ウツボとカヅラ(辛口)



<オープニング>


 カーネルの森で巨大なウツボカヅラが暴れている。
 この化け物は袋の中から甘い匂いを漂わせ、森に入ってきた者達を虜にして自分の餌にしているらしい。
 現在、ウツボとカヅラの2匹が確認されており、それぞれ異なった匂いを袋の中から出している。
 しばらくの間、犠牲者達は袋の中に閉じ込められ、ジワリジワリと溶かされながら化け物の栄養になってしまうらしい。
 既に問題となっている区域を立ち入り禁止にしているため、これ以上の犠牲者が出る事はないが、捕まった者達を助け出す事も不可能だろう。
 とにかく化け物を倒してくれ。
 お前達が相手をするのはカヅラと呼ばれる化け物で、辺りに漂う匂いを嗅ぐと妙にチキンレッグが食べたくなってしまうらしい。
 とりあえずチキンレッグが依頼に参加していなければ、それほど苦戦する事はないだろう。
 それじゃ、頑張ってくれよ。

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参加者
緑星の戦士・アリュナス(a05791)
綿野の弓姫・ナツミ(a19496)
闇の画報・ミリア(a20674)
見た目は武道家・ハーギィ(a21191)
黄金の鷲・ベルクート(a21581)
奏でるは悠久の旋律・ククル(a22464)
軛・クリフォード(a24174)
夜想華・シルビア(a24871)
天照月華・ルフィリア(a25334)
全てを焼き尽くす紅蓮の炎・カキョウ(a25993)
極悪ナ魔術師・ジュラ(a26478)
妖しげな月・ナツキ(a27214)
NPC:特定医療食・ラルフ(a90213)



<リプレイ>

●チキンはいりまぁ〜す☆
「……人を襲って食べるなんて。危険な生き物ですね……」
 悲しげな表情を浮かべながら、希望の舞姫・ナツミ(a19496)がポケットの中に塩コショウをしまい込む。
 バックには一口サイズのネギを入れ、銀のスプーンとナイフを隠し持っている。
「チキンレッグさんのためにちゃっちゃと退治しちゃおうよ」
 焼き鳥のたれが入った小瓶を隠し、ストライダーの武道家・ハーギィ(a21191)がへっぽこ・ラルフ(a90213)の背中をぽふりと叩く。
「なんだ、この……妙な雰囲気はっ! 何も……隠して……いないよなぁ?」
 胡散臭い表情を浮かべ、ラルフがジト目でふたりを睨む。
「な、何も隠してないよっ! サンドイッチでも食べようかっ!」
 気まずい様子で視線を逸らし、ハーギィがラルフにサンドイッチを手渡した。
「まぁ……、いいけどさ。みんなが涎を垂らしているように見えたんだが……。おっ、ウンマイな、コレ!」
 幸せそうな表情を浮かべ、ラルフがサンドイッチをモシャモシャ食べる。
 色々と言いたい事があるようだが、疲れてきたので口には出さない。
「頑張りましょう、ラルフさん!」
 色々な意味を込めながら、ナツミがラルフを励ました。
 ラルフを食べるとレモンの味がするという噂があるため、少しかじってみたい衝動に駆られている。
「でも、今回の依頼って……失敗しても、それほど被害は出ないかも……」
 ニワトリの着ぐるみを身に纏い、妖しげな月・ナツキ(a27214)がニコリと笑う。
 それと同時にラルフの視線が突き刺さり、ナツキが無言で後ろに下がる。
「父さん……、母さん……、先立つ不孝をお許しください」
 骨付き肉になった自分自身を想像し、チキンレッグの狂戦士・ベルクート(a21581)がウルウルと涙を流す。
 一応、覚悟を決めたつもりだが、いざ食べられるとなるとやっぱり怖い。
「やっぱりオレ達って食われるのか!?」
 鳩が豆鉄砲を食らったような表情を浮かべ、ラルフがダラダラと汗を流す。
「わっ、私……、初めてな……の、優しくしてね」
 恥ずかしそうに頬を染め、闇の画報・ミリア(a20674)がボソリと呟いた。
「き、奇遇だなぁ。実はオレも……初めてだぜ!」
 優しくミリアの肩を抱き、ラルフかクチバシをキラリと輝かせる。
「……勘違いしないでよ。そういう意味じゃないんだから!」
 ラルフの頬に平手打ちを浴びせ、ミリアが疲れた様子で溜息をつく。
「と、とにかく落ち着け! いまは喧嘩をしている場合じゃないデショ?」
 香水のキツイ匂いを漂わせ、聖麗悠久紫馨る妖艶幻術師・ジュラ(a26478)がラルフ達を説得する。
 今回の依頼は色々な意味で危険な要素を孕んでいるため、仲間達の間にも妙な亀裂が生まれ始めているようだ。
「久しぶりにケモノの本能が騒ぎますね。途中でミスして『猫まっしぐら』の醜態を晒さないように頑張りましょうか」
 気まずい雰囲気の漂う中、碧の異邦人・アリュナス(a05791)がゆっくりと森に歩き出す。
「そ、そうだよな! みんな、仲良くやろうぜ!」
 微妙に顔を引きつらせ、ラルフが辺りを警戒する。
 既にカヅラの息が漂っている可能性も高いため、鶏冠と尻尾を念入りに隠しておく。
「……チキンレッグの皆さん、僕は一つあなた方に懺悔しなくてはならない。……今の今まで、あなた方を非常食扱い扱いしてきました。どうか、この依頼では誘惑に耐え切るので成仏してください」
 ラルフを見つめて両手を合わせ、軛・クリフォード(a24174)がなむなむと祈る。
「いや、オレはまだ死んでないし……」
 気まずい様子で汗を流し、ラルフがすぐさまツッコんだ。
「何も……気づいていないんですね」
 寂しそうな表情を浮かべ、クリフォードがラルフと書かれた骨を隠す。
「だからやめろって! 怖くなるだろ、マジで……」
 カタカタと身体を震わせながら、ラルフが涙目になって訴えかける。
「怖いのはみんな一緒ですわ。間違って噛みついちゃうかも知れませんし……。もしも、そういう事になったらゴメンナサイ」
 前もってラルフに謝り、エルフの翔剣士・シルビア(a24871)が頭を下げた。
「いや、謝る必要は無いぜ。まだ……食われると決まったわけじゃないんだし……」
 苦笑いを浮かべながら、ラルフが恥ずかしそうに頬を掻く。
 あまり人から謝られた事がないため、少しドキドキしているようだ。
「それにしても妙な敵だな。チキンレッグが骨付き肉に見えるんだろ? 何だか腹が減ってきたなぁ……」
 ラルフを見つめて涎を垂らし、全てを焼き尽くす紅蓮の炎・カキョウ(a25993)がニヤリと笑う
「何か対策を打っておかないと……いけませんね……」
 仲間達の腹から聞こえる音に気づき、月華明亮・ルフィリア(a25334)が辺りをキョロリと見回した。
「じょ、冗談じゃないわ。逆に私が食べてやる♪」
 そんな中、奏でるは悠久の旋律・ククル(a22464)は草むらに隠れ、仲間達に対する対抗策を考えるのであった。

●一緒にポテトはどうですか?
「いったん休憩して耐性をつけておきましょうか」
 歩いている途中で腹の虫が一斉に大合唱を始めたため、シルビアが顔を真っ赤にしながら食事の用意をし始める。
 シルビアの用意した食事は骨付き肉だけだったが、他の仲間達の用意した食事も同じものだったため、考えている事は同じらしい。
「……奇遇ですね。実はわたしも骨付き肉を持って来ているんですよ♪」
 お弁当箱の中から骨付き肉を取り出し、アリュナスがニコリと微笑んだ。
「お、お前ら……。絶対に悪意があるな」
 拳をぷるりと震わせながら、ラルフがブツブツと文句を言う。
「まあまあ、落ち着くにゃぁ……。みんなキミ達の事を思って骨付き肉を食べているんだから」
 興奮気味のラルフを慰め、ハーギィが背中をポンポンと叩く。
「いや、気持ちは嬉しいんだが……貪ってないか? 骨付き肉を……」
 ケダモノのような目つきをしている仲間を指差し、ラルフが苦笑いを浮かべて汗を流す。
「……おかしいわね。なんで……こんなに……おいしいのかしら……」
 驚いた様子で呟きながら、ミリアが骨付き肉をバクバクかじる。
 普段ならこれほど下品な食べ方はしないのだが、どうしても身体が骨付き肉に反応してしまう。
「確かにウメーな、こりゃ! いつもの10倍……いや、100倍はウメー!」
 幸せそうな表情を浮かべ、ナツミが骨付き肉にかじりつく。
 随分とリラックスしているためか、口調が普段と変わっている。
「久しぶりにおいしい肉を食べた気がします。まるで……いえ、何でもありません」
 ラルフ達をマジマジと見つめた後、クロスフォードが視線を逸らす。
「……明らかにおかしいわね♪」
 チキンレッグだと気づかれないようにバニーガールのコスプレをしながら、ククルが心配そうな表情を浮かべてラルフの腕をギュッと掴む。
「まさか既にヤツの攻撃が始まっているという事か!?」
 険しい表情を浮かべながら、ラルフがジロリと辺りを見回した。
「でも……マスク……つけてるし……」
 不思議そうに首を傾げ、ナツキがボソリと呟いた。
「鼻や口以外にも入る場……ぐぼぉ!」
 下品な事を言おうとしたため、ラルフがククルから鋭いツッコミを喰らう。
「……たくっ、妙な事を言う奴だな。そんなわけ……ないだろ」
 ラルフの背中をポンポン叩き、カキョウが涎をダラリと流す。
「言われてみれば……確かに……」
 骨付き肉をかじりながら、ジュラがラルフの腕をムンズと掴む。
「じょ、冗談だろ」
 青ざめた表情を浮かべ、ラルフがジリジリと後ろに下がる。
「まぁ、腹八分目って言うしな。後の楽しみにしておくか」
 骨付き肉を食べ終わり、カキョウが怪しくニヤリと笑う。
 既にカヅラの息を大量に吸っているためか、言葉の端々に妙なトゲがある。
「でも……何でしょうか。この空腹感は……」
 寂しそうな表情を浮かべ、ルフィリアがお腹を押さえて汗を流す。
「お腹が減っているんだろ。さあ、ぼくのテバサキをお食べ」
 満面の笑みを浮かべながら、ベルクートが素早く右手を差し出した。
 本当にかじられるとは思わずに……。

●いまならドリンクもついてお得ですよー
「かじられたよ……骨の髄まで……バッチリと……」
 両親の顔を思い浮かべ、ベルクートがその場にグッタリと倒れる。
 やはり仲間達はカヅラの息を吸い込んでいたのか、ベルクートが謝るまで何度も身体を甘噛みした。
「やはり……どこかにカヅラが……」
 警戒した様子で辺りを睨み、アリュナスがマスクを付け直す。
 いつから攻撃を受けているのか分からないが、これ以上チキンレッグ達を傷つけるわけには行かない。
「おかしいなぁ……なんで釣れないんだろ」
 空ろな瞳で釣り糸を垂らし、ナツキがボソリと呟いた。
 ナツキの垂らした糸はカヅラの袋に入っており、液に浸かってちゃぷちゃぷと音が鳴っている。
「目の前にいるじゃねえか! よっしゃ、行くぜ!」
 武具の魂を発動させ、カキョウがチェインシュートを叩き込む。
 しかし、その一撃はラルフに当たり、奇妙な悲鳴が辺りに響く。
「こ、殺す気か!」
 大粒の涙を浮かべながら、ラルフがカキョウに抗議する。
「あ……スマン……間違えた。つい美味そうで……。お、怒るなよ!! 敵は俺じゃなくて、あっちだろーー!」
 気まずい様子で首を振り、カキョウがカヅラを指差した。
 沸々と湧き上がる怒り。
 そのすべてがカキョウの中で爆発する。
「あー!! くそ!! 全部お前が悪いんだ!! お前なんか嫌いだーーーー!!!!」
 斬! 斬! 斬!
 カキョウの攻撃がカヅラの触手を切り落とす。
 それと同時に濃厚な匂いが辺りを包み、チキンレッグを見る仲間達の表情が変わっていく。
「チキンレッグは不味い……チキンレッグはマズイ……チキンレッグは美味い……はっ!」
 激しく首を振りながら、クリフォードが自分自身に言い聞かせる。
 しかし、匂いの誘惑からは逃れられず、涎がダラダラと流れていく。
「なんだか、みんながおいしそうにみえるにゃぁ……」
 ジューシーな匂いで心が乱れ、ハーギィがフラフラとした足取りでラルフに迫る。
「串で挿したり挿されたりチキンレッグさんも大変ね。私には関係ないけど……。どうりでチキンレッグゾンビだけは存在しないはずよね」
 ラルフを見つめて両手を合わせ、ミリアが冥福を祈って黙祷した。
「うふっ、うふっ……うふふふふふふふ」
 ウットリとした表情を浮かべ、ナツミがラルフの腕を掴む。
「お、おい何だかヤベェぞ!」
 嫌な予感が脳裏を過ぎり、ラルフがプルプルと首を横に振る。
「囓ってはいけませんよ? 戦いが終われば、お好きなだけお肉食べられますからね」
 すぐさまナツミの前に立ち、シルビアが説得をし始めた。
「我慢すれば……好きなだけ……食べられるんですね……」
 瞳をキュピィーンと輝かせ、ナツミがようやく大人しくなる。
「オイオイ、何だか説得の仕方が間違ってないか」
 青ざめた表情を浮かべ、ラルフがボソリと呟いた。
「ごめんね、ご主人様♪」
 身の危険を感じたため、ククルがご主人様の描かれた絵を取り出し、紙飛行機にして空に飛ばす。
 クリフォード達は空ろな瞳で紙飛行機を追いかけ、楽しそうにピョンピョンと飛び上がる。
「仕方ないわね、ショック療法よ♪ 鳥串ニードルスピアっ♪」
 爪楊枝と骨つき肉を握り締め、ククルが仲間達を仕留めていく。
 一応、急所は外しているが、大半は意識を失っている。
「オ、オイ! 倒しちゃマズイだろ」
 グッタリと倒れた仲間を抱き上げ、ラルフが慌ててツッコミを入れた。
『任せて!』
 TOY BOXマスコット『ふぇーん』くんの着ぐるみを身に纏い、ルフィリアが自分の胸をポンと叩く。
「着ぐるみ集団Xって感じだな。何だかよく分からねぇが面白れぇ」
 着ぐるみをツンツンと触り、ジュラがニコリと微笑んだ。
『めっ!』
 ボディランゲージを使ってジュラを叱り、ルフィリアがハリセンを使って仲間を起こす。
 このハリセンにはルフィリアの愛と何かがこもっており、何度か(起きるまで)叩く事によって仲間達が目を覚ます仕組みらしい。
「あれ? ひょっとして、ボク……操られていたの? アイツにっ!」
 ようやく意識を取り戻し、ハーギィがカヅラを睨みつける。
 カヅラは無数の触手を伸ばして攻撃したが、素早い身のこなしでヒョイヒョイとかわし旋風脚を叩き込む。
「まったり湯呑みぱぅわー、見せてやるぜ!!」
 貫き通す矢を使って攻撃を放ち、ナツミが風上へと移動した。
 カヅラを攻撃した事で匂いがさらに強くなったため、なるべく吸い込まないように警戒する。
「これでも食っとけオラァ!!!!」
 匂い袋を警戒しながら、ジュラがスキュラフレイムを撃ち込んだ。
「なかなか頑丈な奴ですね」
 スピードラッシュでヒット&アウェイを繰り返し、アリュナスがカヅラにむかって斬りかかる。
 カヅラは大量の粘液を飛ばして反撃を仕掛けてきたが、アリュナスは決して怯まず攻撃の手を休めない。
「袋の中から液体を出すなんて……いやらしいわねぇ。そんな液体を被るなんて私はまっぴらご免よ」
 ラルフを盾にして粘液をかわし、ミリアが触手を飛燕刃で弾き飛ばす。
 カヅラはラルフがブチ当たり、匂い袋に穴が開く。
「あら……、もうイっちゃったの」
 カラミティエッジを使って袋を飛ばし、ミリアが残念そうに呟いた。
 カヅラは袋を失った事でヘナヘナと萎み、ドロドロに溶けて消滅する。
「これが……最後のカヅラ……とは限らない?」
 袋の中からラルフを助け、ナツキがボソリと呟いた。
 ……少なくとも今のラルフは美味そうである。


マスター:ゆうきつかさ 紹介ページ
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参加者:12人
作成日:2005/06/03
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