【かるちゃ〜しょっく☆】サムシングフォー 〜幸福のウェデイングドレス〜



<オープニング>


 サムシングフォー――4つの『何か』を身に着けた花嫁は、必ず幸せになれる。
 いつからとも、どこからとも知れぬ、けれど、ロマンチックな夢と共に乙女達に語り継がれる……古い古いおまじない。

「そっか。エルマもとうとう結婚なんだね」
 日差しの色はそろそろ初夏のそれ。吹き抜ける風は心地好い。
「幸せになるんだよ」
「うん、ありがとう。テティス」
 元々控え目で、ひっそりした風情が付き纏う子だったけれど。親友のはにかんだ笑顔が眩しい。
(「きっと、今が1番幸せな時なんだよね」)
 けして、今に不満がある訳ではないけれど……確かに、自分にもそんな頃があった――腕の中の嬰児をあやしながら、テティス・クレイはほんの数年前を懐かしむ。
 婚礼の準備に追われて忙しくも楽しい、これからの将来がキラキラと輝いて見えたそんな頃を。
「テティス?」
「ああ、ごめんごめん」
 怪訝そうな彼女に、テティスはくすりと笑って見せた。
「あんたとの約束、どうしようかなぁってね」

「護衛と……運搬?」
「せや」
 端的に依頼内容を口にして、明朗鑑定の霊査士・ララン(a90125)はこっくりと頷いた。
「目的地はルベリア村。護衛するのはエルマさん、運ぶのはウェデイングドレスや」
「違うわよ。『幸福の』ウェデイングドレス」
 わざわざ訂正した依頼人は、チチチと指は左右に振ってみせる。
「世に2つと無い大事な大事なウェデイングドレスなんだから」
「……だ、そうや」
 依頼人のテティスは縫製職人。その腕は確かで、自分で店も開いている。今回のウェデイングドレスは3年前、テティスが結婚した時に1度袖を通した物で勿論彼女のお手製だ。
「エルマはあたしの親友なんだ。ホントは新しいドレスを作って、それをお祝いにしたかったんだけど……あの子、何時も遠慮していてね」
 確かにウェデイングドレスは高価な物だ。メイドのエルマ・リディには、幾ら晴れの一張羅と言えど絹のドレスは高嶺の花だろう。
「勿論、綿のドレスだって悪くないんだけど……あたしの親友の晴れ舞台だもん。素敵なものにしてあげたいじゃない?」
 それで、貸す事にしたという。既にサイズ直しは済んでおり、テティスの店でドレスを受け取った後、エルマとルベリア村に運ぶという算段だそうだ。
「問題は……例によって、途中に盗賊が出るんよ」
 テティスの店とエルマの勤めるお屋敷がある町とルベリア村の間には大きな森がある。1年程前にも盗賊退治が行われたのだが……鬱蒼とした森には、どうも後ろ暗い連中も集まりやすいようで。
「街道いうても、道幅は兎も角ノソリン車も通れんような悪路や。道を外れたら、結構木が生い茂ってる。これからの季節やと虫も多そうやなぁ」
 人数は約15人。二手に分かれてまず木々に隠れて矢を射掛け、足止めした所で襲い掛かってくるようだ。
「まあ、油断せんかったら遅れを取ることもないやろけど」
「エルマが一緒なんだし、花嫁のドレスを運ぶんだからあんまり物騒な事は止めてよね。バージンロードが血で汚れるなんて、とんでもないもの」
 運ぶ物が繊細な絹のドレスなら、一般人のエルマの護衛も仕事である訳で。
 かといって、誰しもが使う街道に盗賊を放っておく訳にもいくまい。
「ちょっと頭を捻って貰う事になるけど、その分、ちゃんと御礼はするからさ」
 きちんとエルマとウェディングドレスをルベリア村に届けた暁には、テティスが服を仕立ててくれるとか。この際、婚礼衣装をあつらえるのも一興だろうか?
「そう言えば……その『幸福の』ウェデイングドレス、どんな感じなんやろ?」
「フフフ、よくぞ聞いてくれました。シルエットはプリンセスライン、ネックラインはハートカット。可愛くしたかったからあんまり派手じゃないんだけど、レースも刺繍も思い切り凝ったから……」
 ラランの素朴な疑問に、嬉々として語り出すテティスだけれど。
 いつもタンクトップにパーカー、ホットパンツというお子様がここに約1名、きょとんとした面持ち。
「…………どれすって、何なぁ〜ん?」
 スリーブがこうとかパニエがどうとか……飛び交う専門用語を余所に、もっと基本的な所で首を傾げる陽だまりを翔る南風・リリル(a90147)だった。

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参加者
観察者・ヒリヨ(a02084)
星影・ルシエラ(a03407)
琥珀の狐月・ミルッヒ(a10018)
赤烏・ソルティーク(a10158)
おひさまいろの・サチ(a13963)
きらきら星の夢物語・サガ(a16027)
風纏う水銀の剣・エッジ(a21596)
暁の鳥・シルル(a23790)
NPC:陽だまりを翔る南風・リリル(a90147)



<リプレイ>

 借りたもの――それは、隣人愛の象徴。
 豊かで実り多き人生となるように。家族だけでなく、周囲の人々からも愛されるというおまじない。
 親友が分けてくれた幸運は――花嫁の夢が詰まった、『幸福の』ウェディングドレス。

「お久しぶりです。エルマさんとは亀の依頼の時以来でしょうか? 今回はおめでとうございます」
 相変わらず似合ってますね、眼鏡が――観察者・ヒリヨ(a02084)の挨拶に、少し恥ずかしげに微笑んだエルマは、宜しく御願いしますと頭を下げた。
「なぁ〜〜ん……エルマさん〜、幸せそうなぁ〜〜ん。サチ、いっぱい頑張るなぁ〜〜ん♪」
 おっとり笑顔の柔かな風抱きし甘き眠りの姫君・サチ(a13963)の言う通り。いつもと同じく、鼈甲縁の眼鏡を掛けて物静かな風のエルマだが、来る婚礼に胸を弾ませているのか仕草の1つ1つが初々しい。
「ドレスって、花嫁さんのアイテムの中でもとびきり大切だよね。張り切っていこーっと♪」
「ルシエラも、幸福の運び人になりたいなー。うん、なるもん! 頑張るよー♪」
 やる気満載の琥珀の狐月・ミルッヒ(a10018)と星影・ルシエラ(a03407)は顔を見合わせ、「ねーっ♪」とばかりに頷き合う。
「花嫁さんかぁ……こないだ結婚したお友達も、とっても綺麗だったなぁ〜ん」
 煌めき星の夢物語・サガ(a16027)も、ほややんと夢見る面持ちだ。
 やっぱり、花嫁さんは乙女の憧れ。ゴンゴンと何かが燃え盛っているお嬢さん方を前に、風纏う水銀の剣・エッジ(a21596)は些か及び腰?
「重傷連荘のリハビリのつもりだったんだがな、俺は……まあ、ドレスをプレゼントしたい奴もいるけど」
「そうそう! 依頼が成功したら、ドレス作って貰えるんだよね♪」
 不如帰・シルル(a23790)も、後々のお楽しみがお目当てのようで。
 そんな冒険者達に囲まれて、相変わらず首を傾げるお子様が約1名。
「……どれすって、何なぁ〜ん?」
「ドレスは、ふりふりのお洋服の事なぁ〜ん♪」
 ?マークが飛び交っている陽だまりを翔る南風・リリル(a90147)には、サガが説明してくれたけど。
「ふりふり……尻尾あるなぁ〜ん?」
「……まあ、実際見たら判るでしょう。ちなみにリリルさん、私が好きなのはエプロンドレス、勿論眼鏡付です――がぁ!?」
 スパァァンッ!!
 緋燕・ソルティーク(a10158)、何処からともなく飛んできたツッコミに撃沈……魂が肉体を凌駕した訳でもないけど復活。
「……冗談はさておき。任せなさい、眼鏡っ娘メイドの婚礼、屍山血河を築いてでも達成させましょう!」
「流血ご法度って言ってるでしょ!」
 ドガシッ!
 依頼人から飛んできた衣装ケースに潰され、今度こそ沈黙する21歳独身ヒトの紋章術士。
「……そしたら、皆頼むわな」
 ふと遠くを見る眼差しになったラランは、何処か引きつった表情でテティスと並んで手を振るのだった。

 ルベリア村に向かって、テクテクと街道を歩く。
 盗賊が出るという森は、エルマ達の町とルベリア村の丁度中間辺り。更に森のどの辺りで盗賊が出没するのか、予め町で情報収集しようとしたシルルとミルッヒだが。
「噂は、結局噂なんだよねぇ」
 出発間際に当たりも付けずに聞いて回っても、早々有益な話はないものだ。
「まあ、この辺りは僕も来た事がありますから……1年前ですけど」
 ヒリヨが先行偵察に出る。1回きりとは言え他よりは土地勘があるし、大まかながら霊査士からの情報もある。
「盗賊の配置とか、装備とか判れば御の字ですね」
 一足先に森に消えたヒリヨを見送って、残りは暫し待機だ。
「わーい、久々にリリルちゃんと遊べるなぁ〜ん♪」
「なぁ〜ん♪」
「遊ぶって……これは仕事だがな」
 エッジの呆れ顔も何処吹く風。リリルとわきゃわきゃじゃれ合うサガだが、ふとポソリと呟く。
「ドレス、見たかったなぁ〜ん……」
 大事なウェディングドレスは、今はルシエラが背負っている。
 型崩れしないように慎重に箱詰めされた上から防水紙で巻いて頑丈な箱に収め、更に軽いクッション材で包んで背負子で担ぐ……重さもそれなりだが、かなり厳重だ。
「疲れたら、替わるなぁ〜〜ん」
「うん、ありがとー」
 一応、担ぐだけでフラフラになるとか、そんな無茶な梱包では無いが、乙女の荷物にしては結構な重装備。ハラハラした面持ちのサチに、ルシエラも苦笑して頷いている。
 これだけ厳重なら「ちょっとドレスを覗き見♪」も出来そうにない。サガの残念そうな面持ちに、エルマは穏やかな笑みを浮かべた。
「村に着いたら、お見せ出来ますよ? ドレスに風を通さないといけませんし」
「ホントなぁ〜ん? 楽しみなぁ〜ん♪」
 どうやら、お仕事の後の楽しみがもう1つ増えたようだった。

「……まあ、ざっとこんな感じですね」
 昼も大きく回り、漸くヒリヨが戻ってきた。
 ハイドインシャドウだけでなく、樹木や岩の陰も利用して盗賊に気取られないよう腐心したお陰で時間は掛かったが、持ち帰った情報は詳しい。
「遠眼鏡で確認しましたけど……場所は、森の半ばくらいでしょうか。道の両側の樹上に見張りが1人ずつ。木の根元に伝令が1人ずつ。溜り場も左右に2ヶ所ですね。5人ずついました」
 地面に図を描いてみせる。射手も左右に分かれており、どうやら左右から射掛けて足止めした所を襲うという算段のようだ。
「街道はほぼ一直線なので、例の罠なら却って掛かり易いかと」
「先に後ろに回り込まれると厄介だが……打ち合わせ通りで良いな?」
 エッジの言葉に頷いて、冒険者達は準備を始める。
 囮役はソルティークとエッジ、ミルッヒ、シルルの4人。それぞれ武器を隠しマントを羽織るなど、商人や村娘の様相で一般人を装う。エッジ1人は武道着に小刀を2本腰に帯びており、やや物々しいが護衛に見えない事も無いだろう。
 彼らが誘き寄せた盗賊を待ち伏せるのが、サガ、サチ、リリルのヒトノソリン3人娘。
「道の左右に分かれて〜、茂みの中に隠れるなぁ〜〜ん。盗賊さんが来たら〜」
「サチしゃんといっせーのでこれを引っ張って欲しいなぁ〜ん」
「判ったなぁ〜ん」
 サチとサガの説明に、リリルもロープを握り締めて頷く。
 ルシエラは森の外。エルマの傍でウェディングドレスと一緒に待機だ。
「先にこっちが見付からないように隠れてるね」
 俄かに緊張した雰囲気に不安そうなエルマと手を繋ぎ、安心させるように笑みを浮かべる。
 念の為、ヒリヨが退路を断つ事にして――冒険者達は静に森へ足を踏み入れた。

 ――鴨だ、と思った。
 小娘2人に若造が2人。商人の兄妹を案内する村娘、といった所か。特に妹の方が大事そうに袋を背負っている。1番背の高い野郎は護衛だろうが、所詮は1人。最初に潰せば後はどうとでもなる。
 相棒を窺えば同じ事を考えたらしく頷いてきた。伝令が走る間に矢を番えて引き絞る。
 やがて――足下に殺した気配。一斉に弓が引かれ、蛮刀を構えた仲間が道の両側で息を潜める。
 連中は気付いていない。太平楽な笑顔に思わずほくそ笑む。
 後3m……2……1――!!
 一斉に放たれた矢が獲物に殺到した。

「きゃぁっ!!」
 地面に突き刺さった矢に思わずたたらを踏む。流れ矢に当たり声も無く倒れるソルティーク。
「く……」
 悲鳴を上げたシルルを庇ったエッジに何本も矢が刺さり、ツゥッと血が零れる。
「逃げろ……」
 矢が刺さったまま、切掛かってきた蛮刀を小刀で何とかいなすエッジ。
「待ちやがれ!」
「はわわ……大変! これは渡せないの〜!!」
 慌てて逃げ出すミルッヒとシルル。痛みを堪える素振りで踵を返すエッジに気を良くしたのか、ニヤニヤと下卑た笑みを浮かべて盗賊共が追い掛け始める。
「へ、運のねぇ奴。アレでくたばったてか?」
 一方、倒れたきりのソルティークの身包みをはごうと、樹上から降りた見張りの2人は。
「はぁ〜はっはっはっはっ!!」
「!!」
 突如の高笑いに思わず立ち竦んだ。
「……ふぅ、この人形が無ければ危険でした」
 無傷のアリス人形片手にしれっと言ってのけながら、(実際は鎧進化で平気だった)ソルティークは緑の束縛で1人を拘束。
「な……冒険者か!?」
「当たりです……手加減出来る間に降伏して下さいね」
 泡を食って逃げ出そうとしたもう1人を粘り蜘蛛糸で縛り上げ、ヒリヨは小さく肩を竦めた。

「せぇ〜のっ!」
「のわぁぁっ!」
 夢中で獲物を追いかけていた盗賊は、突然ピンと張られたロープに足を引っ掛けもんどりうって倒れた。
「ぐわっ!」
「ぎゃっ!」
 ……盗賊も急には止まれない。玉突き衝突で次々と。
「捕獲なぁ〜ん♪」
「なぁ〜〜ん」
 辛うじて踏み止まった最後尾の盗賊を緑の束縛で拘束するサガ。この時ばかりは勢いよく飛び出したサチも、紅蓮の咆哮で纏めて麻痺させる。
「ぐ……貴様、まさか!?」
「ん? あぁ、こりゃ血糊だ。残念だったな」
 一転、取って返したエッジは、峰打ちで盗賊を黙らせる。刺さったままの矢で一見痛々しいが、予め服の下には木の板を仕込んでおり平気だ。
「怪我はさせないように、っと」
 チャクラムを取り出したシルルは、道を外れて逃げようとした盗賊目掛けて影縫いの矢を放つ。
「さーて、迷惑さん達には退場願わないと♪ ……あ、リリルちゃん。手加減して、優しく叩くんだよ」
「う〜、ムズカシイなぁ〜ん」
 悪人を引っ掛けるのに遠慮はいらない。見事に引っ掛かった盗賊を見渡し、ミルッヒは悪戯っぽく笑みを浮かべて眠りの歌を歌った。

「良かったぁ、私の出番が無くて」
 結局、盗賊がエルマの所まで来る事はなく、ルシエラも一安心。勿論、衣装箱にも傷1つ無い。
「あ、ボクもグルグル巻きお手伝いするなぁ〜ん♪」
 嬉々として楽しそうなサガ。散々拘束されて、麻痺されて、眠らされた盗賊達は、今はミルッヒが背負い袋から取り出されたロープで縛り上げられている。
 こうして、首尾よく盗賊達は一網打尽に出来た訳なのだけど。
「えーと……足りないですね。15人とかいう話だったのですが」
 人数を数えて眉を顰めるヒリヨ。
「ほお、ボスでも残っているのか?」
 エッジが睨み付けるが、この期に及んでそっぽを向いてしらばくれる盗賊達。
「ふふ……まあ、別に吐かなくてもいいんですよ? 耐え切れれば、ですけど」
 含み笑うソルティークが取り出したのは羽箒。ついでに土塊の下僕にも持たせている。
「平和的にとの御命令ですので、こんな手段はいかがでしょう?」
 脇の下やら足の裏を、よってたかってコチョコチョと――数瞬後。悲痛な爆笑が響き渡った。

 ――『幸福の』ウェディングドレスは、純白の光沢が美しい清楚なドレスだった。
 シルエットはプリンセスライン、ネックラインはハートカット。袖は肩の所が膨らんでいて、袖口に向かって細くなっている。ジゴスリーブというそうだ。
「綺麗なぁ〜ん♪」
「うん……ふわふわなぁ〜ん?」
 身ごろに被せられたレースを撫でて、サガはほぉっと溜息を吐く。初めてドレスなるものを見たリリルはビックリ眼だ。
「テティスちゃんが、腕によりを掛けて直したんだからとっときだよね。エルマちゃんの花嫁姿もきっと綺麗なんだろうなぁ」
「ありがとうございます」
 ミルッヒの言葉に頬を染めるエルマ。ドレス共々、無事にルベリア村に辿り着いてホッと肩の力も抜けたようだ。
「エルマさんを連れて来て下さって、ありがとうございました! 皆さんも是非、僕達の結婚式にいらっしゃって下さい!」
 エルマ以上に喜色満面の婚約者に見送られて、冒険者達は帰途に着く。
「かわいい服! かわいい服が欲しいのっ♪」
 その日の内に町に戻ったシルルは、早速テティスにドレスを注文した。
「はいはい……デザインは、こんな感じでどう?」
 シンプルなサマードレスだが、飾り気のない清純な白が愛らしい。
「俺は……その、フォーマルなのが良いんだが」
 エッジが希望したのは蒼いドレス。裾の長いスレンダーラインのノースリーブで、マオカラーが独特だ。
「……プレゼントだからな」
「判っていますって。私は僧服を御願いします」
「あ、僕は礼服が良いです」
 苦笑するソルティーク。ヒリヨは色とりどりの衣装が溢れる工房に立ち尽くし、隠れたそうな面持ちでちょっと落ち着かなさげだ。
「そうねぇ、あなたのイメージだと……」
 サチのドレスは、レースとフリルがふんだんに使われた花の様に可憐なデザイン。
「う〜ん……尻尾が大きいから、ストライダー用じゃちょっと難しいわねぇ」
 ヒトノソリンのドレスは、テティスも勿論初体験。針山片手に試行錯誤のようだ。
「ボクは満月色が良いなぁ〜ん♪ デザインはシンプルイズベスト、だけど、リリルちゃんには可愛い格好させてみたいなぁ〜ん♪」
「なぁ〜ん?」
「あ、リリルさんだと、可愛いフリルのミニかな♪」
 自身はティアードフリルのよそ行きワンピを仕立てて貰う事になり御満悦のルシエラは、パンッと手を叩いて一着を取り出す。
「あー、ノースリーブも似合うかも〜♪」
「色は明るい方が可愛いなぁ〜〜ん」
「な、なぁ〜ん!?」
 突然着せ替え人形状態で目を白黒させるリリルを見詰め、ミルッヒは思わずクスクス。
「あら、あなたはいいの?」
「テティスちゃんの服は素敵だけど、自分に合うものってわからなくて。でも、いつか仕立ててもらえる機会があればいいな♪」
「そっか……じゃあ、そのいつかの時、あたしも楽しみにしてるわ」
 いつか……それは、もしかしたら?
 賑々しい光景を背景に、テティスと顔を見合わせ悪戯っぽく笑い合うミルッヒだった。


マスター:柊透胡 紹介ページ
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参加者:8人
作成日:2005/06/17
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