ふわりんとあるこ



<オープニング>


 あの……今日はまたフワ村からのお願いがあってきました。
 フワリンといっしょに……歩いてもらえませんか?

 毎年この時期になると、フワ村ではフワリンのパレードをしていたんです。
 フワリンをお花できれいに飾って、何頭も連なって……。
 辺境の場所なので、そういった催しは珍しくて……近隣の村の人たちも楽しみにしている行事でした。
 でも……ピルグリムの騒ぎで去年は開催できなくて……。
 今年こそはと思ったのですけれど……フワ村の人は減ってしまって、パレードをするのにはちょっと人手不足で。
 それに、村の人にはピルグリムへの恐れがまだ色濃く残っていて……フワリンを連れてパレードにでかけるのは心配だというんです……。
 それで……。
 フワリンパレードのお手伝いをしてもらえないでしょうか?
 冒険者さんが一緒に歩いてくれれば、村の人も安心してパレードができるでしょうから。

 パレードはフワ村の東西2つのルートにわかれて行われます。
 東は広い広い野原の真ん中にある見通しの良い道。
 西は木々の生い茂る森の中にあるうねうねした道。
 どちらも、パレードの当日には、近くの村の人が見物に出てくることでしょう。

 フワリンのオーナーさんはぜひ、ご自分のフワリンを飾ってあげてください。
 オーナーさんではない方は、フワ村のフワリンを飾って、連れて行ってあげてください。
 飾るためのお花はフワ村の近くにたくさん咲いてます。
 東西それぞれのルートで、一番素敵な飾り付けをされたフワリンには『カシンフワ』という称号が贈られ、そのフワリンはその年多くの美しいものをこの地にもたらす……といわれています。
 今年のカシンフワはどのフワリンになるんでしょう……。とても楽しみです。

 これがフワ村の人とわたしからのお願いです……。
 どうか……よろしくおねがいします。

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参加者
NPC:天より舞い降りし翼・ミルカ(a90185)



<リプレイ>

●朝
「なかなか来てあげられなくてごめんね。元気だった?」
 フワ村に到着したリュフィリクトは、最初に会った時よりも大きくなったリュシェを抱きしめて、すりすり。鼻の頭にキスをして、お土産の人参と桃をプレゼント。初めてのパレードへの期待に胸膨らませ、7色の花を摘みに花畑へと出かけて行った。
「スミス、元気にしてたかなぁ〜ん?」
 ナナはスミスの頭を撫でた後、持ってきた衣装を着せ掛けた。ナナとお揃いのナース服。頭にはちょこんとナースキャップを載せて。自分でノソリン変身して確かめてきただけに、スミスもその着心地に満足そうだ。
「リトス、とても綺麗よ」
 ケラソスはブラッシングしたリトスに、青と白のチェック柄にドリアッドの12の花を刺繍したクロスを着せ、カランコエの花冠を載せた。落ち着けるようにと、銀糸のパンドゥーラでゆったりとした曲を弾いてやり。
 パルミスはファナムの耳にリボンを結び、そこに白い肌に映える赤い薔薇を飾りつけ。それから別の場所に移動して、どこでもフワリンを使ってみたが、召喚されたフワリンはファナムとは違った。いつでも呼び出して会える、という訳にはいかないようだ。
「ぷりんちゃん、ひさしぶり〜☆」
 カリュウトはぎゅむと淡い黄色のフワリンを抱きしめた。飾りつけは淡いピンクの花冠とこぼれんばかりの白い花。佳き日を迎えた花嫁のように幸せ色に包まれて。
「…シロ…元気そうだね。……安心したよ」
 アルムは甘えてはむはむと甘噛みするシロを撫で。さて、どう飾ろう? としばし考える。
「…一緒に…花摘みに行こうか」
 花畑に連れて行き、一緒に遊びながらシロツメクサでブーケを作り始めた。
 オーナー達にとっては久しぶりのフワリンとの時間だ。あちらでもこちらでも再会を喜び合いながらの飾りつけがされている。
 一方。
「あ……」
 シアンは以前会った事のあるフワリンを見つけて駆け寄り。
「このコのオーナーになりたいのです。パレードもこのコで参加させて頂いてもいいですか?」
 ずっと気になっていたフワリンを両腕で優しく抱きしめた。
「誰かを探してるなん?」
 ラトは淡い紫蘭色のフワリンの探し人に自分が探す人とどこか同じ匂いを感じ、このフワリンと一緒に参加する事に決めた。亡くなった人を思う花言葉を持つ花と、これからの希望を持つ花言葉の花を愛らしくリボンで飾り。首元には時計草をかけてやる。
 ガルガルガはちょっと太めの真っ白なフワリンに目を留め、仲良くなれないかとそっと近づき。
 人懐っこいフワリンを『螺旋』と名づけてみたら可愛い声で返事され、縁・イツキは嬉しくて抱きしめる。フワリンとの出会いも縁のうち。
「えっと……こんにちは。触っても良い……かな?」
 セリアは大人しそうなフワリンに話しかけ、嫌がらないのを確認してから撫でてみた。気持ち良さそうにすりすりしてくるフワリンに、これつけてみる? と青いリボンを差し出して。
 ファオは日向でぽわんとしているフワリンを百日紅で飾り付け。陽のぬくもりが手を通して伝わってくる。
 のほほんとしたフワリンに降り注ぐ、生命のぬくもり。生命の優しさ。こうしてパレードの為に集ってくれる人の心のようにぽかぽかと。

 緑の野に花の彩。
 真っ白な仔フワリンをオリエはチューリップとカスミ草で飾りつけ、ワンポイントにピンクのリボンを結び。
「なぁ〜ん?」
 飾られた自分の体を見ようとフワリンはぐるぐる廻る。
「トリエラちゃんは向日葵好きかな?」
 ランスはピンクのフワリンを向日葵でおめかし。やや小柄なフワリンいっぱいに、黄色い大輪の花を飾れば、フワリンの上に夏が咲く。
 シェルティも向日葵で耳飾りを作ってアクセントに。それと撫子で作った花環を耳にかけ。
「気に入ってくれた……かな?」
 機嫌良さそうに漂うエクリュの頭を、どきどきしながらも、一緒にパレードできる嬉しさをこめてなでる。
 カレンはピンクや黄色の素朴な野の花を使って、村のフワリンを可愛く可愛くドレスアップ。
「フルール、とっても可愛いわよッ!」
 薔薇をメインに青い花をワンポイント。王冠を載せた優雅で可憐なフルールの姿にセントは我慢できずにハグして撫で撫で。
「うーん、君にはどの花が似合うだろ……」
 チャザはフワリンを花傍に浮かばせて選んだ花で冠を作る。頭上に浮かぶ虹のようにまぁるく七色を編みこんでいくチャザを、フワリンは期待の眼差しで見守った。
 シアは旅団から持ってきたいろんな色の薔薇とリボンで、シフォンと名づけたフワリンをかわいく華やかに飾り、自分の髪にも同じ飾りをつけてにっこりと笑う。
「お揃いだよ」
 帽子の形の花飾り、マントを纏わせた洒落た飾りつけをしたアルスは、気に入ってくれたかどうかと、心配そうにフワちゃんを眺め。なぁ〜ん、と嬉しそうに寄ってくる様子にほっとした微笑みを漏らす。
「……ありがとな……」
 ティトレットは真っ白なフワリンの耳を基点に淡いレース編みを被せ、花をメインに散らして仰々しくなくかわいく飾り。仕上げに、と黒い仔猫を頭に載せる。
「くろさん、しろさんから落ちないように気をつけてくださいね」
 つやつやにお手入れしたユキに大き目の赤い花を少しとピンクの小花をたくさん、赤いリボンでつけているエリスの隣で、ヨタナンもユキを撫で。
「素敵だね〜。お花も似合ってるよ♪」
「ヨタナンさんは飾りつけ出来ましたかぁ? 良かったらお手伝いするですよぅ」
 人間の女の子を飾るのは得意かもしれないですけど、となにげに付け加えていたりするが、ヨタナンは嬉しそうに頷いて。
「エリスさんが『エリスさん』を飾ってくれるなら百人力だよ♪」
 飾りに使う猫のぬいぐるみと花をエリスに渡した。
「あまりゴテゴテした重い装飾は嫌がりそうだよね。どんなのがいいかな?」
 コウイチはウィンダムと相談しながら、ポカポカに羽飾りつきの鍔なし帽子と首輪をつけ、軽い生地のローブとマントを羽織らせる。一番を取る事よりも、まずは地元のエンジェルに楽しんでもらえるようにと工夫を凝らし。
 ウィンダムはアルトと連れ立って花を摘みにやってきたミルカに気づくと、手伝いの手を休めて近づき。
「……あの時は、よく頑張ったな」
 ミルカは何だろうと首を傾げた後、恥ずかしそうに目を伏せた。
「いえ……皆さんが助けて下さったお陰です……」
 そこにセッカがやって来て、ミルカにフワリンのピンブローチを差し出し。
「良ければもらって下さい。変かもしれないけど、ミルカさんのお陰でこの子に会えた訳だし。この子に会えると思うと、とっても嬉しくて幸せになれるんです。だから、ありがとう」
「御礼を言うのはわたしの方です……。皆さんがこの村に来てくださって、フワ村の人たちもフワリンもとても喜んでます。ほんとうに……ありがとうございます」
 ミルカは花畑の中飾りつけされてゆくフワリンの様子を示し、深々と頭を下げ返すのだった。

●東
「フワリンさん、たくさんですね」
 色とりどりの花冠を載せた大人になりたてフワリン、マシロを連れたユーリアは、花で飾られたフワリン達を眺め、微笑した。華やかだがのんびりとしたパレードだ。
「ふーちゃん、みんなとパレードできて良かったですね」
 アンジェリカは、ちょっぴり太めの首に花輪にリボンや石を絡めたリース、耳には真っ白なリボンを沢山つけたフワリンを、落ち着かせるように撫で続け。
「お二人とも、お似合いですよ」
 向日葵と露草で編んだ花冠、その真ん中に飼い猫のミストレスを載せた白いフワリンに、月無き闇夜・ナオは相好をにやにやと崩し……はっと我に返ってフワリンぬいぐるみに顔を隠してみたり。
 スイの耳にお揃いの青いリボンを結び、黄色い花の天使の輪を載せたサーリアは楽しくてたまらない笑顔で元気に歩いた。
 フワリンの頭、首、尻尾に手作りの花輪。背中に連れてきた猫のスラーと持参の抱き包み。その傍らを歩くアレグロは、無表情ながらも何やら楽しそうだった。40間近の男であっても、可愛いものは大好きで、フワリンが楽しんでくれるのは何よりの喜びで。
 青系統の花……豊かな愛の花言葉を持つストックにシランを添えて飾ったクラヴィエを連れたアウィスの隣には、赤と桃色の飾りに向日葵を飾ったフワリンを連れたネムの幸せな笑顔。新婚旅行途中でフワ村に寄った2人は、記念の意味もこめてパレードに参加をしている。これが終わったらフワリンで付近を散歩しようと話しながら寄り添い歩く2人を祝福するように、フワリンが両側でふわふわと。
 ミライは気持ちの良い草原の中を、白い布と淡いピンクや白い花で女神をコンセプトの飾りつけをしたミオギと、蒼い鳥のミユキを連れて歩いた。ちょっと照れるけれど、自分も飾り付けに合わせた衣装を身に着けて、観客に手を振って微笑みかけて。
「アーラ、しっかりして下さい!」
 ふかふかの布団を背に、その上にスイカや葡萄等の夏の果物を入れた籠を背負った白フワリンが暑さの為によろよろするのをフィーリアは急いでぱたぱた扇ぐ。東ルートは見通しがいいだけに日当たりも抜群だ。
「だ、だめですわよ、ふーわー。あとでちゃんとあげますから〜」
 向こう側では見物客のお菓子を食べようとするふーわを、ウィンディアが慌てて押さえ。お揃いの若草色のリボンでドレスアップしていても、食いしん坊な性格は変わらない。
 そして……パレードで最も歓声を集めているのは、シリックのトウニーだった。トウニーは虹の7色の首飾りをつけ、花車を牽き。シリックは横笛を吹き鳴らしながら軽やかに踊り、子供達や歩きつかれた人々を代わる代わる荷車に乗せてやり、皆がパレードに参加できるように心を配っていた。その願いは、かつてのような皆が喜びに満ち溢れる事。傷ついたこの大陸に、再び笑顔が咲くようにと。
「ぇへへ、パレード楽しいにゃあ……♪」
 小琴を演奏しながらイヴは花を撒き、歌声を響かせる。その歌声に呼ばれたように風が吹けば、イヴとラシュエルの花飾りをつけたストールが、翠の幻想のように漂い。
 ティキのシロにつけた薄く広がりのある花と葉で編まれた袋状、凧状の飾りが風をはらみ、大きく花と緑の彩を靡かせ。
 新緑の森の守り手・イツキのファイが纏う純白のヴェールが、槐を模った深緑色の翡翠のペンダントと白い花を飾った身体の周囲でふわりと翻る。槐の花言葉は『幸福』。翡翠は持ち主を守る石。この石が、いつもファイを守り幸福を引き寄せてくれるようにと、イツキはそっと手を合わせ。
 二ケーのシルリンが首にかけた大きな花輪と頭に載せた花冠、そしてポプリを芯にして作った花玉を両端に花を絡めた蔓……その上を吹きすぎる風は優しい香りに染められ、そこにニケーのリュートの弾き語り、ロビンの囀り、なぁ〜んというシルリンの歌声を乗せて、パレードを見物するエンジェルへと薫風を運ぶ。 
 フワリンも共に歩く人もそれを見るエンジェルも。みんなみんな嬉しくなれたら。それがきっと……世界で一番素敵なパレード。

●西
 ヨアフは、左頭部に小さめの向日葵の花、四足と尾に朝顔と桔梗の花輪を飾ったミサトに乗り、朝の日を背にしてアコーディオンで行進曲を奏でた。お世話セットで手入れをしたミサトの調子も機嫌もとても良く、すいすいと空を行く。
「いろんなフワリンがいるね……」
 ニクスはどこを見てもフワリンが見える景色に夢見心地。連れているりこりんには、白い帽子を被せて、耳の付け根には赤い花、首には落ち着いた色合いの花の首飾り、尻尾にリボンを飾りつけて。
 参加数こそ東の半分だったが、西には個性的な飾りつけが多かった。
「これで完璧でござる、なぁん」
 ノリソンはホウジョウに森林迷彩の服を着せ、所々に木の枝や草を飾りつけ。完全に趣旨を間違えているようだが、金髪縦ロールの鬘を被ったその顔は実に満足そうに輝いていた。
 マルシュは朝顔昼顔夕顔を取り混ぜて音符の形の花束を作り、丁寧にブラッシングしたリューリクの両側にぶら下げた。騎乗動物の扱いは慣れたもの。元気に進めば音符は曲を奏でるように楽しげにぽんぽん揺れ。
 鮮やかなウェンブリンマントを靡かせ、ナタクはリフティング、フヮンファリド一世はヘディングでボールを弾ませて練り歩く。時折沿道にもパスを出して、見物客にもパレードに参加している気分を味わってもらい。
 アルトはカルミアと自分が被っている花冠と同じ物とお菓子を一緒に見物客に配り歩き。
「はい、ミルカも1つどう?」
 花の輪で繋いだ2頭のフワリンを連れているミルカの頭にも花冠をぽんと置く。
「ゆっくりでいいからねぇ」
 ミャアはまだ仔フワのミュオと一緒に列の後方を歩いた。飾りつけも軽めの可愛い花にして、負担をかけないように気遣って。
「皆、素敵だって褒めてくれていますわよ」
 アクアローズは隅っこを控えめに歩くパールに微笑みかけた。レース付きの青いリボンと花で飾り、背中には布をかけた上に香る花籠を載せ、頭には華やかなレース靡く花冠。見物客の賞賛の声に、驚いてきょろきょろする様子が愛らしい。
 そして……西ルートで最も注目を集めたのは。
「コッチは喰っちゃダメだぞ?」
 ジャムとプリンを取り合いながら木漏れ日の中を進むモグ。その背には枝の骨組みに白い花をいっぱい挿した翼がつけられ、首の鳴子が揺れて鐘のような音を立てる。そのイメージは再生のグリモアの羽根たまご。
 困難にあっても白き心のエンジェルの翼は折れず。風に乗って未来を目指して行ける。
 きっと――。

●宵
 パレードが盛況のうちに終わり。村に戻ったレインの額に、陽光を纏いし癒しの姫君・ナオは口付ける。
「ふふ、今日はとっても綺麗だったよ。またお化粧してあげる……女の子だもんね」
 レインを飾る椿の花言葉は『常に貴方を愛す』。ネリネは『また会う日を楽しみに』。
 テンオーはカイオーの、レオはパンジャの身体を綺麗に拭き、餌をあげて今日一日の労をねぎらう。
「カイオー、また来るからなぁ。元気でいいやぁ」
「パンジャ、また来るからな。元気でな!」
 別れはいつも少しだけ切ないけれど。またの再会の約束がオーナーとフワリンを繋いでくれる。
「ありがとうございました。と……お友達に、なってくれませんか?」
 フリーデルトが獣達の歌で頼むと、今日一日一緒したフリージアはなぁんと鳴いてすりすりと。その動きで首につけた鈴が音を立て、花が香る。
 マイヤが穏やかな曲を奏でる横には、楓華風の反物と『消息』の花言葉を持つキショウブで飾られたカグヤが寛いだ様子で浮かぶ。
 パレードは新たな人とフワリンの絆を結び。そしてまた、この大陸とランドアースとの絆を深め。
 人とフワリンとエンジェルと。様々な縁を生み出したパレードは関わった人々に微笑を残し、静かに終わってゆくのだった――。


マスター:香月深里 紹介ページ
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参加者:55人
作成日:2005/08/15
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