≪グドン地域強行探索部隊≫解散式



<オープニング>


 そこは、同盟領の外れのどこか。
 人里離れたどこか。
 森と林の合い間のどこかに、茂みと木立に囲われた小さな広場がある。
 広場の中央よりもやや北寄りには、苔生した倒木が1本横たわっており。
 常であれば鳥か小さな獣しか身を休めないそこに、1人の老媼が腰掛けていた。
 常磐の髪に枯れぬ金木犀を咲かせ、手にはパナケアの装飾が施された古いオークの杖を持ち、金の霞がかった緑の双眸を微かに残る焚火跡に向けているのは、常磐の霊査士・ミカヤ(a90159)だった。
 
 ここで――正にこの場所で、最初の任務について語った。
 薄らと残る焚火跡。傍らに書いた筈の地図は既に消えていたが、ミカヤは杖の先でその地図の線の1本を辿りながら思う。
 私に向けられた42の顔をとても良く覚えている、と。
 焚火の濃い橙に照らされて陰影が踊り、どれもが酷く真摯だった。
 それからグドンと戦い、常に宿命の様に戦い続けながら大森林地帯を抜け、沼地を踏破し、岩砂漠を歩んで洞窟を越え、あの谷に辿り着いた。
 何という旅だったろうか。
 そして私は、何だっただろうか。
 部隊員達が私に信を置き――そして過分にも尊敬の念を抱いてくれている者がいる事を、私は知っている。
 もし、彼等が言う通りに私が良き団長である――あったのならば、それは私が素晴らしいからでは無い。
 部隊員達が、あの誇り高き冒険者である彼等がいてくれたから、私がそうあれたのだ。
 彼等が居なければ私は唯の老媼で、唯の老いたる霊査士でしか無い。
 彼等が、私を私よりも良いものへ引き上げてくれたのだ。

 血を流す事を求め、得た勝利に対し更なる血を求め、死地へと送り出して3名の命を奪った私を、彼等はそれでも団長と認めてくれた。
 努力を惜しまず歩みを止めず、他者の存在と意見を尊重し和を崩さず最後まで任務を全うするという誓いを最後まで貫き通した彼等。
 私のような者には過ぎたる部隊員達よとミカヤは笑う。
 あの日、あの決定的な瞬間に霊視で全てを悟った時、彼等がいなければ私はきっと、もう1歩も動く事は出来なかっただろう。
 あの者達に囲まれて、未知の地を踏破した日々の何と幸福だった事か。
 
 それでも。
 終らない物語は無い。
 それぞれが、それぞれの道を歩む時が来た。
 始まりのこの場所で、また始める為に終らせよう。

 ミカヤは静かに思考を閉じて部隊員達を待つ。
 秋の香りを孕んだ風がざわりと木々を揺らし、広場の中央で木漏れ日が踊った。

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参加者
NPC:常磐の霊査士・ミカヤ(a90159)



<リプレイ>

 何時だって晴れていた。
 この部隊で、重要な何かが起こる時はいつも晴れだった。
 そして今日も。
 空は澄み渡り風は清か、良く晴れた秋らしい日だった。

 偶然苗木が手に入ったんだ。
 何だかここに植えた方が良い気がして。
 到着した一同を出迎えた金木犀の苗木に驚く皆を見て、バルバラがそんな風に笑った。
 それから穴を掘って苗木を収め、皆で何かの儀式の様に一握りずつ土を掛けた。
 ゲンマが、自分の身長で位置を測りながら高い位置に2つ、自分の頭よりも少し低い位置に1つ、用意していた金木犀の花冠を乗せ「こういう物は気持ちですから」と目を細める。
「さあ、始めよう」
 最後にミカヤが土を零し、皆を促した。
 皆がきちんとした服装をしているかそれとなく確認していたティアは、格好に満足すると共に、まるで小姑みたいだと、顔には表さず少し笑う。
 年齢も格好もまるで違う老若男女の集団がずらりと広場に整列した。
 思い思いに結んだ深緑のスカーフ。施された金木犀の刺繍が陽光に煌く。
 彼等はグドン地域強行探索部隊。
 そして今日は、部隊解散の日。 

●解散式 
「冒険者である無しに関わらず、人とはいずれ死に至る存在だ。それは今日でなくても、明日かも知れない。自分でなくても、親しい誰かかも知れない。だからこそ、ただ時に流されるな。流されるならば意識をして流されろ。時を制するのだ。グドン地域において、常にそうしていた様にな。
 これから壁にぶつかり、また躓き、理解を得られず理解出来ず落胆するかも知れぬ。しかし、金木犀の印に相応しく一命を賭して任を果たした誇り高き冒険者であり、私の誇りであるおぬし等であれば、乗り越えられるのだ。それを忘れるな。隊は無くなろうと、得たモノと鍛えられた心までは消えはせぬ」
 双眸に在りし日の峻厳さを湛えて言葉を切ったミカヤは、正確な3動作で植えられた金木犀へ向き直った。
「黙祷!」
 静寂が降りる。吹き抜ける風にそよぐ金木犀。森の甘く清かな大気の中に独特の香りが混じる。その枝で揺れる花冠。彼等の部隊章は無く、だからこそ部隊章を意味する花冠を見遣りながら、始まりの地にて再び集い、各々の道に戻る――か、とクロコは思う。
 旅立った3人の閉ざされた道と引き換えに、守られた俺達の道。それは既に彼等の道でもある。決して漫然と歩むわけにはいかない。決意するクロコの胸にも、思いを同じくする者の胸にも、時を制するのだという霊査士の言葉が重く響き。
 数々の言葉にならない思いが、部隊員達の胸を過ぎる。
 それから、誰からとも無く歌声が上がった。
 最初の殲滅戦から通常任務で水や食べ物を求めた事。幸せの運び手で飢えを満たした事。セイレーンの塔での戦闘と流れる噴水の美しさ。帰還任務での必死の行軍、最後の決戦。
 過ぎし日々を思いながら、万感を込めて歌うセルディカと吟遊詩人達の先導の元に、名付けるならば『グドン地域強行探索部隊 探索譚』という無骨な名前が良く似合う苦難と悲嘆と幸福と喜びに満ちた歌を歌い上げる。
 ザスバが、組の紋が刺繍された楓華風の衣装の裾で目頭を押さえる。
 ろくな働きを残せずここに居て良いのかは分からないけれど、ひと月といえどこの部隊は間違いなく私の『帰る場所』だった、と思いを噛み締めるクリュウ。
 否応無しに部隊での日々が思い出されて、込み上げる熱い何かに抗う様に、泣いてはいない、太陽の光が目に沁みただけだと、ガンガルスは空を仰ぎ。
 少し寂しいけれど、明日に向かって歩いていく為に今日は前を向いていよう、とイオは俯きがちな顔を確りと上げ。
 歌を、歌う。
 凱歌を。
 最後の一音が消えて暫くの沈黙。
 ミカヤが腕輪の鎖を鳴らしながら向き直ったその時。
「団長に敬礼!」
 ティアの声が凛然と広場へ響いた。
 探索行で得た不思議な絆を最後まで発揮して、部隊員達は一糸乱れぬ動きで敬礼する。
 ゆっくりと手を上げて、威厳を溢れさせながら返礼するミカヤ。
「これをもって、グドン地域強行探索部隊は解散する」
 厳かに告げられた言葉が、物語の終わりを教えた。
「皆、良くやってくれた。有難う」
 手を下ろして口元に微笑みを刻んだミカヤは、何故だか少し萎んで見えた。

●酒宴
 宴の為の様々な料理の良い香りが広場に広がる頃には、すっかり陽も落ちていた。
 各人にジュースや酒の杯が行き渡った事を確認し、ボサツが立ち上がりコホンと一つ咳払いをする。
 たった1ヶ月、されど1ヶ月……本当に濃密な時間を過ごした。この期間俺はかけがえの無い物をたくさん手に入れたと思う。正直淋しいけれど、だから、笑顔で。
「乾杯!」
 ボサツの音頭で一斉に乾杯の声が上がり、穏やかで親しみに満ちた宴が始まる。
 鶏の丸焼きに齧り付いていたスレイツがふと手を止めているのに気付いて、エィリスは傍らに膝を突く。
「どうしましたの?」
「……もうお別れの時期になっちゃったんだなと思って」
「そうですわね……」
 確かに、あっという間だった。振り返れば涙が出そうで。せめて全て終るまで笑顔でいようと、エィリスは手製のキッシュを差し出した。
「食べましょう」
「そうだね」
 お腹が一杯に成れば何かが解決しそうな気がして、キッシュを受け取ったスレイツも泣き出しそうな顔を笑顔に変える。
「団長……肩揉んでやろうか?」
 ミカヤの傍らに腰を下ろしたバートランドが、照れ臭そうに切り出す。
「つーか揉ませてくれや……戦場で生まれて、戦う事が人生で、『お袋』ってなぁどんなもんなのかね、ってさ。へへ……アンタみてぇなお袋が居たら俺も少しは真人間に育ってたかね?」
「おぬしは好い男だよ。母が不在にも関わらず、自分の力でそうなったのだろう?」
 ミカヤはバートランドの灰の頭を柔らかく撫ぜ、おぬしはご自慢の息子という奴だよと笑った。
 ここでは無い何処かへ旅立ったとしてもその先で、笑顔で彼女が育ち続ける様にと、ポーラリスは遥か彼方に思いを馳せ、柄にも無いと思いつつも祈る。できればそこで恋もして、人を愛する暖かさを覚えて、5年後、バルバラに預けたワインが飲み頃になる頃に、酒盃を交わそうとポーラリスは3人に語りかけ。
「そういや、返しにいかなきゃな」
 ふと輝花飾の守に視線を落として、ルガートは青髪の天使を想う。この守があったから帰って来れたのだ。そして、離れてみて改めて感じた思いと――返しに行って伝えよう。新しい一歩を踏み出す為に。決意と共に、ルガートは守を握り締める。
「一杯……食べると良いなぁ〜んね」
 強行探索の道程、張り詰めがちだった心を常に和らげてくれた笑顔を今日も浮かべて、アユムが金木犀の根元に山盛りの食事を置く。
「生きて帰れました。そして目的も達せました。それもこれも貴方たちのおかげです。ありがとうございました」
 持参の酒と菓子を置いてそっと黙祷を捧げるレン。仕留めて丸焼きにした猪の一番上等な部分をその横に置いたソウリュウは、各々が進む道の為に祝杯を挙げよう、出会いと別れが自分達に素晴らしい物になるように、と金木犀を振り返って焚火の元へ帰って行く。
 見交わして、暖かな輪の中に居る事に幸せな笑みを零すエイミーとログナー。
「ゲァアハハッハァアッッ!! まー、シヤンも呑めよ」
 レインボーアフロのシヤンの首根っこを捕まえて、杯に酒を注ごうとするザスバ。
「おーい、俺まだ未成年だぜ〜」
「おお!?」
 そうは見えねぇやと宴会の和の真ん中で誰かが笑う。そりゃあないぜ、とシヤンが情けない声を上げれば、どっと弾けた様に笑い声の輪が広がった。

 私は信心が足りないけれど、それでも……と、金木犀の枝に触れてるユージン。あの方々に穏やか眠りと幸せな旅路が在ります様、どうか……不意に注した影に顔を上げれば、ミカヤが立っていた。
「泣いておるのか」
「いえ、祈っているのです」
 そうかとミカヤは頷く。どうか酌をさせては頂けませんかとユージンが問えば、ミカヤはちらりと笑みを見せ、もう一度頷いた。
 アージェシカもまた、優しく金木犀の枝に触れる。いつかあの子に言ったように、幸せな記憶が、蒼い灯火となって照らしてくれると知っているから。顔を上げて胸を張って進んで行こう。あの日の誓いを忘れずに――もう一度貴方に会えたそのときに、笑って抱きしめられる私で在れるように。
「ありがとう、ミルラ――愛しているわ」
 呟きは風に溶け。重ねてラグの声がした。
「ええ、ただ感謝を」
 祈りは本来生者の物で常には死者の為には祈らないけれど、今日は祈りを。貴方達のおかげであの日まで私は務めを果たす事が出来た。これからも務めを果たしていく事が出来るのだと、ラグは揺れる花冠を見る。
 それから、いつかの約束のままに、ラグとアージェシカは酒盃を触れ合わせ。
「何かね」
 先程までクリュウと踊っていたミィミーが、戻って来てバルバラへ酒瓶を差し向けた。
「部隊に入ったばかりの頃は、皆真面目だなーとか、私はこんなんでいいのかなーとか考えててさ。でもあっという間だった。得たものも、失ったものも、大きかったなーって、思う……」
「ああ……」
 互いの杯に注がれる蒸留酒。いつか全てが、この琥珀色に似た色の思い出に変わるのだろうかと思えば切なさが込み上げて、何かを堪える表情で2人は見交わす。
「俺の入隊を受理してくれたのはどうしてですか?」
 真剣な表情で真正面から見詰めて来るハジの真摯な眼差しを受けて、ミカヤは「だからだ」と言った。
「おぬしが若く未熟で素直であると思ったからだ。良き導き手に恵まれれば素直さは類稀な資質となる。そうして選んだ者達は、皆良く成長したよ。お前もだ、ハジ」
 泣き出しそうな少年にミカヤは暖かく笑み掛ける。
 宴を離れた場所では、ジェイクが独り掌を見詰めていた。
 人とはいずれ死に至る存在――か。俺も何時か、何処かで力尽き死ぬだろう。其の時迄は……。不意に手を握り締めて、ジェイクは苦い物を含んだ笑みを浮かべる。酒の為の感傷か。
「似合わねえな」
「そうだな、似合わない」
 声に振り向けば、酒瓶片手のバルバラが此方を見ていた。
「楽しみの時間だ。歌おう。得意なんだろ? 何時かみたいにさ」
 にっと笑って身を翻すバルバラ、その向こう側では即席の楽団が、燃え立つ焚火に照らされていた。
「印象に残ってるからな、教えてもらわなくても弾けるぜ!」
 ディリアスがリュートを一鳴らし。そう、何時だって奏でる事が出来ると、イオのフルートと、セルディカの、アージェシカの、バルバラの愛器から溢れる音色が柔らかく重なる。
 2度の死線を越えて、ただいまといえる場所になった同盟と――この部隊。解散を厭うていても、払った犠牲と勝ち取った勝利に賭けて、立ち止まる事は許されぬ。だから、とフィアラルが最初の和音をリュートから生み出して。
 最初で最後の楽団。
 吐息にすら注意を払い進み続けた日々を越えて、初めて楽の音として奏でられる曲。
 自分は役に立ったのかと戸惑うリンに、ミカヤははっきりとおぬしは頑張ったと言った。嵐のような夢のような時間だった。協力、感謝、後悔、哀悼……とても言葉なんかでは表せない……たくさんの、たくさんの想い。全て乗せて、リンと全員が歌う歌は――
 
 凱歌。

「俺は……俺はこの1ヶ月を忘れません。俺の誇りだから」
 少女と同じ年頃の少年、レーダがそう言ってハーモニカを手に楽団へ加わるのを、ミカヤは眩しそうに見詰める。
 ヴィオラを奏でるエィリスの足元から淡い光が広がり。その中で、マカーブルとミィミーが舞う。共に剣を持ち。女と男、陰と陽、死と生を表して、全身で奏でる再生のダンス。
 繰り返される歌と楽曲が最高に高まった時、毅然と皆を率いて前衛で戦って来たレティシアが高々と武器を掲げた。
「希望のグリモアと散っていった英霊の魂に誓いを!」
 この時、この仲間達と、ここで共に過ごし共に戦った事を忘れず、彼らの遺志を継ぎ、人々を護るために戦う事。その――
「誓いを!」
 鬨の声めいて唱和して、次いで光を生み出す幾多の技が灯され、空へと打ち上げられた。
 全て終って……また、各々の物語が始まるんだね。ボクは、もっと、ずっと立派な冒険者になる。みんなに負けないくらい。だから……きっと、見守っててね。リーリの思う言葉と苛烈な光は儚く消えて、聖なる光が満たす広場はまた宴の喧騒を取り戻す。
 穏やかな終焉に向けて緩やかに、宴の時間は流れて行った。

●旅立ち
 やがて来た朝は、旅立ちの予感を孕んでいた。
「俺は貴女の下にあったから、ここに居られる。貴女が導いてくれたから、全力を尽くせる。貴女の下に居られたこと、心から光栄に思います」
 静かにマカーブルの言葉を受け取ったミカヤは、旅立つ息子を見送る厳格な母の様に、何も言わず一度だけ彼を抱きしめる。
「迷う私達を叱咤し労り導いてくれた私達の誇り、敬愛してやまない母です。子は何時か母の元を離れる……それが今。この1月を標にこれからも進みます。ありがとうございました。でも、親離れしても子は子ですよね、またお顔を見に伺っても?」
「ああ」
 眦に涙の粒を止めてヒヅキがおずおずと手を伸べると、ミカヤは微笑みと共に、華奢だが強靭な芯を秘めた娘の体を抱いた。
 とても辛い……メイフェアは思う。冒険者になってずっと独りでいた。けれど仲間と過ごしてみて、独りでいる事がどんなに寂しいか思い出してしまったから。でも――……そこまで思った所で、上から降ってきた手に髪を掻き乱された。
「生涯の別れじゃないし、一つ空の下で生きてるんだからなー……また会う事もあるだろ? そんな顔すんなよ!」
 振り仰げばディリアスの晴れやかな笑顔があり。釣られてメイフェアも微笑む。
「遠く遠く離れてしまっても、冒険者を続けていれば、再び、道が交差する時がありまちゅよね? 」
 パステルの問いに、ミカヤは確りと頷きを返す。
「また会いまちょう」
 小さな体で悲しみと涙を堪え続けたリザードマンの少女が、最後まで笑って手を上げる。
「疲れた時には、何時でもおぬし等の止まり木になる。だから、嵐の夜も陸の見えぬ大海原でも恐れずに、自由に飛んで行け」
 ミカヤはそう皆を送り出し、再会を誓いながら去って行く冒険者達の背中を、いつまでも見送っていた。

●終幕
 再び独り、ミカヤは倒木に腰掛けていた。
「ミカヤさん……私たちはいつまでも、貴女の部隊の隊員として……貴女の子どもとして、
貴女を尊敬し、愛し、そして……生き抜いていきます」
 そう、居並ぶ冒険者達に後押しされて進み出てきたシャルトルーズが抱擁と共に手渡してくれたマントを広げれば、硬く澄んだ日差しに寄せ書きの文字が浮かび上がる。
 沢山の言葉と、照れたように名だけ書いた者もいて。

 諦めず前へ進む事を学ぶ、忘れえぬ1月をありがとう。
 冒険者として至らぬなりに力を尽くし続ける。
 願わくば、常に凱歌と共に在らんことを。お疲れさん、おっ母ぁ!
 さよなら…は言わねぇ。 また会おうぜ!
 冒険者になってよかった……って心から思えたひと月だったよ。みんな、本当にありがとう! 追伸:お酒はほどほどにね!
 死ぬ覚悟と生きる意志、ここでこそ学びました。
 苦楽を共にした皆様とミカヤ団長、本当に有難うございました。
 有難う。親愛と尊敬をこめて。
 冒険者の誇りを。
 この誇りを胸に盾たり続けることを誓う。
 素晴らしき仲間たちとこの部隊に、敬意と感謝を。
 今まで本当にお疲れさんだ。皆と出会えたこと、たくさんの敵と戦ったり、探索したり……全ての出来事が俺の糧となった。また会おうぜ!
 出会えたことに、共に戦えたことに、ただ感謝を。
 私達の明日に、友愛と祝福とグリモアの加護があらんことを。……皆さん、本当の本当に大好きですの。
 部隊で感じた辛さ、哀しみ、そして喜びを忘れずにこれからも頑張るよ!
 金木犀の元に集い、皆と共に活動出来て幸せだった。本当にありがとうな。
 みんなと一緒にお仕事できて、ほんまよかったわ〜なぁ〜ん♪
 かあちゃん! 大好きだよ!! 此れからも俺達と共に在り続けておくれ。
 皆様に、感謝と敬意を……。
 ありがとう。
 この旅団に参加でき、素晴らしい団長や仲間と共に冒険できた事を心の底より嬉しく思う。
 皆さんと出会い共に在れた奇跡に最大の感謝を、ありがとう。
 おめえらは俺の誇りだ!
 ここでひとりひとりが繋いだ鎖は、決して切れることはない絆となるだろう。
 ありがとうございます。それしか言えません。
 丁寧に。
 共に居た月日 我が人生の財産。共に居た仲間 我が人生の誇り。
 厳しく優しき母へ。43人で共に苦楽を分かち合い、冒険者たるは何かを真に学んだ、この奇跡のような1ヶ月を忘れない。貴女の部隊の1人であった誇りを胸に、冒険者であり続ける事を金木犀に誓う
 沢山の絆と記憶をありがとうございました。――貴女の子どもたちより。

 我が部隊。
 我が家。
 我が子の様な部隊員達。

 もう無い。
 もう居ない。

 けれど、ここにあり、ここいる。

 そっとマントを撫ぜ、霊査士は手を胸に当てる。

 老霊査士は泣かない。
 代わりに微笑むようになってどの位経つだろう。
 その頬に、久方ぶりの涙が一筋伝った。


マスター:中原塔子 紹介ページ
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