≪【CLOVERS CAFE】≫良くある一日の記録



     


<オープニング>


 皆さん、こんにちは。
 深雪の優艶・フラジィル(a90222)です。
 ジルは先日から「【CLOVERS CAFE】」なる旅団に御邪魔しています。軽やかに跳ねる靴音・リューシャ(a06839)さんが団長さんで、庭園式のカフェらしいのですが、ジルはこの旅団に来たばかりでお店の構造さえ良く判っていません。
 それに、ジルが旅団に顔を出す時間が合わないらしく、接客らしいシーンを見かけたことも無いのです。制服はとっても可愛らしいことは知っていますが、一体御客様には何をお出ししているのでしょうか。

「悩んだジルは、潜入調査を行うことに決めたのです」
 数名の旅団員を捕まえて、フラジィルは言い出した。
「やっぱり、実際にお客さんをしてみれば、カフェのことが良く判ると思うのですよっ」
 話を聞いた以上はもう共犯なのです。
 フラジィルはがっしりと団員の腕を掴まえて言った。

 そんなフラジィルの企みを知る由も無く、旅団では今日も普段通りの一日が始まろうとしているのでした。

マスターからのコメントを見る

参加者
想いを抱く癒しの薔薇・シア(a03214)
白碧の微睡・ルフィーティア(a04088)
清麗なる空牙の娘・オリエ(a05190)
軽やかに跳ねる靴音・リューシャ(a06839)
草露白・ケネス(a11757)
蜜星の讃美歌・ルーツァ(a14434)
詩歌いは残月の下謳う・ユリアス(a23855)
春を待つ春告げ鳥・ソウェル(a34111)
澄天の花瓣・フィオラ(a35780)
香雪蘭・ベルスーズ(a35899)
NPC:深雪の優艶・フラジィル(a90222)



<リプレイ>

●開店準備
 店内を軽く掃除して、テーブルには今日も可愛らしい花を飾った。セッティングを終え、軽やかに跳ねる靴音・リューシャ(a06839)は清々しい青空を見上げる。
「今日も、良い一日になりそうです」
 【CLOVERS CAFE】の日常は、今日もまた始まらんとしていた。

 小夜啼鳥・ベルスーズ(a35899)は準備の出来た店内をぐるりと見渡す。
 店内には、繊細な彫刻が施された白い木製の家具が並んでいる。椅子のクッション部は柔らかな色をした薔薇模様だ。誂えたように白いレースクロスを掛けられたテーブルの上には、可愛らしいバスケットの中に愛らしい花々が飾られている。丁度今、純白の癒し姫・シア(a03214)が最後のテーブルのセッティングを終えたところだ。こんな感じでいいかな、と首を傾げるシアに、ベルスーズは笑顔で頷く。
 見上げた天井には店の雰囲気と良く合う小さな燭台のシャンデリアが掛けられ、店内にロマンティックな雰囲気を作り出すことへ一役買っていた。壁の食器棚には、店自慢の可愛らしい様々なティーカップが並べられており、御客が好きな食器を選べるよう配慮がなされている。
 もうそろそろ開店の時間だ。ベルスーズは未だ喫茶店の仕事に慣れていない。今日もメモを取りながら、一生懸命手伝おうと厨房へ向かった。
「今日も一日、笑顔で」
「げんきにがんばるですー!」
 シアが言うと、幸せの歌さえずる雛鳥・ソウェル(a34111)もにっこり微笑んだ。シアは本日のケーキを繰り返し確認している様子。ソウェルもソウェルで、「おかあさんがほめてくれた笑顔」で頑張るべく気合十分であるらしい。慌て過ぎて転ばないようにしないと、と蒼穹の光華・フィオラ(a35780)は小声で呟いた。木陰に眠る詩唄い・ユリアス(a23855)は最後に身嗜みをチェックする。
「制服良し。後ろ髪もきちんと編んだ、良し。笑顔……良し!」
 そして今日も【CLOVERS CAFE】は開店の時刻を迎えるのだった。

●スパイ大作戦
 一方其の頃、深雪の優艶・フラジィル(a90222)は三人の団員を捕獲していた。一人だけじゃなくて良かったです、と安堵の表情を浮かべもする。
「……その話楽しそうだね。のったよ」
 うふふ、と清麗なる空牙の娘・オリエ(a05190)は目を細めた。穏やかな調子で頷いて、草露白・ケネス(a11757)も「ジルさんの願いを聞かない訳にはいきません」などと言う。きゃーケネスさんが格好良いですー格好良いですわー、などとフラジィルは翳らぬ蜜星の讃美歌・ルーツァ(a14434)と一緒にはしゃいだりもした。
「わたくしも此方に御入団させて頂いてから間もない身、やはりお店をよく知る事から始めたいですのーっ!」
 ウキウキとした気持ちが隠しきれぬ様子でルーツァが言う。潜入調査と言う響きは中々に魅惑的だ。ケネスも客の立場と言うものを体験したいとは考えていたので、これは良い機会だと思って居たのだが、実際にカフェへ立ち入ると――

「……俺は、こんな可愛い店に混ざっていても良いのでしょうか」
 サングラスを掛け直しながらケネスが呟く。
 可愛らしい店内を、可愛らしい制服を着た店員たちが行き来している。店に踏み入ると共に、シアが明るい笑顔で「いらっしゃいませ! CLOVERS CAFEへようこそ」と迎えてくれた。
「(だ、大丈夫ですよっ……ケネスさんも制服、良く似合ってらっしゃいます!)」
 フラジィルがごにょごにょと囁いた。彼女もサングラスを掛けているが、其れは無論変装の為である。顔見知りの旅団員たちと変装もせずに顔を合わせれば、正体がバレ、計画が御破算になってしまう。
 何処かで見たことがあるような気もしつつ、フィオラは二人の客人を特等席に案内した。特等席には既に客人が居たのだが、彼女らは心が広く、「賑やかな方が楽しいよ」と相席を喜んで受け入れてくれたのである。
 特等席にはまず、紫色の深くスリットが入った詰襟のドレスを着込み、揃いの扇で顔を隠しているオリエの姿。麗しい彼女の横には、御揃いデザインを黒くしたような上着を羽織っているルーツァの姿がある。スカートも上着も、彼女らしく可愛らしいフリルで飾り、髪の毛も綺麗にまとめていた。
(「此れなら、絶対に正体がバレないです……!」)
 心の中でガッツポーズを取るフラジィル。
 自身には誰が誰か理解出来るのに、店員が理解出来ると言う可能性には思いが至らないらしい。そして何故だかは判らないが、恐らく幸せなカフェの雰囲気によって、店員たちも団員が客人としてこの場に居ることには未だ気付けて居なかった。

●特等席の秘密
 特等席と言われるその場所は、店内と庭園を見渡せる明るく開放的なバルコニーにあった。白塗りのウッドデッキは美しくデザインされており、緑の蔓が絡まるのがまた様になっている。時折可愛らしい小鳥が近付いてくるのも、また心を和ませてくれるものだ。庭園に咲く花々は暖色系のものが多く、春を思わせる風景が見られる。
「流石乙女の御用達カフェです、バッチリツボを押さえてますわ!」
 綺麗でロマンティックとなれば完璧と言って良いだろう。初めて特等席に座ったルーツァは、大喜びで目を輝かせる。
「こちら、メニューでございます」
 丁寧な仕草でユリアスが言った。飲み物のリストは紅茶だけで無く、朝摘みのハーブティもある。メニューを前に悩んでいると、フィオラがそっとアドバイスをしに遣って来た。丁寧な言葉で親切にメニューを説明して遣る。ソウェルも頬を紅潮させながら、ケーキの詳細を説明する。
「『フォンダンショコラ』は中からとろっとチョコのソースがでてくるですよ! ケーキはふわふわでソースはあつあつ。とってもおいしいです!」
 力を込めた言葉に、フラジィルも「わあ」と頬を染めた。美味しそうだなあ、と思えば楽しみで心も浮き立つ。
フラジィルは「じゃあジルは」と喋り出したところで口を塞がれた。
 潜入調査中に自分の名前を口にするとは失敗フラグである。
「……わ、わたくしはホットチョコレートとフォンダンショコラにいたしますわっ」
 フラジィルが言い直す。
「それでは、ココアとサントノーレキャラメルを……」
 ルーツァがメニューを置こうとした其の時、
「!」
 メニューがコップに当たり、水が零れた。
「きゃー!! ごごご、ごめ、ごめんなさ…ッ」
 しかし、普段の癖でかケネスは倒れたコップをすぐさま元の位置へと戻す。ルーツァは素で動揺しながらも何とか注文を終えた。カフェで注文をすると言うのは、中々に難しいことなのかもしれないとドキドキしている胸を押さえる。其の時、ソウェルがはっとしたように顔を上げた。
「四名さまにおすすめの、とっておきがあるですー!」
 四名様限定のスイーツです、とフィオラも頷く。可愛らしい店員さんたちに微笑を向けて、オリエは「それも御願いね」と追加注文した。ユリアスは注文を復唱すると、
「少々お待ちください」
 礼儀正しく一礼をして、厨房へと向かう。

●四葉の贈り物
 四名様限定特製スイーツの注文が入ったと聞いて、ベルスーズは厨房からバルコニーを見遣った。
「何だか今日の四人組のお客様は、特に綺麗な方々……」
 ぱちぱちと瞬きをして呟くと、ティーポットカバーを用意する。注文が入ってから忙しくなるのが厨房と言うものだ。
 白碧の微睡・ルフィーティア(a04088)は心を込めて今日も調理を続けている。最初に漂って来たのは林檎特有の甘酸っぱい香り。たった今焼き上がったタルトタタンには、味も香りも文句無しの林檎が使用されている。ルフィーティアの丁寧な調理によって、その林檎の風味が確りと閉じ込められた逸品だ。
 オーブンで温めているフォンダンショコラも、甘いチョコレートの香りで包まれ始めている。今のうちに添えるホイップクリームの準備をせねば、とルフィーティアは手早く作業をこなしている。
 実は調理が得意と言うわけでも無いリューシャだが、愛と努力でカバーしながら一生懸命にスイーツを作っていた。目標は季節感たっぷりで、見ているだけで楽しくなるような可愛らしいスイーツである。オレンジ果汁をたっぷり使ったムースの上に、ぷるぷるのゼリーをトッピング。プチシューを味わい深いキャラメルクリームで飾ったサントノーレキャラメルも、シューのざっくり感とほろ苦いぱりぱりとしたキャラメルのコントラストが楽しい一品に仕上がっている。
 紅茶の準備は出来たし、ホットチョコレートにもマシュマロを添えた。後は、特別メニュー「ハートカルテット〜四葉の贈り物〜」だけだ。カフェの名を冠した品なのだから、とルフィーティアも普段以上に気合が入る。

 ケネスは酷くはらはらしていた。視線の先に居るのはシアで、御客の一人からケーキについて質問され、何やら答えに窮しているようなのだ。潜入調査中である彼は助け舟を出すわけにも行かず、はらはらとして見詰めるのみなのである。
 しかしシアはこっそりとメモを取り出した。リューシャ手作りのカンペである。シアは何事も無かったかのような笑顔で、はきはきと御客の問いに答えていた。ほっと胸を撫で下ろした頃、厨房から飲み物とスイーツが運ばれて来る。
 特に「四葉の贈り物」は一目見て、このカフェらしさを感じさせる可愛らしい品だった。
 ハートの形をした抹茶のティラミスが四つ、白いお皿の上に並んでいる。抹茶の少し独特の苦味と、クリームの甘さが口の中でひとつになった。ルフィーティアとリューシャは、はらはらしながら特別席の客人の反応を見守っていたが、どうやら御気に召して頂けたようである。
 オリエは時折、他のお菓子も一口分、フラジィルに食べさせてやりもした。店員は皆、素敵な笑顔を浮かべながら応対を続けている。お菓子の美味しさとカフェの雰囲気は、とても幸せな気持ちにさせてくれるものだ。
 甘く柔らかな香りに包まれた空気を堪能するように、ルーツァは一度目を閉じた。優しい幸せと言うものを感じて、胸がほんわりと暖かくなる。
 フラジィルに感想を尋ねると、彼女は「とっても可愛らしくて、とっても暖かくて、ジルも此処が大好きですっ」と満面の笑みを浮かべた。彼女の髪を優しく撫でてやりながら、
「次の時は俺が心を込めて御持て成ししますので、またカフェに来て下さい」
 お待ちしていますよ、とケネスも目を細めて微笑んだ。

 日の暮れた頃、カフェは漸く一日を終える。
「今日もとっても素敵な一日でしたね……」
 一日働けばくたくたにもなるが、その疲労感も心地良く思う。リューシャは暮れなずむ空を見上げ、此れからもっと素敵なお店に出来れば良いと願うように思いを馳せた。
 そして普段通りの日常は、明日も、明後日も、平和なままで続いていく。


マスター:愛染りんご 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
冒険活劇 戦闘 ミステリー 恋愛
ダーク ほのぼの コメディ えっち
わからない
参加者:10人
作成日:2005/11/30
得票数:ほのぼの14  コメディ8 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。