白銀の光を今宵あなたと〜麗しの月光浴で〜



<オープニング>


 大切な誰かに贈り物をしてみたい。冒険者でもそうではなくても、心に思う気持ちを形に表し、誰かに贈りたくなる事はある。きっとある、絶対にある。
「そうそう。そういう時もありますわよね」
 エルフの霊査士・マデリン(a90181)は両手首を縛める無骨で大きな腕輪を見下ろした。
「もし、わたくしが霊査士ではなかったら……いいえ、そんなたとえ話はよくないことですわね。でも、華奢で繊細なブレスレットをしてみたいと思う時がないわけではないんですの。憧れですわ」
 うっとりとした様子でそう言うと、あわてて首を振り表情を変えた。
「無駄話はいけませんわね。わたくし、少し一人になって心を静めて参りますわ」
 マデリンは淑やかに一礼し、ランドアースの街角を静かに歩き去っていった。

 幾千幾百の夜を彩ってきた星、そして月。
「月の綺麗な夜に月光浴なんていいですわよね。なんとなく神秘的な感じさえして……」
 溜め息をつきながらマデリンが空を見上げる。
「空を見上げながら大切な方にプレゼント……なんてステキなのでしょう。わたくしには残念ながらその様な経験も……多分この先ずっとないと思いますが、日頃ご活躍いただいている方々にはせめてその様な浪漫あふれる体験をしていただきたく思いますわ」
 ぴ〜〜ん。何かが閃いた。
「そうよ、そうですわ。わたくしが……わたくしが企画をして皆様に喜んで頂けばよいのですわ。そうなのですわ! これは天啓ですわぁぁぁ!」


 そして告知。
 冒険者の皆様。大切な方と2人で月光浴をいたしませんか? 普段は言えない素直な気持ちも月の光の下でなら正直に言えると思います。ご希望の方には月の形がついたブレスレットもご用意しております。思いと一緒に大切な方に贈ってみませんか? 詳細はエルフの霊査士・マデリンへお寄せ下さい。
場所:月見の丘
日時:満月の夜 月の出の頃 

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参加者
NPC:エルフの霊査士・マデリン(a90181)



<リプレイ>

 フォルトはそっとフレイヤの肩を抱いた。
「寒くはないですか?」
「うん。こうしていると暖かいよ」
 フレイヤはそっと身体をフォルトに預ける。そうすると触れあっているところが暖かい。
「あの……」
「あのね……」
 2人は小さな包みを手に見つめ合う。

 アヤメはルリィをそっと抱きしめた。今夜のルリィはアヤメとほとんど変わらない程露出の高い服を着ている。
「こうしてアヤメさんと一緒にいられるなんて……幸せです、本当に」
 うっとりとした表情でルリィはアヤメを見上げる。
「これからも……ずっと一緒に頑張りましょう、ね」
 アヤメの唇がそっと降りてくる。

 ジュリアはグラスを降ろした。こんな夜は酔ってしまうにはもったいない。
「アンタの誕生日もだが。勿論……今夜私の分も祝ってもらえるんだろう?」
 寝ころんだままの月見酒をしていたナギが飛び起きてジュリアへ向き直る
「すまん! 本当にすまなかった! だから、捨てないで?」
 台詞の最後は少しおどけている。睨んでままのジュリアの口元がゆっくりとほころぶ。そして、そっと唇がナギの唇へ近づいてくる。

 メディスは酒に映った月をうっとりとながめている。
「こういうのを『風情がある』って言うんだねって……お酒はダメだよ」
 セリオスはメディスを気遣って酒を取り上げる。
「ふにゃあっ」
「だめ。こっちで我慢」
 代わりに爽やかな果実のジュースを手渡す。
「うーん。いぢわる。でも美味しい」

 テンマはルルと手を繋ぎ、ゆっくり歩く。月夜のお散歩……そして隣にはルルがいる。
「ルル、誘ってくれてありがとう☆」
「来てよかったよね、テンマ君。お月様、とっても綺麗」
 いつも逢っている筈なのに、今夜はお互いが違う人の様に見える。それは月夜の魔法なのか。テンマが歩を止める。
「テンマ君?」
 こんなに2人の距離が近い。

 ここ一番! となかなか手に入らない高価な酒を用意した。
「どうだ?」
 ルインはグラスに注いだ酒をリコリに勧める。
「わらわは実は……今は酒は受け付けぬ」
 リコリは意味ありげな表情でルインを見つめたまま、自分の腹に手を置く。
「そうなのか? それなら責任を取る。お前を俺のものに……」
 ルインはリコリを抱き寄せる。グラスが倒れて酒が零れる。
「冗談よぉん……からかっただけ……」

 ジラルドは視線を夜空に輝く月からフローライトへと向ける。
「戦いに身を置く事が多いと、こういう時間が愛おしく思いますね。お誘い下さってありがとうございます」
「ううん……いきなり誘っちゃって悪かったかなぁって。迷惑じゃなかったか? その、俺なんかと一緒でさ」
「迷惑だなんて、そんなことありません。ほら、あんなに綺麗な月はそうありませんよ」
 ジラルドに言われてフローライトは月を見上げる。

 アモウは肩にもたれてくるサナを愛しげに抱く。
「月はいいな。見ていると気持ちが落ち着いてくる」
「本当に……月は綺麗ですね。静かで優しくて、とっても安らかな気持ちで満たされてくるんです」
 サナはうっとりと月を見つめ、そして愛しい人を見つめる。
「サナ……いつまでも俺だけの優しい月でいてくれ」
 アモウはそっと恋人の耳元に思いを囁く。

 イツキとリュフィリクトは静かな場所で月を見上げていた。
「俺、月明かりって凄く好きだな。なんだかね、イツキさんに似ている気がするから」
 不意にリュフィリクトが言う。
「え? あの、その……あーとりあえず月を見ましょう」
 普段言えない言葉の数々が心の中で色々と浮かんでいたイツキは驚いてリュフィリクトを見つめる。
「俺ね。イツキさんの事が凄く好きで、凄く大事だから……今夜この月に誓わせてくれる?」
 急展開にイツキは言葉も出ない。

 そっとアーチボルドに寄りかかったファリーは幸せそうに微笑む。
「好きな人とこうして綺麗な月を見上げる……なんて夢みたいですぅ」
 静かな光が心を落ち着かせ、そして最大の勇気をくれる。
「こんな幸せを感じる時に……ファリーさ――いえ『ファリー』がいつも私の側に居て欲しい。私の隣で共に人生を歩んで下さい」
 ファリーの目が少しだけ見開かれる。
「はい、わたしも……アーチと一緒にずっと歩いていきたいですぅ」

 キルレインとリロイは手を繋いでゆっくりと歩いていた。
「お月様綺麗だね〜お月様ってキルさんのイメージなんだ☆」
 リロイの足取りは弾んでいるかのように軽い。
「月?」
「うん。だって、月の光が蒼だから。冷静なキルさんを連想させるの」
「冷静なんて……今夜はちゃんと言うよ。いつもそばに居てくれてありがとう」
 キルレインの素直な気持ちは言葉となって溢れ出す。
「もう……離さない」

 ルリスとアルスは並んで座り、空を見上げていた。
「こうやって月を眺めるのは懐かしい……な」
「満月って綺麗だね……来てよかった」
 不意にアルスはマントを脱ぎルリスに羽織らせた。
「ありがとう……でも、良いの?」
 マントは暖かい。ほんのりアルスの香りがする。
「俺は慣れてるから……何時になるか判らないけど、行きたい場所があるんだ」

 ヨシノは手作りのお菓子をブラッドへ差し出した。
「あの……甘さは控えめにしておきました。お口にあえば良いので御座いますが……」
 白くてまぁるい団子は月の様だ。
「ありがとう」
 礼を言いブラッドは菓子に手を伸ばす。ヨシノの熱い視線は全てを物語っている。
「わかっています。私の我が儘です。でも、どうか……今宵だけは貴方のそばに居ることをお許し下さい」
 泣きそうな声だった。

 ナシャはすっかり酔っていた。
「綺麗なところで飲む酒ってサイコー! ほら、エル! 君も飲みなさい」
「俺はまだ酒はダメ!」
「堅い奴め! けどいい気分、こんなの本当に久しぶり」
 ナシャはエルンストの膝を枕に横になる。
「ちょっとだけ」
 そのままそっと目を閉じる。この展開は……やっぱり俺からって誘ってる?
「ナシャ……す、す……って寝てるー?!」
 エルンストが固まる。

 並んで座っているキクノとレティー。夜風が2人の髪をそっと揺らす。
「レティーさん、これからも仲良くしてくださいね♪」
 キクノが言うとレティーはうなづいた。
「私、昔から月とか星とか大好きだから誘ってくれてとっても嬉しい。だから誘ってくれたの?」
 キクノはただ黙って笑っている。

 やっとその人を見つけるとクローバーは走り出した。
「レイナーー!」
 レイナははっとして振り向き、クローバーにぴょんと抱きついた。
「クローバー!」
 2人が再会するのは久しぶりであった。
「クローバー、何所か静かな所に移動しよっか」
「そうね……あ、四つ葉のクローバーを探さない?」
 クローバーが踊るように走り出す。

 満天の星を圧倒する蒼白き月が空に架かっていた。
「ここまで見事なものだとはな……クロウ、付き合ってくれてありがとう。お陰で良い所へ来る事ができたぞ」
 スフィアはそう言うと、半ば寝ころんだ状態で月光浴を楽しむ。
「あぁ本当に見事なものだ」
 クロウも言葉少なに月を見上げる。2人の間に今は言葉は要らなかった。

 人のいない場所に着くとリアスは振り返った。月が眩しすぎる。
「改めてもう一度言います……ソフィアさん、私の特別な人になってください」
 覚悟はしていたけれど、ソフィアには自分の気持ちに自信がない。
「あ、あの……よ、よろしくおねがいします!」
 ぎゅっと目をつぶってそれだけ言う。
「ありがとうソフィアさん、大好きですよ」
 リアスは優しくソフィアを抱き締めた。

 さきほどからずっと、シノアとユユは黙って空を見つめていた。
「シノアが来てくれて良かった。月も綺麗だし」
「そうか? 大して綺麗でもないだろ」
「え?」
「だって……お前の方が全然綺麗じゃん」
 ニヤリと笑っているシノア。ユユの頬は自分でわかる程に赤くなる。

 レイはソウと一緒に丘を少し下ったところに出た。2人でゆっくりと過ごせるように色々準備をしてきた。
「ソウ……」
 レイは読みさしの本を閉じてソウに寄り添う。
「ん? 眠くなったのか?」
 レイの髪をそっと撫でる。
「いや……なんでもない」
 2人だけにわかる微笑の意味。

 月見の丘に座り、ツバキとダースは蒼い月の光に優しく照らされていた。
「あの……」
 ツバキがようやく振り絞った声は妙にかすれていた。ダースの視線が向けられる。
「私、ダースさんの事が好……えぅう、何でもありませんです」
 言えない。どうしても言えない。赤い頬を見られたくなくてツバキは下を向く。手にした小さな包みが目に映る。コレを渡したいのに。

 アリアはそっとカナキに寄りかかった。ほんの少しなら、これくらいなら寄りかかっても良いだろう。
「……綺麗ですわね。こんなに月が美しいなんて……初めて気が付きましたわ」
 きっとそれはカナキがそばにいてくれるからだろう。
「一緒にいられて……本当に幸せですわ」
 アリアはうっとりとつぶやいた。

 手を繋いで歩きながらレイムとクロアは月夜を楽しんでいた。風が2人の髪を揺らしてゆく。
「風が気持ちいですね」
「ほんとですね……」
 月明かりが空を満たし、地を照らす。
「レイムさん」
 そっと……ほんとうにそぉーっとくろあはレイムを抱き寄せた。
「レイムさんに会えて、ほんとによかったのです」
 2人の唇が触れ合う。

 少し開けた所に座り、ヴィラとリンスは月光浴を楽しんでいた。
「ほわぁああ〜綺麗だねぇ〜」
 リンスは夜空を飾る月を見つめて感嘆する。
「そうね。あたしもびっくりしてる」
 一緒に月を見つめてヴィラもうなづく。一緒にいるこの瞬間を大事にしたい。
「一曲やろうか?」
「うん」
 ニコッと笑ってヴィラはハーモニカを取り出した。

 珍しくツァイを誘ったのはディルフィーだった。
「ツァイさん……あの、月光浴ですって。行って見ませんか?」
「わかった」
 素っ気ない返事だったけれど、ツァイは承諾してくれた。そして今隣にいる。
「踊りませんか? とても、素敵な舞台ですし」
 幻惑されたかのように素直に言えた。華奢な手をツァイに向かって差し出す。その手をツァイは驚くほど優しく握った。

 リボンはヘリオスと手を繋ぎ、丘へと駆け上る。
「ヘリオスちゃん! リボンちゃんたちも早く行くなの〜」
「わかったから引っ張るなって」
 2人は機敏に動き回り、ベストと思われる場所を確保する。
「今夜はリボンと色々話すぞ!」
「はい。まずはお団子なの。そういうふーしゅーなの」
 リボンがバスケットから団子を取り出す。

 ソリッドは外套を脱いで地面に敷いた。
「これでいい。そのまま座ったら服が汚れるだろう?」
「……ありがとうございます」
 アリエノールは淑やかに礼を言ってソリッドの外套の上に座る。横にソリッドも座った。明るい月の光が空と大地を照らしている。2人は黙ったまま月を眺めている。心に抱える悩ましさは何一つ変わらない。ただ心が洗われて露わになるだけ。

 リトゥールは月の光に照らされて、ニッコリと笑った。
「こんな風に色々とお話が出来たら嬉しいなって思っていたのです」
「それは嬉しいな。俺も久しぶりにじっくり話が出来て楽しい」
 クロウディアもニッコリと笑う。本当に色々な話をした。
「そうそう。これも受け取ってくれないか?」
「わぁ、有り難う御座います!それじゃあ私からも」
 2人は互いにブレスレッドを差し出す。

 ククルとミルティアはのんびり月を眺め、ミルティアが持参した団子をつまむ。
「月が綺麗だね、こんな静かな夜も好き♪」
「こうやって見ると月は本当にきれいですね〜♪」
 ふと見るとミルティアが寒そうにしていた。ククルは自分の上着を脱いでミルティアにそっと羽織らせ、さらにぎゅっと抱きついた。
「え?」
「寒いでしょ? あ、こうすれば2人とも暖かいかな?」

 ミントとミスティアの姉妹は並んで月を眺めていた。2人とも月を見るのは大好きであった。淡く儚い光も美しいし、神秘的な輝きも素晴らしい。
「わたくし、今宵はぜひミスティアと一緒に月を愛でたいと思ったのですわ。差し上げたい物もありますの」
「わたくしもですのよ。奇遇ですわね。ほら……」
 2人は同じような包みを互いに持っていた。

 ただ黙って空を見る。戦いを忘れる一時は、とても大事なことなのではないかと思う。2人は寝っ転がって空を見ていた。
「……これからも、宜しゅうにね、相棒。頼りにしてますさかいに、ね」
 ヴィオラはクスッとヒカルに微笑む。
「こちらこそ。最近はあまり時間も取れなかったけど、今夜はじっくり語り明かそう」
「望むところや」
 2人は顔を見合わせて……それから笑った。

 月見の丘に寄り添う2人。ガイヤとリィルアリアだ。ギリギリの距離を保ちつつ、仲良く空を眺めている。リィルアリアの指先がガイヤの指へと伸びていた。
「綺麗だな」
 ぽつりとガイヤが言う。
「あ、は……はいなぁ〜ん。綺麗なぁ〜ん」
 返事をした拍子に指がガイヤに触れそうになり、更に身体のバランスを崩す。
「大丈夫か?」
 地面に倒れそうだったリィルアリアはガイヤに抱き留められていた。

 ジークは勇気を振り絞って切り出した。
「プリマさん、俺は……貴女が好きだ。この気持ちは誰にも負けない!」
 プリマはそっと顔をあげた。
「私、まだ自分の気持ちがわかりません。この思いが何なのかわからないのです。ですから……お友達から、でもいいですか?」
 プリマは真摯に想いを言葉にした。
「すみません、このような答えで……」
 プリマは硬直しているジークにそっと寄り添い、頬に軽く唇で触れる。

 アティはガルスタを見てクスッと笑った。
「何を見ているの? 月……ではないの?」
「そうなんだが……知り合いがここに来ているはずで、ちょっと気になったんだ」
「気になる人?」
「いや、そうじゃない」
 あわててガルスタは否定する。アティは戦友だ。それだけの筈なのだが。
「いいのよ。誘って貰えて、それだけで嬉しいんだから」
 アティは木の幹にもたれながら、静かに本を開いた。

 月は格別美しいが、やっぱり地上の出来事も気になる。
「ユタカちゃん。いた?」
 ジェイダイトはユタカに低い声で尋ねる。
「わからないです。気になるんだけど……」
「うん……」
 ここで知り合いを捜すのは至難だといえる。
「どうしようか?」
「頑張ろう。もうちょっと探しましょう」
 2人はコクンとうなづき、足音を忍ばせて丘をもう一度歩く。

 蒼い月の光を浴びて、ミヤクサとヨウカはのんびりと座っていた。
「たまにはこうして静かに月を眺めるのもいいものですね」
 ミヤクサがそっとつぶやく。
「はい。なんだか心が落ち着きます」
 ヨウカはうっとりと月を見つめたまま言う。
「いつも感謝しているんです。いつもありがとうございます」
「頑張っているのはヨウカさんです」
 ミヤクサはニッコリと笑った。それからチラッと他の参加者へと視線を移した。


マスター:蒼紅深 紹介ページ
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参加者:72人
作成日:2005/10/08
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