お花を摘みに



<オープニング>


「困った〜困った〜」
「あの……どうかしたんですか?」
 物凄く困った困った言っている女性に声をかけたのは、散歩していたエルフの武人・カルミア(a90252)。
「困ったわ……」
「あ、あの」
 女性は、自分の興味ある事しか目に入らないのかカルミアが話し掛けても気づいて無い。
「……あ!」
「は、はい?」
 ふいに目が合い、急に女性が声を上げるので、カルミアが少し驚く。
「……そっか〜。そう言えば、居たわねぇ」
 ぶつぶつと何かを言ってるかと思うと、女性はにっこりと微笑み。
「ちょぉっと、お願いしたい事があるのよ……」
「は、はぁ」

 話の内容は、その女性は、香水を作る事を仕事にしている人で、最近、良い花を見つけたのだが……その花が咲いている山にグドンが住み着いてしまって取りに行けないらしい。
 頼んだ霊視によると、グドンの数は10体。武器は皆、剣を所持していて、山にある、ほら穴を住処にしているらしい。
「花は、山頂近くに咲いていて、青い小さな物よ。出来ればツボミを取って来て欲しいの」
 説明の後、女性がそう付け足す。
「香水は、女性らしく見せるのに一番なんだって! 取って来てくれるなら、香水一本プレゼントしてくれるみたいだから頑張ろう!」
 ちょっぴり興奮しているカルミアが言った。

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参加者
赤花石・シュスハ(a00830)
桜雪灯の花女・オウカ(a05357)
幽幻の桜花・エメルディア(a20562)
蒼翠弓・ハジ(a26881)
銀の輻よ疾く突き進め・デイジー(a29260)
想いを紡ぐ夜光花・フォルティ(a29302)
舞い狂う黒鳥・エランディア(a31224)
武神装攻・ライミリア(a31615)
NPC:エルフの武人・カルミア(a90252)



<リプレイ>

 山へと辿り着いた冒険者達。
(「初めての依頼、頑張ります!」)
 問題の山を見上げ、人一倍、気合が入っているのは、武神装攻・ライミリア(a31615)。
「さぁ、参りましょう♪」
 と、月皓桜花・エメルディア(a20562)が山へと一歩を踏み出す。
「香水、香水、うっれしいなー♪ 香水もらえるなんてラッキーな依頼だよねー。よーし、頑張っちゃうもんねー!」
 エメルディアに続くのは、嬉しそうにしている天真爛漫家出娘・デイジー(a29260)。
 その様子に少し笑みを浮かべながら、他の冒険者達も続いて山を登り始める。
「グドン達を退治しに参りましたの〜よろしければご協力くださいませ〜♪ グドン達の住処をご存知ありませんこと〜♪ 最近グドンが出没して危なくなった場所はありませんかしら〜♪」
 山を登る途中、グドン達の住処のほら穴の位置を知る為に、出会った動物達に獣達の歌で聞いているのは赤花石・シュスハ(a00830)。
「……どうですか?」
 女性の前なので、少し緊張気味に尋ねるのは、蒼翠弓・ハジ(a26881)。
「はい。もう少し、登った所のようですね」
「まだ……歩くのか……」
 もう少し上の方を指さしたシュスハに、疲れた声で返すのは、狂気に捕らわれた紋章術士・エランディア(a31224)。
「ほらほら、頑張ろう!」
「うむ!」
 デイジーの声にエランディアは、先ほどまでの疲れていた様子は何処かへ行き、歩き出す。
「グドンは、ひょっとして……以外にお花が好き……」
 花の咲く場所に何故グドンが出るのか考えていた、雪月華の斎女・オウカ(a05357)が呟く。
「……はい?」
 オウカの呟きにすぐに反応したのは、想いを紡ぐ夜光花・フォルティ(a29302)。
「グドン達が乙女チックな瞳でお花畑で遊ぶのかな……?」
 少し考えるように反応するのは、エルフの武人・カルミア(a90252)。
「……そんな事は、ありませんわよ」
「でも、少し可愛いかもしれませんね」
 カルミアの台詞に、オウカとフォルティが笑みを浮かべながら返した。

「どうやら、あそこみたいですね」
 エメルディアが指をさした方向にほら穴があり、冒険者達は、草木の影に隠れるようにして見つめる。
「それでは偵察をお願いします」
 ライミリアが言うと、辺りを偵察をするデイジーとシュスハとハジが頷く。
「どうかお気をつけて。よろしくお願いいたします」
 エメルディアが偵察に向かおうとしている三人の背に向かい言い。
「怪我をしないよう気をつけて」
 続き、エランディアが偵察する三人……と言うより、デイジーに言い送り出す。
 数分の後、偵察に向かっていた三人が帰って来る。グドンとは遭遇しなかったみたいで皆、怪我一つ無い。
「おかえりなさい。どうでした?」
 早速、尋ねるのは、フォルティ。
「ただいまー。えっとね……ほら穴の出入り口は、今見ている所だけみたい」
「動物達に聞けば、この時間、グドン達は、ほら穴に全員居るそうですわ」
 話し始めるデイジーに続いてシュスハも続けて言う。
「香水作りに居るって言ってた花も、近くに無いみたいだから、大丈夫そうだったな」
 最後にハジが報告する。
「ご苦労様ですわ。一応、メモしておきますわね」
 言って、メモをするオウカ。
 そして、ほら穴に居るグドンを誘き出す作戦になる。
「それでは、始めましょう」
 ほら穴から少し離れた場所で、デイジーが作った弁当を広げて、ライミリアが言う。
「わぁ! 自分で言うのもなんだけど、美味しそー!」
「本当に、美味しそうだね!」
 デイジーが言うと、カルミアが賛同して頷く。
 暫く、デイジー、ライミリア、カルミアの三人がグドン達を誘き出す為に騒いでいると、4匹のグドンがほら穴から出て、此方を確認すると三人へと向かって来る。
「今だ!」
 ライミリアが言い、エメルディアとエランディアの案で作られた罠を発動させるロープを引く。
 その罠に引っかかったのは、出てきたグドンの半分の二匹。残りの二匹はすぐに此方へと向かって襲い掛かって来る。
「きゃっ」
 近くに隠れていた残りの冒険者も駆けつけるが、グドンの攻撃の方が早く、カルミアはダメージを受けてしまう。
「すぐに治療しますわね!」
 オウカがカルミアの怪我をヒーリングウェーブですぐに治す。
「くらえ!」
 続いて、ハジがホーミングアローでグドンに攻撃。当たり所が良く、罠に掛かってないグドン一匹を一撃で倒す。
「諦めよ。主らはここで散るが運命と知れ」
 エメルディアは、残っている三匹のグドンにエンブレムシャワーを使い、ダメージを与える。
「この切っ先に一擲を成して乾坤を賭せん!」
「くらいなさい!」
 ライミリアの居合い斬りで罠に掛かってないグドンを倒し、エランディアのエンブレムシュートで罠に掛かったグドンニ匹を倒した。
 すると戦闘の音を聞いてか、残りの六匹のグドンもほら穴から出てくる。
「あれで全部みたいですわ!」
 出てきたグドンを数え、シュスハが言い、向かって来るグドンに眠りの歌を使い一匹眠らせるが、グドン達は此方へと向かって来る。
 その後、フォルティがエンブレムシュートで、向かって来るグドン達に少しダメージを与えるが眠らせたグドンも起きてしまう。
 続いてカルミアが水流撃で攻撃。グドンを一匹だけ倒し、残りは、冒険者達に攻撃して来る。
「痛くないよ!」
 グドン達の攻撃は、集中してデイジーを攻撃するが、使っていたライクアフェザーでダメージを最小限になる。
「皆さん、後少しですわ!」
 ダメージを受けたデイジーの怪我をヒーリングウェーブで回復するオウカ。
 続くエメルディアのエンブレムシャワー、ハジのホーミングアロー、ライミリアの水流撃で次々とグドン達は倒れて行き、残り一匹は、山頂の方へと逃げ出す。
「わわわっ! 逃げちゃダメですよっ?」
 攻撃するより、離脱しようとするグドンの発見の方に神経を傾けていたフォルティが逃げ出したグドンに気高き銀狼を使い拘束する。
「これで、最後!」
 拘束されたグドンに駆け寄ったデイジーがミラージュアタックで止めをさした。
「これで依頼主の女性も安心してお仕事ができますわね」
 エメルディアが笑顔を浮かべて言う。
「このまま放置は可哀想ですし、埋葬してあげませんか?」
「……そうですわね。埋めておいた方が良いかもしれませんわ」
 フォルティの台詞にオウカが同意して、冒険者皆で、グドンを埋葬する事になった。
「わたくしは、念のために、もう少し捜索しておきます」
「え? 大丈夫だと思いますが……気をつけてください」
 ライミリアが言い、捜索に出かけて行くのをカルミアが見送った。

 グドンを埋葬し、山頂近くまで来た冒険者達は、香水に使うという花を摘んでいる。
「へー、この花から香水ができるんだ……」
 呟いて、他の所を傷つけないように蕾を摘んでいるハジ。
「どの花も大丈夫そうですわ……」
 花の状態を視ていたオウカが一通り調べ終わり、ほっと息を吐き「良かった」と呟く。
 その後、あんまり取り過ぎないようにしつつ、蕾を集めていると、ライミリアも合流。やっぱり、危険な物は無かったそうだ。
「蕾を入れる布袋を持って着ているので、この中に入れてくださいませ」
 エメルディアが布袋を広げ、それに摘み取った蕾を入れていく。
「あら? フォルティさんが居ませんわね?」
「ごめんなさい。ちょっと、遠くの方まで行ってしまいました」
 シュスハが気づき言うと、フォルティが戻って来る。
(「ごめんなさい、恨みはないんだけど……せめて安らかに……」)
 本当は、グドンを埋葬した所に花を供えていたフォルティが心の中で、もう一度祈った。
「あなたのことが好きです、私の心をずっとあなたの笑顔で満たしてください!」
 突然、告白が聞こえてくる。その主はエランディア。手には花束を持ち、それを向けるのはデイジー。
「……ごめーん、エランディアさんってカッコいいんだけど、趣味じゃないのー」
 突然で気づいて居なかったデイジーだが、自分が告白されたと分かると、照れて手を振り回しながら言う。
「私は……」
「あー、でもほら、友達だったら全然おっけーだから、また一緒に冒険しようねー」
 俯いてしまったエランディアに、デイジーが言う。
「……えっと、そろそろ戻ろうか」
 ハジが少し気まずそうに提案し、蕾を待っている女性の元へ帰る事になった。

「ありがとう! お礼の香水は、こっちで勝手に選んじゃったけど良かったわよね? はい。どうぞ」
 嬉しそうな笑顔を浮かべる依頼主の女性は、それぞれに香水を渡していく。
「きゃー! やたー! これで、あたしも少しは大人っぽく見えるかな?」
「私も、大人っぽく見えるようになるかな?」
 飛び跳ねたり元気に喜ぶのは、デイジーとカルミア。
「デイジーさん、カルミアさん、女性らしく。は、まず立居振舞礼儀作法からですわっ」
 二人の言葉にシュスハが指をさして言うと、大人しくなるデイジーとカルミア。
「シュスハさん、貴女も……」
 笑みを漏らしながら、シュスハにエメルディアが言い、他の人達が笑う。
(「香水、気に入って貰えると良いな……」)
 ふと貰った香水を見て、送る相手の事を思い、ハジが大事そうに香水を持つ。
「私は、別に……」
「だーめ。貰っておきなさい!」
 と、エランディアは断ろうとするが、強引に香水を持たされる。
「ふぅ……。ほんと、ありがとうね。また、困った事があったら、頼む事にするわ!」
 香水を配り終えて、最後に依頼主の女性が改めて礼を言った。


マスター:陸呂頑 紹介ページ
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