宝地図屋グレッグ:星祭り・猫と星花の夢想茶会?



<オープニング>


 宝地図屋とは、様々な宝の地図を売り歩く、非常に胡乱な商売である。
 総じて信用のない輩ではあるが、「宝地図屋・グレッグ」の持つ地図は、本物の可能性が高いと評判である。
 なんと、地図が本物である確率は「3割程度」もあるという。殆どが偽の地図で、ある意味「夢を売る」商売とも言える宝地図屋では、驚くべき高確率らしい。

 洞窟に隠された宝、森の廃屋の秘められし宝石、海に沈んだ財宝のサルベージ……。
 彼の元にはあらゆる種類の宝の地図が集まってくるのだ。

 今日もまた、グレッグの地図を頼りに宝探しに向かう冒険者の姿が見える。
 宝探し、それは夢と浪漫を求める冒険者の嗜みかもしれない。

●星祭り・猫と星花の夢想茶会?
 今日も、宝地図屋にひょろりとした人影。地図が描かれた羊皮紙の巻物を楽しげに眺めている。
「へぇ、新品入荷ですか……」
 ランドアースに降りてきて漸く半年の放浪する地図士・ネイネージュ(a90191)だが、今ではすっかり宝地図屋の常連だ。実際に地図を購入する事もしばしば。尤も、その地図を手に冒険に向かう、という訳でもない。
 いわば、トンでも地図コレクターだろうか。突拍子もない事が描かれた地図を見るのが、彼にとってのマイブームらしい。
「えー、探してくださいよぉ」
「無理言わんでくれ、嬢ちゃん……」
「?」
 どちらも聞き覚えのある声だ。振り向けば、片や宝地図屋のグレッグ。彼が相手しているのはドリアッドの少女だ。緑の髪にノースポールの花が揺れている。
「素敵な地図だったらぁ、何でも良いんですよぉ。またたびみたいな幻のお花畑とか、猫にゃんがいっぱい出るお山の地図とか」
「だから……」
 如何にもお子様らしい夢一杯の要望に、さしものグレッグも途方に暮れている様子。
「……」
 暫く考え込んでいた様子のネイネージュだったが、やがて巻物を1本引き抜くとその少女の肩をぽんと叩いた。
「あ、ネイネージュにゅ。こんにちはなのよぉ♪」
「こんにちは」
 パッと笑み零れた猫少女幻影翠夢想・イヴ(a13724)に頷いてみせて。
「今日入荷した地図のようですが……これなんかは如何ですか?」
 ネイネージュが差し出した巻物には、正に『猫一杯の星畑の地図』と書かれていた。

「リェンリックの花?」
「別の名前で『星影の花』っていうそうにゃ」
 『Flower Shop -子猫の住む家 -』2階のtea room。紅茶を飲みながら、イヴはにこにこと頷いた。
「見た目は星の形をした白いお花なんだけどぉ。夜になるとまるで蛍火みたいに輝いて、とっても綺麗みたいなのよぉ」
 群生して咲くとの事で、花は正に今が盛りという。
「花が終わった後に実を付けるようですが、その実を猫がとても好むとかで……リェンリックの花畑は、猫の集会場でもあるみたいです」
 やはり紅茶を飲みながら、ネイネージュが続ける。こちらはイヴに誘われてお邪魔しているようだ。
「ふーん……? 聞いた事ない話だけど」
 誰かの呟きに頷く常連達。雑学に詳しい面々が揃っているようだが、リェンリックの花については誰もが初耳らしい。
「ちゃんと、地図があるですよぉ。絶対ねこにゃんお花畑はあるにゅ!」
 買ってきたばかりの地図を広げて力説するイヴ。その真剣な様子に、思わず地図を覗き込めば。
「……これって、さいはて山脈の何処かかな?」
「多分……それにしても」
 見難い。相当に古い地図なのだろう。インクは掠れ、所々に虫食いの痕。地名や注釈と思しき文字は、まるでミミズがのたくったような有様だ。
「ネイネージュにゅ、この地図復元出来ないかにゃぁ?」
「出来ない、事はないと思いますが」
 生憎、私はまだランドアースの地理に明るくないので――地図士は鷹揚に肩を竦める。
「現地で調査しながら、地図を整えていくのが確実だと思います」
 そう言って、彼が指差した所は『リエンス村』と辛うじて読み取れる。花畑は、そこから更に幾つか峰を越えた先のようだ。
「確か……リエンスという地名がさいはて山脈にあった筈です。私が知っているのは渓谷の名前ですが」
 狼が出るんですよね、ここ――ネイネージュの最後の呟きに、思わず顔を見合わせる面々だったが。
「絶対、お茶会するですよぉ!」
 イヴの勢いはもう止まらない。
「そう言えば……ランドアースの所によっては『星祭り』という風習があるそうですね? もしこの地図が本物だとして、この季節に星月夜のお茶会は、中々趣があると思いますが」
 クスリと笑んで、ノンビリと紅茶を飲み干すネイネージュだった。

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参加者
赫キ瑩ニ想イヲ懷キテ・マロン(a00825)
薔薇の狂戦士・ライナー(a02455)
灰眼狐・ナガレ(a05376)
君の名を呼び続ける・フォレスト(a07089)
旋律調和・クール(a09477)
霧玄ノ月・シェルティ(a12731)
砂糖細工な箱入り子猫・イヴ(a13724)
月想焔狐・ジオラ(a15279)
NPC:放浪する地図士・ネイネージュ(a90191)



<リプレイ>

 7月の空は何処までも青い。吹き抜ける風は心地好く、今日は絶好のハイキング日和。
「まずは、星影の花探しだよね。夜のお茶会が楽しみだなぁ」
 ワクワクウキウキの紅月に舞う蝶・マロン(a00825)の言う通り、今日のお目当ては夜のお茶会だけど、まずは花畑探しが先。
「しかし……古地図1枚で花畑を探すとはまた、難しい依頼じゃのぅ」
 件の地図を眺めてウーンと唸り声を上げるのは、薔薇の狂戦士・ライナー(a02455)だ。
 とは言え、これも可愛い娘や妹達の為。ここは1つ気張ろうかと、早速色々な準備で大荷物だ。まあ、力自慢の狂戦士なら、これで登山しても大丈夫?
「あの……」
 いつものように身軽な旅装束の放浪する地図士・ネイネージュ(a90191)は、何処か困った様子。
(「お茶会!! お茶会だよ、お茶会!! ……っていうか、お茶会って何? え〜っと……お茶飲んでお喋りする? ホントにそれだけなのに……何故こんな緊張するんだ」)
 何やら内心でワタワタしている熊・フォレスト(a07089)は、可愛くはあるけど熊さんスーツが暑そうだし。
「あ、服は普段着でいいのかな? やっぱ正装とかするべきかな? と、兎に角! 今日は皆で一緒に(1人だけ優雅に)お茶! 激しく(優雅に)お茶会だよね!」
「えっと、フォレストさん……」
「わーい、星祭りー♪ お茶会〜♪ やっぱり浴衣と扇は夏の定番よ! ほらほら、このブレスレット、義兄さんからのプレゼントだけど鈴の音が綺麗だよね♪」
 上機嫌の星海舞桜・クール(a09477)のお洒落も気合が入っていて素敵、ではあるけれど。
「……お花畑の前に、山登りがあるんですが」
 地図を信じるならば、花畑の前に幾つもの峰を越えねばならない訳で。
「一応、テントも用意していますから。現地で着替えるというのは……」
「えーっ!?」
「うん? クーちゃん、どうかした?」
 思わず上がった不満の声を聞きつけて、ヒョイと顔を出したのは双華紋・ナガレ(a05376)。
「!? な、ナガレっ!?」
「今日はよろしくね。お茶会かぁ……何か、楽しみだなー」
 屈託ない少年の笑顔を余所に、クールは大慌て。
「ナガレが一緒だなんて聞いてないよ。ちょっと、イヴどういう事〜っ!!」
「今日も楽しく冒険するですょぅ♪……うにゃにゃっ!?」
 猫少女幻影翠夢想・イヴ(a13724)の肩を揺さぶりガックンガックン。そんな嬉し恥かしの照れ隠しに、暁天焔狐・ジオラ(a15279)は思わず目を細める。
(「久しぶりにイヴに呼ばれて来たら、お茶会のお誘い……もとい猫の集会場の捜索だなんて、本当に変わってないようね」)
「猫の集まる花畑……何と言うか、確かにイヴの為にあるような場所だよな」
「ええ。星影のお茶会……素敵ね。3人揃うのも久しぶりだし、楽しみだわ」
 じゃあ、頑張って探そうか――霧玄ノ月・シェルティ(a12731)と顔を見合わせて、微笑ましげに頷き合った。

「ここが?」
「はい、リエンス渓谷です」
 振り返ったネイネージュは後続の面々に頷いた。
 麓の村より冒険者の足で約1時間。吹き上げる風の音に混じり、絶壁の遥か下の方からせせらぎの音が聞こえてくる。
「谷の奥は、狼の縄張りみたいです」
「うわぁ、ホントに宝探しね。元海賊の腕が鳴るっ! マロン、シェル兄も見て〜」
「ふんふん……まずは、『リエンス村』があるかどうかの確認だよね〜」
 古い言葉なら紋章術士にお任せとばかり、地図の文字を読み取ろうとするクール。マロンは周囲の地理と地図に合致がないか、辺りを見渡している。
「むむぅ、本当に見にくい地図じゃのぅ」
「んー、これといって目印がある訳じゃないし……」
 もし、村が……人伝の手掛かりがなければ、花畑探しは難しくなるだろう。ライナーも古地図から少しでも情報を読み取ろうと、クールやシェルティと額をつき合わせている。
 さて、これからどうしよう――一応に考え込む中で、マイペースにペンを走らせるネイネージュの横から、ジオラが地図を覗き込む。
「地図の復元はできそうですか?」
「まだまだ、これからですが……それがお仕事ですので」
 返答はいっそノンビリしたもの。今度はイヴが袖をクイクイと。
「ネイネージュにゅ、イヴもマップ描いてみたいから……横でお勉強させてもらうにゃぁ♪」
「良いですよ。じゃあ、これが下書き用の方眼紙になりますので――」
 素敵な地図をくれた所為か、優しげな雰囲気に馴染んだのか、すっかり懐いた様子のイヴに、ネイネージュも丁寧に地図描きの基本から教えていく。
(「誰かから依頼された訳でもなく、あるのかさえも判らない場所を求めて、仲間と一緒に道無き道を行く……ただ辿り着いた場処で仲間と過ごす為に。そっか……こういうのも、冒険っていうんだね」)
 こんなに楽しい気分の冒険は初めてかもしれない。つい笑み零れるナガレだったが、ハッと谷の一点に目を留めると思わず駆け出した。
「あ、待ってよ!」
 慌てて皆で追い掛ければ。
「これは……道?」
「崩れ掛けてるけどね」
 地図に村とあるからには、大なり小なりの『道』はあるだろう。近隣の付近の村と往き来出来るように。
 ナガレの予想通り、麓の村から谷へと向かう道沿いに見付けたそれは――獣道の類ではなく、明らかに人の手が整えた山道のように思えた。

 うねうねと谷沿いにくねる細道の先――果たして、冒険者達の前に現れたのは。
「良かった。本当にあったんだね」
 優雅なお茶会目指して邁進していたフォレストも、ホッと一息。だが、ネイネージュは微かに眉を顰めている。
「これは……あったと言って良いのでしょうか」
 雑草に埋もれた看板は、辛うじて『リエンス』と読み取れる。続く砂塵舞う道の両側に、軒を連ねる丸太小屋の数々。その大半が朽ちている。
 リエンス村は確かにあった。だが、明らかに人は住んでいない。ナガレとクールは困惑の面持ちだ。
「うーん。村が見付かれば、花畑への大きな糸口になると思ったんだけど……」
「地図が本物らしいのは良かったけどね」
「まあ、相当に古い地図というのも判ったがのぅ」
 そう言えば、ライナーの麓の村での聞き込みでも、星影の花や猫の集会場について全く判らなかった。
「どうするの? 捜索の基本は、聞き込みだけど……」
「獣達の歌で、聞いて回る?」
「猫でも出て来て、都合よく案内してくれればいいんだけどな」
 ジオラやマロンの言葉に、肩を竦めるシェルティ。
「皆で話し合いながら、少しずつ道を探すのが確実なのかなー」
「…………あれ、イヴは?」
「え……?」
 言われてみれば……小柄なドリアッドの少女は影も形も。慌てて周囲を見回すと。
「みんなー、おじいさんがお昼御馳走してくれるにゃぁ」
 無邪気な声が響き渡る。道の向こうには、ねこねこコートにねこにゃんなバックは斜めに掛けて。老人と手を繋いだイヴが、元気良く手を振っていた。

 老人は今は亡きリエンス村の出身だった。夏場はリエンスの廃村に、冬になれば少し麓の山小屋で暮らし、1年中山を見回る山番だという。
「……まあ、この村最後の人間だろうなぁ」
 廃村となった理由は黙して語ろうとしなかったが、代わりに星影の花の事となると懐かしそうに目を細めた。
「ああ、その地図は間違っちゃいねぇ。谷を渡って、北に山を幾つか越えれば……その内見付かるだろうさ」
 距離にして、夕方まで着くかは怪しい所。急ぎ出発する冒険者達を、気のいい山番は手を振って見送ってくれた。

 星影の花畑は、谷を渡って山を幾つも越えた先――まずは、狼の縄張りを突破しなければならない。
 チリンチリンと空気を震わせるのは、クールの腕輪の銀の鈴。この音で狼が集まって来ても撃退すれば良いと、本人は頓着していないが。
「……いるようだな」
「そうじゃなぁ……」
 何処か張り詰めた空気に、自然と足取りも慎重になる。警戒した面持ちで周囲を窺うナガレ。殿のライナーも対斧を両手に油断ない。
「まあ、もし出てきても、ジオラがきっと全部やっつけてくれるだろ」
 軽口を叩くシェルティだが、おずおずと寄り添ってきたイヴを庇うように前に立つ。
「!!」
 ギャンッ!
 眩い光の弧を描き、ジオラの斬鉄蹴が閃く。突如飛び掛ってきた狼は、鋭い一撃に屠られる。
 ウォォォンッ!
 俄かに殺気立つ。次々と現れ、牙を剥く狼の群れ。
「くっ!」
 ライナーが前に出ようとするも、絶壁とせせらぎに挟まれた道幅は狭い。機先を制した群れが一斉に襲い掛かる。
「っ!」
 ナガレは咄嗟に、軽太刀で狼の牙を受けた。威嚇に留めるつもりで返す刃は峰打ち。それでも、地面に叩きつけられた狼は動かなくなる。
「イヴ、俺の後ろに!」
「はわぁ、怖い狼しゃんがいるのねぅ。誰か、追い払ってくれるかにゃぁ」
 シェルテイから牽制のエンブレムシャワーが迸り、涙混じりのイヴの眠りの歌に狼が脚を縺れさせる。
「退治、とまではいかなくても追っ払えば良いのね?」
「まあ、襲われるようじゃ仕方ないし」
 マロンとクールのエンブレムシュートが、ナガレに噛み付こうとした狼を打つ。
「わしの大切な者達は傷付けさせぬぞぉ!」
 ――――!!
 漸く前に出たライナーの咽喉から紅蓮の咆哮が迸る。アビリティの力に抑え込まれた狼は、悔しげに唸り声を上げた。
 オォォォンッ!
 突如、轟く咆哮。狼の攻撃がぴたりと止む。見れば、絶壁の上に大きな影。その周りを、先刻以上の数の狼が取り囲む。
「ボス、かな?」
「多分……」
 暫しの睨み合い。一際大きな黒狼は、唸り声1つ上げずに冒険者達を見下ろしている。
 これならば……クールは大きく息を吸い込んだ。
「♪ 此処は貴方達の秘密の場所かしら? 荒らしたりはしないから、どうか今宵星降る夜、私達の宴の為に通して戴けませんか?♪」
『…………』
 獣達の歌にも、黒狼は何も答えない。まあ、先制されたからとはいえ、一戦交えた後では説得力も弱いが仕方ない。
「敵わぬと悟ったらすぐさま逃げよ。退くのも生きていく上で必要なことぞ?」
 ライナーの恫喝めいた言葉は歌を通してではなかったが……。
 オォォォン――。
 もう一声鳴いて、黒狼は踵を返す。その姿が見えなくなって――狼達も次々と姿を消した。

 ――何とかリエンス渓谷を後にして、山を登ったり下ったり。
「猫さん、いないねぇ」
「うん……」
 あわよくば猫に道案内を頼もうと考えていたマロンだったが、野生動物は警戒心が強いものだ。鳥の鳴き声が聞こえるだけで、冒険者の前に姿を現す事はなく。
「んと……そろそろにゃ?」
「後1つ、峰を越えた先でしょうか……?」
 シェルティと手を繋いで地図を覗くイヴに、ネイネージュの返答もはっきりしない。
「猫を探すというのでしたら、呼び寄せる策も講じた方が良かったかもしれませんね」
 それでも、ここまで来れば進むしかない。
「そろそろ日が暮れるわね」
 急速に陰る日の光に、ジオラも焦りの色を隠せない。その時。
「イヴ!?」
「猫にゃん、待つにゃー!」
 突然、1人駆け出したイヴを慌てて追い掛ける。少女の雪うさぎのランタンが照らした先に、ちらりと見えたのは……茶虎の尻尾?
「置いてかないでなのよぉ」
 恐らく1番視線の低いイヴだからこそ、見付けられたのだろう。
 走る猫、追う冒険者――時に木の根に躓き、茂みに分け入り、走って走って……。
「うわぁ!!」
 突然開けた視界に、思わず目を見開く。
 木々に囲まれて広がる野原。西の残照は赤々と空を彩り、東には既に1番星が瞬く。そして……。
「キレイ、なのよぉ……」
 風に波打つ草海にチラチラと輝く、まるで蛍火のような――星影の花。
 息を呑む冒険者達から離れてごろんと寝転がったガイドの猫は、ニャァと鳴いてカリリとリェンリックの実を齧った。

 何とか星影の花畑も見付かって、やっと素敵な夜のお茶会の始まり始まり。
「マロン、そこの茶器、取ってくれんかのぅ?」
「はーい」
「マフィンとサンドイッチ、こっちに置くな」
 ライナーが背負ってきたクロスを広げて、持ち寄ったお菓子を並べる。
「何かアレだね。お茶会って聞くとスゲー優雅というか……高貴な人の3時のおやつって感じしない?」
 それで、ちょっぴり緊張気味のフォレストだったが、渡されたカップに顔を顰めた。
「俺、紅茶苦手……飲めない事もないんだけどなぁ。何かダメなんだ」
「でしたら、ハーブティーはどうですか?」
 ふわりと花のような香りが漂う。フォレストとカップを交換したネイネージュは、のんびりクッキーを摘む。
「お菓子も色々ありますね」
「あ、俺甘い物は結構好き♪ ケーキあるかな?」
「ジュースもあるにゃぁ」
 ウキウキと楽しそうなイヴの表情が、更にパッと輝いた。
「猫にゃんよぉ!」
 見れば、何処からともなく現れた猫達が、思い思いにくつろいでいる。
「可愛い♪」
 そっと手を伸ばしたマロンをチラと見た三毛猫だが、逃げる素振りもなく撫でられるまま満足げに咽喉を鳴らす。特別に用意してきた猫用のお菓子やお茶も気に入った様子。
「偶にはこうしてのんびりするのもいいもんじゃな〜」
 緑茶の湯呑み片手に猫を膝に乗っけて、おじいちゃんを決めこむライナー19歳。
「んっ。美味しいね、このクッキー。今日はまた格別に……れ、れんりっくの花が綺麗だからかなぁ」
「ホント? これ、私が作ったんだけど……うん、きっと皆で楽しいからだよね♪」
「そうだな。またとないこの瞬間が、オレ達の宝なのかも」
 今度こそ浴衣に着替えて、ナガレの隣に座ったクールは幸せ一杯。お手製クッキーも褒められて、ついつい口元が緩んでしまう。
「綺麗ね。こんな幻想的なお茶会は初めてだわ。これ以上にない贅沢ね」
 空には白々と輝く月と星。地には煌き揺れる星影の花々。
「ほんと、イヴっておいしそうに食べるなー」
 そして、目の前では他愛ないお喋りしながらお茶を飲むシェルティと、お菓子に夢中のイヴ。
「そう言えば、初めて会った時も、そうやってお菓子を食べてたわね……本当に変わらない」
 思わず、ジオラはクスクス笑う。懐かしい昔……また、こうして3人でお茶会する日が来るなんて、思ってもいなかったから。
「ああ、あの頃もこんな風にお茶した事あったよな」
 じゃれてきた子猫を抱き上げて、シェルティも暫し思いを馳せる。
 天と地の星影に包まれて、猫と戯れ、お茶会を楽しむ――イヴ達の星祭りは、まだまだこれから。
「帰るのが惜しいなー」
「また、ここに遊びに来ようにゃぁ。もちろん、リ……レェ……リェン、リク? のお花も一緒に見たいにゃぁ♪」
 早速、来年の約束を皆で指きりげんまん。にゃんこ達ともお約束。
 こうして――楽しげな歓談の声は一晩中、星影の花畑にざわめいていた。


マスター:柊透胡 紹介ページ
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