<リプレイ>
●猫温泉 「……ここが噂の猫温泉か。客層自体は犬温泉と被ってないはずだから、互いに理解し各温泉のウリをアピールすればいいと思うのだが……、商売とは業が深いな」 しみじみとした表情を浮かべながら、無限の剣聖・ルフィス(a35109)が猫温泉を見つめて溜息をつく。 猫温泉は見るからに猫好きが経営していそうな温泉で、ルフィス達の姿に気づくと野良猫達が嬉しそうに擦り寄ってくる。 「最初から住み分けが出来ているのだから、お客さんの取り合いになる、って事はないと思うんだけど……。犬好きと猫好き、どちらもそれぞれいるわけだから、そのあたりを詳しく話した方がいいかも知れないわね」 霊査士からの依頼で温泉にやって来た事を受付に告げ、紅翔剣姫・ロザリア(a38757)が認証バッジを受け取った。 猫温泉の認証バッジは猫の肉球を模ったもので、触るとフニフニとしていて軟らかい。 「このような無益な抗争は、温泉好きとしては、とても哀しい……。とにかく温泉を荒らしまわっているゴロツキ達を懲らしめましょう。……経営者の説得はそれからです」 少し寂しげな表情を浮かべ、繰り返す大失敗・ナノカ(a35642)が温泉にむかう。 温泉にゴロツキ達が差し向けられたのは、相手側の報復処置である可能性が高いため、彼らを捕まえて真相を確かめる必要がありそうだ。 「猫好きの人が安心して来れる温泉を取り戻さなきゃいけませんね」 脱衣所のドアを開けた瞬間、帰らじの森の幻声・アナベル(a34022)の表情が凍りつく。 猫温泉が混浴だった事をすっかり忘れ、男達の裸をウッカリと見てしまったらしい。 「きゃあああああああああああああああああああああああああああああ!」 次の瞬間、アナベルが顔を真っ赤にしながら、辺りにあった物をポカスカと投げつける。 そのため男達も何が起こったのか分からぬまま、申し訳なさそうな表情を浮かべて脱衣所から出て行った。 ハテナマークを浮かべた猫達を連れて……。
●温泉 「うわぁ〜、ペットと一緒に温泉入れるなんて、スピンも音速丸を連れてくればよかったですぅ〜」 ウットリとした表情を浮かべ、お願い金太守ってぇ〜・スピン(a16610)が辺りを見回した。 温泉は猫の肉球を似せて造られており、一般客と一緒に猫達がのんびりと温泉に浸かっている。 「おおっ、スピンちゃんも猫を飼っているんですかぁ〜?」 瞳をランランと輝かせ、温泉エルフ・ティアナ(a90006)が口を開く。 スピンが猫を飼っているのが意外だったのか、とても興味を持っているらしい。 「……え、猫? ……音速丸は鷹ですけど。あ、でも、猫の着ぐるみを着せておけば、立派な猫さんに大変身ですよぉ〜」 満面の笑みを浮かべながら、スピンが軽く冗談を言う。 「だ、駄目ですよぉ。そんなものを連れてきたら、猫さんに襲われちゃいます〜」 ドキッとした表情を浮かべ、ティアナが身体を震わせる。 「はははっ、冗談ですよぉ〜。それに猫さんの着ぐるみを着せたら、空を飛ぶ事が出来ませんしぃ〜」 怯えるティアナを慰めながら、スピンがクスクスと笑う。 「ねえねえ、みんな見てぇ〜♪」 スーパースポットライトを使い、伊良子・ルナ(a00331)が自慢げに裸体をさらす。 「おおー!」 次の瞬間、温泉に浸かっていた男達の視線が集中し、ルナが得意げにポーズを取っていく。 そのためか猫達が呆れた表情を浮かべながら、飼い主に猫パンチを浴びせている。 「わわっ! 駄目ですよぉ〜」 慌てた様子でルナに駆け寄り、ティアナが両手を使って裸を隠す。 その拍子に胸を揉んでしまったのか、妙にあたふたとしながら……。 「何をそんなに慌てている? 最初から混浴と判ってるのに恥ずかしがる方が変だろう? ……とは言え、女性も居るんで礼儀として隠すべき時は隠すし、凝視するような失礼な真似はしない。それで問題ないんじゃないか?」 険しい表情を浮かべ、黒衣の閃迅・レオニード(a00585)がキッパリと言い放つ。 必要以上に裸を見るつもりが無いのか、あまり女性の居る方を見ておらず、腰にもタオルを巻いている。 (「ま、まさか……、湯船で殿方と一緒とは……。しかし、これもふさこさんの為……、頑張らねば……」) 心臓をドキドキとさせながら、アナベルがバスタオルを身体に巻く。 愛猫ふさこさんを連れて温泉に浸かるつもりでいたものの、男達の視線が集中している事もあり、バスタオルを巻いていても恥ずかしい。 「それじゃ、こんな感じでどうかな?」 苦笑いを浮かべながら、朱い翼・ナミ(a10048)が腰にしっかりとタオルを巻く。 「お湯にタオルをつけるのは邪道だろう。……これを穿け」 ナオからタオルを剥ぎ取り、ルフィスが海パンを放り投げる。 (「タ、タオルは邪道って……!? そ、それじゃ、ま、ま、まさか……、裸でなくては……駄目……なのですか……!?」) いまにも気絶しそうになりながら、アナベルが目をパチクリさせた。 「ティアナ祭り前の休息にょ」 それと同時に嵐を呼ぶ魔砲少女・ルリィ(a33615)がバスタオルを巻いてルフィスの前を横切り、そのまま勢いをつけてザブンと温泉に飛び込んだ。 「お、おい。ちょっと待て……! まぁ、いいか。さすがに脱げとも言えないしな」 諦めた様子でルリィを見つめ、ルフィスが大きな溜息をつく。 彼女からバスタオルを取るのは簡単だが、その事で変態扱いされてしまうため、割に合わないと思ったらしい。 「念のため、わたくしはハイドインシャドウで隠れておきますね。覗きが目的ではありませんから、誤解なさらないように」 ハイドインシャドウを使い、ナノカがその場に身を隠す。 ゴロツキ達が襲撃する時間が決まっていない以上、誰かが隠れていた方が非常事態の場合も対応できる。 「ティアナお姉ちゃんは、私が守るにょ」 いきなりティアナに抱きつきながら、ルリィがニコリと微笑んだ。 「うきゅ〜……ですよぉ」 恥ずかしそうに頬を染め、ティアナがルリィを抱きしめた。 「早く一緒に入るなぁ〜ん」 アナベルの腕をギュッと掴み、未熟半熟魅力満・ティエン(a33937)が温泉にむかう。 「ティ……、ティエンさん!? (心の声:つ、ついに……、眼鏡を外した姿が見られる!?)」 期待に胸を膨らませ、アナベルがゴクリと唾を飲み込んだ。 しかし、ティエンは眼鏡を外さず、そのまま温泉に浸かってしまう。 (「ううっ……、残念。……はっ! ね、ねこ……! ねこだらけ!」) 温泉に浸かった途端、猫達が集まってきたため、アナベルが獣達の歌を使って話しかける。 「うにゃ〜ん♪」 アナベルの言葉に答えるようにして、猫達が幸せそうに頬擦りする。 「し、幸せ……」 ウットリとした表情を浮かべ、アナベルが猫達にもきゅっと抱きついた。 「……ん? この猫は誰のだ? 俺の髪は玩具じゃないぞ?」 擦り寄ってきた猫を掴み上げ、レオニードがクスリと笑う。 アナベルの話では捨て猫らしく、温泉に棲みついているらしい。 「ねっこ、ねっこ、ねこ温泉〜♪」 黒猫のジェイと、白猫のファスを抱きかかえ、砂漠に降りつもる・ユギ(a04644)がバスタオルを巻いて温泉に浸かる。 「あねねと温泉♪」 羊の絵が描かれたバスタオルを身体に巻き、布団姫・ティフェル(a05986)が嬉しそうな表情を浮かべてユギに抱きつく。 よほど彼女と来れた事が嬉しかったのか、楽しそうに鼻歌を歌い……。 「……」 ツッコむ気力さえ無くなり、ルフィスがコホンと咳をした。 バスタオルの事はしばらく口にする事は止めておこうと思いつつ……。 「……おや? あれは……?」 愛猫ふさこさんと温泉に浸かり、アナベルが異変に気づく。 ガラの悪い集団が脱衣所で服を脱いでいる。 妙にいやらしい笑みを浮かべながら……。
●ゴロツキ 「おうおうおう! ここの温泉は猫と人間様の区別はナシか。まったく……、非常識な温泉だなァ!」 わざと大きな声を出しながら、ゴロツキ達が温泉の中に入ってくる。 「!!!!!!」 ゴロツキ達に声に驚き、慌てて逃げていく猫達。 あまりの恐ろしさに猫達が茂みに隠れて、ガタガタと身体を震わせている。 「猫さん達をいじめたら、スピンが許さないですよぉ〜……きゃあ!?」 勇ましくゴロツキ達を叱りつけに行った瞬間、足元にあった石鹸を踏んでしまい、スピンがつるんと滑って尻餅をつく。 「あ痛ててですぅ〜……って、あ、あれタオルがぁ〜。のはぁ〜!」 それと同時にバスタオルが舞い上がり、スピンが顔を真っ赤にする。 「ええもん……見た……」 スピンの裸をマジマジと見つめ、ゴロツキ達がダラリと鼻血を流す。 「どうしようか、この人達……? いきなり懲らしめる訳にもいかないよね?」 ゴロツキ達を指差しながら、ナミがボソリと呟いた。 「確かに必要以上に痛めつける必要はないな。大人しく説得に応じてくれればの話だが……」 念のためタオルを濡らしておき、ルフィスが怪しくニヤリと笑う。 「こっちが黙っていりゃあ、好き勝手いいやがって! やれるモンなら、やってみろ! いくぞ、野郎共!」 ルフィスをジロリと睨みつけ、ゴロツキ達が一斉に攻撃を仕掛けてくる。 「温泉と猫の平和を乱す輩は、この仮面(まじかる)ルリリンが、天に代わっておしおきにょ!」 鎧進化を使ってバスタオルをホノカースーツ改スク水仕様に変化させ、ルリィがウェポン・オーバーロードを使って【ハリセン】斬惚刀を召喚すると、大きな胸をぷるんと揺らす。 「さぁ、一気に片付けるわよ!」 次の瞬間、ルナがスーパースポットライトを放ち、その場にいたゴロツキ達をあっという間に麻痺させた。 「……ミストフィールドを展開する必要もなかったな」 すぐさまハイドインシャドウを解除し、レオニードがゴロツキ達に手刀を放つ。 「その方がいいわ。……お互いのためにもね」 疲れた様子で溜息をつきながら、ロザリアがゴロツキ達を縛っていく。 盗賊達はグッタリとした表情を浮かべており、まったく抵抗する素振りが無い。 「……あれ? 脱衣所にもうひとりいるよ」 脱衣所でガタガタと震えているゴロツキを見つけ、ユギが粘り蜘蛛糸を使って動きを封じ込める。 「いいですかぁ! 今度こんな事をしたら、こうですからね!」 温泉の中にある庭に行き、スピンが爆砕拳を使って大岩を砕く。 「わ、分かったから、勘弁してくれ!」 大粒の涙を浮かべながら、脱衣所にいたゴロツキが嫌々と首を横に振る。 「それじゃ、すべてを話してください。猫温泉の経営者がいる前で……」 そう言ってアナベルが猫温泉の事務所にむかう。 この事件の真相を知るために……。
●経営者 「……入っていいか?」 念のためドアをノックしたあと、ルフィスが部屋の中に入っていく。 事務所の中には大きな猫の置物が置かれており、経営者の妻が眼鏡をキラリと輝かせる。 どうやら猫温泉の主人は度重なる嫌がらせによって、とうとう寝込んでしまったらしい。 そのため現経営者は彼女のようだ。 「ゴロツキ達を捕まえてくれたようね。……助かったわ。これで、この温泉が荒らされる事もなくなるはず……」 ホッとした表情を浮かべ、猫温泉の経営者がニコリと笑う。 「まぁ、ごろつきを追い帰しても、嫌がらせがまた起これば同じ事の繰り返しなんだけどね」 言葉に含みを持たせつつ、ナミが経営者の顔色を窺った。 「……そうね。今までもそうだったから……」 寂しそうな表情を浮かべ、経営者の女性が溜息をつく。 「猫温泉さんにガラノワルイ連中さんが差し向けられているのは、犬温泉さんの経営悪化が原因なのです! その原因は猫温泉さんがガラノワルイ連中さんを差し向けているせいです! でも、その原因は猫温泉さんの経営悪化が原因だから……、犬温泉さんにガラノワルイ連中さんが差し向けられるわけで……あれれ?」 叱っている途中で訳が分からなくなってしまい、ナノカが大きなハテナマークを浮かべて汗を流す。 「何の……事?」 キョトンとした表情を浮かべ、経営者の女性が首を傾げる。 本当に何の事か分からないのか、ナノカと一緒にハテナマークを浮かべながら……。 「……新しい温泉が出来て、お客が二分するから売り上げ云々までは分かるんだけど、猫派と犬派に分かれた事を考えると、むしろ同好の士を見つける場が出来ていいかと思うよ? ……相手を妨害するんじゃなくてね」 呆れた様子で彼女を見つめ、ユギがブツブツと説教をし始めた。 しかし、経営者の女性は目を丸くさせ、まるで他人事のようである。 「そろそろ本当の事を話してください。犬温泉とは客層は被ってませんし、お互い妨害する事を止めれば解決すると思いますよ?」 ジロリと彼女を睨みつけ、アナベルがボソリと呟いた。 「わ、私は何もしていないわ! ……ひ、酷い」 慌てた様子で首を振り、経営者の女性が自分の無実を訴える。 特に怪しい素振りも無かったため、彼女が嘘をついているようにも思えない。 「それじゃ、一体誰がこんな事を……」 納得のいかない表情を浮かべ、ロザリアが汗を流す。 ……こうして事件は解決した。 いくつかの謎は残したまま……。

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参加者:10人
作成日:2005/12/22
得票数:ミステリ3
コメディ7
えっち1
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冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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