かにつり(前編)



<オープニング>


●紅き悪魔
「まて〜まて〜〜♪」
「ほらほら、捕まえてごら〜ん♪」
 ……青い海、晴れ渡った空、打ち寄せる波打ち際を駆けるカップル………まもなく訪れる夏を先取りしたかの様な突然の好天と暑さに、海岸には涼と夏を求めて集まった大勢の人達が溢れていた。
 恋人達が青春を愛の歌と共に謳歌し、子供達は少し冷たい海にも負けず無邪気にはしゃぎ、親達は彼等を微笑ましく見守りながら漁師達が振る舞う獲れたての海の幸を香ばしい匂いに包まれながら頬張っている。
 しかし……そんな幸せ満ちあふれた海岸を、突然恐怖が支配する。

 喜びに満ちた海岸に突如現れた深紅の悪魔……飛び出した目は細かく動き、逃げ惑う人々を見逃さない。
 その巨体から伸びる幾つもの足は、恐怖から逃れようと走る者達を易々と追い越しその鋭い足先で突き刺した。
 逃げ場を失った哀れな子羊達を、そびえ立つ巨大な二対の鋏が周囲の岩と共に紙を切裂く様に2つに分ける。
 そして……その腹から吹き出される泡は、包まれた犠牲者達を埋め尽くすと生きたまま溶かして行く……彼等の最後の抵抗も、全てその鎧よりも堅い甲殻に文字通り歯が立たなかった。

 夕日が青い海を赤く染めた頃……楽しげな声が溢れていた海岸は夕日よりも赤く、赤く染まっていたのだった。

●赤と白
「そんな訳で、浜辺の村の人達がその赤い悪魔……想像通り、巨大なカニを退治に向かったんだけどね……あちっ」
 冒険者の酒場で茹でたてのカニの足と悪戦苦闘していた霊査士のリゼルは、集まった冒険者達に戦いの成果を幸せそうに頬張りながらその後の話しを会摘みながら話し聞かせる。
 それによると、村の人達は巨大カニを退治しに向かったのだが……遠距離から放たれた矢や槍、銛による攻撃は軽く弾かれたかと思うと、次の瞬間その巨体に似合わぬスピードで迫られ幾人もが犠牲になったと言う。
 追い詰められた村人が死にものぐるいで反撃すると、身の危険を感じた巨大カニは深く巨大な岩の奥へと姿を隠したのだ。
「もぐもぐ……ぷふぁ、それでね、村の人達から依頼が来たんだけど……」
 何時になく真剣な眼をしたリゼルの迫力(カニの足を剥きながらだが)にゴクッと息を飲む冒険者達。
 しかし、幾人もの罪の無い人々が犠牲になったのだ……その胸の内に灯った怒りの炎は抑える事が出来そうになかった。
 早く続きを……巨大カニを倒す手段を教えてくれ、そうギラギラと燃える瞳でリゼルを見つめる冒険者達。
 ……その光景に満足したのか、ゆっくりと口を開いた彼女は……軽く一言伝えると、幸せそうに再びカニの身にしゃぶりつく。
「倒せないのよ、いくら冒険者でも、ね……このままじゃ」
 あっさりとそう伝えられた冒険者達は、なぜ倒せないのかと問いつめる……それを柳に風で受け流し、やがてカニを食べ終えた彼女は霊視で視えた真実を伝える。
「いい? 巨大カニは身の危険を感じると岩場に逃げるわ、その足は冒険者でも追いつけないぐらい素早い……追いかけ岩場に入り込んだとしても、ろくに身動き出来ない内にカニに襲われるわ、これが倒せないって言う理由よ」
 霊視は嘘を言わない、視えるのは真実……伝えられる言葉が偽りかも知れないが、彼女が嘘を付く必要もない。
 ……多分。
 と、ともかく、だとすれば諦めるしかないのか……そう無力感に支配された冒険者達の中にまだ希望の炎を消さない者が居た。
 その男……烈火の狂戦士・スパークスは、嬉しそうに次のカニに取りかかろうとするリゼルに詰め寄る。
「なあ……このままじゃ、って事は……倒す方法、あるんだな?」
 その言葉に、よくぞ気づいたとばかりにニヤリと眼鏡を光らせるリゼル……手にしたカニを握りつぶしながら、再び燃え上がる冒険者達に向かってこう宣言したのだった。
「岩場から出て来ないなら釣るまで……巨大イカを倒して来るのよ!!」

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参加者
縁・イツキ(a00311)
うみねこサルベージのオーナー・ユフキ(a00342)
雪白の術士・ニクス(a00506)
夢幻を惑いし夜鶴・スフィア(a07050)
唸る豪腕・ログナー(a08611)
渡り鳥・ヨアフ(a17868)
医術の騎士・レオル(a18184)
旅風・タチ(a22859)
フォレストナイト・ヴァイス(a25660)
雄風を纏いし碧眼の黒猫・ユダ(a27741)
NPC:烈火の狂戦士・スパークス(a90231)



<リプレイ>

●出港うみねこ丸!
「良い風が吹くぜ……潮風が気持ちいいぜ、こうキリっとしててさ! なぁ!?」
「それじゃあもっと気持ち良い風を探しながら巨大イカ退治へ向けて借り物だけどウミネコ丸……出港だよっ!」 
 舳先に立ち、マントを風になびかせながらウミネコと戯れていたエルフの武人・タチ(a22859) がサムズアップで振り返ると、舵輪を握りながら、片手をあげ元気良く答えるのはうみねこサルベージのオーナー・ユフキ(a00342)
 日頃、旅団の仲間達と海を駆け巡っていた彼女は、今日も愛船……は持ってこれなかったので、漁師さん達から借り受けた漁船にうみねこ丸、と勝手に書き入れて一人悦に入っているのだ。
 彼女曰く……思い入れのある船とない船では操船の時の動きが違う、と言うことなのだ。
 そんな元気な彼女の一方……船首にはすでに船に酔ったのか体半分乗り出し船縁に寄りかかるのは医術の騎士・レオル(a18184) だ。
「こっちの海は初めてなんだよぉ……光の海とは違う………なぁ」
 ランドアースとホワイトガーデンを遮る光の海……海とは名ばかりの、泳げなくまた魚も泳がない濃厚な雲である光の海しかないホワイトガーデンで生まれ育ったエンジェルである彼は、初体験であるランドアースの海と波に揺れる船に少し酔ってしまったのであった。
「大丈夫……か?」
 そんな彼に、少し心配そうに声をかけるのは烈火の狂戦士・スパークス(a90231)……だが、彼のそんな行動を待っていましたとばかりに動き出したのは渡り鳥・ヨアフ(a17868) だ。
「さっすが大ベテランのスパークス先生! 周りの事まで気を払うとは。いやいやさすがは冒険者の鏡!!」
 ヨアフのそんな行動に頭を抑えるスパークス……以前の冒険の事を仲間から聞いたヨアフは、ここに来るまでも事有ることにスパークスをからかっていたのである。
「一度ついた嘘は突き通さないと……そう思わない?」
 仲間達の楽しそう? な光景に、のほほんと黄泉路を彷徨いし夜鶴・スフィア(a07050) に話しかける雪白の術士・ニクス(a00506) であったが、話しかけられたとうの彼女はと言うとボーっとどこまでも続く水平線とそこから広がる青い空を眺めているのだ。
「……飛べたらなぁ」
 呼びかけるニクスの声にも構わず空を眺めるスフィアであったが……少し復活してきたレオルの背より伸びる二対の白い翼を、少し羨ましそうに眺めているのであった。
「日も暮れてきたね……これからが本番よね♪ さぁ、罠張の上手なのはどちらかしら……ねぇぇっ?!」
 水平線が沈む夕日で紅く染まる頃……岩礁地帯に錨を下ろしたうみねこ丸の甲板では、夜に備えて準備が忙しく進んでいた。
 一般的に明りに引き付けられる性質を持つイカ……巨大イカもきっと同じ習性があるとし、それをおびき寄せる為カンテラをロープに結び付けていた縁紡ぎ矢・イツキ(a00311) であったが、ふと船の反対側を見ると思わず声をあげてしまう。
 そこでは……
「こんなものでしょうか?」
「……よし、こんなものだろう……いくぞ!」
 長いロープの片方の端を自らに巻きつけた唸る豪腕・ログナー(a08611) ……彼はその太く逞しい両腕に血管を浮き上がらせ渾身の力を込めると、船のマストを色々な所を通したロープの反対側を船の外へと放り投げる。
 その先にはロープに結びつけたれた雄風の・ユダ(a27741) の姿が。
「なにをっ!?」
 その行為に仲間達が目を丸くした次の瞬間、海面ギリギリにまで降りたユダの額がまぶしく輝き、同時に海へ落ちないようにとログナーの豪腕が唸った。
「なるほど……巨大カニを釣るための巨大イカを釣るための餌か」
 感心したように呟く重騎士・ヴァイス(a25660) ……海面ギリギリへと効果したユダのスーパースポットライトで自らイカをおびき寄せる餌となろうと言うのだ。
 甲板に戻り少し休み、海へと飛び降り、甲板に戻り少し休み……それは日が完全に沈んでも繰り返され、そして何度目かの跳躍の時、ついに目標が冒険者達の前へと現れたのだ。

●巨大イカを倒せ!!
「一斉攻撃だ!」
 冒険者の一人が口火を切る……その瞬間、船を沈めようと海中から巻きつく足へと向かい次々と解き放たれる冒険者達。
「私から行きます………邪魔……」
 ジャケットを脱ぎ捨て黒いビスチェ姿になったスフィアは、自らの肢体をさらけ出す事など気にせず手のひらに禍々しいオーラを放つカードを生み出すと……それを絡み付いてくる足へ向かい次々と投げ飛ばし突き刺していく。
 ……バットラックシュートのアビリティだ。
「あれいいな……逆撫風、俺達もいくぜ!」
 あえて防具ともなるが邪魔な上着を投げ捨て戦うスフィアの姿に、甲板から海へと飛び立つタチ……その瞬間、重いチェインメイルが外れたかと思うと重力の束縛から逃れたかのように甲板を蹴り、飛び跳ねる。
 目指すは海中から顔を出す岩場の一つ……その上に降り立つと、しっかりと逆撫風を握り締め海上からイカを狙うのであった。
「イカさんこちら〜矢の来る方に〜〜♪」
 両端に爪の付いた特殊な巨大弓……螳螂を構えたイツキが楽しそうに口ずさむと、光の矢が解き放たれたる。
 それはありえない軌道を辿り……空中で別れたかと思うと絡み付こうとする足へと次々突き刺さる。
 しかしダメージの積み重ねは巨大イカの凶暴さと比例する……攻撃を繰り返すたびに激しくなる巨大イカの攻撃。
 太い足が甲板を叩き、船体を締め上げ、ミシミシと嫌な音が響き激しく揺さぶられる船体。
「ふ、船が沈んじゃうよ〜、沈んじゃったら倒産だよぅ〜〜」
 泣きそうな声を上げながら必死でホーミングアローを絡み付く足へと放つユフキ、その様子に気づいたニクスが仲間達に声を掛ける。
「皆さん、船へのダメージを抑えてください!」
 純白の術手袋、【天佑】キュクヌスを掲げ宙に指を走らせる……輝く指先が光を走らせ、その指先が始点へと戻った時、空中には複雑な紋章が描かれていた。
「緑の……束縛!」
 紋章によって生み出された樹木より舞い散った木の葉が渦を巻き、意思を持っているかのごとく動きイカの足を押さえ込む。
 しかし、しかしイカの足は12本もあるのだ……1本や2本、押さえた所で状況は好転しない。
「くそっ! イカ焼きにしてやるぜ!!」
 精神的に追い詰められ……焦燥感に駆られたスパークスは手にした二刀の刃に炎を纏わせる。
 雄叫びと共にイカの足を一本切り裂くスパークスだが、その反動が彼を襲う。
 ファイアブレードの副作用……マヒだ。
 戦闘中に動きを止める事は即座に死に繋がる……気合で動きを取り戻そうとしたが、それよりも早くイカの足が彼を狙い風を切り裂きながら振り下ろされる。
 次に訪れる瞬間を想像し、来る衝撃に供え硬く目を閉じ力を込めるが最後の衝撃はいっこうに訪れない。
「無茶はダメですよ、スパークスさん。俺も……盾ぐらいにはなれます」
 マッスルチャージを唱えヴァイスの鎧聖降臨で輝く鎧姿へと変身したログナーがスパークスに迫ったイカの足を押さえ込んでいたのだ。
「離すんじゃないぜ、そのまま押さえとくんだぜ!」
 押さえたログナーを逆に掴み押さえ込もうとするイカの足に向かい、怪しい輝きを放つ長剣……パンツァー・シュナイダーを大上段に構え飛び上がるとその勢いそのままに振り下ろすヴァイス。
 一刀両断にされ切り離された足がビチビチと勢い良く暴れるが、すでに力のないそれをログナーは軽く払い落とす。
「これで2本……だな」
「……ですね」
 同時にそう言うと拳をぶつけ合う2人は、何かを達成した男の笑みを浮かべるのであった。

●イカ釣り船は朝日の中に
「(くっ……息が持たない……)」
 水に沈む重いチェインコートを脱ぎ捨て岩礁を縦横無尽に駆け分身と共にサーベルを振るうユダであったが、船に絡み付く足を切るだけではこの巨大イカは倒せない……意を決し、水中へと飛び込んだが斬っても斬ってもまるで答えていない様だ。
 それどころか、数本の足が彼へと向かい伸びてくる……必死に戦うが水中は巨大イカのテリトリー、刻一刻と劣勢に追い込まれていく。
 水を蹴る足に何かが絡みついてくる感触が広がったかと思うと水中から眺める月が遠くなり、代わりに暗く深い漆黒の海の底が近づいてくるのを感じる。
 だが、突然海の底へと引き込もうとする力が消失する。
 一気に水を蹴り、手を伸ばし、黄色く揺れる月の中へと飛び込むユダ。
「ぷはっ……い、生きてるのか………」
 振り返るとそこには水の抵抗を考えてかピッタリとした青い服と巨大な足ひれ……まるでイルカのような姿をしたレオルが、飛び込む勢いそのままにユダを捕らえようとしたイカの足を手にしたアクスで切り裂いたのだ。
「危ないところだったな! ……今だぜ!!」
 白い羽根から水滴を滴らせながら海面へと戻った彼が声を飛ばすと、空中に緑の紋章文字で複雑な紋章を描いていたヨアフがそれに答えるように渾身の力を込めた紋章が、巨大な炎の塊が作り出す。
 手をゆっくり前へ向け水中の一点を指差すと、それは激しい炎を巻き上げながら海中へと飛び込むと、暗い海を太陽が生まれたかのように明るく染め上げながら、巨大イカを捕らえるエンブレムノヴァ。
「……勝ったですな」
 勝利を確信するヨアフはふぅとため息を吐き出し、いい仕事をしたと汗を拭う。
 それに答えるかのように、船を締め付けているイカの足がゆっくり解けていく……同時に弾けた様に甲板に残る冒険者達が、イカの体と共に足が沈まぬ様にとチェインシュートが放たれ必死で抑え足の切り離しに取り掛かるのであった。
「ファイト〜! いっぱ〜〜〜つ!!」
 いつの間にか東の空を輝かせていた太陽に照らされながら、うみねこ丸から冒険者達の声が何時までも響いたのである。

●帰港……そして新たなる出港。
「も、もう、ダメだ〜」
 甲板に大の字で寝転がり、青い空に叫ぶスパークス……そんな彼に何時の間にか用意していた水着に着替えていたイツキが声をかける。
「お疲れ様スパークスさん……大丈夫ですか?」
 その声に見上げれば、はみ出そうなぐらい巨大な2つの塊が……一瞬理解の範囲を超えるが、そんな元気がどこにあったかのか顔を真っ赤にし一気に船縁まであとずさる。
「……どうしたのかな?」
 救いと声のする方に向くが、その声の主の姿に今度は耳まで真っ赤に……そこには同じように水着姿となったニクスが。
 ……ちなみに、彼女達が水着姿なのはぐっしょりと濡れて気持ち悪かったからであり、太陽と青い空が気持ち良いからではない……と思う。
 とにかく、前門のトラ後門のオオカミ状態の彼、後ろは海で逃げ場はない。
 残された最後の一方を向くと、そこにはホットパンツにビスチェ姿、しかも濡れて張り付くと言う先の2人にも勝るとも劣らないスフィアの姿が。
「顔が赤い……熱射病でしょうか?」
 自分の姿に動揺しているなど露知らず、なにかあったのかと前かがみになり迫るスフィア……隙間から零れそうな胸元に止めを刺されたスパークスは……とりあえず赤く固まったまま海へと落ちてみるのであった。
「さっすがスパークス大先生、見事な落ちっぷりで……ぷははっ」
 純情なのか、お子様なのか……あるいはその中間なのか、スリムでセクシーで豊満なで3人の女性達の姿に対するスパークスの予想以上の行動で笑いを押さえ込めないヨアフ。
 今度は彼女にも参加してもらおう……スパークス『で』遊ぶことを教えてくれた女性の事を思い出しながら、イカの足を乗せたイカダに引っかかった彼で帰るまでにどれくらい遊べるか考えるのであった。
「眼福ってヤツだな……ってそれ俺んだぞ!」
「ふっ、よそ見している方が悪い……やはりイカは新鮮なのが一番だな」
 一方、イカ退治のついでに獲れたての魚やイカで鍋に刺身に浜焼きに、と楽しんでいる男性陣。
 水着姿の女性陣の姿にヴァイスがイカ刺しへ伸ばした手を止めた一瞬の隙に、ユダがヒョイっパクッとイカを口へと放り込む。
 気づいた時には後の祭り……コリコリプリッとした新鮮なうちにしか味わえないイカの旨みが口いっぱいに広がっていき、おもわず口の端が緩んでしまうユダ。
「レオルも食べないか? 獲れたてのイカなんて食べた事ないだろう」
 エンジェルの彼にもこの旨さ、体験して貰おう……そう考えレオルへと声を掛けるが、彼はなんだか背中が気になる様だ。
「な、なんか羽根が重くて肌がべたついて……なんだよこれ!?」
 海水をたっぷりと浴びた彼の羽根は重く、髪はごわごわで肌はベタベタになってしまっていたのだ。
「それがランドアースの海ですよ」
 そんな彼に話しかけるのは、鱗に覆われたリザードマンであるログナー……羽根や人の肌に比べ海水に強い彼は、ベタつきもまったく気にならない様であった。
「真水で丁寧に洗い流さないと……根元まで海水が染み込んでますので、少し大変ですね」
 羽根を持ち上げ、状況を確かめながらログナーがそう呟くと、皆が一斉に目を丸くする……実は家事が得意な彼の外見とのギャップに驚いているとは決して言えない冒険者達である。
 そして……楽しそうな男性女性に対し、涙しながら舵を握るのはユフキ。
 せっかくの自称うみねこ丸は激しい戦いに甲板は割れ船体にひびが入り、竜骨も軋んみ歪んでいるかも知れない状態に。
 海と船とロマンを愛する彼女にとって、船は分身とも同じ存在……それがボロボロになり、あまつさえこの後借りた漁師達に返すことを考えると………一時とは言え共に戦った愛船との別れに、ホロリと涙が一筋流れるのであった。

●そして冒険者の酒場。
「それでこれがお土産ね……美味い!」
 冒険者の酒場……帰りを待っていたリゼルに、タチがお土産とイカ鍋を振舞う。
 濃厚で芳醇な、まさに海を感じさせるスープに舌鼓を打つ彼女……柱の影からルラルが羨ましそうに見ていたのは気のせいだろう。
「ふ〜、食べた食べた……じゃあ次は巨大カニね、お土産期待してるわね♪ え、あ、そうそう、依頼ね」
 すっかり満腹になったリゼルはすっかり仕事を忘れそうになったが、冒険者達の厳しい視線に慌てて衣を正すと真剣な顔をする。
「イカの足は必要な分を確保出来た様ね……これでカニを岩場から誘き出す事が出来るわ」
 イカの足を繋ぐ巨大なロープはすでに巨大カニの村で準備を進めていると言う。
 後は今回入手したイカの足を運び、狭い岩場から巨大カニを引き摺り出し倒すだけだ。
 だが、それは果てしない苦労を伴う……柔らかいイカとは違い巨大カニは凶器の固まりなのだ。
「でもみんな、今回の勝利があればその苦難の道なんて乗り越える事が出来るのよ!」
 力強く宣言する彼女の姿に、冒険者達の頼もしい返事が返ってくる……その姿に、満足そうにうなずくリゼルなのであった。


マスター:瀬和璃羽 紹介ページ
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作成日:2005/07/15
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