黒桔梗の森:対決! 月多亜モンスター! 〜始まりのプロトン〜



<オープニング>


●報告
 ……ボッ! ボッ! ボッ!
 闇に支配されていた謁見の間に次々と青白い炎が灯る。

「……皆揃っておるようだな? では皆に申し渡す事がある」
 底王・ゴオルは謁見の間に集った忠実なる兵士たちに向かい、厳かに口を開いた。
「我が恐竜王国の誇る偵察部隊が黒桔梗の森にて『緑色の発光体』を発見したという報告を持ってきた。
 問題はないとは思うが『万が一』という事もある。

 我こそはと思う勇者は名乗りを上げるが良い。待っておるぞ……」
 ゴオルは何時になく真剣な表情のまま目を閉じた。

●プロトン
「ぬう……」
 名乗りを上げた者たちと共に、黒桔梗の森に足を踏み入れたゴオル。
 報告のあった場所で彼が見たものは、一抱えほどの大きさの緑色に光る石、そして光を浴びて佇む一体のモンスターだった。

 そのモンスターは灰色の鎧に身を包み、灰色のマントを風になびかせて立っていた。
 右手には片手斧を持ち、左腕の先は槍になっている。槍の穂先は螺旋状に渦を巻いていた。

 唐突だが、ゴオルはこのモンスターをプロトンと名づけたようだ。
「行くぞ。奴――プロトンに恐竜王国の恐ろしさを思い知らせてやるのだ!」
 王の号令の下、兵士たちはそれぞれに武器を構える。
 プロトンの背後、黒桔梗の森の奥に、もうひとつ恐ろしい敵の気配を感じながら……。

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参加者
底王・ゴオル(a07582)
怪竜総督・バーヴェン(a11666)
蒼風の旅竜・シン(a11942)
高機動型・ザク(a19335)
大重騎士・ガルガルガ(a24664)
愛してるぜ皆・ジアド(a24688)
月夜の闇に吹く風・マニナ(a25919)
戦渦と繋がる赤い糸・ナナシ(a28197)


<リプレイ>

●プロトン撃破
「日光浴……じゃ……ないか」
 緑の光を浴びるプロトンを見て、月夜の闇に吹く風・マニナ(a25919)が呟く。
「やはり直接光を喰らうと溶けたりするのだろうか……?」
 蒼穹の風竜・シン(a11942)はマントで体を隠し、発光する石をちらりと見やる。
「浴びても大丈夫みたいよ?」
 深く考えないマニナは戦場を満たす緑の光を先程から浴び続けているが、変わったことは起きないようだった。それを受けてシンも警戒をゆるめる。
「長期戦になったらこちらが不利じゃな。癒し手も不足しておるし、ここは短期決戦が吉か……」
 底王・ゴオル(a07582)はそう言ってから、心の中で付け加える。
(「こやつ以外の殺気も感じるしのう」)

「――イでよ……我が護りのパートナー……」
 味総督・バーヴェン(a11666)がふわふわした羽毛の塊のような存在、護りの天使を召喚し、プロトンの右手に回り込む。
「恐竜王国に仇なすものは、このガルガルガが倒す!」
 回復役であるのに勇ましい、饕餮の重騎士・ガルガルガ(a24664)が左へ。鎧進化で防御を固めるのも忘れない。
 ゴオル自身は長剣のオーパーツをウェポン・オーバーロードで強化し、プロトンの前に立ちはだかった。

 プロトンの方もじっとしているわけではない。
 右手の斧を勢い良く振り上げ、ガルガルガに狙いを定めて跳びかかって来る。
 そこへ光の軌跡を描きながら、一本の矢が飛来した。それを避けようとしてバランスを崩したプロトンの攻撃を、ガルガルガは紙一重のところで回避する。
 ホーミングアローの方は軌道を変えて、プロトンの鎧の隙間に突き刺さった。
「下手を打つなよ、相棒」
 ガルガルガに木の上から声がかかる。声の主、彼の相棒である観射間隙天霰・ジアド(a24688)に、ガルガルガも声を返した。
「頼りにしているぞ、相棒」

「当らなければどうという事はないっ!」
 高機動型・ザク(a19335)はイリュージョンステップを使い、巧みな足捌きを見せながら敵の周囲を動き回る。
 と同時に、新たな敵への警戒も怠らない。
 ジアドの攻撃でできた隙を逃さず、シンは斬鉄蹴で追い打ちをかけた。シンの足が輝く弧を描くと同時に、鉄の割れるような鋭い音がしてプロトンの鎧の一部が割ける。
 かなり痛烈な当たりだったはずだが、プロトンはすぐに体勢を立て直してバーヴェン、ガルガルガ、ゴオル、シンの4人をぐるりと見回し、隙を探る。まだ致命傷というわけではなさそうだった。
 
「全ては陛下の御心のままに……」
 戦火と繋がる赤い糸・ナナシ(a28197)は後方に詰めて戦いの様子を見守る。負傷者が出れば交代して前線へ出る手筈だ。
「おいでなさい、私の可愛い下僕」
 ナナシは投げキッスと共に土塊の下僕を召喚し、プロトンに向かわせた。
 マニナはライクアフェザーで身のこなしを羽のように軽くする。
 続いて土塊の下僕が4人の包囲の間にマニナが素早く割って入り、殴りかかったが、これは軽く斧でいなされた。

「――みんな……恐れることは無い……我々には……友情パワーがある……」
 バーヴェンは護りの天使に続き、マッスルチャージで攻撃力も上げる。
「……たぶん……な」
「不確定なのか!?」
 ガルガルガの衝撃波による攻撃。
 それを正面から斧で受け止めたプロトンの側面から、ゴオルの長剣による攻撃。
 さらにジアドのホーミングアローと、
「見せてもらおうか、プロトンの力とやらをっ!」
 ザクが肩に担いだ筒状の武器から発射される、これもホーミングアロー。
 プロトンはふいに駆け出してまずゴオルの一撃を避けた後、ぎゅぃぃぃぃん、と不吉な音をたてながら左腕の螺旋槍を回転させ、二本のホーミングアローを削り落とす。そのままの勢いでバーヴェンに螺旋槍を突きつけた。
 まず護りの天使がバラバラになり、それでは止めきれずにバーヴェン本人も体を削られる。

 シンが再び斬鉄蹴を入れてプロトンの動きを止め、傷を負ったバーヴェンはマニナと位置を交代して一度下がった。
 ナナシはもう一体土塊の下僕を作ってプロトンに向かわせる。
「恐竜王国に栄光あれエエエ!」
 前に出たマニナのミラージュアタックが三方の選択を迫り、選択を誤ったプロトンに傷を負わせる。
 しかし続いて来た2体の土塊の下僕を足蹴にして転ばせるプロトンは、まだまだ動ける様子だった。

 ガルガルガが祈ると光り輝く聖女が現れる。聖女は、再び包囲の輪に入ってデストロイブレードで爆発をプロトンに叩きつけたバーヴェンに優しくキスし、プロトンが反撃に出る前にタイミング良く癒した。

 この後もプロトンとの戦いは続いたが、負傷した者を後退させてガルガルガの癒しの聖女、ゴオルの癒しの水滴で回復させて、重い傷を負うことなくプロトンを追い詰めた。

「残念だが、君には私を倒せるだけの性能は無い」
 ザクの矢が最後の一撃となり、プロトンはその場にくずおれて動かなくなった。
「底王様万歳! 恐竜王国に栄光あれ!」
 ジアドを皮切りに、各々が喜びの声を上げる。
 しかし余り喜びにひたる暇はなさそうだった。一同のプロトンとの戦い方は速攻というよりはやや慎重で、時間を浪費したということは無いが素早く片付けてもいない。ゴオルたちが初めに感じていたもう一つの敵の気配は大きくなっていた。

 ゴオルは皆の様子を一瞥する。各々まだ戦う余力は残してあった。
「皆どこかに身を潜めろ。こやつ以外の個体が存在するかどうか、観察するのだ」
 プロトンの残骸を茂みに引き込みながら命ずるゴオル。
 その言葉を受け、各々は木の上の葉の陰、岩の裏、茂みの中などに身を潜めた。
 やがて気配は大きくなり、それと共にガシャンガシャンという鎧を着て走っているような音が聞こえてきた。
 音は素早く近づき、すぐ近くまで来た。と感じた時には、緑の石の前にプロトンに似た姿のモンスターが立っていた。

●月多亜イーグル
 姿はプロトンに似ているが、鎧の色は赤を中心としているこのモンスターを、ゴオルは月多亜イーグルと名づける。
 ところで、ゴオルたちは単純に身を潜めようと考えただけで、咄嗟にプロトンの残骸を隠すぐらいのことはできても、戦いの痕跡にまでは思い至っていなかった。

 イーグルは緑の石の前に辿り着くなり、地面に残った戦いの痕跡――地面を強く蹴りつけて走った跡、攻撃を受け止める時に踏んばった跡、外した衝撃波がつけた凹み、流れ矢に折られた小枝、血で濡れた地面など――を見て取り、つい先程ここで戦いがあったことを悟ったらしかった。どうするのかと観察を続けると、敵を警戒したのか周囲を探り始めた。

 このままだと誰かが見つかり、攻撃を受けることになる。それよりは今、一斉に囲んで全力で叩く方が良い。と、ゴオルは判断した。
「一斉に攻撃を仕掛ける!」
 茂みから飛び出してまだウェポン・オーバーロードの効果の残ったオーパーツで斬りかかる。
 イーグルは右手の斧で受けるが、その隙をゴオルに呼応して襲いかかって来た団員たちに狙われることになる。
「――しょっく、しょっく、しょっく……すべては陛下の為……デストローイッ!!」
 ゴオルはバーヴェンの攻撃に合わせて飛び退く。デストロイブレードが腹部で爆発し、イーグルがよろめいた。
「相棒!」
「おお!」
 タイミングを合わせて、ガルガルガの衝撃波が右から、ジアドのホーミングアローが左から命中する。
 ザクがイリュージョンステップで動き回り、敵の注意を引いたところに、
「我らの天敵……なのかも知れぬが……だからと言って引く気はないのでな!!」
 シンの斬鉄蹴が決まった。
 続いて2体の下僕がイーグルに纏わりつき、ナナシの電刃衝とマニナのスピードラッシュ。
「快感かしら?」
 ナナシが問いかける。
 しかしイーグルは麻痺した様子もなく下僕を振り払う。そこにもう一度ゴオルが斬りかかろうとしたが、イーグルの反撃で止められた。

 月多亜イーグルはゴオルに対して向き直ると両手を引き、腹部から薄赤い輝きの奔流を迸らせた。
「ぬおおっ! 月多亜ビームか!」
 ゴオルは避けきれずにまともにそれを受ける。バーヴェンが背後から斬りかかってイーグルの攻撃を止めた。
「……月多亜ビーム? ヤバくないか…?」
 シンがぽつりと漏らした。色々な意味のヤバさが彼の頭の中を駆け巡っている。

 一撃で終わりとまではいかなかったが、かなりの生命力を削られたゴオルは後ろに下がる。癒しの水滴で傷を癒したが、それだけでは足りず、ガルガルガも癒しの聖女を使った。
「底王様、回復はこれで最後です」
「我もだ」
 ガルガルガに応えたゴオルの目に戦いの様子が飛び込んでくる。
 ジアド、ザク、シン、ナナシ、マニナのそれぞれの攻撃がイーグルの動きを少しずつ鈍らせていくが、イーグルの再度の月多亜ビームを次はマニナが受ける。
「……ゴオル様、残念です……」
 マニナは戦い続けるだけの力を失って倒れた。

 回復力が尽きたため、これ以上戦うなら冒険者たちの全滅が早いか、イーグルの死が早いかという攻撃の応酬になる。
 刃を交えた手応えからは勝ち目もかなり感じられたが、負けがないとは言い切れなかった。
 それにプロトンを倒し、イーグルの実力も計るという収穫を得た今、一度撤退してもそれは次に繋がる撤退といえる。

 ゴオルは撤退を決意した。
 仲間たちがプロトンの動きを牽制している間に自力で後退したマニナを背負い、号令する。
「皆聞け! ここは一時撤退する!」
 ゴオルの指示に従い、ナナシ、シン、ザク、ジアド、バーヴェンがじりじりと敵との間合いを開き、隙を見て逃げ出した。
 追おうとするイーグルの前にガルガルガが立ちはだかる。イーグルは邪魔者を退かそうとビームを放つが、ガルガルガは鎧進化の力でしっかりとガードし、僅かな傷で抑えた。
 ゴオルたちはその間に走り去ったが、ザクとジアドは弓の射程ぎりぎりまで来ると足を止め、イーグルにホーミングアローを撃ち込む。
 2本の矢に射抜かれてイーグルが怯んだ、その隙にガルガルガも踵を返し、ザク、ジアドと共に仲間たちの後を追った。

「次に会ったら覚えとけ〜!」
 マニナの力ない声を残し、冒険者たちは黒桔梗の森から撤退した。


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作成日:2005/08/02
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