<リプレイ>
●観光? ビクッ! ご機嫌なウールナの姿に、一瞬ビクッとした男が1人。ティキである。ワイルドファイアにいるはずのウールナがなぜここにとギョッとしたようだ。しばらく周囲の様子を伺い、ザウス大祭の為にランドアースへ来て、寒さが苦手にもかかわらず食べ物の為に留まった事を理解する。 「ウールナはどこでもやっぱりウールナだな」 ティキはぺんぎんスーツを身につけたウールナを眺めてボソリと呟いた。 ウールナの様子を微笑ましく見るファオ。ランドアースとワイルドファイアの文化の違いを体験するのはきっと楽しい事だろうしと考えたファオは、温泉の後でウールナへ勧める食べ物を思いついたようであった。 リンディは温泉街界隈にある店を確認して回る。ウールナに鍋を食べさせようと計画しているらしい。ちなみに彼女、ウールナが既に去年の誕生日に鍋を食べた事を忘れていた様子。驚かす気満々で、下準備をしていた。 周囲の様子を興味深気に見回すエンジェルのアスティナ。あちこち見ては、質問するアスティナの様子を見て、ノヴァリスははぐれないようにと気を使う。けれど、楽しそうなアスティナの様子にノヴァリスは嬉しいような気持ちを抱く。 「ノヴァさぁん、次はあっちに行ってみましょぉですぅ」 そう言いながら、向かおうとして、躓くアスティナ。あちこち回って疲れていたのだろう。それに気付き、ノヴァリスは彼女が言う方向にあった喫茶店で休憩しようと提案した。 「えへへ、これおいしいですねぇ〜」 アスティナは嬉しそうな顔で、注文した食べ物を口へ運ぶ。 「一緒にいてくれて……ありがとう」 そんなアスティナを見つめ、ノヴァリスはぽつりと感謝を言葉にする。ノヴァリスといると楽しい気持ちになるなと、そんな事を考えていたアスティナはとても嬉しそうな笑顔を、ノヴァリスへ返した。 ブルっと体を振るわせ、寒さに弱くなったと呟くワスプ。ワイルドファイアで長く過ごすようになり、ワイルドファイアにあわせた袖の短い上着を身につけている。寒い季節に寒い格好をしていれば、寒く感じるのは当たり前の事で。ワスプはその事実に気付かないまま、温泉街にある喫茶店に足を向けた。 「う〜ん……美味いぜぇ」 紅茶と共に注文したマフィンやスウィートポテトを口にするワスプ。テラスの1席で日にあたりつつ、ワスプはのんびりとお茶を楽しむ。 「たまにこうして、平和な1日を過ごすのも悪くないな。また明日からがんばれる気になる……いや、気になるだけじゃダメなんだが」 そう苦笑しつつも、幸せそうなワスプであった。
「温泉、と言えば温泉まんじゅう?」 ちょっと普通過ぎかしら? と言いながら、土産物を見て歩くサガラ。もちろん、変わった『食べ物の土産』があれば即ゲットの予定でいる。温泉まんじゅうの中に詰まった、なんとも言えない美味しさを広めたくて仕方ないようだ。サガラはしっかり買いこんだ温泉まんじゅうを、道行く人に配ったりして歩く。 「温泉か……。温泉と言えば、温泉まんじゅうや温泉たまごだな。あれは美味いぞ。酒もかくべつらしいがウールナにはまだ早いな〜」 そう言いながら、にやりとウールナに笑いかけるヴァイス。 「まんじゅうとたまごだな! 覚えておくのだ〜♪」 ウールナは目を輝かせて興味津々だが、酒には全く反応しない。飲む物よりも食べる物に意識が行くのであろう。丁度通りかかったサガラに温泉まんじゅうを渡され、ウールナは大喜びで早速温泉まんじゅうを口にした。 「ウールナさん、これ美味しいですなぁ〜ん♪」 温泉もいいけれど、美味しい食べ物をメインにとアイリーンはあれこれ食べ歩く。温泉たまごに温泉まんじゅう。その他にも蒸かしたての焼きイモや菓子類などあれこれ食べた中で美味しかった物をウールナに勧める。勧められたウールナはもちろん喜んで受け取り、美味しくいただいた様子。 「暖かい物を食べたら、温泉に行かなくてもポカポカですなぁ〜ん♪」 アイリーンは蒸かしたての焼きイモを手に、笑顔で言った。 ジェイドは村の様子をきょろきょろと見ながら、勝手がわからず不安なのか、ウールナの後をついて回る。 「温泉はいいよ〜。僕もこの間初めて入ったけど、すごっく気持ちがいいんだ! ウールナさんもきっと気に入るよ。楽しみにね!」 笑顔でそう、ウールナに声をかけるリュウ。疲れを癒すには最適な温泉を勧めるとは、そつがないとリュウはユリシアの言動に感心をしていたりもする。 「僕の故郷の島では、くり貫いた大かぼちゃの中に、挽肉と刻んだタマネギなんかの野菜と香料を混ぜて一緒に詰めて、ダシでじっくり煮込む料理があるんだ。美味しいんだよ〜」 笑顔で説明するリュウの言葉に、ウールナはよだれをたらさんばかり。美味しそうなのだ〜と羨ましそうに呟く。結局、温泉村のレストランでその料理を作ってくれるよう交渉をしたりしたようだ。
●温泉! 「温泉に入る前に、我輩からウールナ殿にアドバイスをしてしんぜよう!」 鎧を着込んだまま、ウールナの目の前に立ちディスティンは言う。 「温泉に入ってる時、温泉ザメに食われぬよう注意するのだぞ! 温泉クジラにも要注意だ! やつは強いからな! 温泉キングボスが出てきたら逃げろ! 勝ち目は無い! とにかくランドアースの温泉は危険が一杯だ! 気をつけろ!」 息つく間もなくそう言い切るディスティン。ウールナはほほうと頷く。 「わかったのだ!」 元気よく答えたウールナはどうやら、ディスティンが教えた嘘を丸ごと信じてしまったようだ。ディスティンはウールナの様子を満足そうに見た後、男湯へと向かう。そうして鎧を着込んだまま、温泉につかり始めた。 「ふ〜。しかし、こうしていると……。なんか、こう……。今にも蒸し焼きになりそうな感じよのう……!」 湯からはみ出た鎧部分の隙間から、もうもうと濃い湯気を出しながら呟くディスティン。既に意識が朦朧としているように思われる。なにしろ温泉につかっている状態なら、蒸し焼きではなく蒸し煮だし。心配して声をかけた一般客にディスティンは中の人などいない! とお約束の反応もしたようであった。 「……んむ、やはり……温泉はいいものだ」 村についてすぐに温泉へ向かい、目を細めて湯につかるセリオス。セリオスのペットは湯を張った桶の中で湯につかっている。どちらも妙に幸せそうな顔をしていた。 ウールナが楽しんでいるかを心配しつつも、リュウは温泉にゆっくりつかっている。 「はぁ〜、ぶれいくたいむ。至福だ……♪」 ヴァイスはセリオスからそう遠くない位置で、茶を飲みつつ湯につかっていた。四肢を伸ばし、ゆっくりつかる事で疲れが癒えるのだろう。 ガルスタに誘われたにもかかわらず、直前まで忘れ去っていたユルはぼんやりと湯につかる。 「もう既に冬の気候ですからねぇ……温まらねば……」 そんな事を呟きながら、熱燗を少々いただいていたり。いい感じに温まった後、ユルはガルスタとアネモネが向かった鍋を出すレストランへ足を向けた。
「やっぱり、温泉は疲れを取るのに最高なのですなぁ〜ん♪」 寛げば、普段は意識して言わないように努力している言葉も、ぽろっと出てしまう物。四肢を伸ばし、ゆったりとお湯につかったミントは幸せそうに呟いた。 「ん〜、温泉を見ながら紅葉につかる。そしてこの右手にはドーナツ、まさにこの世の楽園です♪」 そう言いながら、温泉につかっているエスティア。うん、多分温泉に使って紅葉を見ていたんだよねと、無言の突っ込みが入っていたり。人間気が抜けると何を言い出すかわかったものではない……かもしれない。 肩までしっかりつかり、のぼせる前に岩へ腰掛け半身浴。肩まで再び温めてと、ゆっくり温泉に入るファオ。たまごを温泉へ持ちこみ、温泉たまごも作っていたりする。 「ぁ……ぅ……人……いっぱい……」 わくわくと温泉を覗き、人の数に思わず周りを見回すヒナキ。ヒナキはプリマに挨拶の声をかけた後、温泉の隅へ向かい、ゆったりと湯につかる。髪の色でセイレーンと間違われる事が増え、疲れていたヒナキ。四肢を伸ばし、寛ぎながら恋人とこられなかったから、お土産をなにか見つけようとヒナキは考えていた。 「温泉は美容にいいらしいですね」 そう言いながら温泉に入るプリマ。ウールナはと言えば、どこから温泉ザメや温泉クジラや温泉キングボスが出てくるかと、ドキドキわくわくしながら落ち着かない様子で周囲を伺っている。それはともかくと、ウールナの誤解を解きながら、プリマはザウス大祭での出来事を楽しそうに話しかけた。チームは違えど、同じ祭りに参加した者同士、やはり楽しかった思い出はたくさん出てくる様子。 ルリィはウールナの胸のサイズを、一生懸命チェックしていた。どちらの胸がより大きいか、非常に気になっている模様。 「ふぃ〜。極楽にょ〜♪ ウールナさんも、1杯どうぞですにょ」 そう言いながら、ルリィは温泉へ持ちこんだジュースをウールナへ勧める。しっかり温まった状態で飲む、よく冷えたジュースはとても美味しく、幸せな気分になれた様子。 「素肌の付き合いが、温泉の醍醐味ですにょ」 ルリィは満足そうに、そう言った。 温泉で先輩冒険者たちの様子を伺い、これまでの冒険話を尋ねるゼリアン。まだ慣れない事ばかりで、知りたい事がたくさんあるようだ。 「冒険者になってから、今までで1番印象に残っている事はなんでしょうか?」 ゼリアンはウールナにそう尋ねてみる。冒険者として学び取る事が出来る何かがあればと思っての事だったようだが。 「甘くて美味しい物にいっぱい出会ってる事!」 相手は所詮ウールナ。答えは至極シンプルな物であった。 「ワイルドファイアって豪快な所なのかしら?」 ウールナの様子を眺め、ウールナが女王なのかしらとユリナは首を傾げて呟く。セイレーンの国と違い、そもそも王政ではないと知ればさぞ驚く事だろう。温泉に不埒な行動をする者はつきものと、警戒しているようであったがどうやら今回の同行者たちは紳士ばかりのようで。女湯を覗く者はついぞ現れず、ユリナは肩透かしを食らう形となった。
「もしよろしければ、ウールナさんもどうぞ」 そう言って笑顔を向け、ウールナへ温泉たまごを手渡すファオ。ありがたくいただくのだ♪ と嬉しそうに言い、ウールナは早速たまごの殻を割る。 「わ、わ、わ、何コレっ、生だよーっ!?」 温泉の外で温泉たまごを受け取り、殻を割って驚くサガラ。当然ながら、ウールナも同じ驚きを覚えたようだ。たまごの殻自体はとても温かいのに、白身はとろりと柔らかい。そう言う物だと教えられ、大変おもしろく思いながらも美味しくいただいたようであった。 湯加減はどうだったかと尋ねるジェイドへ、あったかかったのだとウールナは元気いっぱいに答えた。
●食べ放題?? 「負けた方が支払うと言う事で、勝負しよ!」 ウールナにそう声をかけ、レストランへ連れて行くミサオ。勝負云々は頭からすっ飛んでいるようだが、レストランに連れこまれ、ウールナはどんな料理を食べられるのかと目を輝かせている。ランドアースの料理をたいして知らないウールナは、注文をミサオに任せ、出てくる物をご機嫌で口へ運ぶ。 勝負を挑んだミサオはウールナの食べっぷりに圧倒されつつも、出てくる料理を平らげる。負けないんだからとの決意を胸にしていたが、しばらくの後。これ以上食べられないとギブアップした彼女が見たのは、目を輝かせて食事を取り続けるウールナの姿で。財布の危機を感じたミサオが注文を止めるまで、ウールナはご機嫌な様子で食べ続けて、いた。 エンペラーぺんぎんスーツ着用中のデューンはジェンツーぺんぎんスーツを着用済みのウールナを誘う。偶然ながら何度かこの村へ足を運んだ事があるらしいデューンは、1軒のレストランへとウールナを案内した。女性が切り盛りするそのレストランは美味しい料理が定評らしく、ぺんぎん着ぐるみ姿の2人を喜んで迎え、席へと案内してくれる。どうやら女主人、ぺんぎん好きらしい。美味しい料理を振舞われ、2人は美味しくしっかり完食した。
「のんびり旅行と言うのも、いいものだな」 ガルスタは嬉しそうにそう言って、アネモネを見る。事前に聞いた限りでは、ボタン鍋と山菜料理を食べたいとアネモネは希望していた。イノシシを使った鍋を出す店を2人はゆっくり探して無事に見つけ、2人の前では鍋がぐつぐつと煮えている。 「海沿いに住んでいると、機会がなくてな」 アネモネはそう言いながら、ボタン鍋や山菜を口に運ぶ。お互いゆっくり会話する時間を作れる事はあまりなく、食事の事や日々の事をそれとなく話しながら鍋をつつく。美味しい物をたくさん食べて、日常とは違った事をする。それだけでも充分に気持ちはリフレッシュするものだから。 さて、そんなやり取りをする2人の傍ではリンディが、黙々とウールナに食べさせる為の鍋を用意していた。期待に満ちた表情でウールナを鍋に誘うリンディ。 「鍋なのだー♪ 久しぶりなのだな!!」 嬉しそうに言うウールナに、がっくりと力なく突っ伏したリンディである。 「むむ。……1年過ぎると食べ物で意表をつくのが難しくなってきたわね……」 常にサプライズを用意したいようだ。次は何にしようかとリンディ、早々に頭を悩ませる。 「……よく、そんなにたくさん食べられますね」 そんなウールナの様子を見て、ジェイドは呆れたと言うか感心したと言うか、思わずそんな感想を漏らす。実際ウールナは、一体何人分の食料を食べているのかわからなくなるくらい、物を食べている。恐ろしい食欲だ。 温泉でのぼせるのではないかと、考え、熱さましの薬草を用意したティキは、腹痛の薬草を用意するべきだったかと、少々遠い目をした。だが、ティキが用意した熱さましの薬草はしっかり、蒸し煮になりかけていたディスティンの役にたった模様。
温泉地の雰囲気や空気を堪能し、サガラは幸せそうだったり、疲れが取れた冒険者たちの様子を見て、とても嬉しそうな顔をする。彼女は彼女なりにとても楽しんだようであった。 帰りしな、ヴァイスはウールナにザウスでの労いを伝え、ランドアースは楽しめたかと尋ねる。 「ご飯いっぱい食べて、美味しかったのだ〜♪」 ウールナは満面の笑顔で答えた。実に幸せそうだ。ウールナがこの温泉村で平らげた食事については、どれだけ食べたのかを考えると、少々頭が痛くなるほどの量で。考えない方がきっと、楽であろう。 こうして温泉村と温泉を堪能した冒険者たちは、徐々に帰路へつく。 でもって。冒険者たちがあらかた引き上げた後も、セリオスはやっぱり幸せそうに、温泉につかっていて。 ウールナは今回のお出かけを、しっかり堪能したようであった。

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参加者:25人
作成日:2005/11/09
得票数:ほのぼの23
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冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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