園芸大戦・夏の陣



<オープニング>


「……夏の植物と言って……皆様は何を思い出すでしょうか……?」
 酒場に集まった冒険者達に、白雪纏いし霊査士・セイラはそう切り出した。
「例えば……お日様に向かって力強く立つヒマワリ……。例えば……朝靄の中可憐に花開くアサガオ……。それぞれに別の魅力があって素敵ですね……」
 セイラは花々が咲く姿に思いをはせながら、話を進める。だが、急に悲しげな表情を見せた。
「ですが……とある村の側に隣り合って咲いているヒマワリとアサガオは……互いに相手を敵視しているかのようです……。もちろん……本当はそんなことはないのでしょうが……」
 セイラの話はようやく本題へと入った。
「とある村の側に咲いているヒマワリとアサガオが……それぞれ十本ずつ突然に変異してしまったのです……」
 セイラの話によると、ヒマワリ達とアサガオ達は、それぞれ側にある村人達に攻撃を仕掛ける他に、隣に生えている相手にも攻撃を仕掛けているのだと言う。
「……このままでは……変異していない他のヒマワリやアサガオが全滅してしまいます……。そこで……皆様に退治の方をお願いしたく思います……」
 そこまで言ったセイラは、いつものように目を閉じた。
「ヒマワリは……その種を飛ばし……素早い動きで相手を翻弄する……。アサガオは……ツルを鞭のように振り……相手の動きを封じ込めようとする……」
 今回、セイラの霊査で見えたのはこれだけのようだ。セイラはすぐに目を開き、依頼をまとめた。
「皆様……どうぞ……村人と花達を守ってください……」
 そして、セイラはいつもの様にちょこんと頭を下げた。

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参加者
自然と昼寝愛好家・ファンバス(a01913)
光舞う風・エリス(a05800)
良くも悪くも純粋な小娘・マイラ(a07867)
閃爍の・アスコット(a11579)
草露白・ケネス(a11757)
ローズ・マリー(a20057)
蒼き守護者・ガーナ(a23462)
燦涙・メイフィルフィ(a26538)
雄風を纏いし碧眼の黒猫・ユダ(a27741)
悠久の頌歌・フィーリア(a29865)


<リプレイ>

 今回の依頼はアサガオとヒマワリの退治である。依頼を受けた冒険者たちは、部隊を完全に2つに分けることにした。

 まず、前半はアサガオ班の冒険者達を見てみることとしよう。

「アサガオとヒマワリの変異どすか。今回は数が多いなぁ」
 花は生き方を迷わない・マリー(a20057)は、冗談めかせてそう深刻そうに言う。ただ、実際には彼女はそう思っていない。
(「実力はグドン並みやろし、そこまで恐れるモンとちゃいますな。それに……」)
 彼女には別の目的があったが、それはまた後程。
 アサガオ班は急ぎ村に向かった。村人達にこれから退治をする旨を告げに行ったのだ。
「これから、アサガオ退治に向かう。俺達が戻るまで出来るだけ家の外に出ない様にして欲しい」
 自然と昼寝愛好家・ファンバス(a01913)がそう言うと、夢を紡ぐ・フィーリア(a29865)も力強く拳を握ってこう告げる。
「皆さんの気持ちに応えるため。そして、たくさんの花を守るために頑張ります!」
 冒険者達は村人達の期待を背負い、アサガオの咲く場所へと向かう。
 陽光の翼剣・アスコット(a11579)は現場に到着すると、村との位置関係を確認した。もちろん、村に被害を及ぼさないようにである。その間に、良くも悪くも純粋な小娘・マイラ(a07867)はアサガオを見ていた。
(「花なら、競い合うところが違うんじゃないかなー。どっちがより綺麗に咲き誇るかを競った方が、見た目にも良いし、健全じゃん」)
 そこまで考えてたマイラの目に、アサガオ達が動き出す姿が映る。
「ま、小難しい話はいいや。あたしは単純に、変異したアサガオを叩きのめすだけっスよ」
 マイラは身構えつつ、少し下がる。彼女は単身で突っ込むほど単純ではなかった。
「眠りの歌を歌います! えっと……歌は微妙だと言われたことがありますが、下手ではありませんよ?!」
 フィーリアは何故か違う意味でドキドキしながら、『眠りの歌改』を歌った。もちろん、歌も下手という訳ではなく、アサガオ達は無事眠りに落ちる。
「眠ったのは7本……。では、行きます!」
 続いて、アスコットが『スーパースポットライト』を放った。眠らなかった3本のアサガオが、じりじりと近づいてくる。
「『ライクアフェザー奥義』発動!」
 マリーは近づいてきていたアサガオのうち、固まって来ていた2本を相手にすべく駆けていく。残った1本は、というと。
「長い手足が仇となったようじゃな。うっふっふ……」
 ツルの攻撃をかわしたマイラによって、あっさりと捕まっていた。彼女は不気味な含み笑いとともに、アサガオをツルごと引きずり出す。
「さぁて、どうしてくれようぞ?」
 近くにあったアサガオ用の柵にツルを縛りつけ、マイラはアサガオに天誅を喰らわせる事にした。

 さて、マイラが柵であーんなことやこーんなことをやっている間、残りの4人は次々と他のアサガオを倒していっていた。
「『ミラージュアタック奥義』!」
 マリーがその素早さを生かして切り込んで行き、ファンバスとアスコットがそこに続く。
「ファンバスさん! 後ろ!」
 後ろで回復のため控えていたフィーリアが、目を覚ましたアサガオのツルがファンバスの後ろから迫り来るのを見て、思わずそう叫んだ。
 だが、ファンバスは慌てることなくそのツルを盾でかわし、気合一閃! 『紅蓮の咆哮奥義』を上げる。目を覚ましたアサガオ達も、その咆哮により再びその動きを止めていた。
 あとは、マリーの想像通り楽勝だったといって良いだろう。アスコットのスーパースポットライトとファンバスの紅蓮の咆哮で、アサガオ達の動きは限定されていた。そこにミラージュアタックや兜割りなどの強烈な攻撃が入れば、一たまりもなかったのだ。
「これで終わりです! 『薔薇の剣戟奥義』!」
 アスコットが最後に放ったその剣戟は、舞い散るアサガオたちの上に儚き薔薇の花を贈る。
「あんたらの屍はうちらが拾ったるさかいに、安心して眠りなはれや」
 完全に散ったアサガオたちに、マリーはそう言葉を掛けた。

 冒険者達がほっと一息ついたところへ、マイラが戻ってくる。だが、その体には、外から見てわかるくらい大きなミミズ腫れがあった。
「ある程度は仕方ないと思ってたけど、相手も抵抗してきてね〜」
 つまり、このミミズ腫れはアサガオのツルの鞭の跡なのだ。それを見たフィーリアは、慌てて『ヒーリングウェーブ奥義』を掛ける。これで、アサガオ退治は無事終わった。

 続いて、後半はヒマワリ班の冒険者達を見ていこう。

 ヒマワリ班の冒険者達も、まずはアサガオ班と同様、村に向かい注意を促す。その役目は雄風を纏いし碧眼の黒猫・ユダ(a27741)が受け持った。ユダは、討伐が終了するまでは家から出ないよう村人達に指示すると、すぐにヒマワリの咲く場所へと向かう。
 もちろん、村との位置関係の確認も怠らない。光舞う風・エリス(a05800)と共に、村を守る位置での戦闘が出来るように確認をする。
 全員が揃った所で、草露白・ケネス(a11757)がヒマワリの様子に気を配りながら接近を試みた。
(「早く退治して、穏やかな夏の風景を取り戻しましょう」)
 ケネスのそんな思いに反応したのか、ヒマワリ達はその花を太陽からケネスの方へと向ける。ケネスはすぐに後ずさりし、戦いに備える。
 先手を切ったのは、エリスだった。エリスは今回の敵の特性を考え、まずは『ライクアフェザー奥義』で守りを固める。その読みは正しく、彼女は意外に早くやってきたヒマワリの攻撃をひらりとかわした。
 続いて、後ろに下がったケネスが『眠りの歌奥義』を歌う。歌は動き出したヒマワリの8本を眠りへと誘った。それをみて、ユダが『スーパースポットライト奥義』を掛ける。この辺りは、アサガオ班と同じ戦法をとっていた。
「まずは、攻撃手段を減らした方が良いと思うんだ」
 ユダの方に向かってきていたヒマワリに、蒼き守護者・ガーナ(a23462)はそう言って『大地斬奥義』で斬りかかって行った。彼女の攻撃は目論見通り、運良く葉を落とすことに成功する。だが、ヒマワリはアサガオと違い、本体にも攻撃手段があるのだ。
(「お花は好きだから退治しちゃうのは辛いけど……でも他の人に迷惑ならやらなくちゃ、だよね。うん、頑張ろぉ……」)
 蒼涙の旋律・メイフィルフィ(a26538)は、前方で繰り広げられる戦闘のフォローをすべく、後方で様子を見ていた。が、ガーナがヒマワリの葉を落とした瞬間、ヒマワリはメイフィルフィ目掛けて種を飛ばしてきたのだ。
「えと、回避を……っ!」
 何とかかわそうとするがかわし切れず、メイフィルフィは種を喰らってしまった。
「メイフィルフィさん!」
 他の冒険者達が駆け寄ろうとするが、彼女の傷は浅く、すぐに彼女は立ち上がった。
「淡き光を伴いて、傷つき者に癒しを与えん……『ヒーリングウェーブ奥義』!」
 その言葉と共に光の波が広がり、彼女の傷を癒していく。
 そこからのヒマワリ班は、注意深くかつ手早くヒマワリ達へ向かった。
 エリスは軽装を武器にヒマワリの素早さを上回る動きを見せ、『ミラージュアタック奥義』で1つずつ確実にヒマワリを仕留める。
(「ごめんなさい……痛いかもしれませんが、きっと無駄にはしませんから」)
 ユダはスーパースポットライトで自らに向かってきたヒマワリ達を、『薔薇の剣戟奥義』の死連撃で葬っていく。
「花は美しく可憐であるべきだ!」
 ユダはそう言って、倒れていくヒマワリ達に花の本来の姿を説いた。その横で、ガーナが最後の1本に『兜割り奥義』で止めを刺す。
「ごめんね。でも、被害を出している以上、見逃すわけには行かなかったんだ」

 ヒマワリを無事退治した冒険者達は、アサガオ班と合流し、後始末に入る。が、ここで少し問題が起こった。メイフィルフィに向けて飛ばされた種を植えようとしたエリスを、フィーリアが止めたのだ。
「生まれ変わって、今度は素敵な花になって欲しい……」
 エリスはそう言ったが、フィーリアは首を振る。
「でも、また変異植物が生えてきたら……困りますよね?」
 結果として、変異植物が生えてきては困るので、種を埋めるのは諦めることとなる。
「じゃ、その種食べていい?」
 ガーナはそう言うと、ヒマワリの種を食べ始めた。
「むむ。向こうにも愚ルメの歴史が……うちも負けてられへんで」
 マリーはガーナの様子を見て、自分の野望である「愚ルメの新境地」を目指すべく、張り切って変異植物の死体を集め始める。
 変異植物の処分が終わったあと、冒険者達は残った植物達の世話もすることになった。
「大変だったね。でも、もう大丈夫だよ」
 アスコットがそう言って水を花に捲く横で、マイラがしゃがんで土を均す。
「農作業は得意なのだ」
 もし、地面に視線があればすごい光景が見られたかもしれないが、それはまた別の話。

 冒険者達が畑仕事を終えた時、夏の日差しも夕暮れになっていた。
「夏の花は美しいですね」
 赤く輝く花達を見ながら、ケネスは去り行く夏を惜しむ。
「これで、此処の花々が綺麗に咲いていられると良いね♪」
 ファンバスの言葉に頷きつつ、冒険者達は家路についた。


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