マンモスファイヤー 〜赤縞黒虎〜



<オープニング>


 大森林『マン森』には、黒い体に赤い縞をした6メートルほどの虎がいる。
 そんな愉快すぎる生物が生息していると聞いてしまっては、黙っているわけにはいかないではないか。かくして聖典月日の舞武・セイタロウ(a25048)と縁風の商人・モス(a21097)の提案により、赤縞黒虎捜索隊が結成される運びとなった。
 めくるめく冒険! 手に汗握る腕試し! そしてごっつい量の毛皮! 冒険者たちはそれぞれの思惑を頭に描いた。

 そうしてマン森に到着した一行は、嬉々として奥へ奥へと侵入していった――。

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参加者
楽風の・ニューラ(a00126)
六風の・ソルトムーン(a00180)
凱風の・アゼル(a00468)
朱の爆風・レドビイ(a00542)
狂風の・ジョジョ(a12711)
非常食・モス(a21097)
アメミト・ブレイズ(a21190)
絶風纏いし聖典武踊・セイタロウ(a25048)


<リプレイ>

 青臭い木々の合間を縫って、冒険者たちは陽気に歩く。森は冒険の在り処。心が昂ぶらずにはいられないのだ。
「戦りがいがありそうだ。燃えてきたぜ!」
 拳をポキポキ鳴らして微笑するのは朱の爆風・レドビイ(a00542)。武道家の血がたぎっているようだ。
「おうよ。まあ楽勝に終わって戦いがいを感じるかどうかは疑問だなあ?」
 自信満々に狂風の・ジョジョ(a12711)が笑う。6メートルの巨大虎とはいっても所詮は動物であるのだから、歴戦の冒険者には物足りないかもしれない。そう言っているのだった。
「あまりメチャクチャにしないでほしいモンですわな。食える程度にやりましょ」
 と、聖典月日の舞武・セイタロウ(a25048)。毛皮を取る算段でいる縁風の商人・モス(a21097)も頷いて同調した。
「ともかく、早く探し出しましょう」
 凱風の・アゼル(a00468)はクリスタルインセクトを出している。偵察形態になって一行の前を注視している。クリスタルインセクトは見た目無骨なので、手作りのノソミミキャップをかぶせて偽装も怠らない。
 楽風の・ニューラ(a00126)も獣達の歌を歌って情報収集していた。頭上を飛ぶ鳥に質問してみる。
「この辺りに大きくて怖い生き物がいなかった?」
 次の瞬間、ニューラは目を見開いた。
「え、すぐ近くにいる?」
 後ろの草陰から音が鳴った。
 間もなく、濃密な獣の匂いと気配が漂ってきた。
 不吉な色が飛び出す!
 黒い体に返り血のような赤い縞。目的の大虎が眼と牙をぎらつかせ、その姿を現した。
「出たか!」
「……なるほど、赤縞黒虎か」
 六風の・ソルトムーン(a00180)とアメミト・ブレイズ(a21190)が武器を構え、相手を見上げた。
 見事な毛並だ、とモスは惚れ惚れした。呼吸ごとに波打つ黒い体に赤い縞。一種の禍々しさはあるが、実に力強く、悪の華ともいうべき美しさを持つ模様だった。
「わいが囮になるで!」
 モスはスーパースポットライトを照射する。虎はモスを獲物と定め、低い姿勢から一気呵成に跳躍した。ほとんど牙のような爪が縦に横に振り下ろされる。モスは逃げ惑いながら大声を張り上げる。
「ひょええ、皆さん頼んまっせー!」
「囲むのだ!」
 ソルトムーンが叫ぶ。一行は素早く円形に散り、虎を包囲した。
「ひゅう、怖い怖い。今度はこっちから行くぜ!」
 レドビイが目にも止まらぬ動きで接近し、敵の脇腹を殴打した。重い感触が腕に伝わってくる。さすがに頑丈な筋肉をしているな、と思った。
 続いてセイタロウが真正面から向かっていき、斬鉄蹴を繰り出す。頬を痛烈にぶっ飛ばした。
 虎はよろけつつも体勢を直し、怒りに満ちた咆哮を轟かせた。もう許さんとばかりに、猛スピードでニューラへと突進していく。
「ふふ、それではお相手して差し上げましょうか」
 ニューラは軽やかに舞いを始めた。するとどうだ、虎は幾度となく彼女に前脚を伸ばすも、空を切るがごとく決して掴めはしない。傷ついているのは逆に虎の方だった。変幻自在に繰り広げられるブレードダンス。為すすべなく虎の体は切り刻まれていく。新たに赤い縞が作られていった。
 虎は標的を切り替えた。ジョジョに向かって突進を始める。
「お? 体が大きいだけあって、体力はあるんだな。まだまだ平気ってか」
 ジョジョは横っ飛びで突進をやりすごした。
「あちらの体力というより、こちらの攻め方が問題であろうな。単に殴る蹴るではダメージは容易に与えられまい。――毛皮に覆われし獣は覆われていない部分が急所である。すなわち、眼、口などだ」
 ソルトムーンが武具の魂で攻撃力を上げつつアドバイスをする。
「了解したぜ。まあソルトは後ろに下がって高みの見物をしてるんだな」
 ジョジョは邪笑して突っ込んでいく。振るわれる前足を紙一重で避け、電刃衝を右目に食らわせた。
 虎は初めて苦悶の悲鳴を漏らした。残った左目に憤怒の炎が宿っている。
「怒ってますわね。手負いの虎ほど危険なものはありませんが――」
「うむ、油断は禁物」
 頷きあうアゼルとブレイズ。
 と、ブレイズは何やらブツブツ言いながら虎に肉薄していく。イリュージョンステップで懐に入り込んだ。
「……貴様! キャラが被っとるんだ! 許さんぞ! 黒地に赤縞は一人でいい!」
 ありったけの想念が込められた拳で語るが、虎の腹に炸裂した。
「……相手は何と?」
 モスが聞く。ブレイズは心底悲嘆にくれているようだった。
「そんなもの知るか、人間など俺は大嫌いだ、ぶっ殺す、とのことだ。無念」
「ま、そんなもんでしょうなぁ。……おお、あちらさんも怒りがとうに限界を超えているらしいですな。ほな、おとなしくなってもらいまひょ」
 モスは影縫いの矢を放ち、虎の動きを封じ込めた。
 虎は忌々しげに唸り、同時に――豪気な面にまぎれもない死の恐怖感を浮上させた。
 そろそろ決着といこうか! 一同は心を統一させて、一斉に飛び掛かる。
 レドビイが斬鉄蹴で脇腹を抉れば、セイタロウが爆砕拳で牙を砕き割った。ニューラは引き続きブレードダンスで刻んでいく。さしもの大虎も体力尽き、目玉を反転させようとしていた。ソルトムーンがすかさず言う。
「とどめはひと思いに、そして迅速にな。ぬかるでないぞ」
「ああ、俺様が一気に楽にしてやるぜ。じゃあな大虎!」
 ニタリ笑うジョジョ。己が闘気を極限まで凝縮し、デストロイブレードの一撃を顔面に食らわせた。轟音が響く。
「グアウ……!」
 短い断末魔を上げ、虎は自ら吐き出した血の海に崩れ落ちた。まぶたがゆっくりと閉じられ、静止する。鼓動が消え、波打つ毛もピタリと止まった。アゼルが拍手する。
「完全勝利ですわね」
「まぁ悪く思うなよ。強い者が生き残るのが自然のルールってのはお前が一番よく知ってることだろう?」
 ジョジョは虎の体で剣に付着した血を拭った。
「天に召されよ。……しかし、貴様とは違う形で出会いたかったものだ」
「俺もだな」
 ブレイズとレドビイは虎の死骸に手を合わせた。

「さあ、始まりや!」
 モスの宣言で宴会はスタートする。さばいた虎の肉と焚き火を囲み、賑やかな談笑に耽る。
 手始めに、アゼルは持ってきた材料でお菓子を作ってみせた。
「はいはい〜、新鮮な採れたて虎さんバターで作ったパンケーキですよ〜」
 一瞬、虚を疲れる一同。
「え? 知らなかったんですか。トラさんて、くるくる回りながら死ぬとバターになるんですよ〜」
「むう、どこかで耳にした話やね。なんつって」
 セイタロウはガシガシと肉を頬張りながらパンケーキにも手をつけて、たまらずむせたりしている。
「ココアもありますよ、皆さんどうぞ」
 ニューラは甲斐甲斐しくメンバーの世話を焼いている。ジョジョがコップを受け取りつつ、黒地に赤縞の毛皮をしげしげと眺めた。
「ところでコレ、どうするんだ? 俺は特に必要とはしないが」
「俺も興味ないなあ。でも頭蓋骨と髭は持って帰ろうかのう」
 と、セイタロウ。
「わいはいただくで。カバンの飾りにでもしようかいな。さぞかし立派になるやろ」
 モスは毛皮をさすりながら恍惚の笑みを漏らしている。
「……しかしこの虎、人間を襲って食ったりしてたのかね」
 レドビイが何気なく言った。誰もが手を止める。
「すなわち、この肉を食した者は、間接的に人間を食べたことになるやもしれぬと」
 ソルトムーンが低い声で応じた。
「いやいや! こんなトコにわざわざ来る一般人もよく考えたらいるわきゃないって! あはははは」
 レドビイは慌てて訂正した。

 やがて日が暮れ、宴会は終了となった。
 めいめい食べ残した肉、髭、毛皮を持ち、あるいは来たままの手ぶらで、意気揚々と帰途に着く。
 森は静かだった。あのような巨大な獣が生息しているとは思われないほど、澄んだ空気が満ちてきていた。
「スーパースポットライトは注意をひきつけるという点をもっと有効に活用すべきだ。仲間と対峙している敵に対して仲間の斜め後方で使用することで敵の注意を引き仲間の攻撃を容易にさせつつ敵が攻撃を受けることによってスポットライトを使った者が攻撃されるというデメリットを回避できるという利点がある。これは双方の行動がお互いを補い合っているといえる。こういうことを連携というのだ」
 ソルトムーンが戦術の話をすれば、
「その続きは酒場でな。一杯やりながら語り明かそうぜ!」
 ジョジョが豪気な言葉を吐いて、
「まだ入るのか」
 とブレイズからツッコミを受けた。
 皆は一様に思う。また遠くないうちに探索に踏み入ることだろう。この森はあまりにも奥が深く、果てのない魅力を秘めているのだから。


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