【男達の哀歌】男達の哀歌



<オープニング>


 日当たりの良い茶店で男女がお茶を楽しんでいる。
「はい、ダーリン♪ アーンして♪」
 金髪の美しい女性が、満面の笑顔でスプーンを差し出す。
「ははは、照れるじゃないかハニー♪」
 男は覆面の下だけをめくり、大きく口を開ける。言葉とは裏腹に嬉しさを隠し切れないようだ。
 覆面男は、一生彼女なんて出来ないと思っていた。
 だから覆面を被り、自分の顔を隠し、志を同じくする仲間達と共に世の中のカップル達に復讐する事を誓ったのだ。
 だが、今、彼の前には自分には不釣合いな程美しい女性が……。
 覆面男は幸せいっぱいだった。
 仲間達には少し後ろめたいものを感じたが、それでも覆面男は幸せいっぱいだったのだ。
 そして、この幸せは何時までも続く物だと思っていた……。

 薄暗い裏路地。
「おうおう! にぃちゃん! 俺の家内に手を出すたぁどう言う了見だ!」
 スキンヘッドで筋骨隆々な男が覆面男の胸座を掴む。
「ひ、ひぃ……」
 覆面男は助けを求めるように、金髪の女性を見つめる……が、女性は鼻で笑うと、そっぽを向いた。
「にぃちゃんよぉ、この落とし前……ちゃんと付けてくれるんだろう?」
 スキンヘッドはニヤリと笑った。

 ――まぁ、つまり美人局に引っ掛かったのだ。
「ちくしょう! もう女なんて信用するものか! うわーん」
 その日、パンツ一丁で泣きながら走る覆面男が目撃された。


「おーよーぎーに行きたい〜」
 悠久の誘い・メルフィナ(a90240)はジタバタと泳ぐ真似をするが、余計に暑くなる事に気付いたか、動きがピタリと止まる。
「あら、丁度良い依頼があるわよ?」
「どんな!?」
 リゼルは、何時に無く食い付きの良いメルフィナを宥めると、依頼の内容を説明する。
「最近、ある村の海水浴場でね、日焼けをしながら寝ちゃった人に布を被せる覆面男が居て困っているらしいの」
「布を? ……なんで?」
 メルフィナは首を傾げる。
「口元を隠すだけで結構面白い顔になるのよね」
 何かを思い出したらしいリゼルが、ふふふふと怪しく笑う。
「……確かに、変な焼け方したら恥ずかしいわね」
「そう、覆面被ってる怪しい男になんて一般の人は関わりたく無いだろうし、何とかしてね」
 ついでに海で遊べるかもね、と言うとリゼルは酒場を後にした。

マスター:八幡 紹介ページ
 八幡デス。
 
 メルフィナ同行のハチャケシリーズ依頼の最終話となりました。
 最後まで小者な覆面男に愛の鉄槌、或いは慰めを……。

 海は覆面のせいで人が少ないので、ちょっとしたプライベートビーチ気分を味わえるでしょう。
 覆面も探すか、囮を作ればすぐに見つかります。

 ※キャラクターがシリアス路線でイメージを崩したくない方は注意してください。
 ※よほど穴の無いプレイングでも無い限り、ネタ化する危険があります。
 ※ちなみにネタ化するかも……と言うスリルを味わうのも良いんじゃないかなと思います。

 では皆様の参加をお待ちしております。

参加者
氷輪の影・サンタナ(a03094)
銀の竪琴・アイシャ(a04915)
鉄鋼科学医科大全・アイシャ(a05965)
赤烏・ソルティーク(a10158)
天衣無縫なつむじ風・マイラ(a14685)
水底の誇り・ラーゴット(a21634)
旅団裏の昏倒者・アウラ(a24803)
猫風・ルルリィ(a30215)
NPC:悠久の誘い・メルフィナ(a90240)



<リプレイ>

●海は広いな
 太陽の光が燦々と降り注ぎ、押しては引いて行く潮騒が心地よい海辺。
「夏だ〜! 海だ〜!」
 悠久の誘い・メルフィナ(a90240)は、わ〜い♪ と満面の笑顔で駆け出した。
「……メルフィナはこっちね☆」
 そんなメルフィナの髪の毛を、水着にエプロン姿な、堕落天使・アイシャ(a05965)(以降、アイシャ(医))が鷲掴みにする。
「え? ちょ……えぇ?! 海……海は!?」
「ふふふ〜♪」
 楽しそうに笑うアイシャ(医)に、メルフィナは引き摺られて行った。
「青い海、白い砂浜……降り注ぐ陽射し……いざ、夏の海ですわ」
 アイシャ(医)とメルフィナの様子を見送った、奏・アイシャ(a04915)(以降、アイシャ(吟))が微笑む。
 ちなみにアイシャ(吟)は白いビキニ姿である、浜辺に居る数少ない男子の視線は釘付けである。
「日差しは大敵ですじゃな」
 その横で、氷輪に仇成す・サンタナ(a03094)が白いパラソルを立てると、釣り竿を構える。
 そして、アイシャ(吟)に熱烈な視線を向けていた男子に鎧聖降臨を使う……すると男子のパンツの見た目が豪華になった! どのくらい豪華かと言うと微妙な位置に角が生えるくらい豪華にである。
 アイシャ(吟)はそんな夫の行動に暖かい視線を向け、おや? と言う顔をしているサンタナを扇子で扇いだ。

「クラゲが何なぁ〜んよっ! そんなもの饅頭にして食べてやるぅ! なぁ〜ん!」
「居ないんですよ……海にはめがねっ娘も獣耳少女もー!」
 天衣無縫なつむじ風・マイラ(a14685)と、緋燕・ソルティーク(a10158)が海に向かって咆える。
 海の家で御飯をねだろうと思っていたマイラだったが、事件のせいで集客が見込めない海の家は閉まっていたのだ。その鬱憤を海に向かって叫ぶ事で晴らそうと言う事なのだろう、青春である。……くらげ饅頭はコリコリしていて美味そうである。
 獣耳で眼鏡の似合う少女が大好きなソルティークは獣耳少女が浜辺に居ない事を嘆いていた……めがねっ子は探せば居たかもしれないが……それもまた、青春である。
「とりあえず、悪い覆面を懲らしめるにゃふぅ」
 ツーピースのビキニを着た、陽だまりに眠る子猫・ルルリィ(a30215)が猫尻尾を逆立てて主張した。ソルティーク達の主張は聞かなかった事にしたらしい。
「例によって、覆面男さんを懲らしめる、ですね」
 ルルリィに続いて、彷徨者・アウラ(a24803)が言った。
 片手にスコップを持っているのは、落とし穴を掘っていた為であろう。
「ちょっと! 誰よ、こんな所に落とし穴掘ったのはー!?」
 砂浜をぶらぶら散歩していた、琥珀色の偽乙女・ラーゴット(a21634)が怒鳴る。アウラの掘った落とし穴に填まったのだ。
 アウラは暫し考えた後、明後日の方向にスコップを投げ捨て、
「ふぅ……それにしても、良い天気ですね」
 と良い笑顔で汗を拭った。

●それぞれの時間
 浜辺はとても穏やかで、覆面の事を知らないで遊びに来ている数人の男女と子供達がはしゃぎ回っていた。
「西瓜割りを出来るように西瓜を用意したのですが」
 アウラが西瓜を取り出した。
「……美味しそうなぁ〜ん。でも、西瓜割りって何なぁ〜んか?」
 西瓜をジィっと見つめ、マイラが首を傾げる。
「西瓜割り……それは投げ付けられた西瓜を己の拳のみで砕き、その砕け具合から未来を占うと言う古の儀式……」
 ソルティークがボソリと呟いた……勿論口からでまかせである。
「それは凄いにゃふぅ、さっそくやってみるにゃふぅ?」
 感心した様子で頷いたルルリィが拳を構える。
「では、いきますよ」
 それって西瓜砕きでは? と、一瞬思ったアウラだったが、マイラとルルリィの期待に満ちた視線に何かを悟った笑顔を見せると、西瓜を振りかぶりルルリィに向かって投げた。
 ――ゴゥ!
 何気にマッスルチャージを使用していたアウラが放った西瓜は、風を切りルルリィに向かって直進する!
「見切ったにゃふぅ!」
 一瞬、ルルリィの目が怪しい光を放ったかに見えた!
 ――ゴヴァ!
 ルルリィの突き出した拳は真っ直ぐに西瓜を捕らえ……西瓜は豪快に砕け散った! 爆砕拳である。
 砕け散った西瓜は細かい破片となり……、
「「「あっ」」」
「アイタ!? アイタタタ!!」
 覆面男を捕らえるべく、歩き回っていたラーゴットに全弾直撃した。
「……あんたらー……」
 全身西瓜の赤い汁、及び黒い種塗れになったラーゴットがゆらりと振り返る……とてもお子様には見せられない形相で。
「……逃げるにゃふぅ」
 ルルリィが踵を返し走り出すと、それにマイラ達も続いた。
「で、占いの結果はどうだったなぁ〜んか?」
「晴れ、時々オカマに注意」
 走りながら訊ねたマイラにソルティークが即答した。
「アァ!? 誰がオカマじゃゴルァ!? ……あ!?」
 ――ズガァ!
 ソルティークの言葉を耳聡く聞きつけたラーゴットがとてもお見せ出来ません♪ と言う形相で走って来た……が、再び落とし穴に填まる。
「日頃の行いが悪かったんでしょうかね」
 ラーゴットが落とし穴に填まるのを見届けたアウラは他人事のように呟いたのだった。

 ――ジャッジャー……ガリガリガリ
「ふんふんふ〜ん♪」
 閉店していた海の家を強引に借りたアイシャ(医)がご機嫌な様子で焼き蕎麦を焼いている。
「楽しそうね……」
 そんなアイシャ(医)の横で、水着の上からエプロンを装備させられたメルフィナがソルティーク達の様子を羨ましそうに見つめていた。

●覆面男を捕らえろ
 アイシャ(医)の海の家で買った飲み物やら食べ物をお腹いっぱい食べたマイラとルルリィが浜辺で眠っていた。
「んー……とろぴかるとろぴかる、と」
 ソルティークは、マイラとルルリィから少し離れた所に陣取って優雅に寛いでいる。
「何しに来たのかしらアタシ」
 ラーゴットがアイシャ(医)の海の家で買った焼き蕎麦を食べながら呟く……焼き蕎麦の味がやけにしょっぱく感じた。
「……黒い物体が近付いて来ましたね」
 自分の掘った穴に隠れながらマイラ達の様子を窺っていたアウラが、マイラ達に近付いていく全身黒ずくめの覆面男を確認した。
 覆面男はそっと寝ているマイラのお腹に(ピー)な形の布を置こうとして……、
「……なぁ〜ん」
 マイラが小声で歌った眠りの歌であっさり、寝込んだ。

「他人にばかり気を取られて自分の事を忘れていたようね☆ ……と思ったけど、完全武装とはやるわね」
 アイシャ(医)が嘆息する、覆面男は色眼鏡まで使用し感全武装だった。日焼け対策ばっちりである。
「ふっふっふ、夏の日差しを侮るほど愚かでは無いのだよ」
 覆面が偉そうに言った。
 ――チリチリチリ……。
 何か焦げ臭い。
「ぐわっ!? あっち! 熱い!」
 何時の間にか忍び寄っていたサンタナが覆面を虫眼鏡で焦がしていた。そして虫眼鏡に飽きると、ポイっと虫眼鏡を捨て、
「クール美図……」
 意味深な言葉と共に、覆面男に鎧聖降臨をかける……鎧の変化によって覆面を剥ぎ取ろうと考えたのだが、
「何と、角が生えたのですじゃ!?」
 結果は覆面に偉そうな角が3本生えただけだった。
「女の子をいじめる人は悪い人にゃふぅ!」
 拳を振り回して、覆面男に鉄拳制裁を加えようとするルルリィだが……アウラが羽交い絞めにして抑えた。一般人にアビリティは危険である、使った日には血塗れで放送出来なくなるので注意が必要だ。
 アイシャ(吟)が突然ビキニ上を取る。
「「おお!?」」
 何時の間にか集まっていたギャラリーがざわめくが、
「「エェーー!?」」
 ビキニの下に更にビキニを着ていた事が解ると明らかに落胆の色を示した。
 そんな男どもの様子には目もくれずにアイシャ(吟)は覆面男の覆面を剥ぎ取ると目の上へパサリと置いた。
「……ひどいものですわ……」
 何が酷かったのかは内緒である。
「ふふふ……とても口では言えないような日焼けあとを残して差し上げます」
 ソルティークがニヤリと笑うと、とても口では居えないような型の布を、元覆面男(現ブラ男)の背中に貼り付けたのだった。

●覆面の末路
 すっかり日も暮れた海岸。
「ソルティークさん、焼イカが食べたいなぁ〜んよ♪」
「るぅるぅも食べたいにゃふぅ♪」
「君達、人の事を何だと思っているんですか……まぁ奢るんですけど、女性には」
 満面の笑顔でおねだりしてくるマイラとルルリィに満更でも無さそうな笑顔でソルティークは応える。
「はい、焼イカお待ち♪」
 すっかり板についた感じでアイシャ(医)が焼イカを差し出した。

 引いては打ち返す波打ち際で、サンタナとアイシャ(吟)が寄り添うように座っている。
「綺麗な星ですじゃ」
 空を見上げてサンタナが呟く……しかし手は絶え間なく釣竿を海に投げてはクラゲを引き上げたりしている。
「あっ」
 サンタナの手元が狂ったのか、釣竿がアイシャ(吟)のビキニの上を引っ掛けてそのまま海に……。
 アイシャ(吟)は頬を赤く染めると、吃驚した様子のサンタナにより深く寄り添うのだった。

 結局反省の色が見えなかった元覆面男(現ブラ男)はサンタナの手によって樽に詰め込まれた。
「さようなら! アンタの事は多分忘れないから!」
 ラーゴットが夜の海に流れていく樽に向かって叫び、その横ではアウラが白いハンケチを振って別れの挨拶に代えていた。

 ――後日、ブラで目隠しをされ、樽に詰め込まれた男が、漁師によって救出されたとかされないとか。


【おしまい】


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作成日:2005/09/01
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