色の実を貰う。
「ふふ……これはまた綺麗な形じゃのぅ♪」
 黙々と星の実を集めていた、胡蝶草・パンセ(a24519)は、手を休めると取った実の一つを空にかざし、うっとりしながら感動する。
 そんな中、ふと近くの花に蝶が止まっているのに気付くと、今度はそちらに視線を向け、思わず口元を緩める。
「あ……」
 小さなビンを持って、星の実集めを手伝っていた、温・ファオ(a05259)は、通りすがりに一つの実に目をとめると、ふと心惹かれたその実を、自分用にお土産にと摘んで……ありがとうの気持ちと、これからも綺麗に咲いて欲しいという気持ちを込めて、そっと星の花を撫でる。
「たくさん集まったのです♪」
 一方、柔らかに揺らめく白き灯り・スウ(a22471)は、麦わら帽子に集めた星の実を見ながら、これなら孤児院の皆さんをびっくりさせられそうです……と微笑む。
「きっと、皆喜んでくれるでしょう」
 一緒に星の実を集めていた、泡沫ナル魂ノ呼応・セフィス(a17883)も、帽子の中身を覗きこみながら笑うと、隣にいるスウの頭に手を伸ばし、ぽふぽふと優しく撫でる。
「ふう……風が気持ちいいです」
 光秘めし天青石・セレス(a24216)は、周囲の景色を眺めながら、吹いて来た風に心地良さそうな声を漏らす。
「……皆、どうしてるかな」
 セレスはふと、故郷の空の色に似た実を見つめると、ちょっとだけ昔を思い出して、哀愁に浸る。
「流れた星は、みんなここにくるのかにゃぁ♪」
 お菓子の国のお姫様・イヴ(a13724)は、にこにこっと星の実を手に触れ、その淡い桃色の実を取りながら思う。
(「願わくば……シェルティに幸せをもらたしてくれますように……」)
 イヴはぎゅっと実を抱きしめると、それを大切そうに守り袋の中に収める。
「星の花も実も綺麗なのにゃ」
 思わず見惚れながら、のんびりと実を取るのは、世界樹の翡翠・シルビアーナ(a12891)。
「春のクローバーは、天ぷらとかおひたしにしてもおいしいんだよぉ」
 連れて来たペットを振り返りつつ、そんな知識を披露すると、シルビアーナは足元のクローバーも摘む。
「いっぱい取れたか?」
「これくらい……見つけた……」
 カエサルに聞かれたシャカは、尻尾を揺らしながら実の入った籠を見せる。
「そっか、良かったな」
 カエサルは、仕草からシェカが嬉しそうなのを読み取ると、その頭を撫でてやりつつ笑顔で応える。
「にー、流れ星ですよ〜♪」
 そんな二人にじゃれつきつつ、ヒオは星の実をバラバラッと投げて……スコンと落ちて来たそれに頭を打たれると、にぃ……と頭を押さえる。
「さてと、こんなものかな。……そういえば」
 皆の協力の甲斐あって、十分過ぎるほど集まった星の実を前にしながら、キーゼルはふと、メルヴィルは実を持ち帰らないのかと聞く。
「わたし用の星はキーゼ……い、いえ、なんでもない、です」
 メルヴィルは何かを言いかけようとして真っ赤になると……薄紫色の物を、と答え。キーゼルにも聞き返す。
「そうだねぇ……」
 決めかねている様子のキーゼルを見ると、メルヴィルはこれなんてどうかと、水色の実を勧める。
「ん……じゃあ、これにしようかな」
 実を眺めるながら頷くキーゼル。一方で、メルヴィルは顔を赤く染めながら微笑む。
「んー……っ」
 手伝いが一段落したのを見ると、天藍顔色閃耀・リオネル(a12301)は丘へと寝そべり身体を伸ばす。のんびりと花を眺めながら過ごすのは、とても心地よくて……うっかり寝入ってしまわないように気をつけなくちゃ、と、リオネルはくすっと笑いながら思う。
「ん〜、たまにはこうしてのんびりするのも悪くないですねぇ」
 座りながら花を眺め、尻尾をゆらゆらと揺らせているのは、黒狐・ヒリュウ(a12786)だ。たまに時間が取れた時くらい、こんな風にのんびりするのも悪くない……なんて思いながら。
「リベルダさん」
 想いの歌い手・ラジスラヴァ(a00451)は、気になっていた事の真偽を確かめようと、彼女の周囲に人がいなくなったのを見計らい近付く。
「あの、ディールさんって……」
 もしかして……と問いかけると、リベルダは目を丸くして――身体を震わせ始める。お腹を抱えて、何かを堪えるような顔をしながら。
「……違いましたか?」
「うん、違う。……そんな風に見えたかぁ」
 リベルダは大きく頷くと、どこか複雑そうに苦笑いを浮かべた。

 星の実を取りながら丘での時間を過ごしていた冒険者達は、やがて、日が暮れないうち戻れるようにと、帰る準備を始めた。
「と、とりすぎ……た、かな?」
 不殺の天魔・エルス(a01321)は、取った星の実を見て、苦笑いを浮かべて頬を掻きつつ……力仕事なら任せろぃっ! と星の実の入ったバスケットの一つを抱える。
 他にも数名の冒険者が、実の収められた籠を手にして……リベルダに代わってそれを運びながら、孤児院へと向かう。
「あ、帰って来たよ〜」
「おかえりっ!」
 一行がが孤児院に到着すると、その姿に気付いた子供達が集まって来る。リベルダは、そんな彼らにただいまと応えながら、いいものがあると笑う。
「なぁに?」
 怪訝そうに見上げて来る子供達に、一行は顔を見合わせて……一斉に丘で取った星の実を見せる。
「きれい……」
 どうやら、星の実を初めて見る子も多いようだ。目を輝かせる彼らに、リベルダは星の実について説明すると、一つ一つ順番に配っていく。
「それっ!」
 そんな中、懐から取り出した『仕掛け』を子供達に向けたのは、ドリアッドの武道家・レン(a25007)。
 彼は、紙吹雪と星の実を詰めた包みを作り……紐を引いたらそれらが飛び出す仕掛けを用意して、それを子供達に披露したのだ。
「わぁ……!」
 子供達は、飛び出して来た星の実と紙吹雪を、楽しそうに見る。
「ノエル君、ディール君」
 一方、湖畔の燕・シェルト(a11554)は、後ろの方にいた二人へと近付く。
「……この間はきつい事を言って悪かった。ごめん」
 自分の言葉で、この間ノエルを落ち込ませ、ディールを怒らせてしまったから……その事を謝りたいと思っていたシェルトは、そう告げると、二人に自分が取った実を差し出す。
「謝る必要なんてないのです。おにーさんは、ボクたちを心配してくれただけなのです〜」
 ノエルはにこにこと笑うと、ありがとうなのです、と実を受け取る。
「ん……にーちゃんの立場なら、ああ言うの仕方ないだろうしな。そんなに気にしてないし、謝らなくていいよ」
 ディールもシェルトを見上げると、残った実に手を伸ばして……それよりも、この間はノエルを助けてくれてありがとう、と礼を言う。
「いや……」
 そんな二人の様子に、少しは彼らと仲良くなれただろうかと思いながら、シェルトは微かに目を細めた。

 ――淡い色に染まった、星の実。
 それは、それぞれの手の中に……胸の中に。それぞれの色に輝きながら、ある。


マスター:七海真砂 紹介ページ
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作成日:2005/05/04
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