<リプレイ>
●白い待ち伏せ 今日は自慢の白い鱗も真っ白いジャージに包み、白の戦鬼・ブラス(a23561)が目の前の壁に一言。 「なんじゃこりゃー」 物凄く棒読み。 「でけえ上に理解不能だな」 黒焔の執行者・レグルス(a20725)も呆れ顔。 様々に感想を述べつつも、筆を誘き寄せるべく、紙を張り合わせる作業に掛かる。 しかし、本当に何が書いてあるのだろうか。 普段趣味で使っているよりも、もっともっと大きなキャンバスを落書きされた壁に立て掛けながら、邪心裂刀・レイガ(a25384)も首を傾げる。 そんな作業の間、時空の漂流者・ルチア(a02606)は被害に遭った壁をお持ちのお宅を尋ね、筆の出そうな場所を巡回。 そこに突然響く村人の声! 「でたのにゃ!?」 急行するルチアの目に映るのは、用意されたキャンバスの前にのこのこ立ちはだかってる筆。 「姿も冗談にゃら行動も冗談級にぇ!?」 早速落書きされるキャンバス! そんな汚されたばかりの紙に、めろんなパティシエ・ミルテフィーナ(a15361)が駆け寄ってきた。 「ふぉっくす先生、お願いします!」 呼ばれて颯爽と現れる、着ぐるみ二十四時間営業・フォクサーヌ(a14767)。 手にした赤インクと筆で、落書き採点開始! 「……今のうちに出来る事やっときましょう」 何故か採点を待っている筆を前に、傭兵上がり・ラスニード(a00008)が前衛に出て鎧新化。汚れ対策に黒く染まっていく鎧。 鋼の樽・ハミルカル(a06059)も、最前列に出て不動の鎧で準備万端。 闇翳る月明・ルーシェン(a16220)は半眼で……なんとなく、うきうき採点を待っているように見える筆を睨みながら、傘を差す。 「傷だらけで筆退治……そこまでして妾は何がしたいんじゃろう……」 自問自答の中、量産されていく土塊の下僕達は、壁となるべく前列送り。 皆が下準備をする中。 「よし、動きを止めるのは任せたぞ!」 俺は無理だ! とすっぱり言い放ち、後ろに下がっていくレグルス。 そんな様子を、燃えるにゃんこ料理人・ロジャー(a05286)が物陰から見守っていた。
●対決! 黒の上に容赦なく書き付けられた赤。 「ぜんぜん、なってないのね」 「確かに……そこははねよりとめかもです……」 ミルテフィーナも思わず頷く採点結果は…… 『もっとがんばりましょう』 いきなり胴で薙ぎ払ってくる筆! 「逆切れかよ!」 「ガハハ! 最近の若ぇモンは!」 豪快に笑いながら、最前列のハミルカルが身を呈してそれを受け止める! 「ぐあぁ!?」 思った以上の衝撃に、悶えるハミルカル! 一緒に前にいた下僕達が薙ぎ倒される。 だが、彼だけは倒れない! 偉いぞお父さん! その間にミルテフィーナがクリスタルインセクト召喚。 偵察形態で筆の気を逸らそうと思っていたが、戦闘が開始されている為に、既に戦闘形態だ! 「えーと……ぼさぼさにしてやるのですー!」 仕方がないのでそのままけしかけてみる。 そこへ、無造作に踏み込むラスニード。 手にした槌槍の穂先で、筆の胴に達人の一撃! 斬撃で八文字ほど書き綴るつもりだったが、最初の一画が激しく食い込んで、ちょっと手間取る羽目に。 そうこうしているうちに、突然踊りだす筆! 「景気よく踊るがいいのにゃ」 汚れ役は前衛に任せ、正統派ヒロインとして後方に待機していたルチアのフールダンス♪ 元気が無さそうなのに、一緒に踊り続ける筆。 「うっわ、変な動き。面白っ」 思わず漏らすレグルスとはうって変わって、ルーシェンは怪我のせいか苛立ち気味。 「派手に踊ると汁が飛ぶではないかっ」 彼女の差す傘の上に、集約される紋章の力。 燃え上がり、筆へ襲い掛かる火球! 直撃の後、霧散した火球の向こう側。 まだ踊ってる筆。 「いまのうちになおしておくのね」 薙がれた前衛を包み込むヒーリングウェーブ。気合を入れ直し、踊る筆の動きに合わせ、後衛との間を阻むハミルカル。 そこへ。 今まで物陰から事態を見守っていたロジャーが急接近! 装備を全て黒に変え、肌まで黒く塗っているものだから、一見するとかなり怪しい。 そのまま筆に飛び掛かる手には、たわし! そして……洗う! 洗う! 更に洗う! むしろ擦る! そこへ、ロジャーとは正反対の色彩に身を包み、護りの天使を引き連れたブラスが飛び込んでくる。 「へし折ってやるぜ」 軌跡を描く蹴りが、筆の胴に吸い込まれる! ごきり。 既にラスニードがつけていた傷のせいもあるのか、くの字に曲がる筆! しかし、次の瞬間。 踊りの呪縛から脱した筆が、ロジャーをくっつけたままで一筆書き! ハミルカルの禿頭、壁代わりの下僕達、クリスタルインセクト……と、次々に汚されていく! 「黒くしておいて正解でした」 ラスニードとロジャーはなんだか平気そうだ。 ブラスも未だジャージは白いまま。代わりに、護りの天使が消えていった。 そんな中、茫然と立ち尽くすレイガ。 「や……」 ロジャーの洗浄のせいなのか、汚された部分は微妙に灰色っぽい。 「……やったな!?」 気合の代わりに血の暴走! 「こっちも逆切れかよ!?」 なんとなくそう見えなくもない。 「まぁ、踊ってるのは見たし」 レイガの暴走に気をつけながら、レグルスが後方からスキュラフレイム。 曲がった筆に食らい付き、爆裂して燃え上がる魔炎。 熱い、熱いやめてー、といった動きをする筆。 続けざま飛来する、無数の燃え上がる木の葉! 「は! ぼさぼさというより、ちりちりなのですー」 身をくねらせている筆の元へ、再び踏み込むラスニード。 「今度こそ、書き綴らせて頂きますよ」 がりがりがりっ。がりがりりっ。 べきん。 あんまりに深く刻みすぎたせいか、筆は胴が真っ二つに! 「もう動けなさそうにゃね」 フールダンス♪は必要なさそうだと判断したルチアが、汚された皆の心のケア、もとい、状態の回復と、レイガの混乱状態を解除すべく、高らかな凱歌。 皆が正気を取り戻す中、折れて地に転がった筆先目掛け、苛立つルーシェンのエンブレムノヴァが飛来! 「筆は筆らしく手のひらサイズにおさまっとけっ!」 炸裂し、水飛沫のように飛び散る炎! 焦げたりはじけたりと散々な筆に、再び跨るロジャー! その手にしたたわしは、もはや凶器。 薄れていく体液! 抜けまくる毛! 「しろくなるがいいのね」 勝ち誇った顔で言うフォクサーヌ。 そこへ更に、天使の仇といわんばかりに、打ち込まれるブラスの斬鉄蹴。 尚一層丈が短くなる筆。 そこに迫る影! 振り上げられた武器に纏わりつく炎の闘気! 「これで終わりだ」 レイガの放ったファイアブレードは、既に禿々になっていた毛先を、見事に燃やし尽くした。
●撤収 壁に書かれた謎の書体。 「これはきっと争いの絶えない人類へ向けた、グリモアからのメッセージです!」 くわっ! と目を見開いたりしているが、ロジャーは多分言ってみたかっただけだ! 「ええ、でも村の方々は必要ないとおっしゃっているので」 軽く流して、せっせと壁の落書きを消すラスニード。 「要らねぇよな。理解不能だし」 「全くだ」 「よめないじなんて、かちはないのね」 「まぁでも一応メモっておくかにゃ」 ひょっとしたら、調べれば判るかも知れない。なんて思いつつメモを取るルチアであるが、多分ただの落書きのような気がひしひしと。 「ふー、だいぶ綺麗になりました」 一仕事終えた表情で、ミルテフィーナが塗りなおした壁を見上げる。ガハハと笑うハミルカルの頭も元通り。 「所詮使われてこその筆」 一握の虚しさを覚えつつ、元通りになっていく村を前に一人呟くルーシェンであった。
ありがとう冒険者! 君達の活躍を忘れない!

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参加者:10人
作成日:2005/05/12
得票数:ほのぼの1
コメディ44
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冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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