<市場に行こう!>ミュンシャのアクセサリー市



<オープニング>


 木枯らしが身に滲みる。見上げた空の色も何処となく白んで……次の季節の訪れを実感する。
「……ここにいても寒いだけですね」
 あっさり現実的な事を呟いて、黒衣の長身は静かに歩き出す。
「あれは……」
 すぐに、眼鏡越しの双眸が細められた。
 蜂蜜色の巻毛と若葉色のノソリン耳の組み合わせは、セピア色の町並みに在っていっそ春めいて見える。名は体を表すというけれど、陽射しの中を翔け抜ける南風が人の姿を取れば、きっとああなるのだろうなと。
(「……柄でもないですか」)
 でも、いつもと様子が違うような……?
「こんな所で偶然ですね。これから酒場ですか?」
「あ、クロのおにーさん……」
 声を掛けてみると、ノロノロと振り返る小さな影。ぎゅっと拳を握り締めてこちらを見上げてきた面は、いつもの元気な笑顔から程遠く必死に何かを堪えているような……。
「う〜〜〜〜っ!!」
「リ、リリルさんっ!?」
 突然黒人・ラナンキュラス(a90216)のコートに抱き付いて、陽だまりを翔る南風・リリル(a90147)は大きな声で泣きじゃくる。
 周囲の視線が、一斉に青年へと突き刺さった。

「それは……災難でしたね」
「どうも……」
 げんなりした面持ちでコーヒーを受け取るラナンキュラス。いっそ、強い酒でも煽りたい気分だった。
 エンジェルの声が笑いを含んで聞こえたのは、何も気の所為ではないだろう。
 しゃくり上げるお子様を小脇に抱え、冒険者の酒場に飛び込んできたラナンキュラスの形相はそれはもう……。
「何処の人攫いかと思いましたよ。大事件でなくて良かったです」
「……」
 流石にラナンキュラスは頭を抱えた。さらりといやーな事を言ってのけた放浪する地図士・ネイネージュ(a90191)は、素知らぬ顔でホケホケと茶をすすっている。
 ……兎にも角にも事の元凶(?)、べそをかくリリルを宥めすかして事情を聞いてみると――荷車に轢かれそうになった子猫を助けようとして、いつも着けているアンクレットを壊してしまったのだという。
 泣き疲れてテーブルに突っ伏してしまったお子様の傍らには、バラバラになった天然石が小さな山を作っていた。
「確か……旅立つ時に、家族から贈られた物だと聞いた事があります。息災のお守り代わりに」
「ああ、それで」
 宝物が壊れれば、誰だって悲しい。それが遠い故郷の家族との絆なら尚更。
 どうにかならないものか、と天然石の小山を眺める黒の武人の呟きに、藤色の髪の地図士は唐突に話題を変えた。
「ラナンキュラスさん、アクセサリーはお好きですか?」
「……嫌いではありませんが」
 全身黒尽くめながら、何気に装飾品の多い男である。
「では、丁度良いかもしれないですね」
「……ミュンシャのアクセサリー市?」
 ネイネージュが差し出したのは1枚のチラシ。でかでかと「冒険者様歓迎!!」の文字が躍っている。
 ミュンシャは伝統ある宝飾工芸の街。定期市には豪華な宝飾品から気軽に身に着けられるビーズアクセサリーまで、様々な品が並ぶという。警備にも注意しているだろうが、市に冒険者が集まればわざわざ無体を働く者も出まい。集客と保安を兼ねた宣伝のようだ。
「古い装飾品のリフォームや修繕もやってくれるそうです」
「……なるほど」
 合点の行ったラナンキュラスは、思わず苦笑を浮かべる。
「保護者役ですか?」
「生憎と、私はアクセサリーの類は着けませんので……それに、どうにかしてあげたいんでしょう?」
 皆さんもお誘いしたら、賑やかで楽しそうですしね――のほほんとした笑顔のまま、そっとリリルを揺り起こすネイネージュだった。

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参加者
NPC:陽だまりを翔る南風・リリル(a90147)



<リプレイ>

 抜けるような青空の下、市は朝早くから大賑わい。
「はぐれちゃうと大変、だから……手、繋ごう?」
「う、うや? 手、とな? う、うむ……」
 恥ずかしそうなラーナが不思議そうなシェカ。屈託無く差し出された手に白い指がおずおずと。
「市場って初めて来た! 人がいっぱい、すごいすごいー!」
 感動一杯のユヤは早速見て回る。肝心の注文はものすごく後になりそうな?
「龍珠、人が一杯だから動き回っちゃダメですよぉ!」
 腕の中の猫がスルリと逃げて、シャムシエルは大慌て。こちらも、当分ショッピングどころではなさそうだ。
(「私が見回れば、少しは皆さんも安心ですよね?」)
 勿論、冒険者の勤めは忘れないけど、女の子ならお洒落はしたいもの。ミントグリーンのリボンを手に嬉しそうなミキ。
「こんな感じの物を作って貰いたいのですが」
 セトは桜花の細工をオーダーメイド。今から出来上がるのが待ち遠しい。
「今年で最後の大きなお買い物だから……」
 財布を握り締め楽しそうなファオは、ファーのチョーカーが気に入った様子。
「あの、ええっと……ありがとうございます」
 強面の店主を前に及び腰のミヤクサも、すぐ誕生石のペンダントを手に笑み零れる。
「すみません……ごめんなさい」
 ぶつかる人々に謝りながらカナエが探すのは、自分の形見代わり。目に留まったピアスに養父の瞳を思い出す。
「わ〜い、お買い物にゃ〜♪ おこづかいもいっぱ〜いにゅ♪」
 ウキウキと小走りのイヴ。見慣れた緑の尻尾にパッと笑顔になる。
「リリルにゅ、んと……ラナンキュラスにゅ? こんにちわぁ♪」
「イヴちゃん……」
 親愛のだっきゅる☆されたのに、陽だまりを翔る南風・リリル(a90147)はションボリ顔。
 会釈したラナンキュラスも心配そうな面持ちだ。保護者役を仰せ付かった身としては少しでも元気付けたいが、ほいほい気の利いた台詞が出るなら苦労はない訳で。
「クロさん……もといラナンキュラスさん、お疲れ様です」
 にこやかに労うシュシュだが、敢えて助ける気は無いらしい。
「大丈夫。腕のいい職人は、いっぱい。きっと元通りに、直してくれるよ」
 リリルを慰めるオルフェは懐の鍵を握り締めた。大切な実家の鍵を無くしたら……だから、少女の気持ちはよく判る。
「リリルさんが怪我しちゃうかもしれない時に、壊れたんだよね……? だったら、そのアンクレットが守ってくれたんだよ」
「そう、かなぁ〜ん……」
「よし、修理出来る店を一緒に探そうな。綺麗に直して貰えれば、もっと思い出深い品になるに違いないぜ」
 ティーの言葉にリリルは小さく首を傾げる。それでもアールグレイドに頭を撫でられて、ほんの少し明るくなったようだった。

「あ、ありがとう」
 危うく怒涛のオバチャン波に押し流されそうになったシュリは、セラトの救出で一息吐いた。
「シュリ、小っちゃいんだもん。1人だと危ないよ」
 この雑踏の中、何故か彼女の髪が眩しくて……だから気付いたなんて、本人さえ自覚ないけれど。そっと人混みから少女を庇う。
「あら、透き通った水色が綺麗ですわね」
「青や赤の石を使った物が欲しいのよね」
「私は……あ、これ、金木犀ですわ」
 財布と相談するテティスとロザリア。ネフェルは小花のピアスを選ぶ。
「あ、これ可愛い…けど、足りないなぁ」
 鈴蘭のような耳飾りを諦めようとしたシズカだけど。
「それ、欲しいですか。うーんと……一緒に買いましょう♪」
 赤琥珀の腕輪とセットにして……ちょっぴり不足をナチが出したのは小さな秘密。
(「ナチはいっつも嬉しい事してくれて……わたしは返せてるのかしら?」)
「シズ……? どうかしました?」
 女の子の気持ちは中々複雑。ションボリのシズカに、ナチは大慌て。
「……ノエル、それは止めとこうよ」
「えー、ただの綺麗より面白いじゃない〜」
 幼馴染は相変わらずのセンス。思わず苦笑いのマリッセントは小さな指輪に目を留めた。
「このピンキーリング可愛いわ。左の小指にすると願い事が叶うって言うし……」
「じゃあ、一緒に買おうよ♪」
 お互い誕生石のリングを選んで、一足早いプレゼント交換。
 銀の腕輪を注文したシャルと背中合わせで、ミルテフィーナは連れの袖を引いた。
「オウリさん、これ可愛いですよー」
「うん、細工もお揃いですし、予算も……大丈夫そうです!」
 今日は共通の友人へのプレゼント探し。革のバングルと首輪に揺れる雪の銀細工は、これからの季節にぴったりか。
「この指輪、良いデスねー……ヘー、前の持ち主が非業の死を遂げ――やっぱいいデス」
 ギバは慌てて古びた指輪を返した。店主にからかわれたのだろうけど、無難に真鍮の腕輪にしておく。
 その指輪の本当の謂れは、スティファノが聞いた。
「……その命、続くまで。民の盾、牙として戦う為の……誓い」
 リングに刻まれた『その命続くまで、汝牙となれ』。或いは冒険者へ贈られた言葉かもしれない。

「あぁ、やっと見付けましたよ」
「もう、迷子になったのはジーンさんの方ですよ! 本当に、手の掛かる27歳なんですから」
 イリシアのご無体な主張を笑って流し、ジーンはこれ以上はぐれないように手を繋ぐ。
 髪飾りを探して1つ通りを違えれば……この界隈は変り種が多い。
「人とアクセサリー、今日はどっちが多いのかな?」
 悪戯っぽく笑うヴィラが選んだのは、銀鎖の絡む十字の武器飾り。
「メーアも良かったね。素敵なのが見付かって」
「はい、オパールには思い出がありますから……」
 オパールを散りばめたパンジャを早速着けて、微笑むメーア。
(「見るだけでも楽しいから、買えなくても十分だったけどね〜♪」)
 すっかり店主と意気投合したパライバは、血赤珊瑚のネックレスもそれなりの値段で譲って貰い御満悦。
「こんなの、作って貰えないでしょうか……」
 プレストの注文は、以前に愛用の武器を模した飾り物。
「ああ、これはいいですね」
 男物で且つ気に入るとなると、これが中々難しい。それでも精緻なタイピンを見付けて、クリュウは満足げに頷く。
(「フォーナとやらの相手もおらんし、自分用と言ってもな……」)
 やはりあれこれ悩んだブレードは、結局武器を飾る銀鎖に落ち着く。
「コイツに合う柄頭を作ってくれないか?」
 蛇腹剣『吼雷咬牙』を見せて、九尾狐の意匠を頼むレイファ。
「これ位の予算で出来ませんか?」
 くすんだ蛍石を選んだシァリゥは、黒小太刀に合う留め具を注文する。
「ちっちゃいのでいいんだ。銀とエナメルなら、そんなに高くないよね?」
 フィンフも武器飾りのオーダーメイド。いつも一緒にいたいトカゲのハラタマちゃんの代わりに。
(「あの人のプレゼント……何が良いでしょうか」)
 誕生石の黒珊瑚を使うとだけは決めているが……黒死蝶・アゲハの悩みはもう暫く尽きない気配だった。

「お願いするのよォ!」
 狙うは男の店番。早速ミナはセイレーンの本領発揮? 開いた胸元を強調して甘い声。
「うーん、この値段なら損はないでしょ? 駄目?」
 エリスの狙い目は原価より上でも、普通の値引きより安値の辺り。着眼点は悪くない。
「……この石でこの細工、それでこの値段は職人に対してあんまりじゃないか?」
 だが、伝統工芸だからこそ、ミュンシャの商人は匠への敬意が深い。
「2人分、纏め買いするから!」
 結局、これで漸く幾らかは値引きして貰えた模様。
「足りない分は身体で払うが」
 婚約者の為、どうしても凝った銀糸のチョーカーが欲しかったガルスタは俄か店員に。
「……良かった。何とか予算内だね」
 誕生日プレゼントを妥協したくなかったコクセイは、胸を撫で下ろしている。
「……お金、足りるでしょうか?」
 同じく財布を覗き込んで、イグネシアは嬉しそう。銀翼に黒曜石をあしらったブローチは無事に彼の胸元を飾る。
「おにいさん、ボクどうしてもこれが欲しいんだ……ダメ?」
 一方、ちょっぴり予算オーバーのメイは早速泣き落とし。
「……お客様」
 だが、海千山千の商人は厳しい。それなりにアクセサリーで飾った格好だから尚の事。結局、びた一文まからず……聖槍をぶっ放さない分別があって幸いだったか。
「最愛の妻とお揃いを今日の記念に買いたいのです。これでどうか売って戴けませんか?」
「……僭越ながら。贈り物を勉強しろと仰るので?」
「え……」
 明らかに良い身なりの少年の最初から値切ろうという態度が、流石に気に障ったらしい。
 店主の言葉に、思わずアウィスは詰まった。嬉しそうに寄り添うネムは、そんな事は気にしないだろうけど……結局、呼び込みを手伝う事に。
 同様に、アルタも些か虫が良過ぎたと言えた。予算より少し上を選び、足りない額は『御願い』で――そんな打算と情の使い分け、とりわけ財布の厚さには商人も敏感なのだ。
 尤も、連れのヴァイオレットは、当人が交渉の間に内緒でプレゼントを買えた事が1番の収穫であったろうけど。
「手持ち全額頭金にするから、分割で……えー、駄目?」
 たとえ冒険者でも、初見に信用払いを許す商人はいない。精緻なイヤーカフスの為、結局、臨時のアルバイトで手を打つクレイファである。
 やはり『翌日』の労働は不可と言われたフェレーは、今日1日店番する事に。そのお代は空色の石のペンダント。
「……ヒトノソさんって、いいよねぇ」
 ほわほわと和むへルディスターにリボンの包みを押し付け、勢い彼女に付き合う事になったリスリムはアクセサリーに囲まれた少女に目を細める。
(「フェレー、可愛いから何でも似合いそうだよね」)
 1番似合うと思った三日月のペンダントはポケットの中。さて何時渡そう?
「おや? あちらのお店ではこの値段だったのだけど、随分違うのだね」
「別の職人ですから。格が違いますよ」
 売り子の切り返しも慣れたものだが、オリエも負けていない。
「せめて端数をナシ、ぴったりこれでどうだろう」
「私、これがとっても気に入って。すごく欲しいですの」
 エルヴィーネも頭を下げる。品物の値は商人の計算と誠意。あまり大きな値引きでなければ、この辺りはノリと勢い次第。
「まあ、それ位でしたら」
 市に付き物の駆け引きのドラマは、今日もそこここで繰り広げられているようである。

 この季節のアクセサリーは、何も自分用ばかりでもないようで。
「女性へのプレゼントでお勧めはありますです?」
 店を渡り歩いてはストレートに尋ねて回るシャルル。
(「やっぱり、フォーナ祭の贈り物が多いのかな?」)
 誕生日プレゼントを探しに来た明月に漂う白華・アゲハは、道往く人にも興味津々。
「やはり品揃えが違いますわね。次は自分の物も買うと致しましょう」
 ユリーシャは以前のお返しに。簪の桜は相手の通り名に因んでみた。
 アーウィスの耳飾りも相棒へのお礼。贈った時どんな反応かと想像するだに楽しくて、自然と笑み零れる。
「さて、どうしたものですかね……」
 品の多さも然る事ながら……悩むレイクが目に留めたのは、紅玉1粒あしらった銀細工。
「店主さん、これ──」
「下さいでござる」
 男の声が重なる。シオンの方はサファイアのペンダント。物は違えど大切な人への贈り物なのは同じ。
「これ……彼みたい♪」
 コトナの黒猫のペンダントを、彼は喜んでくれるだろうか……嬉しはずかしで頬が染まる。
「あの子にはどんなアクセサリーが似合うだろう?」
 最初は知り合いに贈ろうかと気軽だったホカゲも、選び始めると俄然真剣に。
「喜ぶ顔を想像すると、嬉しい気持ちになるものだな……何と言って渡そうか」
 リュシュカは一目で決めた。竜を模ったペンダントトップは、妻の銀髪と漆黒の瞳を思わせる。
「2人で大切な人のアクセサリーを作って貰う日が来たなんて、ちょっと不思議だね」
「そうだな……」
 ヴィンとヴァル、ストライダーの兄弟は各々のアクセサリーに少女の面影を浮かべて感慨に耽る。
 時の流れは速いもの。彼女が大人になるのも、きっともうすぐ……。

 プレゼントといえば、指輪がやっぱり定番。指輪の工房は朝から引きも切らぬ人の波。
「え、でもサ……」
「いいからいいから」
 ジョーカーの選んだ指輪をはめて、ユルの眼鏡がキラリと光る。こんな時は見栄を張るもので、沈丁花のブローチ共々、払いは彼の懐からだ。
「お金に糸目は付けないですよ〜」
「は、はぁ……」
 胸を張るミュヘン。10歳のお子様の得意げな言葉に、商人は思わず目をパチクリ……何処の裕福なお坊ちゃま?
「足りないなら……これで」
 手持ちの装飾品と交換して、カイサが受け取ったのは銀の指輪。雪の細工はきっとあの子に似合うだろう。指輪に選ばれたようにさえ思える。
「意外とそそっかしいから、派手な細工は服に引っ掛けてしまいそうですしね」
 憎まれ口を呟くアウラの表情は優しい。掌で指輪を転がして、想うのは唯一の女性。
「……ああ、これなら」
 ガルガルガはムーンストーンの指輪を選んだ。イニシャルを刻めば素敵な贈り物になるだろう。
「その……どんな物を贈ったら良いかよく判らない。ただ、彼女には喜んで欲しい」
 正直に店主に相談するアルジェント。夕焼けの髪と紅玉の瞳の少女を語る、その横顔は期待と不安がない交ぜで。
 その頃、マイヤはラウドと初めての逢引……デートを満喫していた。
「周りはどう思っているかしら? 恋人同士に見えているといいな」
 来るフォーナ祭は2人の誕生日。3倍の祝福を指輪に込めて……交換はもう暫く先のお楽しみ。

 そろそろ黄昏時。
「直ったなぁ〜んっ!!」
 店仕舞いもチラホラの目抜き通りに、お子様復活の鬨の声。
「良かったね、リリル殿」
「うん!」
 タケルに大きく頷いた少女の右足に、天然石を連ねたアンクレットが元通り。タケル自身も修理した同じ細工師と意気投合して、ガーネットの首飾りをあつらえた。
「ラナンキュラスもお疲れ」
「どうも……」
 黒いバレッタで髪を纏めたユーセシルに力なく笑みを浮かべ、黒衣の青年は明らかにお疲れモード。1日中を引張り回された報酬は、しっかりその襟元を飾っている。
「義姉さま、今日は有難うございました」
 フォーナ祭で本当の家族皆に贈り物したくて。クウェルは水晶飾りをあしらった羽根ペンを大切そうにおし抱く。
「あら……」
 出来たばかりの可愛い妹に付き合った1日もそろそろ終わり。ふと路地に目を留め、アオイは訳知り顔で目を細めた。
「えっと……」
「色々のお礼です。似合ってますよ」
 照れるフローライトの胸元に咲く金緑の花。穏やかに笑むジラルドの指には祈り詩を刻んだ指輪が煌く。
(「2人の絆がいつまでも続くように願いを込めて……なんてな」)
 きっと今の自分は浮かれている。浮かれついでにぎゅっと腕を組もうとして……青年の肩越しに悪友の笑顔。フローライトが慌てるのは、また別のお話。

 こうして、ミュンシャの1日は最後まで賑々しく暮れていくのだった。


マスター:柊透胡 紹介ページ
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わからない
参加者:83人
作成日:2005/12/10
得票数:ほのぼの35  コメディ2 
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