<リプレイ>
●ノソリンを狩りに 快晴晴天ノソリン狩り日和。(そんな言葉はない) 大祭の競技で使うノソリン狩りに向かう大所帯を率いているのはヒトの霊査士・ルーカス。率いているというか寧ろ引率してもらっているが正しい気もするだって転ぶし。結構な頻度で。 「嗚呼、ノソリン……」 「何泣いとんねん?」 空を見上げて涙するはナナイロ・ハチャック(a02091)。それに容赦無く突っ込んでいるのは朱陰の皓月・カガリ(a01401)である。なんかノソリンに熱い思い入れでもあるらしい。 果たして気合が入っているのかいないのかのさっぱりなものもいる。天地無用取扱注意・パペピプ(a03042)等がその筆頭だ。愛用のだんぼ〜るを手にほてほてと歩いている。 「……大丈夫なのか」 そう呟くなり本日3回目になるつんのめりをルーカスは披露する。お前が一番大丈夫じゃねえぞ。 一行は微妙に不安ながらもノソリンの待つ地へと向かうのだった。
●受難の男 群生地と言われるだけにその地にはノソリンの姿がちらほら見える。かなりの広さの平原だというのに目に付くところには居るのだから大した物だ。 ほのぼのとしたその光景だが、大人しくほのぼのしてくれないものたちも勿論大勢居る。 「なんなんだお前、その微妙な生暖かい笑みは……」 「だーいじょうぶだよおとなしくて賢いコだから」 「ルーカス兄ちゃん、上に乗って踵でノソリンの腹を蹴ってくれる? 俺は矢尻でツンツンお尻突付いてみるから」 笑顔で迫るヒトの武人・ゼナヴィスク(a00268)と、笑顔でヒデエこと言ってやがる喰い盛りの牙狩人・ジャム(a00470)。早速捕獲したノソリンにルーカスを乗せるつもりらしい。 乗りたくない、というより乗れないルーカスが冷や汗をかいて周囲に助けを求めたのは言うまでもない。しかし、 「どれだけ運動音痴か気になって夜も眠れねぇからよ、一つ死んだ気になって」 とはニュー・ダグラス(a02103)。 「ファイトー!」 と来るのはストライダーの翔剣士・シルキス(a00939)。どーやら世の中神も仏もないらしい。 「医術士さんもいるし、大丈夫だろうけど……こんな時くらいしか特技発揮できないから…どーんと!!落っこちてね!!」 「お前らは何を期待している!?」 ものすごく正直に言ってのけた黒紋の灰虎・カラベルク(a03076)に、ルーカスは思わず怒鳴ったが抵抗空しくノソリンの背へ上げられてしまう。さぁ死んでくれ。(待てや) 頼みの友人達はといえば、 「ルーカスさまも……慌てなければ大丈夫ですわ」 「……すまん」 にこやかに応急セットを指し示す白き雪の癒し・ファレア(a00332)に、先に転んでしまっている天眼・キャスレイ(a02922)。 「ちょ、一寸待てだから!」 ぽく。どて。 ゼナヴィスクの選んだ大人しいノソリンは三歩と歩けなかった。大地に顔から着地したルーカスを見下ろし、 「……えぇと、その、いつも派手に転んでるのに、たいした怪我もしないなんて、ルーカスさんてすごいですよね。なんていうか、転びの職人芸って感じですよね!」 素晴らしい追い討ちをかけた。合掌。
●のんびり暢気に 一方がルーカスと(でが正しい)遊んでいる余所では、のんびりとピクニックを楽しんでいるものたちも居る。 幻月の陽炎・クローディア(a01878)、天使のたまご・アンジェリーナ(a00810)、赫色の風・バーミリオン(a00184)は捕らえたノソリンの頭にリボンなど飾ってみているし、紫苑の術士・ニクス(a00506)、若草ノ術士・ピート(a02226)、戒剣刹夢・レイク(a00873)はノソリンにニンジンなど与えつつ、自分達も弁当を広げている。 蒼穹緑桜・ネルケ(a04065)などちゃっかりロップイヤーと仲良くなっている。そよ風の織り手・モニカ(a00188)に至ってはノソリンの背で昼寝を始める始末。 実際ルーカスがやりたかったのもこうした骨休めなのだろうが現実はノソリンと強制遊戯だ。 「うんうん、皆のんびりと楽しそうで良かったな〜」 しみじみ呟いた炎髪の大番長・フィル(a00166)の言葉に表れるとおり、ルーカスの窮状は完全に頭にないらしい。 星辰の爪牙・アンリ(a00482)はノソリンにブラッシングをしてやりながら恋人の笑顔の舞娘・ハツネ(a00196)と笑いあっていたりとか。 ゆったりとした気持ちのいい午後だった。 極一部にとっては。
●探求者 さて、のんびりしつつも自らを高めようとしているものたちも居る。 金髪の・アゼル(a00436)、八卦の武術家・シェン(a00974)、梁山泊の包丁・シュハク(a01461)等がそれだ。シュハクの飼いノソリンのお嫁さんを探すべく奔走してみたり。いや嫁にはきてくれませんが。ちょっと遠距離恋愛過ぎて。って言うかそれ探求と違うし。 「俊敏なノソリンというのも見てみたいが……それとノソリンは何を考えてるんだろう、目と目で通じ合うというが見てみるか……」 捕らえたノソリンにガン垂れて無理難題を要求しているのは姿無き鵺・ミスト(a00792)。微妙に探求と違うな君も。 「連れ帰れんのもなあ……」 等と言いつつ朽澄楔・ティキ(a02763)はせっせとノソリンに餌付けをしている。いや超距離移動できない生物なんでその……エサが勿体無いだけっつーかなんというか。やっぱ探求じゃないな。懐寂しくなった彼に励ましの御便りは届くのだろうか来たらトドメかもしれないまあいいが。(いーんか) 「ノソリンを連れて帰れないのは残念ですけど、お友達になれたら嬉しいですわ♪」 分かってくれてありがとう緋色の髪の弓使い・ビクトリア(a01407)。ノソリンの仕草などを観察しつつ、和んでいる彼女に幸多かれ。 ともあれノソリンを監察してみたりもしている一行だった。
●ノソリンを狩って 「えええええ〜〜〜〜????」 大合唱。 何故かボロボロになったルーカスは徒歩。それぞれはとりあえず飼って来たノソリンの上からルーカスを見下ろし文句の大合唱を降らせた。 「あのな。俺に言ってどうする」 「気が合いそうな小柄な子を連れて帰りたかったのに……」 声を上げた銀笛奏でし術士・ユーリア(a00185)をはじめ、蒼天に輝く神翼の刃・ティエン(a00455)も不満そうである。こちらはまあ自分がというより恋人が連れ帰りたかった模様だが。 「ノソリンの子供を1匹ください。酒も饅頭も煎餅もいりません」 天狼の黒魔女・サクヤ(a02328)がきっぱり言い切る。ルーカスは頭を抱えた。 遠距離恋愛の彼女を見つけてしまったらしい飼われノソリンも不満そうである。 「あのな、だからなんでここへノソリンを狩りにきたと思ってるんだ。会場からさして距離がないからだろう。そもそもノソリンは長距離移動はできん動物なんだぞ。 他にも山とノソリン希望者はいたようで、一様に不満を示されてルーカスはうっと詰まる。かといって修正なのであるどーしようもない。 「だから諦めて……」 くれるとも思えんが。その不満は赤炎の邪竜導士・ルヴィン(a03635)のある行動が解消した。というか、まー溜飲を下げたといいますか。 「あれだけ練習してもダメだったんだよなあ。……じゃあいっそノソリンの背に縄でくくりつけるか」 「あ?」 なんとなく不満だった一同がそんな美味しい発言を見逃してくれるわきゃあない。 ルーカスは会場までの道程を生まれて初めて真っ当にノソリンの背に揺られて戻った。 縄でつながれて、だったが。
こうして競技用のノソリンは十分に確保されたのである。 大勢の不満と、ごく一部のかなーりの不幸をもって。

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参加者:33人
作成日:2003/11/29
得票数:ほのぼの23
コメディ11
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冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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