特大料理を喰らえ! 〜ういろうパニック〜



<オープニング>


●ういろう日和
「……ふぅ……これだけ作れば大丈夫でしょう……」
 朝から大量のういろうを作っているのは混沌の哀天使・セーラ(a20667)。
 ワイルドファイア大陸へ仲間たちと料理を作り、食べに行こうと話に持ち出したのはいいけれど、ただ食材を集めて宴会するだけではつまらない。
 どんな流れでこうなったのか、誰が最初に言い出したのか……分からないけれど、何か勝負をしながら食材を集め、それの打ち上げのような形で宴会をするのはどうかと。
 その勝負が『ういろうレース』。
 ういろうを食べつつ、食材を集めるために走り、どれだけういろうを食べたかと食材の良し悪しを勝負するのだ。

 ゲートまでの道のりは、この日のために用意したノソリンを借りて、作ったういろうを運ぶことにしていた。
「……お天気も最高のういろう日和ですわ……」
 日傘を手にしたセーラは、ノソリンに荷物を積み込むと晴天を見上げてそう呟く。
 初めて訪れる地に、顔こそ無表情だが心は期待に胸膨らませ、そして大勢の仲間に囲まれて、幸せそうなセーラ。
「さぁ……参りましょう…」
 いつもより元気なセーラのその声に、仲間たちは頷くとワイルドファイア大陸へと出かけた。

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参加者
顔面凶器・プリン(a06068)
笑顔を描く・サリー(a15836)
月に群雲花に風・チハヤ(a18316)
混沌の哀天使・セーラ(a20667)
漆黒の竜巻・グレイン(a22658)
麗艶なる紫風・サカエ(a22774)
狂刃鉄・ジズ(a24565)
前進する想い・キュオン(a26505)


<リプレイ>

●目指すはポイント1
「……こちらがコースマップですわ……道に迷わないようにして下さいませ……」
 ワイルドファイアへと着くと、混沌の哀天使・セーラ(a20667)は参加者全員にチェックポイントごとの目印を記した紙を渡した。
 走者に出発する頃合いを告げて、チェックポイントの係りである3人は一足先にポイントへと向かい始める。
 セーラもポイント1の係りであるため、途中、簡単な罠を仕掛けつつ、ポイント1へと向かうのであった。

「甘い物苦手……」
 呟きつつも勢いよくスタートしたのは前進する想い・キュオン(a26505)だった。5人の中では足は速い方だったようで、全力疾走している分、他の4人を引き離していく。
 走りながらキュオンは「道中で罠があるかも?」とセーラが言っていたことを思い出した。そしてふと足元に不安を覚えてじっくりと目を凝らす。
 丁度走っていたところの足元に生えている草は丈の短いものから長いものに変わったところで、足元が見えにくくなる分、幾らでも罠を仕掛けておけそうだった。足元に注目した途端、罠に注意しつつ、早めにその場を走り抜けた。

「よしっ……負けないようにやりますかっ」
 両肩にかさばらないけれど大き目の袋をかけて走り出したのは麗艶なる紫風・サカエ(a22774)。体力を残しつつ走り、チェックポイントに着くと入れ違いでキュオンが出て行くところであった。
「皆様〜頑張って下さいましね〜」
 少し噛んではすぐに飲み込み、素早く3つのういろうを平らげたサカエに、セーラはいつの間に用意したのか、手作りの旗を振りながら応援していた。

 月に群雲花に風・チハヤ(a18316)は趣味の植物知識を生かしながら、食材を集めることにした。
 人の通り道から少し外れたあたりに目をやると、ランドアースでは見られない大きさの山菜が見つかっていく。
 重くない程度に籠に詰めると、ポイントへ向かって始める。
 ポイントでは、チハヤは竹製の水筒に入れたお茶で喉につまらない程度に、ういろうを飲み下した。セーラからハンコを貰うと次のチェックポイントへ向かって走り出した。

 狂刃鉄・ジズ(a24565)は果物を集めながら、ポイントへと向かっていた。バナナやパイナップル、キウイ、チェリーなど、ワイルドなサイズの食材がごろごろとしている傍を品定めしいながら見て回る。
 ふと気づくと後方に硝子の心・サリー(a15836)が居た。
「何故、着いてくるのじゃろうか?」
 ジズがぽつりと呟くと、それがサリーにも聞こえたようで、彼女は動転した。
「あああのですね……ぐ、ぐぐ偶然で、ですよー?」
 嘘が吐けない性格のためか、目が泳いでいて言葉もかなり苦しいものがある。
 納得したのか、放っておくことにしたのか、いくつかの果物を取ったジズはポイントへと足を運んだ。
 途中、ジズは何かを踏んだようで足元を見た。左右の草の束が結ばれていて、足を引っ掛けると転んでしまう、最も簡単なトラップになっている。
 先を見渡すと見えづらい足元。きっとこの先、いくつか同じようなトラップがあるに違いないと、足元に用心しながら、ジズは進んでいく。
「きゃっ!」
 後ろで声が上がったかと思うと、サリーが派手に転んでいた。どうやら先ほどジズが確認したトラップに足を引っ掛けてしまったらしい。
 その後も何度か転びながら、何とか2人はポイントにたどり着き、ういろうを食して、抜けることが出来たのだった。

●お次はポイント2
「やっぱり肉でしょ!」
 そう言ってキュオンは大きな猪を見つけると大弓を構えた。放った矢は光の軌跡を描き、その猪を追尾する。
 目の前の大木に行く手を阻まれ、行き場をなくした猪は大木にぶつかって止まった。そこを追尾してきた矢が射抜く。
 キュオンはし止めた猪を呼び出したフワリンに乗せ、チェックポイントへと走り始めた。

 チェックポイント2を担当するのは顔面凶器・プリン(a06068)。彼女はポイントまでの道のりに罠を仕掛け、更にはポイント自体にも罠を仕掛けておいた。

「皆さん、お疲れさまですの、『トマトジュース』でもどうぞですの」
 一番初めにポイント2にたどり着いたのはまたしてもキュオンだった。最初のチェックポイントで一気に食べたことと、先ほどの猪とのやり取りで少し気持ち悪そうにしながらもプリンの渡した『トマトジュース』を受け取り、これまた一気に喉へと流し込む。
 が、冷たい飲み物にほっとしたのもつかの間、キュオンの喉を辛い何かが襲った。
「っな! これっ!」
「唐辛子を搾って作った唐辛子ジュースですの」
 にっこりと微笑むプリンに、キュオンは言葉なく、ういろうを飲み込むことで喉を襲った辛さをやり過ごすのであった。

 軽そうな野菜を中心に袋に入れたサカエは、チェックポイントで4個のういろうを食べると5個目を加えながらハンコを押してもらい駆け出した。だが、その5個目こそ、プリンの用意した罠の1つで、プリン特製の激辛味だったのだ。
 思わず噴出しそうになるのをハンコを貰った手前抑えて、何とか走り続けた。

 チハヤはポイント2までの道のりの途中まで、引き続き山菜を集めていた。
 そして、そろそろポイントへと向かおうと足を踏み出したところで、前方の土が他の場所と色が少し違うことに気づく。流石にそれ以上踏み出すのは躊躇われ、その場所を何とか迂回して先へと進んだ。

 サリーは相変わらず、ジズの後を追っていた。
 足元に用心して進んでいるジズはこれまで一つも罠にかかっていないのに、後を追うサリーはことごとくプリンの仕掛けた落とし穴に嵌っている。
 漸く着いたチェックポイントでジズはまた、すべてを味わって食べた。うっかり他の走者の分まで手が伸びるもののそれを制し、プリンにハンコを貰う。サリーも途中、激辛を引き当ててしまったようではあるが、小食のわりに甘いものは別腹のようで5個を完食してハンコを貰うとまた2人して駆け出した。

●そろそろきついか、ポイント3
 チェックポイント3の係である漆黒の竜巻・グレイン(a22658)は、ポイントまでの道のりに、珍しい料理を置いたテーブルと、美味しそうなワインを載せたテーブルを用意しておいた。もちろん、珍しい料理の方はただの料理ではなく、塩を固めて形作ったものにただ色付けをしているものだったり、ワインはテーブルに細工をしていて持ち上げようとしてもテーブルから離れないようになっている。
 もう1つ、グドンの群れと襲われる旅人の蝋人形を用意しておきたかったところだが、大きさが大きさなだけに持ってくることが難しかった。
「紅茶でも嗜んでいようか?」
 まだ走者が来る気配はなく、グレインは紅茶を飲みながら、優雅に待つことにした。

 サカエは肉などの重たいものを数個、袋に詰めてポイントまで走ってきた。残っているういろうの数を見る辺り、他の走者はまだ来ていない。
「やあ、よく来たな。まずは紅茶でもどうかね?」
「そうだね、もらっておくよ」
 そう言うとグレインは嬉しそうに新しい茶葉が入ったと紅茶を淹れる。紅茶を貰うと、それを片手にサカエはういろうを飲み込んでいった。
「……」
 そこへ、具合悪そうにキュオンがポイントへと入ってくる。
「まずは紅茶でもどうかね?」
 グレインがまた紅茶を勧めているが、キュオンはこれ以上ういろう以外何も食べまいとそれを断った。
「ふむ、実に残念だ。早くういろうを食べて紅茶に埃が入らないよう、遠く迂回していきたまえ。ああ、10秒以内で頼むよ? ノルマは10本だったかな? 最低1本1秒だ……頑張りたまえ」
 気分を悪くしたグレインはそう言い放つとまた自分の紅茶を飲み始めた。キュオンも食べ始めるが、ぷるぷると震えながらで、少しずつしか口に含んでいない。
 その様子にサカエは警戒はするもののそれまでと同じペースで食べていく。
 更に、後半は何も集めずに追い上げてきたチハヤも加わり、彼は用意していたお茶が残り少ないことから紅茶を貰うと、その紅茶を使ってあまり噛まずにひたすらういろうを飲み干していった。
「!」
 危険を感じたサカエはういろうを食べるスピードを上げ、グレインにハンコを貰うとゴールを目指して、全力疾走を始めた。食べ終わったチハヤもそのすぐ後を追う。
「……も、もうダメ……かも……」
 得意でない甘いものを食べ過ぎたキュオンはいい加減、気持ち悪くなりその場に倒れこんでしまった。

 ジズとサリーは大きな熊に遭遇していた。
「食材になれぇぇぇっ!」
 ジズが裂帛の気合と共に叫ぶと、熊はその場で動きを止められてしまう。
「眠ってください〜♪」
 更にサリーが眠りに誘う歌を歌い、熊は眠りへと誘われる。攻撃しやすくなったところをジズは蛮刀で急所を狙う必殺の攻撃で熊を仕留めた。
 その後、サリーがグレインの用意した罠にことごとく引っかかりながらも何とかポイントまでたどり着き、倒れたキュオンを横目に2人もポイントを通過していくのであった。

●皆で大宴会
「……お疲れさまでした……」
 ゴールで一足先に待っていたのは5人の走者がポイントを通過した後、途中で怪獣の肉や各種ハーブを集めてきていたセーラだった。
 サカエとチハヤはほぼ同着で、その後ジズとサリーが一緒に走ってきた。それから、ポイントの片付けをしたプリンが戻ってきて、倒れたキュオンを引きずったグレインが戻ってきた。
 その頃にはもう日は沈み始め、宴会を始めるには丁度よい時間帯であった。

 各自それぞれ集めた食材を取り出し、チハヤやジズを中心に切り分けていく。
 セーラはワイルドファイアサイズのういろうを作るのだと、作業に入った。そんな彼女をサリーが手伝った。
「最近お菓子作りがマイブームなの」
 そう言って、2人でとても大きなういろうを作り上げた。
 プリンは採取しておいた唐辛子を輪切りにし、唐辛子の刺身を皆に振舞う。
 倒れたままのキュオンはというと、サリーに回復してもらったはものの宴会の途中まではずっと倒れて過ごしていたようだった。

 夜、宴会も終結に近づいた頃、セーラは1人、宴の輪から外れていた。
「……星が綺麗ですわ……。この幸せが……長く続きますように……」
 星空を見上げ、そう願う。ふと周りを見回して、誰にも気づかれなかったことを確かめると、宴の輪の中に戻り、十分に騒ぐと、後片付けをして一行はランドアースへと帰っていった。


終。


マスター:暁ゆか 紹介ページ
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