魂は永久に太陽の沈まぬ国へ



<オープニング>


●魂は永久に太陽の沈まぬ国へ
 革表紙の分厚い写本を棚から引き出す。
 勢い余って棚が揺れた。
 高い段から飛び出した箱が、床に当たって中身を零れさせる。
 降り積もり、未だ払われていない一月分の埃に塗れて床に転がっているのは、編み掛けの何かだった。
 この不揃いな目はきっとあれが編んだのだろう。ミカヤは網目を撫ぜた。
 掌程の大きさの編物。今となってはこれが何になる筈だったのかは分からない。
 暫く撫でながら、ああそうか、私の誕生日があったかと、ミカヤは得心する
 同時に、心臓を直に掴まれた様に、訳も無く胸が痛んだ。
 もう二月になると言うのに――まだ痛む。
 編物を手に、ミカヤは弾性を失った安楽椅子に身を埋めた。
 体が痛んで満足に煤払いも出来ず、暖炉には未だに火が無い。
 微かに身を震わせて肩を覆うショールを掻き寄せたミカヤは、寒さ凌ぎに首元へ巻いた深緑のスカーフを解いて皺を伸ばした。
 金糸で刺繍された金木犀の、不揃いで乱れた縫い目を指先に感じてミカヤは目を細める。
 ミカヤは部隊員の分全てを刺繍したのだから、これは自分がやるのだと、指に針を刺しつつ刺繍に挑んでいた少女の真剣な横顔を、昨日の事の様に思い出した。
 ああ、この家には想い出が多すぎる。
 ミカヤは思う。
 霊査士たる身には過ぎた誘惑だ。
 だから全て片付けて、それから暫く旅に出よう。
 共に暮らす誰かを喪った時、常にそうして来た様に。
 良いだろう、ミルラ。
 私にはこれがある――他には何もいらないよ。
 そう、老霊査士はスカーフへ目を落とした。

●願い
「え……じゃあ、全部捨てちゃうですかっ!?」
 肩に特徴のあるクマの縫い包みを乗せた少年を見つけて、霊査士は声を掛けた。
 先の戦で旅団長を努めた少年。年の頃は死んだ少女とそう変わるまいに、一矢報いたい一心だったと聞く。
 待ってて下さいですと言い、零さないよう一生懸命にホットレモネードを2つ運んで来た少年は、本当はミルラさんとお茶をしたかったのです、ライバルだったのですよと少し寂しげに笑った。
 つれづれに会話する事暫し。酒場へ来た理由を知って、少年は驚いた風に目を見開く。
「貰い手がいれば、引き受けてもらおうとも思っているよ」
 霊査士が、穏やかに笑う。眼差しは殆ど永訣を受け入れていた。
 美味しいレモネードを有難うの、と少年の頭をぽんと叩き、立ち上がった霊査士は、賑わい始めた酒場に居並ぶ冒険者達へ手伝いをお願いしたいと切り出す。
 老齢で、冬ともなれば関節が痛む。家を開けていた一月分の汚れも落し切れてはいない。
 その片付けを手伝って欲しいのだと、霊査士は続ける。
 礼らしい礼も出来ないが、ミルラと私の私物の内に気に入った物があれば、持って行って貰っても構わん。大した物は無いが宜しく頼む、と霊査士――ミカヤは深く頭を垂れた。

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参加者
NPC:常磐の霊査士・ミカヤ(a90159)



<リプレイ>

●晩秋
 風は充つる秋に洗われて空の青さよりも弥清。冬の気配を感じさせる午前の大気は、開け放たれた窓から居間へ。
「おっ母よ、しっかり板を立てておいてくれよ!」
「馬鹿者。そう乱雑に煤を掻き落とすな」
 命綱を付けたバートランドは屋根の上。動いていた方性に合っているだろうと引っ張り出され、掻き落とされた煤が散らないよう暖炉の入り口に板を立てるミカヤと賑やかな遣り取り続ける。
「旅から帰られたら、またここを訪ねさせて頂いても宜しいでしょうか」
 下から煙突を掃除して既に手も服も真っ黒なクリュウは、小さくくしゃみをした後、ぽつりとそう問う。
 遠からぬ日に必ず帰るよ。何時でも誰にでも、家の扉は開かれておる、とミカヤは優しく頷く。
 その横顔にヘラルディアは痛みを見た。自身の指揮下の元に仲間を喪っても前に進み続けた探索行の心労が未だ癒えてはいないのだろう。ではせめて綺麗な場所からの旅立ちを、とヘラルディアは煤を掃き集め。
 拭く布が柱の傷に引っ掛かった。書かれた日付と刻まれた傷の場所に何を計ったのか思い至り、フレイスフィアは知り合ったばかりで去ってしまった、忘れられない少女を思う。
 壁を殆ど覆う棚には本が並べられ、また綺麗な細工物や玩具等が飾られており、ルゥルは丁寧にルゥルははたきを掛けて行く。丁度一年前、フォーナの頃に一緒に白蛇の森へ行った。青年の後ろに隠れがちだった怖がりの少女にはもう会えない。ミカヤも旅立つのだろうか。潤む目。心配そうに此方を振り返るミィミーへ、埃が目に入ったんですなぁ〜んと、ルゥルは目を擦る。
 頷いて、ミィミーは小像を手に取った。彼らの不在を思うことは辛く、探索部隊を思い出す事は殆ど無い。
(「旅立ってもまた、帰って来て、会えますように……」)
 人が居なくなるのは辛いから――祈る様に願い、ミィミーは犬の小像を拭き清める。
 色々気になるけれど、今はプロらしくきっちり依頼をこなしましょうと、窓を磨き上げるサラサ。レイシは棚を拭く手を止めて、窓から差し込む陽光にきらきらと輝く小さな家を手に取った。それは手回しのオルゴール。回せば、穏やかな賑やかさと奇妙な静けさに満ちた室内に、黄金色の郷愁に満ちた旋律が流れ出る。
「一度さよならした時は寂しかったけど、でもまたお話出来るよねって思ってたんだー……」
 旋律を聴いて床を拭く手を止め、素敵な想い出、沢山ありがとうって、あの子に言いたいなと呟きを零すルシア。傍らで黒猫がにゃあと鳴く。
 レダは雑巾から水を絞り、その冷たさに暫し手を擦った。暖炉の暖かさを楽しみに、飴色の床を磨き出す。可愛らしい模様が描かれたティーカップに積もる埃を拭いていたエィリスが、ふいに手を止めて眦を拭い、しっかりしないとミルラさんに笑われてしまいますわね、と言い聞かせる様に呟いた。どんな少女だったのだろうか。レダは想いを馳せる。悼む者、残す思い出の多さが、少しばかり切なく心に沁みた。

(「ミルラちゃんの部屋に入る日が来るなんて、思ってなかったけど……」)
 2階に上がったローランドが開いた扉の先、ミルラの部屋――特にベッドの上は混沌としていた。貧しい生まれだったからか、自分の物と言える物をベッドに積み上げ、埋もれて眠るのが好きだったのだと聞く。それがいかにも彼女らしく、彼女そのものを見た気がして、ローランドは無意識にアティーの手を握った。
(「ミルラ、君にとって私の存在はどうだったか分からないけど、私は君のことを一度たりとも忘れた事はないよ……」)
 アルファードは嘗ての誕生日を想い、絵本を柔らかな布でそっと拭く。
(「帰って来たら、もっと色んな思い出を、作りたかったんだけれど――」)
 少女との想い出は本当に少なく。駄目だねぇしみじみして、手が止まってしまったよと、クリストは些か寂しげに笑った。
 彼女は務めを果たし、それを誇りとしているかも知れないが、もしも普通に生きていけたなら――違う未来を歩んだとしても、きっと彼女は幸せだったのだろう。大切に繕われた縫い包みを手に、少しだけ残念だとラグは思う。
(「想い出は大切な生きる糧にもなれば、辛い生きる上での枷にも時にはなるとは……よく言ったものです」)
 彼女が確かに存在した証に囲まれて、追想に囚われつつ床を掃くユーリアル。
 曇り一つない窓から部屋の中に、朝の光がたくさん降り注いでくれる様に……大切に抱いた思いを込めて、シャルトルーズは窓を拭く。
「いーおてんきだねぇー……」
 窓を拭く手を止めて、のんびりと、今正に注いでいる陽の光の様な笑みを浮かべるヘルディスター。
「そうですね」
 窓硝子を透かして注ぐ陽光が、床に梢の影を落とす。陽光に温められた風が余りにも清かで、何故だか涙が出そうになった。

 ニューラは落ち葉を掃く手を止めて、花を美しく咲かせる為に自ら葉を落とす木々を見上げる。人もそうあれるだろうか。知っている人皆には心の冬を越えて笑顔を咲かせて欲しいとニューラは思い。
 全てを整理し尽くしてしまっても、結局残るものは残るのだろう、枯れても根を残し巡る年に花を咲かせる宿根草の様に、とティキは思う。後は事実を受け入れられる時が来るまで待つしか無い。そう、丹念にティキは庭を手入れし、リンもまた球根を丁寧に埋めて行く。気持ちは想像する事しか出来ない。何の助けにもなれないのかも知れないけれど、せめて何時旅から帰っても花がその柔らかな色彩で出迎えるように手入れを。思いを胸に、また一つリンは庭に穴を掘る。
 愛する伴侶を失って旅に出た。心の空虚を埋めてくれた少女ももういない。今は辛くて立ち入る事は出来ないけれど。
「旅から帰られたら、お茶を共にして頂けるかしら」
 庭の様子を好ましげに見ていたミカヤは、アージェシカの言葉に頷きを返す。その時にはきっと、微笑んで想い出もお茶も楽しめると思いたいと、アージェシカはミルラの部屋の窓を見遣り。
 離れた場所で薪を割る高い音が響く。とにかく働いて役に立てれば、少しでも恩返しが出来ればそれで良いと、ボサツは鉈を振るう。呼吸を合わせてボサツの薪割りを手伝うアレグロ。友人たちが世話になった事へのせめてもの礼だと、黙々と重い丸太を運ぶ。最期を見たマカーブルが、彼女は花よりも儚い笑みを浮かべて背を向け、歩いて行ったのだと言っていた。その後ろ姿を思い、彼らを護ってくれて有難う、とアレグロは心でもう一度礼を繰り返した。

「クウ、何をやっているぉ! それをボクに貸すぉ!」
「だ、だぉ! 引っ張ったら危なぁっつぅぅ!?」
 火種を巡るクウェルタとライスの賑やかな遣り取りの後、やっと灯された暖炉の炎。掃除を終えた居間へ暖かな息吹を送るそれの前で微笑むミカヤを見遣り、それからアリューダは食卓の花篭に目を遣る。桔梗、バラ、スプレー菊。初めてだから不恰好だしとアリューダは止めたが、ミカヤは良い出来だと嬉しそうに食卓の一番栄える場所に飾ってくれた。
 ファオは戸口に、造花の金木犀で作ったリースを飾る。決して枯れぬ花が、家の主を何時でも迎える事が出来る様にと思いを込めて。
 白地に、金の刺繍の施された可愛らしいリボン。女の子らしく真新しい……使われなかったリボン。ライバルの少年のテディさんに、似合うかなぁ……と選んだリボンを手繰りながら、掃除の終わった庭に立ち、マシロは少女の瞳を思わす蒼穹を見上げる。
(「…貴方を思ってくださる方は、こんなに居たんですよ。貴女は今、何をされてるんでしょうねミルラさん……」)

●幸せの食卓
「あれは見事なコンビネーションやったわー」
 嘗て依頼で行った武道料理大会。3人で作った想い出のデザートを、カレンは皿の上に再現する。
「そうだな。黄金の玉蜀黍も絶品であった」
 目を細めるミカヤ。
 シュシュの苺のタルトと、ミカヤの冬苺と小桑の実のタルトが並に、見詰めていたシュシュがやっと顔を上げた。
「前に進み続けます。躓いたり立ち止まったりもするかも知れないけれど、ミカヤさんのように胸を張って、顔を上げて誇りを持って生きられるように」
 微笑んで頭を撫ぜる老媼の手が、ただ暖かかった。
 タルトの匂いに味を想像しながら、タータはお茶会の準備が出来た事を家の方々に触れ回る。最後にミルラの部屋を訪れて、ずっとずっと言いたかった一言を、心の中で言葉にした。
(「おかえりですなぁ〜ん」)

 タルトを持ち、食卓へ。朝の一番最初に家の扉を叩いたマカーブルが「きっと貴女に合うだろうと思ったんです」と誕生日の祝辞と共にくれたのだよと、嬉しそうに言ってミカヤは揺り椅子に深く腰掛ける。
 ずっと楽しみにしていたタルトが、切り分けられ目の前の皿に置かれる。良い香りにうずうずとしながらバーミリオンがミカヤを見上げると、もう少し待つのだぞよ微笑が返る。
(「‥‥おばあちゃんってこんな感じなのかな……」)
 少しだけ心に暖か物を感じながら、バーミリオンはこくんと大きく頷く。
 皆にタルトが行き渡り、紅茶の良い香り。
「……誕生日おめでとう。貴女と出会えた幸運と幸福に感謝します」
 ここに2人は生き、暮していたのかと改めて居間を見渡していたレーダが、真摯な眼差しをミカヤに向けて言う。それを皮切りに、皆が次々と祝辞が述べた。
「ずっと、一緒に美味しい物を食べましょうね。……一人ぼっちになっちゃ駄目ですよぉ?」
 ヒースは真剣な顔で何とか思いを伝え。
 沢山の気持ちと思い出と……スカーフに施された手ずからの刺繍、常緑に咲く金の花。それから彼女の笑顔と――与えられた沢山の物への幾許かのお返しになればと、ヒヅキは母へティージェリーや葛を送り。
「あの子は春みたいな子だからその季節に旅立ってはどうかなって思うんだ。冬は辛い季節だら、きっとそんな寒い季節に大変ですって心配するよ」
 小首を傾げるエリオノール。フォーナが来る前に、一区切り付けたかったのだよとミカヤは微笑む。それから、暖かな曲を弾いてくれ、物悲しくても良いから旅立つ力を分けておくれと、ミカヤは胡弓を示す。
 その遣り取りに決意を感じたマイトは「では、ミカヤ老の旅の無事を祈って……」と鳴弦し、曲に合わせて祈願の舞を見せ。
「彼女はきっと、今も誰かと一緒に居ますよ」
 子供が1人で歩くのは寂しいし、愛されていた彼女だから。きっと、とグラースプ。
「それから、彼女は家族の幸せを願って居ると思う。だからミカヤさん、独りで寂しがらないで――」
 誇れる子供たちが、貴女の傍には居るのだから。何時でも、どこにでも。必ず帰って来て下さいと、グラースプはミカヤの乾いた手を軽く握る。
 結局志願しなかった探索部隊。人伝に聞いた幼い邪竜導士と男達の死。ウィーが胸に蟠っていた苦い後悔をミカヤへ伝えると、老媼は正面から見詰め返して「何時か成せなかった事を成すのだ。後悔を力に変えるのだぞ」と言った。
 ああこれが、ミルラさんの読んだ世界なのかと、譲られた絵本を開いて切なくも優しい世界を見詰めるナタ。自身の生き抜く力、心を携え行く為にと、ミカヤに願って得た銀の小さな犬の像を、アンリは静かに押し抱く。
 彼女への言伝を聞いたと頭を垂れるアティー。ミカヤはアティーの手を取り、確かに愛していたのだよともう一度繰り返す。
「また、帰ってきたら話がしたいです」
 新たに紅茶を注ぎながら、お勧めの場所があったら教えて下さいと微笑むエリアノーラに頷き掛け。
「あの……気持ちいいですか?」
 菓子のお礼ですとミカヤの肩を揉むハジ。良いよ。ハジは肩を揉むのが上手だなと、ミカヤはさも気持ち良さ気に目を細めた。
 ユージンはなんと幸せな事かと、居間の片隅からこの小さな空間を見渡す。
(「私は愚かで……まだ何一つ、世の理も分かっていない。それでも大切なものが、沢山在る……」)
 その幸せを噛み締め。
 タルトを一口味わって、アニエスは「美しいね」と呟いた。それはタルトの事ではなくて、このどこか暖炉の黄金色を帯びた場所が余りにも温かく、失ってしまった物を思わせて眩しかったから、零してしまった言葉だった。

 きらきらと、良く晴れた秋の午後の光を思わせて、時間はゆっくりと降り積もり。

 そして、少し早いさよならの時間。
 帰り際にシリウスは、ずっと聞きたかった事を口にした。
「……ミルラの兄弟は何人居たか聞いているだろうか?」
「12人生まれて7人死んだそうだ。ミルラは次女で末っ子だったと――」
 4人か――寒くなるから何か送ろうと思うんだ、ありがとうと、シリウスは先に行った仲間を追って走り出す。
 すっかり人気の絶えた庭で、少女の瞳に似た名も無き青い花を見下ろし、カイザーはぽつりと言葉を地へ零した。
「私は……あの子が好きでした。……あの健気な小さな姿に、遠い昔に置いて来た何かを見た気がしていたのです」
 それはお前の中の寂しさに、あの子の中の寂しさが響いたのだとミカヤは思い、けれど何も口にせず、そうか、とただそれだけ言った。カイザーはその応えに物悲しく笑みに似た表情を見せ、軽い会釈を残してミカヤ宅を後にし。
 今日を見続けたイオが、最後に残った。
「……やっぱり、あなたは強い人ですね。大切な誰かを失っても、立ち止まらずに、前を見て歩いていけるんですから」
「誰でも持っている強さだ。気付かぬだけでな。でなければ人の子の世はとうに終わっておる」
 少しずつで良いのだよと言ったミカヤの言葉に、イオは少しだけの微笑と、言葉を返した。
「お気をつけて。あなたの行く道に幸せがありますように……」

●魂は永久に太陽の沈まぬ国へ
 何も無い部屋の中、空のベッドに腰掛けて、ミカヤは部屋を見回す。
 雑然としていた部屋も、すっかり綺麗になってしまった。
 出発の前日、真剣な顔をして荷造りをしていた彼女の姿がふと現れて、消える。
 心地良い秋めいた夕暮れの光の中、ミカヤはまどろむ様に目を細めた。

 ……お前は風の様に私の前に現れて、そして消えてしまったな。
 お前と初めて会った日の事を昨日の事の様に思い出すよ。
 色々あったけれどただ一つ言える事は、お前と過ごした短い日々が、とてもとても幸せだったという事だ。

 私は何時、お前の元に行けるか分からん。
 それは明日かも知れないし、千年後かも知れん。

 だから愛しいお前。
 先に逝ってしまった私の愛しい人々に、私の事を知らせておくれ。
 お前と過ごした幸福の日々を、私に冒険の一部始終を語ったように話し聞かせてやっておくれ。
 お前の名前も顔も忘れてしまっても、お前の笑みがくれた暖かさだけは、きっとずっと覚えている。

 立ち上がり扉に手を掛ける。
 振り向いて、ミカヤは新たな日々を受け入れようとする様に、微かな笑みを浮かべる。

 ミルラ。
 ミルラ……私の可愛い可愛い愛娘――。
 さようなら。


マスター:中原塔子 紹介ページ
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