光の花、咲き誇る



<オープニング>


●Sunflower
 ひとかけらの雲もなく晴れ渡る夏の空。
 澄んだ冴やかな青が果てなき天穹に溶けて広がる様は、心に沈む澱を洗い流すような清しさに満ちている。
 空を染める色の濃さは一様ではない。大地に接する端の方は僅かに色が薄く、中心たる天頂が最も色濃く青に染まるのだ。
 そして――吸い込まれそうなほどに青い空へ向かって、目映いほどに鮮やかな黄色の花が咲く。
 真夏の太陽にも例えられる、大輪のひまわりの花。
 輝くように鮮やかなひまわりの花を仰ぎ、その後ろに限りなく澄み渡る青空を見る。そうして見えるのは、おそらく明るい夏を絵に描いたような光景だろう。けれど、それが目に沁みることがあるのは何故なのか。
 空はこの上なく晴れやかで、太陽の化身の如き壮麗な花が咲き誇る。
 それでもその様が、目に、胸に切なく沁みいる。
 過ぎ行く夏を惜しむ想いがそうさせるのか、それとも何か別の想いのためか。

 それはきっと、誰にもわからないことだった。

●太陽のサングリア
「バルバラ様には少し甘すぎるかもしれませんけれど……」
 はにかむように微笑んで、藍深き霊査士・テフィンは陽光を溶かし込んだように淡い金色の酒を杯に注ぐ。金の髪の女性が同じ色の尾を揺らして杯を手に取り、くいと傾けた。
「ん……マンゴーだね。確かに甘いけど結構いけるよ。酒気が物足りない気もするけど、昼下りに呑むならこれ位でちょうどいい」
 杯を掲げ、涅槃・バルバラ(a90199)が口の端をあげて笑った。
「白ワインにマンゴーを漬け込んで、サングリアにしてみましたの。お口にあったようで何より……」
 テフィンがパテのような物をクラッカーに塗り、木の器に乗せて卓を滑らせる。杯を口に運びつつ皿を受け止めたバルバラは、饗された肴をちらりと見て軽く目を見張った。
 クラッカーに塗られているのは、ガーリックとエストラゴン、ワイン漬けのマスタード粒を練りこんだクリームチーズ。面倒臭がりのテフィンにしてはやたら手が込んでいる。
「何か怖いくらいのもてなしだな」
「仕方ありませんの。本当はバルバラ様とひまわり畑に行ってサングリアを楽しみたかったのですけれど、お忙しいようですし……」
「ああなるほど、確かに遊びには行けないね。……これから、しばらく」
 酒盃と酒肴を挟んで、二人の間にしばしの沈黙が訪れる。
 その沈黙を破ったのはテフィンだった。
「折角のサングリアですから、冒険者様方をお誘いしてひまわり畑で呑んで参りますの」
「そうだね、皆と行って来な。酒には呑み頃ってものがある。寝かしておけばいいってものじゃないからな」
「ええ……仰るとおりですの」
「あとボギーも連れてって、フルーツパンチでも作らせればいい。置いてったら多分泣くから」
「まぁ……」

 二人は顔を見合わせ、声を上げて笑いあった。

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参加者
NPC:藍深き霊査士・テフィン(a90155)



<リプレイ>

●空の雫
 夏の終わりを迎えても、空は変わらず鮮やかな青さを湛えていた。
 まるで世界中から綺麗な青を吸い上げて、限りなく澄んだ水に溶かしたよう。
 天頂に届かんとする太陽は己の輪郭を忘れるほどに光り輝き、大地に眩く咲き誇る光の花を際やかに照らし出していた。
「きらきらなのだよう!」
 向日葵畑を見下ろす丘の上で、リオネアがそれこそ煌くような喜びの声を上げる。
 大輪の向日葵たちは光を纏うように色鮮やかで、グラスの中では白葡萄ソーダの気泡がキウイやオレンジを飾り光の中に弾けて。何もかもが煌いていた。
「こういう花見も悪くないな」
 夏の喜びを溶かしたようなサングリアを掲げ、ミナトは光と花の眩さに目を細める。
「大きい向日葵を見るのだよう!」
 元気一杯に丘を駆け下りていくリオネア。その様を見ていたミナトの頬も自然に緩む。いっそ自分も向日葵畑に下りて、花の下に寝転んでみたい気がした。
 霊査士が差し出した杯を受け取り、クフェロは一気にそれを呷る。冷えた白ワインがマンゴーの甘味を連れて、渇いた喉を滑り落ちた。
「酒か……有難く頂く」
 クフェロは勧められるままに杯を重ね、一息ついて柔らかな緑の草を手に取った。唇を寄せると、草は澄んだ笛の音を奏で始める。
 太陽に向かって凛と咲く花。それは見る者を前向きな気持ちにさせる輝きに満ちていた。

 陽光を湛えた透明な杯を傾けると、酒気が舌先を軽く刺激し口腔に冷たい甘露が広がった。
「とても美味しいです」
 杯を上げてケネスが微笑むと、霊査士が会釈を返す。
「お日様色の花畑でお日様色のお酒を頂くなんて……」
 何だかとっても贅沢、とイングリドも笑い、大人の特権とばかりにフルーツパンチに光の雫を垂らした。
「綺麗な花ですね」
 夏の短いケネスの故郷では、向日葵は貴重な夏の陽射しそのものだった。だからこそ余計に眩しくて、溢れる輝きに目を細める。
 子供の頃はよく向日葵と背比べをしていましたわ、とイングリドも呟いた。眼下ではヒトノソリンの少女が向日葵と背を競っている。
「またちょっと、勝負を挑んでみましょうか」
 イングリドが悪戯っぽく笑うと、ケネスも柔らかな微笑で頷いた。
「負けたなぁ〜ん。ほんとに大きいなぁ〜ん」
 向日葵の背を越そうと背伸びをしていたフェルルがついに負けを認めた。限界まで爪先立っていた反動でぱふっと尻餅をつく。柔らかな黒土が優しく彼女を受け止めた。
「向日葵を見るのも久しぶりだなぁ」
 花を見上げていたフレイが何気なく言葉を紡ぐ。花に劣らぬ大きな葉の庇の下で横になると、寄り添うようにフェルルも寝そべった。
 このまま、眠ってしまおうか。
 思えば誰かの隣で寝るのは久しぶり。心地よい夢と眠りが得られそうだった。

「これだけ満開だと私の向日葵も見劣りしますわねぇ……」
 丘の上に腰を下ろしたカースは、硝子玉を転がすように笑いながらフォーチュンの髪を梳いた。
「カース……ノ……ヒマワリモ……ジュウブン……キレイダヨ」
 たどたどしく言葉を紡ぎつつ、フォーチュンもカースの髪とその先に咲く向日葵に触れる。
「あらあら、悪戯っ子ね」
 そんなに触ると枯れてしまうわ、と冗談めかしてフォーチュンの額をつつくと、フォーチュンは恥ずかしそうに俯き、そのままウヤウヤ……とカースの膝で寝息を立て始めた。
 辺りを見回して二人に目を止めたシェードの瞳にも、知らず柔らかな光が宿る。
「微笑ましいですねぇ」
 サングリアの杯を掲げ、鮮やかにあでやかに咲き誇る向日葵の海に目を移す。
 たまにはこんな時間の過ごし方も悪くなかった。

●柔らかな光
「すごーい。大きいね!」
 髪飾りを煌かせ、好奇心に瞳を輝かせたユイリンが花の迷路に消えた。
 ハインリッヒはおやおやと目を瞬かせ、楽しげな笑みを浮かべつつ少女を探す。
「さて姫君はどこに隠れられたかな?」
 気の向くままに駆けたユイリンは、誰もいない畑の一角でふと立ち止まっていた。
 仰げはそこにあるのは、鮮やかな青空と黄金に輝く向日葵だけ。
 このまま、夏に溶けてしまえば……。
 そう思った刹那、白檀の香りと共に優しい気配に抱きすくめられる。
「捕まえたよ小さな姫……褒美をくれまいか」
 典雅に、歌うようにハインリッヒが囁くと、摘みたての桜桃に似た唇が柔らかに頬に触れた。
 丘の上から二人に目をとめたセリオスは、ラズベリーを口に入れ、サングリアの杯を傾けて誰にともなく愚痴を零す。
「本来なら一緒に来たかったのだがな……まあ、仕方ないか」
 少々物寂しくはあったが、それでも空と花が綺麗で。
 せめてもの土産にサングリアとフルーツパンチの作り方を聞いて帰ろう。そう思った。
 フルーツパンチの小さな気泡が透明なグラスの底から幾つも浮かんで空に弾ける。恋人を想うユーナもまた幾つも溜息を重ねていた。
「クラトス様、もっとあなたの傍に居たいですわ……」
 流れる風に誘われて、目に沁みる蒼穹を見上げる。

「はわ〜。向日葵たくさん〜幸せいっぱいなの〜♪」
 風が金の髪をさらりと流していくのにも構わず、エルファシアは楽しげに絵筆を握っていた。
「はう〜やっぱり上手く描けない……あ」
 ふと絵筆を置き、テーブルに置かれたサングリアの杯にこっそり手を伸ばしてみる。
「ダメですの……こちらをどうぞ」
 すかさず霊査士がエルダーフラワーのソーダを差し出した。細かな気泡が水晶のように煌いて。
 色とりどりの果実を堪能したルツキは、向日葵の庇の下に寝転んでみた。花を透かして柔らかな光が降り、大きな葉が心地よい影を作る。
「これはなかなか……涼しいのぅ」
 思わず手で横笛を探った。
 丘の麓ではユウが霊査士の肩を抱き寄せ、甘い言葉を囁いていた。霊査士はさり気なく菩提樹とカミツレの香草茶を勧めている。穏やかな眠りを誘う飲み物だ。
 風に乗って涼しげな笛の音が届く。優しい旋律の中、ユウは霊査士の用意したクッションに頭を乗せ、微かなラベンダーの香りの中で寝息を立て始めた。
 笛を奏でつつルツキが霊査士を見遣ると、霊査士が礼を述べるように会釈した。
 どうやら、ハートクエイクアローを活性化して迫ったため警戒されてしまったらしいユウだった。

 花を見下ろすパラソルの下で、サリエルは霊査士と杯を合わせる。
「向日葵の花言葉、知っているかい……?」
 小首を傾げる霊査士の耳元に唇を寄せ、サリエルは吐息のように囁いた。
「『あなたを見つめる』って言うんだよ……」
 霊査士の顔を覗き込むと潤んだ瞳が恥らうように伏せられて。躊躇いつつも指を伸ばし、一度酒を酌み交わしてみたいと呟いた、その時。
「ダメーっ! 僕達エンジェルはお酒を飲むと身体が溶けてしまうと神様に言われているんだ!」
 不思議な言い伝えを信じているらしいカリナが突然割り込んだ。その慌てた様子に霊査士は微笑み、杯を勧める。
「勿論お酒はダメ……エンジェルの方はこちらをどうぞ」
 優しい気泡に飾られたエルダーフラワーソーダ。気を抜けば風に攫われてしまいそうになる、心蕩かすような味のソーダだった。

「向日葵って大きいんですねぇ……」
 光の花の中から空を仰ぐと、花弁の端にきらりと輝く陽光がコトナの瞳を射抜く。それは夏の思い出を凝縮した宝石のようで、コトナの胸を切なくさせた。
「次はあの人と来たいな……」
 想い人の面影を抱き、向日葵を揺らす風の音にそっと耳を傾ける。
 緑の茎が大地に立ち、まっすぐに天を目指す。その力強さにアスティアは感嘆するように息をついた。
 太陽に向き合う花に柔毛を纏った蜜蜂が訪れ、金の花粉を葉に落とす。ふと耳を澄ませば、どこからか蝉しぐれがが聞こえてきた。
 夏の終わりに、短命の蝉が生命の歌を響かせる。
(「皆今この時を、懸命に生きているんですね……」)

●光降る

 花を透かして光降る中。
 想いあったまま別れを告げ、それぞれの道を歩み始めた恋人達。
 その物語を幾人かが胸に秘め――。

「向日葵の花言葉……ご存知ですか?」
 募る想いを光に乗せて、透きとおるような肌を桜色に染めたセーラが口を開く。寄り添うグレインはただ静かにセーラの言葉を待って、穏やかに瞳を緩めた。
 ――ずっと、貴方だけを見つめています……
 少女の囁きが、光に溶けた。
「ボギー様がデザートを用意して待っていますわ……参りましょう……」
 恥じらいを紛らすようにふわりとセーラが立ち上がる。銀の髪が光に透け、白く儚い肢体が消えてしまいそうで、グレインは思わずその手を強く握った。
 愛しい温もりに、知らず安堵の息をつく。
 鮮やかに広がる花の下にはきっと柔らかな光。バルアがその中で午睡を楽しもうと決めた時、花の中へ分け入る霊査士の姿が目に止まった。
 一緒に昼寝でもするかと誘ってみると、霊査士は嬉しそうに微笑みバルアの隣にぱふっと寝転んだ。気持ちいいですの、と瞼を伏せる霊査士に、バルアも笑みを零す。
 だが「うわ〜んフルーツパンチがなくなりますよ〜」という声が聞こえた途端、霊査士は跳ね起きてバルアに会釈し丘の上へ駆けて行った。
「独り占めは、なかなか出来ないものだな」

 追加のフルーツパンチを用意するボギーに、ナオが手伝いを申し出た。
「採りたての桃持ってきたけど、入れてもらっていいかな?」
「うわあ美味しそうですよ〜!」
 甘い芳香を放つ桃にボギーの尾がパタパタと揺れた。ナオが手早く桃を切り分け、白葡萄のソーダを注ぐ。その瞬間ボギーがあっと声をあげた。
「……はは、やっちゃった」
 果物の代わりに指先を切ったアルムが傷を癒しながら、休んでくるよと向日葵畑へ下りて行く。彼の尾が力なく垂れているのが気になって、ボギーはそっと後を追った。
「僕……こんなに……弱かったかな?」
 淡い光の中でアルムは瞳が熱くなるのを感じていた。想うは外洋に旅立った恋人のこと。かつてこの場所で別れた恋人達と重なるように思え、例えようもなく寂しかった。
 こっそり持ち出した酒を呷ろうとした、その時。
「ダメー! いくら寂しくても、アルムさんがヤケ酒なんて絶対絶対あの人が悲しむんですよう!!」
 飛び込んできたボギーが杯を叩き落した。
 だって空は、心はつながってるから、ヤケになったら絶対に伝わるんです……涙まじりのボギーの言葉に、アルムはふと空を仰いだ。
 恋人へと続く、東の空を。

●光の花
「たまにはこの子も使ってあげないと、だね」
 アールは鬼哭と名づけたバイオリンの音を風に乗せる。久しぶりに風に触れた魔楽器が、切ない旋律を光の花の中へ広げていった。
 皆とは離れた場所にいたシファレーンとミアの耳にも、その優しく儚げな旋律は届く。
 程なくして同盟を離れるシファレーンは、重ねてきた思い出を確かめるように、ゆっくりと言葉を紡いでいた。ミアは優しい言葉達を抱きしめるように大切に受け取って。
 緩やかな風に踊るミアの髪を見て、ふと気づいたようにシファレーンが持参した包みを開いた。
「お好みにあうかしら?」
 涼やかな色水晶が繊細に向日葵を模った髪飾り。ミアは漆黒の髪に水晶の向日葵を飾り、瞳が潤むのを堪えつつ、明るい笑顔を作る。
「ありがとうございます。気をつけて……行ってきてくださいね」
 彼女の透きとおるような優しさが、ずっとそのままであるように。
 シファレーンは泣きそうになりながら、強くそう願った。

 切ない音色が響き渡る。
「親しい方といつでも好きな時に一緒に過ごせるとばかり思ってましたの……そんなはず、ないのに……」
 霊査士の呟きを聞きつけたティキが、仰向けになって空を見上げたまま声をかける。
「向日葵のように顔を上げてゆくのみ、だ。どこぞに行った奴らの帰りをやきもきしつつものんびり待とうやね」
 通りかかったファオも、瞳に優しい光を湛えて微笑んだ。
「遠くに行かれた方々の、元気なお顔を見れる日が訪れますように……」
 花の重さに項垂れる向日葵を支えるように、大切な人を支えたい……ファオのそんな言葉に霊査士も頷いた。
 種を実らせた花を見つけたティキが身を起こす。
「ツマミに種を拝借したいが……畑の主に怒られちまうかな?」
「見なかったことにしますの。だから……」
 お二人も見なかったことにして下さいまし、と霊査士は囁き、滲む涙を指で拭った。
「ボギーさぁん、一緒に食べませんかぁ〜?」
 ヨーグルトゼリーとオレンジアイスティーを広げ、向日葵に負けない笑顔のアスティナが呼ぶ。ボギーが首を傾げると、アスティナの傍でウピルナが笑って頷いた。
 フルーツにゼリーにアイスティーと煌く涼やかな物達でおなかを満たし、ころりと横になったアスティナが寝息を立て始める。ウピルナはその寝息を聞きつつ向日葵を眺め、絵心のない自分を残念に思った。描きとめるかわりにしっかり景色を眺めよう……そう思っている内に、いつしかうとうととしてしまったのだけれど。

(「あの二人の別れた場所……今の私には他人事ではないのかもしれません」)
 旅団の仲間、ライバルと思う相手。遠くへ旅立っていった人々を想い、マイトは向日葵を透かした陽光に目を細めた。静かに響く旋律に自然と体が動く。
 どこまでも吹いていく風を支えるように、彼方へ向かい差し伸べられる腕。流れるように裾を捌く足は、人々の還る場所を守るように大地を滑る。
 大切な人々のために、祈るように舞いを捧げた。
「そんな事があったんですね……」
 恋人達の話を聞き、テルミエールが切なげに息をつく。
 祈りの舞いと光の花を見つめ、杯を空けたキュオンが呟きをもらした。
「あの二人、幸せ……元気してるかな」
 霊査士は「ええ、きっと……」と囁き、キュオンの杯に光の雫を静かに注ぐ。
「ん……そうだね」
 感傷を溶かすようにキュオンは微笑み、杯を傾けた。
 テルミエールは瞳を伏せ、恋人達の話を胸に留めた。いつか自分も大切な人との別れを選ぶ日が来るのかもしれない。でも、だからこそ今の思い出を笑顔で満たせるように。
「ボギーさぁ〜ん、こっちですよ〜」
 晴れ渡るような笑顔で手を振った。

 辺り一面、鮮やかな光の花の海だった。
 しばらくの間別れなければならない、同盟の景色。
 シャオルンは慣れた表情でアヤナの不思議な味の弁当を平らげ、光降る景色に瞬きすら忘れて見入る彼女の手を取った。
「アヤナさん。あの戦地から帰ってきたら……」
 思い出したようにアヤナが瞬きをすると、見詰め合う二人の間をふわりと風が吹き抜けていく。
「――結婚してくれないか」
 空と光の花を映したアヤナの瞳が一気に潤んだ。
「……返品不可マスから、ね!」
 勢いよく抱きついて、至福の言葉を紡いだ唇に己のそれを重ねる。眩く優しい光の中に二人の影が重なり、甘く柔らかな土の上に沈んでいった。

 夏の残照を受け止めて、輝くように光の花が咲き誇る。
 全ての人に、前を向いて歩いていく力を与えるように。


マスター:藍鳶カナン 紹介ページ
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参加者:38人
作成日:2005/09/04
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