【至高のぶどう酒】ワイン風呂(混浴)



<オープニング>


●ワインのお風呂
 ―――ある日の午後。冒険者の酒場の片隅。
「ん………」
 ヒトの霊査士・リゼルが、何やら難しい顔で考え込んでいた。
(「こんな依頼……誰に頼もうかしらね…」)
 と。

「リ・ゼ・ル・さん、暗い顔してますけど…何か良い仕事ないですか?」
 そんな彼女の所へ丁度良く姿を現したのは、レア物ハンター・ユイノ(a90198)。勿論、リゼルがそんなタイムリーな登場を見逃す筈がない。
「ユイノ…珍しいものとかって、好きよね? ワイン風呂っていうのがあるんだけど…行ってみたくない?」
「ワイン風呂? それって、お風呂にワインが入ってるの?」
「そう。それも唯のワインじゃないわ。今年取れたばかりのブドウから作ったワイン…いわゆるヌーヴォーってやつね……何でも今年はブドウの出来が良いらしくて、ワインも美味しいらしいわよ。そして、美味しいワインが入ったお風呂は肌にも良いってわけ!」
「へぇ〜。もちろん行きます! というより、行かせてくださいっ!」
「そう…ありがと。ちょうど誰かに頼もうと思ってた所だから丁度良かったわ。場所は、いろんな温泉がある事で最近知られてきた街なんだけど…そこのワイン風呂に妙な生き物が3匹ほど棲みついてね。そのせいでお客さんが入れなくなって困ってるらしいの。だから、サッと行って、片付けてきてちょうだい!」
「え〜っ、お風呂の中ですか〜!」
「そう。…けど安心して。そこの施設は水着で入れるらしいから」
(「その代わり混浴だけど…ね」)
 水着着用と聞いて安心するユイノ。もちろん後半部分(混浴…)は心の声なので聞こえていない。
「…それじゃ、さっそく行ってきま〜す♪」
「あっ、ちょっと待って。コレ! その妙な生き物について、分かっている限りの事がメモしてあるから、行きながらでも読んでおいてね? それから…お風呂の中で血を流さないように……。それと、ワインをお土産によろしくね♪」
 ついでに余計な注文まで加えるリゼル。
「は〜い♪ ワインに、ワイン風呂……♪」
 おみやげにワインを頼まれたり、すっかり温泉レジャーな気分のユイノ。だが、彼女はメモの中身を知らない。もしも受ける前に知っていたら……どうしていただろうか?

●メモの中身は…
 ・妙な生き物はワイン色でぬるっとした体。従って、見つけるのも掴むのも大変。
 ・偶然かも知れないが、全て年頃(『普通』以上の身体)の女性ばかりが被害に遭っている。
 ・被害の内容は、撫で、舐め、吸い付き……etc.
 ・こんなふざけたヤツだが、意外な事に強力な攻撃(防御困難な水流)を持っている。

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参加者
座敷武道家・リューラン(a03610)
蒼閃の医術士・グレイ(a09592)
第一階級熾天使・ルビーネリア(a17958)
エンジェルの武人・クリシュナ(a19473)
蒼狼の剣匠・アーサー(a25664)
雲色の飛翔脚・レスタァ(a32114)
毒杯・リヴァ(a32814)
詩的猫人・ヴァーミリオン(a33394)
故意の奴隷・ネンヤ(a36532)
神秘の青き彗星・スラー(a37663)
NPC:レア物ハンター・ユイノ(a90198)



<リプレイ>

●ワインのお風呂
「なぁ……ところでコレって、ワイン風呂にワインを入れないで待ってれば、そのうち見えるようになるんじゃねえの?」
 問題の温泉に着くなり、永遠の成長途中・リューラン(a03610)が根本的な部分に突っ込む。
 すると……ユイノが、チッチッ…と人差し指を立てた。
「それは無理みたいよ……なんたって、最新の『手動』浄化技術で、ワインの成分を損なう事なく浴槽に戻してるって言ってたもの。それに、貴重なヌーヴォーが勿体ないし…」
 それって……と誰かが言いかけたが、あまりの力説ぶりに思わず躊躇。依頼人の利益を損なわないことも仕事のうちなのである。
「それにしても、ワイン入りとは何となく優雅な印象ですね、こんな事件が無きゃ、ゆっくり浸かりたいものですが」
 エンジェルの武人・クリシュナ(a19473)が呟く。さすがに怪物のいる湯に一緒に入るのは抵抗があるらしい。その一方でルビー(第二階級智天使・ルビーネリア(a17958))はあまり気にしていない様子。
「最近寒くなってきましたからぁ。ゆっくり温泉に浸かっていきたいですねぇ〜」
「おっんせん、おっんせん♪ けどヘンなのが住み着いているんだよね……。早く退治して温泉入りた〜い!!」
 『温泉』の言葉に反応し、笑顔の滅壊天使・リヴァ(a32814)も叫ぶ。さらに白夜の医術士・グレイ(a09592)に至っては、この為に季節外れの今、水着を新調したという凝り様である。
 が、酒になど興味がないと言う因果地平の使者・スラー(a37663)を始め、飲まない(飲めない)面々が多いのだから致し方ない。
「そんな事より…ふざけすぎだな。モンスターだとしたら、つまりは元冒険者……まったく呆れてモノが言えん」
「…まったくだぜ。さっさと済ませて温泉を楽しみたいところだよな?」
 強く頷くリューラン、そして囮役の雲色の飛翔脚・レスタァ(a32114)。たしかにその通りだが、それは…皆との連携次第である……。

●熱闘温泉
 そんな訳で、まずは全員施設内に入る為に水着に着替える訳なのだが…、
「生憎、水着の持ち合わせが…」
 と告げる蒼狼の剣匠・アーサー(a25664)。レンタルもあるにはあるが、一般的な例に漏れず、彼女のように見事な肢体の持ち主では、なかなか合うものが見つからない。ただし水着を着るかどうかは自由な訳で、入れないという訳ではない。
「そうですか。では囮は辞退しまして…近くで皆さんを支援する事に致しましょう」
 結局アーサーは、若干小さめの水着に、無理やり収め…さすがに健全な男子諸兄には目の毒と、その上に大きな布を巻いておく事に。
 そんなアーサーの肢体を熱っぽく見つめ、セイレーンの吟遊詩人・ネンヤ(a36532)などは…
「素晴らしいお身体をしていますのね…」
 と、思わず指を伸ばしそうになるが、本来の務めを思い出し、辛うじて踏み留まっていた。

「ふみゅ。えと…ボクは……うん、囮合格っぽいにゃ♪」
 ウェストの辺りのお肉を確認しながら自分を納得させた『とらんじすたぐらまー』…突撃詩人・ヴァーミリオン(a33394)。彼女も規格外らしく、アーサーほどではないにせよ水着はキツめ。だが、まあ湯に浸かってしまえば見えなくなる事からと囮は強行。
 同じスポーツ水着のリューランや水着の他に首輪(これだけは譲れない)のレスタァ、そして青いシンプルなワンピースタイプのクリシュナ、白のビキニに腰布を加えたリヴァらと共に、腰にロープを巻き、静かにワインの湯へと身体を沈めていった。
「ふぅ〜」
 思わず安堵の息を漏らす一同。怪物のことを別にすれば、ワイン風呂が心地好いことに変わりはないのだから。
「そう言えばワインのお風呂というのは、効能的には、皮膚のたるみを引き締めたり、新陳代謝を促進して疲労回復にも効果が有る様ですね」
 恐る恐る沈みながらも、どことなく解説口調のクリシュナ。
 そして…、レスタァやリヴァは内心では襲われない筈と高を括り、まったりと湯を愉しんでいる。
「どーせ、ボクはぺたんこですよー。別に気にして無いけど…」
 と。しかし、世の中はそうそう甘くはない。
「ふみゅっ!」
「な、何か…来たっ!?」
 リヴァとレスタァ、2人の胸元を滑るように通過する影。2度3度と、まるでボリュームを確認するかの様。その都度、水着越しにも嫌な感触が胸の先を伝う。
「ちっくしょー」
 破鎧衝の衝撃やデンジャラススイングで投げ飛ばそうと試みるも、ぬめった体はそう簡単にはいかない。やはり一瞬なりとも確実に止めないと!
 逆に向こうは調子に乗ったらしく、今度はそのままヴァーミリオンの方へ。
 むにょんっ…
 いきなり滑るように懐に入り込むと、その豊かな胸に体当たり。たしかな弾力を愉しんでいるようだった。
「ひあっ! さ…さわるなー! 破廉恥やろー!」
 が、ここで逃げては何もならない。気色悪いのもさることながら、下唇を噛み、必死に耐えていた。
 そして更に、残るもう1体はと言えば、当然のごとくリューランを……。
 比較的、露出の少なめな水着を選んではいたものの、敵もさる者。布地のない、お腹の辺りから腋と、微妙なタッチでぬめった体を擦り寄せる。
「ひっ、く…くすぐった……」
 そうこうしているうちに甘くなったガードの隙を縫って、メリハリのあるボディと布地との境をちろちろと……。
「ふっ…ふざけるなー!」
 必死に逃れようと試みるも、声にも身体にも、どうにも力が入らないリューランだった。

 一方、警戒しながら足を伸ばしたクリシュナの元では、その足先にの足先に何かが触れる。
 にゅるっ……
「…! い、今何か……!?」
 そこからツツーッと擦りあげるように、体を寄せながら泳ぐソレ。その感触たるや、筆舌に尽くし難い。
「ひあっ!」
 腿をなぞりあげるように滑ると、今度は一層妖しい感触がクリシュナを襲う。…妙な生き物の舌、だろうか。どうやら水着の生地の部分を避けるように、脚に固執しているようだった。
「おのれっ!」
 あまりの感触に怒り心頭のクリシュナが、湯船の脇に置いておいたトライデントに手を伸ばす。そして、軽く振り上げるとスピーディーに湯の中へ…。
 ザクッ!!
「いけませんっ!」
「クリシュナさんっ…」
 まさか……!?

●くたばれ! 猥褻系!
 ガツッ!!
 湯の中の生き物に鉾先が突き立つ寸前、柄の端にアーサーの剣の切っ先が叩きつけられた。
 その為に鉾の狙いは大きく逸れ、何もない岩肌に軽い傷を穿った程度。さらにリヴァがそれを押さえた。
「血を流しちゃダメって言われたでしょ!」
「危ないところでした……」
 皆が声を揃える。
「……すみません。つい動転して」
 この代償は彼女にとって、大きなものとなった。…そう、敵が身体に吸い付くまで、とにかく耐える事である。
 だが、さすがに相手も警戒しているらしく思うようにはいかない。
 そうこうしているうちにヴァーミリオンの方で動きが。
 彼女の豊かな胸にペタリと吸い付く敵。
「はっ、あん……ひ、ひっぱれ! かめらーど!」
 予想だにしなかった感覚に襲われながらも、懸命に声を絞り出し…、それを待ち受けていたグレイが、一気にロープを引っ張る。
 ヴァーミリオンの身体が、ワイン色の妙な生物と共に跳んだ。
「チャンスですぅ〜」
 珍しくルビーが叫ぶ。が、こんな口調なだけに、タイミングが合っているのか、いないのか……?
 ともかく、彼女の杖から『風』が巻き起こり、ヴァーミリオンの胸に吸い付くソレを引き剥がした。
 しかし、ソレはただ吹き飛んだ訳ではなく、新たな標的としてスラーの胸のふくらみに狙いを定め、宙を泳ぐようにそちらへ向かう。
 ××××××!
 よほど身体に触れられるのが耐え難かったのだろう。スラーの唇から、『少々』過激な言葉が飛ぶ。
 そして咄嗟に構えた弓から、侮蔑の視線と共に電光の矢を放ち、醜悪なソレを貫いた。

 その直後、
「ストライダーの牙を、ナメんな!」
 1匹目が倒れると同時に、リューランが叫ぶ。くすぐったさに耐え兼ね、手ではなく歯で捉えるつもりのようだった。
 身体を捻って相手を水面ギリギリまで誘導しようとするが、上気した肌が見え隠れするそれは図らずも色っぽい。
 それでも何とか捉えようとした瞬間、ソレが頭をもたげて長い舌を震わせた。
「きゃっ!」
 意外なほど女の子らしい声。さすがにこんなモノと口付ける気はないらしい。
 が、その拍子にソレも驚いたのか、半身が水面を飛び出し、
「あとは任せろ!」
 と、狙いすましていたレスタァが一気に間合いを詰め…そして、
「…まったく羨ましいことして〜!」
 キケンな叫びと共にレスタァが放った破鎧衝により、ソレは湯の外へと派手に吹き飛び、アーサーの電刃居合い斬り、そして雪辱を晴らすリューランのワイルドラッシュによって完膚なきまでに叩きのめした。

 そしてさらに…、
「もういっちょー!」
 吹き飛んだタイミングと前後して、リヴァも叫んだ。
 犠牲を余儀なくされたクリシュナが、脚の付け根辺りを這うソレを瞬間的に挟み込んだ。
「……くっ!」
 挟まれながらも、のたうつソレに否応なく反応させられてしまうクリシュナだが、幸いにも動きを止めた故に、リヴァが一気にロープを引き上げるよう合図をしたのだ。
 再び引っ張るグレイ。しかし、完全に吸い付いた訳ではない故に、開いてしまった脚の間から零れ落ちる。
「逃がさないよー♪」
 だが、それを予想していたリヴァが、落ちてくる所を捉えて、デンジャラススイング!
 見事に外……いや正確に言うなら、外にいたグレイの水着の中へと弾き飛ばしたのだった。
「○×△□@※〜!? 誰か助けてください〜」
 ピョンピョン、ドタバタと走り回るグレイ。あらぬところにソレが接しているのだから無理もない。
 が、そのうちにポロッと零れ落ちた所を自ら緑の突風で払い、エンヤが眠りの歌を奏でる。
 ピューッ!!
 しかし、その程度で眠りに落ちる敵ではなく、それどころか、元気に転がりながら水流を噴出。ネンヤの肌に打ち身のような痣を残した。
「痛いですわ……」
 穏やかな口調の裏に静かな怒りを込め、華麗なる衝撃を放つネンヤ。次いで、
「まだ足りないかも知れませんねぇ〜。そろそろモンスターさんもお休みしてくださいねぇ〜」
 と、念のためにルビーが最大火力を誇るエンブレムノヴァを撃ち、最後の1匹も、跡形なく片付けたのだった。

●堪能! ワイン風呂
「意外とあっけなかったですわね…」
 青く残った痣を擦りながら、ネンヤが呟いた。
「所詮はキワモノ…ってことなんじゃない?」
 と、リヴァあたりはあまり気にもしていない。寧ろそんな事よりも気分は『温泉〜♪』なのである。

 ま、それについては皆、特に異論はない訳で……改めて、皆でワイン風呂に浸かることに。幸い…というか、女性たちも1人を除いては『混浴』に抵抗もないらしく…、
「混浴とは言っても水着があるわけですから、特段恥ずかしがる必要はないのではないでしょうか?」
 と、あっさりした様子。しかし、それでも唯1人、見られる事に若干のトラウマを持つユイノだけが抵抗を見せる。仕事的には何の役にも立ってないようなのは、たぶん気のせいだろう。
「ユイノさんが恥ずかしがっているのは、凄い水着でも着るからではありませんか?」
 と、人一倍キワドイ水着のアーサーが尋ねた。が、そう言われては何も言い返せず……しかも、ワイン風呂への興味は人一倍なのだから、大人しく観念するしかない。ちなみに、水着は極めて普通のモノである。
「ふはぁ…、気持ちいい〜♪」
 そんなこんなで結局、若干の複雑な気持ちを含みつつも、皆で和気藹々とワイン風呂を堪能。20歳以上のリューラン、ネンヤなどはグラスのヌーヴォーまで頂き、満悦である。
「舌だけでなく、肌でもワインを堪能できるたあ、いいもんだなこりゃ」
「そうでした。リゼルさんへのお土産を買わないと…」
「いいなぁ…僕はまだ飲めないけど、次の誕生日までのお楽しみにしようっと」
 ふと思い出したように言うネンヤの台詞を聞き、レスタァもお土産にすることに決めた。
「ユイノさぁ〜ん♪」
 むにゅっ……!?
「…きゃぁっ!!」
 背後から、いきなりユイノの胸を鷲掴みするルビー。これも1つの『お約束』というヤツである。
 平和の戻ったワイン風呂で、冒険者たちはいつまでも疲れを癒していた……。

【終わり】


マスター:斉藤七海 紹介ページ
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わからない
参加者:10人
作成日:2005/11/30
得票数:コメディ8  えっち20 
冒険結果:成功!
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